説明

アルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法

【課題】有毒なアルキル化剤を用いることなく、下記一般式(A)で示されるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物を工業的に有利に製造する。
【解決手段】
一般式(B)で表されるメルカプト含窒素複素環化合物と一般式(C)で表されるエーテル化合物を、酸の存在下、反応させて、一般式(A)で示されるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物を製造する。
−S−R (A)
(Rは、置換基を有してもよい5〜7員環の含窒素複素環化合物の残基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
−SH (B)
(Rは、前記と同じ。)
−O−R (C)
(Rは、前記と同じ。Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の効率的な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
置換基としてアルキルチオメルカプト基が置換した複素環化合物は、有機ゴム薬品、香料、医原薬中間体、精密化学品、抗菌剤等として有用な化合物である。またメルカプト基がアルキル化されたアルキルチオ置換複素環化合物も同様に有機ゴム薬品、香料、医原薬中間体、精密化学品、抗菌剤等として工業的に用いられている。さらに複素環に結合したアルキルチオ基は、様々な求核剤と反応して置換反応を起こし、別の置換複素環化合物へ導入することができる(非特許文献1)。
また、アルキルチオ基を酸化して得られるアルキルスルホニル基も同様に求核剤との反応により、置換複素環化合物の出発原料となる(特許文献1、特許文献2、非特許文献2)。
このようにアルキルチオ基を有する複素環化合物を製造することは、工業的に重要な方法となる。
【0003】
メルカプト基からアルキルチオ基に誘導するためには、通常メルカプト基のアルキル化反応を用いる。通常のアルキル化反応においては、アルキル化剤として、ハロゲン化アルキル、ジアルキル硫酸、ジアゾメタン等が用いられる。しかしいずれのアルキル化剤も、有毒でありその使用を避けたい物質である。そこで、有毒なアルキル化剤を用いることのない安全なアルキル化反応によるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の効率的な製造方法の開発が望まれている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3341549号明細書
【特許文献2】米国特許第3644392号明細書
【非特許文献1】C. Kashima等,J. Heterocycl. Chem., 25, 1713 (1988).
【非特許文献2】林栄作,齋藤徹也,薬学雑誌, 89, 74 (1969).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、有毒なアルキル化剤を用いることなく、工業的には有利にアルキルチオ置換含窒素複素環化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記したように、メルカプト置換含窒素複素環化合物をアルキル化させて、アルキルチオ置換含窒素複素環化合物を得る方法として、塩基性中で発生するチオラートアニオンに対してアルキル化剤を反応させるのが一般的であるが、アルキル化剤は有毒な物が多く、その使用を避けたい物が多い。
本発明者は、この点に関し、鋭意研究を重ねた結果、エーテル化合物に酸を加えることにより発生するアルキルオキソニウムカチオンがアルキル化剤として機能し、さらに該当反応をマイクロ波照射下で行うと効果的にアルキルチオ置換含窒素複素環化合物が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
(1)一般式(B)で表されるメルカプト含窒素複素環化合物と一般式(C)で表されるエーテル化合物を、酸の存在下、反応させることを特徴とする一般式(A)で示されるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
−S−R (A)
(Rは、置換基を有してもよい5〜7員環の含窒素複素環化合物の残基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
−SH (B)
(Rは、前記と同じ。)
−O−R (C)
(Rは、前記と同じ。Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を示す。)
(2)酸がメタンスルホン酸であることを特徴とする(1)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
(3)含窒素複素環化合物がピリジンであることを特徴とする(1)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
(4)含窒素複素環化合物がベンゾチアゾールであることを特徴とする(1)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
(5)マイクロウエーブ照射下で反応を行うことを特徴とする(1)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
(6)酸がメタンスルホン酸であることを特徴とする(5)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
(7)含窒素複素環化合物がピリジンであることを特徴とする(5)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
(8)含窒素複素環化合物がベンゾチアゾールであることを特徴とする(5)に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明方法によれば、効率よく短時間で有毒なアルキル化剤を用いることなくアルキルチオ置換含窒素複素環化合物を製造することができる。このことにより、従来の有毒なアルキル化剤を使うという欠点を克服することができる。
また、本発明方法で得られるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物は、ゴム加硫化剤や香料の原料物質となる。また、アルキルチオ置換含窒素複素環化合物は、他の置換含窒素複素環化合物の原料としても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、以下の一般式(A)で表されるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物を、一般式(B)で表されるメルカプト含窒素複素環化合物と一般式(C)で表されるエステル化合物を、酸の存在下に加熱して合成することを特徴としている。
−S−R (A)
前記式中、Rは含窒素複素環化合物を示す。この含窒素複素環化合物は、5〜7員環であり、窒素以外に酸素原子、硫黄原子を環の構成原子として含んでいてもよい。また、他の環と縮環していてもよい。また、環上に炭素数1〜8の鎖状あるいは炭素数3〜8の環状のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、フェニル基、ニトロ基及びハロゲン原子から選ばれる基又は原子が置換していてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。
−SH (B)
(前記式中、Rは前記と同じ)
−O−R (C)
(前記式中、Rは前記と同じ。Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を示す。)
【0010】
前記Rで示される含窒素複素環化合物の具体的な例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、テトラゾール、イミダゾリン、ピラゾリン、オキサゾリン、チアゾリン、キノリン、イソキノリン、プリン、インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン、プテリジン、アクリジン、フェナンリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0011】
前記Rで示される含窒素複素環化合物の環上の炭素数1〜8の鎖状あるいは炭素数3〜8の環状のアルキル基の具体例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0012】
前記Rで示される含窒素複素環化合物の環上の炭素数1〜8のアルコキシル基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、シクロヘキシロキシル基等が挙げられる。
【0013】
前記Rで示される含窒素複素環化合物の環上のアルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、シクロプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチロキシカルボニル、ヘキシロキシカルボニル、シクロヘキシロキシルカルボニル基等が挙げられる。
前記Rで示される含窒素複素環化合物の環上のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0014】
前記Rの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル等が挙げられるが、メチルおよびエチルが好ましい。
前記Rのアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシルが、芳香族基の具体例としては、フェニル、トリル(オルト、メタ、パラの異性体がある)、キシリル、ナフチル基等が挙げられる。アルコキシアルキル基の例として、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、ブトキシエチル、ヘキシロキシエチル、2−(メトキシエトキシ)エチル、2−[2−(メトキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−(エトキシエトキシ)エチル、2−[2−(エトキシエトキシ)エトキシ]エチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル基等が挙げられる。
【0015】
前記反応の原料物質である一般式(B)および一般式(C)で示される化合物は公知物質であり、市販品あるいは合成品のいずれもであってもよい。
一般式(B)で示される化合物および一般式(C)で示される化合物の代表例を示せば以下の通りである。
【0016】
[一般式(B)で示される化合物の代表例]
2−ピリジンチオール、4−ピリジンチオール、2−ピリミジンチオール、4−ピリミジンチオール、4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトオキサゾール、2−メルカプトチアゾール、2−メルカプトイミダゾール、1−メチル−2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−1,3,4−トリアゾ−ル、5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトチアゾリン、2−キノリンチオール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0017】
[一般式(C)で示される化合物の代表例]
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルイソピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、イソブチルメチルエーテル、イソブチルエチルエーテル、メチルペンチルエーテル、イソペンチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ヘキシルメチルエーテル、イソヘキシルメチルエーテル、ヘプチルメチルエーテル、メチルオクチルエーテル、デシルメチルエーテル、ドデシルメチルエーテル、アニソール、エトキシベンゼン、メチルトリルエーテル、メチルキシリルエーテル、メトキシナフタレンジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレングリコールメチルプロポキシエーテル、エチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、エチレングリコールブチルメチルエーテル、エチレングリコールヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0018】
本反応の反応機構は前記Rで示される含窒素複素環化合物としてピリジンを例に挙げると以下の反応式のように考えられる。すなわち、通常の求核反応は酸性条件下では起こりにくいが、メルカプト含窒素複素環化合物の場合は複素環基がまずプロトン化されるため、チオール基の求核性が残る。したがって、プロトンによって活性化されたエーテルに対しての反応が進行する。
【化1】

【0019】
本発明に係る反応は、前記一般式(C)で示されるエステル化合物を反応試薬兼反応溶媒として用いることが好ましいが、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の有機溶媒との混合溶媒の形で使用してもかまわない。
【0020】
反応温度は、50℃〜200℃の範囲の温度で行うことができる。この温度範囲以下の低温の場合には反応時間が遅くなり、この範囲を超えて高すぎる場合には、異常な分解反応や副反応が多い結果となる。このようなことから、前記温度範囲は、100℃〜150℃の範囲であることが好ましい。
反応時間は、反応温度、エーテル化合物の種類により左右され、一概に定めることはできないが、通常は1〜60分である。
【0021】
加熱の手段としてマイクロ波照射も使われるが、反応温度を所定の温度に保つように、マイクロ波の強さを1W〜500W、好ましくは、10W〜200Wの間で照射を行う。
【実施例】
【0022】
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
以下に述べる実施例は本発明の理解を容易にするために代表的な化合物の一例をあげたものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
内容積30mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg,1.00mmol)をシクロペンチルメチルエーテル(5ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(200mg)を加えた。反応混合物を加熱還流下9.5時間反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、溶媒を減圧下留去させ、炭酸ナトリウム水溶液を加えて中和の後、塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−メチルチオピリジンを20%の収率で得た。
【0024】
実施例2
内容積30mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg,1.00mmol)をアニソール(1ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(200mg)を加えた。反応混合物を100℃に加熱して6時間反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液を加えて中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−メチルチオピリジンを7%の収率で得た。
【0025】
実施例3
内容積30mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg,1.00mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル(5ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(200mg)を加えた。反応混合物を加熱還流下7時間反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液を加えて中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−メチルチオピリジンを58%の収率で得た。
【0026】
実施例4
内容積30mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg,1.00mmol)をエチレングリコールジエチルエーテル(5ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(200mg)を加えた。反応混合物を100℃に加熱して9時間反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液を加えて中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−エチルチオピリジンを18%の収率で得た。
【0027】
実施例5
内容積30mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg,1.00mmol)をジエチレングリコールジメチルエーテル(5ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(200mg)を加えた。反応混合物を加熱還流下7時間反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液を加えて中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−メチルチオピリジンを58%の収率で得た。
【0028】
実施例6
内容積30mlのガラス製容器中に2−メルカプトベンゾチアゾール(167mg,1.00mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル(5ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(200mg)を加えた。反応混合物を加熱還流下8時間反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液を加えて中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物を塩化メチレンと酢酸エチルの混合物(100:1)でクロマトグラフィーを行うことにより、目的の2−メチルチオベンゾチアゾールを16%の収率で得た。
【0029】
実施例7
内容積10mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg、1.00mmol)をシクロペンチルメチルエーテル(1ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(0.13ml、2.00mmol)を加えた。このガラス容器をマイクロウエーブ反応装置(Biotage社製、Initiator)に入れ、140℃でマイクロ波(80W)を10分間照射し、反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液で中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−メチルチオピリジンを41%の収率で得た。
【0030】
実施例8
内容積10mlのガラス製容器中に2−メルカプトピリジン(111mg、1.00mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル(1ml)に溶解させ、メタンスルホン酸(0.13ml、2.00mmol)を加えた。このガラス容器をマイクロウエーブ反応装置(Biotage社製、Initiator)に入れ、140℃でマイクロ波(55W)を10分間照射し、反応させた。反応容器を室温まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液で中和を行い塩化メチレンで生成物を抽出する事により粗生成物を得た。生成物をガスクロマトグラフィーで分析することにより、目的の2−メチルチオピリジンを64%の収率で得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(B)で表されるメルカプト含窒素複素環化合物と一般式(C)で表されるエーテル化合物を、酸の存在下、反応させることを特徴とする一般式(A)で示されるアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
−S−R (A)
(Rは、置換基を有してもよい5〜7員環の含窒素複素環化合物の残基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
−SH (B)
(Rは、前記と同じ。)
−O−R (C)
(Rは、前記と同じ。Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を示す。)
【請求項2】
酸がメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【請求項3】
含窒素複素環化合物がピリジンであることを特徴とする請求項1に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【請求項4】
含窒素複素環化合物がベンゾチアゾールであることを特徴とする請求項1に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【請求項5】
マイクロウエーブ照射下で反応を行うことを特徴とする請求項1に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【請求項6】
酸がメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項5に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【請求項7】
含窒素複素環化合物がピリジンであることを特徴とする請求項5に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。
【請求項8】
含窒素複素環化合物がベンゾチアゾールであることを特徴とする請求項5に記載のアルキルチオ置換含窒素複素環化合物の製造方法。



【公開番号】特開2008−297266(P2008−297266A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146365(P2007−146365)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】