説明

アルカリ土類硫酸塩ナノ粒子の製造法

本発明はナノ粒子の合成に関し、特にZ硫酸塩(Z=マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの二元混合物)からなるネットワークを有するナノ粒子の製造法に関する。本発明の方法は、合成液相混合物中のイオンZ源及び硫酸イオン源からの結晶成長によるナノ粒子の合成にある。前記発明の目的は、小径を有する硫酸バリウムナノ粒子を簡便に製造することであり、前記粒子は水又は他の溶媒中に均一に分散する。この目的のために、グリセリン、グリコールエチレン及びその他のポリエチレングリコール類、ポリアルコール類又はジメチルスルホキシド(DMSO)のような配位溶媒を合成混合物に使用する。好適な態様において、バリウムは塩化物の形態で、硫酸塩源は硫酸水素テトラブチルアンモニウムの形態で使用される。その他の金属ドーパントも、該合成が塩化物の形態で使用される場合、ナノ粒子ネットワークに最終的に統合することができる。

【発明の詳細な説明】
【先行技術】
【0001】
本発明はナノ粒子の合成法に関する。特に、本質的にZ硫酸塩(Z=マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの二元混合物)からなる格子を有するナノ粒子の製造法に関し、前記ナノ粒子は液相合成混合物中のZイオン源及び硫酸イオン源から結晶成長によって合成される。
Z硫酸塩(ZSO4)粒子を製造するための従来法は、通常水溶液中での沈殿反応として実施される。得られる一次粒子の大きさは、約100ナノメートルからmmの範囲の大きさまで様々である。このような製造法のため、これらの粒子は凝集し、どの所望のマトリックスにも均一に分散しない。
【0002】
ZSO4はドーパントのホスト格子として知られており、燐光工業で使用されている。さらにプラスチック工業でも重要な充填材料である。これまでに製造されている粒子凝集体は非常に大きいので、プラスチックの光学的性質、例えば透明度を明らかに変更してしまい、ポリマーマトリックスに問題なく配合することができない。こうした問題は、表面を各マトリックスに適合させた均一分布性ナノ粒子で回避できる。特に、BaSO4はx線分析用の造影剤としても使用できる。
【0003】
DE 100 05 685に100〜10,000ナノメートルの平均粒径d50を有する硫酸バリウムナノ粒子の製造法が開示されている。該粒子は、水溶液中、好ましくは硫酸ナトリウム(Na2SO4)又は硫酸(H2SO4)を含有する溶液中で製造される。
【0004】
この方法の欠点は、小さい平均粒径を有する粒子を、少なくとももう一つの方法工程、すなわち粉砕プロセス(湿式粉砕プロセス)にかけずに製造できないことである。
更なる欠点は、該合成粒子は、それらの合成混合物から析出直後、水に自由に分散されないことである。水中分散性を達成するには、更なる方法工程で該粒子の表面に有機添加剤を適用することがDE 100 05 685に示唆されている。この更なる方法工程のための三つの代替法が開示されている。それによれば、
A)分離した硫酸バリウムろ過ケーキをまず加工してペーストにし、これを次に添加剤と混合する、又は
B)ろ過ケーキを水に懸濁させ、懸濁液を添加剤と混合する、又は
C)ろ過ケーキを乾燥させた後添加剤と混合する。これは好ましくはスプレー粉砕プロセスで実施されるので、添加剤が初期物質として固体の形態で存在する場合、まずそれを溶液にする必要がある。
【0005】
この製造法は、添加剤を適用するための追加の方法工程のために手間がかかり、少なくとも追加の粉砕プロセスのために十分な収量が得られない。
そこで本発明の目的は、かなり小さい平均粒径を有する少なくとも硫酸バリウムのナノ粒子を簡便な様式で製造することである。該粒子は水中に均一に分散可能である。
本発明の利点
独立クレームの主題は、この目的を硫酸バリウムのナノ粒子についてだけでなく、その他のアルカリ土類硫酸塩のナノ粒子、すなわち硫酸マグネシウム、カルシウム及びストロンチウムのナノ粒子、又はそれらの二元混合物のナノ粒子についても解決する。
【0006】
本発明に従って開示されているのは、本質的にアルカリ土類硫酸塩、すなわち“Z硫酸塩”(Z=マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)−又は任意の混合比のそれらの二元混合物)からなる格子を有するナノ粒子の製造法であって、前記ナノ粒子は液相合成混合物中のZイオン源及び硫酸イオン源から結晶成長によって合成され、前記合成混合物は、粒子成長の制御成分として作用する配位能を有する非水性溶媒を含有することを特徴とする。
【0007】
この合成から得られる粒子は、0.5〜50ナノメートル(nm)、好ましくは2〜30nm、特に好ましくは5〜20nmのサイズを有し、サイズ分布は50%、好ましくは20%、特に好ましくは10〜15%である。
【0008】
選択した反応温度、反応時間、又は反応物の濃度によって、製法特異的な異なるサイズの粒子が得られる。サイズ分布は、特に、成長の制御に使用される分子及び使用される溶媒に左右される。従って、配位溶媒の中心的機能は、配位溶媒なしの合成と比較した場合に結晶成長を緩徐化することである。その結果、実験室(レベル)に関する限り、前述の成長制御のための製法特異的パラメータに加えて、制御パラメータとして時間の因子を、合成混合物中のナノ粒子の滞留時間(ドウェルタイム)の形態で導入することも基本的に可能となる。
【0009】
手短に言えば、グリセリン、エチレングリコール及びその他のポリエチレングリコール類、ポリアルコール類又はジメチルスルホキシド(DMSO)のような配位溶媒が本発明で使用される。さらに、バリウムは塩化物として、及び硫酸塩源は硫酸水素テトラブチルアンモニウムとして提供されるのが好ましい。さらに、合成時にナノ粒子の格子に所望により配合できる金属ドーパントも好ましくは塩化物として使用される。
【0010】
先行技術と比較した場合、本発明に従って得られるナノ粒子は、平均直径2〜50ナノメートルの極めて小さい様式で製造でき、何ら追加の後処理なしに特に好適な様式で水中に均一に分散できる。これは、本明細書の冒頭で引用した先行技術の方法に優る顕著な利点である。なぜならば、先行技術の方法は、合成時に非常に大きな凝集体(マイクロメートルの直径)を形成した粒子のサイズを湿式粉砕の手段で削減するのに(最大100ナノメートルに)相当の労力を要するからである。さらに、本発明のナノ粒子は、必要であればこちらも後処理後に、多くのその他の溶媒中によく分散できるようになる。例として挙げられるのはトルエン及びクロロホルムである。
【0011】
本発明の各主題の有益な開発及び改良は、サブクレーム中に見出すことができる。
合成混合物は、さらに非配位溶媒も含有できる。粒径は、全溶媒中のその割合によって調整できる。下記のことは基本的に真実である。すなわち、配位溶媒の使用量が少ないほど大きな粒子となる。
【0012】
合成混合物の大部分の溶媒が配位能を有していれば、多くの場合、50nm未満の平均直径を有するナノ粒子が製造できる。
以下の初期物質を選択することが、有益又はより正確には好都合である。
Z源として、ZCl2*2H2O、ZBr2*2H2O、ZI2*2H2O又はZ(OH)2

硫酸塩源として、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸ビス(トリメチルシリル)、R1234NHSO4の型のアンモニウム硫酸水素塩、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、アルカリ硫酸塩、アルカリ硫酸水素塩、硫酸アマンタジン、硫酸エチレンジアンモニウム及び硫酸ヒドラジニウム、
ドーパント源として、それぞれの金属硝酸塩、金属臭化物又は金属ヨウ化物、好ましくは金属塩化物。
【0013】
好適に利用可能なドーパントは以下のイオンの一つである。すなわち、
Eu(II)、Sn(II)、Mn(II)、Sb(III)、Pb(II)、Zn(II)、Ti(II)、V(II)、Cu(II)、Cd(II)、Ce(III)、Sm(III)、Pr(III)、Nd(III)、Gd(III)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Tm(III)、Yb(III)、Lu(III)、Eu(III)、Bi(III)、Ag(I)、Cu(I)、
又はそれらの任意の組合せ、好ましくは組合せXY、式中、
X=Eu(II)、Sn(II)、Mn(II)、Sb(III)、Pb(II)、Zn(II)、Ti(II)、V(II)、Cu(II)、Cd(II)、及び
Y=Ce(III)、Sm(III)、Pr(III)、Nd(III)、Gd(III)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Tm(III)、Yb(III)、Lu(III)、Eu(III)、Bi(III)、Ag(I)、Cu(I)である。
【0014】
こうして所望のサイズに到達した合成ナノ粒子の後処理は、それらの後の目的に応じてナノ粒子の表面を特異的に改質してその目的にふさわしくするために、所望によりそして都合よく実施できる。従って、粒子は、次なる表面の化学改質手段によって加工され、任意の所望のマトリックス中に均一に分散できるようになる。
【0015】
ナノ粒子表面の改質分子としては、例えば、
ホスフェート、好ましくはトリスエチルヘキシルホスフェート又はトリブチルホスフェート、アミン、好ましくはドデシルアミン、ホスホネート、ホスフィン、好ましくはトリオクチルホスフィン、ホスフィンオキシド、好ましくはトリオクチルホスフィンオキシド、カルボン酸、アルコール類、好ましくは多価アルコール類、有機エステル類、シラン類、シロキサン類、式RSO2Rを有する有機スルホン類、有機ケトン類(R−(C=O)−R)、有機ニトリル類(RCN)、有機スルホキシド類(R2−SO2)、有機アミド類(R−(C=O)−NR’R又はR−(SO)−ONR‘R)、又は前述の物質の過フッ素化改質物、好ましくは過フッ素化アルコール類及びおそらくは関連物質、
が具体的に選択され、表面改質されたナノ粒子を対応するマトリックス中で均一にそして微細に分散させるための改質分子として使用できる。対応するマトリックスは、例えばシリコーン油、テフロン(登録商標)、プラスチック、ラッカー、塗料などで、これらは次に改質分子が選択されたと同様に選択される。
【0016】
本明細書中に提示したナノ粒子は、本発明に従って達成された小粒径のおかげで今や静脈内に適用することも可能である。なぜならば、均一に分布しているので、静脈、動脈及びその他の血管を遮断しそうにないからである。硫酸バリウムのナノ粒子に常磁性又は放射性元素をドープすると、インビボ診断用の汎用担体として使用できる。
態様の説明
使用する初期物質は以下の供給元から市販されている。
シグマ・アルドリッチ(SIGMA ALDRICH Chemie GmbH)、ドイツ、ダイゼンホッフェン、
メルク(MERCK)、ドイツ、ダルムシュタット及び
ストレム(STREM)、ドイツ、カールスルーヘ。
態様の実施例
1.
55gのBaCl2を丸底フラスコに量り取り、300mlのグリセリンに溶解する。次にグリセリンに溶解した30gのイミダゾールをBa含有溶液に加え、次いで反応混合物を24時間穏やかに加熱して乾燥させる。並行して73gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムをグリセリンに溶解し、一晩乾燥させる。次に二つの溶液を70℃で一緒に混合し、1時間撹拌する。グリセリンを基にして0.5当量の水を添加後、このようにして合成された硫酸バリウム粒子をイソプロパノールで洗浄し、エタノールで析出させ、次いで乾燥させる。平均粒径19nmの周囲に22%の均一なサイズ分布を有する約60gの硫酸バリウムナノ粒子が製造される。
2.
少量の1gのBaCl2及び0.15gのMnCl2をエチレングリコールに溶解し、50℃で一晩乾燥させる。0.07gのEuCl3、0.54gのイミダゾール及び1.32gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムを第二の容器に溶解し、室温(RT)で一晩乾燥させる。次に二つの溶液をRTで混合し、次いで180℃で2時間撹拌する。得られた沈殿物を遠心分離し、メタノールで洗浄する。平均粒径10nmの周囲に15%の均一なサイズ分布を有する約1gのBaSO4:Mn、Euナノ粒子が製造される。有利な手法として、Eu(II)をイオンとして格子に組み込むためにEuCl3(EuCl 3価)を初期物質として使用する。この手法は、EuCl2(EuCl 2価)を初期物質として使用した場合よりもかなり安価で、簡便かつ成功裡の合成を可能にする。当該方法は、多量の場合にも記載の方法に従って実施できる。
3.
0.92gのBaCl2と0.54gのイミダゾールを丸底フラスコで水とメタノールの1:1混合物中に溶解する。25mlのジメチルスルホキシド(DMSO)の添加後、水とメタノールを真空下RTで蒸留除去する。次に、0.044gのEu(II)Cl2及びDMSO中1.32gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムを順に加える。次に、反応混合物を170℃で0.5時間撹拌する。平均粒径10nmの周囲に20%の均一なサイズ分布を有する約1gのBaSO4:Eu++ナノ粒子が得られた。当該方法は、多量の場合にも記載の方法に従って実施できる。
4.後処理:
上記1に記載の様式で製造した硫酸バリウムを、十分な量で改質分子としてのドデシルアミンと混合する。硫酸バリウム対改質分子は少なくとも1:1重量%の比である。次にこれをドデシルアミンの沸点、好ましくは100〜300℃に、好ましくは酸素を排除して加熱し、常時撹拌しながらその温度に0.1〜2時間保つ。この結果、ナノ粒子のトルエン中での溶解性が得られる。
5.
マグネシウム/カルシウムの二元混合物:Mg、CaSO4:Eu(II)、Mn(II)
0.305gのMgCl2、0.329gのCaCl2及び0.158gのMnCl2を25mlのエチレングリコール中、室温(RT)で金属塩が完全に溶解するまで撹拌し、その後真空下50℃で一晩乾燥させる。
【0017】
同時に0.0446gのEuCl2を3mlのエチレングリコールに溶解し、0.5446gを3mlのエチレングリコールに溶解し、そして1.3242gの硫酸水素テトラブチルアンモニウムを10mlのエチレングリコールに溶解し、RTで一晩乾燥させる。次に、これらの金属塩に、イミダゾール溶液、Eu(II)溶液及び硫酸塩溶液を窒素下で加える。次に、完成した反応混合物を180℃に加熱し、2時間撹拌する。得られた沈殿物を遠心分離し、メタノールで洗浄してから乾燥させる。粒径は10〜15nmで10〜20%のサイズ分布を有する。当該方法は、多量の場合にも記載の方法に従って実施できる。本発明によれば更なる効果を得ることが可能である。すなわち、マグネシウム(Mg)の添加でマンガン発光にシフトが生じるので、色の印象が変化する。
【0018】
マンガン蛍光バンドの位置は格子を形成するアルカリ土類イオンによって決まるので、二元混合物によってバンドのシフトが発生しうる。これには色の印象の変化が伴う。この効果を一例として図1に示す。発光バンドに約16nmのシフトが生じており、最大発光が約576nmから560nmにシフトしている。
【0019】
硫酸カルシウムナノ粒子を製造するための更なる態様は、バリウムを化学量論的に調整した比率でカルシウムに置換することによって上記態様から理解できる。
硫酸ストロンチウムナノ粒子を製造するための更なる態様は、バリウムを化学量論的に調整した比率でストロンチウムに置換することによって上記態様から理解できる。
【0020】
硫酸マグネシウムナノ粒子を製造するための更なる態様は、バリウムを化学量論的に調整した比率でマグネシウムに置換することによって上記態様から理解できる。
態様の終わり。
製造したナノ粒子の使用:
本発明のおかげで、ドーパントを常磁性及び光吸収又は発光といったそれらの物理的性質に従って目標に合わせて選択することにより、平均粒径0.5〜50nmを有する本発明のZ硫酸塩を、x線分析、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像分析用の静脈内又は筋肉内に適用可能なインビボ診断薬として、又は有機体、特に植物用の蛍光分析に使用できるようになることは注目すべきである。純物質としては一般的に有毒な多くのドーパントの配合は、これらがナノ粒子のホスト格子に統合されれば人体に無害となる。粒径が極めて小さいと、これらのナノ粒子を運ぶマーカー液は最も狭い横断面でもそれらを遮断することなく流れることが可能になる。
【0021】
平均粒径0.5〜50nmを有する本発明のZ硫酸塩ナノ粒子を、同位体診断における放射性同位体の担体及びホスト格子として使用することも可能である。
本発明に従って平均粒径0.5〜50nmを有するナノ粒子の形態で製造される物質、Z硫酸塩は、極めて小さいプラスチック部品及び極めて薄いフィルムの充填材料としてもそれらの光学的性質を損なうことなくプラスチックの機械的挙動を改良する目的で有益に使用でき、さらに塗料及びラッカーにもそれらの流動性又はその他の性質に影響を及ぼすことなく使用できる。また、車のタイヤ、フィルムベースのような製品として、又はマスターバッチ及び化合物の中間生成物としても使用できる。
【0022】
以上、本発明を好適な態様によって説明してきたが、本発明はこれに限定されず、むしろいくつかの様式で変形することが可能である。
最後に、本発明は50ナノメートルまでのZ硫酸塩粒子の簡便な製造法だけに制限されない。粒径d50>50又はd50>100ナノメートルを有するZ硫酸塩ナノ粒子の合成に関しても、先行技術とは対照的に該ナノ粒子がワンステップ法で製造されるので相当の利益が達成できる。これによって製造が簡単になり製造コストも削減される。この目的のためには、ナノ粒子を合成混合物中に長時間放置する。
【0023】
最後に、サブクレームの特徴は、それらが互いに独立であるならば、クレームに与えられた順序によってではなく本質的に互いに自由に組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】二元アルカリ土類硫酸塩ホスト格子(MSO4:Eu、Mn)におけるマンガン発光を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的にZ硫酸塩(Z=マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba))からなる結晶格子、又はドーピングの場合はホスト格子を有するナノ粒子であって、配位能を有する非水性溶媒中での制御された結晶成長によって得られ、0.2〜50ナノメートルの平均粒径と水中分散性を有するナノ粒子。
【請求項2】
本質的にZ硫酸塩(Z=カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba))からなる結晶格子、又はドーピングの場合はホスト格子を有するナノ粒子の製造法であって、前記ナノ粒子は液相合成混合物中のZイオン源及び硫酸イオン源から結晶成長によって合成され、前記合成混合物は、粒子成長の制御成分として作用する配位能を有する非水性溶媒を含有することを特徴とするナノ粒子の製造法。
【請求項3】
グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール類、ポリアルコール類又はジメチルスルホキシド(DMSO)が配位溶媒として使用されることを特徴とする、請求項2に記載の製造法。
【請求項4】
配位溶媒の組合せが使用される、前記請求項に記載の製造法。
【請求項5】
ドープされたZ硫酸塩ナノ粒子を合成する場合、アルカリ作用性成分、好ましくはアミン、特に好ましくはトリオクチルアミン、又はなお更に好ましくはイミダゾールを合成混合物に加える、請求項2、3又は4に記載の製造法。
【請求項6】
ジメチルスルホキシド(DMSO)をマンガン−及びユウロピウム(II)−ドープZ硫酸塩ナノ粒子合成用溶媒として使用し、イミダゾールを塩基として加える、前記請求項に記載の製造法。
【請求項7】
合成混合物がさらに非配位溶媒を含有する、請求項2に記載の製造法。
【請求項8】
合成混合物の大部分の溶媒が配位能を有する、前記請求項に記載の製造法。
【請求項9】
硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸ビス(トリメチルシリル)、R1234NHSO4の型のアンモニウム硫酸水素塩、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、アルカリ硫酸塩、アルカリ硫酸水素塩、硫酸アマンタジン、硫酸エチレンジアンモニウム及び硫酸ヒドラジニウムの一つ以上が硫酸イオン源として使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
以下の後処理工程、すなわち、
ナノ粒子の表面改質分子の存在下で合成ナノ粒子を加熱する工程をさらに含み、前記改質分子が、以下の群、すなわち
ホスフェート、好ましくはトリスエチルヘキシルホスフェート又はトリブチルホスフェート、
アミン、好ましくはドデシルアミン、
ホスホネート、ホスフィン、好ましくはトリオクチルホスフィン、
ホスフィンオキシド、好ましくはトリオクチルホスフィンオキシド、
カルボン酸、
アルコール類、好ましくは多価アルコール類、グリセリン、エチレングリコール、ポリグリコール類、有機エステル類、シラン類、シロキサン類、式RSO2Rを有する有機スルホン類、有機ケトン類(R−(C=O)−R)、有機ニトリル類(RCN)、有機スルホキシド類(R2−SO2)、有機アミド類(R−(C=O)−NR’R又はR−(SO)−ONR‘R)又は前述の物質の過フッ素化改質物、好ましくは過フッ素化アルコール類、
から選ばれる、請求項2に記載の製造法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−507203(P2006−507203A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552413(P2004−552413)
【出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003823
【国際公開番号】WO2004/046035
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(504103548)ナノソリューションズ・ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】