アミノ酸の製造法

【課題】
本発明の課題は、L−バリンを嫌気又は微好気条件下で生産することのできる微生物を造成し、該微生物を用いて嫌気又は微好気条件下でL−バリンを生産する方法を提供することである。
【解決手段】
本発明によれば、NADHを補酵素として利用し、2−オキソイソ吉草酸にアミノ基を転移してL−バリンを生成する活性を有する蛋白質の活性が親株より高く、かつL−バリンを生産する能力を有する微生物を、嫌気または微好気条件で培地に培養し、L−バリンを該培地中に生成、蓄積させ、培養物中からL−バリンを採取することを特徴とする、L−バリンの製造法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液やサプリメント等の成分として利用されるL−バリンの微生物による製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
L−バリンは、種々の微生物を用いた発酵法により工業生産されている。そのような微生物の例としては、D−リボ-ス、プリンリボヌクレオシドまたはピリミジンリボヌクレオシドに耐性を示す微生物(特許文献1)、ポリケトイド類に耐性を示す微生物(特許文献2) 、ピルビン酸アナログに感受性を示す微生物(特許文献3)、イソロイシンtRNAシンテターゼに変異を有する微生物(特許文献4)、分岐鎖アミノ酸の排出に関わる蛋白質の発現を増強させた微生物(特許文献5)、H+−ATPaseを欠失させた微生物(特許文献6)、フィードバック阻害に耐性のアセト乳酸合成酵素を有する微生物(特許文献7)、NADPHの供給を強化させた微生物(特許文献8)およびピルビン酸オキシダーゼの発現を低下させた微生物(特許文献9)など多くの例が挙げられる。
【0003】
これらの微生物を用いたL−バリンの製造法は、微生物を好気条件下で培養すること前提としているが、微生物を好気条件下で培養することは、呼吸により原材料のグルコースが二酸化炭素として多く排出される、発酵槽の酸素供給能力によりL−バリンの生産性が制限される、微生物の分裂増殖に伴う発酵熱の除去に多量の冷却水やプロセスエネルギーが必要になる、などの問題があった。
【0004】
上記問題に対しては、ある種の微生物を嫌気条件化で培養し、L−バリンを製造する試みがなされている。例えば、クロストリジウム属に属する微生物を用いた例では、L−α−アミノ酪酸に耐性を示す該微生物を嫌気条件下で培養し、L−バリンを製造した例が報告されている(特許文献10)。また、ブレビバクテリア属に属する微生物を用いた例では、該微生物を培地中の酸化還元電位(以下、ORPという。)を制御することで嫌気条件を制御し、L−バリンを製造した例が報告されている(非特許文献1)。
【0005】
しかしながら、大腸菌においては、広くL−アミノ酸の工業生産に利用されているにも関わらず、大腸菌を嫌気もしくは微好気条件化で培養し、L−バリンを製造する方法は、これまでに報告されていない。
また、NADHを補酵素として利用し、2−オキソイソ吉草酸にアミノ基を転移してL−バリンを生成する活性(以下、NVDH活性という。)を有する蛋白質は既知であるが(非特許文献2)、該蛋白質をコードするDNAでエシェリヒア属に属する微生物を形質転換し、該形質転換体を嫌気もしくは微好気条件化で培養し、L−バリンを製造する方法についても、これまでに報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭53−025034
【特許文献2】特公平06−065314
【特許文献3】特開平05−007493
【特許文献4】欧州特許第5658766号
【特許文献5】特開2002−300874
【特許文献6】特開2000−116393
【特許文献7】特開2008−099668
【特許文献8】欧州特許第0733712号
【特許文献9】国際公開パンフレットWO02/36797
【特許文献10】特開平3−58781
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Akashi Kunihiko et al. (1977) Journal of fermentation technology 55: 364-368
【非特許文献2】Ohshima Toshihisa et al. (1994) Eur. J. Biochem. 222: 305-312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、L−バリンを嫌気又は微好気条件下で生産することのできる微生物を造成し、該微生物を用いて嫌気又は微好気条件下でL−バリンを生産する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の(1)〜(6)に関する。
(1)NVDH活性が親株より高く、かつL−バリンを生産する能力を有する微生物を、嫌気または微好気条件で培地に培養し、L−バリンを該培地中に生成、蓄積させ、培養物中からL−バリンを採取することを特徴とする、L−バリンの製造法。
(2)微生物が、下記の[1]〜[6]のいずれかに記載のDNAで親株を形質転換して得られる微生物である、上記(1)記載の製造法。
[1]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
[3]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
[4]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列からなるDNA
[5]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
[6]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
(3)微生物が、親株が有する乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸・ギ酸リアーゼ、フマル酸レダクターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼおよびホスフォトランスアセチラーゼからなる群より選ばれる1以上の酵素の活性を親株より低下させた微生物または該活性を喪失させた微生物である、上記(1)または(2)記載の製造法。
(4)微生物が、L−バリンの生合成に関与する1つ以上の酵素の活性が増強された微生物である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造法。
(5)微生物が、エシェリヒア属に属する微生物である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造法。
(6)嫌気または微好気条件が、培地中の酸化還元電位が−100mV以下の条件である、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大腸菌を嫌気又は微好気条件下で培養し、L−バリンを生産することが可能となるため、二酸化炭素の排出を抑制でき、また発酵装置の酸素供給能力に依存せず、冷却水やプロセスエネルギーの消費を抑制したL−バリンの発酵生産が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、NVDH活性が親株より高く、かつL−バリンを生産する能力を有する微生物を、嫌気または微好気条件で培地に培養し、L−バリンを該培地中に生成、蓄積させ、培養物中からL−バリンを採取することを特徴とする、L−バリンの製造法に関する。
1.本発明で用いられる微生物
本発明で用いられる微生物は、親株よりNVDH活性が高く、かつL-バリンを生産する能力を有する微生物である。
【0012】
親株よりNVDH活性が高い微生物としては、親株がNVDH活性を有している場合は、親株の染色体DNA上に存在するNVDH活性を有する蛋白質をコードする遺伝子(以下、NVDH遺伝子という)を改変することにより、1)該遺伝子の発現量が増大した微生物、または2)該蛋白質の比活性が増強した微生物を挙げることができる。
NVDH遺伝子の発現量が増大した微生物としては、3)該遺伝子のプロモーター部分が改変、または4)該遺伝子のコピー数が増大した微生物を挙げることができる。該遺伝子のコピー数が増大した微生物としては、親株を該遺伝子で形質転換することにより、5)染色体上のコピー数が増大した微生物、または6)プラスミドDNAとして染色体DNA外に該遺伝子を保有させた微生物を挙げることができる。
【0013】
プロモーターの改変、およびNVDH活性を有する蛋白質の比活性を上げる方法としては、後述の部位特異的変異導入法等の周知の技術により、プロモーター部位、またはコーディング領域のDNA(以下、NVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAともいう。)に変異を導入する方法をあげることができる。当該方法により、親株よりNVDH遺伝子の発現量が増大、またはNVDH活性を有する蛋白質の比活性が向上した微生物が取得できたことは、RT-PCRやノーザンハイブリダイゼーションによりmRNA量を測定、または該微生物を培養し、得られる培養物から該蛋白質を含む細胞抽出液もしくは水溶性画分を調整し、該画分を基質であるNADHおよび2−オキソイソ吉草酸と混合し、結果として生成するL−バリンを検出するOhshimaらの方法(Ohshima Toshihisa et al. (1994) Eur. J. Biochem. 222: 305-312)によってNVDH活性を測定、比較することにより確認することができる。
【0014】
また、親株よりNVDH活性が高い微生物としては、親株がNVDH活性を有していない、すなわちNVDH遺伝子を有していない場合は、親株をNVDH遺伝子で形質転換することにより、7)親株の染色体DNAに該遺伝子が組み込こまれた微生物、または8)プラスミドDNAとして染色体DNA外に該遺伝子を保有させた微生物をあげることができる。
【0015】
本発明において親株とは、遺伝子改変、および形質転換等の対象となる元株のことをいう。遺伝子導入による形質転換の対象となる元株は宿主株ともいう。元株及び宿主株は野生株であってもよいし、人為的操作により例えばバリンの生産能が野生株より向上した変異株であってもよい。
本発明で用いられる微生物は、いずれの属に属する微生物であっても良いが、好ましくは原核生物、より好ましくは偏性嫌気細菌および通性嫌気細菌、さらに好ましくは通性嫌気細菌、特に好ましくはエシェリヒア属に属する微生物を挙げることができる。
2.NVDH活性を有する蛋白質
NVDH活性を有する蛋白質としては、各種データベース中に、該活性を有すると登録されている蛋白質、該蛋白質と高い同一性(例えば80%以上の同一性)があると記載されている蛋白質をあげることができるが、具体的には、
[1]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、[2]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質、および、
[3]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質、
などをあげることができる。
【0016】
上記において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982) 、Gene, 34, 315 (1985) 、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985) 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985) 等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
【0017】
欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意の位置において、1または複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。
【0018】
アミノ酸の欠失または付加が可能なアミノ酸の位置としては、例えば配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列のN末端側およびC末端側の1〜数個のアミノ酸をあげることができる。
欠失、置換または付加は同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
【0019】
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、本発明で用いられるNVDH活性を有する蛋白質としては、配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有している蛋白質を挙げることができる。
【0020】
アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)。
3.NVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
NVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAとしては、上記2に記載のNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAを挙げることができ、具体的には、
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、
[5]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列からなるDNA、
[6]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA、および、
[7]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA、
などをあげることができる。
【0021】
上記において「ハイブリダイズする」とは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズすることである。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたはその一部は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして用いることができ、またPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できるDNAである。プローブとして用いられるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができ、プライマーとして用いられるDNAとしては、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAをあげることができる。
【0022】
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えば当業者であれば本願明細書に従い、ハイブリダイゼーションの条件を決定することができる。該ハイブリダイゼーションの条件は、モレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(1996)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従っておこなうことができる。
【0023】
また、市販のハイブリダイゼーションキットに付属した説明書に従うことによっても、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを取得することができる。市販のハイブリダイゼーションキットとしては、例えばランダムプライム法によりプローブを作製し、ストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションを行うランダムプライムドDNAラベリングキット(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)などをあげることができる。
【0024】
上記のストリンジェントな条件とは、DNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mmol/lの塩化ナトリウム、75mmol/lのクエン酸ナトリウム)、50mmol/lのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件が好ましいが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェンな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度および温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二水素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件をあげることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件をあげることができる。
【0025】
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えばBLASTやFASTA等を用いて上記したパラメータ等に基づいて計算したときに、配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
【0026】
上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが、NVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAであることは、該DNAを発現する組換え体DNAを作製し、該組換え体DNAを宿主細胞に導入して得られる微生物を培養し、得られる培養物から該蛋白質を含む細胞抽出液もしくは水溶性画分を調整し、該画分を基質であるNADHおよび2−オキソイソ吉草酸と混合し、結果として生成するL−バリンを検出するOhshimaらの方法(Ohshima Toshihisa et al. (1994) Eur. J. Biochem. 222: 305-312)によって確認できる。
4.本発明の製造法に用いられるDNAの調製
本発明の製造法に用いられる、NVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAは、バチルス(Bacillus)属およびサーモアクチノマイセス(Thermoactinomyces)属に属する微生物より調製することができる。
【0027】
バチルス属に属する微生物としては、具体的には、Bacillus subtilis 168を挙げることができ、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)よりATCC23857の微生物として入手できる。サーモアクチノマイセス属に属する微生物としては、具体的には、Thermoactinomyces intermedius IFO14230を挙げることができ、ATCCよりATCC33205の微生物として入手できる。
【0028】
バチルス属またはサーモアクチノマイセス属に属する微生物を公知の方法(例えば、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー)に従って培養し、該微生物の染色体DNAを単離・精製する。
ゲノム情報を基に、バチルス属に属する微生物のbcd遺伝子付近の塩基配列に基づいたプライマーを調製し、該ゲノムDNAを鋳型として、PCR〔PCR Protocols, Academic Press(1900)〕を行うことにより、バチルス属に属する微生物由来のNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む断片を取得することができる。同様に、サーモアクチノマイセス属に属する微生物のleudhまたはpdh遺伝子付近の塩基配列に基づいたプライマーを調製し、該ゲノムDNAを鋳型として、PCRを行うことにより、サーモアクチノマイセス属に属する微生物由来のNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAを含む断片を取得することができる。
【0029】
また、ゲノムの塩基配列に基づいて設計された合成DNAをプローブとしたハイブリダイゼーション法等により、該DNAを取得することもできる。
取得したDNAをそのまま、あるいは適当な制限酵素等で切断後常法によりベクターに組み込み、通常用いられる塩基配列解析方法、例えば3730xl・DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムス社製)等を用いたジデオキシ法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5463(1977)〕により該DNAの塩基配列を決定する。
【0030】
該DNAを組み込むベクターとしては、pBluescript KS+(ストラタジーン社製)、pDIRECT〔Nucleic Acid Research,18, 6069(1990)〕、pCR−Script Amp SK+(ストラタジーン社製)、pT7Blue(ノバジェン社製)、pCR II(インビトロジェン社製)、pCR−TRAP(ジーンハンター社製)、pNoTAT7(5プライム→3プライム社製)およびpTrc99a(lablife社製)等をあげることができる。
【0031】
上記のようにして取得された塩基配列を有するDNAとして、例えば、配列番号1、3および5で表される塩基配列を有するDNA等をあげることができる。
配列番号1、3および5で表される塩基配列を有するDNAとしては、蛋白質のコーディング領域に加え、転写調節領域およびプロモーター領域などを含むDNAをあげることができる。
【0032】
転写調節領域としては、染色体DNA上におけるコーディング領域の5’末端より上流側100塩基、好ましくは50塩基からなるDNAをあげることができ、プロモーター領域としては、−10および−35領域に相当する領域をあげることができる。
5.本発明の製造法に用いられる微生物の造成
本発明の製造法に用いられる、NVDH活性が親株より高く、かつL−バリンを生産する能力を有する微生物は、例えば、L−バリンを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物(下記に詳細を記載する。)を親株として、上記4の方法で得られるDNAを該親株に導入する方法(下記7.に詳細を記載する。)、などにより造成することができる。
【0033】
L−バリンを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物は、エシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物を親株として、(I)栄養要求性変異株、L−バリンのアナログ耐性変異株または代謝制御変異株を取得し、かつL−バリン生産能を有する変異株を選択する方法(アミノ酸発酵、学会出版センター、1986年5月30日初版発行、第77〜100頁)、(II)L−バリンの生合成系酵素の発現が増強された組換え株を造成する方法(前文献と同じ、第77〜100頁)、または、(III)アミノアシルt-RNAシンテターゼに変異を有する変異株を取得する方法(米国特許第5,658,766号)、などによって造成することができる。
【0034】
エシェリヒア属に属する微生物としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等が挙げられる。エシェリヒア・コリとしては、例えば、エシェリヒア・コリK-12株及びその誘導体であるエシェリヒア・コリ MG1655株(ATCC 47076)、およびW3110株(ATCC 27325)を挙げることができる。
(I)栄養要求性変異株、L−バリンのアナログ耐性変異株または代謝制御変異株を取得し、かつL−バリン生産能を有する変異株を選択する方法としては、例えば、親株または野生株を通常の変異処理、すなわちX線や紫外線の照射、またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン等の変異剤処理などによって処理し、得られた変異株の中から、栄養要求性、アナログ耐性または代謝制御変異を示し、かつL−バリン生産能を有するものを選択することによって得ることができる。
【0035】
(II)L−バリンの生合成に関与する酵素の発現が増強された組換え株を造成する方法としては、例えば、(II−a)L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAを、親株の染色体DNA上に1以上導入する方法、または、(II−b)L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAを含有する自律複製型の組換え体DNAで親株を形質転換する方法を挙げることができる。
【0036】
L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAとしては、アセト乳酸シンターゼをコードするilvG、ilvM、ilvI、ilvH、ilvBもしくはilvN、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼをコードするilvC、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードするilvD、または、分枝鎖アミノ酸トランスアミナーゼをコードするilvE等を挙げることができる。
(II−a)L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAを、親株の染色体DNA上に1以上導入する方法としては、相同組換えを利用した方法をあげることができる。一般的な相同組換えを利用した方法としては、L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNA断片を、当該DNA断片を導入したい宿主細胞内では自律複製できない薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドDNAまたは直鎖状DNAと連結して作製できるDNAを用いる方法をあげることができる。
【0037】
相同組換えを利用した方法としては、i)該相同組換え用DNAを常法により微生物細胞に導入した後、薬剤耐性を指標にして相同組換えによって染色体DNA上に相同組換え用DNAが組込まれた形質転換株を選択し、ii)得られた形質転換株を該薬剤を含有しない培地で数時間〜1日培養した後、該薬剤含有寒天培地、および該薬剤非含有寒天培地に塗布し、iii)前者の培地で生育せず、後者の培地で生育できる株を選択する、ことで染色体DNA上において2回目の相同組換えが生じた微生物を取得する方法をあげることができる。
【0038】
微生物の細胞内で自律複製できない薬剤耐性遺伝子を有するDNAとして、薬剤耐性遺伝子および枯草菌のレバンシュークラーゼ遺伝子sacB(Mol. Microbiol., 6, 1195(1992))を有するプラスミドDNAまたは直鎖状DNAを用いて、レバンシュークラーゼが宿主細胞に有害な物質を生産することを利用した選択法 (J.Bacteriol., 174, 5462(1992))を利用して上記2回目の相同組換えが生じた微生物を取得することもできる。
【0039】
相同組換え用プラスミドを微生物の細胞に導入する方法としては、微生物の細胞へDNAを導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、電気穿孔法(Appl. Microbiol. Biotech., 52,541(1999))やプロトプラスト法(J. Bacteriol., 159,306(1984))等をあげることができる。
該微生物の染色体DNA上への、L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAの導入は、例えば、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的として利用して行うことができる。染色体DNA上に多コピー存在する配列としては、レペティティブDNA、転移因子の端部に存在するインバーテッド・リピートが利用できる。
【0040】
また、L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAを該微生物の染色体DNA上に挿入することは、L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAをトランスポゾンに連結してこれを転移させて染色体DNA上に挿入することによっても得ることができる(特開平2−109985号公報)。
染色体DNA上の、L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNA断片を導入した周辺の領域の塩基配列を決定することや、該DNA断片の一部をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション等により、染色体DNA上の目的の位置に当該DNA断片が導入されたことを確認することができる。
【0041】
(II−b)L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNAを含有する自律複製型の組換え体DNAで親株を形質転換する方法としては、例えば、宿主となる微生物細胞内で自律複製可能であり、連結するDNAを転写できるプロモーターを有する発現ベクターと、L−バリンの生合成に関与する酵素をコードするDNA断片とを連結して作製した組換え体DNAを、宿主微生物細胞内に導入することにより取得することができる。
発現ベクターとしては、エシェリヒア・コリを宿主とする場合、pTrc99a(lablife社製)、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもロシュ・ダイアグノスティックス社製)、pKK233−2(GEヘルスケア社製)、pKK223−3(GEヘルスケア社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−8(キアゲン社製)、pQE−30(キアゲン社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200〔Agric.Biol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)〕、pBluescript II SK+(ストラタジーン社製)、pBluescript II SK−(ストラタジーン社製)、pTrs30(FERM BP−5407)、pTrs32(FERM BP−5408)、pGHA2(FERM BP−400)、pGKA2(FERM BP−6798)、pTerm2(特開平3−22979、US4686191、US4939094、US5160735)、pEG400〔J.Bacteriol.,172,2392(1990)〕、pGEX(GEヘルスケア社製)、pETシステム(ノバジェン社製)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pTrxFus(インビトロジェン社製)、pMAL−c2(New England Biolabs社製)、pUC18〔gene,33,103(1985)〕、pUC19〔Gene,33,103(1985)〕、pSTV29(タカラバイオ社製)、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUC118(タカラバイオ社製)、pPA1(特開昭63−233798)等が挙げられる。
【0042】
プロモーターとしては、宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、エシェリヒア・コリを宿主とする場合、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SP01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrpx2)、tacプロモーター、letIプロモーター、lacT7プロモーター、letIプロモーター、trcプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
目的とするDNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子直下に転写終結配列を配置することが望ましい。
【0043】
上記のように調製した組換え体DNAの該微生物への導入は、これまでに報告されている形質転換法に従って行うことができる。そのような方法としては例えば、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M.and Higa,A.,J. Mol. Biol., 53, 159 (1970))や、増殖段階の細胞からコンピテントセルを調製してDNAを導入する方法(Duncan,C.H.,Wilson,G.A.and Young,F.E., Gene, 1, 153(1977))などがある。あるいは、DNA受容菌の細胞を、組換えDNAを容易に取り込むプロトプラストまたはスフェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec. Gen. Genet., 168, 111 (1979); Bibb, M.J., Ward,J.M.and Hopwood,O.A.,Nature, 274, 398 (1978); Hinnen, A., Hicks, J. B. and Fink, G. R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 1929 (1978))も応用できる。
【0044】
発現が増強されるL−バリン生合成に関与する酵素は、単独であっても、2種以上であってもよい。該酵素の発現を2種以上増強する場合は、上記した(II−a)および(II−b)の方法を組み合わせることもできる。
このような組換え株の例としては、ilvGおよびilvB遺伝子の発現が増強された組換え株を挙げることができる。
【0045】
(III)アミノアシルt-RNAシンテターゼに変異を有する変異株を取得する方法としては、例えば、イソロイシンtRNAシンテターゼをコードするileS 遺伝子に変異を有するエシェリヒア・コリVL1970株が存在する。エシェリヒア・コリVL1970株は、1988年6月24日、ルシアン・ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・マイクロオルガニズムズ(VKPM) (1 Dorozhny proezd., 1 Moscow 117545, Russia)に、受託番号VKPM B-4411として寄託されている。
【0046】
ここで、L−バリンを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物を造成するにおいては、上記した(I)〜(III)のいずれの方法で造成してもよく、2種以上の方法を組み合わせて造成してもよい。
6.ピルビン酸またはホスホエノールピルビン酸の代謝酵素活性が低下した微生物
本発明で用いる、L−バリンを生産する能力を有する微生物は、上記した方法で造成した上でさらに、親株が有する乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸・ギ酸リアーゼ、フマル酸レダクターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼおよびホスフォトランスアセチラーゼから選ばれる1以上の酵素、好ましくは、乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸・ギ酸リアーゼ、フマル酸レダクターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼおよびホスフォトランスアセチラーゼから選ばれる2以上の酵素、より好ましくは、乳酸デヒドロゲナーゼならびにピルビン酸・ギ酸リアーゼ、およびフマル酸レダクターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼおよびホスフォトランスアセチラーゼから選ばれる1以上の酵素の活性を親株より低下させた微生物、または該活性を喪失させた微生物であってもよい。
【0047】
例えば、エシェリヒア・コリの乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸・ギ酸リアーゼ、フマル酸レダクターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼおよびホスフォトランスアセチラーゼは、それぞれldhA、pflB、frdA、adhE、ackAおよびpta遺伝子によってコードされている。
上記において、酵素の活性を親株より低下させるとは、親株が該活性を有する場合に、1)該蛋白質の発現量を親株より減少させること、または2)該蛋白質の比活性を低下させることであり、酵素の活性を喪失させるとは、該活性を完全に喪失させることである。
該蛋白質の発現量を親株より減少させる方法としては、例えば、該蛋白質をコードする遺伝子のプロモーター領域やシャインダルガルノ(SD)配列等の発現調節配列を、上記(II−a)に記載した相同組換えを利用した方法により改変すること、などによって達成され、該蛋白質の比活性を親株より低下させる方法は、該蛋白質のコーディング領域に同様の手法により変異を導入することなどにより達成される。
【0048】
該蛋白質の活性を喪失させる方法としては、例えば、上記(II−a)に記載した相同組換えを利用した方法により、染色体上の該蛋白質をコードする遺伝子の前後の配列を含めて、該遺伝子全体を欠失させてもよい。また、該遺伝子のコード領域にアミノ酸置換(ミスセンス変異)を導入すること、また終始コドンを導入すること(ナンセンス変異)、あるいは1〜2塩基付加・欠失するフレームシフト変異を導入することによっても達成される(Journal of Biological Chemistry 272:8611-8617(1997) Proceedings of the National Academy of Sciences,USA 95 5511-5515(1998), Journal of Biological Chemistry 266, 20833-20839(1991))。
【0049】
親株と比較して該蛋白質の活性が低下、または喪失した微生物であることは、周知の該蛋白質の活性の測定法に基づき、活性を測定、比較することにより確認できる。
7.上記4の方法で得られるDNAをL−バリンを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物に導入する方法
上記4の方法で得られるDNAを、L−バリンを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物に導入する方法としては、上記(II−a)に記載した相同組換えを利用した方法により、上記5に記載の方法で造成した親株の染色体DNA上に、1以上の上記4の方法で得られるDNAを導入する方法、または、上記(II−b)に記載した方法により、上記4の方法で得られるDNAを含有する自律複製型の組換え体DNAで、上記5に記載の方法で造成した微生物を形質転換する方法が挙げられる。
8.本発明のL−バリンの製造法
上記5に記載した方法で造成される微生物を培地で培養して、L−バリンを該培地中に生成蓄積させ、培養物からL−バリンを採取することにより、L−バリンを製造することができる。
【0050】
通常、微生物の培養時は、通気、攪拌し酸素を供給する好気的条件で培養することが好ましい。一方、本発明の方法では、嫌気または微好気条件で培養を行う。
本発明において、嫌気または微好気条件とは、培地中のORPが−100mV以下、好ましくは−200mV以下の条件で培養することを意味する。嫌気または微好気条件は、例えば、培地への通気量や培養装置の攪拌数を低下させること、培養容器を密閉して無通気で培養すること、炭酸ガス等の不活性ガスを培地に通気すること等により、培地中の溶存酸素濃度を調整することによって達成される。
【0051】
ORPは発酵用ORP複合電極(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定することができる。
本発明においては、全培養期間を通じて嫌気又は微好気条件で培養してもよいが、培養期間を、微生物を増殖させる培養期と、L−バリンを生産させる培養期に分け、それぞれ異なる培地又は条件で培養を行ってもよい。例えば、通気および攪拌下で細菌を増殖させた後、嫌気または微好気条件下でL−バリンを生産させてもよい。
【0052】
また、微生物を培地で培養するに当たっては、寒天培地等の固体培地で斜面培養したものを直接液体培地に接種しても良いが、微生物を予め液体培地で培養(種培養又は前培養)したものを本培養用の培地(発酵培地)に接種するのが好ましい。種培養又は前培養では、通常、好気的条件で培養を行うことが好ましい。前培養は、複数回行ってもよい。
培養に用いる培地は、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の培地を用いることができる。合成培地又は天然培地のいずれも使用可能である。培地に使用される炭素源および窒素源は培養する菌株が利用可能であるものならばいずれの種類を用いてもよい。
【0053】
炭素源としては、グルコース、グリセロール、フラクトース、スクロース、マルトース、マンノース、ガラクトース、澱粉加水分解物、糖蜜等の糖類が使用でき、その他、酢酸、クエン酸等の有機酸、エタノール等のアルコール類も単独あるいは他の炭素源と併用して用いることができる。窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩又は硝酸塩等が使用することができる。有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、更にこれらのものを含有するペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆たん白分解物等が使用でき、生育にアミノ酸などを要求する栄養要求性変異株を使用する場合には要求される栄養素を補添することが好ましい。
【0054】
培養は、好ましくは、発酵温度20〜45℃、pHを3〜9に制御し、培養を行う。培養中にpHが下がる場合には、例えば、炭酸カルシウムを加えるか、アンモニアガス等のアルカリで中和する。このような条件下で、好ましくは10時間〜150時間程度培養することにより、培地中にL−バリンが蓄積される。
培養終了後の培養物からL−アミノ酸を採取する方法は、公知の回収方法に従って行えばよい。例えば、培養物から菌体を除去した後に濃縮晶析する方法あるいはイオン交換クロマトグラフィー等によって採取される。L−バリンが析出するような条件下で培養した場合、培養液中に析出したL−バリンは、遠心分離又は濾過等により採取することができる。この場合、培地中に溶解しているL−バリンを晶析した後に、併せて単離してもよい。
【0055】
以下に、本願発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0056】
L−バリンを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物の造成
(1)ilvG遺伝子発現の増強
L−バリンの生産性を向上させる目的で、大腸菌由来のilvG遺伝子の開始コドン上流に、trcプロモーターを挿入した株を、以下の方法で造成した。
配列番号28および29で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、常法により得られたエシェリヒア・コリK-12株を由来とするBW25113株のゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、ilvG遺伝子の開始コドン付近から、その上流約1100bpの領域を増幅した。
【0057】
次に、配列番号30および31で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、BW25113株のゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、ilvG遺伝子の終止コドン付近から、その下流約1120bpの領域を増幅した。
上記のPCRにより増幅された、ilvG遺伝子の上流約1100bpのDNA断片、ilvG遺伝子の下流約1120bpのDNA断片、およびクロラムフェニコール耐性遺伝子(cat)およびレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)を含有するDNA断片(以下、cat-sacB断片という。)を等モルの比率で混合したものを鋳型とし、配列番号28および31で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとし、PCRを行った。
【0058】
上記のDNA断片の増幅に用いられたプライマー配列のうち、配列番号29および30の5'末端は、cat-sacB断片のいずれかの末端に相補的な配列を有しており、得られる増幅産物がマーカー遺伝子であるcat遺伝子およびsacB遺伝子を挟み込んだ形で連結できるように設計されている。
反応液をアガロースゲル電気泳動に供して約4.8kbのDNA断片をWizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて分離し、cat-sacB断片が挿入されたilvB周辺領域を含むDNA断片を得た。
【0059】
次に、λリコンビナーゼをコードする遺伝子を含むプラスミドpKD46[Datsenko, K.A., Warner, B.L., Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America, Vol. 97. 6640-6645(2000)]を保持するエシェリヒア・コリ BW25113株に、上記で取得したcat-sacB断片の挿入されたilvG周辺領域を含むDNA断片をエレクトロポレーションにより導入した。
【0060】
得られた形質転換体を、25μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天プレートに塗布して培養し、クロラムフェニコール耐性コロニーを選択することで、ilvG遺伝子がcat遺伝子およびsacB遺伝子に置換された構造をもつ株を取得した。
次に、ilvG遺伝子の開始コドン上流にtrcプロモーターを挿入するため、配列番号32、33および34で表される塩基配列からなるDNAを、ilvG遺伝子のフレームシフトを解消するために、配列番号35、36および37で表される塩基配列からなるDNAを合成した。
【0061】
配列番号28及び32で表される塩基配列からなるDNA、配列番号35及び36で表される塩基配列からなるDNA、配列番号37及び31で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、BW25113株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅産物を取得した。また、配列番号33および34で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用い、pTrc99aを鋳型としてPCRを行い、trcプロモーターを含む増幅産物を取得した。Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製したそれぞれの増幅産物を等モルの比率で混合し、これを鋳型として配列番号28および31で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、増幅産物を取得した。
【0062】
反応液をアガロースゲル電気泳動に供して約 4.2 kbのDNA断片をWizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて分離し、trcプロモーターが挿入されたilvG遺伝子を含むDNA断片を得た。
次に、上記で得られたilvG遺伝子がcat遺伝子およびsacB遺伝子に置換された構造をもつ株に、trcプロモーターが挿入されたilvG遺伝子を含むDNA断片をエレクトロポレーションにより導入した。
【0063】
得られた形質転換体を、スクロースを含むLB寒天プレートに塗布して培養し、スクロース耐性コロニーを選択した。相同組換えを起こした株はcat-sacB断片を含まず、よってクロラムフェニコール感受性かつスクロース耐性を示すため、選択したコロニーをクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート、およびスクロースを含むLB寒天テンプレートにレプリカし、クロラムフェニコール感受性、かつスクロース耐性を示した株を選択した。
【0064】
選択した株について配列番号28及び31で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットに用いてコロニーが有するゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、ilvG遺伝子の開始コドン上流にtrcプロモーターが挿入されていることを確認した。
上記のようにしてilvG遺伝子の開始コドン上流にtrcプロモーターが挿入され、かつilvG遺伝子のフレームシフトが解消された、BG pKD46株を取得した。
(2)ilvB遺伝子発現の増強
L−バリンの生産性を向上させる目的で、BG pKD46株のilvB遺伝子の開始コドン上流にtrcプロモーターを挿入した株を、以下の方法で造成した。
【0065】
配列番号38ならびに39で表される塩基配列からなるDNA、および配列番号40ならびに41で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、BW25113株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、それぞれilvB遺伝子の開始コドン付近から、その上流約1050bpの領域、およびilvB遺伝子の終止コドン付近から、その下流約1050bpの領域を増幅した。
【0066】
上記のPCRにより増幅された2種類のDNA断片およびcat-sacB断片を等モルの比率で混合したものを鋳型とし、配列番号38および41で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、該反応液をアガロースゲル電気泳動に供して約4.8kbのDNA断片を分離し、cat-sacB断片が挿入されたilvG周辺領域を含むDNA断片を得た。
【0067】
次に、BG pKD46株に、cat-sacB断片の挿入されたilvB周辺領域を含むDNA断片をエレクトロポレーションにより導入し、得られた形質転換体を、実施例1の(1)に記載の方法により選択し、ilvB遺伝子がcat遺伝子およびsacB遺伝子に置換された構造をもつBG pKD46株を取得した。
次に、配列番号38および42で表される塩基配列からなるDNA、配列番号45及び41で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、BW25113株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅産物を取得した。また、配列番号43および44で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットとして用い、pTrc99aを鋳型としてPCRを行い、trcプロモーター領域を含む増幅産物を取得した。
精製したそれぞれの増幅産物を等モルの比率で混合し、これを鋳型として配列番号38および41で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、該反応液をアガロースゲル電気泳動に供して約 2.2 kbのDNA断片を分離し、ilvB遺伝子の開始コドンの上流にtrcプロモーターが挿入されたDNA断片を得た。
【0068】
次に、ilvB遺伝子がcat遺伝子およびsacB遺伝子に置換された構造をもつBG pKD46株に、ilvB遺伝子の開始コドンの上流にtrcプロモーターが挿入されたDNA断片をエレクトロポレーションにより導入した。得られた形質転換体を、実施例1の(1)に記載の方法により選択し、選択した株について配列番号38及び41で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてコロニーが有するゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、ilvB遺伝子の開始コドン上流にtrcプロモーターが挿入されていることを確認した。
【0069】
上記のようにして、ilvB遺伝子の開始コドン上流にtrcプロモーターが挿入された、OSK pKD46株を取得した。
(3)ピルビン酸またはホスホエノールピルビン酸の代謝酵素の欠損
上記したOSK pKD46株において、有機酸またはエタノールを生成する酵素を欠損させるため、以下の方法により、ldhA、pflB、frdA、adhE、ackA、またはpta遺伝子を欠損させた。
【0070】
ldhA遺伝子の欠損ついては、配列番号46ならびに47で表される塩基配列からなるDNA、および配列番号48ならびに49で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、BW25113株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、それぞれldhA遺伝子の開始コドン付近からその上流の領域、およびldhA遺伝子の終止コドン付近からその下流の領域を増幅した。
【0071】
上記のPCRにより増幅された2種類のDNA断片およびcat-sacB断片を等モルの比率で混合したものを鋳型とし、配列番号46および49で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、該反応液をアガロースゲル電気泳動に供してDNA断片を分離し、cat-sacB断片が挿入されたldhA周辺領域を含むDNA断片を得た。
次に、OSK pKD46株に、cat-sacB断片の挿入されたldhA周辺領域を含むDNA断片をエレクトロポレーションにより導入し、得られた形質転換体を、実施例1の(1)に記載の方法により選択し、ldhA遺伝子がcat遺伝子およびsacB遺伝子に置換された構造をもつOSK pKD46株を取得した。
【0072】
次に、配列番号46ならびに50で表される塩基配列からなるDNA、および配列番号51及び49で表される塩基配列からなるDNAをそれぞれプライマーセットとして用い、BW25113株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅産物を取得した。
精製したそれぞれの増幅産物を等モルの比率で混合し、これを鋳型として配列番号46および49で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、該反応液をアガロースゲル電気泳動に供してDNA断片を分離し、ldhA遺伝子が欠損したldhA周辺領域を含むDNA断片を得た。
【0073】
次に、ldhA遺伝子がcat遺伝子およびsacB遺伝子に置換された構造をもつOSK pKD46株に、ldhA遺伝子が欠損したldhA周辺領域を含むDNA断片をエレクトロポレーションにより導入した。得られた形質転換体を、実施例1の(1)に記載の方法により選択し、選択した株について配列番号46および49で表される塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてコロニーが有するゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、ldhA遺伝子が欠損していることを確認した。
【0074】
上記のようにして、ldhA遺伝子が欠損した、OSKΔldhA pKD46株を取得した。
pflB遺伝子の欠損については、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いた配列番号46〜51で表されるDNAを、配列番号52〜57で表されるDNAにそれぞれ代えて用いること以外は、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いたのと同じ方法を用いることで、pflB遺伝子が欠損したOSKΔpflB pKD46株を取得した。
【0075】
frdA遺伝子の欠損については、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いた配列番号46〜51で表されるDNAを、配列番号58〜63で表されるDNAにそれぞれ代えて用いること以外は、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いたのと同じ方法を用いることで、frdA遺伝子が欠損したOSKΔfrdA pKD46株を取得した。
adhE遺伝子の欠損については、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いた配列番号46〜51で表されるDNAを、配列番号64〜69で表されるDNAにそれぞれ代えて用いること以外は、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いたのと同じ方法を用いることで、adhE遺伝子が欠損したOSKΔadhE pKD46株を取得した。
【0076】
ackA遺伝子およびpta遺伝子の欠損については、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いた配列番号46〜51で表されるDNAを、配列番号70〜75で表されるDNAにそれぞれ代えて用いること以外は、上記ldhA遺伝子を欠損する際に用いたのと同じ方法を用いることで、ackA遺伝子およびpta遺伝子が欠損したOSKΔackA-pta pKD46株を取得した。
次に、OSKΔldhA pKD46株からpflB、adhE、frdA、またはackAならびにpta遺伝子を欠損させた株を作製した。それぞれの遺伝子の欠損は、OSK pKD46株に対する方法と同様に行った。取得した菌株は、それぞれOSKΔldhAΔpflB pKD46株、OSKΔldhAΔfrdA pKD46株、OSKΔldhAΔadhE pKD46株、およびOSKΔldhAΔpta-ack pKD46株と命名した。
【0077】
また、OSKΔldhAΔpflB pKD46株からfrdAまたはadhE遺伝子を欠損させた株を作製した。それぞれの遺伝子の欠損は、OSK pKD46株に対する方法と同様に行った。取得した菌株は、それぞれOSKΔldhAΔpflBΔfrdA pKD46株、およびOSKΔldhAΔpflBΔadhE pKD46株と命名した。
また、OSKΔldhAΔfrdA pKD46株からadhE遺伝子を欠損させた株を作製した。該遺伝子の欠損はOSK pKD46株に対する方法と同様に行った。取得した菌株は、OSKΔldhAΔfrdAΔadhE pKD46株と命名した。
【0078】
また、OSKΔldhAΔpflBΔfrdA pKD46株、OSKΔldhAΔpflBΔadhE pKD46株、およびOSKΔldhAΔfrdAΔadhE pKD46株からackAおよびpta遺伝子を欠損させた株を作製した。該遺伝子の欠損は、OSK pKD46株に対する方法と同様に行った。取得した菌株は、それぞれOSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔackA-pta pKD46株、OSKΔldhAΔpflBΔadhEΔackA-pta pKD46株、およびOSKΔldhAΔfrdAΔadhEΔackA-pta pKD46株と命名した。
【0079】
また、OSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔadhE pKD46株からadhE遺伝子を欠損させた株を作製した。該遺伝子の欠損は、OSK pKD46株に対する方法と同様に行った。取得した菌株は、OSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔadhEΔackA-pta pKD46株と命名した。
pKD46プラスミドは温度感受性の複製起点を有するために、42℃で生育させることにより、プラスミドを容易に脱落させることができる。OSK pKD46株を42℃で培養し、アンピシリン感受性を示す株、すなわちpKD46が脱落したOSK株を取得した。
【0080】
同様の方法により、上記で造成したOSK pKD46以外の株においてもpKD46を脱落させ、それぞれOSKΔldhA株、OSKΔpflB株、OSKΔfrdA株、OSKΔadhE、OSKΔackA-pta株、OSKΔldhAΔpflB株、OSKΔldhAΔfrdA株、OSKΔldhAΔadhE株OSK、OSKΔldhAΔpta-ack株、OSKΔldhAΔpflBΔfrdA株、OSKΔldhAΔpflBΔadhE株、OSKΔldhAΔfrdAΔadhE株、OSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔackA-pta株、OSKΔldhAΔpflBΔadhEΔackA-pta株、OSKΔldhAΔfrdAΔadhEΔackA-pta株、およびOSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔadhEΔackA-pta株を取得した。
【実施例2】
【0081】
NVDH活性を有する蛋白質をコードするDNAの導入
(1)枯草菌のbcd遺伝子発現プラスミドの造成
以下の方法で、NVDH活性を有する蛋白質をコードするbcd遺伝子の発現プラスミドを造成した。
バチルス・サブチリス168株の染色体DNAを鋳型として、配列番号76および77で表わされる塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、bcd遺伝子断片を増幅した。得られた遺伝子断片及びpTrc99a(Pharmacia社製)をEcoRI及びBamHIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて、制限酵素消化DNA断片をそれぞれ回収した。
【0082】
上記で得られたbcd遺伝子断片、及びpTrc99aの制限酵素消化断片をライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。
得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株(タカラバイオ製)を形質転換し、アンピシリン耐性を指標に形質転換体を選択した。
選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出した。制限酵素を用いてその構造を解析することにより、bcd遺伝子が連結された発現ベクターが取得されていることを確認し、pTrc99a-BsLeuDHと名付けた。
(2)サーモアクチノマイセス・インターメディウスのleudh遺伝子発現プラスミドの造成
以下の方法で、NVDH活性を有する蛋白質をコードするleudh遺伝子の発現プラスミドを造成した。
サーモアクチノマイセス・インターメディウスの染色体DNAを鋳型として、配列番号78および79で表わされる塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、leudh遺伝子断片を増幅した。得られた遺伝子断片及びpTrc99a(Pharmacia社製)をEcoRI及びBamHIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて、制限酵素消化DNA断片をそれぞれ回収した。
【0083】
上記で得られたleudh遺伝子断片、及びpTrc99aの制限酵素消化断片をライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。
得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株(タカラバイオ製)を形質転換し、アンピシリン耐性を指標に形質転換体を選択した。
選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出した。制限酵素を用いてその構造を解析することにより、leudh遺伝子が連結された発現ベクターが取得されていることを確認し、pTrc99a-TiLeuDHと名付けた。
(3)サーモアクチノマイセス・インターメディウスのpdh遺伝子発現プラスミドの造成
以下の方法で、NVDH活性を有する蛋白質をコードするpdh遺伝子の発現プラスミドを造成した。
サーモアクチノマイセス・インターメディウスの染色体DNAを鋳型として、配列番号80および81で表わされる塩基配列からなるDNAをプライマーセットに用いてPCRを行い、pdh遺伝子断片を増幅した。得られた遺伝子断片及びpTrc99a(Pharmacia社製)をNcoI及びKpnIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて、制限酵素消化DNA断片をそれぞれ回収した。
【0084】
上記で得られたpdh遺伝子断片、及びpTrc99aの制限酵素消化断片をライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。
得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株(タカラバイオ製)を形質転換し、アンピシリン耐性を指標に形質転換体を選択した。
選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出した。制限酵素を用いてその構造を解析することにより、pdh遺伝子が連結された発現ベクターが取得されていることを確認し、pTrc99a-TiPheDHと名付けた。
(4)L−バリン生産菌へのNVDH活性を有する蛋白質をコードする組換え体DNAの導入
pTrc99a-BsLeuDHでOSK株を形質転換し、OSK BsleuDH株を取得した。
【0085】
同様に、pTrc99a-BsLeuDHで実施例1の(3)で造成した菌株を形質転換し、OSKΔldhA BsLeuDH株、OSKΔpflB BsLeuDH株、OSKΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔadhE BsLeuDH株、OSKΔackA-pta BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株、OSKΔldhAΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔldhAΔadhE BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpta-ack BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔadhE BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔackA-pta BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔadhEΔackA-pta BsLeuDH株、OSKΔldhAΔfrdAΔadhEΔackA-pta BsLeuDH株、およびOSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔadhEΔackA-pta BsLeuDH株を取得した。
【0086】
また、pTrc99a-TiLeuDH でOSKΔldhAΔpflB株を形質転換し、OSKΔldhAΔpflB TiLeuDH株を取得した。
また、pTrc99a-TiPheDH でOSKΔldhAΔpflB株を形質転換し、OSKΔldhAΔpflB TiPheDH株を取得した。
尚、pTrc99a-BsLeuDH 、pTrc99a-TiLeuDH、或いはpTrc99a-TiPheDHは、それぞれの挿入遺伝子がtrcプロモーター下で発現するように設計されており、IPTG等により該遺伝子の発現を誘導することができる。
【実施例3】
【0087】
L−バリンの生産
(1)L−バリン生産に対する微好気条件の効果
OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株を、アンピシリン(100mg/L)を含有するLBプレート培地に植菌して、30℃で一晩培養した。プレート1/2枚分の菌体を、2 L容三角フラスコ中300 mlの種培地(20g/L グルコース、10g/L ハイニュートAM、10g/L 酵母エキス、2.5g/L 塩化ナトリウム、10 g/L 炭酸カルシウム、pH 7.4に水酸化ナトリウムで調整し、オートクレーブを用いて122℃20分で殺菌後、アンピシリンを終濃度100 mg/Lとなるように別添加)に植菌し、30℃にて攪拌速度220rpmで好気的に24時間培養した。上記の培養液100 mlを、3 L容ジャーファーメンター中900 mlのL−バリン生産培地(4g/L KH2PO4、5.7g/L K2HPO4、4g/L (NH42HPO4、0.017g/L CaCl2・2H2O、0.134g/L 無水ベタイン、0.0058g/L チアミン塩酸塩、0.0002g/L CoCl2・6H2O、0.0001g/L CuCl2・6H2O、0.0002g/L ZnCl2、0.0002g/L Na2MoO4・2H2O、0.0001g/L H3BO3、5g/L 酵母エキス、40g/L グルコース、0.25g/L MgSO4・7H2O、オートクレーブを用いて122℃20分で殺菌後、アンピシリンを終濃度100 mg/Lとなるように別添加、更にIPTGを終濃度1 mMとなるように別添加)に植菌し、36℃、通気量(空気流速)0.5vvm制御下にてORP制御を利用して、グルコースを完全に消費するまで培養した。この間、18%濃度のアンモニア水溶液を使用して、ジャーファーメンター槽内のpHを7.0に常時維持した。ORPは、撹拌数を最大1200 rpm、最小を50 rpmとして設定値を維持するように制御した。培地中に含まれるL−バリンは島津製作所製のHPLCを用いて分析した。グルコースはグルコアナライザーGA05(アットウィル製)を利用して測定した。
【0088】
その結果、設定ORPを低下させること、具体的には-100mV以下、更には-200mVとすることで、培養液中のL−バリンの濃度の向上が見られた(表1)。
【0089】
【表1】

【0090】
また、OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株を、アンピシリン(100 mg/L)を含有するLBプレート培地に植菌して、30℃で一晩培養した。プレート1/2枚分の菌体を、2 L容三角フラスコ中300 mlの上記と同じ種培地に植菌し、30℃にて攪拌速度220rpmで好気的に24時間培養した。上記の培養液100 mlを、2 L容ジャーファーメンター中900 mlの上記と同じL−バリン生産培地に植菌し、36℃、通気量(空気流速)0.5vvm制御下にて様々な撹拌数に設定し、グルコースを完全に消費するまで培養した。この間、18%濃度のアンモニア水溶液を使用して、ジャーファーメンター槽内のpHを7.0に常時維持した。培地中に含まれるL−バリンは島津製作所製のHPLCを用いて分析した。又、グルコースはグルコアナライザーGA05(アットウィル製)を利用して測定した。
【0091】
その結果、設定撹拌数を低下させること、具体的には100 rpm以下、更には50 rpmとすることで、培養液中のL−バリンの濃度の向上が見られた(表2)。
【0092】
【表2】

【0093】
これらのことから、微好気条件下でOSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株のL−バリン生産能が向上することが確認された。
また、以降の実施例における評価では、上記の培地及び培養工程(2 L容ジャーファーメンターを使用)の下、撹拌数50 rpmで行った。
(2)leudh遺伝子またはpdh遺伝子の発現が微好気条件下のL−バリン生産に及ぼす効果
pTrc99aでOSK株およびOSKΔldhAΔpflB株を形質転換し、それぞれOSK pTrc99a株およびOSKΔldhAΔpflB pTrc99a株を取得した。
【0094】
また、OSK pTrc99a株、OSK BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflB pTrc99a株、OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflB TiLeuDH株、およびOSKΔldhAΔpflB TiPheDH株を、実施例3の(1)に記した方法で培養し、L−バリン生産を評価した。
その結果、微好気条件下においてleudh遺伝子またはpdh遺伝子を発現させた株は、該遺伝子を発現させていない対照株と比べ、培養液中のL−バリンの濃度の向上が見られた(表3)。
【0095】
【表3】

【0096】
(3)ldhA、pflB、frdA、adhE、ackA、pta遺伝子の欠損が微好気条件下におけるL−バリン生産に及ぼす効果
<3−1>1遺伝子欠損の効果
ldhA、pflB、frdA、adhE、ackA-pta遺伝子のうち、1遺伝子(但しarkA-ptaは2遺伝子)の欠損がL−バリン生産に及ぼす効果を検証した。
【0097】
OSK BsLeuDH株、OSKΔldhA BsLeuDH株、OSKΔpflB BsLeuDH株、OSKΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔadhE BsLeuDH株、およびOSKΔackA-pta BsLeuDH株を実施例3の(1)に記した方法で培養し、L−バリン生産を評価した。
その結果、微好気条件下においてldhA、pflBまたはackA-pta遺伝子を欠損させた株は、該遺伝子を欠損させていない対照株(OSK BsLeuDH株)と比べ、培養液中のL−バリンの濃度の向上が見られた(表4)。
【0098】
【表4】

【0099】
<3−2>2遺伝子欠損の効果
OSKΔldhA BsLeuDH株、OSKΔpflB BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株、OSKΔldhAΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔldhAΔadhE BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpta-ack BsLeuDH株を実施例3の(1)に記した方法で培養し、L−バリン生産を評価した。
その結果、微好気条件下でldhAおよびpflB遺伝子、ldhAおよびfrdA遺伝子、またはldhA及びackA-pta遺伝子を欠損させた株は、1遺伝子のみを欠損させた対照株(OSKΔldhA BsLeuDH株、OSKΔpflB BsLeuDH株)と比べ、培養液中のL−バリンの濃度の向上が見られた。
【0100】
【表5】

【0101】
【表6】

【0102】
<3−3>多重遺伝子欠損の効果
OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株、OSKΔldhAΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔfrdA BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔadhE BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔackA-pta BsLeuDH株、OSKΔldhAΔpflBΔadhEΔackA-pta BsLeuDH株、OSKΔldhAΔfrdAΔadhEΔackA-pta BsLeuDH株、およびOSKΔldhAΔpflBΔfrdAΔadhEΔackA-pta BsLeuDH株を実施例3の(1)に記した方法で培養し、L−バリン生産を評価した。
【0103】
その結果、微好気条件下で、表7および8で示したように、多重遺伝子欠損株において、対照株(OSKΔldhAΔpflB BsLeuDH株)と比べ、培養液中のL−バリンの濃度の向上が見られた。
【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【配列表フリーテキスト】
【0106】
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−人工配列の説明:合成DNA
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
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配列番号58−人工配列の説明:合成DNA
配列番号59−人工配列の説明:合成DNA
配列番号60−人工配列の説明:合成DNA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NADHを補酵素として利用し、2−オキソイソ吉草酸にアミノ基を転移してL−バリンを生成する活性(以下、NVDH活性という。)が親株より高く、かつL−バリンを生産する能力を有する微生物を、嫌気または微好気条件で培地に培養し、L−バリンを該培地中に生成、蓄積させ、培養物中からL−バリンを採取することを特徴とする、L−バリンの製造法。
【請求項2】
微生物が、下記の[1]〜[6]のいずれかに記載のDNAで親株を形質転換して得られる微生物である、請求項1記載の製造法。
[1]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
[3]配列番号2、4および6のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
[4]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列からなるDNA
[5]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
[6]配列番号1、3および5のいずれかで表される塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつNVDH活性を有する蛋白質をコードするDNA
【請求項3】
微生物が、親株が有する乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸・ギ酸リアーゼ、フマル酸レダクターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酢酸キナーゼおよびホスフォトランスアセチラーゼからなる群より選ばれる1以上の酵素の活性を親株より低下させた微生物または該活性を喪失させた微生物である、請求項1または2記載の製造法。
【請求項4】
微生物が、L−バリンの生合成に関与する1つ以上の酵素の活性が増強された微生物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項5】
微生物が、エシェリヒア属に属する微生物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項6】
嫌気または微好気条件が、培地中の酸化還元電位が−100mV以下の条件である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造法。

【公開番号】特開2013−63030(P2013−63030A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202859(P2011−202859)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(308032666)協和発酵バイオ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】