説明

アリールアミドの製造方法

本発明は、スキーム(1):


[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;Xは、ハロゲン、又はスルホネートであり;Pは有機基であり;Rは、水素又は有機基であり;ここで触媒は、銅及び配位子を含む]
によって表される、反応を開始する方法であって、式IIIの化合物を触媒と接触させる前に、溶液形態で式IIIの化合物を提供することを含む、前記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールアミドの製造方法に関し、より具体的には、アリール炭素−アミド窒素結合を、銅系触媒を用いて形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作物保護のための殺真菌剤は通常、大量に、例えば年間数千トン製造される。製造される殺真菌剤の量を考えると、製造工程における任意の改善により、著しい費用削減がなされ得る。
【0003】
多くの殺真菌剤は、アミド窒素がアリール基と結合した化学構造を有する。これらは、例えばイソピラザム(isopyrazam)、セダキサン(Sedaxane)、ビキサフェン(Bixafen)、ペンチオピラド(Penthiopyrad)などを含む。一般的に、かかるアリール炭素−アミド窒素の化学結合は、対応する塩化アシルとアリールアミンとのカップリングによって形成され得る。例えば国際公開第04/035589号は、イソピラザムを開示しており、ピラゾリル−4−カルボン酸ベンゾノルボルネン−5−イル−アミドが、対応する塩化アシルとアミンとのカップリングによって製造される工程を記載している。しかし、塩化アシルは水に対する反応性が高く、工業用スケールにおける反応を行うときに、これは技術的問題となり得る。
【0004】
国際公開第2008/006575号は、銅系触媒を用いた、アミドとアリールハライドとのカップリングを記載している。銅及び配位子を含む触媒を用いて、アリール−窒素結合を形成することに関するこのタイプの反応が、国際公開第02/083858号に一般的に開示されている。しかし我々は、当該開示された手順が、必ずしも工業用スケールでの操作において好適である手順とはならないことを以下において見出だした。特に通常、当該反応は非常に緩慢であり、且つ/又は収率が非常に低い。
【発明の概要】
【0005】
我々は、銅系触媒を使用してアミドとアリールハライドとをカップリングする、当該開示された手順が、完全に最適化されていない理由を調査し、そして驚くべきことに、これらの反応の成功は、反応開始時に、触媒と錯体形成するアミドの利用可能性に依存し得ることを見出した。特に、混合前に、当該アミドが触媒と錯体形成するために利用可能となる形態で提供される場合に、例えば、液体状態で提供されることによって、当該反応が、より効率的に進行し得ることを我々は見出した。理論によって制約されるものではないが、アミドが触媒を安定化すると考えられ、及びアミドの非存在下において触媒が変性し得ると考えられる。
【0006】
したがって、本発明の第1の態様において、スキーム1:
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Xはハロゲン、又はスルホネートであり;
Pは有機基であり;好ましくは場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Rは水素又は有機基であり;
ここで、触媒は、銅及び配位子を含む]
によって示される、反応を開始する方法であって、式IIIの化合物を前記触媒と接触させる前に、液体形態で式IIIの化合物を提供することを含む、前記方法が提供される。
【0009】
式IIIの化合物は、例えば、溶媒中に溶解されたとき、又は融解したときに、液体形態で存在する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、(i)全ての反応剤が反応開始時に含まれる場合、(ii)配位子が最後に加えられる場合、及びアミドが最後に加えられる場合における、反応剤から製造物への変換のパーセントに関する反応分析結果を示す。当該反応は実施例6に記載されており、当該反応は、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドを用いた、4−クロロトルエンのアミド化に関する。
【図2】図2は、(i)全ての反応剤が反応開始時に含まれる場合(方法1)、及び(ii)アミドを溶解した後に配位子が加えられる場合(方法2)における、反応剤から製造物への変換のパーセントに関する反応分析結果を示す。当該反応は実施例7に記載されており、当該反応は、ベンズアミドを用いた4−クロロトルエンのアミド化に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
我々はまた、当該反応を極性有機溶媒中で行うことが、驚くべきことに反応効率を改善し得ることを見出した。これは、トルエンの使用を記載している、国際公開第2008/006575号の実施例に記載されている手順とは対照的である。殺虫剤化合物において、上のスキーム1に示されたP基は一般的にヘテロアリール基であり、そして我々の調査に従って、P基がヘテロアリールである時に、当該アミドは、Pが例えばフェニルであるときよりも溶解性が著しく減少し得るようである。理論によって制約されるものではないが、我々は、極性溶媒の使用により、当該アミドがより早く溶解することによって、当該触媒と錯体形成するアミドの利用可能性が促進され得ると考える。したがって、極性溶媒の使用により、触媒の変性可能性が減少すると考えられる。
【0012】
したがって、本発明のさらなる態様において、スキーム1A:
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Xは、ハロゲン、又はスルホネートであり;
Pは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり、好ましくは、場合により置換されたヘテロアリールであり;
Rは、水素又は有機基であり;
ここで触媒は、銅及び配位子を含み;
ここで反応は、極性有機溶媒中で行われる]
によって示される反応を行うことを含む、式IAの化合物の製造方法が提供される。
【0015】
当該極性有機溶媒は、式IIAの化合物であり得る。
【0016】
好ましくは、式IIIの化合物は、式XXII又はLXIIIの化合物である:
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、
1はC1−C4−ハロアルキルであり、好ましくはC1−C4−フルオロアルキルである。例えば、R1は、CF3、CHF2又はCH2Fであり得、特にCHF2であり得る。]
【0019】
【化4】

【0020】
[式中、
xは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される。]
【0021】
式IA、IIA、及びIIIAの化合物は、それぞれ式I、II及びIIIの化合物であることは明白であり、式I、II又はIIIの化合物に関する本明細書における、例えば好ましい置換基の定義及び反応条件に関する任意の参照はまた、それぞれ式IA、IIA、及びIIIAの化合物に適用され、逆もまた同様である。同様に、式I、II、IIIの化合物に関する任意の参照はまた、それぞれ式IB、IC、ID、IE、IF、IIB、IIC、IID、IIE、IIF、並びにIIIB、IIIC、IIID、IIIE、及びIIIFの化合物に適用され、逆もまた同様である。
【0022】
我々はまた、当該発見を、アミドと塩化アリールとのカップリングに関する反応に適用することに成功した。アリール−Cl結合は、対応するアリール−Br、又はアリール−I結合と比較して反応性がかなり低い;実際、芳香族炭素−塩素結合の高い安定性のために、塩化アリールを利用することは非常に困難である(Grushin and Alper, Chem. Rev., 1994, 1047−1062)。理論によって制約されるものではないが、臭素又はヨウ素置換アリールのより高い反応性は、これらの試薬が触媒の安定化を支援することを可能とすると考えられ、ここで当該支援は、塩素置換アリール化合物が使用される時には、アリール−塩素結合の不活性な性質のために、非常に低いか又は存在しないと考えられる。好ましくは、XはClである。
【0023】
我々は、これらのカップリング反応が、オルト置換基を有するアリールハライドを用いたときでさえ、本発明に従って行われたときに効率的に進行することを見出した。金属イオン周囲における反応剤の配位を含む、提案された機構を考慮すると、オルト置換されたアリールは、より多くの配位空間を必要とし、それにより当該反応剤が銅と錯体形成する効率を減少されることが合理的に予想される。実際、立体障害がこの種の反応の結果に影響を及ぼすことが、当技術分野において認識されており、例えば国際公開第02/085838号に記載されている。
【0024】
理論によって制約されるものではないが、アリールハライドからの触媒の安定化への任意の寄与は、QがXに対してオルト位で置換されるときに減少され得ると予想される。好ましくは、Qは、Xに対してオルト位で置換される。
【0025】
さらに、我々が認識する限り、銅系触媒を用いた、アミドと塩化アリール(ここで、アリールが塩素置換基に対してオルト位でさらに置換されている)とのカップリングに関する反応についての文献報告は存在しない。
【0026】
さらなる態様において、スキーム1B:
【0027】
【化5】

【0028】
[式中、
Qはアリール又はヘテロアリールであり、各々、Xに対してオルト位に置換基を有しており、ここで前記アリール又はヘテロアリールは、さらなる任意の置換基を有し得;
XはClであり;
Pは有機基であり;
Rは水素、又は有機基であり;並びに
触媒は銅及び配位子を含む]
によって示される反応を行うことを含む、式IBの化合物の製造方法が提供される。
【0029】
本発明の方法において、式IIIの化合物は、触媒成分と任意の順番で結合され得る。例えば、式IIIの化合物を当該触媒と接触させることは、式IIIの化合物を銅及び配位子の混合物と接触させること、配位子を式IIIの化合物及び銅の混合物と接触させること、又は、銅を式IIIの化合物及び配位子の混合物と接触させることを含み得る。疑念を避けるために、「成分Xを成分と接触させること」は、「XをYと接触させること」及び「YをXと接触させること」の両方を含む。
【0030】
本発明は、式IIIの化合物の存在下、銅を配位子へ加えることを含み得、又は逆も同様である。当該方法は、銅を配位子と結合させ、又は配位子を銅と結合させて、式IIIの化合物の存在下、銅−配位子錯体を形成することを含み得る。理論によって制約されるものではないが、触媒は、銅−配位子錯体であると考えられる。
【0031】
好ましくは、本発明は、触媒が実質的に活性のままであるように、例えば、触媒の少なくとも50、60、70、80、90、95、96、97、98、99、又は100%が活性のままであるように、式IIIの化合物を触媒と接触させることを含む。
【0032】
本発明の方法は、式IIIの化合物の存在下、銅を配位子と接触させることによって反応を開始することを含み得る。ここで、銅が配位子と接触されるときに、式IIIの化合物は液体形態で存在する。例えば、本発明は、式IIIの化合物の存在下で、銅を配位子と接触させて、例えば触媒を形成することを含み得、ここで式IIIの化合物は、例えば銅が配位子と接触されて触媒を形成する時に、それが銅及び/又は触媒と錯体を形成することができるように提供される。銅を配位子と接触させる工程を行う前に、銅及び配位子は分離して存在し、すなわち接触されていない。本発明は、触媒の不活性化が、式IIIの化合物の非存在下における触媒の不活性化と比較して減少されるような速度で、式IIIの化合物を触媒と錯体形成させることを含み得る。
【0033】
反応が開始される間の期間は、例えば、試薬及び触媒が結合される間の期間である、式Iの化合物の形成前の期間を含む。
【0034】
幾つかの場合において、銅及び配位子を式IIIの化合物に加える前に、これらを結合させることが好都合であり得る。我々の結果は、触媒がアミドの非存在下で不安定であることを示しているが、銅及び配位子をより低い温度で、例えば常温で混合することによって、又は混合がより高い温度で行われる場合、銅及び配位子を結合させる時間と、式IIIの化合物に加える時間との間の時間を最小化することによって、触媒活性の消失は最小化され得る。好ましくは、式IIIの化合物の非存在下では加熱されない。
【0035】
例えば、本発明は以下のステップを含み得る:
a)液体形態の式IIIの化合物を提供し、
b)銅を式IIIの化合物と接触させ、
c)配位子を式IIIの化合物と接触させること、
ここで、ステップb)又はステップc)は、ステップa)の前に行われてもよいが、好ましくはステップb)及びc)の少なくとも1つは、ステップa)の後に行われる。ステップa)は、例えば式IIIの化合物を溶解することで、溶媒中で接触させることを含み得る。これにより、使用される式IIIの化合物の全てが溶媒中に溶解されても、又はされなくてもよい。式IIIの化合物の少なくとも幾つかが溶媒中に溶解される場合、式IIIの化合物はその後、触媒と錯体形成するために利用可能であり得る。好ましくは、式IIIの化合物を触媒と接触させる前に、銅の量に対して、少なくとも0.5、0.7、1.0、1.5、2、3、4、又は5モル当量の式IIIの化合物が溶解される。より好ましくは銅の量に対して、少なくとも1モル当量の式IIIの化合物が溶解される。
【0036】
ステップa)は、式IIIの化合物を加熱することを含む。好ましくは、式IIIの化合物は、ステップa)において、例えば式IIIの化合物を銅及び配位子の両方と接触させる前に、少なくとも40、50、60、70、80、90、100、105、又は少なくとも110℃で加熱される。
【0037】
本反応は、溶媒中で、好ましくは極性有機溶媒中で行われ得る。式IIの化合物及び/又は配位子は、溶媒として働き得、或いは溶媒は異なる成分であり得る。幾つかの場合において、式IIIの化合物は溶媒として働き得る。
【0038】
本方法は、式IIIの化合物を溶媒、例えば式IIの化合物と接触させ、そして加熱後に、配位子及び銅の両方を溶媒と接触させることを含み得る。加熱は、式IIIの化合物の溶媒和を促進し、それにより、より多くの式IIIの化合物を、触媒との錯体形成のために利用可能とする。好ましくは、当該溶媒及び式IIIの化合物は、ステップa)において、例えば溶媒中で銅及び配位子の両方を接触させる前に、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、又は140℃で加熱され、例えば50〜200℃で、80〜180℃で、100〜170℃で、130〜160℃で加熱される。溶媒及び式IIIの化合物は、先の任意の温度で、任意の所望の時間で、例えば1秒〜24時間、例えば1〜1000分、例えば10〜500分、例えば30〜300分加熱され得る。溶媒及び式IIIの化合物は、先の任意の温度で、少なくとも、1、10、30、60又は少なくとも200分間加熱され得る。好ましくは、式IIIの化合物が溶解される溶媒は、銅及び配位子を両方とも溶媒と接触させる前に、少なくとも100分間、少なくとも100℃で加熱される。
【0039】
溶媒が式IIの化合物であるとき、本方法は、式IIIの化合物との接触前に、式IIの化合物を融解させる追加のステップを含み得る。
【0040】
式IIの化合物は、任意の段階で他の試薬と混合され得る。
【0041】
好ましくは、式IIIの化合物は、25℃、大気圧で固体であるものである。
【0042】
以下の好ましい置換基の定義は、本発明の全ての態様で適用され、そして任意の組み合わせで組み合わされ得る。
【0043】
Pは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、又はヘテロアリールであり得;先の基の各々は場合により置換され得る。
【0044】
Pは、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、C3−C6−シクロアルキル、C3−C6−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、フェニル、フェニル−C1−C4−アルキルヘテロアリール、又はヘテロアリール−C1−C4−アルキルであり得、例えば用語ヘテロアリールは以下で定義した通りであり、先の基の各々は、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、C3−C6−シクロアルキル、C3−C6−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、フェニル、フェニル−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、C2−C4−アルケニルオキシ、C2−C4−アルキニルオキシ、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルキルチオ、C1−C4−アルキルスルホニル、C1−C4−アルカノイル、ヒドロキシル、ハロゲン(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−C4−アルキルアミノ、C1−C4−ジアルキル−アミノ、C1−C4−カルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、C2−C4−アルケニルオキシカルボニル、C2−C4−アルキニルオキシカルボニルで場合により置換され得;先の基は、可能であれば、1又は2以上のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換され得る。
【0045】
Pは、場合により置換されたフェニル、ピリジル、ピロール、又はピラゾールであり得、例えば、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、C3−C6−シクロアルキル、C3−C6−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、フェニル、フェニル−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、C2−C4−アルケニルオキシ、C2−C4−アルキニルオキシ、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルキルチオ、C1−C4−アルキルスルホニル、C1−C4−アルカノイル、ヒドロキシル、ハロゲン(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−C4−アルキルアミノ、C1−C4−ジアルキルアミノ、C1−C4−カルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、C2−C4−アルケニルオキシカルボニル、C2−C4−アルキニルオキシカルボニルから独立して選択される、1〜3個の置換基で場合により置換され;ここで先の置換基の各々は、1又は2以上のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で可能であれば置換され得る。
【0046】
好ましくは、Pは、フェニル、ピリジル、ピロール、又はピラゾールであり、それらの各々は、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル(好ましくはC1−C4−フルオロアルキル)及びハロゲン(好ましくはフッ素)から独立して選択される1〜3個の置換基で、場合により置換される。
【0047】
好ましくは、Pは、ピロール、又はピラゾールであり、それらの各々は、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル(好ましくはC1−C4−フルオロアルキル)及びハロゲン(好ましくはフッ素)から独立して選択される1〜3個の置換基で、場合により置換される。
【0048】
好ましくは、Pは、VIII又はIXの基である:
【0049】
【化6】

【0050】
[式中、R1は、CF3、CHF2、又はCH2Fである]
【0051】
【化7】

【0052】
[式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される。]
【0053】
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール又はヘテロアリールであり得;先の置換基の各々は場合により置換され得る。
【0054】
Rは、水素、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、C3−C6−シクロアルキル、C3−C6−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、フェニル、フェニル−C1−C4−アルキル又はヘテロアリールであり得、例えば以下に定義された通りであり;先の置換基の各々は、C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、C3−C6−シクロアルキル、C3−C6−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、フェニル、フェニル−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、C2−C4−アルケニルオキシ、C2−C4−アルキニルオキシ、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルキルチオ、C1−C4−アルキルスルホニル、C1−C4−アルカノイル、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−C4−アルキルアミノ、C1−C4−ジアルキル−アミノ、C1−C4−カルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、C2−C4−アルケニルオキシカルボニル、C2−C4−アルキニルオキシカルボニルで場合により置換され得;ここで先の置換基の各々は、可能であれば、1又は2以上のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換され得る。
【0055】
好ましくは、Rは、水素、又はC1−C4アルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり、最も好ましくは水素である。
【0056】
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり得、ここでアリール及びヘテロアリールは以下で定義された通りである。特にQは、場合により置換されたフェニル又は場合により置換されたチエニルであり得、例えば以下に記載した通りに場合により置換される。
【0057】
好ましくは、Qは、フェニル、又は、O、N及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜6員環のヘテロアリールであり、ここで前記フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−アルコキシ、シアノ、ヒドロキシル、及びアミノから独立して選択される1又は2以上の基で場合により置換され、並びにここで、先のものに加えて、前記フェニル又はヘテロアリールは、Xに対してオルト位で、フェニル、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、又はC3−C6−シクロアルキルから選択される基で置換され、並びに各々のフェニル、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、及びC3−C6−シクロアルキルは、ハロゲン、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、C3−C6−シクロアルキル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ、及びC3−C6−ハロシクロアルキルから独立して選択される1又は2以上の基で、例えば1〜3個の基で場合により置換され;或いは、
Qはフェニルであるとき、それはXに対してオルト及びメタ位で、縮環されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環で置換され、そしてそれは、ハロゲン、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−アルコキシ、C1−C8−アルキルチオ、C1−C8−アルキルアミノ、シアノ、及びヒドロキシルから独立して選択される1又は2以上の、例えば1〜3個の基で各々場合により置換され、ここで任意のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基は、別のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基と結合されて環を形成し、及び/又は、縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R4b)R5bで場合により置換され、ここでR4b及びR5bは、C1−C8アルキルから独立して選択され、及び/又は、縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R3a)R4aで場合により置換され、ここでR3a及びR4aは、C1−C8アルキル及びC1−C8ハロアルキルから独立して選択される。
【0058】
好ましくは、Qは、フェニル、又は、O、N及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜6員環のヘテロアリールであり、ここで前記フェニル及びヘテロアリールは、フッ素、C1−C8−アルキル、C1−C8−フルオロアルキル、C1−C8−アルコキシ、シアノ、ヒドロキシル、及びアミノから独立して選択される1又は2以上の基で場合により置換され、並びにここで、先のものに加えて、前記フェニル又はヘテロアリールは、Xに対してオルト位で、フェニル、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、又はC3−C6−シクロアルキルによって置換され、並びに各々のフェニル、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、及びC3−C6−シクロアルキルは、フッ素、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、C3−C6−シクロアルキル、C1−C8−フルオロアルキル、C1−C8−フルオロアルコキシ、及びC3−C6−フルオロシクロアルキルから独立して選択される1又は2以上の基で場合により置換され;或いは、
Qがフェニルであるとき、それはXに対してオルト及びメタ位で、縮環されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環で置換され、そしてそれは、フッ素、C1−C8−アルキル、C1−C8−フルオロアルキル、C1−C8−アルコキシ、C1−C8−アルキルチオ、C1−C8−アルキルアミノ、シアノ、及びヒドロキシルから独立して選択される1又は2以上の、例えば1〜3個の基で各々場合により置換され、ここで任意のアルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基は、別のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基と結合されて環を形成し、及び/又は縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R4b)R5bで場合により置換され、ここでR4b及びR5bは、C1−C8アルキルから独立して選択され、及び/又は、縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R3a)R4aで場合により置換され、ここでR3a及びR4aは、C1−C8アルキル及びC1−C8フルオロアルキルから独立して選択される。
【0059】
好ましくは、Qは、フェニル、又はチエニルであり、それらの各々は、1〜3個のハロゲン原子で、好ましくは1〜3個のフッ素原子で場合により置換され、並びにここで、先のものに加えて、前記フェニル又はチエニルは、Xに対してオルト位で、C1−C8−アルキル、C1−C8−フルオロアルキル、C3−C6−シクロアルキルによって置換され、C3−C6−シクロアルキルは、C3−C6−シクロアルキル、フェニルによって場合により置換され、フェニルは、1〜3個のハロゲン原子で、好ましくは1〜3個のフッ素原子で場合により置換され、或いは、フェニルは、Xに対してオルト及びメタ位で、縮環したビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環によって置換され、そしてそれは各々、C1−C8−アルキル、C1−C8−フルオロアルキル、C1−C8−アルコキシ、C1−C8−アルキルチオ、C1−C8−アルキルアミノで場合により置換され、ここで任意のアルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基は、別のアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基と結合されて環を形成し、及び/又は縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R4b)R5bで場合により置換され、ここでR4b及びR5bは、C1−C8アルキルから独立して選択され、及び/又は、縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R3a)R4aで場合により置換され、ここでR3a及びR4aは、C1−C8アルキル及びC1−C8フルオロアルキルから独立して選択される。
【0060】
好ましくは、Qは、V基、VI基、又は、VIIa基、VIIb基、若しくはVIIc基である:
【0061】
【化8】

【0062】
[式中、
Bは単結合又は二重結合であり;
Tは単結合又は二重結合であり;
1aは、1〜3個のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で場合により置換されたフェニルであり、或いは、R1aは、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル(好ましくはC1−C8−フルオロアルキル)又は、
【0063】
【化9】

【0064】
であり;
2a、R3a及びR4aは、各々独立して、C1−C8−アルキル又はC1−C8−ハロアルキル(好ましくはC1−C8−フルオロアルキル)であり;
2及びY3は、独立してO、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立してC1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
5aは、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である。]
【0065】
好ましくは、Qは、VIIa基、VIIb基、又はVIIc基であり、より好ましくはVIIa基である。
【0066】
一般的に、Q上の置換基X以外、P、Q、及びRは、Cl、Br、又はIのいずれの置換基も有さないことが好ましい。
【0067】
一般的に、用語アリールは、芳香族炭化水素環、例えば、フェニル、アントラニル、フェナントレニルを含む。用語ヘテロアリールは、単環、二環、又は三環系の芳香族環系を含み、ここで少なくとも1つの酸素、窒素、又は硫黄原子が環のメンバーとして存在する。具体例は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフランyl、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、及びナフチリジニルである。
【0068】
上記アリール、ヘテロアリール基は、1又は2以上の非芳香族縮合環系を有し得、例えば、1,2−縮合環系である。アリール、ヘテロアリール、及び縮合環系は、1又は2以上の、例えば3個の、同一又は異なる置換基を有し得る。
【0069】
アリール、ヘテロアリール、及び縮合環系の任意の置換基の例は:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、フェニル、及びフェニル−アルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ、アルキル−スルホニル、ホルミル、アルカノイル、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキル−アミノ、カルボニル、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニルであり;先の置換基の各々は、1又は2以上のハロゲン原子によって、可能な場合に置換され得る。
【0070】
例えば、アリール、ヘテロアリール、及び縮合環基の任意の置換基は:C1−C4−アルキル、C2−C4−アルケニル、C2−C4−アルキニル、C3−C6−シクロアルキル、C3−C6−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、フェニル、フェニル−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ、C2−C4−アルケニルオキシ、C2−C4−アルキニルオキシ、C1−C4−アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C4−アルキルチオ、C1−C4−アルキル−スルホニル、C1−C4−アルカノイル、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−C4−アルキルアミノ、C1−C4−ジアルキルアミノ、C1−C4−カルボニル、C1−C4−アルコキシカルボニル、C2−C4−アルケニルオキシカルボニル、C2−C4−アルキニルオキシカルボニルであり得;ここで、先の置換基の各々は、可能な場合、1又は2以上のハロゲン原子によって置換され得る。
【0071】
用語「スルホネート」は、当技術分野において認識されており、及び、以下の一般式で表され得る置換基を含む:
【0072】
【化10】

【0073】
[式中、R*は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。]例えば、Xは、トリフレート、トシレート、メシレート、又はノナフレートであり得、例えばそれは、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、又はノナフルオロブタンスルホン酸エステルであり得る。特にXは、トシレート又はメシレートであり得る。
【0074】
炭素鎖、例えばアルキル、及び/又はアルコキシは、分岐しているか、又は未分岐であり得る。
【0075】
用語ハロゲンは、F、Cl、Br、又はIのことである。好ましくは、例えばX以外の、任意のハロゲン置換基は、フッ素置換基である。
【0076】
本発明のさらなる態様において、スキーム1C:
【0077】
【化11】

【0078】
[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Xは塩素であり;
Rは水素であり;
Pは、VIII基又はIX基であり:
【0079】
【化12】

【0080】
(式中、R1はCF3、CHF2、又はCH2Fである)
【0081】
【化13】

【0082】
(式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される)
ここで、触媒は銅及び配位子を含む]
によって表される反応を行うことを含む、式1Cの化合物の製造方法が提供される。
【0083】
好ましくは、反応は、極性有機溶媒中で行われる。
【0084】
本発明のさらなる態様において、スキーム1D:
【0085】
【化14】

【0086】
{式中、
Qは、V基、VI基、VIIa基、VIIb基、又はVIIc基:
【0087】
【化15】

【0088】
[式中、
Bは、単結合又は二重結合であり;
Tは、単結合又は二重結合であり;
1aは、1〜3個のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で場合により置換されフェニルであり、又は、R1aは、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル(好ましくはC1−C8−フルオロアルキル)、若しくは
【0089】
【化16】

【0090】
であり;
2a、R3a及びR4aは、各々独立してC1−C8−アルキル、又はC1−C8−ハロアルキル(好ましくはC1−C8−フルオロアルキル)であり;
2及びY3は、独立してO、S、Nであり;
2b及びR3bは、各々独立してC1−C8−アルキルであり、ここで、R2b及びR3bは、場合により一緒になって5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
5aは、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である]
であり;
Xは塩素であり;
Rは水素であり;
Pは、VIII基又はIX基であり:
【0091】
【化17】

【0092】
[式中、R1はCF3、CHF2、又はCH2Fである]
【0093】
【化18】

【0094】
[式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される]
ここで、触媒は銅及び配位子を含む}
によって表される反応を行うことを含む、式IDの化合物の製造方法が提供される。
【0095】
好ましくは、反応は、極性有機溶媒中で行われる。
【0096】
本発明のさらなる態様において、スキーム1E:
【0097】
【化19】

【0098】
[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Xは塩素であり;
Rは水素であり;
Pは、VIII基又はIX基であり:
【0099】
【化20】

【0100】
(式中、R1はCF3、CHF2、又はCH2Fである)
【0101】
【化21】

【0102】
(式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される)
ここで、触媒は銅及び配位子を含む]
によって表される、反応を開始する方法であって、式IIIEの化合物を触媒と接触させる前に、溶液形態の式IIIの化合物を提供することを含む、前記方法が提供される。
【0103】
本発明のさらなる態様において、スキーム1F:
【0104】
【化22】

【0105】
{式中、
Qは、V基、VI基、VIIa基、VIIb基、又はVIIc基:
【0106】
【化23】

【0107】
[式中、
Bは、単結合又は二重結合であり;
Tは、単結合又は二重結合であり;
1aは、1〜3個のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で場合により置換されフェニルであり、又は、R1aは、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル(好ましくはC1−C8−フルオロアルキル)、若しくは
【0108】
【化24】

【0109】
であり;
2a、R3a及びR4aは、各々独立してC1−C8−アルキル、又はC1−C8−ハロアルキル(好ましくはC1−C8−フルオロアルキル)であり;
2及びY3は、独立してO、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立してC1−C8−アルキルであり、ここで、R2b及びR3bは、場合により一緒になって5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
5aは、水素又はハロゲンであり、好ましくは水素又はフッ素である]
であり;
Xは塩素であり;
Rは水素であり;
Pは、VIII基又はIX基であり:
【0110】
【化25】

【0111】
[式中、R1はCF3、CHF2、又はCH2Fである]
【0112】
【化26】

【0113】
[式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される]
ここで、触媒は銅及び配位子を含む}
によって表わされる、反応を開始する方法であって、式IIIFの化合物を触媒と接触させる前に、液体形態の式IIIの化合物を提供することを含む、前記方法に関する。
【0114】
好ましくは、銅は溶解性形態で提供される。銅は、銅原子又は銅イオンであり得、例えばそれは、(0)、(I)、又は(II)の酸化状態であり得る。好ましくは、銅は、(I)の酸化状態で提供される。
【0115】
銅は、銅塩に由来し得る。例えば、銅は、CuCl、CuBr、CuI、Cu2O、CuSCN、CuCl2、CuBr2、CuI2、CuO、CuSCN2又はそれらの混合物として提供され得る。好ましくは、銅は、CuCl、CuBr、CuI又はそれらの混合物として提供され得る。用語「銅」は、銅(0)、(I)、(II)、(III)の任意の形態のことであり、例えば銅塩、銅溶媒和イオン、又は原子及び/又は銅錯体のことである。
【0116】
配位子は、アルキルアルコール、アリールアルコール、例えばフェノール、アルキルアミン、ジアミン、例えば1,2−ジアミン、又は1,3−ジアミン、1,2−アミノアルコール、1,2−アミノエーテル、例えばトリス(3,6,−ジオキサヘプチル)アミン、1,2−アミノ酸、例えばピペコリン酸、1,2−ジオール、イミダゾリウムカルベン、ピリジン、1,10−フェナントロリン、1,3−ジケトン、例えば2,4−ペンタジオンであり;各々場合により置換されている。好ましくは、配位子は、ジアミン、例えば場合により置換された1,2−又は1,3−ジアミン、及び/又は場合により置換された1,10−フェナントロリンである。先の各々は、場合により置換され得る。
【0117】
例えば、配位子は、1,2−ジアミノアルカン、1、3−ジアミノアルカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,10−フェナントロリン、2−ヒドロキシエチルアミン、又は1,2−ジアミノエタンあり、各々場合により置換されている。好ましくは、配位子は、場合により置換された1,2−ジアミノシクロヘキサン、例えば1,2−ジアミノシクロヘキサン、N,N−ジメチル−1、2−ジアミノシクロヘキサン、及び/又はN−トリル−1、2−ジアミノシクロヘキサンである。
【0118】
例えば、配位子は、N,N,N’,N’−テトラメチル−1、2−ジアミノエタン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5−メチル−1、10−フェナントロリン、5−クロロ−1,10−フェナントロリン、5−ニトロ−1,10−フェナントロリン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、(メチルイミノ)二酢酸、エタノールアミン、1,2−ジアミノエタン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド、及び/又はトリス(3,6−トリオキサヘプチル)アミンである。好ましくは,配位子は、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミンシクロヘキサン、N,N’−ジメチル−1,2−ジエチルアミン、又はN1−メチル−プロパン−1,3−ジアミンである。
【0119】
特定の配位子の異性体が可能であるとき、例えばシス−トランス異性体、及び/又は立体異性体が可能である場合、配位子は、1つの特定の異性体であり得、例えば、シス、若しくはトランス異性体、又は異性体の混合物が使用され得る。例えば、触媒に含まれる配位子が1,2−ジアミノシクロヘキサンであるとき、シス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、又はシス−及びトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物であり得る。
【0120】
配位子は、トランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサンであり得る。好ましくは、反応混合物中におけるトランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサンとシス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサンとのモル比は、少なくとも55%〜45%、少なくとも60%〜40%、少なくとも70%〜30%、少なくとも80%〜20%、少なくとも90%〜10%、少なくとも95%〜5%、少なくとも99%〜1%である。幾つかの場合において、配位子は、実質的に全てトランス−N,N’−ジメチル1,2−ジアミノシクロヘキサンであり、例えば100%トランス−N,N’−ジメチル1,2−ジアミノシクロヘキサンである。
【0121】
疑念を避けるために、一般的用語「場合により置換された」は、1若しくは2以上の基で置換された、又は置換されていないことを意味する。例えば、「場合により置換された1,2−ジアミン」は、1,2−ジアミン、又は置換された1,2−ジアミンを意味する。「置換された1,2−ジアミン」は、1又は2以上の(官能)基で置換された1,2−ジアミンを含む。
【0122】
一般的に、配位子と銅とのモル比は、少なくとも10:1、少なくとも5:1、少なくとも3:1、少なくとも2.5:1、少なくとも2:1、少なくとも1.5:1、少なくとも1:1、少なくとも0.5:1、少なくとも0.1:1であり得る。例えば、配位子と銅とのモル比は、10未満:1、5未満:1、3未満:1、2.5未満:1、2未満:1、1.5未満:1、又は1未満:1である。例えば、配位子と銅とのモル比は、10:0.1〜0.1:10、5:1〜1:5、3:1〜1:3、2.5:1〜1:2.5、2:1〜1:2、又は1.5:1〜1:1.5の範囲内であり得る。好ましくは、配位子と銅とのモル比は、少なくとも1:1、例えば少なくとも2:1、例えば約2.2:1である。
【0123】
反応が開始された後に、例えば開始後1又は2以上の時点で、追加の配位子が反応混合物中に添加され得る。追加の配位子が、バッチごとに、連続的に、又はその両方の組み合わせで添加され得る。追加の配位子が、例えば、反応開始から少なくとも10分後、少なくとも20分後、少なくとも30分後、少なくとも40分後、少なくとも50分後、又は少なくとも60分後に添加され得、例えば、反応開始から少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも3時間後、少なくとも4時間後、又は少なくとも5時間後に添加され得る。反応中に添加される追加の配位子のモル量は、反応開始時に存在する銅のモル量の少なくとも0.1倍、少なくとも0.5倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍であり得る。例えば、反応開始時に、配位子は、銅とほぼ同一のモル濃度で存在し得、反応の間、追加の配位子が、配位子の最終モル濃度が、銅のモル濃度の少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍となるように添加される。
【0124】
同様に、反応が開始された後に、例えば開始後1又は2以上の時点で、追加の銅が反応混合物中へ添加され得る。追加の銅が、バッチごとに、連続的に、又はその両方の組み合わせで添加され得る。追加の銅が、例えば、反応開始から少なくとも10分後、少なくとも20分後、少なくとも30分後、少なくとも40分後、少なくとも50分後、又は少なくとも60分後に添加され得、例えば、反応開始から少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも3時間後、少なくとも4時間後、又は少なくとも5時間後に添加され得る。反応中に添加される追加の銅のモル量は、反応開始時に存在する銅の量の少なくとも0.1倍、少なくとも0.5倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍であり得る。銅の最終モル濃度は、反応開始時の銅のモル濃度の少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍であり得る。
【0125】
同様に、追加の銅及び配位子は、反応開始後に、例えば同時に、連続的に、又は別々に添加され得る。更なる反応の安全性のために、式(II)の化合物は、ゆっくりと反応へ添加され得る。溶媒及び/又は水は、反応の間に蒸留され得る。例えば反応の流動性を維持するために、溶媒をその後再充填する。
【0126】
100℃超、110℃超、120℃超、130℃超、140℃超、150℃超、160℃超、又は170℃超の沸点(標準条件下で決定されるもの)を有する溶媒を用いて、反応が行われ得る。好ましくは、本発明の反応は、150℃超の沸点を有する溶媒を用いて行われる。
【0127】
溶媒は、好ましくは極性有機溶媒であり、すなわち、溶媒は少なくとも1つの炭素原子を有する。溶媒はプロトン性又は非プロトン性溶媒であり得る。溶媒の例は、エーテル、例えばジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジグリム、t−ブチルメチルエーテル、THF、2−メチル−THF、ジオキサン;ハロゲン化溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、4−フルオロトルエン;エステル及びケトン、例えば酢酸エチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン;アミン、例えばアニソール、極性非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド;並びにアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−BuOH、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、又はより長い鎖のアルコール、及びジエチレングリコールを含む。1又は2以上の溶媒の組み合わせが使用され得、そしてそれは1又は2以上の非極性溶媒を含み得る。
【0128】
好ましくは、溶媒は、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、ハロゲン化溶媒、アミン、アミド、ニトリル、及びスルホキシドから成る群から選択され、例えば,アルコール、エーテル、ケトン、アミン、アミド、ニトリル、及びスルホキシドから成る群から選択される。より好ましくは、溶媒は、アルコール、直鎖及び分岐鎖のエーテル、アミン、及びケトンから成る群から選択され、例えば、アルコール、直鎖及び分岐鎖のエーテル、及びケトンから成る群から選択される。好ましくは、溶媒は、ジグリム、エチルジグリム、DMF、NMP、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、又はtBuOHである。幾つかの実施形態において、溶媒は、式IIの化合物である。
【0129】
Xがハライドであるとき、溶媒は、低溶解性のものであり得、そしてそれは、反応中に放出されるハライドイオンが反応溶液から実質的に除去されるように、塩が実質的に不溶性である。或いは、溶媒の組み合わせは、バルク溶媒の極性とハライド塩の溶媒和を調整するために使用され得、それにより、1若しくは2以上の極性溶媒、特に極性非プロトン溶媒、及び/又は1若しくは2以上の無極性溶媒が組み合わされる。具体例は、DMFとキシレンとの混合物であり、そしてそれは幾つかの場合で、各々の溶媒の約50%v/vを含み得る。
【0130】
好ましくは、反応は塩基の存在下で行われ得る。塩基は、任意のブレンステッド塩基であり得、例えば、カーボネート、カルボキシレート、ホスフェート、オキシド、ヒドロキシド、アルコキシド、アリールオキシド、アミン、金属アミド、フルオリド、若しくはグアニジン、又は1又は2以上のそれらの混合物であり得る。塩基は、カルボン酸の金属塩であり得、例えば、酢酸ナトリウムであり得る。好適な塩基の具体例は、K3PO4、K2CO3、Na2CO3、Ti2CO3、Cs2CO3、K(OtBu)、Li(OtBu)、Na(OtBu)、K(OPh)、Na(OPh)、又はそれらの混合物を含む。好ましくは、塩基は、カーボネート、例えば炭酸カリウムである。当業者は、必要とされる塩基の量を容易に決定し得る。
【0131】
反応は、0〜200℃で行われ得、特に、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃、又は少なくとも190℃で行われ得る。反応は、0℃〜200℃、100℃〜200℃、110〜200℃、120℃〜200℃、130℃〜200℃、140℃〜200℃、150℃〜200℃、160℃〜200℃、170℃〜200℃、180℃〜200℃、190℃〜200℃、100℃〜190℃、100℃〜180℃、100℃〜170℃、120℃〜160℃、130℃〜190℃、140℃〜180℃、140℃〜170℃、140℃〜160℃、又は145℃〜155℃の範囲内で行われ得る。
【0132】
反応は、大気圧よりも高い圧力で行われてもよい。例えば、反応は、約1bar又は、少なくとも1.1bar、少なくとも1.2bar、少なくとも1.3bar、少なくとも1.4bar、少なくとも1.5bar、少なくとも1.6bar、少なくとも1.7bar、少なくとも1.8bar、少なくとも1.9bar、少なくとも2bar、少なくとも3bar、少なくとも4bar、又は少なくとも5barで行われ得、例えば10bar未満、5bar未満、2bar未満で行われ得、例えば1bar〜10bar、1bar〜5bar、1bar〜4bar、1bar〜3bar、1bar〜2bar、1bar1.9bar、1bar〜1.8bar、1bar〜1.7bar、1bar〜1.6bar、1bar〜1.5bar、1bar〜1.4bar、1bar〜1.3bar、1bar〜1.2bar、又は1bar〜1.1barで行われ得る。選択される溶媒が、所望の反応温度未満の沸点を有するときに、1barよりも高い圧力が使用され得る。本発明の目的のために、1barは大気圧を表すと一般的に考えられ得る。
【0133】
反応混合物からの水の除去、例えば連続的除去のための用意がなされ得る。好適な方法は、水の共沸除去である。水の共沸除去を行うために好適な装置は、当業者に既知である。
【0134】
使用される銅の量は、化合物(II)の量に基づいて50mol%未満であり得、例えば、化合物(II)の量に基づいて25mol%未満、20mol%未満、10mol%未満、5mol%未満、2mol%未満、1mol%未満、0.5mol%未満、又は0.1mol%未満であり得る。使用される銅の量は、化合物(II)の量に基づいて少なくとも0.01mol%であり得、例えば、化合物(II)の量に基づいて少なくとも0.1mol%、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、又は少なくとも10mol%であり得る。使用される銅の量は、化合物(II)の量に基づいて0.01〜50mol%の範囲内であり得、化合物(II)の量に基づいて0.1〜25mol%、1〜20mol%、又は5〜15mol%の範囲内であり得る。好ましくは、銅の量は、化合物(II)の量に基づいて約1mol%であるが、20mol%以下であり得る。
【0135】
使用される銅の量は、化合物(III)の量に基づいて50mol%未満であり得、例えば、化合物(III)の量に基づいて25mol%未満、20mol%未満、10mol%未満、5mol%未満、2mol%未満、1mol%未満、0.5mol%未満、又は0.1mol%未満であり得る。使用される銅の量は、化合物(III)の量に基づいて少なくとも0.01mol%であり得、例えば、化合物(III)の量に基づいて少なくとも0.1mol%、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、又は少なくとも10mol%であり得る。使用される銅の量は、化合物(III)の量に基づいて0.01〜50mol%の範囲内であり得、化合物(III)の量に基づいて0.1〜25mol%、1〜20mol%、又は5〜15mol%の範囲内であり得る。好ましくは、銅の量は、化合物(III)の量に基づいて約1mol%であるが、20mol%以下であり得る。
【0136】
使用される配位子の量は、化合物(II)の量に基づいて100mol%未満であり得、例えば、化合物(II)の量に基づいて50mol%未満、25mol%未満、20mol%未満、10mol%未満、5mol%未満、2mol%未満、1mol%未満、0.5mol%未満、又は0.1mol%未満であり得る。使用される配位子の量は、化合物(II)の量に基づいて少なくとも0.01mol%であり得、例えば、化合物(II)の量に基づいて少なくとも0.1mol%、少なくとも1mol%、少なくとも2mol%、少なくとも5mol%、少なくとも10mol%、少なくとも20mol%、又は少なくとも50mol%であり得る。使用される配位子の量は、化合物(II)の量に基づいて0.01〜100mol%の範囲内であり得、化合物(II)の量に基づいて1〜50mol%、5〜40mol%、10〜30mol%、又は15〜25mol%の範囲内であり得る。
【0137】
使用される配位子の量は、化合物(III)の量に基づいて100mol%未満であり得、例えば、化合物(III)の量に基づいて50mol%未満、25mol%未満、20mol%未満、10mol%未満、5mol%未満、2mol%未満、1mol%未満、0.5mol%未満、又は0.1mol%未満であり得る。使用される配位子の量は、化合物(III)の量に基づいて少なくとも0.01mol%であり得、例えば、化合物(III)の量に基づいて少なくとも0.1mol%、少なくとも1mol%、少なくとも2mol%、少なくとも5mol%、少なくとも10mol%、少なくとも20mol%、又は少なくとも50mol%であり得る。使用される配位子の量は、化合物(III)の量に基づいて0.01〜100mol%の範囲内であり得、化合物(III)の量に基づいて1〜50mol%、5〜40mol%、10〜30mol%、又は15〜25mol%の範囲内であり得る。
【0138】
本発明の反応において、化合物(II)と(III)とのモル比は、10:1〜1:10、5:1〜1:5、2:1〜1:2、又は1.2:1〜1:1.2の範囲内であり得る。好ましくは、化合物(II)は、化合物(III)と比較してモル数にして過剰に存在する。好ましくは、化合物(II)と(III)とのモル比は、少なくとも1.1:1、1.5:1、2:1、3:1、又は少なくとも4:1である。
【0139】
しかし反応剤は、反応の間、一方が他方に使用され得、その場合において、反応剤の比は、反応の間においてかなり変化し得る。
【0140】
反応混合物の後処理は、合成有機化学の周知の手順に従ってなされる。例えば、水を用いた後処理は、水(又は他の水溶液)を添加し、そして、所望の製造物を沈殿物として濾過するか、又は好適な有機溶媒を用いて所望の製造物を抽出することによりなされ得る。或いは製造物は、蒸留により、例えば減圧下で、存在する任意の溶媒を除去することにより単離され得る。製造物の精製は、多くの方法のいずれか、例えば蒸留、再結晶、及びクロマトグラフィーによりなされ得る。
【0141】
ある実施形態において、本発明は、国際公開第04/035589号に記載されている化合物、例えば式(X)の化合物:
【0142】
【化27】

【0143】
[式中、
Hetは、R8、R9及びR10基で置換されるピロリル又はピラゾリルであり、;
Yは、CR1213(CHR1415m(CHR1617n、CY2(R2b)Y3(R3b)、又はC=N−NR4b(R5b)であり;
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
Bは単結合又は二重結合であり;
mは0又は1であり;
nは0又は1であり;
2及びR3は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C1−C4−アルコキシ又はC1−C4−ハロアルコキシであり;
4、R5、R6及びR7は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル、C1−C4−アルコキシ、C1−C4−ハロアルコキシ、C1−C4−アルキルチオ、C1−C4−ハロアルキルチオ、ヒドロキシメチル、C1−C4−アルコキシメチル、C(O)CH3又はC(O)OCH3であり;
8、R9及びR10は、各々独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル、C1−C4−アルコキシ(C1−C4)アルキレン又はC1−C4−ハロアルコキシ(C1−C4)アルキレンであり、ただし、R8、R9及びR10の少なくとも1つは水素ではなく;
12及びR13は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CH2OH、CH(O)、C3−C6−シクロアルキル、CH2O−C(=O)CH3、CH23−C6−シクロアルキル又はベンジルであり;
或いは、R12及びR13は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O又は3〜5員環の炭素環を形成し;
或いは、R12及びR13は一緒になって、C1−C6−アルキリデン又はC3−C6−シクロアルキリデンを形成し;並びに
14、R15、R16及びR17は、各々独立して、H、又はC1−C6−アルキルである]
を製造する方法であって、式(XI)の化合物:
【0144】
【化28】

【0145】
[式中、Hetは、式(X)の化合物に関して定義された通りである]
を、式(XII)の化合物:
【0146】
【化29】

【0147】
[式中、
Y、B、R2、R3、R4、R5、R6、R7は、式(X)の化合物に関して定義された通りであり;
Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホネートであり;
8、R9及びR10は、各々独立して水素、クロロ、フルオロ、メチル、CF3、CHF2又はCH2Fであり、ただし、R8、R9及びR10の少なくとも1つは水素ではない]
と反応させるステップを含む、前記方法に関する。
【0148】
m及びnは、いずれも0であり得る。
【0149】
12及びR13は、各々独立して、水素、C1−C4−アルキル、又はC1−C4−アルコキシであり得る。
【0150】
14及びR15はいずれもCH3であり得る。
【0151】
2は、水素、ハロゲン又はC1−C4−アルキルであり得る。
【0152】
3は、水素又はメチルであり得る。
【0153】
4、R5、R6及びR7は、水素であり得る。
【0154】
Hetは、ピラゾリル又はピロリルであり得、好ましくはピラゾリルであり得る。
【0155】
本発明は、立体異性体、幾何異性体、及び任意の互変異性体を含む、式(X)の化合物の製造方法を含む。特に本発明は、式(X)の化合物の立体異性体の製造方法を含む。例えば、Y基が芳香族環の平面の上又は下に存在する化合物の製造方法を含む。本発明はまた、式(X)の化合物の塩の製造方法を含む。一般的には、特定の化合物に対する全ての参照は、他に言及されない限り、化合物の任意の立体異性体、幾何異性体、互変異性体、及び塩を含む。
【0156】
mが1であり、且つnが1であるとき、R12及びR13は存在しないことは当業者にとって明らかである。mが1であり、且つnが0であるとき、R12は存在せず、且つR13は存在し、逆も同様である。mが0であり、且つnが0であるとき、R12及びR13はいずれも存在する。
【0157】
式(X)の化合物が、スキーム1における式(I)の化合物に相当し、式(XI)の化合物がスキーム1における式(III)の化合物に相当し、及び、式(XII)の化合物がスキーム1における式(II)の化合物に相当することは明らかである。
【0158】
更なる実施形態において、本発明は、式XXの化合物:
【0159】
【化30】

【0160】
[式中、
Yは、CR1213(CHR1415m(CHR1617n、CY2(R2b)Y3(R3b)、又はC=N−NR4b(R5b)であり;
Bは単結合又は二重結合であり;
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
mは0又は1であり;
nは0又は1であり;
12及びR13は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CH(O)、C3−C6−シクロアルキル、CH2O−C(=O)CH3、CH2−C3−C6−シクロアルキル又はベンジルであり;
或いは、R12及びR13は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O又は3〜5員環の炭素環を形成し;
或いは、R12及びR13は一緒になって、C3−C6−シクロアルキリデンを形成し;並びに
14、R15、R16及びR17は、各々独立して、H、又はC1−C6−アルキルである]
を製造することを含む反応であって、式(XXI)の化合物:
【0161】
【化31】

【0162】
[式中、
Xは、脱離基、例えばF、Cl、Br、I、又はスルホネートであり;
Y及びBは、式XXの化合物に関して定義された通りである]
を、式(XXII)の化合物:
【0163】
【化32】

【0164】
[式中、R1はC1−C4ハロアルキルである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0165】
更なる実施形態において、本発明は、式XXAの化合物:
【0166】
【化33】

【0167】
[式中、
Yは、CHCHR18(R19)又はC=C(A)Z、CY2(R2b)Y3(R3b)、C=N−NR4b(R5b)であり;
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
Bは単結合又は二重結合であり;
A及びZは、独立してC1−C6アルキルであり、
1は、CF3又はCF2Hであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;並びに、
18及びR19は、各々独立して、水素、又はC1−C6−アルキルである]
を製造することを含む反応であって、式(XXIA)の化合物:
【0168】
【化34】

【0169】
[式中、
Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホネートであり;
Bは単結合又は二重結合であり;及び
Yは、式XXAの化合物に関して定義された通りである]
を、式(XXIIA)の化合物:
【0170】
【化35】

【0171】
[式中、R1はCF3又はCF2Hである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0172】
以下は、任意の組み合わせで組み合され得る上の置換基の、好ましい置換基の定義を示す。
好ましくは、A及びZは、各々独立してC1−C4アルキルである。
好ましくは、A及びZは、各々独立して、CH3である。
好ましくは、Yは、CHCHR18(R19)又はC=C(A)Zである。
好ましくは、Yは、CHCH(CH3)CH3又はC=C(CH3)CH3である。
好ましくは、Yは、CHCH(CH3)CH3である。
好ましくは、Y2及びY3は、各々独立してO又はSである。
好ましくは、Y2及びY3は各々Oである。
好ましくは、Bは単結合である。
好ましくは、R1は、CF3、CHF2又はCH2Fである。
好ましくは、R1はCF3又はCHF2である。
好ましくは、R1はCHF2である。
好ましくは、mは0であり、及びnは0である。
【0173】
好ましくはR2b及びR3bは、各々独立してC14アルキルであり;又は、R2及びR3は、一緒になって4〜6員環を形成する。
好ましくは、R2b及びR3bは、各々独立して、メチル又はエチルであり;或いはR2b及びR3bは、一緒になって、エチレン又はプロプレン基を形成する。
好ましくは、R2b及びR3bは、各々独立してメチルであり、又はR2b及びR3bは、一緒になってエチレン基を形成する。
好ましくは、R4b及びR5bは、各々独立してC1−C4アルキルである。
好ましくは、R4b及びR5bは、各々独立して、メチル又はエチルであり、好ましくはメチルである。
好ましくは、R12及びR13は、各々独立して、水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルコキシである。
好ましくは、R12及びR13は、各々独立して、水素又はC1−C4アルキルである。
好ましくは、R12は水素であり、及びR13はC1−C4アルキルである。
好ましくは、R12は水素であり、及びR13はCH(CH3)CH3である。
好ましくは、R18は、メチル又はエチルである。
好ましくは、R19はメチルである。
【0174】
更なる実施形態において、本発明は、式XXXの化合物(化合物XXXはイソピラザム(Isopyrazam)である):
【0175】
【化36】

【0176】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0177】
【化37】

【0178】
を、式XXXIIの化合物:
【0179】
【化38】

【0180】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0181】
更なる実施形態において、本発明は、式XXXVの化合物:
【0182】
【化39】

【0183】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0184】
【化40】

【0185】
を、式XXXVIの化合物:
【0186】
【化41】

【0187】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0188】
更なる実施形態において、本発明は、式XXXVIIの化合物:
【0189】
【化42】

【0190】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0191】
【化43】

【0192】
を、式XXXIIIの化合物:
【0193】
【化44】

【0194】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0195】
更なる実施形態において、本発明は、式XXXXの化合物:
【0196】
【化45】

【0197】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0198】
【化46】

【0199】
を、式XXXXIの化合物:
【0200】
【化47】

【0201】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0202】
更なる実施形態において、本発明は、式XXXXVIIの化合物:
【0203】
【化48】

【0204】
[式中、
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C6−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成する]
を製造することを含む反応であって、式XXXXIVの化合物:
【0205】
【化49】

【0206】
[式中、
2、Y3、R2b、及びR3bは、式XXXXVIIに関して定義された通りであり;
Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホネートであり、好ましくはClである]
を、式XXXIの化合物:
【0207】
【化50】

【0208】
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0209】
更なる実施形態において、本発明は、式XXXXVIIIの化合物:
【0210】
【化51】

【0211】
[式中、
4b及びR5bは、独立して、C1−C8−アルキルである]
を製造することを含む反応であって、式XXXXVの化合物:
【0212】
【化52】

【0213】
[式中、
Xは、ハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClであり;
4b及びR5bは、独立して、C1−C8−アルキルである]
を、式XXXIの化合物:
【0214】
【化53】

【0215】
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0216】
本発明はまた、式XXXXIXの化合物(式XXXXIXの化合物はセダキサン(Sedaxane)である):
【0217】
【化54】

【0218】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0219】
【化55】

【0220】
を、式Lの化合物:
【0221】
【化56】

【0222】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0223】
本発明はまた、式LIの化合物(式LIの化合物はビキサフェン(Bixafen)である):
【0224】
【化57】

【0225】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0226】
【化58】

【0227】
を、式LIIの化合物:
【0228】
【化59】

【0229】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0230】
本発明はまた、式LVの化合物(式LVの化合物はペンチオピラド(Penthiopyrad)である):
【0231】
【化60】

【0232】
を製造することを含む反応であって、式LVIの化合物:
【0233】
【化61】

【0234】
を、式LVIIの化合物:
【0235】
【化62】

【0236】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0237】
本発明はまた、式LXの化合物(式LXの化合物はペンフルフェン(Penflufen)である):
【0238】
【化63】

【0239】
を製造することを含む反応であって、式LXIの化合物:
【0240】
【化64】

【0241】
を、式LXIIの化合物:
【0242】
【化65】

【0243】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0244】
本発明はまた、式LXVの化合物:
【0245】
【化66】

【0246】
を製造することを含む反応であって、式XXXIの化合物:
【0247】
【化67】

【0248】
を、式LXVIの化合物:
【0249】
【化68】

【0250】
[式中、Xはハロゲン又はスルホネートであり、好ましくはClである]
と反応させるステップを含む、前記反応に関する。
【0251】
本発明の更なる態様において、
i.式XXXXIIの化合物:
【0252】
【化69】

【0253】
を製造することを含む方法であって、以下のステップ:
(a)式XXXXIIIの化合物:
【0254】
【化70】

【0255】
[式中、Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホネートであり、好ましくはClである]
におけるケトン基を、好適な保護化剤を用いて保護し;
(b)ステップ(a)で製造された化合物を、式XXXIの化合物:
【0256】
【化71】

【0257】
と、銅及び配位子を含む触媒の存在下で反応させ;並びに、
(c)ケトンを脱保護すること
を含む、前記方法が提供される。
【0258】
好適な保護基は、当業者にとって明らかであり、例えば、アルコール、例えば、1,2−アルコール、チオール、例えば1,2−チオール、アミン、例えば1,2−アミン及びヒドラジンを含む。
【0259】
例えば、ステップ(a)の製造物は、式XXXXIV又はXXXXVの化合物であり得る:
【0260】
【化72】

【0261】
[式中、
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホネートであり、好ましくはClである。]
【0262】
例えば、ステップ(b)の製造物は、式(XXXXVII)の化合物、又は式(XXXXVIII)の化合物であり得る。
【0263】
本発明の方法は、
ii.場合により、式XXXXIIの化合物:
【0264】
【化73】

【0265】
を、式XXXXVIの化合物:
【0266】
【化74】

【0267】
へと、例えば、式(XXXXII)の化合物を、好適な試薬、例えばトリフェニルホスフィン及び四塩化炭素と反応させることによって、変換することを含み得る。
【0268】
本発明はまた、式LI、LVII、及びLXVIの化合物であって、Xがハロゲン又はスルホネートであり、好ましくは塩素である前記化合物を含む。
【0269】
本発明はまた、式XXXXIII、XXXXIV、XXXXV、XXXXI、XXXIII、XXXXVII、XXXXVIIIの化合物に関する:
【0270】
【化75】

【0271】
[式中、
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホネートであり;
ただし、
i.Y2がOであり、Y3がOであり、R2bがC37−(n)であり、R3bがC37−(n)である、式XXXXVIIIの化合物;
ii.Y2がOであり、Y3がOであり、R2bがC25であり、R3bがC25である、式XXXXVIIIの化合物;
iii.Y2がOであり、Y3がOであり、R2b及びR3bが一緒になって−CH2−CH2−である、式XXXXVIIIの化合物;
を除く。]
【0272】
好ましくは、XはClである。
【0273】
一般的に式IIIの化合物は、対応する酸クロリドから、例えば以下のスキームに従って製造され得る:
【0274】
【化76】

【0275】
アンモニア水溶液、又はアンモニア気体が使用され得るか、又はアンモニウム塩、例えば酢酸アンモニウムが使用され得る。好適な溶媒、例えばTHF、及び反応条件は、当業者によって選択され得る。酸クロリドは、例えば国際公開第04/035589号に記載された通りに製造され得る。或いは、アミドは、対応するヘテロ環のエステルとアンモニアを反応させることによって製造され得る。
【0276】
式X及びXIIの化合物は、国際公開第04/035589号、及び国際公開第2007/068417号に記載された方法を用いて製造され得る。式(XXXII)の化合物は、以下のスキームに従って製造され得る:
【0277】
【化77】

【0278】
式XXXVI、XXXII、及びXXXXIの化合物は、国際公開第2007/068417号に記載された方法を用いて製造され得る。反応a及びcは、国際公開第2007/068417号に記載された通りに、例えば水素化触媒、例えば5%Pd/C、5%ラネーニッケル、又は5%ロジウム/炭素を用いて、溶媒中、例えばメタノール、エタノール、THF、又は酢酸エチル中で行われ得る。反応bはまた、国際公開第2007/068417号に記載された方法を用いて、対応するニトロ/アミン置換ノルボルネンに対して行われ得る。水素化の程度はまた、例えばウィルキンソン触媒(RhCl(PPh33)を用いることによって調整され得る。化合物XXXIIIは、反応a又はbで製造され得る。当該化合物は、既知の手順、例えばHPLCで単離され得る。
【0279】
ペンチオピラドは、EP0737682に記載されている;ビキサフェンはEP1490342に記載されている;セダキサンは、国際公開第03/074491号に記載されている;ペンフルフェンは、国際公開第2008/006575号に記載されている。
【0280】
本発明は、以下の非限定の実施例を通じて説明される。当業者は、反応剤に関して、及び反応条件且つ技術に関しての両方で、当該手順から好適な変更を即座に理解し得る。
【0281】
本明細書において言及された参考文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の全ての態様及び好ましい特徴は、明らかに不可能である場合を除き、互いに組み合わされ得る。
【実施例】
【0282】
実施例1:N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン/CuBr触媒の添加前に部分的に溶解された3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化
【0283】
【化78】

【0284】
オーブンで乾燥された多頸フラスコの脱気、窒素封入を3回行った。3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(1.75g、10mmol)、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(2.20g、10mmol)、炭酸カリウム(0.77g、5.5mmol)及び溶媒であるエチレングリコールジエチルエーテル(5mL)をフラスコに入れ、当該フラスコの脱気、窒素封入をもう1回行った。この懸濁液を撹拌しながら、20分間かけて150℃へと加熱した。当該温度に達した後、さらに2時間撹拌し、その後、あらかじめ混合された臭化銅(I)(280mg、20mol%)及びN,N’−ジメチルシクロヘキサンジアミン(0.69mL、44mol%)を加え、そしてさらに12時間、150℃で撹拌した。イン・サイチュ製造収率=92%であり、残りは出発原料であった。生じた懸濁液を室温へと冷却し、少量のアセトン(1〜2mL)を加えて懸濁液の流動性を向上させた。固体が析出(crash out)し始めるまで、0.1%H3PO4水溶液を当該懸濁液へ加えた。当該懸濁液を1.5時間放置し、(青い)水溶液から固体製造物を析出させた。当該固体製造物を減圧ろ過し、トルエン(5〜10mL)で洗浄し、回収された固体から多くの暗い着色を除いた。単離された製造物収率(最適化されていない)は、86%であった。
【0285】
実施例2:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド又は5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのいずれかが最後に添加された場合における、N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン/CuBr触媒を用いた、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化
【0286】
オーブンで乾燥された多頸フラスコの脱気、窒素封入を3回行った。3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(1.75g、10mmol)又は、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(2.20g、10mmol)、炭酸カリウム(0.77g、5.5mmol)及びジエチレングリコールジエチルエーテル(5mL)をフラスコに入れ、当該フラスコの脱気、窒素封入をもう1回行った。この懸濁液を撹拌しながら、20分間かけて150℃へと加熱した。当該温度に達した後、さらに2時間撹拌し、その後、あらかじめ混合された臭化銅(I)(280mg、20mol%)及びN,N’−ジメチルシクロヘキサンジアミン(0.69mL、44mol%)を加え、そしてさらに1時間、150℃で撹拌した。残りの試薬である塩化アリール又はアリールアミドを反応混合物へ加え、懸濁液をさらに12時間、150℃で撹拌した。5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンを最後に加えた場合、イン・サイチュ製造収率=88%であり、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドを最後に加えた場合、イン・サイチュ製造収率=26%であり、残りは出発原料であった。
【0287】
実施例3:CuBr又はN,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンのいずれかが最後に添加された場合における、N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン/CuBrを用いた、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化
【0288】
(i)CuBr塩を最後に加えた場合
オーブンで乾燥されたシュレンクに、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(1.39g、8mmol)、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(1.75g、8mmol)、炭酸カリウム(600mg、4.4mmol)を加え、脱気と窒素封入を3回行った。ジグリム(4mL)を当該混合物へ加え、窒素下、150℃で2時間、マグネティックスターラーで撹拌した。N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(500mg、3.4mmol、44mol%)をその後、150℃で反応へ加え、5分間撹拌した。固体の臭化銅(I)(230mg、1.6mmol、20mol%)をその後反応混合物へ150℃で加え、得られた深緑/茶色の反応を150℃でさらに18時間撹拌した。18時間後のGC分析は、84%の変換を示した。
【0289】
(ii)N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンを最後に加えた場合
オーブンで乾燥されたシュレンクに、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(1.39g、8mmol)、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(1.75g、8mmol)、炭酸カリウム(600mg、4.4mmol)を加え、脱気と窒素封入を3回行った。ジグリム(4mL)を当該混合物へ加え、窒素下、150℃で2時間、マグネティックスターラーで撹拌した。固体の臭化銅(I)(230mg、1.6mmol、20mol%)をその後、150℃で反応へ加え、5分間撹拌し、深橙色混合物を得た。N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(500mg、3.4mmol、44mol%)をその後反応混合物へ150℃で加え、150℃でさらに18時間撹拌した。18時間後のGC分析は、90%の変換を示した。
【0290】
実施例4:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化の溶媒効果
【0291】
実施例1に記載された方法を、異なる温度で、種々の溶媒を用いて反復した。表1を参照。
【0292】
【表1】

【0293】
実施例5:N,N’−ジメチルエチレンジアミンを配位子として用いた、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化
【0294】
オーブンで乾燥された多頸フラスコの脱気、窒素封入を3回行った。3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(1.75g、10mmol)、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(2.20g、10mmol)、炭酸カリウム(0.77g、5.5mmol)、臭化銅(I)(280mg、20mol%)、及びシクロヘキサノール(5mL)をフラスコに入れ、当該フラスコの脱気、窒素封入をもう1回行った。この懸濁液を撹拌しながら、20分間かけて150℃へと加熱した。当該温度に達した後、さらに2時間撹拌し、その後、N,N’−ジメチルシクロヘキサンジアミン(0.69mL、44mol%)を加え、そしてさらに12時間、150℃で撹拌した。イン・サイチュ製造収率は88%であり、残りは出発原料であった。揮発性の配位子の損失を避けるために封管を用いることで、反応がよりかなり早く進行し、且つたった5時間経過後で78%の変換であり、残りは出発原料であった。
【0295】
実施例6:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、4−クロロトルエンのアミド化における添加順の効果
【0296】
【化79】

【0297】
(i)全て一緒に加えた場合
オーブンで乾燥されたシュレンクに、ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(723mg、4mmol)、4−クロロトルエン(2mL、17mmol)、炭酸カリウム(1.2g、8.7mmol)、固体の臭化銅(I)(60mg、0.21mmol、11mol%)を入れ、脱気と窒素封入を3回行った。ジグリム(4mL)、及びN,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(70uL、0.44mmol、22mol%)をその後加え、当該混合物を窒素下、140℃にて、定期的にサンプリングしながら、マグネティックスターラーで撹拌した。
【0298】
(ii)N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンを最後に加えた場合
オーブンで乾燥されたシュレンクに、ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(723mg、4mmol)、4−クロロトルエン(2mL、17mmol)、炭酸カリウム(1.2g、8.7mmol)、固体の臭化銅(I)(60mg、0.21mmol、11mol%)を入れ、脱気と窒素封入を3回行った。ジグリム(4mL)をその後加え、当該混合物を窒素下、140℃にて2時間、マグネティックスターラーで撹拌した。N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(70uL、0.44mmol、22mol%)をその後加え、得られた深緑/茶色の反応を、140℃にて、定期的にサンプリングしながら撹拌した。
【0299】
(iii)ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドを最後に加えた場合
オーブンで乾燥されたシュレンクに、4−クロロトルエン(2mL、17mmol)、炭酸カリウム(1.2g、8.7mmol)、固体の臭化銅(I)(60mg、0.21mmol、11mol%)、N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(70uL、0.44mmol、22mol%)を入れ、脱気と窒素封入を3回行った。ジグリム(4mL)をその後加え、当該混合物を窒素下、140℃にて2時間、マグネティックスターラーで撹拌した。ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(723mg、4mmol)をその後加え、得られた茶色の反応を、140℃にて、定期的にサンプリングしながら撹拌した。
【0300】
結果
結果を表2に示す。
【0301】
【表2】

【0302】
実施例7:ベンズアミドとの、4−クロロトルエンのアミド化における添加順の効果
【0303】
【化80】

【0304】
方法1:乾燥されたフラスコの脱気、窒素封入を行い、その後、ベンズアミド(1.2g、10mmol)、クロロトルエン(1.27g、10mmol)、CuBr(0.14g、10mol%)、炭酸カリウム(1.7g、12mmol)、N,N’−ジメチルシクロヘキサンジアミン(0.2mL、22mol%)及びジグリム(4mL)を入れた。得られた懸濁液を15分間かけて150℃へと加熱し、その後150℃にて、サンプリングしながら2晩撹拌した。
【0305】
方法2:乾燥されたフラスコの脱気、窒素封入を行い、その後、ベンズアミド(1.2g、10mmol)、クロロトルエン(1.27g、10mmol)、CuBr(0.14g、10mol%)、炭酸カリウム(1.7g、12mmol)、及びジグリム(4mL)を入れた。懸濁液を15分間かけて150℃へと加熱し、この温度を2時間保ち、N,N’−ジメチルシクロヘキサンジアミン(0.2mL、22mol%)を加えた。得られた懸濁液を150℃にて、サンプリングしながら2晩撹拌した。
【0306】
結果
結果を表3に示す。
【0307】
【表3】

【0308】
実施例8:N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン/CuBr触媒を用いた、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化
【0309】
5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(2.2g、10mmol)を丸底フラスコに量りとり、それが完全に溶けるまで加熱しながら撹拌した。1−メチル−3−ジフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(0.44g、2.5mmol)、及び炭酸カリウム(0.2g、1.4mmol)をその後加え、当該懸濁液を150℃に加熱し、この温度で2時間保った。臭化銅(70mg、20mol%)及びN,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.12mL、44mol%)をその後当該懸濁液へ加え、かすかに窒素加圧下で、当該反応を150℃にて一晩撹拌した。その後、HPLC分析のために試料を反応から採取した。HPLCによって測定された変換は、(DEP−アミドに基づいて)89%であった。
【0310】
実施例9:N1−メチル−プロパン−1,3−ジアミン/CuBr触媒を用いた、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミドとの、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレンのアミド化
【0311】
乾燥されたフラスコの脱気、窒素封入を3回行い、その後、5−クロロ−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(2.20g、10mmol)、1−メチル−3−ジフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アミド(1.75g、10mmol)、炭酸カリウム(0.8g、5.7mmol)、及びCuBr(280mg、20mol%)、並びにジグリム(5mL)を加えた。当該懸濁液を撹拌しながら150℃へと加熱し、この温度で2時間撹拌して、その後、配位子N1−メチル−プロパン−1,3−ジアミン(0.31mL、44mol%)を加え、150℃で一晩撹拌した。この後、HPLC分析のために試料を反応から採取した。HPLCによって測定された変換は、64%であった。
【0312】
実施例10:3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(9−ジクロロメチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン−5−イル)−アミドの製造
【0313】
(a)5−クロロ−9,9−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン(化合物2)の製造
【0314】
【化81】

【0315】
オーブンで乾燥された50mLの3頸フラスコに化合物1(4g、20.8mmol)、トリメチルオルトホルメート(2.9mL、28.2mmol)を入れ、その後窒素下でメタノールを5mL加え、混合物を60℃で撹拌した。硫酸(200uL、50%w/v)をその後滴下し、当該混合物を20分間撹拌した。少量の製造物の沈殿が10分後に出現した(白色固体)。反応混合物を0℃にて20分間冷却し、沈殿を真空ろ過で回収し、冷メタノール(10mL)で洗浄し、化合物2を白色固体として95%の収率で得た(4.7g)。ろ液をジエチルエーテルに加えて抽出して残りの出発原料を回収し、真空で濃縮した(150mg、4%)。
【0316】
他の潜在的保護基は例えば、以下のものがある:
【0317】
【化82】

【0318】
[式中、nは、例えば1〜4である。]
【0319】
(b)3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(9,9−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン−5−イル)−アミド(化合物4)の製造
【0320】
【化83】

【0321】
オーブンで乾燥されたシュレンクに、化合物3(1.39g、8mmol)、化合物2(1.89g、8mmol)、炭酸カリウム(600mg、4.4mmol)を入れ、脱気、窒素封入を3回行った。ジグリム(4mL)を加え、窒素下で150℃にて2時間マグネティックスターラーを用いて、当該混合物を撹拌した。固体の臭化銅(I)(230mg、1.6mmol、20mol%)をその後反応混合物へ150℃で加え、その後N,N’−ジメチル−トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(500mg、3.4mmol、44mol%)を加えた。生じた深緑/茶色の反応を150℃にてさらに18時間撹拌した。18時間後のGC分析は、化合物4への81%の変換を示した。
【0322】
(c)3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(9−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン−5−イル)−アミド(化合物5)の製造
【0323】
【化84】

【0324】
オーブンで乾燥されたシュレンクに、化合物4(100mg、0.26mmol)を入れ、アセトン(1mL)に溶解した。塩酸を加え(37%、2滴)、当該混合物を窒素下で30分間、50℃で撹拌した。GCMS分析は、出発原料の完全な変換を示し、そして水を当該混合物へ加えた(5mL)。酢酸エチルにて抽出し(3×5mL)、真空で濃縮し、化合物5を得た(定量的変換)。
【0325】
(d)3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(9−ジクロロメチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン−5−イル)−アミド(化合物6)の製造
【0326】
【化85】

【0327】
化合物5(400mg、1.2mmol)及びトリフェニルホスフィン(mg、2.7mmol、2.2eq)のアセトニトリル(2.5mL)懸濁液を、室温で撹拌した。四塩化炭素(mg、mmol、eq)をその後、5分間かけて滴下した。反応混合物をその後60℃で撹拌し、速やかに深橙色溶液となった。6時間後、反応を停止し、室温に冷却した(GCMSを通じて、完全に調節された)。このステップにおける化合物6の化学収率は76%と計算された。
【0328】
当業者であれば、実施例10a、10b、及び10cが、イン・サイチュで行われる保護/脱保護を用いて、単一の段階へと容易に短縮され得ることを理解し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキーム1:
【化1】

[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Xはハロゲン、又はスルホネートであり;
Pは有機基であり;
Rは水素又は有機基であり;
ここで、触媒は、銅及び配位子を含む]
によって示される、反応を開始する方法であって、
式IIIの化合物を前記触媒と接触させる前に、液体形態で式IIIの化合物を提供することを含む、前記方法。
【請求項2】
スキーム1A:
【化2】

[式中、
Qは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Xは、ハロゲン、又はスルホネートであり;
Pは、場合により置換されたアリール、又は場合により置換されたヘテロアリールであり;
Rは、水素又は有機基であり;
ここで触媒は、銅及び配位子を含み;
ここで反応は、極性有機溶媒中で行われる]
によって示される反応を行うことを含む、式1Aの化合物の製造方法。
【請求項3】
Qが、フェニル、又は、O、N及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜6員環のヘテロアリールであり、ここで前記フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−アルコキシ、シアノ、ヒドロキシル、及びアミノから独立して選択される1又は2以上の基で場合により置換され;並びに、
ここで、先のものに加えて、前記フェニル又はヘテロアリールは、Xに対してオルト位で、フェニル、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、又はC3−C6−シクロアルキルから選択される基で置換され、並びに各々のフェニル、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、及びC3−C6−シクロアルキルは、ハロゲン、C1−C8−アルキル、C1−C8−アルコキシ、C3−C6−シクロアルキル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−ハロアルコキシ、及びC3−C6−ハロシクロアルキルから独立して選択される1又は2以上の基で場合により置換され;或いは、
Qがフェニルであるとき、それはXに対してオルト及びメタ位で、縮環されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環で置換され、そしてそれは、ハロゲン、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル、C1−C8−アルコキシ、C1−C8−アルキルチオ、C1−C8−アルキルアミノ、シアノ、及びヒドロキシルから独立して選択される1又は2以上の基で、各々場合により置換され、ここで任意のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基は、別のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、又はアルキルアミノ置換基と結合されて環を形成し;又は、縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R4b)R5bで場合により置換され、ここでR4b及びR5bは、C1−C8アルキルから独立して選択され;又は、縮環された前記ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプテン環は、=N−N(R3a)R4aで場合により置換され、ここでR3a及びR4aは、C1−C8アルキル及びC1−C8ハロアルキルから独立して選択され;
Pは、フェニル、ピリジル、ピロール、又はピラゾールであり、そしてそれらは各々、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル、及びハロゲンから独立して選択される、1〜3個の置換基で場合により置換され;並びに
Rは水素、又はメチルである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式III又はIIIAの化合物が、式XXII又はLXIIIの化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法:
【化3】

[式中、R1は、CF3、CHF2又はCH2Fである]
【化4】

[式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される。]
【請求項5】
XがClである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
Qが、V基、VI基、又は、VIIa基、VIIb基、若しくはVIIc基:
【化5】

[式中、
Bは単結合又は二重結合であり;
Tは単結合又は二重結合であり;
1aは、1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されたフェニルであり、或いは、R1aは、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル、又は、
【化6】

であり;
2a、R3a及びR4aは、各々独立して、C1−C8−アルキル又はC1−C8−ハロアルキルであり;
2及びY3は、独立してO、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立してC1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
5aは、水素又はハロゲンである]
である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
以下のステップ:
a)液体形態の式III又はIIIAの化合物を提供し、
b)銅を式III又はIIIAの化合物と接触させ、
c)配位子を式III又はIIIAの化合物と接触させること
を含み、ここで、ステップb)及びc)の少なくとも1つは、ステップa)の後に行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップa)が、式III又はIIIAの化合物を溶媒に溶解させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)が、式III又はIIIAの化合物を加熱することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
配位子が、場合により置換された1,2−ジアミン、又は場合により置換された1,3−ジアミンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
配位子が、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミンシクロヘキサン、N,N’−ジメチル−1,2−ジエチルアミン、又はN1−メチル−プロパン−1,3−ジアミンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
反応が、塩基の存在下で行われる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
スキーム1D:
【化7】

{式中、
Qは、V基、VI基、又はVIIa基、VIIb基、若しくはVIIc基:
【化8】

[式中、
Bは、単結合又は二重結合であり;
Tは、単結合又は二重結合であり;
1aは、1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されフェニルであり、又は、R1aは、C1−C8−アルキル、C1−C8−ハロアルキル、若しくは
【化9】

であり;
2a、R3a及びR4aは、各々独立してC1−C8−アルキル、又はC1−C8−ハロアルキルであり;
2及びY3は、独立してO、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立してC1−C8−アルキルであり、ここで、R2b及びR3bは、場合により一緒になって5〜8員環を形成し;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルであり;
5aは、水素又はハロゲンである]
であり;
Xは塩素であり;
Rは水素であり;
Pは、VIII基又はIX基:
【化10】

[式中、R1はCF3、CHF2、又はCH2Fである]
【化11】

[式中、Rxは、CF3、CHF2、及びCH3から選択される]
であり、ここで、触媒は銅及び配位子を含む}
で表される反応を行うことを含む、式IDの化合物を製造する方法。
【請求項14】
前記反応が、式XXXの化合物:
【化12】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化13】

を、式XXXIIの化合物:
【化14】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式XXXVの化合物:
【化15】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化16】

を、式XXXVIの化合物:
【化17】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式XXXVIIの化合物:
【化18】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化19】

を、式XXXIIIの化合物:
【化20】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式XXXXの化合物:
【化21】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化22】

を、式XXXXIの化合物:
【化23】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含むか、或いは;
前記反応が、式XXXXVIIの化合物:
【化24】

[式中、
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成する]
を製造することを含み、式XXXXIVの化合物:
【化25】

[式中、
2、Y3、R2b、及びR3bは、式XXXXVIIに関して定義された通りであり;
Xは、ハロゲン又はスルホネートである]
を、式XXXIの化合物:
【化26】

と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式XXXXVIIIの化合物:
【化27】

[式中、R4b及びR5bは、独立して、C1−C8−アルキルである]
を製造することを含み、式XXXXVの化合物:
【化28】

[式中、
Xは、ハロゲン又はスルホネートであり;
4b及びR5bは、独立して、C1−C8−アルキルである]
を、式XXXIの化合物:
【化29】

と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式XXXXIXの化合物:
【化30】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化31】

を、式Lの化合物:
【化32】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式LIの化合物:
【化33】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化34】

を、式LIIの化合物:
【化35】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含むか;或いは、
前記反応が、式LVの化合物:
【化36】

を製造することを含み、式LVIの化合物:
【化37】

を、式LVIIの化合物:
【化38】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含み;或いは、
前記反応が、式LXの化合物:
【化39】

を製造することを含み、式LXIの化合物:
【化40】

を、式LXIIの化合物:
【化41】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含み;或いは、
前記反応が、式LXVの化合物:
【化42】

を製造することを含み、式XXXIの化合物:
【化43】

を、式LXVIの化合物:
【化44】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
と反応させるステップを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
LIIの化合物:
【化45】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
或いは、
式LVIIの化合物:
【化46】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
或いは、
式LXVIの化合物:
【化47】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
或いは、
式XXXXIIIの化合物:
【化48】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
或いは、
式XXXXIVの化合物:
【化49】

[式中、
Xはハロゲン又はスルホネートであり;
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成する]
或いは、
式XXXXVの化合物:
【化50】

[式中、
Xはハロゲン又はスルホネートであり;
4b及びR5bは、独立してC1−C8−アルキルである]
或いは、
式XXXXIの化合物:
【化51】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
或いは、
式XXXIIIの化合物:
【化52】

[式中、Xはハロゲン又はスルホネートである]
或いは、
式XXXXVIIの化合物:
【化53】

[式中、
2及びY3は、独立して、O、S、Nであり;
2b及びR3bは、独立して、C1−C8−アルキルであり、ここでR2b及びR3bは、場合により一緒になって、5〜8員環を形成し;
ただし、
i.Y2がOであり、Y3がOであり、R2bがC37−(n)であり、R3bがC37−(n)である、式XXXXVIIの化合物;
ii.Y2がOであり、Y3がOであり、R2bがC25であり、R3bがC25である、式XXXXVIIの化合物;
iii.Y2がOであり、Y3がOであり、R2b及びR3bが一緒になって−CH2−CH2−である、式XXXXVIIの化合物;
を除く]
或いは、
式XXXXVIIIの化合物:
【化54】

[式中、R4b及びR5bは、独立して、C1−C8−アルキルである。]

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−513962(P2012−513962A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542774(P2011−542774)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067286
【国際公開番号】WO2010/072632
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】