説明

アミノ酸鎮痙薬の新規用途

【課題】疼痛、特に神経因性疼痛、双極性障害及び片頭痛を治療するための新規化合物の提供。
【解決手段】式Iで表される化合物を使用する。


(式I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極性障害、及び片頭痛のような頭痛、及び疼痛、特に神経因性疼痛を治療するためのペプチドクラスの化合物の新規用途に関する。
【背景技術】
【0002】
双極性障害、及び片頭痛のような頭痛、及び神経因性疼痛を含む疼痛は、その症状が多岐にわたる多様な疾患である。
【0003】
片頭痛は、頭の疼痛(通常は片側性)、悪心、及び嘔吐、羞明、フェノフォビア、眩暈及び全身性の脱力感を特徴とする周期的に起こる血管性頭痛と定義される。片頭痛は、最も普通のタイプの血管性頭痛であり、世界の人口の15%程度が罹患している。異なるタイプの片頭痛の中では、古典的片頭痛及び普通型片頭痛の2つが最も一般的である。この2つのタイプの大きく異なる点は、古典的片頭痛の場合は発作前に神経症状の出現があるのに対して、普通型片頭痛の場合はそのような症状は前兆として出現しない。片頭痛は間欠性の脳の機能不全によって引き起こされるが、その正確な病態生理学的なメカニズムは解明されていない。頭痛は、血管の拡張と、脳の鎮痛化学物質の減少と関係があると考えられる。
【0004】
一方、神経因性疼痛は、中枢神経系の損傷又は持続性変化と関連がある疼痛であると説明できる。神経因性疼痛の臨床症状としては、灼熱感又は電撃感、身体歪み感、異痛及び痛覚過敏が挙げられる。
【0005】
神経因性疼痛は、神経に対する損傷から生じる。組織の損傷によって引き起こされる即時型の疼痛とは対照的に、神経因性疼痛は、外傷性損傷の数日又は数ヶ月後に発症することがある。更に、組織損傷によって引き起こされる疼痛は、通常は、組織が修復されるまでの期間に限定されるが、神経因性疼痛は、しばしば、長期に継続するか、又は慢性となる。
【0006】
更に、神経因性疼痛は、自発的に起こり得るか、又は通常は無痛性刺激の結果として起こり得る。
【0007】
神経因性疼痛の臨床上の原因は広範囲であり、外傷又は疾病の両方を含む。例えば、脳及び脊髄に対する外傷性の神経圧迫、又は破壊、及び外傷性損傷は、神経因性疼痛の一般的な原因である。更に、殆どの外傷性神経損傷も、神経腫の形成を引き起こすので、異所性神経再生の結果として疼痛が起こる。更に、癌と関連のある神経因性疼痛は、腫瘍の成長が隣接神経、脳又は脊髄を痛みを伴って圧迫するときに起こる。神経因性疼痛は、糖尿病又はアルコール中毒のような疾病と関連がある。
【0008】
双極性障害は神経精神医学的な障害である。双極性情動障害(BAD)又は躁鬱病としても知られており、高揚した気分(躁病)及び鬱病の発症を特徴とする。BADの最も重症で臨床的に特有な形態は、米国で二百万人から三百万人が罹患しているBP−I(重度の双極性情動(気分)障害)と、SAD−M(分裂情動障害の躁病型)である。それらの特徴は、(睡眠、食事及び性生活のような周期的な活動における関連障害を有する低調な気分又は抑鬱によって規定される)主要な鬱病の発症を有する又は有しない、少なくとも1つの完全な躁病発症がある点である。
【0009】
治療法は様々である。しばしば、鎮痛薬を用いて、頻度の少ない穏やかな片頭痛を治療する。鎮痛薬は、片頭痛の疼痛を軽減させ、アスピリンの場合は、血小板の凝集も防止する。しかしながら、中等度から重度の片頭痛の場合には、より強い薬物、例えば、エルゴタミン、又はスマトリプタンのような5−H−Tアゴニストが必要である。
【0010】
一方、神経因性疼痛に関しては、モルフィンのようなオピオイド化合物(鎮痛剤)を用いて疾患を治療することができる。前記薬物は鎮痛薬として有効であるが、神経因性疼痛を治療するのに常に有効ではなく、患者に耐性が誘発されることがある。オピオイド麻薬に対して耐性があるとき、満足の行く鎮痛効果を得るのに用量を増加させる必要がある。高用量では、これらの化合物には、生命を脅かし得る呼吸抑制のような副作用がある。更に、オピオイドは、しばしば、患者に身体依存を形成させる。そのような身体依存は、投与されるオピオイドの用量と、被験者に投与される期間と関連がある可能性がある。
【0011】
しかし、神経因性疼痛及び双極性障害は、しばしば、利用可能な薬物療法に対して抵抗性である。更に、現在の療法には、例えば認知的変化、鎮静、悪心、及び、麻薬の場合には、中毒を含む重大な副作用がある。神経因性疼痛に悩まされている多くの患者は、高齢であるか、又は利用可能な薬物療法と関連のある副作用に関する患者の抵抗性を特に制限する他の医学的状態を有する。
【0012】
耐えられない副作用を生じさせることなく神経因性疼痛及び双極性障害を軽減することにおいて現在の治療法が不適当であることは、しばしば慢性痛患者が抑鬱及び自殺の傾向を示すことに表れている。更に、現在の薬物は、中等度から重度の片頭痛を有する患者から疼痛を完全に取り除くには効果的ではない。
【0013】
米国特許第5,885,999号は、様々な疾患、例えば疼痛、及び片頭痛を含む頭痛を治療するのに有用な化合物を開示している。これらの化合物は、下式:
【化1】

(式中、mは0、1又は2であり;nは0又は1であり、ただし、m+nの合計は1又は2であり;
はフェニル;ナフチル;ベンゾヒドリル;又はベンジルであり、その場合、ナフチル基又は任意のフェニル部分は置換することができ;
は水素;フェニル;インダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、チアゾリル、テトラゾリル及びキノリニルから選択されるヘテロアリール;ナフチル;ベンゾヒドリル;又はベンジルであり;その場合、各ヘテロアリール、ナフチル基及び任意のフェニル部分は置換でき;
及びRは、それぞれ独立に水素又はC1〜6アルキルであるか、又はR及びRは一緒に結合してC1〜3アルキレン鎖を形成し;
QはCR又はNRであり;
X及びYは、それぞれ独立に水素であるか、又は一緒に基=Oを形成し;及び Zは結合O、S、SO、SO、NR又は−(CR)−mであり、前記式中R及びRは、それぞれ独立に水素又はC1〜6アルキルである)で表されるセリン誘導体、又はそれらの医薬上許容可能な塩である。
【0014】
上記化合物は、炎症、嘔吐及び治療後神経痛の治療及び防止においても有用であると言われている。
【0015】
Tsaiらに与えられた米国特許第6,228,825号では、他のアミノ酸及びそれらの誘導体が、神経精神医学的障害、例えば統合失調症、アルツハイマー病、鬱病、自閉症、非開放性頭部損傷、良性の健忘症、児童学習障害、及び注意欠陥障害を治療するのに有用であると記載されている。これらの薬物としては、(i)D−アラニン、又はその改質形態、ただし、組成物は実質的にD−シクロセリンを含んでいない、及び/又は(ii)セリン(又はその改質形態)、及び/又は(iii)D−シクロセリン(又はその改質形態)を105から500mg;及び/又は(iv)N−メチルグリシン(又はその改質形態)を含む。
【0016】
D−シクロセリン、D−セリンエステル、D−セリン又はその塩が、脊髄小脳変性症を治療するのに有用であることが開示された。EP出願第1,084,704号を参照されたい。
【0017】
疼痛及び神経症の治療にペプチドも有用であると言われてきた。より詳しくは、EPO出願第997,147号において、下式:
【化2】

{式中、R
1)C1〜15アルキル、
2)C1〜8アルコキシ、
3)フェニル、
4)C3〜8シクロアルキル、
5)複素環、
6)フェニル、C3〜8シクロアルキル、若しくは複素環で置換されたC1〜4アルキル、
7)フェニル、C3〜8シクロアルキル、若しくは複素環で置換されたC1〜4アルコキシ、又は
8)フェニル、C3〜8シクロアルキル、若しくは複素環で置換されたC2〜4アルケニル
[ただし、R基におけるすべてのフェニル、C3〜8シクロアルキル及び複素環は、以下の(i)〜(xi):すなわち、
(i)C1〜4アルキル、
(ii)C1〜4アルコキシ、
(iii)フェニル、
(iv)フェノキシ、
(v)ベンジルオキシ、
(vi)−SR(式中、Rは水素又はC1〜4アルキルである)
(vii)C2〜5アシル、
(viii)ハロゲン、
(ix)C1〜4アルコキシカルボニル、
(x)ニトロ、
(xi)−NR(式中、及びR及びRは、それぞれ独立に、水素、C1〜4アルキル若しくはC1〜4アルコキシカルボニルであるか、又はR及びRは、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、別のもう1個の窒素原子又は1個の酸素原子を含む5〜7員環飽和複素環を形成してもよい)
から選択される1〜3個の置換基で置換してもよい]であり;
Aは結合、−CO−又は−SO−であり;
は水素又は1つのフェニルによって任意に置換されたC1〜4アルキルであり;
DはC1〜4アルキレン又はC2〜4アルケニレンであり;
Eは
1)−COO−、
2)−OCO−、
3)−CONR(式中、Rは水素又はC1〜4アルキルである)
4)−NRCO−(式中、Rは水素又はC1〜4アルキルである)
5)−O−、
6)−S−、
7)−SO−、
8)−SO−、
9)−NR10−(式中、R10は水素又はC1〜4アルキルである)
10)−CO−、
11)−SONR11−(式中、R11は水素又はC1〜4アルキルである)又は
12)−NR12SO−(式中、R12は水素又はC1〜4アルキルである)であり;

1)炭素環、
2)複素環、又は
3)炭素環若しくは複素環で置換されたC1〜4アルキル
[ただし、Rにおけるすべての炭素環及び複素環は、以下の(i)〜(xi):すなわち、
(i)C1〜4アルキル、
(ii)C1〜4アルコキシ、
(iii)フェニル、
(iv)フェノキシ、
(v)ベンジルオキシ、
(vi)−SR13(式中、R13は水素又はC1〜4アルキルである)
(vii)C2〜5アシル、
(viii)ハロゲン、
(ix)C1〜4アルコキシカルボニル、
(x)ニトロ、
(xi)−NR1415(式中、及びR14及びR15は、それぞれ独立に、水素、C1〜4アルキル若しくはC1〜4アルコキシカルボニルであるか、又はR14及びR15は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、別のもう1個の窒素原子又は1個の酸素原子を含む5〜7員環飽和複素環を形成してもよい)
から選択される1〜3個の置換基で置換してもよい]であり;
Jは−O−又は−NR16−(式中、R16は水素又はC1〜4アルキルである)であり;

1)C1〜8アルキル、
2)炭素環、
3)複素環、
4)以下の(i)〜(v);すなわち、
(i)炭素環、
(ii)複素環、
(iii)COOR17[式中、R17は、水素であるか、又は1個のフェニル(フェニルはC1〜4アルコキシで置換してもよい)で置換されたC1〜4アルキルである]
(iv)SR18(式中、R18は水素又はC1〜4アルキルである)
(v)OR19(式中、R19は水素又はC1〜4アルキルである)から選択される1〜3個の置換基で置換されたC1〜8アルキルであり、又は
Jが−NR16−基であるとき、R及びR16は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって複素環を形成してもよい[ただし、すべての炭素環及び複素環、及び結合されている窒素原子と一緒にR及びR16によって表される複素環は、以下の(i)〜(xi);すなわち、
(i)C1〜4アルキル、
(ii)C1〜4アルコキシ、
(iii)フェニル、
(iv)フェノキシ、
(v)ベンジルオキシ、
(vi)−SR20(式中、R20は水素又はC1〜4アルキルである)
(vii)C2〜5アシル、
(viii)ハロゲン、
(ix)C1〜4アルコキシカルボニル、
(x)ニトロ、
(xi)−NR2122(式中、及びR21及びR22は、それぞれ独立に、水素、C1〜4アルキル若しくはC1〜4アルコキシカルボニルであるか、又はR21及びR22は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、別のもう1個の窒素原子又は1個の酸素原子を含む5〜7員環飽和複素環を形成してもよい)
から選択される1〜3個の置換基で置換してもよい]}で表される化合物、それらの非毒性塩、又はそれらの水和物が開示されている。
【0018】
他のペプチドは、中枢神経系(CNS)活性を示すことが知られていて、癲癇及び他のCNS障害の治療に有用である。Kohnらに与えられた米国特許第5,378,729号で開示されているこれらのペプチドは、下式:
【化3】

(式中、
Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、Rは非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換される;
は水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式低級アルキル、複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ非置換か又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
ZはO、S、S(O)、NR、PR又は化学結合であり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロ、複素環式、複素環式低級アルキルであり、及びYは非置換でもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、ただし、Yがハロであるときは、Zは化学結合であり、又は
ZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR若しくはPRSR、NRPR若しくはPRNR
【化4】

であり;
、R及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、若しくは低級アルキニルであって、その場合、R、R及びRは、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
はR又はCOOR又はCORであり;
は水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、アリール基又はアルキル基は、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
nは1〜4であり;及び
aは1〜3である)を有する。
【0019】
その内容が引例として取り入れられている米国特許第5,773,475号でも、CNS障害を治療するのに有用な更なる化合物が開示されている。それらの化合物は、下式:
【化5】

(式中、
Arは、非置換であるか、又はハロで置換されるアリールであり;
Qは低級アルコキシであり;及び
はCHである)を有するN−ベンジル−2−アミノ−3−メトキシ−プロピオンアミドである。
【0020】
米国特許第6,133,261号においてHarrisは、下式:
R−NH−[−C(=Q)−C(R)(R)−NH−]−C(=A)R
{式中、Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール(低級アルキル)、複素環式、複素環式(低級アルキル)、(低級アルキル)複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル(低級アルキル)であって、及びRは、非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;
は水素、又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール(低級アルキル)、アリール、複素環式、(低級アルキル)複素環式、複素環式(低級アルキル)、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル(低級アルキル)であって、そのそれぞれは、非置換であるか、又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール(低級アルキル)、アリール、複素環式、複素環式(低級アルキル)、(低級アルキル)複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル(低級アルキル)、SO、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
ZはO、S、S(O)、NR、PR又は化学結合であり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロ、複素環式、複素環式(低級アルキル)、(低級アルキル)複素環式、シクロアルキル、シクロアルキル(低級アルキル)であって、且つYは非置換であってもよいか、又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、ただし、Yがハロであるときは、Zは化学結合であり;
又はZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR、PRSR、NRPR、PRNR、NRC(O)R、SC(O)R、NRCO、SCO、NRC(O)R、NRC(O)NRS(O)、NRC(S)R、NRC(=Q)MNRC(=A)OR、又はC(S)NHとなり;
、R及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール(低級アルキル)、低級アルケニル、若しくは低級アルキニルであって、その場合、R、R及びRは、非置換であってもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
はR、COOR、又はC(O)Rであり;
は水素又は低級アルキル、又はアリール(低級アルキル)であって、アリール基又はアルキル基は、非置換であってもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
A及びQは、独立にO又はSであり; Mは、6個以下の炭素原子を含むアルキレン鎖であるか又は化学結合であり; nは1〜4であり;及び
aは1〜3である}で表される化合物、又はその医薬上許容可能な塩の有効量をヒトに投与することによって、ヒトの脳卒中を治療又は防止する方法を述べている。
【0021】
本発明者は、米国特許第5,378,729号及び第5,773,475号で開示されているこれらのペプチドが、神経因性疼痛を含む疼痛、及び片頭痛を含む頭痛、及び双極性障害の治療に有用であることを見出した。更に、これらの化合物には習慣性が無く、上記した市販の薬物のような副作用を示さない。
【0022】
(発明の概要)
而して、本発明は、双極性疾患に罹患している患者を治療する方法に関するものであり、該方法は、下式I:
【化6】

(式中、
Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、Rは非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;
は水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式低級アルキル、複素環式、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ非置換であるか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、ハロ、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
ZはO、S、S(O)、NR、又はPRであり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロ、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、及びYは非置換であってもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、又は
ZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR若しくはPRSR、NRPR若しくはPRNR
【化7】

を形成し;
、R及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、若しくは低級アルキニルであって、その場合、R、R及びRは、非置換であってもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
は独立にR又はCOOR又はCORであり;
は水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、アリール基又はアルキル基は、非置換であってもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
nは1〜4であり;及び
aは1〜3である)を有する化合物の、双極性疾患治療に有効な量を患者に投与する工程を含む。
【0023】
また、本発明は、疼痛を緩和するのに有効な量の該化合物を患者に投与して、疼痛を治療する工程を含む、疼痛に悩まされている患者の疼痛を治療する方法にも関する。
【0024】
別の面では、本発明は、頭痛を緩和するのに有効な量の該化合物を患者に投与する工程を含む、片頭痛を含む頭痛に悩まされている患者の頭痛を治療する方法に関する。
【0025】
(発明の詳細な説明)
上記のように、式Iの化合物は、神経因性疼痛を含む疼痛、及び片頭痛を含む頭痛、及び双極性障害を治療するのに有用である。これらの化合物は、その内容が引例として取り入れられている米国特許第5,378,729号に記載されている。
【0026】
本明細書で規定しているように、単独で又は他の基と組合せて用いるとき、「アルキル」基とは、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキルであって、直鎖又は枝分れ鎖であってもよい。これらの基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミル、及びヘキシルなどが挙げられる。
【0027】
「アリール低級アルキル」基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、フェンプロピル、フェンイソプロピル、フェンブチル、ジフェニルメチル、1,1−ジフェニルエチル、及び1,2−ジフェニルエチルなどが挙げられる。
【0028】
「アリール」という用語は、単独又は組合せて用いるとき、6〜18個の環炭素原子、及び総量で25個以下の炭素原子を含む芳香族基を意味していて、例としては多核性芳香族が挙げられる。これらのアリール基は、単環式、二環式、三環式又は多環式であってもよく、縮合環である。多核性芳香族は、本明細書で用いる場合、10〜18個の環炭素原子及び総量で25個以下の炭素原子を含む二環式及び三環式の縮合芳香族環系を含むことが意図される。アリール基としては、フェニル、及び多核性芳香族、例えばナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、及びアズレニルなどが挙げられる。アリール基としてはフェロシエニルのような基も挙げられる。
【0029】
「低級アルケニル」は、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を含むアルケニル基である。これらの基は、直鎖又は枝分れ鎖であってもよく、Z又はEの形態であってもよい。そのような基としては、ビニル、プロペニル、1−ブテニル、イソブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、(Z)−2−ペンテニル、(E)−2−ペンテニル、(Z)−4−メチル−2−ペンテニル、(E)−4−メチル−2−ペンテニル、ペンタジエニル、例えば1,3−又は2,4−ペンタジエニルなどが挙げられる。
【0030】
「低級アルキニル」という用語は、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基であって、直鎖であっても枝分れ鎖であってもよい。そのような基としては、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどの基が挙げられる。
【0031】
「低級シクロアルキル」という用語は、単独又は組合せて用いるとき、3〜18個の環炭素原子、及び総量で25個以下の炭素原子を含むシクロアルキル基である。シクロアルキル基は、単環式、二環式、三環式、又は多環式であってもよく、環は縮合している。シクロアルキルは、完全に飽和又は部分的に飽和していてもよい。シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニル、シクロヘプテニル、デカリニル、ヒドロインダニル、インダニル、フェンチル、ピネニル、アダマンチルなどが挙げられる。シクロアルキルはシス又はトランスの形態を含む。更に、置換基は、架橋された二環式系のエンド位又はエクソ位に存在することができる。
【0032】
「電子吸引基及び電子供与基」という用語は、それぞれ、分子中の同じ位置に水素原子が占有している場合に、水素と比較して、電子を吸引又は供与する置換基の能力を意味している。これらの用語は、当業者には充分に理解されており、J.MarchによるAdvanced Organic Chemistry(有機化学特論),John Wiley and Sons,New York,NY,pp.16−18(1985)で考察されていて、その考察は本明細書において引例として取り入れられている。電子吸引基としては、ハロ、例えばブロモ、フルオロ、クロロ、ヨードなど;ニトロ、カルボキシ、低級アルケニル、低級アルキニル、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、第四アンモニウム、トリフルオロメチル、アリール低級アルカノイル、カルバルコキシなどが挙げられる。電子供与基としては、ヒドロキシ、低級アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシなど;低級アルキル、例えばメチル、エチルなど;アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アリールオキシ、例えばフェノキシ;メルカプト、低級アルキルチオ、ジスルフィド(低級アルキルジチオ)などが挙げられる。当業者は、上記置換基のいくつかは、異なる化学的条件下では、電子供与又は電子吸引であると考えられることを理解しているであろう。更に、本発明は、上で規定した基から選択される置換基を任意に組合せることも企図している。
【0033】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどを含む。
【0034】
「アシル」という用語は、低級アルカノイルを含む。
【0035】
本明細書で用いる場合、複素環式置換基は、少なくとも1個の硫黄、窒素又は酸素の環原子を含むが、環中に該原子の1個又は数個、好ましくは4個以下のヘテロ原子を含むこともできる。本発明によって企図される複素環式置換基としては、複素環式芳香族化合物と、飽和及び部分飽和複素環式化合物が挙げられる。
これらの複素環式化合物は、単環式、二環式、三環式又は多環式であってもよく、縮合環である。これら複素環式化合物は、3〜18個の環原子を含むことができ、総量で17個以下の環炭素原子及び総量で25個以下の炭素原子を含むことができる。また、複素環式化合物は、いわゆるベンゾ複素環式化合物を含むことも意図されている。代表的な複素環式化合物としては、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、モルフォリニル、ベンゾキサゾリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリニル、ピラゾールインジニル、イミダゾリニル、イミダゾールインジニル、ピロリジニル、フラザニル、N−メチルインドリル、メチルフリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジル、エポキシ、アジリジノ、オキセタニル、アゼチジニル、窒素含有複素環式化合物のN−オキシド、例えばピリジル、ピラジニル及びピリミジニルの窒素酸化物などが挙げられる。好ましい複素環式化合物は、チエニル、フリル、ピロリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、メチルピロリル、モルフォリニル、ピリジル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、及びピリダジニルである。好ましい複素環式化合物は、5員環又は6員環の複素環式化合物である。特に好ましい複素環式化合物は、フリル、ピリジル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、及びピリダジニルである。最も好ましい複素環式化合物はフリル、ピリジル、チアゾリル及びチエニルである。
【0036】
好ましい化合物は、nが1である化合物であるが、ジペプチド、トリペプチド及びテトラペプチドも請求の範囲内であることが企図される。
【0037】
Rの好ましい意味は、アリール低級アルキル、特にベンジルであり、特に、そのフェニル環が、非置換であるか又は電子供与基若しくは電子吸引基、例えばハロ(例えばF)で置換されるものである。
【0038】
好ましいRはH又は低級アルキルである。最も好ましいR基はメチルである。
【0039】
最も好ましい電子供与置換基及び電子吸引置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、ホルミル、アリールアルカノイル、アリーロイル、カルボキシル、カルバルコキシ、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホキシド、複素環式、グアニジン、第四アンモニウム、低級アルケニル、低級アルキニル、スルホニウム塩、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アミノ低級アルキル、メルカプト、低級アルキルチオ、及び低級アルキルジチオである。「スルフィド」という用語は、メルカプト、及びアルキルチオを含み、ジスルフィドという用語は、アルキルジチオを含む。より好ましくは電子供与基及び電子吸引基は環状基を含まない。電子供与基及び電子吸引基は、本明細書で規定したR、R、R、R、R又はR、R又はRの任意の1つを置換できる。
【0040】
及びRの代表的なZY基としては、ヒドロキシ、アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、アリールオキシ、例えばフェノキシ;チオアルコキシ、例えばチオメトキシ、チオエトキシ;チオアリールオキシ、例えばチオフェノキシ;アミノ;アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ;アリールアミノ、例えばアニリノ;低級ジアルキルアミノ、例えばジメチルアミノ;トリアルキルアンモニウム塩;ヒドラジノ;アルキルヒドラジノ及びアリールヒドラジノ、例えばN−メチルヒドラジノ、N−フェニルヒドラジノ、カルバルコキシヒドラジノ、アラルコキシカルボニルヒドラジノ、アリールオキシカルボニルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、例えばN−ヒドロキシルアミノ(−NH−OH)、低級アルコキシアミノ[(NHOR18)、前記式中R18は低級アルキルである]、N−低級アルキルヒドロキシルアミノ[(NR18)OH、前記式中R18は低級アルキルである]、N−低級アルキル−O−低級アルキルヒドロキシアミノ、すなわち[N(R18)OR19、前記式中R18及びR19は独立に低級アルキルである]及びo−ヒドロキシルアミノ(−O−NH);アルキルアミド、例えばアセトアミド;トリフルオロアセトアミド;低級アルコキシアミノ、(例えば、NH(OCH));及び複素環式アミノ、例えばピラゾイルアミノが挙げられる。
【0041】
及びRの代表的な好ましい複素環式基は、下式:
【化8】

(式中、nは0又は1であり;及び
50はH又は電子吸引基又は電子供与基であり;
A、Z、L及びJは、独立に、CHであるか、又はN、O、Sから成る群より選択されるヘテロ原子であり;
GはCHであるか、又はN、O及びSから成る群より選択されるヘテロ原子であるが、
nが0であるとき、GはCHであるか、又はNH、O及びSから成る群より選択されるヘテロ原子であり、ただし、A、E、L、J及びGの多くとも2つはヘテロ原子である)で表される単環複素環式部分、又はそれらの対応する部分的に若しくは完全に飽和された形態である。
【0042】
上記式において、nが0であるとき、上記複素環式芳香族部分は5員環であり、nが1である場合は、複素環式部分は6員環で単環複素環式部分である。好ましい複素環式部分は、単環式である上記複素環式化合物である。
【0043】
而して、R及びRに関して最も好ましい単環複素環式化合物は、フリル、チエニル、チアゾリル、及びピリジルである。
【0044】
上記した環が窒素環原子を含む場合、N−オキシド形態も本発明の範囲内であると企図される。
【0045】
又はRが上記式で表される複素環式であるとき、環炭素原子によって主鎖に結合させることができる。nが0であるとき、R又はRは、更に窒素環原子によって主鎖に結合させることができる。
【0046】
及びRの他の好ましい部分は、水素、アリール、例えばフェニル、アリールアルキル、例えばベンジル及びアルキルである。
【0047】
又はRの好ましい基は、非置換であってもよいか、又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよいことを理解すべきである。電子吸引基又は電子供与基が、炭素原子及び水素原子のみを含むヒドロカルビル基でない場合、電子吸引基又は電子供与基は、環状基を含まないことが好ましい。
【0048】
更に好ましくは、R及びRは、独立に、水素、低級アルキルであって、該低級アルキルは、非置換であるか、又は電子吸引基又は電子供与基によって、例えば低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、N−ヒドロキシルアミノ、N−低級アルキルヒドロキシアミノ、N−低級アルキル−O−低級アルキル及びアルキルヒドロキシアミノで置換される。
【0049】
より更に好ましくは、R及びRの1つは、水素であるが;もう1つは、上記した好ましい基の1つである。
【0050】
nは1であることが好ましい。
【0051】
好ましくは、Rは水素であり、Rは水素、非置換であるか若しくは少なくとも1つの電子供与基若しくは電子吸引基で置換されるアルキル基、又はZYである。この好ましい実施形態では、更に好ましくは、Rは水素、又は非置換であるか若しくは電子供与基で置換される例えばメチルのようなアルキル基、NROR、又はONR(式中、R、R及びRは独立に水素又は低級アルキルである)である。好ましくは、電子供与基は、低級アルコキシであり、特にメトキシ又はエトキシである。
【0052】
また好ましくは、Rはアリール低級アルキルである。Rにとって最も好ましいアリールはフェニルである。最も好ましいR基はベンジルである。好ましい実施形態では、アリール基は、非置換であってもよいか、又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよい。Rにおけるアリール環が置換される場合、特にアリール環において、電子吸引基で置換されることが最も好ましい。Rにとって最も好ましい電子吸引基は、ハロ、特にフルオロである。
【0053】
好ましいRは、低級アルキル、特にメチルである。
【0054】
更に好ましい化合物は、式Iの化合物であり、前記式中、nは1であり;Rは水素であり;Rは水素、電子供与基若しくは電子吸引基で置換されるアルキル基、特にメチル、又はZYであり;Rはアリール、アリール低級アルキル、例えばベンジルであって、その場合、アリール基は、非置換であるか又は置換されていて、及びRは低級アルキルである。この実施形態では、最も好ましくは、Rは、水素、例えば低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)のような電子供与基で置換されるアルキル基、特にメチル、NROR又はONR(これらの基は、既に上で規定してある)である。
【0055】
用いられる最も好ましい化合物は、下式:
【化9】

(式中、
Arは、アリール、特にフェニルであって、前記の基は非置換であるか又は少なくとも1つの電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;
は低級アルキルであり;及び
は、本明細書で規定したものであるが、特に水素、非置換であるか又は少なくとも1つの電子供与基若しくは電子吸引基で置換される低級アルキル、又はZYである)で表される化合物である。より更に好ましくは、Rは、この実施形態では、水素、非置換であるか若しくは例えばアルコキシのような電子供与基で置換されるアルキル基、又はNROR又はONRである。最も好ましくは、Rは、CH−Q(式中、Qは低級アルコキシである)、NROR又はONR(式中、Rは水素、又は1〜3個の炭素原子を含むアルキルであり、Rは水素、又は1〜3個の炭素原子を含むアルキルであり、及びRは水素、又は1〜3個の炭素原子を含むアルキルである)である。
【0056】
好ましいRはCHである。
【0057】
最も好ましいアリールはフェニルである。
【0058】
最も好ましい化合物としては:
(R)−N−ベンジル−2−アセトアミド−3−メトキシ−プロピオンアミド、
【化10】

O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジルアミド、
【化11】

O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジルアミド、
【化12】

N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド、
【化13】

D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド、
【化14】

D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド、
【化15】

を含む。
【0059】
好ましい化合物のいくつかは、その内容が引例として取り入れられている米国特許第5,773,475号に記載されている。
【0060】
本明細書に記載してあるR、R、R、R及びnのマーカッシュ群の様々な組合せ及び順列が、本発明の範囲内であることが企図されるのを理解すべきである。更に、本発明は、R、R、R、n及びRにおける様々なマーカッシュグルーピングのそれぞれの1つ以上の要素及びそれらの様々な組合せを含む化合物及び組成物も含む。而して、例えば、本発明は、nの各値に関して、R、R及びRの置換基の任意のもの及びすべてと組合せて、Rが、上記した置換基の1つ以上であってもよいことを企図している。
【0061】
本発明で用いられる化合物は、1個以上の不斉炭素を含んでいてもよく、またラセミ体及び光学的に活性な形態で存在していてもよい。各不斉炭素周囲の配置はD体又はL体であることができる。(キラル炭素原子周囲の配置も、Cahn−Prelog−Ingold命名法において、R又はSと記述できることは当業において公知である)。様々な鏡像異性体及びジアステレオマーならびにラセミ混合物、及び鏡像異性体、ジアステレオマー又は両方の混合物を含む、各不斉炭素周囲の様々な配置のすべてが、本発明によって企図される。
【0062】
主鎖では、基R及びRが結合されている炭素原子において不斉が存在している。nが1であるとき、本発明の化合物は、下式
【化16】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、Z及びYは既に規定したものである)で表される。
【0063】
本明細書で用いているように、配置という用語は、たとえ他のキラル中心が分子中に存在しているかもしれないとしても、R及びRが結合されている炭素原子周囲の配置を指している。而して、D又はLのような特有な配置を指している場合、R及びRが結合されている炭素原子におけるD又はLの立体異性体を意味していると理解すべきである。しかしながら、配置という用語は、もし、あるならば、化合物中に存在する他のキラル中心におけるすべての可能な鏡像異性体及びジアステレオマーも含む。
【0064】
本発明の化合物は、すべての光学異性体を指しており、すなわち、本発明の化合物は(R及びRが結合されている炭素原子において)L−立体異性体又はD−立体異性体である。これらの立体異性体は、L−立体異性体とD−立体異性体との混合物、例えばラセミ混合物に見出すことができる。好ましくはD立体異性体である。
【0065】
置換基にしたがって、本発明の化合物は付加塩も形成できる。立体異性形態の混合物を含むこれらの形態のすべてが、本発明の範囲内であると企図される。
【0066】
以下に示した3つの調製スキームは、一般的に、用いられる化合物を調製するために用いることができる典型的なプロセスである。これらのスキームは、その両方の内容が引例として取り入れられている米国特許第5,378,729号及び米国特許第5,773,475号に記載されている。
【化17】

【化18】

(式中、R、R及びRは上で規定したものであり、R17は低級アルキル、アリール又は低級アリールアルキルである)。
【0067】
更に詳しくは、これらの化合物は、当業において認められている手順によって、公知の化合物又は容易に調製できる中間体から調製できる。例えば、式Iの化合物は、アミド形成条件下で、式IIのアミンと式IIIのカルボン酸のアシル化誘導体とを反応させることによって調製できる:
【化19】

式中、R、R、R、R及びnは既に規定したものであるが、好ましくはnは1である。
【0068】
ここで言及しているアミド形成条件は、例えばハロゲン化アシル(例えば
【化20】

式中、XはCl、Brなどである)、無水物(例えば
【化21】

混合された無水物、又は低級アルキルエステルなどのような上記した酸の公知の誘導体の使用を含む。好ましくは、用いられるアシル化誘導体は無水物である。
アルキルエステルを用いるとき、アミド結合形成は、シアン化ナトリウム又はシアン化カリウムのような金属シアン化物によって引き起すことができる。
【0069】
及びRの少なくとも1つが芳香族化合物又は複素環式芳香族化合物である化合物を調製するための別の例示的手順を、スキームIVに掲げてある。
【0070】
エステル(IV)は、触媒、例えばAIBNの存在下で、ハロゲン及び紫外光と反応して、ハロ誘導体(V)を形成する。(V)は、塩化亜鉛のようなルイス酸の存在下で、芳香族化合物又は複素環式芳香族化合物と反応して、化合物(VI)を形成する。次に(VI)は、加水分解され、第三アミンの存在下で、アルキルクロロホルメートのようなアルキルハロホルメートと反応して、混合されたN−アシルアミノ酸カルボン酸エステル無水物(VIII)を発生する。この中間体を、アミド形成条件下で、アミンと反応させて、式Iの化合物を得る。別法として、任意に金属シアン化物のような金属触媒、例えばシアン化カリウム又はシアン化ナトリウムの存在において、アミド形成条件下で、(VI)をアミン(RNH)と直接反応させて、式Iの化合物を形成させることができる。別法として、独立した方法によって化合物VIIIを調製し、更にVIへと転化させ、次に、触媒を用いて又は用いずに、アミンと反応させて、式Iの化合物を形成させることもできる。
【化22】

上記スキームにおいて、X=ハロゲン(すなわち、Cl、Br);
17=低級アルキル、アリール、又はアリール低級アルキル;及びM=金属カチオン(すなわち、Na、K)である。
【0071】
又はRが上で規定したZ−Yである化合物を調製するために、2つの追加の合成経路を用いてもよい。1つのスキームでは、これらの複合体を調製するために、置換反応を用いる:
【化23】

上記スキームでは、Rは低級アルキルであり、RはZ−Yであり、Z、Y、R、R及びRは上で規定したものであり、及びMは金属である。
【0072】
塩化メチレンのような不活性溶媒中で、BBrのようなルイス酸で処理することによって、IX上のエーテル官能価を開裂させて、対応するハロ(ブロモ)誘導体を形成させることができる。ハロ誘導体を含むTHF混合物に対して、過剰のH−R若しくはMRを添加するか、又はトリエチルアミン及びH−Rを逐次添加すると、所望の生成物が得られる。例えば、式IXの化合物が2−アセトアミド−N−ベンジル−2−エトキシアセトアミドである場合は、CHCl中BBrによる上記処理によって、α−ブロモ誘導体、すなわち2−アセトアミド−N−ベンジル−2−ブロモアセトアミドが形成された。ブロモ付加物を含むTHF混合物に対して、過剰のHRを添加するか、又はトリエチルアミン及びHRを逐次添加すると、所望の生成物が得られる。
【0073】
別の手順では、R又はRがZ−Yである生成物を、下式:
【化24】

で要約されるように式Iの化合物の第四アンモニウム誘導体を置換反応させることによっても調製できる。スキームVIでは、R、R、R及びRは上で規定したものであり、RはZ−Yであり、R及びR10は独立に低級アルキルである。スキームVIでは、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートのようなメチル化剤による化合物Xのメチル化によって、対応するアンモニウム誘導体が得られた。次に、HRでアンモニウム塩を処理すると、所望の生成物が得られる。例えば、ニトロメタン中トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートで2−アセトアミド−N−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)アセトアミドをメチル化すると、高い収率で、第四アンモニウム誘導体、すなわち2−アセトアミド−N−ベンジル−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)アセトアミドテトラフルオロボレートが得られた。次に、その塩を、メタノール中HR試薬で処理すると、所望の生成物が生成する。
【0074】
任意の有機反応のように、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、及びクロロホルムなどのような不活性溶媒を用いることができる。反応は、室温で又は室温付近で正常に引き起こされるが、0℃から、溶媒の還流温度まで用いることができる。
【0075】
更なる簡便な点として、アミド形成反応を、第四有機アミンのような塩基、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチル−モルホリン、及びピコリンなどの存在下で引き起こすことができ、特にその場合、アミド形成反応によって、例えばハロゲン化アシルと式IIで表されるアミンとの反応によって、ハロゲン化水素が形成される。もちろん、ハロゲン化水素が生成されるそれらの反応では、通常用いられているハロゲン化水素受容体のいずれかを用いることもできる。
【0076】
該反応で用いられる的確な鉱酸及びルイス酸は、所定の変換、転化のために要する温度、及び反応混合物における酸に対する試薬の感受性にしたがって変わる。
【0077】
様々な置換基、例えばR、R、R、及びRにおいて規定した様々な置換基は、置換反応又は転化反応の公知の方法によって、出発化合物中に存在でき、又は中間体の任意の1つに対して添加でき、又は最終生成物の形成後に添加できる。例えば、ニトロ化によってニトロ基を芳香環に添加でき、次にそのニトロ基を他の基へと、例えばニトロ基を還元することによってアミノへ、そのアミノ基をジアゾ化し、更にそのジアゾ基を置換することによってハロへと転化できる。
アルカノイル基は、フリーデル・クラフツアシル化によってアシル基へと置換できる。次に、アシル基を、ウォルフ・キッシュナー還元又はクレメンセン還元を含む様々な方法によって、対応するアルキル基へと変換できる。アミノ基をアルキル化して、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及びトリアルキルアミノ基を作ることができ;また、メルカプト基及びヒドロキシ基をアルキル化して対応するチオエーテル又はエーテルそれぞれを作ることができる。第一アルコールは、当業において公知の酸化剤で酸化されて、カルボン酸又はアルデヒドを形成でき、第二アルコールは酸化されて、ケトンを形成できる。而して、置換反応又は酸化反応又はそれらの組合せを用いて、出発材料、中間体、又は最終生成物の分子全体に様々な置換基を提供できる。
【0078】
上記反応では、置換基それら自体が反応性である場合、置換基それら自体を、当業において公知の技術によって保護できる。当業において公知の様々な保護基を用いてもよい。これらの可能な基の多くの例は、T.W.Greeneによる"Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)", John Wiley&Sons,1981において見出すことができる。
【0079】
得られた異性体混合物を、当業者において公知の方法、例えば分別蒸留、結晶化及び/又はクロマトグラフィーによって、純粋な異性体へと分離できる。
【0080】
化合物は、明らかに立体異性体の形態で存在し、得られる生成物は、異性体の混合物であることができ、それらは分離できる。光学的に純粋な官能化アミノ酸誘導体は、対応する純粋なキラル中間体から直接調製できる。同様に、ラセミ生成物も、ジアステレオマー塩の分離、例えば分別結晶化によって、選択的酵素加水分解、例えばパパイン消化によって、又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によるような、クロマトグラフィーの分離におけるキラル固定相の使用によって、光学鏡像体へと分離できる。HPLCのためのキラル固定相の考察に関しては、本明細書に完全に記載されている同じ作用及び効果を有する引例によって本明細書に取り入れられているDeCamp,Chirality(鏡像異性),1,2−6(1989)を参照されたい。
【0081】
例えば、上記したスキームのいずれかにおける中間体のラセミ混合物は、下式:
【化25】

(式中、R17はHである)を有し、スキーム1、2、3又は4の手順にしたがって調製でき、光学活性なアミン、RNHと、例えば(R)(+)α−メチル−ベンジルアミンと反応して、一対のジアステレオマーの塩を形成する。ジアステレオマーは、次に、分別再結晶化などのような当業において公知の技術によって分離できる。
【0082】
別の方法では、最終生成物又は中間体のラセミ混合物を、酵素法によって分割できる。酵素は、キラル分子であり、且つ鏡像異性体に影響を及ぼすことなく、化合物の1つに選択的に作用するので、それを用いてラセミ体を分離できる。例えば、アシラーゼIのようなアシラーゼを用いて、中間体D,L(±)α−アセトアミド−2−フラン酢酸のラセミ体を分離できる。アシラーゼは、L(±)α−アセトアミド−2−フラン酢酸に作用するが、D鏡像異性体には作用しない。
この方法で、D(−)α−アセトアミド−2−フラン酢酸を単離できる。次に、その中間体を、上記したアミド形成条件下で、アミン(RNH)と反応させて、式Iの化合物を形成させることができる。
【0083】
本発明で用いられる化合物は、式Iにおいて説明したように有用であるか、又は遊離アミノ基の存在によって、その塩基性を考慮して、塩の形態で用いることができる。而して、式Iの化合物は、医薬上許容可能な酸を含む広範で様々な酸、無機酸及び有機酸と塩を形成する。治療学的に容認し得る酸との塩は、増強された水溶性が最も都合がよい処方物の調製において当然有用である。
【0084】
これらの医薬上許容可能な塩は、治療効力も有する。これらの塩としては、無機酸、例えば塩酸、沃化水素酸、臭化水素酸、燐酸、メタ燐酸、硝酸及び硫酸、ならびに有機酸の塩、例えば酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、過塩素酸、グリコール酸、グルコン酸、琥珀酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)、燐酸、及びマロン酸などの塩が挙げられる。
【0085】
好ましくは、本発明で用いられる化合物は、治療有効量で用いる。
【0086】
医者によって、最も適当な本治療薬の用量が決定されるが、その用量は、投与形態及び選択される特定の化合物によって変化し、更に、治療中の患者の年齢及び治療される疾患のタイプによっても変わる。一般的に、医者は、その化合物の最適用量を実質的に下回る少用量で治療を開始し、現状下で最適な効果が得られるまで、少しずつ用量を増やしたがるものである。本発明の化合物は、類似の治療薬と同様に有用であり、その用量レベルは、これらの他の治療薬に関して一般的に用いられる用量とほぼ同程度である。
【0087】
好ましい実施形態では、用いられる本発明の化合物は、1日あたり体重1キログラムにつき約1mgから約100mgの量で投与される。最適な治療応答を得るために、医者が、この投与計画を調整してもよい。例えば、治療状況の緊急性にしたがって、数回に分けて毎日投与してもよく、又は必要に応じて漸減してもよい。式Iの化合物は、簡便な方式で、例えば経口、静脈内(水溶性である場合)、筋肉内又は皮下の経路から投与できる。
【0088】
式Iの化合物は、例えば、不活性希釈剤と共に、若しくは同化可能な食用担体と共に、又は硬質若しくは軟質のシェルゼラチンカプセル中に封入して、又は圧縮して錠剤として、又は食品の中に直接混和して、経口投与してもよい。経口治療投与のために、式Iの活性化合物は、賦形剤と混和してもよく、摂取可能な錠剤、舌下錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、及びウェーハなどの形態で用いてもよい。そのような組成物及び製剤は、式Iの活性化合物を少なくとも1%含むべきである。組成物及び製剤のパーセンテージは、もちろん変化させてもよく、簡便には単位重量の約5%から約80%であってもよい。そのような治療学的に有用な組成物における式(I)で表される活性化合物の量は、適切な用量が得られる量である。本発明による好ましい組成物又は製剤は、式(I)の活性化合物を約10mgから6g含む。
【0089】
錠剤、トローチ、ピル、及びカプセルなどは、次のもの:すなわち、バインダー、例えばガム、トラガカント、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン;賦形剤、例えば燐酸二カルシウム;崩壊剤、例えばコーンスターチ、バレイショデンプン、及びアルギン酸など;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムも含んでいてもよく;且つ、甘味剤、例えばスクロース、ラクトース又はサッカリンを添加してもよく、又は香料、例えばペパーミント、ウインターグリーン油、若しくは桜桃の香味料を添加してもよい。投与単位形態がカプセルであるとき、カプセルは、上記タイプの材料に加えて、液体担体を含んでいてもよい。
【0090】
様々な他の材料は、コーティングとして存在していてもよく、又は投与単位の物理的形態を変更してもよい。例えば、錠剤、ピル、又はカプセルは、セラック、砂糖又はその両方で被覆してもよい。シロップ又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチルパラベン及びプロピルパラベン、染料、及び香味料、例えばチェリーまたはオレンジの香味料を含んでいてもよい。もちろん、任意の投与単位形態を調製するときに用いられる任意の材料は、薬学的に純粋であって、用いられる量において実質的に非毒性であるべきである。更に、活性化合物は、徐放性製剤及び徐放性処方物中に混和してもよい。例えば、活性成分が、任意に拡散バリアコーティングで被覆されて樹脂の放出特性を変えることができる、イオン交換樹脂に結合されている徐放性剤形が企図される。
【0091】
活性化合物は、非経口的又は腹腔内に投与することもできる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で、及び油中で、分散液も調製できる。貯蔵及び使用の通常の条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止する防腐剤を含む。
【0092】
注射用の使用に適する薬学的形態は、無菌した注射用の溶液又は分散液を即時調製するために、滅菌した水溶液(その場合、水溶性)又は分散液、及び無菌粉末を含む。すべての場合において、前記形態は、無菌でなければならず、また容易な注射可能性が存在する程度まで流体でなければならない。前記形態は、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、また、細菌及び真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒体であることができる。固有の流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングを用いることによって、分散剤の場合には必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤を用いることによって維持できる。微生物の作用は、様々な抗菌薬及び抗真菌薬によって、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールなどによって阻止できる。多くの場合において、等張剤、例えば砂糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤の組成物中で、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中で用いることによって引き起こすことができる。
【0093】
無菌注射用溶液は、必要に応じて上記した様々な他の成分と、適当な溶媒中において、必要な量で、活性化合物を混和させ、引き続き滅菌濾過することによって、調製する。一般的に、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、塩基性分散媒体と、上記した成分から選択された他の必要な成分とを含む無菌ビヒクル中に混和させることによって調製する。無菌注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調整法は、活性化成分と、予め無菌濾過した溶液(1種又は複数種)から得られる任意の追加の望ましい成分とに関して、減圧乾燥法及びフリーズドライ法を用いる方法である。
【0094】
本発明で用いている「医薬上許容可能な担体」とは、任意の及びすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌薬及び抗真菌薬、等張剤及び当業において公知である薬学的活性成分のための吸収遅延剤を含む。任意の従来の媒体又は薬物が活性成分と不適合性であることを除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。補助活性成分も、前記組成物中に混和できる。
【0095】
投与のし易さ及び用量の均一性のために、投与単位形態で非経口組成物を処方することは特に有利である。本明細書で用いている投与単位形態とは、治療しようとする哺乳類被験者にとって単位的用量として適する物理的に分離した単位を意味しており;各単位は、必要な薬学的担体と共に、所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性材料を含む。本発明の新規な投与単位形態に関する詳細は、(a)活性材料のユニークな特徴及び達成される特有な治療効果、及び(b)身体の健康が本明細書で詳細に開示されているように損なわれている病的状態を有する生きている被験者における病気を治療するための活性材料などを配合する技術における固有な限界、によって規定され且つ直接に左右される。
【0096】
主な活性成分は、上記したように、投与単位形態で、適当な医薬上許容可能な担体と共に、有効量で、簡便に且つ効果的に投与されるように配合される。単位用量は、例えば、約10mgから約6gの量で主な活性化合物を含む。割合で表すと、活性化合物は、一般的に、担体に約1mg/mlから約750mg/mlで存在する。補助活性成分を含む組成物の場合、用量は、該成分の通常の投与量及び投与法を考慮して決定する。
【0097】
本明細書で用いている「患者」又は「被験者」という用語は、温血動物、好ましくは哺乳動物、例えばネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、マウス、ラット、及びヒトを含む霊長類を意味している。好ましくは、患者はヒトである。
【0098】
「治療する」という用語は、病気又は状態と関連のある疼痛を軽減するか、又は患者の病気若しくは状態を緩和することを意味している。
【0099】
本発明の化合物は、慢性疼痛を治療するのに有用である。本明細書で用いる場合、「慢性疼痛」という用語は、長期間、例えば3ヶ月から6ヶ月を超えて続く疼痛と定義されるが、以下で説明する特徴的な兆候が、この期間に先だって又は遅れて認められることがある。自律神経性の兆候、例えば倦怠、睡眠障害、食欲減退、味覚低下又は食物摂取の減少、体重減少、性欲低下、及び便秘が起こる。
本発明の化合物が治療に特に有用である慢性疼痛のタイプは、侵害受容性疼痛及び神経因性疼痛である。本明細書で用いている「侵害受容性疼痛」とは、疼痛知覚体性神経繊維又は疼痛知覚内臓神経繊維の進行中の活性化に対応していると判断される疼痛である。この疼痛は、典型的には、体性神経が関わっているときに、痛み又は圧力様として経験される。
【0100】
一方、神経因性疼痛は、神経組織に対する損傷によって引き起こされる。前記疼痛は、中枢体性感覚処理の再構築、すなわち、分化疼痛(末梢性又は中枢求心性神経活動の部分的又は完全な遮断に起因する痛み)及び交感神経媒介疼痛(遠心性交感神経の活動による疼痛)依存性のものを含む神経系損傷から生じ得る。
それとは別に、疼痛は、例えば神経圧迫又は神経腫形成のような、進行中の末梢のプロセス又は病理から生じ得る。
【0101】
これらの神経因性疼痛と関係のある疼痛は、深部痛、すなわちしばしば電撃痛を伴う自発性の灼熱痛である。他の痛覚、例えば知覚過敏、痛覚過敏、異痛(非侵害性刺激から生じる疼痛)及び痛覚異常鋭敏(特に不快な過剰疼痛応答)も、神経因性疼痛を経験している患者によって感じられるかもしれない。
【0102】
本発明の化合物は、神経因性疼痛に罹っている患者に対して、鎮痛有効量で投与される。これらの量は、上記した治療有効量と同量である。
【0103】
式Iの化合物が治療において有用である患者が経験する別のタイプの疾患は、頭痛、特に片頭痛である。
片頭痛は、頭痛の反復性発作を特徴とする発作性障害であって、視覚障害又はGI障害と関係があることがある。片頭痛では、疼痛は、通常は広汎性であるが、片側性で拍動性の痛みであることもあって、一方の眼の周囲から始まり、次に片側又は両側を含む頭部全体に広がる。
【0104】
いくつかの重症な場合では、食欲不振、悪心と嘔吐、及び羞明を伴う。更に、四肢は、冷たく且つチアノーゼを呈し、患者は過敏になる。更に、頭皮の動脈は隆起し、その脈動の振幅は増大する。
【0105】
式Iの化合物は、片頭痛の予防と治療、及び片頭痛に伴う疼痛を軽減するのに有用である。前記化合物は、疼痛を軽減するのに有効な量で、片頭痛患者に投与される。それらの量は、上記した治療有効量に等しい。治療有効量に関する考察は、片頭痛の治療及び/又は予防に適用可能であって、本明細書でも取り入れている。
【0106】
本発明の化合物は、双極性障害の患者を治療する場合にも有用である。双極性障害は、通常は鬱で始まり、特徴として病気の過程中に少なくとも1つの意気軒昂な時期がある。双極I型障害では、主要な鬱発症と本格的な躁が交代する。双極II型障害では、比較的短い期間に、鬱発症が軽躁病(すなわち、穏やかで非精神病性の興奮期間)と交代する。これらの障害は、典型的には、過眠症及び過食を経験する患者に併発し、これらの形質は、季節性で再発することがある。更に、該患者は、不眠症及び食欲不振に悩まされることがある。
【0107】
本格的な双極性障害では、罹患している患者の気分は、通常は意気揚々であるが、被刺激性及び率直な敵意及びつむじ曲がりも通常認められる。患者は、病的であるが、本人は最も良い精神状態であると思っている。患者は、精神病性で、短気で、押し付けがましく、おせっかいであって、挑発されるか又は邪魔されると、攻撃的な被刺激性で応答する。患者は、対人摩擦を経験し、自分は迫害されているという続発性の偏執的妄想性解釈を持つことがある。通常、患者は、妄想、特に大きな妄想、例えば個人の資産、能力、創作力、天才性又は重要度に関する誤った信念を持っている。患者は、他人から自分が攻撃されていたり又は迫害されていたりしていると信じていることがある。患者は幻覚にも悩まされていることがある。病状が進むと、精神運動活動性が非常に狂暴になって、気分と行動との間の了解可能なつながりが失われる(せん妄性躁病)。
【0108】
また、本発明の化合物は、循環気質性障害の治療にも有用である。
【0109】
本明細書で用いている双極性障害という用語は、例えば悲しい状態及び自殺願望へと瞬時に切り替わるように、鬱と躁の症状を迅速に交互に繰り返す混合状態をも含む。
【0110】
双極性障害を治療するのに有効な量は、上記した治療有効量である。治療有効量に関する考察は、双極性障害の治療に適用可能であり、引例によって本明細書に取り入れられている。
【0111】
本発明の化合物は、様々なタイプの神経症、特に強迫神経症を治療するのに有用である。
定義によると、強迫神経症とは、反復性の実際に妄想である考え及び空想の存在によって、及び患者が病的であると認識している反復性の衝動又は行動(強迫行為)によって特徴付けられる障害であって、且つ患者はそれらに対して強い内的抵抗を感じている。患者自身は不安であるが、その不安は、患者が自分自身を制止したいにもかかわらず実行してしまうかもしれないのを恐れるという、内的に導かれた思考及び障害に応答して生じる。
【0112】
また、本明細書に記載された量は、治療有効量であって、それに関する考察は引例によって本明細書に取り入れられている。
【0113】
拘束されたくないが、本発明の化合物は、NMDA受容体のストリキニーネ非感受性グリシン部位と相互作用すると考えられる。「相互作用」とは、該化合物が、NMDAアンタゴニスト、NMDAアゴニスト又は部分的アゴニスト/アンタゴニストであってもよいことを意味している。
【0114】
NMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)受容体は、CNSにおけるグルタミン酸受容体の3種類の主なサブタイプの1つである。脳における主要な興奮性神経伝達物質であると考えられているグルタミン酸は、NMDA受容体を活性化させる。NMDA受容体は、脳の実質的にすべての神経の膜において認められる。NMDA受容体は、グルタミン酸、アスパラギン酸又はNMDAによって活性化されるときに、Na、K及びCa+2を透過させることができるリガンドゲートカチオンチャネルである。
【0115】
しかしながら、グルタミン酸単独では、NMDA受容体を活性化できない。グルタミン酸によって完全に活性化させるためには、NMDA受容体チャネルは、受容体タンパク質のグルタミン酸/NMDA結合部位から分離している特異的な高親和性グリシン結合部位に、グリシンを結合させなければならない。而して、グリシンは、NMDA受容体/チャネル複合体において、必須のコアゴニストである。
【0116】
グルタミン酸/NMDA及びグリシンのための結合部位に加えて、NMDA受容体は、多くの他の機能的に重要な結合部位、例えばMg2+、Zn2+、ポリアミン、アラキドン酸及びフェンシクリジン(PCP)の結合部位を運ぶ。
【0117】
拘束されたくないが、而して、グルタミン酸受容体のNMDAサブクラスの機能のモジュレーションは、例えば:一次伝達物質部位(競合的)、カチオンチャネルの内側に位置しているフェンシクリジン(PCP)部位(不競合的)、ポリアミンモジュレーション部位、及びストリキニーネ非感受性グリシン部位(グリシン)のような異なる認識部位における作用によって達成され得ると考えられる。
【0118】
拘束されたくないが、本発明の化合物は、NMDA受容体のグリシン結合部位と相互作用すると考えられる。例えば、本発明の化合物は、NMDA受容体のグリシン結合部位のアンタゴニストであることができる。
【0119】
グリシンは、NMDA受容体においてコアゴニストであり、グルタミン酸又はNMDAによるチャネル活性化にとっては、中等度のnM濃度で存在していることが必須である。また、D−セリンは、グリシン受容体に関する内因性アゴニストとしても公知である。実際に、セリン及びアラニンのD−異性体は、グリシンと殆ど同程度に強力であり、またL−異性体に比べてかなり強力であって;これらは、グリシン部位も調節する。より分子量の大きいアミノ酸の効果は劣る。シクロセリンは、NMDAレセプター複合体部位における比較的強力なグリシンアゴニストである。
【0120】
多くの不競合及び競合NMDA受容体アンタゴニストが、臨床で既に用いられているか、又は高度の開発段階にあるが、グリシン部位におけるアンタゴニストの治療上の可能性についてはあまり知られていない。初期の前臨床におけるエビデンスは、異なる、おそらくはより有望な治療特性がグリシン拮抗作用からは期待できることを示唆している。グリシンアンタゴニストは、例えば:1)帯状の/後部板状筋の皮質における神経変性変化が無い;2)精神異常発現様作用が無い、及び3)痙攣を防止する投与量における学習障害作用が無いというように、NMDA受容体遮断と古典的に関連づけられている多くの副作用が無いことが報告されている。しかしながら、更に最近では、いくつかの完全なグリシンアンタゴニストが、局所虚血及び外傷モデルにおける神経保護薬として;及び複雑部分発作のモデルでも抗てんかん薬として;抗不安薬として;抗精神異常発現薬として;伝播性抑制をブロックする場合に;及び痛覚過敏のモデルにおいて、全身投与後に良好な治療指標を有することも報告されている。
【0121】
本発明の化合物は、CNSと、グルタミン酸受容体の多くのサブタイプを含む末梢神経の受容体とから成る標準的な群に関して特異的な親和性を示さない。しかしながら、本発明の化合物は、NMDAレセプター複合体のグリシン・ストリキニーネ・非感受性部位において親和性を示す。例えば、代表的な化合物、すなわち(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミドを用いた場合、本発明者は、NMDAレセプター複合体のグリシン・ストリキニーネ・非感受性部位におけるそれらの親和性が、リガンドとしてジクロロキヌレン酸を用いて5.3μMのIC50値を有することを測定した。更に、他の研究では、ラットにおける閾値改善に関するこの代表的な化合物の順向効果は、D−セリン、すなわちグリシンアゴニストによって、用量依存的に逆転できることが指摘されている。而して、拘束されたくないが、本発明の化合物は、グリシン/D−セリン部位とのその相互作用によって媒介されると考えられる。
【0122】
しかしながら、本発明の化合物は、他の受容体との非選択的な結合によって、特にNMDA受容体のPCP結合部位及びNMDA受容体のグルタミン酸結合部位によって引き起こされる副作用を殆ど又は全く示さない。
【0123】
グリシン部位に対して結合する内因性リガンドが存在している。それはグリシンであると考えている者と、D−セリンであると考えている者がいる。Snyderら,Am.J.Psychiatry,2000,157,11 1738−1751;及びBarananoら,Trends in Nurosciences,2001,24,99−106を参照されたい。
【0124】
拘束されたくないが、本発明の化合物は、グリシン受容体の活性を調節すると考えられる。更に、拘束されたくないが、本発明の化合物は、グリシン受容体部位における異常な受容体活性と関連がある又は該活性によって引き起こされる状態を治療するのに有用であると考えられる。拘束されたくないが、本発明の化合物は、NMDA受容体上においてグリシン受容体部位と相互作用すると考えられる。
【0125】
拘束されたくないが、NMDA受容体上のストリキニーネ・非感受性グリシン部位において相互作用することによって、式Iの化合物は、神経細胞消失、神経変性疾患及び慢性疼痛を治療又は防止するのに有用であると考えられる。更に、本発明の化合物は抗精神病薬でもある。
【0126】
式Iの化合物で治療される他の神経変性疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病及びダウン症侯群である。
【0127】
本明細書記載の化合物は、痴呆の治療又は防止にも有用である。
【0128】
神経因性疼痛を治療する以外に、本発明の化合物は、疼痛、例えば慢性疼痛の治療又は防止にも有用性が認められる。そのような慢性疼痛は、手術、外傷、頭痛、関節炎、癌末期の疼痛、又は変性疾患から生じ得る。式Iの化合物は、四肢の切断から生じる幻肢痛の治療にも有用性が認められる。
【0129】
更に、拘束されたくないが、NMDA受容体のストリキニーネ・非感受性グリシン部位は、以下の神経及び組織の損傷後に発症する持続痛に関与していると考えられる。組織損傷、例えば試験動物の後肢の皮下に少量のホルマリンを注射することによって引き起こされるような組織損傷は、脊髄においてグルタミン酸及びアスパラギン酸を即時に増加させることが分かった。拘束されたくないが、本発明の化合物を投与すると、ホルマリン注射後における脊髄後角神経の応答が減少すると考えられる。これらの後角神経は、脊髄から脳への疼痛信号の伝送において重要であり、また、これらの神経の応答の減少は、皮下ホルマリン注射によって疼痛が加えられた試験動物によって知覚される疼痛の減少を示している。
本発明の化合物は、皮下ホルマリン注射によって誘発される後角神経応答をブロックするので、例えば手術によって又は切断(幻肢痛)によって又は他の創傷(外傷性疼痛)によって引き起こされる疼痛のような慢性疼痛の治療に有用である。
【0130】
疼痛の程度は、薬物投与後に、動物がホルマリン注射された足を舐めるのに費やす時間の短縮を測定することによって測定される。
【0131】
ビヒクル対照と比較して、後肢中へのホルマリン注射30分前に、本発明のグリシン受容体モジュレーターと推定される化合物を腹腔内注射すると、ホルマリンが注射された後肢をマウスが舐める時間の短縮によって測定されるように、ホルマリンで誘発される慢性痛を用量依存的に有意に抑制する。これは、下記の実施例2で示されている。
【0132】
以下の実施例1〜5では、以下のものを用いた:
1.動物
MDS Panlabs Taiwan,Ltd.の動物飼育センターから供給された雄性又は雌性のICRマウス及び雄性又は雌性のLong Evansラットを用いた。動物の空間割当ては:45×23×15cmに10匹のマウス、45×23×15cmに6匹のラットであった。マウス及びラットは、陽圧隔離飼育器(NuAire(登録商標)、モード:Nu−605、気流速度50±5フィート/分、HEPAフィルター)のAPEC(登録商標)(米国ニュージャージー州、08501、アレンタウンにあるAllentown Gaging)ケージの中に収容した。全ての動物は、用いられる前に、MDS Panlabs Taiwan laboratoryで、少なくとも1週間、12時間の明暗サイクルと共に、管理された温度(22℃〜24℃)及び湿度(60%〜80%)環境に保たれた。マウス及びラット用の標準的な実験飼料(Fwusow Industry Co., Limited、台湾)及び水道水を自由に摂らせた。収容、実験及び動物の処分を含むこの実験の全ての面は、一般的に、International Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animals(CIOMS Publication No. ISBN 9036194,1985)にしたがって行った。
【0133】
2.化学薬品
用いた化学薬品は、酢酸(Sigma、米国)、アスピリン(ICN Biomedicals Inc.)、CGS−19755(RBI、米国)、ジアゼパム(Sigma、米国)、ホルマリン(Wako、日本)、モルフィン(National Narcotics Bureau of Taiwan)、NMDA(Sigma、米国)、フェニルキオノン(Phenylquionone)(Sigma、米国)及び生理食塩水(Astar、台湾)であった。
3.(R)−N−ベンジル−3−アセトアミド−3−メトキシプロピオンアミドは、米国特許第5,773,475号の手順にしたがって調製した。以下の実施例では、化合物Iと呼称している。
【0134】
以下の実験は、疼痛治療における化合物の有効性を示している。第一シリーズの実験では、本発明の代表的な化合物、すなわち(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミド(CMPD I)を様々な濃度で用いた。
【0135】
実施例1における最初の動物研究では、酢酸注射後にマウスによって経験された疼痛の程度は、身悶えの数で見た。マウスが痛みを感じていない場合、身悶えは無い。予期されるように、鎮痛薬が、酢酸注射前にマウスに投与されない場合、マウスは身悶え(ライジング)を示す。
【0136】
プロトコルは、R.Kosterら、Fed.Proc,18,412(1939)で開発されたマウスにおける酢酸ライジング試験に基き、Koster試験及びHunskarai,S.ら、J.Neuroscience Meth.14:69−76,1985を参照している。
【0137】
(実施例1)
酢酸を注射する(0.5%、20ml/kg、腹腔内(IP))1時間前に、体重22±2gの3匹のICR由来雄性又は雌性のマウスから成る群に対して試験物質(30又は100mg/kg)を経口的に(PO)投与した。酢酸投与後5分から10分の間に観察した動物の一群あたりの身悶えの数が、ビヒクル治療対照群と比較して、50%以上(≧50%)減少しており、鎮痛活性が認められた。
その結果は以下の表にまとめてある:
【0138】
表1
【表1】

【0139】
脚注:化合物I、投与量100mg/kgにおいて、3匹の動物のうち3匹が、経口投与15分後に、わずかな痙攣を示した。
【0140】
明確に示されているように、化合物Iを100mg/kg投与すると、身悶えの数によって示されているように、疼痛を低減するのに有効であった。実際に、化合物Iを100mg/kg投与したとき、マウスは、酢酸投与後に身悶えしなかった。同じ結果は、公知の鎮痛薬であるアスピリンでも認められた。
この次の実験は、本発明の化合物が、組織損傷、例えばマウスの後肢中に少量のホルマリンを皮下注射することによって引き起こされる組織損傷から生じる疼痛を低減させるのにも有効であることを示している。
【0141】
(実施例2)
ホルマリン(0.02ml、5%)を足底に注射する1時間前に、体重22±2gの5匹のICR由来雄性又は雌性のマウスから成る群に対して試験物質(30又は100mg/kg)を投与した。投与後20分から30分の間に記録された誘発される後肢を舐めている時間が、50%以上(≧50%)短縮しており、鎮痛活性が認められた。
その結果は以下の表にまとめてある:
【0142】
表2
【表2】

【0143】
脚注:化合物I、投与量100mg/kgにおいて、5匹の動物のうち5匹が、経口投与15分後に、わずかな痙攣を示した。
【0144】
結果からは、100mg/kgでは、アスピリンを300mg/kg投与したときに比べて、マウスが舐めている時間が短縮したことが明確に分かる。而して、これは、本発明の化合物が、組織損傷から生じる疼痛を低減することにおいて、アスピリンに比べてより有効であることを示している。
【0145】
以下の実施例では、本発明の化合物が、オピオイド受容体のアンタゴニストではないことを示す。
【0146】
(実施例3)
体重22±2gの4匹の雄性ICRマウスの群を用いた。生理食塩水のビヒクル中に溶かした試験化合物の投与量(30mg/kg)を腹腔内投与した。対照群はビヒクル単独で処置した。前処置(0分)では、放射熱の収束ビームを、尾部の真中の背側表面に施用して、前処置された動物においてテールフリック応答を6〜7.5秒以内に誘発した。最大カットオフ時間は15秒に設定した。試験化合物を投与した0分後と30分後に、疼痛応答を誘発するのに要する時間を、各動物に関して記録した。テールフリックを誘発するのに要する時間の50%以上(≧50%)の延長は、鎮痛活性を示していた。
その結果は以下の表にまとめてある:
【0147】
表3
【表3】

【0148】
データからは、放射熱で誘発されたテールフリック応答は、本発明の化合物を30mg/kg投与しても影響されなかったことが分かる。一方、モルフィンでは陽性の応答が得られた。このデータは、化合物Iは、モルフィンと同じメカニズムで作用しない;すなわち、化合物Iは、オピオイド受容体を介して機能しないことを示している。
【0149】
本発明の化合物は、以下の実施例で示されているように、5−HT1A薬剤、すなわち5−メトキシ−N,N−ジメチルトリプトアミンによる誘発によって測定した場合、セロトニン5−HT1A受容体に関して親和性を有しない。
【0150】
(実施例4)
5−MeODMT(5−メトキシ−N,N−ジメチルトリプトアミン、3mg/kg IP)を注射する1時間前に、体重150±20gのLong Evans由来雄性又は雌性の3匹のラットから成る群に対して試験物質(30mg/kg)を経口投与した。1分から5分の観察中に2回以上の首振り行動を示す動物それぞれを陽性とした。3匹の動物において2回以上(≧2)で起こっている陽性応答を有意な効果であると認めた。
その結果は以下の表にまとめてある:
【0151】
表4
【表4】

【0152】
5−MeODMTによって誘発される首振り行動の増強は、代表化合物をPOで30mg/kg投与した場合には観察されなかった。
【0153】
(実施例5)
試験物質をICVT(脳室内、マウス1匹あたり5μl中30μg)に投与した。その5分以内に、体重22±2gの3匹のICR由来雄性又は雌性のマウスの2匹以上(≧2)における痙攣/死亡が認められたことは、NMDA受容体が作動性を示していると考えられる。有意な作動性が5分以内に認められない投与量では、NMDAを抑制する能力(60mg/kg IV)、すなわち次の5分以内に体重22± gの3匹のICR由来雄性又は雌性のマウスのうちの2匹以上(≧2)において、誘発される強直性痙攣/死亡を抑制する能力は、NMDA受容体拮抗性を示した。
その結果は以下の表にまとめてある:
【0154】
表5
【表5】

【0155】
*NMDA受容体のグルタミン酸部位における公知の強力なアンタゴニスト
脚注:化合物Iは、投与量30μg/マウスにおいて、3匹のうち2匹の動物が、脳室内投与後に、痙攣を伴わずに振せんを呈した。
【0156】
データは、30μg/マウスで脳内に化合物Iを投与したとき、化合物Iは、NMDA活性の効果を直接に抑制しなかったことを示している。
ライジング試験における上記結果は、本発明の化合物が、炎症性疼痛、例えば関節リウマチを含む疼痛の治療に関して鎮痛活性を有することを更に証明している。
【0157】
(実施例6)
NMDAによって誘発される痛覚過敏
体重275から325gのホルツマン雄性ラットを、イソフルラン麻酔下で、腰部くも膜下腔内カテーテルを用いて準備した。前記カテーテルは、頭部の後ろに外在化させた。移植後4日から5日後に、その動物を用いた。
【0158】
NMDAは、較正されたPE−90管の長さによって脊髄カテーテルに接続された歯車駆動微量注射用シリンジを用いて投与した。カテーテルプラグは直ちに取り替えて逆流を防止し、次に、ラットを、その試験ボックス内で取り替えた。
【0159】
ラットが立っているガラス面を通して足の下面上に収束光ビームを指向できる改良Hargreavesボックスを用いた。表面温度は30℃に維持した。足の引っ込め反射を応答と見なした。20秒以内に応答が無い場合は、試験を終了し、点数を割当てる。
【0160】
ラットは熱逃がしボックスに入れ、試験前に30分間順応させた。各後肢に関して測定して、平均ベースライン潜時(時間を0とする)を決めた。(2R)−2−(アセチルアミノ)−N−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3−メトキシプロパンアミド溶液、すなわちこの実験における試験生成物を、くも膜下腔内にNMDAを投与する10分前に、くも膜下腔内に1μg/10μlの用量で投与した。対照群は、くも膜下腔内にNMDAを投与する10分前に、同量の生理食塩水を投与した。測定は、くも膜下腔内へのNMDA注射15、30、60、120、240及び360分後に行った。各観察時間中に:触覚異痛(体表面に施用された軽い接触によって誘発される発声/不穏)、自発発声、体表面の咬み及び咀嚼、後肢の踏み直り反射及び足踏み反射の喪失、後肢による体重支持の喪失、及び立ち直り反射の喪失を含む一般行動を評価した。
【0161】
生理食塩水の群(n=2)は、痛覚過敏効果を示し、約45分後に、ベースライン潜時が約1秒から約7秒に低下した。試験生成物の群(n=2)は、NMDA注射20分後まで約14秒の正常なベースライン潜時を保ち、次に、約10秒まで低下した。
【0162】
NMDAによって誘発される熱痛覚過敏に関する予備データは、2R−2−(アセチルアミノ)−N−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3−メトキシプロパンアミドが、測定可能な抗痛覚過敏作用を有していたことを示唆している。
【0163】
(実施例7)
この実験では、体重275から325gのSprague Dawley雄性ラットを用いた。この実験では、神経因性疼痛に対する応答を測定した。異痛状態を誘発させるために用いられる神経因性の準備は、Kim and Chung,Pain,1992,50,355−363(1992)で説明され、Chaplainら J.Neurosci.Meth.,1994,53,355−363で概説されている外科的処置である。要約すれば、イソフルラン麻酔下で、左L及びL脊髄神経を脊柱に隣接させて分離し、背根神経節に対して遠位において、6−0絹縫合で結合させた。ラットは、研究に供される前に、最短で7日間、術後回復させた。
【0164】
試験群は一群あたり6匹のラットから成っていた。各群には,試験品、すなわち(2R)−2−(アセチル−アミノ)−N−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3−メトキシプロパンアミド(以下、「試験品」とする)を、3つの濃度(すなわち、高濃度は50mg/kgであり、中濃度は30mg/kgであり、低濃度は20mg/kgであった)のうちの1つの濃度で腹腔内に投与した。6匹のラットから成る一群には、試験品で用いたのと等しい体積で生理食塩水の対照溶液を投与した。
【0165】
各観察時間中に:触覚異痛(体表面に施用された軽い接触によって誘発される発声/不穏)、自発発声、体表面の咬み及び咀嚼、後肢の踏み直り反射及び足踏み反射の喪失、後肢による体重支持の喪失、及び立ち直り反射の喪失を含む一般行動に関して評価した。すべての評価は、「あり」「なし」と記載するか、又は段階的基準にしたがってランク付けした。
【0166】
触覚閾値を評価するために、ラットを、独立区画に分割された透明なプラスチック製の底がワイヤメッシュであるケージの中に入れた。動物を順応させ、薬物書で処置する前に、ベースライン閾値を測定した。足の引っ込め反射に関する50%力学的閾値を測定するために、von Frey型刺激毛を、肉球を避けて、後肢中央足底に施用した。用いた8本のvon Frey毛は、[log(10*毛を曲げるのに要する力、mg)]によって指定し、0.4〜15.1gである。それぞれの毛を、わずかに屈曲させるのに充分な力で足に対して直角に押し付け、約6〜8秒間保った。迅速な足の引っ込め反射が認められた場合には、陽性応答と記載した。毛を除けたときの即時のフリンチングも陽性応答とした。
応答無し(「−」)では、次には連続したより強力な刺激を与えた。応答有り(「+」)では、次にはより弱い刺激を与えた。刺激は、6つのデータポイントに関して集められるまで、又は最大若しくは最小の刺激に達するまで、続いて与えられた。最小刺激に達し、なお陽性応答が起こった場合は、閾値には任意の最小値0.25gを割当てた;最大刺激が与えられ、応答が起こらなかった場合は、最大閾値15gを割当てた。下方から上方へ又はその逆の刺激提示の方向における変化が生じている「−」から「+」へ又は「+」から「−」への応答変化が起った場合、その変化後に、4つの追加のデータポイントを集めた。得られた応答パターンを表にし、下式:
log(閾値、mg×10)=Xf + kh
(式中、
Xf=施用された最後のvon Frey毛の値;
k=応答パターンに基づく補正因子(較正表から得る)
h=刺激間のlog単位の平均距離)
を用いて50%応答閾値を計算する。
【0167】
正常ラット、手術されたラット及び擬似手術されたラットに関する観察に基づいて、試験用の上限として15.1gの毛の切断を選択する。
【0168】
試験を行って、0時間としてカウントされる平均ベースライン値を決めた;次に、対照生理食塩水溶液又は試験品を投与した15、30、60、120及び240分後に試験した。
【0169】
その結果は以下の通りであった:すなわち、
4匹のラットに30から100mg/kgを腹腔内投与(IP)して試験した。
第一のラットには試験品を100mg/kg投与した。15分以内に、そのラットは、痙攣し、鼻部から出血しながら、横臥した。そのラットは安楽死させた。
第二のラットには試験品を90mg/kg投与した。15分以内に、そのラットは、緊張性硬直を起こし、自分で立つことができなかった。そのラットは、弛緩し、重度の眼球突出を示した。30分後、変化はなく、ラットを安楽死させた。
第三のラットには試験品を60mg/kg投与した。15分以内に、そのラットは、緊張性硬直を起こし、異常な歩行運動を示した。重度の眼球突出も認められた。30分後、歩行運動は更に悪化した。ラットはその後安楽死させた。
第四のラットには試験品を50mg/kg投与した。ラットは、わずかに緊張性硬直を起こしており、それは60分続いた。他の行動欠損は認められなかった。
第五のラットには試験品を腹腔内に30mg/kg投与した。行動欠損は示さなかった。
【0170】
試験品15mg/kgは既に示されているように観察可能な影響はなかった。
【0171】
Chung Modelを用いると、用量依存的応答が見られた。その効果は、注射後約2時間続いた。50mg/kg IPの高用量を投与されたラットは、閾値が2gから11gへと増加した。行動的には、6匹中6匹が、注射後約1時間鎮静した。他の欠損は認められなかった。試験品を20mg/kg及び30mg/kg投与されたラットは約2gから5gへと閾値が増加した。30mg投与された6匹のラットのうち4匹は、約1時間鎮静した。他の欠損は認められなかった。15mg/kg投与に関する先の研究では、Chung Modelに関して効果は認められなかった。最大効果、曲線下面積、及び特定の時点(注射後15分及び30分)に関して行われた一方向性分散分析を用いた群比較では、群間の有意差は認められなかった。順序代替に関するノンパラメトリックJonckheere試験を行い、p<0.05レベルで、投与量と関連のある差が認められた。
【0172】
腹腔内に送達された試験品によって、神経障害のChung Modelで観察された触覚異痛の有意な逆転が得られた。このモデルは、多くの臨床に関する薬物によって、例えばアルファ2アドレナリン作動性アゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト及びN−タイプCaチャネルブロッカーによって影響されることが歴史的に示された。重要なことに、これらの知見は、競合行動(例えば、鎮静又は運動機能障害)に関して有意な効果を及ぼさないと考えられる投与量で起こった。
【0173】
上記した好ましい実施形態及び実施例は、本発明の範囲及び精神を説明している。本明細書に記載された実施形態及び実施例に関して他の実施形態及び実施例も当業者には明らかである。これらの他の実施形態及び実施例は、本発明によって企図される範囲内である。而して、本発明は、添付の請求の範囲によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式:
【化1】

(式中、
Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、Rは非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;
は水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式低級アルキル、複素環式、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ非置換であるか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、ハロ、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく、またその場合、電子供与基若しくは電子吸引基は非環式であって;またその場合、R及びRにおける複素環式は、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、モルフォリニル、ベンゾキサゾリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリニル、ピラゾールインジニル、イミダゾリニル、イミダゾールインジニル、ピロリジニル、フラザニル、N−メチルインドリル、メチルフリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、エポキシ、アジリジノ、オキセタニル又はアゼチジニルであり;
ZはO、S、S(O)、NR´、又はPRであり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、複素環式、複素環式低級アルキルであり、及びYは非置換でもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、又は
ZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR、PRSR、NRPR又はPRNR
【化2】

であり;
´は水素、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、Rは、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
、R、及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、その場合、R、R、及びRは非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
はCOOR、COR、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルであって、Rは非置換であってもよいか、又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく; Rは水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、アリール基又はアルキル基は、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
nは1〜4であり;及び
aは1〜3である)で表される化合物の鎮痛有効量を患者に投与する工程を含む、慢性疼痛に苦しんでいる患者の疼痛を緩和する方法。
【請求項2】
及びRの1つが、水素である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
nが1である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
及びRの1つが水素であり、nが1である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Rがアリール低級アルキルであり、Rが低級アルキルである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
及びRが、独立に、水素、低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、又はZYであり;
ZがO、NR又はPRであり;
Yが水素又は低級アルキルであり;又は
ZYがNR、NROR、ONR
【化3】

である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
が水素であり、及びRが水素、低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル又はZYであり;
ZがO、NR又はPRであり;
Yが水素、低級アルキルであり;又は
ZYがNRNR、NROR、ONR
【化4】

である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
は水素であり、及びRは非置換でもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよい低級アルキル、NROR又はONRである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
は、非置換であるか又はヒドロキシ若しくは低級アルコキシで置換されている低級アルキル、NROR又はONRであり、R、R及び又はRは独立に水素又は低級アルキルであり、Rはアリール低級アルキルであって、そのアリール基は、非置換であってもよいか、又は電子吸引基で置換されてもよく、及びRは低級アルキルである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アリールがフェニルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
及びRの1つが、複素環式である請求項6に記載の方法。
【請求項12】
複素環式が、複素環式芳香族である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
が、フリル、ピリジル、チエニル又はチアゾリルである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
アリールが、フェニルであって、且つ非置換であるか又はハロで置換されている請求項9に記載の方法。
【請求項15】
該化合物が、
(R)−N−ベンジル−2−アセトアミド−3−メトキシ−プロピオンアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジルアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジルアミド;
N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド;
D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;
D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド
である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該疼痛が、神経因性疼痛である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
該疼痛が、神経因性疼痛である請求項6に記載の方法。
【請求項18】
該疼痛が、侵害受容性疼痛である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該疼痛が、侵害受容性疼痛である請求項6に記載の方法。
【請求項20】
下式:
【化5】

(式中、
Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、Rは非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;
は水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式低級アルキル、複素環式、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ非置換であるか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、ハロ、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級アルキル複素環式低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
ZはO、S、S(O)、NR、又はPRであり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、複素環式、複素環式低級アルキルであり、及びYは非置換でもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、又は
ZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR又はPRSR、NRPR又はPRNR
【化6】

であり;
、R、及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、その場合、R、R、及びRは非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
はCOOR又はCOR、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルであって、Rは非置換であってもよいか、又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
は水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、及びアリール基又はアルキル基は、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
nは1〜4であり;
aは1〜3であり;
上記複素環式は、3〜18個の環原子及び総量で17個以下の環炭素原子を含んでいて、且つ窒素、酸素及び硫黄から成る群より選択される1〜4個の複素環原子を含む)
で表される化合物の頭痛緩和有効量を患者に投与する工程を含む、患者における片頭痛を予防又は治療する方法。
【請求項21】
及びRの1つが、水素である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
nが1である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
及びRの1つが水素であり、nが1である請求項20に記載の方法。
【請求項24】
Rがアリール低級アルキルであり、Rが低級アルキルである請求項20に記載の方法。
【請求項25】
及びRが、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、又はZYであり;
ZがO、NR又はPRであり;
Yが水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式又は複素環式低級アルキルであり;又は
ZYが一緒になってNRNR、NROR、ONR
【化7】

であり;及び
、R、及びRが、独立に、水素、低級アルキル、アリール又はアリール低級アルキル
である請求項20に記載の方法。
【請求項26】
が水素であり、及びRが低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式又は複素環式低級アルキル、又はZYであり;
ZがO、NR又はPRであり;
Yが水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式又は複素環式低級アルキルであり;又は
ZYが一緒になってNRNR、NROR、ONR
【化8】

であり;及び
、R、及びRが、独立に、水素、低級アルキル、アリール又はアリール低級アルキル
である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
が水素であり、及びRが非置換であってもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよい低級アルキル、NROR、又はONRである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
が、非置換であるか又はヒドロキシ若しくは低級アルコキシで置換されている低級アルキル、NROR又はONRであり、R、R及びRが独立に水素又は低級アルキルであって、Rがアリール低級アルキルであって、そのアリール基が、非置換であってもよいか又は電子吸引基で置換されてもよく、及びRが低級アルキルである請求項26に記載の方法。
【請求項29】
が、複素環式である請求項26に記載の方法。
【請求項30】
複素環式が、複素環式芳香族である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
が、フリル、ピリジル、チエニル又はチアゾリルである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
アリールが、フェニルである請求項28に記載の方法。
【請求項33】
アリールが、フェニルであって、且つ非置換であるか又はハロで置換される請求項28に記載の方法。
【請求項34】
該化合物が、
(R)−N−ベンジル−2−アセトアミド−3−メトキシ−プロピオンアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジルアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジルアミド;
N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド;
D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;又は
D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド
である請求項20に記載の方法。
【請求項35】
下式:
【化9】

(式中、
Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、Rは非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;
は水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式低級アルキル、複素環式、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ非置換であるか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、ハロ、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
ZはO、S、S(O)、NR、又はPRであり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、複素環式、複素環式低級アルキルであり、及びYは非置換でもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、又は
ZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR若しくはPRSR、NRPR若しくはPRNR
【化10】

であり;
、R、及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、その場合、R、R、及びRは非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
はCOOR、COR、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル若しくは低級アルキニルであって、Rは非置換であってもよいか、又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
は水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、及び該アリール基又は該アルキル基は、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
nは1〜4であり;及び
aは1〜3である)
で表される双極性障害を治療するための化合物の治療有効量を患者に投与する工程を含む、双極性障害に罹患している患者を治療する方法。
【請求項36】
及びRの1つが、水素である請求項35に記載の方法。
【請求項37】
nが1である請求項35に記載の方法。
【請求項38】
及びRの1つが水素であり、nが1である請求項35に記載の方法。
【請求項39】
Rがアリール低級アルキルであり、Rが低級アルキルである請求項35に記載の方法。
【請求項40】
及びRが、独立に、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、又はZYであり;
ZがO、NR又はPRであり;
Yが水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式若しくは複素環式低級アルキルであり;又は
ZYが一緒になってNRNR、NROR、ONR
【化11】

であり;及び
、R、及びRが、独立に、水素、低級アルキル、アリール若しくはアリール低級アルキル
である請求項35に記載の方法。
【請求項41】
が水素であり、及びRが低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、又はZYであり;
ZがO、NR又はPRであり;
Yが水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式又は複素環式低級アルキルであり;又は
ZYが一緒になってNRNR、NROR、ONR
【化12】

であり;及び
、R、及びRが、独立に、水素、低級アルキル、アリール又はアリール低級アルキル
である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
が水素であり、及びRが非置換であってもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよい低級アルキル、NROR又はONRである請求項41に記載の方法。
【請求項43】
が、非置換であるか又はヒドロキシ若しくは低級アルコキシで置換されている低級アルキル、NROR又はONRであり、R、R及びRが独立に水素又は低級アルキルであって、Rがアリール低級アルキルであって、そのアリール基が、非置換であってもよいか又は電子吸引基で置換されてもよく、及びRが低級アルキルである請求項41に記載の方法。
【請求項44】
が、複素環式である請求項41に記載の方法。
【請求項45】
複素環式が、複素環式芳香族である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
が、フリル、ピリジル、チエニル又はチアゾリルである請求項45に記載の方法。
【請求項47】
アリールが、フェニルである請求項43に記載の方法。
【請求項48】
アリールが、フェニルであって、且つ非置換であるか又はハロで置換される請求項43に記載の方法。
【請求項49】
該化合物が、
(R)−N−ベンジル−2−アセトアミド−3−メトキシ−プロピオンアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−m−フルオロベンジルアミド;
O−メチル−N−アセチル−D−セリン−p−フルオロベンジルアミド;
N−アセチル−D−フェニルグリシンベンジルアミド;
D−1,2−(N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド;又は
D−1,2−(O−メチルヒドロキシルアミノ)−2−アセトアミド酢酸ベンジルアミド
である請求項35に記載の方法。
【請求項50】
NMDA受容体のグリシン部位と相互作用する化合物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物の神経にあるNMDA受容体のグリシン部位における異常活性から生じる該哺乳動物における障害を治療する方法であって、該化合物が、下式:
【化13】

(式中、
Rは水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、アリール低級アルキル、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、Rは非置換であるか、又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換され;
は水素又は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、複素環式低級アルキル、複素環式、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキルであって、それぞれ非置換であるか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換され;及び
及びRは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール低級アルキル、アリール、ハロ、複素環式、複素環式低級アルキル、低級アルキル複素環式、低級シクロアルキル、低級シクロアルキル低級アルキル、又はZ−Yであって、その場合、R及びRは、非置換であってもよいか又は少なくとも1つの電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
ZはO、S、S(O)、NR、又はPRであり;
Yは水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、複素環式、複素環式低級アルキルであり、及びYは非置換でもよいか又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されてもよく、又は
ZYは一緒になってNRNR、NROR、ONR、OPR、PROR、SNR、NRSR、SPR若しくはPRSR、NRPR若しくはPRNR
【化14】

であり;
、R、及びRは、独立に、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルであって、その場合、R、R及びRは非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
はCOOR又はCOR、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、低級アルケニル若しくは低級アルキニルであって、Rは非置換であってもよいか、又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;
は水素又は低級アルキル、又はアリール低級アルキルであって、及び該アリール基又はアルキル基は、非置換でもよいか又は電子吸引基若しくは電子供与基で置換されてもよく;及び
nは1〜4であり;及び
aは1〜3である)
を有する前記方法。
【請求項51】
電子吸引基及び電子供与基を、ハロ、ニトロ、カルボキシ、低級アルケニル、低級アルキニル、ホルミル、カルボキシアミド、トリフルオロメチル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、メルカプト、低級アルキルチオ、及び低級アルキルジチオから成る群より選択する請求項1に記載の方法。
【請求項52】
電子吸引基及び電子供与基を、ハロ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニル、低級アルキニル、ホルミル、アリール、アリール低級アルカノイル、カルボキシアミド、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、アリール、アリール低級アルカノイル、トリフルオロメチル、アリールオキシ、低級アルキルチオ、メルカプト、及び低級アルキルジチオから成る群より選択する請求項20に記載の方法。
【請求項53】
電子吸引基及び電子供与基を、ハロ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルケニル、低級アルキニル、ホルミル、アリール、アリール低級アルカノイル、カルボキシアミド、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、アリール、アリール低級アルカノイル、トリフルオロメチル、アリールオキシ、低級アルキルチオ、メルカプト、及び低級アルキルジチオから成る群より選択する請求項35に記載の方法。
【請求項54】
電子吸引基及び電子供与基を、ハロ、ニトロ、カルボキシ、低級アルケニル、低級アルキニル、ホルミル、カルボキシアミド、トリフルオロメチル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、メルカプト、低級アルキルチオ、及び低級アルキルジチオから成る群より選択する請求項50に記載の方法。
【請求項55】
及びRで置換される炭素原子が、D配置中にある請求項1に記載の方法。
【請求項56】
及びRで置換される炭素原子が、D配置中にある請求項20に記載の方法。
【請求項57】
及びRで置換される炭素原子が、D配置中にある請求項35に記載の方法。
【請求項58】
該化合物が、下式:
【化15】

(式中、
Arは、非置換であるか、又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されるアリールであり、及び
Qは低級アルコキシである)で表される請求項1に記載の方法。
【請求項59】
Arが、非置換アリールであるか、又はハロで置換されるアリールである請求項56に記載の方法。
【請求項60】
Qが、メトキシである請求項56に記載の方法。
【請求項61】
Qがメトキシであり、及びArが非置換アリールであるか又はハロで置換されるアリールである請求項56に記載の方法。
【請求項62】
CHQに結合される炭素原子が、D配置中にある請求項56に記載の方法。
【請求項63】
該化合物が、下式:
【化16】

(式中、
Arが、非置換アリールか、又はハロで置換されるアリールであり、及び
Qが低級アルコキシである)を有する請求項20に記載の方法。
【請求項64】
Qが、メトキシである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
Qがメトキシであり、及びArが非置換アリールであるか又はハロで置換されるアリールである請求項63に記載の方法。
【請求項66】
CHQに結合される炭素原子が、D配置中にある請求項63に記載の方法。
【請求項67】
CHQに結合される炭素原子が、D配置中にある請求項63に記載の方法。
【請求項68】
該化合物が、下式:
【化17】

(式中、
Arが、非置換であるか、又は電子供与基若しくは電子吸引基で置換されるアリールであり、及び
Qが低級アルコキシである)で表される請求項35に記載の方法。
【請求項69】
Arが、非置換アリールであるか、又はハロで置換されるアリールである請求項68に記載の方法。
【請求項70】
Qが、メトキシである請求項68に記載の方法。
【請求項71】
Qがメトキシであり、及びArが非置換アリールであるか又はハロで置換されるアリールである請求項68に記載の方法。
【請求項72】
CHQに結合される炭素原子が、D配置中にある請求項68に記載の方法。

【公開番号】特開2009−108090(P2009−108090A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−304255(P2008−304255)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【分割の表示】特願2002−520843(P2002−520843)の分割
【原出願日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願人】(594063278)リサーチ コーポレイション テクノロジーズ,インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Research Corporation Technologies, Inc.
【Fターム(参考)】