説明

アラビノキシラン水溶液からなる健康飲料製品

【課題】低分子アラビノキシラン水溶液を容器に充填してなる健康飲料製品において、使用時に容器内に残留する傾向を顕著に低下させること
【解決手段】本発明によるアラビノキシラン水溶液からなる健康飲料製品は、10%(w/v)以上で且つ20%(w/v)未満の低分子量アラビノキシランと、5〜15%(w/v)のニゲロオリゴ糖と、0.2〜0.5%(w/v)のクエン酸と、0.1〜0.3%(w/v)の生薬エッセンスとを含有する水溶液を、容器内に充填してなることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラビノキシラン水溶液を容器内に充填してなる健康飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
アラビノキシランは、イネ科植物(トウモロコシ、イネ、小麦等)の種皮に多く含まれる水溶性食物繊維を構成する物質(ヘミセルロース)であり、そのままでは水に不溶性であるが、酵素分解により低分子化することにより水溶性になる。
【0003】
水溶性アラビノキシランについては、免疫賦活作用、コレステロール低下作用、腸内環境改善作用、耐糖能障害改善作用といった種々の生理活性が既に報告されており、その水溶液を容器内に充填した製品が健康飲料として広く販売されている。特に、その免疫賦活効果は、アガリクス子実体から得られる食物繊維等の、同様の作用が知られている他の食物繊維成分に比較しても有意に高いことから、健康飲料として注目を浴びている。
【0004】
しかし、アラビノキシラン水溶液は、特殊な製法で低分子化および低粘度化したものを用いた場合にも、容器(特に、1回使用のための少量プラスチック容器)に充填した場合には、その粘性のために容器内に残留する傾向が強いという問題があった。そのため、服用しにくかったり、適正な所要量を充填しているにもかかわらず、末端の使用者が服用したときに期待した量の服用が達成されない等の問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、食物繊維として優れた生理作用を有する低分子アラビノキシラン水溶液を容器に充填してなる健康飲料製品において、使用時に容器内に残留する傾向を顕著に低下させて、上記の問題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によるアラビノキシラン水溶液からなる健康飲料製品は、10%(w/v)以上で且つ20%(w/v)未満の低分子量アラビノキシランと、5〜15%(w/v)のニゲロオリゴ糖と、0.2〜0.5%(w/v)のクエン酸と、0.1〜0.3%(w/v)の生薬エッセンスとを含有する水溶液を、容器内に充填してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容器に充填されたアラビノキシラン水溶液を服用する際に、容器内に残留する内容物を著しく低減し、服用を容易にすると共に、適正な服用量を達成できる等、顕著な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明おいて主成分として用いる低分子量アラビノキシランは、分子量3,000以下の画分が25%以上のものを言う。より具体的には、特許第2792601号に記載の方法に従い、トウモロコシ外皮をアルカリ抽出し、該抽出物をキシラナーゼで処理して、ヘミセルロースの部分分解物を得ることにより調製されたものである。この低分子量アラビノキシランは日本食品化工株式会社から商業的に入手可能である。
【0009】
上記低分子量アラビノキシランの含有量は、10%(w/v)以上で且つ20%(w/v)未満、好ましくは1510%(w/v)である。
【0010】
本発明におけるニゲロオリゴ糖は、α−1,3結合を含む澱粉由来のオリゴ糖であり、例えば日本食品化工株式会社から入手可能である。この成分は、アラビノキシランの生理作用を増強すると共に、味質改善効果、ビフィズス菌増殖活性効果等を目的として添加されるものであるが、本発明による飲料の物理的特性にも影響するものと思われる。該ニゲロオリゴ糖の添加量は、5〜15%(w/v)、好ましくは10%(w/v)である。
【0011】
本発明におけるクエン酸は、主に本発明による飲料のpH値を調節するために使用されるものである。本発明による飲料のpHは、3.5〜4.2、好ましくは3.7〜3.9、最も好ましくは3.79に調節される。このクエン酸の添加および添加量も本発明による飲料の好ましい物理的正常に影響するものと思われ、その添加量は0.2〜0.5%(w/v)、好ましくは0.3%である。クエン酸は商業的に広く入手可能であるが、好ましくは、岐阜県岐阜市に所在のアピ株式会社から入手可能である。
【0012】
本発明における生薬エッセンスは香料として添加されるものであり、使用者に対して薬効を直感させるように、漢方製剤の香りを賦与するものである。この生薬エッセンスとしては、前述のアピ株式会社から入手可能な「生薬エッセンスIS」を用いるのが好ましい。その添加量は、0.1〜0.3%(w/v)、好ましくは0.25%(w/v)である。
【0013】
本発明において、上記の成分を水中に混合し、均一に溶解させて水溶液を調製する。そのための水は特に限定されないが、好ましくは飲料等級または医薬等級の水であり、好適な水は前述のアピ株式会社から入手可能である。
【0014】
上記成分により調製されたアラビノキシラン水溶液は、適切な容器に充填して製品とする。この容器は特に限定されないが、好ましくは1回服用量を充填できるアンプル形状の容器である。また、容器の材料は、ガラス、合成樹脂などの何れの適切な材料であってもよいが、好ましくはポリエチレン製である。また、充填方法は使用する容器に応じて適切な方法を選択すればよいが、合成樹脂製の容器を用いる場合には、ブロー充填を用いるのがよい。
【実施例1】
【0015】
以下の組成からなるアラビノキシラン水溶液を調製し、これを筒状の胴部と細口の排出口とを備えたアンプル形状を有し、内容積が20mLの合成樹脂製容器の中にブロー充填することにより、本発明によるアラビノキシラン水溶液からなる健康飲料製品を製造した。
【0016】
<成分> <含量>
低分子量アラビノキシラン 15%(w/v)
ニゲロオリゴ糖 10%(w/v)
無水クエン酸 0.3%(w/v)
生薬エッセンス 0.25%(w/v)
水 80.00
上記で製造した健康飲料製品のアンプル状容器の頭部に設けた細口の抽出口を開き、該容器の胴部を指で押圧することにより内部に収容されているアラビノキシラン水溶液を排出させて、直接飲用に供した。その結果、通常の4回の押圧動作により、内容物は殆ど全て排出され、容器底の隅部に僅かに1滴ほどの水溶液が残留したに過ぎなかった。
【比較例1】
【0017】
下記の組成からなる従来のアラビノキシラン水溶液を調製し、これを実施例1と同様にして実施例1同じ容器に充填したアラビノキシラン水溶液からなる健康飲料製品を製造した。この製品は、「アクノス2000(AXNOS 2000)」として従来市販されているものである。
【0018】
<成分> <含量>
低分子量アラビノキシラン 20%(w/v)
ニゲロオリゴ糖 10%(w/v)
レモン汁 6.00%(w/v)
水 68.00(w/v)
上記の従来品を実施例1と同様にして飲用に供したところ、4回の押圧操作では未だ内容物の1/5程度が容器内に残留していた。更に5回の押圧操作を行ったが、容器底の隅部には、実施例1の場合の略4倍の内容物が残留した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビノキシラン水溶液からなる健康飲料製品であって、10%(w/v)以上で且つ20%(w/v)未満の低分子量アラビノキシランと、5〜15%(w/v)のニゲロオリゴ糖と、0.2〜0.5%(w/v)のクエン酸と、0.1〜0.3%(w/v)の生薬エッセンスとを含有する水溶液を、容器内に充填してなる健康飲料製品。