説明

アルコキシシラン末端ポリマー含有ポリマー混合物

A)一般式(1)−L−(CH2)−SiR23-x(OR1x[式中、Lは、−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、−NH−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−N(R3)から選択される2価の結合基であり、R1及びR2は相互に独立して、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、又は全部で2〜20個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基であり、R3は水素、場合によりハロゲン置換された環状、線状若しくは分枝状のC1〜C18アルキル若しくはアルケニル基、又はC6〜C18アリール基であり、かつxは2又は3である]の末端基を少なくとも1つ有するアルコキシシリルメチル末端のポリマー(A)100部、B)空気中の湿分の存在下で混合物(M)の硬化を促進させる硬化触媒(K)0.01〜10部、C)1つ又は複数の充填材(F)0〜1000部、D)水捕捉剤及びシラン架橋剤としての1つ又は複数のモノマー性シラン(S)0〜50部、E)1つ又は複数の可塑剤(W)0〜200部、F)1つ又は複数の接着促進剤(H)0〜50部、F)場合により、さらなる添加剤を含む、混合物(M)であって、第一級アミン官能基を有する1つ又は複数の化合物を2部未満、及び1つ又は複数のスズ含有触媒を0.2部未満含む、前記混合物(M)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルジアルコキシシリルメチル末端又はトリアルコキシシリルメチル末端のポリマーを含む混合物(M)、当該混合物から製造される成形体、並びに混合物(M)を加工材料の接着に用いる使用に関する。
【0002】
反応性アルコキシシリル基を有するポリマー系は、従前より公知である。空気中の湿分の存在下、このアルコキシシラン末端のポリマーは既に室温でアルコキシ基を脱離して相互に縮合可能である。この際、アルコキシシラン基の含有率及びその構造に応じて、主として長鎖ポリマー(熱可塑性樹脂)、比較的幅の広いメッシュ状の3次元網目構造(エラストマー)又は高度に架橋された系(熱硬化性樹脂)が形成される。
【0003】
このようなシラン末端のポリマー系を構築するための無数の可能性に相応して、架橋されていないポリマー若しくはポリマー含有混合物の特性(粘度、融点、溶解性など)も、出来上がった架橋物質の特性(硬度、弾性、引張強度、破断点伸び、耐熱性など)も、ほぼ任意に調整できる。よってこれに相応して、このようなシラン末端のポリマー系の使用可能性も多様である。よって前記ポリマー系は、例えばエラストマー、封止剤、接着剤、弾性接着系、硬質及び軟質フォームの製造、様々な被覆系に、又はキャスト材料に使用できる。この生成物はあらゆる形態で適用可能であり、例えば刷毛塗り、吹き付け、流しがけ(giessen)、プレス、ヘラ塗りなどが、調製物の組成に従って適用できる。
【0004】
材料の硬化及び加硫剤の機械特性の他に、とりわけ接着剤分野や封止剤分野では様々な基材上への良好な接着、及び良好なエラストマー特性が必要とされる。ここでシラン架橋性ポリマーの調製物は通常、非常に良好な特性を示す。
【0005】
接着プロフィールは、接着促進剤としての有機官能性シランの添加により、何倍にも改善若しくは最適化される。ここでとりわけ、第一級アミノ基を有するシラン、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシランにより、接着特性の明らかな改善につながるため、このシランタイプは、シラン末端ポリマーをベースとするほとんどあらゆる接着剤及び封止剤に含まれている。このようなシランの適用は従来技術であり、様々なモノグラフィー、又は公開公報に記載されている(例えばSilanes and other coupling agents, VoI 1-3 K. L. Mittal VSP著、ユトレヒト 1992; Silane Coupling Agents, E. P. Plueddemann 第2版, Plenum Press、ニューヨーク 1991)。この他にまた、特に新しく開発された接着促進性シランがあり、例えばEP 997469 A又はEP 1216263 Aに記載されているが、またEP 1179571 Aに示されているシランの組み合わせは、しばしば適切である。
【0006】
良好な接着性の他に、接着剤、とりわけ封止剤はまた、非常に良好な弾性を有する必要がある。ここで伸びだけではなく、伸び又は圧縮後の応力緩和も重要な役割を果たす。これは通常、圧力変形度、クリープ挙動、復元力(Rueckstellverhalten)として測定される。例えばISO11600では、60%超、又はそれどころか70%超の復元力が弾性封止剤に必要とされる。
【0007】
この弾性は調製物により、またシラン架橋性ベースポリマーの種類により様々に特定される。有機シラン架橋性ポリマー、特に二官能性のポリマー末端基を有するものはしばしば、復元力が不充分である。ここで調製物は、特性にとって重要である。例えばUS 6576733は、特別な触媒系によって、復元力を改善するための可能性を記載しているが、この触媒系にはスズが含まれている。さらには、分枝状ポリマーの使用が、網目密度の向上、ひいては弾性の改善に作用することは公知である。ただしここで不利なのは、分枝に伴う2つの網目間の鎖長減少であり、このことはたいてい機械的特性、とりわけ破断点伸びやまた引裂強さの明らかな悪化につながる。
【0008】
DE102006022834は、復元力改善のため、エポキシ官能性シランと組み合わせたアミノアルキルアルコキシシランの使用を記載している。ここで不利なのは、モジュールの上昇と、接着性の悪化である。
【0009】
シラン末端ポリマーのうち特に興味深い種類の特徴は、反応性アルコキシシリル基がメチレンスペーサによってのみ、隣接ヘテロ原子と隔てられていることである。このいわゆるα−アルコキシシリルメチル末端基は、空気中の湿分に対して特に高い反応性を有する。相応するポリマーは例えば、WO 03/014226に記載されている。このポリマーは、充分に早く硬化させるため、毒性的に問題となるスズ触媒を全く、又は非常に僅かな量でしか必要とせず、所望の通りに基本的により高い硬化速度を達成できる。この点において、このようなα−アルコキシシリル末端のプレポリマーの使用は、たいてい特に追求されている。
【0010】
ただし、この高反応性α−シラン架橋性ポリマー種から製造可能なエラストマーは、従来のシラン架橋性ポリマーからのエラストマー(これはγ−アルコキシシリルプロピル末端基によって架橋する)と比べて、多くの適用には不充分なほど明らかに復元力が低いという欠点を有する。
【0011】
従って本発明の課題は、硬化状態で伸ばした後に高い復元力を有する、α−シラン架橋性ポリマーベースの混合物を提供することである。
【0012】
本発明の対象は、
A)一般式(1)
【化1】

[式中、
Lは、−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、−NH−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−N(R3)から選択される2価の結合基であり、
1及びR2は相互に独立して、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、又は全部で2〜20個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基であり、
3は水素、場合によりハロゲン置換された環状、線状若しくは分枝状のC1〜C18アルキル基若しくはアルケニル基、又はC6〜C18アリール基であり、かつ
xは2又は3である]
の末端基を少なくとも1つ有するアルコキシシリルメチル末端のポリマー(A)100部、
B)空気中の湿分の存在下で混合物(M)の硬化を促進させる硬化触媒(K)0.01〜10部、
C)1つ又は複数の充填材(F)0〜1000部、
D)水捕捉剤及びシラン架橋剤としての1つ又は複数のモノマー性シラン(S)0〜50部、
E)1つ又は複数の可塑剤(W)0〜200部、
F)1つ又は複数の接着促進剤(H)0〜50部、
F)場合により、さらなる添加剤及び添加物
を含む、混合物(M)であって、
第一級アミン官能基を有する1つ又は複数の化合物を2部未満、及び1つ又は複数のスズ含有触媒を0.2部未満含むことを特徴とする、前記混合物(M)である。
【0013】
式(1)中、Lは好適には−O−CO−N(R2)−、−N(R2)−CO−NH−、−NH−CO−N(R2)−、及び−N(R2)−CO−N(R2)であり、特に好ましくは−O−CO−N(R2)−、とりわけ−O−CO−NHである。
【0014】
xは好ましくは3である。
【0015】
1、R2、及びR3の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基;アルケニル基、例えばビニル基及びアリル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えばフェニル基及びナフチル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;アラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0016】
基R1及びR2は好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、とりわけ1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0017】
2は特に好ましくはメチル基であり、R1は特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0018】
基R3は好ましくは、水素、又は1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に好ましくは水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、とりわけ水素である。
【0019】
混合物(M)は好適には、第一級アミン官能基を有する1つ又は複数の化合物を1部未満、特に好適には0.5部未満、とりわけ0.2部未満含む。混合物(M)は特に好ましくは、第一級アミン官能基を有するあらゆる化合物を含まない。
【0020】
混合物(M)は好適には、1つ又は複数のスズ含有触媒を0.1部未満、特に好適には0.05部未満、とりわけ0.02部未満含むか、或いは混合物(M)は特に好ましくは、あらゆるスズ含有触媒を含まない。
【0021】
本発明は、第一級アミン官能基を有する化合物が、式(1)に相応するα−シラン官能性ポリマー(A)をベースとする混合物(M)において復元力を著しく悪化させるという、意想外の知見に基づく。この知見は、同程度の復元力悪化がα−シラン末端のポリマーをベースとする混合物(M)のみに見られ、かなり従前より公知の充分に試験された、γ−アルコキシシリルプロピル末端のプレポリマーをベースとする系では見られないという点で特に意外であった。すなわちここで、全く新しい、これまで知られていなかった作用機構が存在するということが明らかになり、これが原因で第一級アミンは本発明による系でこのような効果を示すのである。
【0022】
また、非常に僅かな量の第一級アミンの本発明による使用、若しくはこの生成物群を完全に使用しないことは、容易に想到可能でもない。なぜならばこの種の化合物(とりわけアミノシラン、例えばアミノプロピルトリメチルシラン、N−(2−アミノエチル)−アミノプロピル−トリメトキシシラン、又はN−(2−アミノエチル)−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン)は通常、シラン末端ポリマーベースのあらゆる接着剤や封止剤において、接着促進剤、水捕捉剤、及び/又は(補助)触媒として、比較的多量に使用されるからである。
【0023】
本発明による混合物(M)は好適には、硬化させた混合物(M)から成る成形体(F)が、24時間30%伸ばした後、DIN53504準拠の復元力が60%超、好適には65%超、及び特に好ましくは70%超であることを特徴とする。
【0024】
使用可能なアルコキシシラン末端のポリマー(A)の主鎖は、分枝状、又は非分枝状であってよい。平均鎖長は、任意にそれぞれ望ましい特性に相応して、架橋されていない混合物にも、硬化された材料にも適合させることができる。前記ポリマーは、種々の単位から構成されていてよい。これは通常、例えばポリシロキサン、ポリシロキサン−尿素/ウレタンコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレートとポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリビニルエステル、又はポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、エチレン−オレフィンコポリマー、又はスチレン−ブタジエンコポリマーである。もちろん、様々な主鎖のポリマーからの任意の混合物又は組み合わせも使用できる。
【0025】
一般式(1)のシラン末端ポリマー(A)を製造するためには、多くの可能性が公知である。とりわけ以下のものである:
【0026】
・一般式(1)の基を有する不飽和モノマーが関与する共重合。このようなモノマーの例は、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、並びに相応するエトキシシリル化合物である。
【0027】
・一般式(1)の基を有する不飽和モノマーの、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンへのグラフト。このようなモノマーの例はここでも、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、並びに相応するエトキシシリル化合物である。
【0028】
適切な官能基を有するプレポリマー(A1)と、1つ又は複数の一般式(2)
【化2】

[式中、x、R1、及びR2は上記意味を有し、
Bは、プレポリマー(A1)の官能基に対して反応性の官能基である]
のオルガノシラン(A2)との反応。
【0029】
ここでプレポリマー(A1)が、複数の単位(A11、A12...)から構成されていれば、これらの単位(A11、A12...)からまずプレポリマー(A1)を製造し、これを引き続きシラン(A2)と反応させて、完成ポリマー(A)にすることは、必ずしも必要ではない。ここでは反応工程を逆転させることもでき、その場合には1つ又は複数の単位(A11、A12...)をまずシラン(A2)と反応させ、そしてその際に得られる化合物を、引き続き残っている単位(A11、A12...)と初めて反応させて、完成ポリマー(A)にする。
【0030】
単位A11、及びA12から成るプレポリマー(A1)の例は、OH−末端、NH−末端、又はNCO−末端のポリウレタン及びポリ尿素であり、これらはポリイソシアネート(単位A11)、並びにポリオール(A12)から製造できる。
【0031】
プレポリマー(A)の好ましい製造方法では、一般式(3)
【化3】

[式中、全ての変項は前述の意味を有する]
のシランから選択されるシラン(A2)を使用する。
【0032】
プレポリマー(A)の製造において、全ての反応工程中に関与する全てのイソシアネート基、及び全てのイソシアネート反応性基の濃度、並びに反応条件は、ポリマー合成の経過中に全てのイソシアネート基が反応するように選択することが好ましい。従って完成ポリマー(A)は、好ましくはイソシアネート不含である。
【0033】
プレポリマー(1)の例は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート(例えば「Desmophen 1700」、「Desmophen C-200」という名称でドイツ国のBayer AGから市販で手に入る)、ポリブテニレン、及びポリブタジエニレン(例えば「PoIy bd(登録商標)R-45 HTLO」、「Desmophen C-200」という名称で米国のSartonaer Co., Inc社から、又は「Kraton(登録商標)Liquid L-2203」いう名称でKraton Polymers US L. L. C社から手に入る)である。
【0034】
プレポリマー(A)を製造するためのプレポリマー(A1)の好ましい例は、ポリエステル、ポリエーテル、及びポリウレタンである。プレポリマー(A1)のための特に好ましい例は、一般式(4)
【化4】

[式中、
4は同じであるか又は異なっていてよく、場合により置換された炭化水素基、好ましくはメチレン基、エチレン基、及び1,2−プロピレン基であり、
mは1〜600の整数、好ましくは50〜400の整数である]
の二価のポリエーテルである。
【0035】
一般式(4)のプレポリマー(A1)の例は、「Acclaim 12200」、「Acclaim 18000」(ともにドイツ国のBayer AG)、スペイン国のRepsolの「Alcupol 12041LM」、及び米国のArch Chemicalsの「Poly L 220-10」であり、いずれも上記名称で市販で手に入る。
【0036】
本発明によるポリマー混合物(M)では、アルコキシシラン末端ポリマー(A)の割合は、好適には10〜70質量%、特に好適には15〜50質量%、とりわけ20〜40質量%である。
【0037】
本発明による混合物(M)はプレポリマー(A)の他に、好適には1つ又は複数の第二級若しくは第三級アミン(B)を硬化触媒(K)として含む。その例は、第二級又は第三級アミノ官能基を有するアミノアルコキシシラン、例えば3−(N−シクロヘキシルアミノ)−プロピルトリメトキシシラン、3−(N−シクロヘキシルアミノ)−プロピルトリエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ−)−プロピルトリメトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)−プロピルトリエトキシシラン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−メチルフェニルアミン、N−エチルモルホリニンである。
【0038】
本発明による混合物(M)はプレポリマー(A)の他に、特に好ましくは1つ又は複数の第二級若しくは第三級アミノアルキルアルコキシシラン(KS)を硬化触媒(K)として含む。
【0039】
好ましいアミノアルキルアルコキシシラン(KS)は、以下の一般式(5)
【化5】

[式中、
5、R7は、水素、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、若しくはアリール基であり、これらの基は場合によりハロゲン原子及び/又は有機官能基で置換されていてよく、
6は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、又はアリール基(これらの基は場合によりハロゲン原子及び/又は有機官能基によって置換されていてよい)、1〜10個の炭素原子を有する二価のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、又はアリール基(これらの基は場合によりハロゲン原子によって置換されていてよい)であり、
残りの全ての変項は上記意味を有する]
のものであり、ここでアミノアルキルアルコキシシラン(KS)は、第一級アミノ官能基を有さない。
【0040】
5は好適には、水素原子、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、若しくはアリール基、特に好適には水素原子、又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基である。R6は好ましくは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基であり、ここで1〜8個の炭素原子を有するフェニル基、シクロヘキシル基、又はアルキル基が特に好ましい。R7は好適には、水素である。
【0041】
特に好ましい一般式(5)のアミノアルキル−アルコキシシラン(KS)は、
3がメチル、
4、R6が水素、
5がシクロヘキシル又はフェニル
のものである。
【0042】
本発明によるポリマー混合物(M)では、アミノアルキル−アルコキシシラン(KS)の割合が、混合物の全質量に対して好適には0.1〜10質量%、特に好適には0.1〜5質量%、とりわけ0.2〜3質量%である。
【0043】
本発明によるポリマー混合物(M)は、さらなる縮合触媒(K)を含むことができ、例えばチタン酸エステル、例えばテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラアセチルアセトネート−チタネート、或いはまた酸触媒、例えばリン酸、若しくはリン酸エステル、トルエンスルホン酸、鉱酸である。様々な触媒が、純粋な形態でも、混合物でも使用できる。
【0044】
これらのさらなる縮合触媒は混合物の全質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、特に好適には0.01〜2質量%の濃度で、ポリマー混合物(M)に添加する。
【0045】
この他に本発明による混合物(M)はまた、さらにスズ化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチスズアセチルアセトネート、ジブチルスズオキシド、又はジオクチルスズの相応する化合物を、上記濃度限界の範囲で硬化触媒(K)として含むことができる。しかしながら本発明による混合物(M)は、好適にはスズ不含である。
【0046】
さらに本発明による混合物(M)はまた、さらに第一級アミン、とりわけ第一級アミノシラン、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、又は3−アミノプロピルトリエトキシシランを、上記濃度限界の範囲で硬化触媒(K)として含むことができる。しかしながら本発明による混合物(M)は、好適には第一級アミン不含である。
【0047】
本発明によるポリマー混合物は、好適にはさらなる充填材(F)、例えば炭酸カルシウムを天然粉砕白亜、粉砕被覆白亜、沈殿白亜、沈殿被覆白亜、粘土鉱物、ベントナイト、カオリン、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、沈降若しくは熱分解法の親水性若しくは疎水性ケイ酸を含む。
【0048】
好ましくは、炭酸カルシウム、及び沈降若しくは熱分解法の親水性若しくは疎水性ケイ酸を、特に好ましくは熱分解法の親水性若しくは疎水性ケイ酸を、とりわけ熱分解法の親水性ケイ酸を使用する。
【0049】
充填材(F)は混合物の全質量に対して、好ましくは10〜70質量%、特に好適には30〜60質量%の濃度で、ポリマー混合物(M)に添加する。
【0050】
本発明によるポリマー混合物(M)は、場合により触媒(K)として使用されるシラン(式(5)に相応するシラン(KS)を含む)の他に、さらなる有機官能ジイソシアネート基を有する、又は有さない別のシラン(S)をさらに含むこともできる。前記別のシラン(S)は、好適には水捕捉剤及び/又はシラン架橋剤として用いられ、例えばアルキルシラン、例えばメチルトリメトキシシラン、ビニルシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、又は有機官能性シラン、例えばO−メチルカルバマトメチル−メチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマトメチル−メチルジエトキシシラン、O−エチルカルバマトメチル−トリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどである。触媒(K)として挙げたあらゆるシランも、水捕捉剤及び/又は架橋剤として使用できる。
【0051】
水捕捉剤及び/又はシラン架橋剤に用いられるシラン(S)は、混合物の全質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、特に好適には0.5〜2質量%の濃度で、ポリマー混合物(M)に添加する。
【0052】
あらゆるシラン(S)、また触媒(K)として使用されるシラン(式(5)に相応するシラン(KS)を含む)は、同時にまた接着促進剤(H)としても役立つ。これに加えて本発明による混合物(M)は、もちろんさらなる接着促進剤(H)を含むこともできる。
【0053】
本発明によるポリマー混合物は、可塑剤(W)を含むことができ、例えばフタル酸エステル、例えばジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、アジピン酸エステル、例えばジオクチルアジペート、安息香酸エステル、グリコールエステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブテン、パラフィン系炭化水素、高級な分枝状炭化水素などである。
【0054】
可塑剤(W)は好適には、混合物の全質量に対して最大40質量%の濃度で、ポリマー混合物(M)に添加する。
【0055】
本発明によるポリマー混合物(M)は、さらにチキソトロピー剤を含むことができ、例えば親水性熱分解法ケイ酸、被覆された熱分解法ケイ酸、沈降ケイ酸、ポリアミドワックス、水素化されたひまし油、ステアリン酸塩、又は沈殿白亜である。上記充填材はまた、流動性調整のために利用可能である。
【0056】
チキソトロピー剤は好ましくは、混合物の全質量に対して1〜5質量%の濃度で、ポリマー混合物(M)に添加する。
【0057】
本発明によるポリマー混合物は、さらなる光保護剤、例えばいわゆるHALS安定剤、殺菌剤、難燃剤、顔料などを含むことができ、これらは従来のアルコキシ架橋性1成分材料で用いることが知られている。
【0058】
未架橋ポリマー混合物及び硬化材料の双方のそれぞれの所望の特性プロフィールをもたらすため、前述の添加物を使用するのが好ましい。
【0059】
好適には、本発明によるポリマー混合物(M)製造の際に、まずポリマー(A)と充填材から混合物を製造し、引き続きアミノアルキルアルコキシシラン(BS)を添加混合する。
【0060】
本発明による混合物(M)の硬化により製造可能な成形体(F)、例えば接着接合体は、同様に本発明の対象である。成形体(F)は好適には、24時間30%伸ばした後、DIN53504準拠の復元力が60%超、好適には65%超、及び特に好ましくは70%超である。
【0061】
本発明によるポリマー混合物に関して数多くの種々の適用が、接着剤、封止剤及び接合封止剤、表面被覆の分野で、並びにキャスト材料及び成形部材の製造において存在する。
【0062】
この場合、本発明によるポリマー混合物は、無数の異なる下地、例えば鉱物質の下地、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、塗装された表面等に適している。
【0063】
前述の式の全ての記号は、それらの意味を、それぞれ互いに無関係に有する。全ての式中でケイ素原子は四価である。
【0064】
以下の実施例においては、特段の記載がない限り、全ての量および百分率表示は質量に対するものである。
【0065】
実施例
実施例1
メチレン−トリメトキシシリル末端基(α−トリメトキシ)のシラン末端ポリエーテルを有する調製物
シラン末端ポリエーテル(EP 1,534,940 Bに従ってAcclaim Polyol 12200S (Bayer Material Science AG)から得られるもの)35g、及びイソシアナトメチルトリメトキシシランを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、25℃でPPG2000(Dow Chemical社)25g、及びメチルカルバマトトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)XL63という名称で得られるもの(Wacker Chemie AG))3gと2分間、200回転/分で混合する。この後、親水性の熱分解法ケイ酸HDK(登録商標)N20(170〜230m2/g)(Wacker Chemie AG)1.50gを、均質に分布されるまで撹拌する。引き続き、白亜Carbital 110S(Imerys社)60.4gを導入し、撹拌しながら1分間、600回転/分で充填材を溶かす(aufschliessen)。白亜の混入後、シクロヘキシルアミノメチル−トリエトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)XL926、Wacker Chemie AG)0.1gを、1分間200回転/分で分布させる。2分間、600回転/分で、そして1分間200回転/分で、部分真空中(約100mbar)で均質化し、そして泡を立てずに撹拌する。
【0066】
この調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、そして一日25℃で貯蔵する。
【0067】
比較例1bを同様に製造するのだが、シクロヘキシルアミノメチル−トリエトキシシランの代わりにアミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96、Wacker Chemie AG)を使用する。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2
メチレン−トリエトキシシリル末端基(α−トリエトキシ)のシラン末端ポリエーテルを有する調製物
シラン末端ポリエーテル(EP 1,534,940 Bに従ってAcclaim Polyol 18200S (Bayer Material Science AG)から得られるもの)35g、及びイソシアナトメチルトリエトキシシランを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、25℃でPPG2000(Dow Chemical社)25g、及びメチルカルバマトトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)XL63という名称で得られるもの(Wacker Chemie AG))3gと2分間、200回転/分で混合する。この後、親水性の熱分解法ケイ酸HDK(登録商標)N20(170〜230m2/g)(Wacker Chemie AG)1.50gを、均質に分布されるまで撹拌する。引き続き、白亜Carbital 110S(Imerys社)60.4gを導入し、撹拌しながら1分間、600回転/分で充填材を溶かす。白亜の混入後、シクロヘキシルアミノメチル−トリエトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)XL926、Wacker Chemie AG)0.1gを、1分間200回転/分で分布させる。2分間、600回転/分で、そして1分間200回転/分で、部分真空中(約100mbar)で均質化し、そして泡を立てずに撹拌する。
【0070】
この調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、そして一日25℃で貯蔵する。
【0071】
実施例2bを同様に製造するのだが、HDK(登録商標)N20の代わりに、親水性の熱分解法ケイ酸HDK(登録商標)H15(170〜230m2/g、Wacker Chemie AG)を使用する。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例3
メチレンジメトキシシリル末端基(α−ジメトキシ)のシラン末端ポリエーテルを有する調製物
シラン末端ポリエーテル(EP1,534,940 Bに従ってAcclaim Polyol 12200S(Bayer Material Science AG)から得られるもの)35g、及びイソシアナトメチルジメトキシシランを、Hauschild社(D-59065 Hamm)のスピードミキサで、25℃でPPG2000(Dow Chemical社)25g、及びメチルカルバマトトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)XL63という名称で得られるもの(Wacker Chemie AG))3gと2分間、200回転/分で混合する。この後、親水性の熱分解法ケイ酸HDK(登録商標)N20(170〜230m2/g)(Wacker Chemie AG)1.50gを、均質に分布されるまで撹拌する。引き続き、白亜Carbital 110S(Imerys社)60.4gを導入し、撹拌しながら1分間、600回転/分で充填材を溶かす。白亜の混入後、シクロヘキシルアミノメチル−トリエトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)XL926、Wacker Chemie AG)0.1gを、1分間200回転/分で分布させる。2分間、600回転/分で、そして1分間200回転/分で、部分真空中(約100mbar)で均質化し、そして泡を立てずに撹拌する。
【0074】
この調製物を310mlのPEカートリッジに満たし、そして一日25℃で貯蔵する。
【0075】
比較例3bを同様に製造するのだが、シクロヘキシルアミノメチル−トリエトキシシランの代わりにアミノプロピルトリメトキシシラン(GENIOSIL(登録商標)GF96、Wacker Chemie AG)を使用する。
【0076】
【表3】

【0077】
機械的特性の測定
これらの試料をフライス加工したテフロンプレート上に深さ2mmで伸ばし、2週間23℃で空気中の相対湿分50%で硬化させた。
【0078】
機械的特性は、DIN 53504(引張試験)、及びDIN 53505(ショア硬度A)に従って測定した。復元力の測定は、S2試験体(DIN 53504)を2週間及び4週間、23℃、空気中の相対湿分50%で貯蔵後に行った。試験体は24時間、30%伸ばした。復元力の測定は、1時間の応力緩和後、23℃、空気中の相対湿分50%で行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)一般式(1)
【化1】

[式中、
Lは、−O−、−S−、−(R3)N−、−O−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−O−、−N(R3)−CO−NH−、−NH−CO−N(R3)−、−N(R3)−CO−N(R3)から選択される2価の結合基であり、
1及びR2は相互に独立して、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基、又は全部で2〜20個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基であり、
3は水素、場合によりハロゲン置換された環状、線状若しくは分枝状のC1〜C18アルキル基若しくはアルケニル基、又はC6〜C18アリール基であり、かつ
xは2又は3である]
の末端基を少なくとも1つ有するアルコキシシリルメチル末端のポリマー(A)100部、
B)空気中の湿分の存在下で混合物(M)の硬化を促進させる硬化触媒(K)0.01〜10部、
C)1つ又は複数の充填材(F)0〜1000部、
D)水捕捉剤及びシラン架橋剤としての1つ又は複数のモノマー性シラン(S)0〜50部、
E)1つ又は複数の可塑剤(W)0〜200部、
F)1つ又は複数の接着促進剤(H)0〜50部、
F)場合により、さらなる添加剤及び添加物
を含む、混合物(M)において、
第一級アミン官能基を有する1つ又は複数の化合物を2部未満、及び1つ又は複数のスズ含有触媒を0.2部未満含むことを特徴とする、前記混合物(M)。
【請求項2】
一般式(1)の末端基を少なくとも1つ有するトリアルコキシシリルメチル末端のポリマー(A)で、
Lが−O−CO−N(H)基である
ことを特徴とする、請求項1に記載の混合物(M)。
【請求項3】
1つ又は複数の第二級又は第三級アミン(B)が硬化触媒として含まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の混合物(M)。
【請求項4】
1つ又は複数の第二級又は第三級アミン(B)として、1つ又は複数の第二級又は第三級アミノアルキルアルコキシシラン(BS)が硬化触媒として含まれていることを特徴とする、請求項3に記載の混合物(M)。
【請求項5】
アミノアルキルアルコキシシラン(BS)が、一般式(4)
【化2】

[式中、
3は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、
4、R6は、水素、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、これらの基は場合によりハロゲン原子、及び/又は有機官能基によって置換されていてよく、
5は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、又はアリール基(これらの基は場合によりハロゲン原子及び/又は有機官能基によって置換されていてよい)、1〜10個の炭素原子を有する二価のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、又はアリール基(これらの基は場合によりハロゲン原子によって置換されていてよい)であり、
xは1〜3の数である]
のものであり、ここでアミノアルキルアルコキシシラン(BS)が、第一級アミノ官能基を有さないことを特徴とする、請求項4に記載の混合物(M)。
【請求項6】
一般式(4)のアミノアルキルアルコキシシラン(BS)で、
3がメチルであり、
4、R6が水素であり、
5がシクロヘキシル又はフェニルであり、
xが2又は3である
ことを特徴とする、請求項5に記載の混合物(M)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の混合物を含むことを特徴とする、成形体。
【請求項8】
24時間30%伸ばした後、DIN53504準拠の復元力が70%超であることを特徴とする、請求項7に記載の成形体。

【公表番号】特表2012−511607(P2012−511607A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540095(P2011−540095)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066798
【国際公開番号】WO2010/066826
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】