説明

アルカリ性殺菌剤

【課題】殺菌の効果について即効性があり、かつ、持続性のあるアルカリ性殺菌剤を提供する。
【解決手段】本実施形態のアルカリ性殺菌剤は、アルカリイオン水とエタノールとを、0.9:0.1の重量比で混合したものである。結果は、大腸菌、緑黄菌及びサルモネラ菌のすべてについて、0.5分後以後検出されなかった。これらの菌に対しては、殺菌に関する効果ついて即効性があるうえに、持続性もある。アルカリ性殺菌剤を構成するアルカリイオン水は、人の肌にやさしく、また、混合するエタノールも10%前後と、飲料用のアルコールと変わらない濃度なので、人体にかけても肌が痛まない。しかも、即効かつ持続的に殺菌力を発揮するので、人肌を荒らさずすばやくしかも持続的に人肌を殺菌することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ性殺菌剤に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明では、殺菌の効果について即効性があり、かつ、持続性のあるアルカリ性殺菌剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1に記載されたアルカリ性殺菌剤は、アルカリ性殺菌剤において、アルカリイオン水とエタノールとを、0.97:0.03〜0.80:0.20の重量比で混合したことを特徴とする。このような比率で作成されたアルカリ性殺菌剤は、即効性があり、かつ、持続性のある殺菌性能を発揮する。
【0004】
請求項2に記載したように、アルカリイオン水とエタノールとを0.95:0.05〜0.85:0.15の重量比で混合したもののほうが好ましく、さらに請求項3に記載したように、アルカリイオン水とエタノールとを0.9:0.1の重量比で混合したものがもっとも好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
図1及び図2は、本実施形態のアルカリ性殺菌剤で殺菌の実験を行った実験結果の表である。
【0006】
本実施形態のアルカリ性殺菌剤は、アルカリイオン水とエタノールとを、0.9:0.1の重量比で混合したものである。アルカリイオン水は、極めて低濃度の電解質を含有した水を、隔膜を設けた電解槽において電気分解をすることによって、陰極室に生成するアルカリ水である。
【0007】
以下、本実施形態のアルカリ性殺菌剤の殺菌能力を証明する実験を行ったので、詳細に説明する。
試験は、財団法人日本食品分析センターで行った。
1)試験1
試験の概要 検体である本実施形態のアルカリ性殺菌剤(以下試験体と呼ぶ)に黄色ブドウ球菌及びメキシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下「MRSA」)の菌液をそれぞれ添加、混合後、25℃で保存し、0.5、1及び10分間並びに、3、6、及び24時間保存後に生菌数を測定した。なお、試験液をSCDLP培地で10倍に希釈することにより、検体の影響を受けずに生菌数が測定できることを予備試験により確認した。
【0008】
結果は図1に示す表1のように、黄色ブドウ球菌については、6時間後以後検出されなかった。MRSAについては、3時間後以後検出されなかった。尚、図1では比較対照として精製水に上記菌を混合したものについての生菌数も記載してある。
【0009】
これらの菌に対しては、持続的に殺菌力を発揮する。
2)試験2
試験の概要 検体を試験液とした。試験液に大腸菌、緑黄菌及びサルモネラ菌液をそれぞれ添加、混合後、25℃で保存し、0.5、1及び10分間並びに、3、6、及び24時間保存後に生菌数を測定した。なお、試験液をSCDLP培地で10倍に希釈することにより、検体の影響を受けずに生菌数が測定できることを予備試験により確認した。
【0010】
結果は図2に示す表1のように、大腸菌、緑黄菌及びサルモネラ菌のすべてについて、0.5分後以後検出されなかった。尚、図2では比較対照として精製水に上記菌を混合したものについての生菌数も記載してある。
【0011】
これらの菌に対しては、殺菌に関する効果ついて即効性があるうえに、持続性もある。
以上述べたように、本実施形態のアルカリ性殺菌剤を構成するアルカリイオン水は、人の肌にやさしく、また、混合するエタノールも10%前後と、飲料用のアルコールと変わらない濃度なので、人体にかけても肌が痛まない。
【0012】
しかも、上述したように、特定の菌に対しては即効かつ持続的に殺菌力を発揮するので、人肌を荒らさず殺菌することができる。また、即効性がない菌であっても、一定時間後には殺菌され、持続的に殺菌力を発揮するので、これらの菌についても有用である。
【0013】
本実施形態のアルカリ性殺菌剤は、病院の殺菌や、家庭での手洗い、クリーンルームや給食センター等での殺菌などに用いると有用である。
次に、本実施形態のアルカリ性殺菌剤についての抗菌活性性能に関する追加実験を行ったので、以下に説明する。
【0014】
[方法] 試験液として本実施形態のアルカリ性殺菌剤(アルカリ性イオン水:エタノール=0.9:0.1、0.02mol/L NaOH、滅菌蒸留水を用いた。前培養培地としてハートインフュージョン寒天(Heart infusion agar )斜面培地を作成した。これに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、IFO 12732)、枯草菌(Bacillus subtilis、IFO 3134)、大腸菌(Escherichia coil、IFO 3972)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa、IFO 13275)を播種し37℃、17時間培養した。培養後、滅菌生理食塩液を加えて菌を浮遊させ光電比色計を用いて107CFU/mLの菌液を調製した。この菌液500μLを各試験液50mLに加え、25℃で撹搾しながらインキュベートした。そして、これら各試験液について、経時的(0.5、1、3、6、12時間毎)にサンプリングした。この際、BSゼラチン(Buffered saline with gelatin)を用いて希釈(10-1、2×10-2、10-2倍)した。サンプリング原液および希釈液を各3枚ずつハートインフュージョン寒天平面培地に播種し37℃、17時間培養後、コロニー数をカウントした。
【0015】
[結果および考察] 図3、図4、図5はそれぞれ本実施形態のアルカリ性殺菌剤、0.02mol/L NaOH、減菌蒸留水を適用後の細菌数の対数を、時間に対してプロットしたグラフを示す。アルカリ性殺菌剤は0.02mol/L NaOHと比較して細菌数の減少は緩やかであるものの、減菌蒸留水と比較すると枯草菌(Bacillus subtilis)以外は細菌数の減少は著しかった。このことより、アルカリ性殺菌剤は他の殺菌作用のある試験液と比較しても強い殺菌作用があると言える。
【0016】
以上本発明の一実施形態ついて説明したが、本発明はこの実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0017】
尚、上記実施形態のアルカリ性殺菌剤を構成するアルカリイオン水のpHは、11.5〜12.5であることが好ましく、12がもっとも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態のアルカリ性殺菌剤で殺菌の実験を行った実験結果の表である。
【図2】本実施形態のアルカリ性殺菌剤で殺菌の実験を行った実験結果の表である。
【図3】アルカリ性殺菌剤を適用後の細菌数の対数を、時間に対してプロットしたグラフである。
【図4】0.02mol/LNaOHを適用後の細菌数の対数を、時間に対してプロットしたグラフである。
【図5】減菌蒸留水を適用後の細菌数の対数を、時間に対してプロットしたグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性殺菌剤において、アルカリイオン水とエタノールとを、0.97:0.03〜0.80:0.20の重量比で混合したことを特徴とするアルカリ性殺菌剤。
【請求項2】
請求項1記載のアルカリ性殺菌剤において、アルカリイオン水とエタノールとを0.95:0.05〜0.85:0.15の重量比で混合したことを特徴とするアルカリ性殺菌剤。
【請求項3】
請求項1,2のいずれかに記載のアルカリ性殺菌剤において、アルカリイオン水とエタノールとを0.9:0.1の重量比で混合したことを特徴とするアルカリ性殺菌剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−89473(P2006−89473A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244633(P2005−244633)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(598086316)株式会社エー・アイ・システムプロダクト (11)
【Fターム(参考)】