説明

アライメントマークの形成方法及び半導体ウェーハ

【課題】 アライメントマークの形成方法及び半導体ウェーハに関し、デバイスパターンと同時に形成したアライメントマークを精度良く検出する。
【解決手段】 半導体ウェーハのアライメントマーク形成領域に凹部を形成し、前記凹部を絶縁膜で埋め込み、前記絶縁膜に前記半導体ウェーハのデバイス領域に形成するデバイスパターンと同時に、エッチングにより前記デバイスパターンの段差量より大きな段差量のアライメントマークを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アライメントマークの形成後の製造工程におけるアライメントマーくの消失を防止するためのアライメントマークの形成方法及び半導体ウェーハに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子形成工程においては、シリコンウェーハまたはシリコンウェーハ上に成長した導電性または絶縁性の材料膜をエッチングすることにより形成した半導体素子形成用パターン、即ち、デバイスパターン上に、新たなデバイスパターンを形成することがある。
【0003】
このようなシリコンウェーハ上に形成したデバイスパターンに対して別のデバイスパターンを重ねる露光工程において、良好な重ね合わせ精度を得るためには、一般的にはデバイスパターンと同時に形成したアライメントマークを使用する。このようなデバイスパターンと同時に形成したアライメントマークを使用する方法は直接合わせと呼ばれている。
【0004】
選択成長工程における埋め込みの阻止膜として使用する絶縁膜によるデバイスパターンを形成するための露光工程をPA、阻止膜として使用した絶縁膜によるデバイスパターン上の所望する位置に新たなデバイスパターンを形成するための露光工程をPBとする。直接合わせとは、露光工程PAにて同時に形成したアライメントマークを使用して、露光工程PAにて形成したデバイスパターンに対して露光工程PBで新たなデバイスパターンを重ね合わせることである。
【0005】
一方、選択成長工程における埋め込みの阻止膜として使用する絶縁膜によるデバイスパターン形成以前にシリコンウェーハ上にアライメントマーク用段差を形成するための露光工程をPSとする。間接合わせとは、露光工程PSにて形成したアライメントマークを使用して、露光工程PAにて形成したデバイスパターンに対して露光工程PBで新たなデバイスパターンを重ねあわせることである。
【0006】
ここで、直接合わせでの露光工程PAにて形成したデバイスパターンに対する露光工程PBにて形成したデバイスパターンの重ね合わせズレ量の分散をS(cAB)とする。露光工程PSにて形成したアライメントマークに対する露光工程PAにて形成したデバイスパターンの重ね合わせズレ量の分散をS(cSA)とする。また、露光工程PSにて形成したシリコン基板上のアライメントマークに対する露光工程PCにて形成したデバイスパターンの重ね合わせズレ量の分散をS(cSB)とする。
【0007】
すると、露光工程PSにて形成したアライメントマークを介した間接合わせでの露光工程PAにて形成したデバイスパターンに対する露光工程PBにて形成したデバイスパターンの重ね合わせズレ量の分散は、
S(kAB)=S(cSA)+S(cSB)
である。よって、全ての直接合わせの重ね合わせズレ量の分散が理想的な状態であり、
S(cAB)=S(cSA)=S(cSB)=CR
とすると、
S(kAB)=2×S(cAB)=2CR
であり、間接合わせを直接合わせに変更することで重ね合わせズレ量の偏差σ(kAB)は2−1/2にできる。
【0008】
このように、直接合わせを採用することによって、間接合わせに比べて重ね合わせズレ量の偏差σ(kAB)を2−1/2に低減して重ね合わせ精度を向上することができるので、ここで、図18及び図19を参照して従来のアライメントマークの形成方法を説明する。
【0009】
図18は、従来のアライメント形成方法の説明図であり、左図はデバイスパターン形成領域を示し、右図はアライメントマーク形成領域を示しており、以下においても同様である。まず、図18(a)に示すように、シリコン基板71上にデバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマークを同時に形成するための開口部を有するレジストパターン72を形成する。
【0010】
次いで、図18(b)に示すように、レジストパターン72をマスクとしてシリコン基板71をエッチングすることによってデバイスパターン73とアライメントマーク74を形成したのち、図18(c)に示すようにレジストパターン72を除去する。
【0011】
図19は、従来の他のアライメントマークの形成方法の説明図であり、ここでは、シリコン基板上に設けた絶縁膜にパターンを形成する場合を説明する。まず、図19(a)に示すように、シリコン基板81上にSiO膜82を形成したのち、SiO膜82上に、デバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマークを同時に形成するための開口部を有するレジストパターン83を形成する。
【0012】
次いで、図19(b)に示すように、レジストパターン83をマスクとしてSiO膜82をエッチングすることによってデバイスパターン用凹部84とアライメントマーク85を形成したのち、図19(c)に示すようにレジストパターン83を除去する。
【0013】
ところが、ウェーハ上にデバイスパターン段差を形成する工程と、ウェーハ上に形成した段差を有するデバイスパターンに対して別のデバイスパターンを重ねるための露光工程の間に、ウェーハ上のデバイスパターンの段差を埋め込む工程を行うことがある。この工程では、デバイスパターンと同時に形成したアライメントマークの段差も同様に埋め込まれてしまうので、この事情を図20及び図21を参照して説明する。
【0014】
図20は、絶縁膜埋込工程に伴うアライメントマーク消失の説明図であり、図20(a)に示すように、シリコン基板71にデバイスパターン73とアライメントマーク74を形成したのち、図20(b)に示すようにSiO膜75を堆積する。
【0015】
次いで、図20(c)に示すように、CMP(化学機械研磨)法を用いてシリコン基板71の表面が露出するまで研磨して平坦化して、デバイス形成領域にSTI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離絶縁膜76を形成する。この時、アライメントマーク74もSiO膜75で埋め込まれてしまう。
【0016】
図21は、選択成長工程に伴うアライメントマーク消失の説明図であり、図21(a)に示すように、SiO膜82にデバイスパターン用凹部84とアライメントマーク85を形成したのち、図21(b)に示すようにシリコンを選択成長する。この時、デバイスパターン用凹部84に選択成長シリコン層86が形成されて素子形成領域となるが、アライメントマーク85にも選択成長シリコン層87が形成されてしまう。
【0017】
このような埋込工程或いは選択成長工程の結果、アライメントマークの段差量と段差埋込量との差が小さくなり、後の露光工程において、アライメントマークを安定的に検出できなくなるという問題を生じていた。特に、アライメントマーク段差を形成する膜と段差を埋め込む材料膜との光学特性(表面反射率と内部透過率)差が近似するにしたがい、アライメントマークの検出が困難になるという問題がある。
【0018】
そこで、これらの問題に対応するために各種の提案がなされている。段差を絶縁膜で埋め込んだ後に行う平坦化工程において、アライメントマーク上の絶縁膜を除去することによるアライメントマークの機能回復と絶縁膜段差による新たなアライメントマークの形成とを行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0019】
また、段差を絶縁膜で埋め込んだ後に、CMPにより絶縁膜を平坦化した上で、アライメントマーク段差上において、絶縁膜またはシリコン基板のどちらか一方をエッチングすることが提案されている。或いは、CMPによる絶縁膜の平坦化においてアライメントマーク段差上のみ過研磨される条件を適用することによりアライメントマークの機能回復を行うことも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
また、SOI基板上に絶縁膜を阻止膜とするシリコンの選択的エピタキシャル成長による埋込構造を形成する工程を行う場合のアライメントマーク形成方法も提案されている。ここでは、SOI基板の段差によるアライメントマーク上に、選択成長を阻止するための絶縁膜を残したうえで選択的エピタキシャル成長を行うことでアライメントマークの形状劣化を防止することが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平02−164018号公報
【特許文献2】特開平11−054607号公報
【特許文献3】特開2008−016639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、特許文献1の場合には、デバイスパターンとアライメントマークの領域の深さ方向の材料構造は同一であるため、同一エッチングにおいてデバイスパターンとアライメントマークのエッチング量を個別にコントロールすることは困難である。したがって、アライメントマークとして必要な段差量がデバイス形成のために必要な段差量よりも大きい場合には、シリコン基板のエッチング段差によるアライメントマークの適用は困難になる。
【0023】
また、新たに形成した絶縁膜段差によるアライメントマークはデバイスパターンと同時に形成したアライメントマークではないため直接合わせと同等の重ね合わせ精度を得られないという問題がある。
【0024】
さらに、絶縁膜を阻止膜とするシリコンの選択的エピタキシャル成長による埋込構造を形成する工程では、デバイスパターンとアライメントマークの段差はシリコン基板が露出しているためエピタキシャル成長層で埋め込まれてしまう。シリコン基板とエピタキシャル成長層とのエッチングレートは同等であるため、シリコン基板のアライメントマーク段差形状を正確に保持したままエピタキシャル成長層を除去することが困難であるという問題がある。
【0025】
また、特許文献2の提案でも、デバイスパターンとアライメントマークの領域の深さ方向の材料構造は同一であるため、同一エッチングにおいてデバイスパターンとアライメントマークのエッチング量を個別にコントロールすることは困難である。したがって、アライメントマークとして必要な段差量がデバイス形成のために必要な段差量よりも大きい場合には、シリコン基板のエッチング段差によるアライメントマークの適用は困難であるという問題がある。
【0026】
さらに、絶縁膜を阻止膜とするシリコンの選択的エピタキシャル成長による埋込構造を形成する工程では、シリコン基板のアライメントマーク段差形状を正確に保持したままエピタキシャル成長層を除去することは困難であるという問題がある。
【0027】
また、特許文献3の提案では、絶縁膜を阻止膜とする選択成長埋込構造を形成する工程において、アライメントマークはデバイスパターンと同時に形成したマークではないため、直接合わせと同等の重ね合わせ精度を得られないという問題がある。
【0028】
このように、直接合わせの場合には、エッチングレートの関係でアライメントマーク段差形状を正確に保持したままアライメントマークの段差を埋め込んでいる膜を除去することは困難であるという問題がある。また、仮に、アライメントマークの段差を埋め込んでいる膜を除去できたとしても、アライメントマーク段差の形状劣化によりアライメントマークの検出精度の向上が見込めないという問題がある。
【0029】
一方、デバイスパターンとアライメントマークを同時に形成しないようにすれば、アライメントマークの段差量をデバイスパターンとして必要な段差量より大きくすることは可能になる。或いは、アライメントマーク段差を形成している膜とアライメントマークの段差を埋め込んでいる膜とのエッチングレートを変えるといった対応は可能である。しかし、この場合には、別のデバイスパターンを重ねるための露光工程でのアライメントは間接合わせとなるために所望のアライメントマークの検出精度の向上が見込めないという問題がある。
【0030】
したがって、本発明は、デバイスパターンと同時に形成したアライメントマークを精度良く検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
開示する一観点からは、半導体ウェーハのアライメントマーク形成領域に凹部を形成する工程と、前記凹部を絶縁膜で埋め込む工程と、前記絶縁膜に前記半導体ウェーハのデバイス領域に形成するデバイスパターンと同時に、エッチングにより前記デバイスパターンの段差量より大きな段差量のアライメントマークを形成する工程とを有することを特徴とするアライメントマークの形成方法が提供される。
【0032】
また、開示する別の観点からは、デバイス形成領域に設けたデバイスパターンと、アライメントマーク形成領域に設けた埋込絶縁膜と、前記埋込絶縁膜に形成され、前記デバイスパターンの段差量より大きな段差量を有するアライメントマークとを有することを特徴とする半導体ウェーハが提供される。
【発明の効果】
【0033】
開示のアライメントマークの形成方法及び半導体ウェーハによれば、デバイスパターンと同時に形成したアライメントマークを精度良く検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態のアライメントマークの概念的構成図である。
【図2】本発明の実施の形態のアライメントマークの形成方法の途中までの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態のアライメントマークの形成方法の図2以降の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態のアライメントマークの他の形成方法の途中までの説明図である。
【図5】本発明の実施の形態のアライメントマークの他の形成方法の図4以降の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態のアライメントマークの更に他の形成方法の途中までの説明図である。
【図7】本発明の実施の形態のアライメントマークの更に他の形成方法の図6以降の途中までの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態のアライメントマークの更に他の形成方法の図7以降の途中までの説明図である。
【図9】本発明の実施の形態のアライメントマークの更に他の形成方法の図8以降の説明図である。
【図10】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の途中までの説明図である。
【図11】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図10以降の途中までの説明図である。
【図12】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図11以降の途中までの説明図である。
【図13】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図12以降の途中までの説明図である。
【図14】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図13以降の途中までの説明図である。
【図15】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図14以降の途中までの説明図である。
【図16】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図15以降の途中までの説明図である。
【図17】本発明の実施例1の半導体装置の製造工程の図16以降の説明図である。
【図18】従来のアライメントマークの形成方法の説明図である。
【図19】従来の他のアライメントマークの形成方法の説明図である。
【図20】絶縁膜埋込工程に伴うアライメントマーク消失の説明図である。
【図21】選択成長工程に伴うアライメントマーク消失の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで、図1乃至図9を参照して、本発明の実施の形態のアライメントマーク及びその形成方法を説明する。図1は本発明の実施の形態のアライメントマークの概念的構成図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った概念的断面図である。図1に示すように、半導体基板11のアライメントマーク形成領域10にデバイスパターンの段差量より深い凹部13を形成し、この凹部13を絶縁膜14で埋め込み、この絶縁膜14にアライメントマーク17を設ける。この場合のアライメントマーク17の段差量は、後の露光工程におけるアライメントに必要な最小段差量より大きな段差量とする。
【0036】
この場合の半導体基板11は、典型的にはシリコン基板であるが、GaAs等の化合物半導体基板やSiGe基板等の他の半導体基板でも良い。また、絶縁膜14は、典型的にはSiO膜であるが、製造工程との整合性の観点からSiN等の他の絶縁膜を用いても良い。
【0037】
このように、デバイスパターンの段差量より深い凹部13にアライメントマーク17を形成しているので、デバイスパターン領域を絶縁膜で埋め込んでも、アライメントマーク17が絶縁膜で完全に埋め込まれることはなく、アライメントマークの検出が容易である。
【0038】
また、デバイスパターンを選択エピタキシャル成長法により半導体層で埋め込む場合にも、アライメントマーク17は絶縁膜14で形成されているので、アライメントマーク領域に半導体層は成長しないので、アライメントマークを精度良く検出することができる。
【0039】
なお、アライメントマーク17の底部は半導体基板11に達していても良く、この場合には、アライメントマーク17にも半導体層が選択成長するが、デバイスパターンより段差量が大きいので、アライメントマーク17が完全に埋め込まれることはない。したがって、十分余裕ある段差量を確保することができるので、アライメントマーク17の検出が容易になる。
【0040】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の実施の形態のアライメントマークの形成方法を説明するが、ここでは、選択エピタキシャル成長後の露光工程で用いるアライメントマークの形成方法として説明する。まず、図2(a)に示すように、デバイス形成領域の半導体基板11の表面を完全に覆うと共に、アライメントマーク形成領域において開口部を有するレジストパターン12を形成する。
【0041】
次いで、図2(b)に示すように、レジストパターン12をマスクとして、アライメントマーク形成領域にデバイスパターンの段差より大きな段差量1dの凹部13をエッチングにより形成する。次いで、図2(c)に示すように、SiO等の絶縁膜14で埋め込んだのち、デバイス形成領域における絶縁膜14の厚さが1dになるようにCMP法等により表面平坦化処理を行う。この時、アライメントマーク形成領域における絶縁膜14の厚さは1dとなる。
【0042】
次いで、図3(d)に示すように、絶縁膜14上にデバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマークを同時に形成するための開口部を有するレジストパターン15を形成する。
【0043】
次いで、図3(e)に示すように、レジストパターン15をマスクとして絶縁膜14をエッチングすることによって埋込用凹部16とアライメントマーク17を同時に形成する。この時、シリコンと絶縁膜のエッチングレートの差を用いて、アライメントマーク形成領域において絶縁膜14を過剰エッチングすることによって半導体基板11を露出させない深さ1dのアライメントマークを形成する。
【0044】
次いで、図3(f)に示すように、レジストパターン15を除去したのち、選択エピタキシャル成長法により半導体を成長させて、埋込用凹部を半導体層18で埋め込む。この時、アライメントマーク17の底部は絶縁膜14であるので成長阻止膜となり、半導体層は成長しない。
【0045】
次に、アライメントマーク17の深さ等に関する関係を説明する。まず、デバイス形成領域における絶縁膜14、即ち、選択成長阻止膜の厚さ1dを要求されるデバイス性能を満たす条件をもとに決定する。このエッチング量をkとすると、
1d=k>0
となる。
【0046】
図3(e)における絶縁膜14のエッチングでは、デバイスパターン領域の被エッチング領域は、絶縁膜14の残渣を全て取り除いて半導体基板11を完全に露出させておく必要がある。そこで、絶縁膜14のエッチングは、絶縁膜14を膜厚kだけエッチングしたあと余分に行う。この余分に行うエッチングをオーバーエッチングという。
【0047】
1dの値を決定したら、次に、1dの値を決定する。1dは、選択エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程においてアライメントマークとして使用するために必要な段差量を確保するための絶縁膜14のエッチング量である。この絶縁膜14のエッチング量1dは、以下の二つの観点から決定する。
【0048】
まず、第一の観点から、絶縁膜14のエッチング量1dは、選択エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程においてアライメントマークとして使用するために必要な段差量以上の大きさが必要である。ある露光工程において必要なアライメントマークの段差量は、その露光工程に対して要求されるアライメント精度を満たすための露光装置の評価により事前に決定するものであるので、1dの最小値も、1dの値と並んで最初に決定するものである。
【0049】
ここでは、事前に決定した選択エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程においてアライメントマークとして使用するために必要なアライメントマークの最小段差量をnとし、
1d≧n>0
とする。
【0050】
次に、第二の観点から、絶縁膜14のエッチング量1dは、デバイスパターン領域の絶縁膜14の被エッチング量よりも大きな量が必要である。アライメントマーク17の絶縁膜14の被エッチング領域とデバイスパターン領域の絶縁膜14の被エッチング領域は同時にエッチングが行われるため、どちらの絶縁膜14の被エッチング領域もデバイスパターン領域の絶縁膜に対するオーバーエッチングに晒される。このデバイスパターン領域の絶縁膜14に対するオーバーエッチングによりエッチングされるアライメントマーク形成領域における絶縁膜14のエッチング量をtとし、
≧0
とする。
【0051】
アライメントマーク形成領域の絶縁膜14の被エッチング領域は、半導体基板11を露出させないようにする必要があり、デバイスパターン領域の絶縁膜14に対するオーバーエッチング終了後にも絶縁膜14が存在していなければならない。即ち、デバイスパターン領域の被エッチング領域では膜厚kの絶縁膜14のエッチングが終了して半導体基板11が露出した状態となっているオーバーエッチング中も、アライメントマーク17の被エッチング領域では絶縁膜14のエッチンが行われている。したがって、デバイスパターン領域の絶縁膜14のエッチング条件から決定するアライメントマーク17の絶縁膜14のエッチング量1dは、kとtの和に等しく、
1d=k+t>0
である。
【0052】
ここで、上述の二つの観点から求めた絶縁膜14のエッチング量1dの値である、アライメントマーク17の絶縁膜14のエッチング量k+tと、アライメントマークとして使用するために必要なアライメントマークの最小段差量をnとの大小を比較する。
k+t≧n
であるなら、デバイスパターン領域の絶縁膜のエッチング条件により露光工程において必要なアライメントマークの最小段差は形成されるので、1dは、
1d=k+t≧n>0
即ち、
1d=k+t>0
である。
【0053】
なお、
k+t<n
であるなら、デバイスパターン領域の絶縁膜14のエッチング条件では、露光工程において必要なアライメントマークの最小段差nは形成されず不足しているので、アライメントマーク17の絶縁膜14のエッチング量を追加しなければならない。このアライメントマーク17の絶縁膜14の追加のエッチングは、デバイスパターン領域の絶縁膜14に対するオーバーエッチングを延長することで行う。
【0054】
ここで、デバイスパターン領域の被エッチング領域の絶縁膜14のオーバーエッチングによりエッチングされる膜厚tと区別するため、アライメントマーク17における延長して行うオーバーエッチングによりエッチングされる絶縁膜14の膜厚をtとする。k+t<nの場合にアライメントマーク17の最小段差nとして不足する絶縁膜14のエッチング量は、n−(k+t)であるので、
必要となるt2の量は、
≧n−(k+t)>0
である。したがって、1dは、
1d=k+t+t≧n>0
即ち、
1d=k+t+t>0
である。
【0055】
次に、1dの値が決定したら、更に、アライメントマーク形成領域における絶縁膜14の膜厚1dの値を決定する。アライメントマーク17の絶縁膜14の被エッチング領域は半導体基板11を露出させないようにする必要があるので、1dは1dより大きな値であることが必要である。したがって、
1d>1d
である。
【0056】
k+t≧nであるなら、
1d=k+t>0であるので、1d>1dの関係から、
1d>k+t>0
である。
【0057】
また、k+t<nであるなら、
1d=k+t+t>0であるので、
1d>k+t+t>0
である。
【0058】
この1dの値が決定したら、最後に、凹部13を形成するためのエッチング量1dの値を決定する。凹部13を予め形成する目的は、デバイスパターン領域の被エッチング領域にある膜厚kの絶縁膜14をオーバーエッチングする条件でエッチングを行っても、アライメントマーク形成領域において半導体基板11を露出させないためである。したがって、1dは、アライメントマーク形成領域の絶縁膜の膜厚1dと、選択的エピタキシャル成長の阻止膜として使用する絶縁膜14の膜厚1dとの差に等しく、
1d=1d−1d
である。
【0059】
k+t≧nであるなら、
1d>k+t>0であるので、
1d=1d−1d
となり、1d=kであるので、
1d=1d−1d>(k+t)−k>0
即ち、
1d>t>0
である。
【0060】
また、k+t<nであるなら、
1d>k+t+t>0であるので、
1d=1d−1d>(k+t+t)−k>0
即ち、
1d>t+t>0
である。
【0061】
このような関係を有するアライメントマーク17を形成することによって、選択エピタキシャル成長工程において埋込用凹部16を半導体層18で埋め込んだ場合にも、アライメントマーク17には半導体層は成長しないので最少段差nを保つことができる。
【0062】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施の形態のアライメントマークの他の形成方法を説明する。ここでも、選択エピタキシャル成長後の露光工程で用いるアライメントマークの形成方法として説明する。まず、図4(a)に示すように、デバイス形成領域の半導体基板11の表面を完全に覆うと共に、アライメントマーク形成領域において開口部を有するレジストパターン12を形成する。
【0063】
次いで、図4(b)に示すように、レジストパターン12をマスクとして、アライメントマーク形成領域にデバイスパターンの段差より大きな段差量2dの凹部13をエッチングにより形成する。次いで、図4(c)に示すように、SiO等の絶縁膜14で埋め込んだのち、デバイス形成領域における絶縁膜14の厚さが2dになるようにCMP法等により表面平坦化処理を行う。この時、アライメントマーク形成領域における絶縁膜14の厚さは2dとなる。
【0064】
次いで、図5(d)に示すように、絶縁膜14上にデバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマークを同時に形成するための開口部を有するレジストパターン15を形成する。
【0065】
次いで、図5(e)に示すように、レジストパターン15をマスクとして絶縁膜14をエッチングすることによって埋込用凹部16とアライメントマーク19を同時に形成する。この時、シリコンと絶縁膜のエッチングレートの差を用いて、アライメントマーク形成領域において絶縁膜14を過剰エッチングすることによって半導体基板11が露出する深さ2dのアライメントマーク19を形成する。
【0066】
次いで、図5(f)に示すように、レジストパターン15を除去したのち、選択エピタキシャル成長法により半導体を成長させて、埋込用凹部を半導体層18で埋め込む。この時、アライメントマーク17の底部には半導体基板11が露出しているので、半導体層20が成長する。
【0067】
次に、アライメントマーク19の深さ等に関する関係を説明する。まず、デバイス形成領域における絶縁膜14、即ち、選択成長阻止膜の厚さ1d、半導体層18の埋め込み量2g、半導体層20の埋め込み量2gを決定する。これらの値は、要求されるデバイス性能を満たす条件をもとに決定する。
【0068】
ここで、絶縁膜14の膜厚2dをkとすると、阻止膜として使用する絶縁膜14の膜厚は半導体の選択的エピタキシャル成長による半導体層18の埋め込み量2g及び半導体層20の埋め込み量2gと同等であるので、
2d=k>0
2g=k>0
2g=k>0
である。この絶縁膜14のエッチングでは、デバイスパターン領域の被エッチング領域は、絶縁膜14の残渣を全て取り除いてシリコン基板を完全に露出させておく必要がある。そこで、絶縁膜14のエッチングは、絶縁膜14を膜厚kだけエッチングしたあと余分に行う。この余分に行うエッチングをオーバーエッチングという。
【0069】
2d,2g,2gの値を決定したら、次に、最終的なアライメントマーク19の深さ2dの値を決定する。2dは、選択エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程においてアライメントマークとして使用するために必要な絶縁膜による段差量である。ある露光工程において必要なアライメントマークの段差量は、その露光工程に対して要求されるアライメント精度を満たすための露光装置の評価により事前に決定するものであるので、2dの最小値も、2d,2g,2gの値と並んで最初に決定するものである。ここでは、事前に決定した選択エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程において必要なアライメントマークの最小段差量をnとし、
2d≧n>0
とする。
【0070】
2dの値を決定したら、更に、アライメントマーク19を形成するための絶縁膜14のエッチング量2dの値を決定する。この2d4は、選択的エピタキシャル成長による半導体層20の埋め込み量2gと、選択的エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程において必要となる段差量2dとの和以上の値を必要とする。したがって、
2d≧2g+2d
であり、
ここでは、2g=k>0、2d≧n>0であるので、
2d≧2g+2d≧k+n>0
即ち、
2d≧k+n>0
である。
【0071】
また、デバイスパターン領域の絶縁膜14に対するオーバーエッチングによりエッチングされるアライメントマーク形成領域における絶縁膜14のエッチング量tを、
≧0
とする。ここで、tと、選択的エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程において必要なアライメントマークの最小段差量nの大小を比較する。
≧n>0であるなら、2dは、
2d=k+t
とすることで、
2d=k+t≧k+n>0より2d≧k+n>0を満たすことができる。したがって、デバイスパターン領域の絶縁膜14に対するオーバーエッチングにより、選択的エピタキシャル成長工程以降に行う露光工程において必要なアライメントマーク19の最小段差量nを形成することができる。
【0072】
一方、
<n
であるなら、デバイスパターン領域の絶縁膜14のエッチング条件では露光工程において必要なアライメントマーク17の最小段差は形成されず不足しているので、アライメントマーク形成領域の絶縁膜14のエッチング量を追加しなければならない。このアライメントマーク形成の絶縁膜14の追加のエッチングは、デバイスパターン領域の絶縁膜14に対するオーバーエッチングを延長することで行う。
【0073】
ここで、デバイスパターン領域において半導体基板11を完全に露出させておくためのオーバーエッチングによる絶縁膜14のエッチング量tと区別するため、アライメントマークの最小段差を形成するためのオーバーエッチング量をtとする。t<nの場合にアライメントマークの最小段差として不足する絶縁膜14のエッチング量は、
n−tであるので、必要となるtの量は、
≧(n−t) >0
と表すことができる。したがって、2dは、
2d=k+t+tとすることで、
2d=k+t+t≧k+n>0より
2d≧k+n>0
を満たすことができる。
【0074】
2dの値が決定したら、アライメントマーク形成領域における絶縁膜14の膜厚2dを決定する。アライメントマーク形成領域における絶縁膜14の被エッチング領域は半導体基板11を露出させる必要があるので、2dは2dと同等の値であることが必要である。したがって、
2d=2d
である。
>n>0であるなら、2d=k+t>0であるので、
2d=k+t>0
である。一方、t<nであるなら、2d=k+t+t>0であるので、
2d=k+t+t>0
である。
【0075】
2dの値が決定したら、最後に、凹部13のエッチング量である2dの値を決定する。
凹部13を形成する目的は、オーバーエッチングした場合に、凹部13における絶縁膜14の厚さがデバイスパターン領域の絶縁膜14より厚く、且つ、凹部13の底部において半導体基板11が露出した状態となるようにするためである。したがって、2dは、選択的エピタキシャル成長により半導体層20で埋まることのないアライメントマーク19を形成するために必要なアライメントマーク領域の絶縁膜14の膜厚2dと、選択的成長阻止膜として使用する絶縁膜14の膜厚2dとの差に等しく、
2d=2d−2d
である。
【0076】
>n>0であるなら、2d=k、2d=k+t>0であるので、
2d=2d−2d>(k+t)−k>0
即ち、
2d=t>0
である。一方、t<nであるなら、2d=k+t+t>0であるので、
2d=2d−2d>(k+t+t)−k>0
即ち、
2d=t+t>0
である。
【0077】
このように、アライメントマーク形成領域の絶縁膜の膜厚2dを、アライメントマークとして使用するために必要な段差量と半導体層20の埋め込み量2gとの和より大きくしているので、選択的成長工程後に、アライメントマークが消失することがない。したがって、選択成長阻止膜として使用した絶縁膜14によるデバイスパターン上の所望する位置に新たなデバイスパターンを形成する場合にも、アライメントマーク段差が形状を維持でき、本来の良好な重ね合わせ精度を維持することが可能になる。
【0078】
次に、図6乃至図9を参照して、本発明の実施の形態のアライメントマークの更に他の形成方法を説明する。ここでは、絶縁膜による埋め込み構造形成後に、半導体基板をエッチングして形成したデバイスパターン上の所望する位置に新たなデバイスパターンを形成する場合のアライメントマークの形成工程として説明する。まず、図6(a)に示すように、デバイス形成領域の半導体基板11の表面を完全に覆うと共に、アライメントマーク形成領域において開口部を有するレジストパターン12を形成する。
【0079】
次いで、図6(b)に示すように、レジストパターン12をマスクとして、アライメントマーク形成領域にデバイスパターンの段差より大きな段差量3dの凹部13をエッチングにより形成する。次いで、図6(c)に示すように、SiO等の絶縁膜21で埋め込んだのち、デバイス形成領域において絶縁膜14が完全に除去されるように、CMP法等により表面平坦化処理を行う。この時、アライメントマーク形成領域における絶縁膜14の厚さは3dとなる。
【0080】
次いで、図7(d)に示すように、デバイス形成領域の半導体基板11の表面を完全に覆うと共に、アライメントマーク形成領域において開口部を有するレジストパターン22を形成する。次いで、図7(e)に示すように、レジストパターン22をマスクとして絶縁膜14をエッチングすることによって深さが3dの凹部23を形成する。
【0081】
次いで、図7(f)に示すように、多結晶シリコン等の多結晶半導体を堆積させたのち、半導体基板11が露出するまでCMP法によって平坦化処理して、凹部23を多結晶半導体層24で埋め込む。次いで、図8(g)に示すように、デバイスパターン形成領域においてはデバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマークを同時に形成するための開口部を有するレジストパターン25を形成する。
【0082】
次いで、図8(h)に示すように、レジストパターン25をマスクとして半導体基板11をエッチングして深さが3dの埋込用凹部27を形成すると同時に、多結晶半導体層24をエッチングして絶縁膜21に達する凹部26を形成する。この時、アライメントマークは絶縁膜21で停止するので深さ3dは3dと等しくなる。
【0083】
次いで、図8(i)に示すように、レジストパターン25を除去したのち、デバイスパターン形成領域を完全に覆うとともに、凹部26を露出する開口部を有するレジストパターン28を形成する。
【0084】
次いで、図9(j)に示すように、レジストパターン28をマスクとしてエッチングすることによって絶縁膜14の露出部をエッチングしてより深い凹部29を形成する。この時のエッチング量を3dとすると、凹部29の深さ3dは、3d=3d+3dとなる。
【0085】
次いで、図9(k)に示すように、レジストパターン28を除去したのち、SiO等の絶縁膜30を堆積させて埋込用凹部27を埋め込む、この時、凹部29を完全に埋め込まないように、凹部29における絶縁膜30の堆積膜厚を3gとする。最後に、図9(l)に示すように、半導体基板11が露出するまで平坦化処理することによって、素子間分離絶縁膜等として機能する埋込絶縁膜31を形成する。
【0086】
次に、アライメントマークとなる凹部29の深さ等に関する関係を説明する。まず、埋め込み用凹部27の深さ3d、埋込絶縁膜31の厚さ3g、凹部29における絶縁膜30の厚さ3gの値を決定する。ここで、埋込用凹部27の深さ3dをkとすると、段差を埋め込んだ絶縁材料の厚さである埋込絶縁膜31の厚さ3gも3dと同じくkであり、
3d=k>0
3g=k>0
である。凹部29における絶縁膜30の厚さ3gをhとすると、
3g=h>0
である。ここで、hはCMP法等により平坦化される前の絶縁膜30の膜厚とほぼ同等であるので、
h>k>0
である。
【0087】
3d,3g,3gの値を決定したら、次に、凹部29の実効的な最終的な深さ、すなわち、アライメントマークの深さ3d10の値を決定する。ある露光工程において必要なアライメントマークの段差量は、その露光工程に対して要求されるアライメント精度を満たすための露光装置の評価により事前に決定するものであるので、3d10の最小値も、3d,3g,3gの値と並んで最初に決定するものである。ここでは、事前に決定した絶縁膜による半導体基板段差の埋め込み工程以降に行う露光工程において必要なアライメントマークの最小段差量をnとし、
3d10≧n>0
とする。
【0088】
3d10の値を決定したら、更に、埋め込み前の凹部29の深さ3dの値を決定する。3dは、凹部29におけると絶縁膜30の厚さ3gと、最終的なアライメントマークの深さ3d10との和以上の値を必要とする。したがって、
3d≧3g+3d10
であり、ここでは、3g=h>0、3d10≧n>0であるので、
3d≧3g+3d10≧h+n>0
即ち、
3d≧h+n>0
である。
【0089】
3dの値を決定したら、更に、多結晶半導体層24をエッチングして形成した段差3d、凹部29を形成する際の絶縁膜21のエッチング量3d、絶縁膜21の底部の厚さ3d11、凹部23の深さ3dの値を決定する。3dは、多結晶半導体層24の段差3dと、アライメントマーク領域内の絶縁膜のエッチング量3dとを加算した値をもつ段差であり、
3d=3d+3d
でもある。これと直前に求めた
3d≧h+n>0
とから、
3d+3d≧k+n>0
である。ここで、多結晶半導体層24の段差3dは、凹部23の深さ3dと同等であることから、
3d=3d
であり、
3d+3d≧h+n>0

3d+3d≧h+n>0
と表すことができる。
【0090】
アライメントマーク領域内の多結晶半導体層24とデバイスパターン領域の半導体基板11とは同時にエッチングを行い、半導体基板11を3dだけエッチングする間に、多結晶半導体層24を完全にエッチングして絶縁膜21を露出させる必要がある。ここで、半導体基板11のエッチング時における半導体基板11と多結晶半導体層24とのエッチングレートが同等であるとすると、
3d≧3d>0
である必要がある。
3d=k>0であるので、
3d
k≧3d>0
となる。
また、
3d+3d≧h+n>0より、
3d≧h+n−3d
であるので、
k≧3d>0に対する3dの値の範囲は、
3d>h+n−k
である。
【0091】
絶縁膜21の底部の厚さ3dは、アライメントマーク領域内の絶縁膜21を3dだけエッチングしたあとに絶縁膜21の下にある半導体基板11を露出させない必要があるため、
3d>3d
である。
【0092】
3d、3d、3d、3dの値を決定したら、更に、凹部13の深さ3dの値を決定する。凹部13の深さ3dは、絶縁膜21の底部の厚さ3dと、多結晶半導体層24の厚さ、即ち、凹部23の深さ3dの和と同等である。したがって、
3d=3d+3d
であるが、
3d+3d≧h+n>0であり
3d>3d
であることから、
3d+3d>3d+3d≧h+n>0
より、
3d+3d>h+n>0
である。以上、アライメントマークを例に、直接的なアライメントを適用することが可能となるマークの形成方法について説明したが、アライメント検査マークについても同様である。
【0093】
このように、埋込絶縁膜31の成膜後のアライメントマーク段差3d10を、アライメントマークとして使用するために必要な段差量nより大きくなるように凹部29の深さを設定しているので、アライメントマーク形状を維持することができる。
【実施例1】
【0094】
次に、図10乃至図17を参照して、本発明の実施例1の半導体装置の製造工程を説明する。まず、図10(a)に示すように、デバイス形成領域のシリコン基板41の表面を完全に覆うと共に、アライメントマーク形成領域において開口部を有するレジストパターン42を形成する。
【0095】
次いで、図10(b)に示すように、レジストパターン42をマスクとして、アライメントマーク形成領域にデバイスパターンの段差より大きな段差量0.5μmのアライメント用凹部43をエッチングにより形成する。次いで、図10(c)に示すように、SiO膜44でアライメント用凹部43を埋め込んだのち、デバイス形成領域におけるSiO膜44の厚さが0.1μmになるようにCMP法により表面平坦化処理を行う。
【0096】
次いで、図11(d)に示すように、SiO膜44上にデバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマークを同時に形成するための開口部を有するレジストパターン45を形成する。
【0097】
次いで、図11(e)に示すように、レジストパターン45をマスクとしてSiO膜44をエッチングすることによって埋込用凹部46とアライメントマーク47を同時に形成する。この時、埋込用凹部46にSiO膜44の残渣が残らないようにオーバーエッチングすることによりアライメントマーク47の深さを0.5μmにする。
【0098】
次いで、図11(f)に示すように、レジストパターン45を除去したのち、選択エピタキシャル成長法によりシリコン層を成長させたのち、CMPで平坦化処理することにより、埋込用凹部46を選択成長シリコン層48で埋め込む。この時、アライメントマーク47の底部はSiO膜44であるので成長阻止膜となり、シリコン層は成長しない。
【0099】
次いで、図12(g)に示すように、CVD法を用いてSiO膜49、多結晶シリコン膜50及びSiO膜51を順次堆積させる。この多結晶シリコン膜50は最終的にはソース・ドレイン領域になる。次いで、図12(h)に示すように、SiO膜51上にデバイスパターンを形成するための開口部を有するとともに、アライメントマーク47を露出させる開口部を有するレジストパターン52を形成する。
【0100】
次いで、図12(i)に示すように、レジストパターン52をマスクとしてSiO膜51乃至SiO膜49をドライエッチングして埋込用凹部53を形成する。この時、アライメントマーク47の凹部の側壁にはSiO膜49がサイドウォール状に残存する。
【0101】
次いで、図13(j)に示すように、レジストパターン52を除去したのち、再度、シリコン層を選択成長させて、埋込用凹部53を選択成長シリコン層54で埋め込む。この時も、アライメントマーク47の表面はSiOであるのでアライメントマーク形成領域にはシリコン層は成長しない。次いで、図13(k)に示すように、多結晶シリコン膜50上に残存するSiO膜51をエッチングにより除去する。
【0102】
次いで、図14(l)に示すように、再び、CVD法を用いてゲート絶縁膜になるSiO膜55と、ゲート電極になる多結晶シリコン膜56を順次堆積する。なお、この時、保護膜となるSiO膜を多結晶シリコン膜56の上に堆積しても良い。
【0103】
次いで、図14(m)に示すように、ゲート構造を形成するためのパターンを有するレジストパターン57を形成する。次いで、図15(n)に示すように、レジストパターン57をマスクにして多結晶シリコン膜56及びSiO膜55をドライエッチングすることによって、ゲート電極58及びゲート絶縁膜59を形成する。この時、アライメントマーク47の凹部の側壁にはSiO膜55がサイドウォール状に残存する。
【0104】
次いで、図15(o)に示すようにサイドウォールを形成するための薄いSiO膜60を堆積させる。次いで、図16(p)に示すように、異方性エッチングによりSiO膜60をエッチングすることによってゲート構造の側壁にサイドウォール61を形成する。この時、アライメントマーク47の凹部の側壁にはSiO膜60がサイドウォール状に残存する。
【0105】
次いで、図16(q)に示すように、層間絶縁膜となる厚いSiO膜62を堆積させる。次いで、図17(r)に示すように、ソース・ドレイン領域となる多結晶シリコン膜50に対するコンタクトホールを形成するためのレジストパターン63を形成する。
【0106】
次いで、図17(s)に示すように、レジストパターン63をマスクにしてSiO膜62をエッチングしてコンタクトホール64を形成する。以降は図示を省略するが、ソース・ドレイン電極やゲート引き出し電極を形成したのち、層間絶縁膜の形成工程、プラグの形成工程、配線の形成工程等を繰り返すことによって半導体装置を形成する。
【0107】
このように、本発明の実施例1においては、アライメントマークをアライメントマーク形成領域に形成した埋込絶縁膜を利用して、デバイスパターンと同時に形成しているので、選択成長工程においてアライメントマークが埋め込まれて消失することがない。
【0108】
また、アライメントマークの凹部の幅を適正な値に設定することによって、SiO膜がサイドウォール状に残存しても、凹部が完全に埋め込まれることはなく、アライメントに必要な段差を維持することができる。それによって、各露光工程における位置合わせを精度良く行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0109】
10 アライメントマーク形成領域
11 半導体基板
12 レジストパターン
13 凹部
14 絶縁膜
15 レジストパターン
16 埋込用凹部
17 アライメントマーク
18 半導体層
19 アライメントマーク
20 半導体層
21 絶縁膜
22 レジストパターン
23 凹部
24 多結晶半導体層
25 レジストパターン
26 凹部
27 埋込用凹部
28 レジストパターン
29 凹部
30 絶縁膜
31 埋込絶縁膜
41 シリコン基板
42 レジストパターン
43 アライメント用凹部
44 SiO
45 レジストパターン
46 埋込用凹部
47 アライメントマーク
48 選択成長シリコン層
49 SiO
50 多結晶シリコン膜
51 SiO
52 レジストパターン
53 埋込用凹部
54 選択成長シリコン層
55 SiO
56 多結晶シリコン膜
57 レジストパターン
58 ゲート電極
59 ゲート絶縁膜
60 SiO
61 サイドウォール
62 SiO
63 レジストパターン
64 コンタクトホール
71 シリコン基板
72 レジストパターン
73 デバイスパターン
74 アライメントマーク
75 SiO
76 素子分離絶縁膜
81 シリコン基板
82 SiO
83 レジストパターン
84 デバイスパターン用凹部
85 アライメントマーク
86 選択成長シリコン層
87 選択成長シリコン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハのアライメントマーク形成領域に凹部を形成する工程と、
前記凹部を絶縁膜で埋め込む工程と、
前記絶縁膜に前記半導体ウェーハのデバイス領域に形成するデバイスパターンと同時に、エッチングにより前記デバイスパターンの段差量より大きな段差量のアライメントマークを形成する工程と
を有することを特徴とするアライメントマークの形成方法。
【請求項2】
前記アライメントマークが周期的に設けた凹部からなり、
前記エッチング工程において、凹部の底面が前記半導体ウェーハに達しないようにエッチングすることを特徴とする請求項1に記載のアライメントマークの形成方法。
【請求項3】
前記アライメントマークが周期的に設けた凹部からなり、
前記エッチング工程において、凹部の底面において前記半導体ウェーハが露出するまでエッチングすることを特徴とする請求項1に記載のアライメントマークの形成方法。
【請求項4】
前記凹部を埋め込んだ絶縁膜をエッチングして第2の凹部を形成したのち、前記第2の凹部を半導体層で埋め込む工程と、
前記アライメントマークの形成工程において、前記半導体層を貫通し、前記デバイスパターンの段差量より大きな段差量のアライメントマークを形成することを特徴とする請求項1に記載のアライメントマークの形成方法。
【請求項5】
デバイス形成領域に設けたデバイスパターンと、
アライメントマーク形成領域に設けた埋込絶縁膜と、
前記埋込絶縁膜に形成され、前記デバイスパターンの段差量より大きな段差量を有するアライメントマークと
を有することを特徴とする半導体ウェーハ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−12644(P2013−12644A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145391(P2011−145391)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】