説明

アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水性炭酸媒体

本発明は、脱塩水に可溶性ではないアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水性媒体に関し、前記媒体が、少なくとも60質量%の水性相の含有率及びアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する40質量%までの固体含有率を有することを特徴とし、その際水性相は、媒体中で溶質の形で存在するべきであるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーをもたらす十分な量の二酸化炭素によって装填される。前記水性相は、有利に医薬品組成物又は機能性食品組成物又は化粧品組成物の噴霧被覆又は結合のための被覆又は結合溶液として使用されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、機能性食品又は化粧品調合物において使用されるべきアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水溶液又は分散液の分野に関する。
【0002】
技術背景
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、例えば薬学の分野において被覆剤又は結合剤として使用されることがよく知られている(US 4,705,695)。
【0003】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル30〜80質量%、及びアルキル基において第三級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%の重合単位からなってよい。EUDRAGIT(登録商標)E及びEUDRAGIT(登録商標)EPOは、前記種類のポリマー又はコポリマーに関する例であり、メチルメタクリレート25質量%、ブチルメタクリレート25質量%及びジメチルアミノエチルメタクリレート50質量%の重合単位からなる。
【0004】
前記種類のポリマーは、有機溶剤中で可溶性であるが、しかし純粋又は脱塩水中で不溶性である。アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、pH5.0未満の水性干渉媒体中で可溶性であるが、それより高いpH値では不溶性である。従って、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、通常、胃の中での急速な活性成分放出と組み合わせて口の中での味の遮蔽効果を実現するための医薬組成物の被覆のために使用される。アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、吸湿を妨げるために医薬組成物の貯蔵安定性に対してポジティブな効果を示してもよい。
【0005】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーでの被覆は、噴霧適用によって有機溶液から容易に適用されうる。しかしながら、有機溶液は、現在ではますます一般の環境及び健康問題によって避けられている。従って、被覆溶液の水性分散液は、通常好ましい有機溶液を超える。
【0006】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの場合において、好ましい水性分散液は、部分的に該ポリマー又はコポリマー中のアミノ基の酸の添加による中和によって製造されうる(US 4,705,695)。しかしながら、純粋な酸、例えばHClの添加は、例えば味覚遮蔽性又は貯蔵安定性に対するポジティブな効果を減少する可能性がある。しばしば粉末の形状での使用及びある乳化剤又は脂肪有機酸又はルコールの添加は、それらの問題を克服する手助けをしてよい。
【0007】
WO02067906A1(US20030064036A1)は、例えば、実質的に
(a)アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC1〜C4−アルキルエステル、及び他の機能的第三級アミノ基を含有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーからなるポリマー又はコポリマーであって、平均粒子サイズ1〜40μmを有する粉末の形であるポリマー又はコポリマー、
(b)(a)に対して、少なくとも14のHLB値を有する乳化剤3〜15質量%、
(c)(a)に対して、C12〜C18−モノカルボン酸又はC12〜C18ヒドロキシル化合物5〜50質量%
からなる、改良した貯蔵安定性を有する被覆剤及び結合剤を記載している。
【0008】
本発明の有益な効果の1つは、有効な味の遮蔽であり、透湿率を低減する。本発明の実施例の分散剤加工時間は、約3〜6時間である。しかしながら、しばしば、粉末の形でのアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの使用は、粉塵の問題を生じる可能性がある。それらは、一般に、より多い量の少なくとも1つの付形剤の添加を避ける傾向もある。
【0009】
問題及び解決
本発明の目的は、前記で議論した問題を避ける、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの安定した水性形を提供することであった。
【0010】
前記問題は、脱塩水に可溶性ではないアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水性媒体によって解決され、前記媒体が、少なくとも60質量%の水性相の含有率及びアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する40質量%までの固体含有率を有することを特徴とし、その際水性相は、媒体中で溶質の形で存在するべきであるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーをもたらす二酸化炭素の十分な量によって装填される。
【0011】
驚くべきことに、二酸化炭素で炭酸化した水性媒体が、アミノ(メタ)アクリレートポリマーもしくはコポリマーの溶液又は分散液を実現するために使用されうる。アミノ基は、少なくとも部分的にカルボン酸/水性相中で溶解する炭酸水素塩によって中和され、そしてアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、少なくとも分散し、部分的に溶解もしくはさらに完全に溶解するか、又はそれらの条件間でいくらか溶解する。
【0012】
この挙動は、アミノ(メタ)アクリレートポリマーの炭酸溶液中でポリマーのプロトン化したアミノ基の存在を示す、Raman分光法解析によって認識されている(1392cm-1及び1406cm-1でのシグナルの消失及び1396cm-1での広い吸収ピークの出現)。
【0013】
炭酸水素媒体を含有する本発明のアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、同様の方法で有機溶剤溶液中で容易に取り扱うことができる。しかしながら、この場合、有機溶剤は、炭酸水以外に取り除かれない。これは、本発明の分散液又は溶液から製造された乾燥した被覆が、二酸化炭素が上記で取り除かれるため、多かれ少なかれ純粋なアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーからなることを意味する。これは、当業者から公知の水性分散液を超えた著しい利点であり、酸又は他の付形剤は、常に、乾燥したアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーに残っている。長時間、例えば少なくとも6ヶ月以上の間、安定な範囲に留まらせる、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーと二酸化炭素との相互作用の均衡がある。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、脱塩水中で可溶性ではないアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水性媒体に関する。
【0015】
水性相/含水率/固体含有率
本発明の意味において水性相は、少なくとも大部分が、実質的に、又はほとんどもしくは正確に100%の液相を含有する水を意味する。水に可溶性の液体、例えばエタノール、アセトン又はイソプロパノールによって水の一定の量を置換することができる。これは、微生物の成長を妨げる目的のための、又は溶液の特性(例えば噴霧化)もしくは最終生成物の特性を改良する目的のための利点であってよい。本発明の意味において、水性相は、水可溶性又は混和性の液体40%(質量/質量)以下、より好ましくは30%(w/w)以下、最も好ましくは20%(w/w)以下である量を含有してよい。あらゆる場合において、得られた溶液は、易燃性を有しない。水性相において、水及び水に可溶性の液体は、100%まで添加する。最も好ましくは、水性相の水は、水100%までである。
【0016】
前記媒体は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の水性相の含有率を有し、かつ40質量%まで、30質量%まで、20質量%まで又は10質量%までの固体含有率を有してよい。固体含有率は、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの含有率と同一であってよい。しかしながら、固体含有率は、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマー及びさらに付形剤を含有してもよい。液体、100℃より高い沸点を有する蒸発しない付形剤は、固体相に属すると考えられる。前記水性相及び固体相は、通常又は実質的に100%まで添加する。媒体中又は水性相中での二酸化炭素/炭酸の存在は、計算で無視されうる。
【0017】
粘度
本発明の水性媒体は、該媒体の粘度が5〜150mPa・s、有利には5〜40mPa・s、最も有利には8〜15mPa・sであることが特徴付けられてよい。この粘度範囲において、本発明の水性媒体は、非常に良好に、噴霧被覆のために又は結合溶液もしくは分散剤として使用されうる。ほとんど好ましくないが、しかし可能でもあり、特に溶液が結合剤として使用される場合に、その粘度は、非常に高い、例えば150mPa・sより高く、10000mPa・sまでであってよい。該粘度は、ISO 3219:1993 − Plastics−Polymers/Resins in the liquid state or as emulsions or dispersions − Determination of viscosity using a rotational viscometer with defined shear rateに従って測定してよい。
【0018】
二酸化炭素含有率/pH値
水性相を、水性相中での二酸化炭素/炭酸/炭酸水素とポリマー又はコポリマーのアミノ基との相互作用のために、可溶性になり、又はそれぞれ媒体中で溶質の形で存在するべきであるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーをもたらす二酸化炭素の十分な量によって装填する。十分は、既に十分であるか又はそれ以上を意味する。
【0019】
水性相中で可溶性になるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマー及びアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーが溶質の状態で安定して残っているpHウィンドウを付与するために装填される必要がある二酸化炭素の量は、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマー自体に依存する。溶解性に影響を及ぼす要因は、主に、前記ポリマー又はコポリマー及びその全体のモノマー組成物の濃度、特にアミノ基を有するモノマーの量であってよい。他の要因、例えば分子量が、溶解性に影響を及ぼしてもよい。しかしながら、本発明の知識に関して、当業者は、容易に、溶解性になる種々のアミノ(メタ)アクリルポリマー又はコポリマーを付与するために水性相中に装填されるべきであり、かつ一定のアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーが以下:
【化1】

記載される平衡状態に基づいて、溶質の状態で安定である適したpHウィンドウを見出すことができる、二酸化炭素の適した量を適用することができる。
【0020】
25℃での水和平衡定数は、Kh=1.70×10-3であり、従って、大部分の二酸化炭素は、炭酸に転化されず、かつCO2分子として安定である。触媒の不在下で、前記平衡は極めてゆっくりと達する。速度定数は、前方の反応(CO2+H2O→H2CO3)に関しては0.039s-1であり、かつ逆反応(H2CO3→CO2+H2O)に関しては23s-1である。炭酸は、ソーダ(例えば炭酸水)等の製造において使用される。
【0021】
与えられた温度で、純粋な炭酸水溶液の(又は純粋なCO2溶液の)組成は、前記溶液の二酸化炭素の部分圧によって完全に測定される。この組成を計算するために、3つの異なる炭酸形(H2CO3、HCO3-及びCO32-)の平衡、並びに定数Kh=[H2CO3]/[CO2](上述参照)での溶解したCO2とH2CO3との水和平衡及び溶液での溶解したCO2とガス状CO2との次の平衡:
【化2】

を考慮に入れる必要がある。
【0022】
比較条件及び中性条件と共に対応する平衡式は、溶液の組成が完全に決定されていることを示す、6つの公知ではない[CO2]、[H2CO3]、[H+]、[OH-]、[HCO3-]及び[CO32-]に関する6つの式をもたらす。[H+]に関して得られた式は、数値的な溶液が、pH及び異なる種類の濃度に関する次の値を得る三次式である:
【表1】

・圧力の合計範囲において、pHは常にpKa2よりも多く、その結果CO32-濃度は、HCO3-濃度に対して常に無視してよい。実際に、CO32-は、計算値では量的な役割を果たさない(以下の注釈を参照)。
・消滅に関して、pHは、純水(pH=7)に近く、かつ溶解した炭素は、実質的にHCO3-型である。
・常圧条件に関して、わずかに酸の溶液(pH=5.7)であり、かつ溶解した炭素は、実質的にCO2型である。この圧力から、[OH-]は無視してもよく、その結果溶液のイオン化した部分は、H+とHCO3-との等モル混合物である。
・典型的に炭酸飲料ボトル中でのCO2圧力(約2.5atm)に関して、溶解したCO2の高い濃度を有する比較的酸性の媒体(pH=3.7)である。これらの特徴は、それらの飲料の酸味及びスパークリングの味に寄与する。
【0023】
2.5〜10atmで、pHは、高圧で優位なH2CO3濃度(HCO3-に対して)を得るpKa1値(3.60)を超える。
【0024】
可溶性になるべき又はそれぞれ媒体中で溶質の形で存在するべきアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーをもたらす二酸化炭素の十分な量は、分散状態から可溶性の状態まで水中で存在する場合に、少なくとも十分にアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを転化するべきであると定義されうる。大まかなルールとして、25℃で常圧条件下(1bar)で二酸化炭素で装填される水性媒体は、分散したポリマー可溶化物を製造するために十分な量の炭酸を含有する。可溶化の状態は、混濁した分散液が透明になり、かつ室温(約25.0℃)及び常圧(1bar)でpH5.5〜pH8.0、及びpH6.0〜7.5及びpH6.7〜pH7.4及びpH6.8〜pH7.3の範囲内で安定する場合に、達せられる。
【0025】
大まかなルールとして、25℃で常圧条件下で二酸化炭素で装填される脱塩水は、そのpHが4.0〜5.5である場合に、十分な量の炭酸を含有する。この状態において、脱塩水は、コポリマーが水中に溶解する場合に、可溶化になる、メチルメタクリレート25質量%、ブチルメタクリレート25質量%、ジメチルアミノエチルメタクリレート(EUDRAGIT(登録商標)E)50質量%の重合単位からなるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの少なくとも25質量%を転化するために、二酸化炭素で十分に装填されるべきである。
【0026】
圧力下、例えば2〜10barで、さらにより多くの二酸化炭素が水中に装填されてよく、その結果約pH3.5のpH値が達せられうる。この状態において、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの40%までのさらに多い量は、水中で溶質になるために転化されてよい。
【0027】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーはが装填された水中で撹拌され、かつ溶質になる場合に、そのpHは増加し、かつ例えば5.5〜8.0の範囲内であってよい。
【0028】
水中での二酸化炭素の十分な量は、例えば、メチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%及びジメチルアミノエチルメタクリレート(EUDRAGIT(登録商標)E−タイプ)60〜40質量%の重合単位からなるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマー、有利にはメチルメタクリレート25質量%、ブチルメタクリレート25質量%及びジメチルアミノエチルメタクリレート(EUDRAGIT(登録商標)E)50質量%の重合単位からなるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーが、媒体中で12〜22質量%、有利には15質量%の量で存在し、かつ該媒体がpH6.7〜7.3、有利にはpH6.8〜7.2で透明である場合に、存在する。
【0029】
水中での二酸化炭素の量が、周囲空気に対して二酸化炭素の放出を増加することによって臨界値まで減少する場合に、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマー中の中和されたアミノ基の量は、溶液中でアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを維持するためには低すぎる量になることが想定される。これは、直接観察され、かつ臨界値を越えた媒体のpHの増加によって特徴付けられる。特定の場合において、媒体の臨界的なpH範囲は、pH7.2〜7.3であってよい。媒体のpHがこれらの値を超過する場合に、媒体は、よりいっそう混濁し、そしてアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、不溶性になりそして沈澱する。
【0030】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマー
炭酸水性媒体は、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの40質量%まで、30質量%まで、25質量%までを含有してよい。実質的なアプローチから、12〜22質量%のポリマー又はコポリマー含有率は、実施するために、特に噴霧被覆のために極めて適している。
【0031】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、有利には、アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルの及びアルキル基中に第三級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーの重合単位からなるコポリマーである。
【0032】
アミノ(メタ)アクリレートコポリマーを有利には含有する、又は実質的に含有する、又は含有する炭酸水性媒体は、アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル30〜80質量%、及びアルキル基において第三級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%の重合単位からなる。
【0033】
アミノ(メタ)アクリレートコポリマーを有利には含有する、又は実質的に含有する、又は含有する炭酸水性媒体は、メチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%、及びジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%の重合単位からなる。
【0034】
アミノ(メタ)アクリレートコポリマー
コポリマー成分(a)は、いわゆる"アミノメタクリレートコポリマー(USP/NF)"、"塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー(Ph.Eur)"又はEUDRAGIT(登録商標)Eである"アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(JPE)"であってよい。
【0035】
アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、有利には、EUDRAGIT(登録商標)Eタイプのコポリマーである。適した(メタ)アクリレートコポリマーは、例えばEP 0 058 765 B1から公知である。
【0036】
アミノ(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、アクリル酸の又はメタクリル酸遊離基重合したC1〜C4−アルキルエステル30〜80質量%、及びアルキル基中で第三級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%からなってよい。
【0037】
官能性第三級アミノ基を有する適したモノマーは、US 4 705 695の3列64行目〜4列13行目において詳述されている。特にジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノベンジルアクリレート、ジメチルアミノベンジルメタクリレート、(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレート、ジメチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレート、(3−ジエチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルアクリレート、ジエチルアミノ−2,2−ジメチル)プロピルメタクリレート及びジエチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。特に、ジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましい。
【0038】
コポリマー中で第三級アミノ基を有するモノマーの含有率は、有利には、20〜70質量%、有利には40〜60質量%であってよい。アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルの割合は、70〜30質量%である。メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレートが挙げられる。
【0039】
適したアミノ(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、メチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%、及びジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%から重合されてよい。
【0040】
特に好ましい市販のアミノ(メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート25質量%、ブチルメタクリレート25質量%、及びジメチルアミノエチルメタクリレート(EUDRAGIT(登録商標)E100又はEUDRAGIT(登録商標)E PO(粉末型))50質量%から形成される。EUDRAGIT(登録商標)E100及びEUDRAGIT(登録商標)E POは、約pH5.0未満で水溶性であり、かつ従って胃酸に可溶性でもある。
【0041】
付形剤
媒体は、水、二酸化炭素(二酸化炭素/炭酸/炭酸水素)及びアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーのみを含有してよく、又は医薬又は機能性食品又は化粧品の分野において通常使用されているさらなる付形剤を含有してよい。これらの付形剤の種類は、当業者によく知られているが、しかし本発明に決定的ではない。
【0042】
それらの化学的性質のために、又はそれらの濃度のためにアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーと化学的に相互作用し、かつ従ってアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの溶解性を妨げうる付形剤が除かれることは自明である。かかる望ましくない化学相互作用は、さらに、より高い味覚の遮蔽又は防湿効果を妨げうる。もちろんアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーは、本発明の意味において付形剤ではない。もちろん二酸化炭素は、本発明の意味において付形剤ではない。しかしながら、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーではないポリマー又はコポリマーは、それらが前記の議論した意味において本発明に関して決定的ではない限り、付形剤として使用されてよい。アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーと相互作用しうるアニオンポリマー又はアニオン(メタ)アクリレートコポリマーは除かれてよい。
【0043】
炭酸水素媒体は、通常、薬学、機能性食品又は化粧品において使用される付形剤が含まれてよいことを特徴とする。
【0044】
有利には、付形剤は、抗酸化剤、光沢剤、調味料、流動剤、フレグランス、滑剤(離型剤)、浸透促進剤、顔料、可塑剤、ポリマー、孔形成剤、もしくは安定剤、又はそれらの組合せの種類から選択される。
【0045】
医薬品、機能性食品、又は化粧品付形剤の用語は、当業者によく知られている。多くの付形剤は、薬学において使用されるが、しかし機能性食品又は化粧品の分野においても使用され、時には通常の添加剤とも言われる。もちろん、常に、毒物学的に認容性であり、かつ消費者又は患者に関する危険性がない特に食品において又は薬品において使用可能である、使用されるすべての付形剤又は通常の添加剤のために必要である。
【0046】
医薬品分野における要求が通常より高いが、医薬品目的のために使用される付形剤の広い重複があり、かつ機能性食品又は化粧品目的のために使用される。通常、全ての医薬品付形剤は、機能性食品又は化粧品目的のために使用されてよく、かつ少なくとも多数の機能性食品の付形剤は、同様に医薬品目的のために使用されることが可能である。付形剤は、本発明の調合物に、有利には顆粒の製造又は粉末の混合中に添加されてよい。
【0047】
医薬品、機能性食品又は化粧品の付形剤は、実質的な理由のために、例えば粘着性を妨げるために又は色を添加するために含まれてよい。しかしながら、それらの付形剤は、通常、付与されず、又はあらゆる又はほとんど本発明自体の請求された効果を示さない。それらは、加工補助剤として使用されてよく、かつ確かな及び再現性のある製造プロセス並びに良好な直保存を可能にすることを意図し、又はそれらは、医薬品型において有利な特性の追加を達成する。それらは、加工前にポリマー調合物に添加され、かつ被覆の浸透性に影響される。この特性は、必要な場合に追加の調整パラメータとして使用されうる。もちろん、使用される全ての種類の付形剤は、毒物学的に安全である必要があり、かつ消費者又は患者に関する危険性なしに化粧品、機能性食品又は医薬品において使用されるべきである。
【0048】
滑剤/離型剤:
離型剤は、通常親油性を有し、かつ通常懸濁液を噴霧するために添加される。それらは、膜形成中にコアのアグロメレーションを妨げる。それらは、有利にはタルク、ステアリン酸Mg又はステアリン酸Ca、研磨シリカ、溶融シリカ、カオリン又はHLB値3〜8を有する非イオン乳化剤である。グリセロールモノステアリン酸(GMS)が好ましい。付形剤が滑剤である場合に、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーに対して、1〜100質量%、有利には5〜15質量%の濃度で含まれてよい。
【0049】
顔料:
ごくまれに、顔料が可溶型で添加される。一般に、酸化アルミニウム又は酸化鉄顔料が分散型で使用される。二酸化チタンは、白色顔料として使用される。付形剤が顔料である場合に、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーに対して、200質量%までの濃度で含まれてよい。
【0050】
可塑剤
可塑剤は、ポリマー混合物のポリマーと物理的相互反応を介して、添加した量に依存して、ガラス転移温度における低減及び膜形成の促進を達成する。適した物質は、通常、分子量100〜20000を有し、かつ分子中に1つ以上の親水性基、例えばヒドロキシル基、エステル基又はアミノ基を含有する。
【0051】
適した可塑剤の例は、クエン酸アルキル、グリセロールエステル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル及びポリエチレングリコール200〜12000である。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル及びセバシン酸ジブチル(DBS)である。さらに、通常室温で液体であるエステル、例えばシトレート、フタレート、セバセート又はひまし油が挙げられる。クエン酸及びセバシン酸のエステルが有利には使用される。C12〜C18モノカルボン酸、特にステアリン酸の、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーに対して5〜25質量%、有利には5〜15質量%の濃度での添加は、水蒸気透過率を減少するとみられる。
【0052】
可塑剤の調合物への添加は、公知の方法で、直接、水溶液中に、又は混合物の熱前処理後に実施されうる。可塑剤の混合物を使用することも可能である。付形剤が可塑剤である場合に、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーに対して、50質量%まで、有利には2〜25質量%の濃度で含まれてよい。
【0053】
最も有利には、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル及び/又はステアリン酸が含まれる。
【0054】
可塑剤、例えばクエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチルは、0.5〜10質量%又は1〜5質量%の比較的少量で含まれてよい。
【0055】
貯蔵
溶質アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーが再度不溶性及び沈殿物になる危険性を避けるために、水性媒体から二酸化炭素の放出又は消失を妨げるべきである。従って、炭酸水性媒体は、有利には、二酸化炭素雰囲気下で開口又は閉じた容器で貯蔵されてよい。好ましい容器は、二酸化炭素の拡散又は漏れを妨げるためにポリマー材料又は金属からなる。好ましい容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートから製造される。かかる容器中で、本発明の水性媒体を、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの沈澱無しに、数ヶ月又はそれ以上の期間、安定した形で貯蔵することができる。容器を1度開いた場合に、含まれている媒体は、通常、少なくとも数時間は、さらなる被覆又は結合プロセスのために安定した形で使用されうる。媒体の残りが容器中に残っている場合に、その媒体は、再度閉じて貯蔵する前に、二酸化炭素ガスを添加することを推奨する。
【0056】
プロセス
本発明は、水性相を炭酸で装填し、そしてその中に純水で不溶性であるが、水を装填した炭酸中で可溶性であるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを溶解することによって炭酸水性媒体を製造するための方法を開示している。
【0057】
前記プロセスは、水性相が、ガス状の炭酸と水とを、常圧状態で又は10barまで、有利には2〜8barの圧力下で接触することによって、飽和点まで炭酸を装填することを特徴としてよい。適した加工温度は、10〜60℃の範囲内であってよい。
【0058】
前記プロセスは、ガス状の炭酸と、水性相とを、圧力反応器中で、100〜1000mbarの圧力下で接触し、通常状態まで圧力を減らし、そして続いてアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを、炭酸水性相中で、ポリマー又はコポリマーが完全に溶解するまで溶解することによって、飽和点まで炭酸を装填することを特徴としてよい。
【0059】
使用/適用
本発明は、アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水性媒体の、医薬品組成物、有利にはペレット、顆粒、ミニタブレット、タブレットもしくはカプセル、又は機能性食品組成物、又は化粧品組成物の噴霧被覆又は結合のための使用を開示している。被覆溶液としての使用は、他の被覆との組合せで、サブコート又はトップコートとしての使用を含む。
【0060】
機能性食品
機能性食品は、ヒトの健康に対する医薬効果を有することを要求した食品の抜粋として定義されうる。機能性食品は、通常、医療用の形で、例えば処方された投与量でのカプセル、タブレット又は粉末中で含まれる。機能性食品の例は、抗酸化剤としてのグレープ生成物、可溶性食物繊維生成物、例えば高コレステロール血を減らすためのオオバコの種の殻、ガン予防としてのブロッコリー(スルファン)、及び動脈の健康を改良するための大豆又はクローバー(イソフラボノイド)からのレスベラトロールである。他の機能性食品の例は、フラボノイド、抗酸化剤、アマニからのアルファ−リノール酸、マリーゴールドの花弁からのベータ−カロテン又はベリーからのアントシアニンである。時に、表現"neutraceutical"は、"nutraceutical"(機能性食品)の同義語として使用される。
【0061】
化粧品
化粧品は、人体の外観又はにおいを高める又は保護するために使用される物質である。典型的な化粧品活性成分は、ビタミン、植物化学物質、酵素、抗酸化剤、及び精油を含んでよい。化粧品は、スキンケアクリーム、ローション、粉末、香料、リップスティック、指の爪磨き及び足の爪磨き、目及び顔のメークアップ、パーマ、カラーコンタクトレンズ、ヘアカラー、ヘアスプレー及びジェル、デオドラント、乳児用製品、バスオイル、バブルバス、バスソルト、バター、並びに多くの他のタイプの製品を含んでよい。それらの使用は、特に女性だけでなく男性にも普及している。化粧品のサブセットは、本質的に使用者の外観を変えることを意図した着色生成物を言う"メークアップ"と言われる。多くの製造者は、化粧用の化粧品と、ケア用の化粧品を区別している。化粧品という用語は、局所的に適用型、例えばいわゆる薬用化粧品、及び経口摂取型、例えばいわゆるニュートリコスメティックス(nutricosmetics)を含む。
【0062】
実施例
使用したコポリマー:EUDRAGIT(登録商標)E及びEUDRAGIT(登録商標)E PO
EUDRAGIT(登録商標)Eは、メチルメタクリレート25質量%、ブチルメタクリレート25質量%及びジメチルアミノエチルメタクリレート50質量%からなるコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)Eは、粒子状である。EUDRAGIT(登録商標)E POは、粉末状である。
【0063】
実施例1(E1):通常状態での炭酸EUDRAGIT(登録商標)E溶液の少ない研究室スケールの製造
1リットルのPEビーカー中に、水465gを注入した。その後に、水中で、溶解機プレート(直径5cm)を有する通常の撹拌機を使用して1000Rpmで、TEC15gを溶解した。EUDRAGIT(登録商標)E 100顆粒(直径1〜3mm)75gを、Ultra Turraxを使用して22000rpmで5分間分散した。そしてシメチコン分散液(5%)3.5gを添加し、そして採取的に水を600g添加した。溶解機プレートを有する通常の撹拌機を使用して500rpmでの撹拌下で、その分散液を、通常状態、通常温度(25℃)及び常圧(1013mbar)で液体を超えて24時間炭化した。弱い混濁溶液を得た。溶液を含有する12.5%EUDRAGIT(登録商標)E(炭化前の量)の粘度は、25℃で5.6mPa*sであった。新たに製造した炭化溶液のpHは6.75であった。その溶液を、1リットルのポリエチレンテレフタレート(PET)ボトル中で、ポリエチレンセルロースで濾過した。
【0064】
実施例2(E2):圧力下で炭化EUDRAGIT(登録商標)E溶液の中間スケール(20質量%)での製造
水2.4kgを、5リットルのビーカー中に注入した。そしてEUDRAGIT(登録商標)E 600gを、15分間2000rpmで、溶解機プレート(直径5cm)を有する通常の撹拌機を使用して分散した。その懸濁液3kgを、CO2を供給しながら6.4リットルのステンレス鋼反応器中に注入させた。その反応器を冷却し、そしてプロペラ撹拌機を、約150rpmで、5.0bar(CO2圧力)下で設定した。回転速度を、15分後に、約350rpmまで増加した。全体のプロセス時間(約7時間)中に、CO2圧力を、30分間毎に約5barまで調整した(1分間の圧力は3.6barであった)。最終生成物は、透明で、わずかに燃性の黄色い溶液であった。続いて、その圧力を、常圧(約2時間)まで低減させ、生成物を1リットルのPETボトル中に注入した。最終収率は、EUDRAGIT(登録商標)E溶液の2800g、20質量%であった。そのpH値は6.8であり、そして粘度は25℃で14mPa*sであった。
【0065】
実施例3(E3):圧力下で炭化EUDRAGIT(登録商標)E溶液の中間スケール(30質量%)での製造
水2.8kgを、CO2を供給しながら6.4リットルの反応器中に注入した。そして、1.2kgのEUDRAGIT(登録商標)E 100を、撹拌下で300rpmでプロペラ撹拌機(直径7cm)で添加した。その反応器を冷却し、そしてプロペラ撹拌機を、約550rpmに設定し、そしてCO2圧力を、5.0bar下に設定した。25℃で6時間の全体のプロセス時間中に、CO2圧力を、30分間毎に5barに調整した(1分間の圧力は3.4barであった)。続いて、その圧力を、常圧(約1時間)まで低減させ、生成物を1リットルのPETボトル中に注入した。そのボトルを、泡が形成されるため直ちに閉じた。最終収率は、3.5kgであった。その粘度は、23℃で138mPa*sであった。
【0066】
実施例4(E4):E2及びE3のEUDRAGIT(登録商標)E炭化溶液のpH値の比較
E2及びE3の溶液を、ネジキャップで閉じた30mlのガラスボトル中に満たした。EUDRAGIT(登録商標)E炭化溶液10%(w/w)を、水でE2溶液20%の希釈によって得た。それぞれの測定時間で、試料ボトルを、3分以下の間で開口し、そしてpH電極を、穏やかな撹拌下で未転化の溶液中に浸漬した。2〜8℃での冷蔵庫中での貯蔵中に、沈澱は観察されなかった。しかしながら、EUDRAGIT(登録商標)E粒子の沈澱は、pHが、7.3〜7.5以上の範囲の値に達した後に観察された。試料ボトルを測定のために開口する度に、わずかな超過圧力を、溶液からのCO2の少量の放出を示すことを官能的に認識することができた(スパークリング水のボトルを開口するときと同様の音)。結果を、第1表において記載する。ポリマーの濃度が高くなると、ポリマーの沈澱の最初の検出を認識することができるpHが低くなった。
【表2】

*=乾燥粒子が溶液中で見出され、ほとんどの溶液がまだ透明なままであった。
【0067】
実施例5(E5):実験的アプローチ:開口容器中のEUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液の粘度及びpHの測定
例えば噴霧被覆適用のための実験条件下で、噴霧溶液を、約2〜4時間、開口容器から、通常ボトルから、浸漬することは、通常の実施である。従って、EUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液が、4時間開口ボトル容器中での沈澱のサイン無しに安定なままである場合に、試験される必要がある。
【0068】
実施例2の20%(w/w)EUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液200gを、通常、被覆試験中に生じるような、開けたままである250mlのガラスボトル中に注入した。pHメーターに接続した、pH電極及び温度センサーを、液体中に挿入し、そしてそのpH値を1時間毎に4時間、撹拌しながら、溶解機プレート(直径3cm)を提供した撹拌機を使用して、約540rpm(500〜600rpm)で、及び温度23℃で測定した。同時に、試料20mlを採取し、そして回転粘度計を使用して、25℃で及び剪断率100s-1で解析した。20%EUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液の粘度は、より高いpH値をもたらす二酸化炭素の蒸発によって減少する傾向がある。しかしながら、約7.3の期待される沈澱点未満である4時間後のpH値7.12で同時に発生する沈澱のサインを認識することができなかった。結果を、第2表に記載する。
【表3】

【0069】
比較例6(C6):有機EUDRAGIT(登録商標)E 100溶液の製造
アセトン3400g、イソプロピルアルコール5100g及び水250gを、15リットルのステンレス鋼容器中に注入し、そして通常のプロペラ撹拌機(直径8cm)を使用して室温で撹拌した。1250gのEUDRAGIT(登録商標)E 100を、溶剤混合物中に分配して添加した。撹拌の強さを、溶解しない顆粒の沈降を妨げるために調整した。約45分後に、固体の物質が、透明な黄色い溶液に変化した。ポリマー含有率は12.5%であった。粘度は、12mP*s(25℃)であった。
【0070】
比較例7(C7):EUDRAGIT(登録商標)EPOを含有する水性分散液のステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウムでの製造(いわゆる標準調合物)
水1416gを、3リットルのビーカー中に、及びロータ−ステータ分散装置を使用して約5900rpmでの撹拌速度で注入し、SDS20gを添加し、その後ステアリン酸30gを添加した。1分の各反語に、E PO200gを少しずつ注入し、分散混合を適切にさせ、速度を最初に約6500rpmまで、約7400rpmに達するまで増加した。分散液を均一にしたら、その分散液を、さらに30分間撹拌する。泡の形成がすぐに始まり、その速度を落として、非常に多い泡の形成を避けた。その分散液を、泡が消失するまで(約4時間)実施したままにした。分散液の固体含有率は15%であり、収率は100%であり、溶液のpHは9.3であり、そして黄色/緑の乳白色の分散液の粘度は、10mPa*s(25℃)であった。
【0071】
実施例8(E8):E2及びC6の溶液から製造した膜の水蒸気透過率の比較
E2の炭酸溶液56.25gを、水1.13kg、及びポリマーに対してクエン酸トリエチル(TEC)2.5質量%(0.28g)と、通常の撹拌機での撹拌下で200rpmで25分間混合した。pH値6.8を有する透明な黄色い溶液を得た。
【0072】
ポリマーに対してTEC2.5質量%(0.313g)を、C6の有機溶液100g中に溶解した。双方の溶液は、数週間、沈澱の形成無しに安定であり、そして乾燥後に透明な可撓性のある膜を形成した。双方の調合物の水蒸気透過率値を測定し、そして比較するために見出した(E2:342±22及びC6:324±23g/m2/d)。
【0073】
ポリマー膜の水蒸気透過率を、DIN 53122において記載されている質量の水蒸気透過率方法の形式において、膜を介して水蒸気の分散を測定することによって解析することができる。23℃で選択された湿度は、DIN 53122に類似の85%相対湿度、チャプター8.2において記載されているような気候Dであった。
【0074】
実施例9(E9):E2のEUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液から製造した膜の水蒸気透過率に対する、ステアリン酸の添加の影響
水25.13gを、E2のEUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液56.25gに添加した。そしてステアリン酸1.13g(ポリマーに対して10質量%)を添加し、そして約1時間900rpmでの撹拌下で、すなわちpH値7.1で透明なわずかに黄色い溶液が観察されるまで溶解し、そして乾燥後に透明な可撓性の膜を形成した。E8において得られた膜と比較して、乾燥膜の水蒸気透過率値は、227±12g/m2/dまで減少した。
【0075】
比較例10(C10):TECの添加でC7のEUDRAGIT(登録商標)E分散液から製造した膜の水蒸気透過率
C7において記載したように製造した分散液を、ポリマーに対してTEC2.5%で添加した。30gを、室温でガラスプレート上で乾燥した。一昼夜の乾燥後に、乳白色の可撓性のある膜が得られた。その膜の水蒸気透過率は、229±24g/m2/dであった。
【0076】
実施例11(E11):滑剤モノステアリン酸グリセロール(GMS)10質量%の存在での、沈澱及び再分散の試験
滑剤、例えばGMSの添加は、粘着性を避けるための現実的な側面に基づいて重要である。しかしながら、滑剤は、望ましくない副作用、例えば相分離に続いて沈澱又は浮遊を生じる可能性があることが公知である。それらの望ましくない作用は、多かれ少なかれ、沈殿物を再分散させた場合に害がある可能性がある。従って、E2のEUDRAGIT(登録商標)E炭酸塩を、GMSの存在で沈澱に対する安定性に関して、及び沈澱が生じる場合にかかる沈殿物が再分散されるかどうかを試験するべきである。
【0077】
20.79gの水及び0.15gのTween(登録商標)80(ポリマーに対して4質量%)を、250mlのボトル(A)中で溶解し、その頂部をアルミニウム箔で覆い、そしてその溶液を、磁気撹拌(600rpm)下で70℃まで加熱した。続いてGMS0.38g(ポリマーに対して10質量%)を添加し、そして分散液をゆっくりと冷却しながら、撹拌速度を900rpmまで落とした。
【0078】
E2において製造した、EUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液37.5gを、TEC0.19g(ポリマーに対して2.5質量%)と共に他のボトル(B)中に注入し、そして一度閉じ、10分間600rpmで撹拌した。そしてステアリン酸0.75g(ポリマーに対して10質量%)を、約1時間900rpm出の撹拌下で、すなわち透明な黄色い溶液を観察するまで添加した。
【0079】
ボトルAからの分散液を含有するモノステアリン酸グリセロール/Tween(登録商標)80の温度が20〜30℃であったらすぐに、それをEUDRAGIT(登録商標)E水素炭酸溶液を有するボトルB中に注入し、そして1時間700℃で撹拌させる。得られた白い、混濁した細かい分散液のpH値は6.93であった。
【0080】
1週間後、その分散液(モノステアリン酸10%を有する)は、わずかに相の分離を示したが、しかし沈澱していなかった。ボトルの単純な変換による再分散後に、わずかな相分離は消失した。
【0081】
実施例12(E12):滑剤モノステアリン酸グリセロール(GMS)5質量%の存在での、沈澱及び再分散の試験
E12を、実施例E11と同様の方法で、しかしGMS5質量%で実施した。24時間後、その分散液(モノステアリン酸5%を有する)は、わずかな沈澱と共に相の分離を示した。ボトルの複数の変換による再分散後に、相分離及び沈澱は消失した。
【0082】
実施例13(E13):硫酸キニジンペレットの厳しい試験に対する、GMS及びTECを含有するEUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液での被覆試験
EUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液、GMS及びTECを含有する噴霧被覆分散液を、実施例E11において記載されているように製造したが、しかしステアリン酸及びTween(登録商標)80を使用しなかった。直径1mm〜1.2mmの硫酸キニジンペレット100gを噴霧し、EUDRAGIT(登録商標)E7.5%(乾燥物質に対して)を、底部に噴霧装置を有する通常の流動床噴霧系を使用して適用した。パラメータを第3表において挙げる。得られた易流動性ペレットの最終質量は、理論収率の98.7%に対応する、106.5gであった。結果として、ステアリン酸及びTween(登録商標)80の不在で平滑な被覆が得られた。被覆したペレットの味は中性であった。
【表4】

【0083】
比較例14(C14):EUDRAGIT(登録商標)E PO塩酸及びTECを含有するEUDRAGIT(登録商標)E溶液の製造
水50gをビーカー中に注入し、そしてプロペラ撹拌機で800rpmで撹拌しながらEUDRAGIT(登録商標)E PO15gを添加した。撹拌中に、TEC0.375g(ポリマーに対して2.5%)を添加した。分散液が均一に見えたらすぐに、1モル濃度の塩酸(HCl)20gを添加し、そして全てを同一の速度でさらに40分間撹拌させた。その終わりに、わずかに黄色い混濁した溶液を観察した。その溶液のpHは6.7であり、そしてさらに1M HCl6gを、EUDRAGIT(登録商標)Eのさらなる中和のために添加し、そして水10gを溶液の量が100gに達するまで注入した。600rpmで撹拌して3分後に、黄色く、かつ透明な溶液の最終pHは6.6であった。この溶液から形成した膜は透明で可撓性があり、再度蒸留水に溶解した。この膜材料は、1分後に、不快な苦い味を有した。
【0084】
実施例E15:EUDRAGIT(登録商標)E炭酸塩からの膜の製造
EUDRAGIT(登録商標)E炭酸水素30gを、2.5%TECを添加して、実施例E2において記載されているように製造した。その溶液を、ガラスプレート上で一昼夜、室温で乾燥した。その膜は、透明で、可撓性があり、かつ蒸留水中で不溶性であった。乾燥後の膜材料の味は、中性の味を有した。
【0085】
実施例E16:実施例E2、E9、C6及びC7からのEUDRAGIT(登録商標)Eの分散液/溶液で被覆した、テオフィリンペレットの薬局方に従った、pH6.8でテオフィリンを放出する組成物
ペレットを、実施例13において記載されているように、実施例E2、E9、C6及びC7からのEUDRAGIT(登録商標)Eの分散液/溶液で被覆した。テオフィリンで被覆した種々のEUDRAGIT(登録商標)Eの溶解試験を、USP apparatus 2に従った溶解試験装置で実施した。それぞれの試料の150mgを、0.1M HCl700mlを含む900mlのガラス容器中に添加した。その液体を、150rpmの撹拌速度で、かつ37℃で撹拌した。緩衝液pH6.8、n=3での溶解を、同様の装置条件でも解析した。採取した試料を、270nmでのオンライン−UV−光度計測を使用して解析した。全てのペレット調合物は、最大10分後に、37℃で0.1M HCl中のテオフィリンの100%の放出を示した。
【0086】
緩衝液pH6.8中でのテオフィリン放出の結果を、第4表において記載する。E9及びC7は、同様の速い放出挙動を示した(例えば60分の値を参照)。これは、E9の乾燥膜の水蒸気透過率値が227g/m2/dのみであったことから顕著である。従って、ステアリン酸のEUDRAGIT(登録商標)E炭酸溶液への添加は、速い活性成分の放出と遅い水蒸気透過率とを兼ね備える。C6(有機溶液)は、最も遅い放出を示した。E2は中間であった。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩水に可溶性ではないアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する水性媒体であって、前記媒体が、少なくとも60質量%の水性相の含有率及びアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを含有する固体の40質量%までの含有率を有し、その際水性相が、媒体中で溶質の形で存在するべきであるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーをもたらす十分な量の二酸化炭素によって装填されることを特徴とする、水性媒体。
【請求項2】
前記媒体のpHが6.7〜7.4であることを特徴とする、請求項1に記載の水性媒体。
【請求項3】
前記アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの含有率が、10〜20質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性媒体。
【請求項4】
前記媒体の粘度が、5〜150mPa・sであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水性媒体。
【請求項5】
医薬品又は機能性食品の付形剤を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水性媒体。
【請求項6】
前記医薬品又は機能性食品の付形剤が、抗酸化剤、光沢剤、着色剤、調味料、流動剤、フレグランス、滑剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、孔形成剤、又は安定剤の種類から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の水性媒体。
【請求項7】
クエン酸トリエチル及び/又はステアリン酸が含まれることを特徴とする、請求項6に記載の水性媒体。
【請求項8】
前記アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーが、アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステル30〜80質量%、及びアルキル基において第三級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー70〜20質量%の重合単位からなることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の水性媒体。
【請求項9】
前記アミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーが、メチルメタクリレート20〜30質量%、ブチルメタクリレート20〜30質量%、及びジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40質量%の重合単位からなることを特徴とする、請求項8に記載の水性媒体。
【請求項10】
二酸化炭素雰囲気下で容器中に貯蔵されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の水性媒体。
【請求項11】
ポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートから製造した容器中で貯蔵される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の水性媒体。
【請求項12】
水性相を炭酸で装填し、その中に、純水中で可溶性ではないが、しかし水性相を装填した炭酸中で可溶性であるアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを溶解することによる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の水性媒体の製造方法。
【請求項13】
前記水性相が、ガス状の炭酸と水性相とを、25℃で及び常圧状態で又は10barまでの圧力下で接触させることによって、飽和点まで炭酸を装填されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記水性相が、ガス状の炭酸と水性相とを、圧力反応器中で、100〜1000mbarの圧力下で接触させ、通常状態まで圧力を減らし、そして続いてアミノ(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーを、炭酸水性相中で、ポリマー又はコポリマーが完全に溶解するまで撹拌下で溶解することによって、飽和点まで炭酸を装填されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
ペレット、顆粒、ミニタブレット、タブレット又はカプセルの形での医薬品組成物又は機能性食品組成物又は化粧品組成物の噴霧被覆又は結合のための被覆又は結合溶液としての、請求項1から11までのいずれか1項記載の水性媒体の使用。

【公表番号】特表2013−500279(P2013−500279A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521976(P2012−521976)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059853
【国際公開番号】WO2011/012162
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】