説明

アルコールオキシアルキレートの殺真菌剤ベンズアミドオキシム誘導体に対するアジュバントの形態での使用、適当な薬剤およびキット

【化1】


本発明は、式(I)のベンズアミドオキシム誘導体、例えば、N-フェニルアセチル-2-ジフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムまたはN-フェニルアセチル-2-トリフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムの殺真菌効果を改善するためのアジュバントとしての、アルコキシル化されたアルコール(アルコールアルコキシレート)の使用に関する。好適な薬剤およびキットも開示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺真菌剤ベンズアミドオキシム誘導体用に対するアジュバントの形態でのアルコールオキシアルキレートの使用、少なくとも1種の殺真菌剤ベンズアミドオキシム誘導体と少なくとも1種のアルコールオキシアルキレートを含んでなる対応する組成物、およびベンズアミドオキシム誘導体とアルコールオキシアルキレートを別々の容器内に含有するキットに関する。
【背景技術】
【0002】
有効な組成物の開発は、活性化合物の特性の最適化に加えて、これらの活性化合物の工業生産および応用の観点からとりわけ重要である。生物学的活性、毒物学、環境に対する潜在的影響などの特性とこれにある程度相反する活性化合物を製剤するためのコストとの間の最適なバランスを、活性化合物の好適な製剤を通して見出さなければならない。さらに、製剤は組成物の安定性および施用の容易さに大きく関わる。このことは、EP-A-1017670(WO 99/14187)、EP-A 805 148(WO 96/19442)およびEP-A 1 077 028(WO 99/56549)から公知である殺真菌剤ベンズアミドオキシム誘導体についても言えることである。
【0003】
活性を改善するためにある特定の助剤を製剤に加えることは、一般的に公知でありかつ農学的に実施されている。それにより、有利なことに、製剤中の活性化合物量を削減しても活性を維持し、生産費を低減し、そして、もし適当であれば、現行の法規制を遵守することができる。個々の事例においてはまた、ある特定の活性化合物を用いて、添加剤がないと不十分にしか処理できない植物を、ある特定の助剤の添加により適切に処理することができるので、殺真菌作用スペクトルの拡大を達成することに成功する。さらに、個々の事例において、不適な環境条件下での成績を好適な製剤により向上させることができる。従って、製剤中の様々な化合物間の不適合も回避することができる。
【0004】
かかる助剤はまた、場合によって、アジュバントと記載される。アジュバントは界面活性剤または塩類化合物である。その作用機序に応じて、改質剤(modifier)、作動剤(actuator)、肥料およびpH緩衝化剤を区別することがある。改質剤は製剤の湿潤、接着および散布に影響を与える。作動剤は、植物のワックス状角皮を破壊して開放し、そして短時間(数分間内に)および長時間(数時間内)の両方で活性化合物の角皮中への浸透を改善する。硫安、硝安または尿素などの肥料は、活性化合物の吸収および溶解度を改善しかつ活性化合物の拮抗的挙動を低下させることができる。pH緩衝化剤は通常、製剤のpHを最適に調節するために用いられる。
【0005】
葉における活性化合物の取り込みについて、界面活性物質は改質剤および作動剤(actuator)として作用し得る。一般的に、好適な界面活性物質は、表面張力を低下させることにより、葉上の液の有効接触面積を増加することができると考えられる。さらに、ある特定の表面活性物質は上角皮ワックスを溶解または破壊開放して活性化合物の吸収を容易にすることができる。さらに、ある表面活性物質はまた、活性化合物の製剤中の溶解度を改善し、その結果、結晶化を防止、または少なくとも遅延させることができる。最後に、これらはある特定の事例において、湿度を保持することにより活性化合物の吸収に影響を与えることもできる。
【0006】
表面活性剤型のアジュバントは、様々な方法で農業技術的応用に使用される。これらをアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性グループの物質に分類することができる。
【0007】
石油系の油が活性化アジュバントとして通常用いられる。さらに最近、例えば大豆、ヒマワリおよびココナツから得られる種子抽出物、天然油およびその誘導体も用いられている。
【0008】
一般的に作動剤として使用される合成表面活性化物質は、なかでも、ポリオキシエチレンとアルコール、アルキルフェノールまたはアルキルアミンとの縮合物であって8〜13の範囲のHLB値を示すものである。この意味で、WO 00/42847は、例えば、ある特定の直鎖アルコールアルコキシレートの、農業技術的殺生物製剤の活性を増加する目的での使用を記載している。WO 02/15697は同様に、トリアゾロピリミジン類の製剤においてアルコールアルコキシレートのアジュバントとしての使用を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記ベンズアミドオキシム誘導体の施用中の活性を改善することが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、アルコールキシル化アルコールがベンズアミドオキシム誘導体の施用中に特に優れたアジュバント効果を示すことを見出した。
【0011】
従って本発明は、式(I):
【化1】

【0012】
[式中、置換基は次の意味を有する:
R1はジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルであり;
R2は水素またはフッ素であり;
R3は、シアノにより置換されていてもよいC1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、C3-C6-アルケニル、C3-C6-ハロアルケニル、C3-C6-アルキニルまたはC3-C8-シクロアルキル-C1-C4-アルキルであり;
R4は、フェニル環上にハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1以上の置換基を有していてもよいフェニル-C1-C6-アルキル;または
チエニル環上にハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1以上の置換基を有していてもよいチエニル-C1-C4-アルキル;または
ピラゾリル環上にハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1以上の置換基を有していてもよいピラゾリル-C1-C4-アルキルである]
で表されるベンズアミドオキシム誘導体の殺真菌効果を改善するためのアジュバントとしての、アルコキシル化されたアルコール(アルコールアルコキシレート)の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
使用するアルコールアルコキシレートの少なくともいくつかは公知である。例えば、WO 01/77276およびUS 6 0547 284またはEP 0 906 150は好適なアルコールアルコキシレートを記載している。本明細書は上記公報における上記アルコールアルコキシレートの記載の参照を明確に行うものであり、これによって上記公報に開示されたアルコールアルコキシレート自体およびその調製方法は本発明の開示に組み込まれる。
【0014】
本発明によって使用するアルコールアルコキシレートのアルコール部分は、5〜30、好ましくは8〜20、そして特に9〜15個の炭素原子を有する公知のアルコール又はアルコール混合物に基づく。この関係では、特に約8〜20の炭素原子を有する脂肪族アルコールを挙げることができる。公知のように、上記の脂肪族アルコールの多くは非イオン系およびアニオン系界面活性剤の製造に使用されていて、その目的でアルコールは、例えばアルコキシル化又はグリコシド化により、適当な官能基化が施される。
【0015】
使用するアルコキシレートのアルコール部分は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよい。上記アルコール部分が直鎖である場合、特に14〜20個、例えば、16〜18個の炭素原子をもつアルコールを挙げることができる。上記アルコール部分が分枝である場合、アルコール部分の主鎖は、特定の実施形態によれば、一般的に1〜4分枝を有するものであって、混合物の平均分枝数が上記範囲内にある限り、さらに高いもしくは低い分枝度をもつアルコールを、他のアルコールアルコキシレートとの混合物で使用することも可能である。
【0016】
使用するアルコキシレートのアルコール部分は飽和であってもまたは不飽和であってもよい。不飽和である場合、ある特定の実施形態によれば、1個の二重結合を有する。
【0017】
分枝は、一般的に、互いに独立して、1〜10個、好ましくは1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する。具体的な分枝は、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル基である。
【0018】
好適なアルコール、特に脂肪族アルコールは、天然資源から、例えば抽出により、そして、所要または所望であれば、グリセリドおよび脂肪酸の加水分解、エステル交換および/又は水素化により、ならびに合成的に、例えば、より小さい炭素原子数をもつ出発物質から合成することにより、両方の方法で得ることができる。従って、例えば、SHOP法(シェル高級オレフィンプロセス(Shell Higher Olefin Process))によって、エテンから出発して、さらに界面活性剤を製造するのに好適な炭素原子数を有するオレフィン画分を得る。対応するアルコールを得るためのオレフィンの官能基化は、例えば、ヒドロホルミル化および水素化によって実施する。
【0019】
好適なアルコールを得るためのさらなる処理に好適な炭素原子数を有するオレフィンはまた、C3-C6のアルケン、例えば特にプロペンもしくはブテンまたはこれらの混合物のオリゴマー化により得ることができる。
【0020】
さらに、低級オレフィンを、不均一相の酸性触媒、例えば、担持されたリン酸を用いてオリゴマー化し、次いで官能基化してアルコールを得ることができる。
【0021】
分枝アルコールを調製するための一般的に可能な合成経路は、例えば、アルデヒド又はケトンとグリニャール試薬との反応(グリニャール合成)である。高い反応性を特徴とするアリールもしくはアルキルリチウム化合物をグリニャール試薬の代わりに用いてもよい。さらに、分枝アルコールはアルドール縮合により得ることができ、その反応条件は当業者に公知である。
【0022】
アルコキシル化は、通常2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する好適なアルキレンオキシドとの反応から得られる。この関係では、特にエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、ペンチレンオキシド(PeO)およびヘキシレンオキシド(HO)を挙げることができる。
【0023】
使用するアルコールアルコキシレートの1つの型は、1種類のアルキレンオキシドに基づく。
【0024】
さらなるアルコールアルコキシレートの型は、少なくとも2種類の異なるアルキレンオキシドに基づく。これについては、数個の1種類のアルキレンオキシド単位をブロックとして配列し、その結果、数個の同じアルキレンオキシド単位によりそれぞれ形成された少なくとも2つの異なるアルキレンオキシドブロックを作ることが好ましい。かかるブロックアルコキシレートを用いる場合、アルキレンオキシド部分は、3、そして特に2ブロックから構成されることが好ましい。
【0025】
一態様によれば、本発明によって使用するアルコールアルコキシレートは、エトキシル化されているか、あるいは、少なくとも1個のエチレンオキシドブロックを有することが好ましい。さらなる態様によれば、エチレンオキシドブロックは、特に、プロピレンオキシドブロック又はペンチレンオキシドブロックと組み合わされている。
【0026】
得られるそれぞれのアルコキシル化度は、反応に用いるために選ばれたアルキレンオキシドの量および反応条件に依存する。反応から得られるアルコールアルコキシレートのアルキレンオキシド単位の数はさまざまであるので、それぞれのアルコキシル化度は一般的に、統計的平均値である。
【0027】
アルコキシル化度、すなわち、本発明によって使用するアルコールアルコキシレートのポリエーテル鎖の平均鎖長は、アルコール対アルキレンオキシドのモル比により決定することができる。好ましいアルコールアルコキシレートは、約1〜100、好ましくは約2〜15、特に3〜12、とりわけ4〜12、そして特に5〜12アルキレンオキシド単位を有するアルコールアルコキシレートである。
【0028】
アルコールまたはアルコール混合物のアルキレンオキシドとの反応は、当業者に公知の慣用の方法によりかつそのための慣用の装置において実施する。
【0029】
アルコキシル化に、強塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物、ブレンステッド酸またはルイス酸、例えばAlCl3、BF3などを触媒として用いることができる。ハイドロタルサイトまたはDMCなどの触媒を用いて、狭い分布をもつアルコールオキシレートを得ることができる。
【0030】
アルコキシル化は、好ましくは約80〜250℃、好ましくは約100〜220℃の範囲の温度で実施する。圧力は、大気圧〜600barの範囲であるのが好ましい。所望であれば、アルキレンオキシドは、不活性ガス、例えば、約5〜60%の混合物を含むものであってもよい。
【0031】
従って、使用するアルコキシル化された分枝アルコールは、特に、式(II):
R6-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-(CpH2pO)z-H (II)
[式中、R6は、C5-C30-アルキルまたはC5-C30-アルケニルであり;
m、n、pは、互いに独立して、2〜16、好ましくは2、3、4または5の整数であり;
x、y、zは、互いに独立して、0〜100の数であり;そして
x+y+zは、1〜100の値である]
のアルコールアルコキシレートおよび上記実施形態を考慮して得られる式(II)のアルコールアルコキシレートの型から選択される。
【0032】
特定の実施形態によれば、m=2でありかつxの値が0より大きい式(II)のアルコールアルコキシレートを用いる。これに関する場合は、とりわけアルコールエトキシラートに属するEO型のアルコールアルコキシレート(m=2;x>0;y=0、z=0)、およびアルコール部分と結合したEOブロックを有するアルコールアルコキシレート(m=2;x>0;yおよび/またはz>0)を含む。アルコール部分と結合したEOブロックを有するアルコールアルコキシレートを挙げれば、特に、EO/POブロックアルコキシレート(m=2;x>0;y>0;n=3;z=O)、EO/PeOブロックアルコキシレート(m=2;x>0;y>0;n=5;z=O)、およびEO/PO/EOブロックアルコキシレート(m、p=2;x、z>0;y>0;n=3)である。
【0033】
好ましいのは、EO対PO比(x対y)が、1:1〜4:1、特に1.5:1〜3:1であるEO/POブロックアルコキシレートである。これに関して、エトキシル化度(xの値)は、一般的に1〜20、好ましくは2〜15、そして特に4〜10であり、プロポキシル化度(yの値)は、通常1〜20、好ましくは1〜8、特に2〜5である。総アルコキシル化度、すなわち、EO単位とPO単位の総計は、通常2〜40、好ましくは3〜25、特に6〜15である。
【0034】
さらに好ましいのは、EO対PeO比(x対y)が2:1〜25:1、そして特に4:1〜15:1であるEO/PeOブロックのアルコキシレートである。これに関して、エトキシル化度(xの値)は、通常1〜50、好ましくは4〜25、特に6〜15であり、ペントキシル化度(yの値)は、通常0.5〜20、好ましくは0.5〜4、特に0.5〜2である。総アルコキシル化度、すなわちEO単位とPeO単位の総計は、通常1.5〜70、好ましくは4.5〜29、特に6.5〜17である。
【0035】
さらなる特定の実施形態によれば、n=2であり、xとyの値が両方とも0より大きく、かつz=0である式(II)のアルコールアルコキシレートを使用する。しかしながら、また一方、上記のアルコールアルコキシレートは、末端に結合したEOブロックを有するEO型の形態をとる。これには、とりわけPO/EOブロックのアルコキシレート(n=2;x>0;y>0;m=3;z=0)およびPeO/EOブロックのアルコキシレート(n=2;x>0;y>0;m=5;z=0)が含まれる。
【0036】
好ましいのは、PO対EOの比(x:y)が、1:10〜3:1、特に1.5:1〜1:6であるPO/EOブロックアルコキシレートである。これに関して、エトキシル化度(yの値)は、一般的に1〜20、好ましくは2〜15、特に4〜10であり、プロポキシル化度(xの値)は、一般的に0.5〜10、好ましくは0.5〜6、特に1〜4である。総アルコキシル化度、すなわちEOとPO単位の総計は、一般的に1.5〜30、好ましくは2.5〜21、そして特に5〜14である。
【0037】
さらに好ましいのは、PeO対EOの比(x:y)が、1:50〜1:3、そして特に1:25〜1:5であるPeO-EOブロックアルコキシレートである。これに関して、ペントキシル化度(xの値)は、通常0.5〜20、好ましくは0.5〜4、そして特に0.5〜2であり、かつエトキシル化度(yの値)は、通常3〜50、好ましくは4〜25、そして特に5〜15である。総アルコキシル化度、すなわちEOとPeO単位の総計は、一般的に3.5〜70、好ましくは4.5〜45、そして特に5.5〜17である。
【0038】
さらなる特定の実施形態によれば、x、y、およびzの値が、全て0より大きい式(II)のアルコールアルコキシレートを使用する。これには、とりわけPeO-EO-POブロックアルコキシレート(m=5、x>0、n=2、y>0、m=3、z>0)が含まれる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、本発明によって使用するアルコールアルコキシレートは、式(III):
【化2】

【0040】
[式中、R7、R8は、互いに独立して、水素またはC1-C26アルキルである。]
の第一級α-分枝アルコールに基づく。
【0041】
好ましくは、R7およびR8は、互いに独立して、C1-C6アルキル、そして特にC2-C4アルキルである。
【0042】
2-プロピルヘプタノールに基づくアルコールアルコキシレートがとりわけ特に好ましい。これには、特に、Rが2-プロピルヘプチル残基、すなわち式(III)中のR7とR8がそれぞれn-プロピルである、式(II)のアルコールアルコキシレートが含まれる。
【0043】
かかるアルコールは、ゲルベアルコールとも呼ばれる。これは、例えば、高温、例えば180〜300℃で、水酸化カリウムなどのアルカリ縮合剤の存在のもとで、対応する第一級アルコール(例えば、R7,8CH2CH2OH)の二量化により、得ることができる。
【0044】
ゲルベアルコールに基づく本発明の好ましい実施形態において、とりわけEO型のアルコキシレートが利用される。特に好ましいのは、エトキシル化度1〜50、好ましくは2〜20、特に約3〜10を有するエトキシレートである。これらのなかでも、特に、適切にエトキシル化された2-プロピルヘプタノールを挙げることができる。
【0045】
さらに好ましい実施形態によれば、使用するアルコールアルコキシレートはC13オキソアルコールに基づくものである。
【0046】
用語「C13オキソアルコール」は、一般的に、その主成分が、少なくとも1種の分枝C13アルコール(イソトリデカノール)により構成されるアルコール混合物を意味する。かかるC13アルコールとして、特に、テトラメチルノナノール、例えば2,4,6,8-テトラメチル-1-ノナノールまたは3,4,6,8-テトラメチル-1-ノナノール、およびまたエチルジメチルノナノール、例えば5-エチル-4,7-ジメチル-1-ノナノールなどが挙げられる。
【0047】
好適なC13アルコール混合物は、一般的に、ヒドロホルミル化されたブテン三量体の水素化により得ることができる。特に、次の処理工程:
a) ブテンをオリゴマー化するために好適な触媒と接触させる工程、
b) C12オレフィン画分を反応混合物から単離する工程、
c) C12オレフィン画分を、好適な触媒の存在のもとで一酸化炭素および水素と反応させることによりヒドロホルミル化する工程、および
d) 水素化する工程
で処理することが可能である。
【0048】
有利なC13アルコール混合物は、本質的にハロゲンを含有しない、すなわち、3重量ppm未満、特に1重量ppm未満のハロゲン、特に塩素しか含有しない。
【0049】
ブテンの三量化は、均一系または不均一系触媒を用いて実施することができる。
【0050】
ダイマーゾル(DIMERSOL)プロセス(Revue de l’Institut Francais du Petrole, Vol. 37, No. 5, Sept./Oct. 1982, p.639ffを参照)においては、ブテンを、均一相で、遷移金属誘導体および有機金属化合物から構成される触媒系の存在のもとでオリゴマー化する。典型的な触媒系は、Ni(0)錯体とルイス酸、例えばAlCl3、BF3、SbF5などとの組み合わせ、またはNi(II)錯体とハロゲン化アルキルアルミニウムとの組み合わせである。
【0051】
あるいは、ブテンを公知の方法で、ニッケルを含有する不均一系触媒上でオリゴマー化することができる(処理工程a)。選択した処理条件に応じて、異なる相対量のブテン二量体、三量体、およびさらに多量体のオリゴマーを得る。本発明の目的のために、ブテン三量体、すなわちC12オレフィンをさらに処理する。イソブテンの含有量は、ヒドロホルミル化/水素化の後に得られるC13アルコール混合物の所望の分枝度を考慮して選択する。比較的低い分枝度は、比較的低いイソブテン含量を必要とし、逆もまたしかりである。例えば、もしそのC12オレフィン画分がおよそ1.9〜2.3のイソ指数(ISO number)を予定するのであれば、使用するブテンは主に直鎖であるように選択することが望ましい、すなわち、一般的に使用する炭化水素流は、ブテン画分に基づいて5重量%未満のイソブテンを含有するようにすべきである。ブテンは、オリゴマー化において希釈剤として作用する飽和C4炭化水素の混合物を含有してもよい。
【0052】
使用しうるニッケル含有不均一系触媒は、色々な構造を有してもよいが、酸化ニッケルを含有する触媒が好ましい。C.T. O'Connorら, Catalysis Today, vol.6 (1990), pp.336-338に記載された公知の触媒が好適である。
【0053】
炭化水素流(好ましくはC4流)は、一般的に、50〜100重量%、好ましくは60〜90重量%のブテン、および0〜50重量%、好ましくは10〜40重量%のブタンを含有する。ブテン画分は、ブテン画分に基づいて、5重量%未満、特に3重量%未満のイソブテンを含有する。ブテン画分は、通常、以下の組成(それぞれ、ブテン画分に基づいて)を有する:
1-ブテン 1〜50重量%
シス-2-ブテン 1〜50重量%
トランス-2-ブテン 1〜99重量%
イソブテン 1〜5重量%
FCCプラントまたはスチームクラッカーから得られる、イソブテンの枯渇したC4画分である「ラフィネートII」が、特に好適な原料として利用される。
【0054】
C12オレフィン留分を、オリゴマー化反応の反応生成物から1以上の分離工程において単離する(処理工程b)。好適な分離装置は、当業者に公知の通常の装置である。これらの装置には、例えば、蒸留塔、例えば、所望であれば、泡鐘(バブルキャップ)、多孔板(シーブプレート)、バルブ、サイド抜出しなどを備えてもよいプレート塔;蒸発器、例えば、薄膜蒸発器、流下液膜蒸発器、ワイパー付き膜蒸発器、サンベイ(Sambay)蒸発器など、およびそれらの組み合わせが含まれる。C12オレフィン留分の単離は分留により行うことが好ましい。
【0055】
C12オレフィン画分のイソ指数は、平均分枝数を示し、通常1〜4、好ましくは1.9〜2.3、特に2.0〜2.3である。イソ指数は、例えば、C12オレフィン画分の試料を水素化してドデカンを得て、1H-NMRスペクトルにおいてメチル基に該当するシグナル領域と総プロトンに該当するシグナル領域から、平均メチル基数を確認することにより決定される。イソ指数は、平均メチル基数から2を引いた数である。
【0056】
本発明によるアルコール混合物を調製するために、単離したC12オレフィン画分をヒドロホルミル化してC13アルデヒドを得て(処理工程c)、続いて、水素化してC13アルコールを合成する(処理工程d)。この場合、アルコール混合物の調製は単一工程で、または2つの別々の反応工程で実施することができる。
【0057】
ヒドロホルミル化プロセスの総括および好適な触媒は、Bellerら, Journal of Molecular Catalysis A 104 (1995), p.17-85に記載されている。
【0058】
ヒドロホルミル化は、コバルトヒドロホルミル化触媒の存在下で実施するのが好ましい。ヒドロホルミル化触媒の量は、ヒドロホルミル化するオレフィンの量に基づいて、コバルト金属として計算し、一般的に、0.001〜0.5重量%である。反応温度は、一般的に、約100〜250℃、好ましくは150〜210℃の範囲である。反応は、約10〜650barの高圧で、実施してもよい。水の存在下でヒドロホルミル化を実施するのが好ましいが、水の非存在下で実施することもできる。
【0059】
一酸化炭素と水素は、一般的に、合成ガスとして公知の混合物の形態で使用する。使用する合成ガスの組成は広範囲で変化しうる。一酸化炭素の水素に対するモル比は、通常、およそ2.5:1〜1:2.5である。好適な比は、約1:1.5である。
【0060】
反応媒体に均一に溶解しているコバルト触媒は、ヒドロホルミル化プロセスの反応生成物を酸性水溶液の存在のもとで酸素または空気を用いて処理することにより、ヒドロホルミル化生成物から好適に分離することができる。この過程で、コバルト触媒は酸化により分解してコバルト(II)塩を生成する。コバルト(II)塩は水溶性で水相に抽出されるので、これを分離してヒドロホルミル化プロセスにリサイクルすることができる。
【0061】
所望であれば、ヒドロホルミル化で得られる粗アルデヒドまたはアルデヒド/アルコール混合物を水素化の前に単離し、適宜、当業者に公知の通常の方法によって精製することができる。
【0062】
水素化については、ヒドロホルミル化で得た反応混合物を、水素化触媒の存在のもとで水素と反応させる。
【0063】
好適な水素化触媒は、一般的に、遷移金属、例えば、Cr、Mo、W、Fe、Rh、Co、Ni、Pd、Pt、Ruなど、またはそれらの混合物などであり、活性および安定性を高めるために、支持体、例えば、活性炭、酸化アルミニウム、珪藻土などに担持させることができる。触媒活性を高めるために、Fe、Coそして好ましくはNiをラネー触媒の形態で、非常に大きな表面積をもつ金属スポンジとして利用することもできる。Co/Mo触媒を本発明による界面活性剤アルコールを調製するために用いることが好ましい。オキソアルデヒドの水素化は、触媒活性に応じて、高温かつ高圧で実施することが好ましい。水素化温度はおよそ80〜250℃が好ましく、圧力はおよそ50〜350barが好ましい。
【0064】
さらなる好適なC13アルコール混合物を次の処理工程により得ることができる:
a) C4オレフィン混合物をメタセシス反応で処理する工程、
b) 6個の炭素原子をもつオレフィンをメタセシス混合物から分離する工程、
c) 分離した上記オレフィンを、個々にまたは混合物として二量化し、12個の炭素原子をもつオレフィン混合物を得る工程、および
d) 生成した上記オレフィン混合物を、適当であれば分留後に、誘導体化してC13オキソアルコール混合物を得る工程。
【0065】
処理工程a)で利用するメタセシスの原理は、例えば、「ウルマン工業化学百科辞典(Ullmann's Ecyclopedia of Industrial Chemistry)」, 5th Ed., Vol. A18, p.235/236に記載されている。上記プロセスの実施に関するさらなる情報は、例えば、K.J. Ivin, 「オレフィンメタセシス(Olefin Metathesis)」, Academic Press, London, (1983);Houben-Weyl, E18, 1163-1223;R.L. Banks, 「オレフィン不均一化反応の発見と発展(Discovery and Development of Olefin Disproportionation)」, CHEMTECH (1986), February, 112-117に記載されている。
【0066】
C4オレフィン流中に存在する主成分1-ブテンおよび2-ブテンにメタセシスを適用すると、5〜10個の炭素原子をもつオレフィン、好ましくは5〜8個の炭素原子をもつオレフィン、しかし特に2-ペンテンおよび3-ヘキセンが、好適な触媒の存在のもとで得られる。
【0067】
好適な触媒は、好ましくはモリブデン、タングステン、またはレニウム化合物である。反応は不均一系触媒反応条件下で実施することが特に望ましく、触媒活性金属は特にAl2O3またはSiO2の支持体と組合わせて使用される。かかる触媒の例は、SiO2上のMoO3またはWO3、Al2O3上のRe2O7である。
【0068】
メタセシスをレニウム触媒の存在のもとで実施するのが特に好都合である、というのは、この場合、特に穏やかな反応条件で行うことが可能だからである。従って、この場合、メタセシスを0〜50℃の温度にて、およそ0.1〜0.2MPaの低圧で実施することができる。
【0069】
メタセシス工程において得たオレフィンまたはオレフィン混合物の二量化においては、もし少なくとも周期律表のVIIIb族の元素の1つを含有する二量化触媒を使用しかつもし触媒組成と反応条件を、式III(ビニリデン基):
【化3】

【0070】
[式中、A1およびA2は脂肪族炭化水素基である]
の構造要素を示す化合物を10重量%未満しか含有しない二量化混合物が得られるように選択すれば、界面活性剤アルコールへのさらなる処理の観点で特に好適な成分および特に有利な組成を有する二量化生成物が得られる。
【0071】
メタセシス生成物中に存在する内部直鎖ペンテンおよびヘキセンを二量化反応に使用することが好ましい。3-ヘキセンの使用が特に好ましい。
【0072】
二量化反応は、均一系触媒条件下または不均一系触媒条件下で実施することができる。不均一系の方法が好ましい、何故なら、この方法は一方で、触媒の分離が単純化されるのでより経済的であり、かつ他方で、例えば加水分解により、溶解した触媒の分離で通常発生する環境有害廃水を生じないからである。不均一系触媒プロセスのさらなる利点は、二量化生成物が、ハロゲン、特には塩素またはフッ素を全く含有しないことである。均一系の可溶性触媒は一般的にハロゲン化物を含有する配位子を含有するか、またはハロゲンを含有する助触媒との組み合わせで使用する。かかる触媒系からのハロゲンは二量化生成物中に組み込まれ、生成物の品質とさらなる処理工程の両方に、特に界面活性剤アルコールへのヒドロホルミル化に対して大きい悪影響を与えうる。
【0073】
例えば、DE-A-43 39 713から公知である、酸化ケイ素と酸化チタンから成る支持体上のVIIIb族金属酸化物と酸化アルミニウムとの組み合わせを不均一系触媒反応に使用するのが望ましい。不均一系触媒は、固定床で(この場合、1〜1.5mmのペレットサイズをもつ粗粒の形態が好ましい)または懸濁させて(粒径0.05〜0.5mm)使用することができる。不均一系条件下で実施する場合、二量化は、80〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度にて、閉鎖系内で反応温度に相当する圧力下、適当であれば、さらに正圧の保護ガス下で、行うことが好都合である。最適転化率を得るために、反応混合物を繰り返して循環し、循環する生成物のうちのある特定の比率を連続的に取り出して出発物質と置き換える。
【0074】
モノ不飽和炭化水素の混合物が二量化において得られ、その成分は主に出発オレフィンの2倍の鎖長を有する。
【0075】
二量化触媒および反応条件は、上記の枠内で、二量化混合物の成分の少なくとも80%が、その主鎖の鎖長の1/4〜3/4、好ましくは1/3〜2/3の範囲で、1分枝または隣接する炭素原子上の2分枝を有するように選択することが望ましい。
【0076】
分枝をもつ成分の高い比率、一般的に75%超、特に80%超、および分枝のないオレフィンの低い比率、一般的に25%未満、特に20%未満が、本方法で調製したオレフィン混合物の顕著な特徴である。さらなる特徴は、(y-4)および(y-5)(ここで、yは二量化プロセスに用いたモノマーの炭素原子数である)の炭素原子を有する基は、大部分が、主鎖の分枝部位に結合していることである。(y-5)の値=0は側鎖が存在しないことを意味する。
【0077】
上記のように調製されたC12オレフィン混合物の主鎖は、分枝点に、メチルまたはエチル基を有するのが好ましい。
【0078】
主鎖におけるメチルまたはエチル基の位置も特徴がある:一置換の場合は、メチルまたはエチル基は、主鎖のP位置(P=(n/2)-m)に存在し(ここで、nは主鎖の長さであり、mは側基の炭素原子数である)、一方、二置換生成物の場合、一置換基はP位置に見出され、他の置換基は隣接した炭素原子P+1位置に見出される。本発明によって調製されるオレフィン混合物中の一置換生成物(単分枝)の比率は、40〜75重量%の範囲であり、二分枝の成分の比率は、5〜25重量%の範囲であることを特徴とする。
【0079】
また二量化混合物は、もし二重結合の位置がある特定の要件を満たす場合、さらなる誘導体化に特に好適であることが見出されている。これらの有利なオレフィン混合物において、分枝に関係する二重結合の位置は、「脂肪族系」水素原子対「オレフィン系」水素原子の比が、H(脂肪族系):H(オレフィン系)=(2*n-0.5):0.5〜(2*n-1.9):1.9(ここでnは二量化から得られるオレフィンの炭素原子数である)の範囲内にあることを特徴とする。
【0080】
(用語「脂肪族系」水素原子は、C=Cの二重結合(π結合)の部分でない炭素原子に結合する水素原子であり、そして用語「オレフィン系」水素原子はπ結合を有する炭素原子に結合する水素原子である。)
特に、比が、
H(脂肪族系):H(オレフィン系)=(2*n-1.0):1〜(2*n-1.6):1.6
である二量化混合物が好ましい。
【0081】
上記のように調製したオレフィン混合物を、最初に、好適な触媒、好ましくはコバルトまたはロジウム含有触媒の存在のもとで、一酸化炭素および水素との反応によりヒドロホルミル化して、界面活性アルコール(オキソアルコール)、分枝した第一級アルコールとする。
【0082】
ヒドロホルミル化プロセスの優れた総括は、多数のさらなる参考文献、例えば、Bellerら, Journal of Molecular Catalysis, A104 (1995) 17-85、または「ウルマン工業化学百科辞典(Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry), Vol. A5 (1986), page 217 ff., page 333」および関連する参考文献に記載されている。
【0083】
これらの文献に記載の広範な情報によって、当業者はまた、本発明による分枝オレフィンをヒドロホルミル化することも可能である。この反応において、COと水素をオレフィンの二重結合に付加させ、以下の反応スキーム:
【化4】

【0084】
に従って、アルデヒドとアルカノールの混合物が得られる。
【0085】
反応混合物中のn-化合物とイソ化合物のモル比は、ヒドロホルミル化のため選択した処理条件および使用する触媒に応じて、一般的に、1:1〜20:1の範囲である。ヒドロホルミル化は、通常、90〜200℃の温度範囲および2.5〜35MPa(25〜350bar)のCO/H2圧力にて実施する。水素に対する一酸化炭素の混合率は、反応が主にアルカナールまたはアルカノールのいずれの生産を意図するかに依存する。処理は、10:1〜1:10、好ましくは3:1〜1:3の範囲のCO:Hの比で実施することが望ましく、アルカナールを調製するためには低い水素分圧の範囲を選択し、そしてアルカノールを調製するためには高い水素分圧の範囲、例えば、CO:H2=1:2を選択する。
【0086】
一般式HM(CO)4またはM2(CO)8(式中、Mは金属原子、好ましくはコバルト、ロジウムまたはルテニウム原子である)の金属化合物がとりわけ好適な触媒である。
【0087】
一般的に、ヒドロホルミル化条件下で、それぞれの場合に使用する触媒または触媒前駆体は、一般式HxMy(CO)zLq[式中、Mは、VIIIb族金属であり、Lは配位子(ホスフィン、ホスファイト、アミン、ピリジンまたはいずれか他のドナー化合物であっても、かつ多量体の形であってもよい)であり、q、x、yおよびzは、金属の原子価と性質および配位子Lの共有原子価に依存する整数であり、qは0であってもよい]の触媒活性種を生成する。
【0088】
金属Mは、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、オスミウムまたはイリジウムが好ましく、特に、コバルト、ロジウムまたはルテニウムが好ましい。
【0089】
好適なロジウム化合物または錯体の例は、ロジウム(II)およびロジウム(III)塩、例えば、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、硫酸ロジウム(III)、硫酸ロジウムカリウム、カルボン酸ロジウム(II)、カルボン酸ロジウム(III)、酢酸ロジウム(II)、酢酸ロジウム(III)、酸化ロジウム(III)またはロジウム(III)酸の塩、例えば、ヘキサクロロロジウム酸(III)トリスアンモニウムなどである。さらに、ロジウム錯体、例えば、ロジウムビスカルボニルアセチルアセトナート、アセチルアセトナトビスエチレンロジウム(I)などが好適である。ロジウムビスカルボニルアセチルアセトナートまたは酢酸ロジウムを用いるのが好ましい。
【0090】
好適なコバルト化合物は、例えば、塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、炭酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、それらのアミンまたは水和物錯体、カルボン酸コバルト、例えば、酢酸コバルト、エチルヘキサン酸コバルト、ナフトエ酸コバルト、およびコバルトカプロラクタマート錯体などがある。コバルトのカルボニル錯体、例えば、ジコバルトオクトカルボニル、テトラコバルトドデカカルボニルおよびヘキサコバルトヘキサデカカルボニルなどもこの目的で使用することができる。
【0091】
上記のコバルト、ロジウムおよびルテニウム化合物は原則的に公知であり、文献に広範に記載されているか、または当業者はこれらの化合物を公知の化合物と類似した方法で調製することができる。
【0092】
ヒドロホルミル化は、不活性溶媒または希釈液を添加してまたは添加しないで実施することができる。好適な不活性添加液の例は、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、ヘキサン、石油エーテル、アセトニトリル、および二量化生成物のヒドロホルミル化から得られる高沸点成分である。
【0093】
もし得られるヒドロホルミル化生成物のアルデヒド含有量が高過ぎれば、この含量は水素化により簡単な方法で、例えば、水素により、ラネーニッケルの存在のもとでまたは水素化反応用の公知の他触媒、特に、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、モリブデン、ジルコニウムまたはチタンを含有する触媒を用いて是正することができる。この是正の過程で、アルデヒド成分はほとんどアルカノールに水素化される。反応混合物中のアルデヒド画分の実質的に完全な除去は、もし所望であれば、例えば、特に穏やかなかつ経済的な条件下でホウ水素化アルカリ金属を用いるポスト水素化により達成することができる。
【0094】
本発明によるC13アルコール混合物は、水素化プロセスで生じる反応混合物から、当業者に公知の慣用の精製方法を用いて、特に分留により、純粋に得ることができる。
【0095】
本発明によるC13アルコール混合物は、一般的に、1〜4、好ましくは2.1〜2.5、特に2.2〜2.4の平均分枝度を有する。分枝度は、アルコール1分子中のメチル基数から1を引いた数として定義される。平均分枝度は、サンプルの分子の分枝度の統計的平均である。サンプルの分子中の平均メチル基数は、1H-NMR分光分析により、容易に測定することができる。このためには、サンプルの1H-NMRスペクトル中のメチルプロトンに対応するシグナル面積を3で除し、そして2で除したCH2-OH基のメチレンプロトンのシグナル面積と比較する。
【0096】
C13オキソアルコールに基づくこの実施形態においては、特に、エトキシル化されているかまたはEO/PO型のブロックアルコキシレートであるアルコールアルコキシレートが特に好ましい。
【0097】
本発明によって使用するエトキシル化C13オキソアルコールのエトキシル化度は、通常1〜50、好ましくは3〜20、特に3〜10、とりわけ4〜10、そして特に5〜10である。
【0098】
本発明によって使用するEO/POブロックアルコキシレートのアルコキシル化度は、ブロックの位置に依存する。もしPOブロックが末端に位置すれば、EO単位対PO単位の比は、一般的に少なくとも1、好ましくは1:1〜4:1、特に1.5:1〜3:1である。同時に、エトキシル化度は、一般的に1〜20、好ましくは2〜15、特に4〜10であり、プロポキシル化度は、一般的に1〜20、好ましくは1〜8、特に2〜5である。総アルコキシル化度、すなわちEO単位とPO単位の総計は、一般的に2〜40、好ましくは3〜25、特に6〜15である。他方、EOブロックが末端に位置すれば、POブロック対EOブロックの比は、その場合、それほど重要でなく、一般的に1:10〜3:1、好ましくは1:1.5〜1:6である。同時に、エトキシル化度は、一般的に1〜20、好ましくは2〜15、特に4〜10であり、プロポキシル化度は、一般的に0.5〜10、好ましくは0.5〜6、特に1〜4である。一般的に、総アルコキシル化度は、1.5〜30、好ましくは2.5〜21、そして特に5〜14である。
【0099】
さらなる好ましい実施形態によれば、C10オキソアルコールに基づくアルコールアルコキシレートを用いる。
【0100】
用語「C10オキソアルコール」は、既に説明している用語「C13オキソアルコール」と同様に、少なくとも1種の分枝C10アルコール(イソデカノール)から成る主成分を有するC10アルコール混合物を表す。
【0101】
好適なC10アルコール混合物は、一般的に、ヒドロホルミル化されたプロペン三量体を水素化して得ることができる。特に、以下の工程で得ることが可能である:
a) プロペンを、オリゴマー化のために、好適な触媒と接触させる工程、
b) C9オレフィン画分を反応混合物から単離する工程、
c) C9オレフィン画分を、好適な触媒の存在のもとで、一酸化炭素および水素との反応によりヒドロホルミル化する工程、および
d) 水素化する工程。
【0102】
この手順の特定の実施形態は、ヒドロホルミル化された三量体ブテンの水素化について先に記載した実施形態と類似するものである。
【0103】
C10オキソアルコールに基づくこの実施形態においては、エトキシル化されているかまたはEO-PeO型のブロックアルコキシレートであるアルコールアルコキシレートが特に好ましい。
【0104】
本発明によって使用するC10オキソアルコールのエトキシル化度は、一般的に、1〜50、好ましくは2〜20そして特に2〜10、とりわけ3〜10そして特に3〜10である。
【0105】
本発明によって使用するEO/PeOブロックアルコキシレートのアルコキシル化度は、ブロックの位置に依存する。もしPeOブロックが末端に位置すれば、EO単位対PeO単位の比は、一般的に少なくとも1、好ましくは2:1〜25:1、特に4:1〜15:1である。同時に、エトキシル化度は、一般的に1〜50、好ましくは4〜25、特に6〜15であり、ペントキシル化度は、一般的に0.5〜20、好ましくは0.5〜4、特に0.5〜2である。総アルコキシル化度、すなわちEO単位とPeO単位の総計は、一般的に1.5〜70、好ましくは4.5〜29、特に6.5〜17である。他方、EOブロックが末端に位置すれば、PeOブロック対EOブロックの比は、その場合、それほど重要でなく、一般的に1:50〜1:3、好ましくは1:25〜1:5である。同時に、エトキシル化度は、一般的に3〜50、好ましくは4〜25、特に5〜15であり、ペントキシル化度は、一般的に0.5〜20、好ましくは0.5〜4、特に0.5〜2である。一般的に、総アルコキシル化度は、3.5〜70、好ましくは4.5〜45、そして特に5.5〜17である。
【0106】
従って、以上の説明から、特に、本発明によって使用するC13オキソアルコールまたはC10オキソアルコールは、既に分枝しているオレフィンに基づく。言い換えれば、分枝は、直鎖オレフィンのヒドロホルミル化の場合にそうであるヒドロホルミル化反応に起因するだけでない。従って、本発明によって使用するアルコキシレートの分枝度は一般的に1より大きい。
【0107】
本発明によって使用するアルコキシレートは、一般的に比較的小さい接触角を示す。特に好ましいのは、パラフィンワックス表面上のアルコキシレート2重量%含有水溶液から公知の方法で測定して、120°未満、そして好ましくは100°未満の接触角をもつアルコキシレートである。
【0108】
一態様によると、アルコールアルコキシレートの表面活性特性は、アルコールアルコキシレートグループ分けの性質と分布に依存する。懸滴法(pendant drop method)により測定することができる、本発明により使用するアルコールアルコキシレートの表面張力は、アルコールアルコキシレート0.1重量%を含有する溶液に対して25〜70mN/m、特に28〜50mN/m、そしてアルコールアルコキシレート0.5重量%を含有する溶液に対して25〜70mN/m、特に28〜45mN/Mの範囲にあることが好ましい。本発明によって使用するアルコキシレートは、従って、両親媒性物質であると認められる。
【0109】
上記アルコールアルコキシレートは特に、式Ia:
【化5】

【0110】
[式中、R1は先に定義した通りであり;
R5は水素、ハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-ハロアルコキシであり;そして
nは1、2または3である]
で表されるベンズアミドオキシム誘導体の施用において好適である。
【0111】
これらのなかでも、R1がジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルでありかつR5が水素である式(I)または(Ia)のベンズアミドオキシム誘導体、従って、N-フェニルアセチル-2-ジフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムおよびN-フェニルアセチル-2-トリフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムが好ましい。
【0112】
ベンズアミドオキシム誘導体は、さらなる活性化合物、例えば、除草剤、殺虫剤、成長制御剤または殺真菌剤とあるいはまた肥料と一緒に使用することができる。
【0113】
殺真菌剤を混合すると、多くの場合に活性の殺真菌スペクトルの拡大が得られる。
【0114】
ベンズアミドオキシム誘導体と一緒に施用することができる殺真菌剤の次のリストは、組み合わせの可能性を説明するためのものであるが、組み合わせを限定するものではない:
脂肪族窒素殺真菌剤、例えば、ブチルアミン、シモキサニル、ドジシン(dodicin)、ドダイン、グアザチンおよびイミノクタジン;
アミド殺真菌剤、例えば、カルプロパミド、クロラニホルメタン、シアゾファミド、シフルフェンアミド、ジクロシメット、エタボキサム、フェノキサンチル、フルメトベル、フラメトピル、プロクロラズ、キナザミド、シルチオファムおよびトリホリン;特にアシルアミノ酸殺真菌剤、例えば、ベナラクシル、ベナラクシル-M、フララキシル、メタラクシル、メタラクシル-M、ペフラゾアート;ベンズアミド殺真菌剤、例えば、ベンゾヒドロキサム酸、チオキシミド、トリクラミド、ザリラミドおよびゾキサミド;フラミド殺真菌剤、例えば、シクラフラミドおよびフルメシクロキス;フェニルスルファミド殺真菌剤、例えば、ジクロロフルアニドおよびフォリフラニド;バリナミド殺真菌剤、例えば、ベンチアバリカルブおよびイプロバリカルブ;およびアニリド殺真菌剤、例えば、ベナラクシル、ベナラクシル-M、ボスカリド、カルボキシン、フェンヘキサミド、メタラクシル、メタラクシル-M、メトスルホバックス、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ピラカルボリド、チフルザミドおよびチアジニル;特にベンズアニリド殺真菌剤、例えば、ベノダニル、フルトラニル、メベニル、メプロニル、サリチルアニリドおよびテクロフタラム;フルアニリド殺真菌剤、例えば、フェンフラム、フララキシル、フルカルバニルおよびメトフロキサム;およびスルホンアニリド殺真菌剤、例えば、フルスルファミド;
抗生物質殺真菌剤、例えば、アウレオフンジン(aureofungin)、ブラスチシジン-S、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、ポリオキソリム、ストレプトマイシンおよびバリダマイシン;特にストロビルリン殺真菌剤、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビンおよびトリフロキシストロビン;
芳香族殺真菌剤、例えば、ビフェニル、クロロジニトロナフタレン、クロロネブ、クロロタロニル、クレゾール、ジクロラン、ヘキサクロロベンゾール、ペンタクロロフェノール、キントゼン、ナトリウムペンタクロロフェノキシドおよびテクナゼン;
ベンズイミダゾール殺真菌剤、例えば、ベノミル、カルベンダジム、クロロフェナゾール、シペンダゾール、デバカルブ、フベリダゾール、メカルビンジド、ラベンザゾールおよびチアベンダゾール;
ベンズイミダゾール前駆体殺真菌剤、例えば、フロファナート、チオファナートおよびチオファナートメチル;ベンゾチアゾール殺真菌剤、例えば、ベンタルロン、クロベンチアゾンおよびTCMTB;
架橋ジフェニル殺真菌剤、例えば、ビチオノール、ジクロルフェンおよびジフェニルアミン;
カーバメート殺真菌剤、例えば、ベンチアバリカルブ、フロファナート、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、チオファナートおよびチオファナート-メチル;特にベンズイミダゾリルカーバメート殺真菌剤、例えば、ベノミル、カルベンダジム、シペンダゾール、デバカルブ、メカルビニジド;およびカルバニラート殺真菌剤、例えば、ジエトフェンカブ;
コナゾール殺真菌剤、特にイミダゾール、例えば、クリンバゾール、クロトリマゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、プロクロラズおよびトリフルミゾール;およびトリアゾール、例えば、アザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール-cis、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ユニコナゾールおよびユニコナゾール-P;
銅殺真菌剤、例えば、ボルドー混合物、バーガンディ混合物、チェスナッツ混合物、酢酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、ナフトエ酸銅、オレイン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、塩基性硫酸銅、クロム酸亜鉛、クフラネブ、クプロバム、酸化銅、マンカッパーおよびオキシン銅;
ジカルボキシミド殺真菌剤、例えば、ファモキサドンおよびフルオロイミド;特にジクロルフェニルジカルボキシミド殺真菌剤、例えば、クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、イソバレジオン、ミクロゾリン、プロシミドンおよびビンクロゾリン;およびフタルイミド殺真菌剤、例えば、カプタホル、カプタン、ジタルミホス、ホルペットおよびチオクロルフェンフィム(thiochlorfenphim);
ジニトロフェノール殺真菌剤、例えば、ビナパクリル、ジノブトン、ジノカップ、ジノカップ-4、ジノカップ-6、ジノクトン、ジノペントン、ジノスルホン、ジノテルボンおよびDNOC;ジチオカーバメート殺真菌剤、例えば、アジチラム、カルバモルフ、クフラネブ、クプロバム、ジスルフィラム、フェルバム、メタム、ナバム、テコラム、チラムおよびジラム;特に環状ジチオカーバメート殺真菌剤、例えば、ダゾメット、エテムおよびミルネブ;およびジチオカーバメートポリマー殺真菌剤、例えば、マンカッパー、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、ポリカーバメート、プロピネブおよびジネブ;
イミダゾール殺真菌剤、例えば、シアゾファミド、フェナミドン、フェナパニル、グリオジン、イプロジオン、イソバレジオン、ペフラゾエートおよびトリアゾキシド;
無機殺真菌剤、例えば、アジ化カリウム、チオシアン酸カリウム、アジ化ナトリウムおよび硫黄;
水銀殺真菌剤、特に無機水銀殺真菌剤、例えば、塩化水銀、例えば塩化水銀(II)および塩化水銀(I)、酸化水銀(II);有機水銀殺真菌剤、例えば、臭化(3-エトキシプロピル)水銀、酢酸エチル水銀、臭化エチル水銀、塩化エチル水銀、エチル水銀-2,3-ジヒドロオキシプロピルメルカプチド、リン酸エチル水銀、N-(エチル水銀)-p-トルエンスルホンアニリド、ヒドラルガフェン、塩化2-メトキシエチル水銀、安息香酸メチル水銀、メチル水銀ジシアンジアミド、メチル水銀ペンタクロルフェノキシド、8-フェニル水銀オキシキノリン、フェニル水銀尿素、酢酸フェニル水銀、塩化フェニル水銀、ピロカテコールのフェニル水銀誘導体、硝酸フェニル水銀、サリチル酸フェニル水銀、チオメルサールおよび酢酸トリル水銀;
モルホリン殺真菌剤、例えば、アルジモルフ、ベンザモルフ、カルバモルフ、ジメトチオモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フルモルフ、およびトリデモルフ;
有機リン殺真菌剤、例えば、アムプロピルホス、ジタリムホス、エジフェンホス、ホセチル、ヘキシルチオホス、イプロベンホス、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス-メチルおよびトリアミホス;
有機スズ殺真菌剤、例えば、デカフェンチン、フェンチン、酸化トリブチルスズ;
オキサチイン殺真菌剤、例えば、カルボキシンおよびオキシカルボキシン;
オキサゾール殺真菌剤、例えば、クロゾリネート、ジクロゾリン、ドラゾキソロン、ファモキサドン、ヒメキサゾール、メタゾキソロン、ミクロゾリン、オキサジキシルおよびビンクロゾリン;
ポリスルフィド殺真菌剤、例えば、バリウムポリスルフィド、カルシウムポリスルフィド、カリウムポリスルフィドおよびナトリウムポリスルフィド;
ピリジン殺真菌剤、例えば、ボスカリド、ブチオベート、ジピリチオン、フルアジナム、ピリジンニトリル、ピリフェノックス、ピロキシクロルおよびピロキシフル;
ピリミジン殺真菌剤、例えば、ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、ジメチリモル、エチリモル、フェナリモル、フェリモゾン、メパニピリム、ヌアリモル、ピリメタニルおよびトリアリモル;
ピロール殺真菌剤、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニルおよびフルオリミド;
キノリン殺真菌剤、例えば、エトキシキン、ハラクリネート、硫酸8-ヒドロキシキノリン、キナセトール(Quinacetol)およびキノキシフェン;
キノン殺真菌剤、例えば、ベンキノックス(Benquinox)、クロラニル、ジクロンおよびジチアノン;
キノキサリン殺真菌剤、例えば、キノメチオネート、クロルキノックスおよびチオキノックス;
チアゾール殺真菌剤、例えば、エタボキサム、エトリジアゾール、メトスルホバックス、オクチリノン、チアベンダゾール、チアジフロールおよびチフルザミド;
チオカーバメート殺真菌剤、例えば、メタスルホカルブおよびプロチオカルブ;
チオフェン殺真菌剤、例えば、エタボキサムおよびシルチオファム;
トリアジン殺真菌剤、例えば、アニラジン;
トリアゾール殺真菌剤、例えば、ビテルタノール、フルオトリマゾールおよびトリアズブチル;
尿素殺真菌剤、例えば、ベンタルロン、ペンシクロンおよびキナザミド;
ならびにさらなる殺真菌剤、例えば、アシベンゾラル、アシペタクス(acypetacs)、アリルアルコール、塩化ベンズアルコニウム、ベンザマクリル、ベトキサジン、カルボン、クロロピクリン、DBCP、デヒドロ酢酸、ジクロメジン、ピロ炭酸ジエチル、フェナミノスルフ、フェニトロパン、フェンプロピジン、ホルムアルデヒド、ヘキサクロロブタジエン、イソプロチオラン、臭化メチル、イソチオシアネート、メトラフェノン、ニトロスチレン、ニトロタールイソプロピル、OCH、2-フェニルフェノール、フタリド、ピペラリン、プロベナゾール、プロキナジド、ピロキロン、ナトリウムオルトフェニルフェノキシド、スピロキサミン、スルトロペン、チシオフェン(thicyofen)、トリシクラゾールおよびナフトエ酸亜鉛。
【0115】
ベンズアミドオキシム誘導体を一緒に施用することができる殺真菌剤としては、特に次が挙げられる:
硫黄、ジチオカルバミン酸塩とその誘導体、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸鉄(III)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、エチレンジアミンビスジチオカルバミン酸マンガン亜鉛、テトラメチルチウラムジスルフィド、(N,N'-エチレンビス-ジチオカルバミン酸)亜鉛のアンモニア錯体、(N,N'-プロピレン-ビスジチオカルバミン酸)亜鉛のアンモニア錯体、(N,N'-プロピレンビスジチオカルバミン酸)亜鉛またはN,N'-ポリプロピレンビス(チオカルバモイル)ジスルフィド;
ニトロ誘導体、例えば、クロトン酸ジニトロ(1-メチルヘプチル)フェニル、アクリル酸2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェニル3,3-ジメチル、炭酸2-sec-ブチル-4,6-ジニトロフェニルイソプロピル、5-ニトロイソフタル酸ジイソプロピル;
複素環式化合物、例えば、
2-ヘプタデシル-2-イミダゾリンアセタート、
2,4-ジクロロ-6-(o-クロロアニリノ)-s-トリアジン、
O,O-ジエチルフタルイミドホスホノチオアート、
5-アミノ-1-[ビス(ジメチルアミノ)-ホスフィニル]-3-フェニル-1,2,4-トリアゾール、2,3-ジシアノ-1,4-ジチオ-アントラキノン、
2-チオ-1,3-ジチオロ[4,5-b]キノキサリン、
メチル1-(ブチルカルバモイル)-2-ベンズイミダゾールカルバミン酸、
2-メトキシカルボニル-アミノベンズイミダゾール、
2-(2-フリル)ベンズイミダゾール、
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール、
N-(1,1,2,2-テトラクロロエチルチオ)テトラヒドロフタルイミド、
N-(トリクロロメチルチオ)テトラヒドロフタルイミドもしくは
N-(トリクロロメチルチオ)フタルイミド、
N-ジクロロフルオロメチルチオ-N',N'-ジメチル-N-フェニルスルファミド、
5-エトキシ-3-トリクロロメチル-1,2,3-チアジアゾール、
2-チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、
1,4-ジクロロ-2,5-ジメトキシベンゼン、
4-(2-クロロフェニルヒドラゾノ)-3-メチル-5-イソオキサゾロン、
ピリジン-2-チオン1-オキシド、8-ヒドロキシキノリンもしくはその銅塩、
2,3-ジヒドロ-5-カルボキサニリド-6-メチル-1,4-オキサチイン、
2,3-ジヒドロ-5-カルボキサニリド-6-メチル-1,4-オキサチイン4,4-ジオキシド、
2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-3-カルボキサニリド、
2-メチルフラン-3-カルボキサニリド、2,5-ジメチルフラン-3-カルボキサニリド、
2,4,5-トリメチルフラン-3-カルボキサニリド、
N-シクロヘキシル-2,5-ジメチルフラン-3-カルボキサミド、
N-シクロヘキシル-N-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-カルボキサミド、
2-メチルベンズアニリド、2-ヨードベンズアニリド、
N-ホルミル-N-モルホリン-2,2,2-トリクロロエチルアセタール、
ピペラジン-1,4-ジイルビス-1-(2,2,2-トリクロロエチル)ホルムアミド、
1-(3,4-ジクロロアニリノ)-1-ホルミルアミノ-2,2,2-トリクロロエタン、
2,6-ジメチル-N-トリデシルモルホリン又はその塩、
2,6-ジメチル-N-シクロドデシルモルホリン又はその塩、
N-[3-(p-(tert-ブチル)フェニル)-2-メチルプロピル]-cis-2,6-ジメチルモルホリン、
N-[3-(p-(tert-ブチル)フェニル)-2-メチルプロピル]ピペリジン、
1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-イルエチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、
1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(n-プロピル)-1,3-ジオキソラン-2-イルエチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、
N-(n-プロピル)-N-(2,4,6-トリクロロフェノキシエチル)-N'-イミダゾリル尿素、
1-(4-クロロフェノキシ)-3,3-ジメチル-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ブタノン、
(2-クロロフェニル)-(4-クロロ-フェニル)-5-ピリミジンメタノール、
5-ブチル-2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン、
ビス(p-クロロフェニル)-3-ピリジンメタノール、
1,2-ビス(3-エトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼン、
1,2-ビス(3-メトキシカルボニル-2-チオウレイド)ベンゼン、
[2-(4-クロロフェニル)エチル]-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール
1-[3-(2-クロロフェニル)-1-(4-フルオロフェニル)オキシラン-2-イルメチル]-1H-1,2,4-トリアゾール;および
様々な殺真菌剤、例えば、
ドデシルグアニジンアセタート、
3-[3-(3,5-ジメチル-2-オキシシクロヘキシル)-2-ヒドロキシエチル]グルタルイミド、
ヘキサクロロベンゼン、
メチルN-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2-フロイル)-DL-アラニナート、
N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(2'-メトキシアセチル)-DL-アラニンメチルエステル、
N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-クロロアセチル-D,L-2-アミノブチロラクトン、
DL-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(フェニルアセチル)-DL-アラニンメチルエステル、
5-メチル-5-ビニル-3-(3,5-ジクロロ-フェニル)-2,4-ジオキソ-1,3-オキサゾリジン、
3-(3,5-ジクロロフェニル)-5-メチル-5-メトキシメチル-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン、
3-(3,5-ジクロロフェニル)-1-イソプロピルカルバモイルヒダントイン、
N-(3,5-ジクロロフェニル)-1,2-ジメチルシクロプロパン-1,2-ジ-カルボキシミド、
2-シアノ-[N-(エチルアミノカルボニル)-2-メトキシイミノ]-アセトアミド、
1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)ペンチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、
2,4-ジフルオロ-α-(1H-1,2,4-トリアゾリル-1-メチル)ベンズヒドリルアルコール、
N-(3-クロロ-2,6-ジニトロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5-トリフルオロメチル-3-クロロ-2-アミノピリジン、または
1-((ビス(4-フルオロフェニル)メチル-シリル)メチル)-1H-1,2,4-トリアゾール;
ストロビルリン類、例えば、
メチルE-メトキシイミノ-[α-(o-トリルオキシ)-o-トリル]アセタート、
メチルE-2-{2-[6-(2-シアノフェノキシ)ピリミジン-4-イルオキシ]フェニル}-3-メトキシアクリラート、または
メチル-E-メトキシイミノ-[α-(2,5-ジメチルオキシ)-o-トリル]アセトアミドなど、
アニリノピリミジン類、例えば、
N-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アニリン、
N-[4-メチル-6-(1-プロピニル)ピリミジン-2-イル]アニリン、
N-[4-メチル-6-シクロプロピルピリミジン-2-イル]アニリン、
フェニルピロール類、例えば、4-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル)-ピロール-3-カルボニトリル、
シンナムアミド類、例えば、3-(4-クロロフェニル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-アクリロイルモルホリン。
【0116】
好ましい組合わせパートナーは次の通りである:
a) アゾール類であって、好ましくは、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェンコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、テブコナゾール、トリフルミゾール、フルトリアホール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、シメコナゾール、イプコナゾール、トリチコナゾールおよびプロチオコナゾールから選択されるアゾール類;
b) ベンゾフェノン類であって、式IV:
【化6】

【0117】
[式中、R9は塩素、メチル、アセトキシ、ピバロイルオキシまたはヒドロキシル、好ましくはメトキシであり;
R10は塩素または、好ましくはメチルであり;
R11は水素、ハロゲン、好ましくは臭素、またはメチルであり;
R12はC1-C6-アルキル、好ましくはメチル、またはベンジルであって、ベンジル基のフェニル部分がハロゲンもしくはメチル置換基を有していてもよい]
で表されるベンゾフェノン類;
c) オキシムエーテル誘導体であって、式V:
【化7】

【0118】
[式中、置換基X1〜X5およびY1〜Y4は次の意味を有する:
X1はハロゲン、C1-C4-ハロアルキルまたはC1-C4-ハロアルコキシであり;
X2〜X5は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-ハロアルコキシであり;
Y1はC1-C4-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニルまたはC1-C4-アルキル-C3-C7-シクロアルキルであって、これらの基はハロゲン、シアノおよびC1-C4-アルコキシから選択される1以上の置換基を有してもよく;
Y2は、フェニル基またはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を持つ5-もしくは6-員の飽和もしくは不飽和ヘテロ環式基であって、上記環式基はハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-ハロアルコキシ、C1-C4-アルコキシ-C2-C4-アルケニルおよびC1-C4-アルコキシ-C2-C4-アルキニルから選択される1〜3個の置換基を有してもよく;
Y3、Y4は、互いに独立して、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルチオ、N-C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-ハロアルキルまたはC1-C4-ハロアルコキシである]
で表されるオキシムエーテル誘導体;および
d) ピラクロストロビン。
【0119】
式(I)で表されるベンズアミドオキシム誘導体、そして特にその代表化合物と、次の化合物の1、2または3種以上との組み合わせをとりわけ特に強調する:メトラフェノン(R9はメトキシであり、R10はメチルであり、R11は臭素でありそしてR12はメチルである式(IV)のベンゾフェノン)、エポキシコナゾールおよびピラクロストロビン。
【0120】
本発明によって使用するアルコールアルコキシレートは、特に相乗効果特性を有するアジュバントである。従って、施用時にかかるアルコールアルコキシレートを式(I)のベンズアミドオキシム誘導体に加えると、相対的により高い殺真菌作用が観察される。アジュバント作用は、特に、1種以上の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体の、もし適当であれば1種以上のさらなる活性化合物と組み合わせての、施用時に、次の態様をもたらす:
-相対的に、所与の施用量に対する、ベンズアミドオキシム誘導体の活性の増進;
-相対的に、所与の作用に対する、施用するベンズアミドオキシム誘導体の量の減少;
-相対的に、処理する生物、特に植物による、とりわけ葉を経由するベンズアミドオキシム誘導体の取込みの増強、従って、特に植物のスプレー処理における発芽後過程の利点。
【0121】
本発明による使用は、特に植物栽培、農業および園芸に関する多数の色々な応用の可能性に関係がある。式(I)のベンズアミドオキシム誘導体は特に殺真菌剤として有用であり、従って広いスペクトルの植物病原性真菌、特に、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、藻菌類(Phycomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)のクラス由来の真菌の防除に用途がある。上記ベンズアミドオキシム誘導体のいくつかは全身移行活性があり、従ってまた、葉および/または土壌殺真菌剤として使用することもできる。このことは、対応して、ベンズアミドオキシム誘導体とさらなる活性化合物、特に殺真菌剤との組み合わせに対しても言えることである。
【0122】
従って、本発明はまた、1種以上の有害な真菌に感染している生物の処理のための、または有害な真菌による感染の恐れがあり従って防除することを欲する生物の予防処理のための、以上の意図する目的による方法にも関する。この方法は好適な量の活性化合物とアジュバントの施用を含むものである。
【0123】
処理する生物は主に植物または植物の部分、例えば種子である。処理は、活性化合物とアジュバントの組み合わせの殺真菌的に有効な量(施用量)を、有害な真菌、その生息場所、有害な真菌を駆除すべき生物、特に植物および種子、土壌、地域、資材または空間に作用するように実施する。
【0124】
様々な栽培植物、例えばワタ、野菜(例えばキュウリ、マメ、トマト、ジャガイモおよびウリ)、オオムギ、イネ科草本、オートムギ、バナナ、コーヒー、トウモロコシ、果実、イネ、ライムギ、ダイズ、ブドウ、コムギ、鑑賞植物またはサトウキビおよび多種類の種子において、多種類の真菌を防除するのに有利である。これらにおける有効な施用は当業者に公知である。
【0125】
特に有利なのは、次の植物病原性真菌の防除である:穀類におけるBlumeria graminis(ウドンコ病菌)、ウリにおけるErysiphe cichoracearumおよびSphaerotheca fuliginea、リンゴにおけるPodosphaera leucotricha、ブドウにおけるUncinula necator、穀類におけるPuccinia種、ワタ、イネおよび芝生におけるRhizoctonia種、穀類およびサトウキビにおけるUstilago種、リンゴにおけるVenturia inaequalis(黒星病菌)、穀類におけるHelminthosporium種菌、コムギにおけるSeptoria nodorum、イチゴ、野菜、鑑賞植物およびブドウにおけるBotrytis cinera、ピーナッツにおけるCercospora arachidicola、コムギおよびオオムギにおけるPseudocercosporella herpotrichoides、イネにおけるPyricularia oryzae、ジャガイモおよびトマトにおけるPhytophthora infestans、ブドウにおけるPlasmopara viticola、ホップおよびキュウリにおけるPseudoperonospora種、果実および野菜におけるAlternaria種、バナナにおけるMycosphaerella種、ならびにFusariumおよびVerticillium種。
【0126】
原則的に、施用する活性化合物の量は、植物耐性が高いので、大きく変化しうる。典型的には、本発明によって施用する量は、式(I)のベンズアミドオキシム誘導体について、一般的に0.001〜2.5kg/ha、好ましくは0.005〜2kg/ha、特に0.01〜1.0kg/ha、と共にアルコールアルコキシレートについて、一般的に、0.001〜25kg/ha、好ましくは0.05〜2kg/ha、特に0.1〜1.0kg/haである。
【0127】
種子処理においては、施用する量は、式(I)のベンズアミドオキシム誘導体について、一般的に0.001〜250g/kg、好ましくは0.01〜100g/kg、特に0.01〜50g/kg、と共にアルコールアルコキシレートについて、一般的に、0.001〜250g/kg、好ましくは0.01〜100g/kg、特に0.01〜50g/kgである。
【0128】
施用量のアルコールアルコキシレート対ベンズアミドオキシム誘導体の比は、一般的に、0.5:1〜100:1、好ましくは1:1〜50:1、特に1:1〜20:1の範囲である。特定の態様によれば、アルコールアルコキシレートの施用量はベンズアミドオキシム誘導体の施用量より大きい。
【0129】
本発明による使用においては、活性化合物は一般的に最初、農業上の実施に応じて製剤して組成物を得て、次いで組成物として施用する。アジュバントを既にこの過程で、活性化合物を含有する組成物に加えることができる;しかし、アジュバントはそれとは別々であってもよく、もし適当であれば、農業上の実施に応じて、同様に製剤してさらなる組成物を作り、そして実際に使用するときにのみ、同時にまたは適当な時間間隔をおいて、活性化合物を含有する組成物と共に施用して、活性化合物とアジュバントが一緒に作用しうるようにすることもできる。
【0130】
本発明による使用は、従ってまた、本発明によるアルコールアルコキシレートを「独自の」製品として使用することも含むものである。この意味で、活性化合物とアジュバントの本発明による組み合わせをキットの形態で提供することもできる。かかるキットは少なくとも2つの容器を含むものである。1つの容器は、もし、適当であれば好適な助剤を伴う組成物として製剤した少なくとも1種の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体を含有する。さらなる容器は少なくとも1種のアルコールアルコキシレートを含有する。
【0131】
本発明はまた、少なくとも1種の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体(a1)を含有する活性化合物成分(a)を伴い、かつ少なくとも1種のアルコールアルコキシレート(b1)を含有するアジュバント成分(b)を伴う組成物であって、成分(b1)の成分(a1)に対する重量比は少なくとも0.5である上記組成物にも関する。
【0132】
成分(a)の、組成物の全重量に対する比率は、一般的に1重量%より大きく、好ましくは2重量%より大きく、そして特に2.5重量%より大きい。他方、組成物の全重量に対する成分(a)の比率は、一般的に75重量%より小さく、好ましくは60重量%より小さく、そして特に50重量%より小さい。
【0133】
組成物の全重量に対する、成分(a1)の比率は一般的に1重量%より大きく、好ましくは2重量%より大きく、そして特に2.5重量%より大きい。他方、組成物の全重量に対する成分(a1)の比率は、一般的に50重量%より小さく、好ましくは40重量%より小さく、そして特に35重量%より小さい。
【0134】
本発明の一実施形態によれば、活性化合物(a)は本質的に(a1)、すなわち、(a1)1種以上の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体である。
【0135】
成分(a1)に加えて、本発明による組成物の活性化合物成分(a)は、少なくとも1種のさらなる植物活性化合物を有してもよい。
【0136】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、さらなる植物活性化合物として、(a2)少なくとも1種のまたは複数の先に記載した組み合わせパートナー、特に、先に記載したアゾール類、式(IV)のベンゾフェノン類、式(V)のオキシムエーテル類誘導体およびピラクロストロビン誘導体から選択される1種以上の活性化合物を含有する。
【0137】
活性化合物の組み合わせを含有するかかる組成物中の活性化合物の相対的比率は、非常に変化しうる。一態様によれば、活性化合物成分(a1)のそれより、活性化合物成分(a2)の比率的により高い重量比率を使用する。典型的には、この(a2)対(a1)の重量比は1.1:1〜20:1、好ましくは1.5:1〜10:1、そして特に2:1〜5:1の範囲である。
【0138】
組成物の全重量に対する組成物(b)の比率は、1重量%より大きく、好ましくは、2重量%より大きく、そして特に2.5重量%より大きいのが有利である。他方、組成物の全重量に対する組成物(b)の比率は、80重量%より小さく、好ましくは、60重量%より小さく、そして特に50重量%より小さいのが一般的に望ましい。
【0139】
組成物の全重量に対する成分(b1)の比率は、5重量%より大きく、好ましくは、8重量%より大きく、そして特に10重量%より大きく、とりわけ15%より大きく、そして特に20重量%より大きいのが有利である。他方、組成物の全重量に対する組成物(b1)の比率は、50重量%より小さく、好ましくは、45重量%より小さく、そして特に40重量%より小さいのが一般的に望ましい。
【0140】
本発明の一実施形態によれば、活性化合物成分(b)は本質的に(b1)、すなわち1種以上のアルコールアルコキシレートを含有する。
【0141】
満足なアジュバント効果を保証するためには、成分(b1)の成分(a1)に対する重量比は好ましくは0.5より大きく、特に1より大きく、そして有利なのは2より大きい。
【0142】
本発明による組成物は、例えば、そのまま散布できる溶液、粉末および懸濁液の剤形でまたは、高濃縮した水性、油性もしくは他の懸濁液、分散液、乳剤、油分散液、ペースト、微粉末、散布用物質または顆粒の剤形で製剤され、かつまた施用される。施用剤形は意図する用途に依存するが;常に本発明による混合物の分布を保証するものであって、できるだけ微細かつ均一なものでなければならない。
【0143】
本発明による組成物は、液剤のグループに属することが好ましい。かかる液剤としては、特に水溶性濃縮物(SL製剤)、懸濁濃縮物(SC製剤)、懸濁乳剤(SE製剤)およびミクロ乳剤が挙げられる。
【0144】
一実施形態によれば、本発明は高比率の活性化合物(濃縮物)を有する組成物に関する。この場合、組成物の全重量に対する成分(a)の比率は、一般的に、100g/lより大きく、好ましくは200g/lより大きく、そして特に250g/lより大きい。他方、組成物の全重量に対する成分(a)の比率は、一般的に、700g/lより小さく、好ましくは650g/lより小さく、そして特に600g/lより小さい。従って、200〜600g/lの範囲が好ましい。このようなわけで、ベンズアミドオキシム誘導体の比率は通常300g/lに達する。
【0145】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、成分(c)として、少なくとも1種の助剤を含有する。
【0146】
成分(c)は多数の色々な目的を果たすことができる。好適な助剤の選択は通常、当業者の要件によって行われる。
【0147】
例えば、助剤は次のものから選択される:
(c1)界面活性助剤;
(c2)懸濁剤、消泡剤、保持剤、pH緩衝化剤およびドリフト防止剤;
(c3)植物が利用する微量元素およびミネラル;
(c4)キレート剤;
(c5)溶媒または希釈剤。
【0148】
組成物の全重量に対する組成物(c)の比率は、もし存在する場合、一般的に10〜60重量%、好ましくは、15〜50重量%、そして特に20〜45重量%であることが有利である。
【0149】
用語「界面活性助剤」は、本明細書においては、界面活性または表面活性剤、例えば界面活性剤、分散剤、乳濁化剤または湿潤剤を意味する。
【0150】
アニオン性、カチオン性、両親媒性、および非イオン性界面活性剤を原則的に使用することができる。
【0151】
アニオン界面活性剤として、例えば、カルボン酸塩、特に、脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、例えば、通常石鹸とも呼ばれるステアリン酸カリウム;アシルグルタミン酸塩;ザルコシン酸塩、例えば、ラウロイルザルコシン酸ナトリウム;タウリン酸塩;メチルセルロース;リン酸アルキル、特に、一リン酸アルキルおよび二リン酸アルキル;硫酸エステル;スルホン酸塩、特にアルキルスルホン酸塩およびアルキルアリールスルホン酸塩、とりわけ、アリールスルホン酸、アルキル置換アリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、例えば、リグノスルホン酸およびフェノールスルホン酸、ナフタレンおよびジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、またはドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルメチルエステルスルホン酸塩、スルホン化ナフタレンおよびそれらの誘導体のホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタレンスルホン酸、フェノールおよび/またはフェノールスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物またはホルムアルデヒドおよび尿素との縮合生成物、またはモノアルキルもしくはジアルキルスルホコハク酸エステル;ならびにタンパク質加水分解物およびリグニン亜硫酸廃液が挙げられる。以上記載したスルホン酸は、その中性塩または、もし適当であれば、塩基性塩の形で使用するのが有利である。
【0152】
カチオン界面活性剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、特にハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムアルキル硫酸塩、およびジアルキルジメチルアンモニウムアルキル硫酸塩、ならびにピリジンおよびイミダゾリン誘導体、特に、ハロゲン化アルキルピリジニウムが挙げられる。
【0153】
非イオン界面活性剤としては、特に次が挙げられる:
-アルキルアリールアルコキシレート、特にアルキルフェノールアルコキシレートおよびとりわけこれらのエトキシレート、例えば、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノール、トリブチルフェノールポリオキシエチレンエーテル;
-脂肪族アルコールポリオキシエチレンエステル、例えば、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルアセタート、
-アルコキシル化された動物性および/又は植物性脂肪および/又は油脂、例えばトウモロコシ油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、獣脂エトキシレート
-グリセロールエステル、例えば、モノステアリン酸グリセリル、
-脂肪アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレートおよび脂肪酸ジエタノールアミドアルコキシレート、特にそれらのエトキシレート、
-糖界面活性剤、特にソルビトールエステル、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタンなど)、およびエトキシル化カルボン酸および単または多官能アルコールのエステル、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびアルキル(ポリ)グリコシドおよびN-アルキルアグルコンアミド;
-アルキルメチルスルホキシド;
-アルキルジメチルホスフィンオキシド、例えば、テトラデシルジメチルホスフィンオキシド。
【0154】
-(AB)x、ABAおよびBAB型のジ-、トリ-およびマルチブロックポリマー、例えばポリスチレン-ブロック-ポリエチレンオキシド、およびABくし型ポリマー、例えばポリメタクリレートくし型ポリエチレンオキシド、および特にエチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマーまたはそれらの末端キャップされた誘導体。
【0155】
両性界面活性剤としては、例えば、スルホベタイン、カルボキシベタインおよびアルキルジメチルアミンオキシド、例えば、テトラジデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
【0156】
例として本発明に記載することができるさらなる界面活性剤は、過フッ素化界面活性剤、シリコーン界面活性剤、リン脂質、例えば、レシチン又は化学修飾したレシチン、アミノ酸界面活性剤、例えば、N-ラウロイルグルタミン酸、および界面活性ホモポリマーおよび共重合体、例えば、ポリビニルピロリドン、その塩の形態でのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、無水マレイン酸-イソブテン共重合体およびビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体である。
【0157】
組成物の全重量に対する成分(c1)の比率は、もし存在すれば、一般的に、20重量%以下、好ましくは15重量%以下、とりわけ10重量%以下、そして特に5重量%以下である。
【0158】
懸濁剤は特に懸濁濃縮物用に用いることができる。これらはとりわけレオロジー的安定化のために使用される。特にこの関係で無機製品については、例えばベントナイト、タルサイトおよびヘクトライトが挙げられる。
【0159】
消泡剤としては、特にシリコーン型のもの、例えば、Wacker社販売のSilicone SLなどが挙げられる。
【0160】
植物が利用する微量元素およびミネラルとしては、特に無機アンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムまたはリン酸アンモニウム、または植物が利用する他の微量元素もしくはミネラル、特に硝酸アンモニア肥料顆粒および/または尿素が挙げられる。これらは、本発明による組成物中に、例えば、水性濃縮物および、もし適当であれば、混合濃縮物、例えば、Ensol溶液として導入することができる。
【0161】
組成物の全重量に対する成分(c3)の比率は、もし存在すれば、一般的に、0.1〜35重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。
【0162】
好ましいキレート化剤は、重金属そして特に遷移金属を錯体化する化合物、例えばEDTAおよびその誘導体である。
【0163】
組成物の全重量に対する成分(c4)の比率は、もし存在すれば、一般的に、0.001〜0.5重量%、好ましくは0.005〜0.2重量%そして特に0.01〜0.1%である。
【0164】
組成物は、組成物の可溶成分の溶媒または不溶成分の希釈剤を含有してもよい。
【0165】
鉱油、合成油、植物性油又は動物性油、および低分子量の親水性溶媒、例えば、アルコール、エーテル、ケトンを、原則として利用することができる。
【0166】
従って、第1に、とりわけ、中〜高沸点の鉱油留分などの非プロトン性又は無極性の溶媒もしくは希釈液としては、例えば、例えば灯油およびディーゼル油、さらにコールタール油、炭化水素、パラフィン油、例えば、n-アルカン系列もしくはイソアルカン系列のC8〜C30炭化水素もしくはそれらの混合物、または場合によっては水素化又は部分水素化されたベンゼン又はナフタレン系列の芳香族またはアルキル芳香族、例えば、芳香族まは脂環式C7-C18炭化水素化合物、脂肪族または芳香族カルボン酸エステルもしくはジカルボン酸エステル、または、植物または動物起源の脂肪もしくは油、例えば純正な形態でのまたは混合物としてのモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド、例えば、天然物質の油性抽出物の形態での、例えばオリーブ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ゴマ油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、亜麻仁油、扁桃油、ヒマシ油、サフラワー油、およびそれらのラフィネート、例えばそれらの水素化または部分水素化した生成物、および/またはそれらのエステル、特に、メチルおよびエチルエステルが挙げられる。
【0167】
n-アルカン系列またはイソアルカン系列のC8〜C30炭化水素の例は、n-オクタン、n-デカン、n-ヘキサデカン、n-オクタデカン、n-イコサン、イソオクタン、イソデカン、イソヘキサデカン、イソオクタデカン、およびイソイコサン、ならびに好ましくは炭化水素混合物、例えば液体パラフィン(工業級液体パラフィンは、およそ約5%までの芳香族を含有しうる)、およびTexacoからSpraytex oilの名称で市販されているC18-C24混合物である。
【0168】
芳香族または脂環式のC7〜C18炭化水素化合物には、特に、アルキル芳香族系列の芳香族または脂環式の溶媒が含まれる。上記の化合物は、水素化されていなくても、部分的に水素化または完全に水素化されていてもよい。上記溶媒には、特に、モノ-、ジ-またはトリアルキルベンゼン、1、2もしくは3個のアルキル基により置換されたテトラリンおよび/または1、2、3もしくは4個のアルキル基により置換されたナフタレン(アルキルはC1-C6アルキルが好ましい)が含まれる。上記溶媒の例として、トルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、および混合物、例えば、ExxonよりShellsolおよびSolvessoの名称で販売されている製品、例えば、Solvesso100、150、および200が挙げられる。
【0169】
好適なモノカルボン酸エステルの例は、オレイン酸エステル、特に、オレイン酸メチルおよびオレイン酸エチル、ラウリン酸エステル、特に、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸オクチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エステル、特に、パルミチン酸2-エチルヘキシルおよびパルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エステル、特に、ステアリン酸n-ブチル、および2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシルである。
【0170】
好適なジカルボン酸エステルの例は、アジピン酸エステル、特に、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジ(n-ブチル)、アジピン酸ジ(n-オクチル)、アジピン酸ジ(イソオクチル)(もしくはアジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)とも記載される)、アジピン酸ジ(n-ノニル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジトリデシル;コハク酸エステル、特に、コハク酸ジ(n-オクチル)およびコハク酸ジ(イソオクチル)、およびシクロヘキサン1,2-ジカルボン酸ジ(イソノニル)である。
【0171】
組成物の全重量に対する上記非プロトン性溶媒または希釈液の比率は、一般的に、30重量%未満、好ましくは20重量%未満、そして特に5重量%未満である。
【0172】
第2に、プロトン性または極性溶媒もしくは希釈液としては、例えば、水、C2-C8モノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、シクロヘキサノールおよび2-エチルヘキサノール、C3-C8ケトン、例えばジエチルケトン、t-ブチルメチルケトン、およびシクロヘキサノン、および非プロトン性アミン、例えば、N-メチルピロリドンおよびN-オクチルピロリドンが挙げられる。
【0173】
組成物の全重量に対する上記プロトン性または極性溶媒または希釈液の比率は、本発明によれば低く保たれ、一般的に、20重量%未満、好ましくは15重量%未満、そして特に10重量%未満である。
【0174】
特定の実施形態によれば、本発明は、
(a) 少なくとも1種の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体、好ましくは
N-フェニルアセチル-2-ジフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムまたは
N-フェニルアセチル-2-トリフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムの2〜35重量%、および、もし適当であれば、メトラフェノン、エポキシコナゾールもしくはピラクロストロビン、または2もしくは3種のこれらの活性化合物の混合物の5〜25重量%;ならびに
(b) 少なくとも1種のアルコールアルコキシレート、好ましくはアルコキシル化されたC10またはC13オキソアルコールの5〜40重量%
(c) 1種以上の助剤の15〜45重量%
を含有する組成物に関する。
【0175】
本発明による組成物は、公知の方法で調製することができる。この目的のためには、少なくとも数種の成分を一緒に混合する。この関係で、色々な成分に寄与しうる構成要素を含有する製品、特に市販製品を利用できることが観察されうる。例えば、ある特定の界面活性物質を非プロトン性溶媒中に溶解すると、この物質は本発明による成分(c1)および成分(c5)に寄与することができる。混合物として組み合わせた製品を、次いで、一般的に、一緒に集中的に混合してもよく、もし必要であれば、例えば、懸濁液の場合、粉砕してもよい。
【0176】
混合は、本質的に公知の方法で、例えば好適な装置、例えばKPG攪拌機または電磁攪拌機を用いてホモジナイズすることにより実施する。
【0177】
本発明はまた、本発明による組成物の、先に記載した施用可能性における使用にも関する。
【0178】
組成物は、公知の方法で、例えば、スプレー、アトマイズ、ダスティング、広域散布または散水により施用することができる。この目的のためには、第1にスプレー混合物を調製し、次いで、例えば、できるだけ微細に分布するノズルを有する移動性スプレーを用いて施用することが必要でありうる。このための通常の装置および作業技術は当業者にとって公知である。
【0179】
スプレー混合物は、通常、0.0001〜10、好ましくは0.001〜5そして特に0.002〜2.0重量%の活性化合物成分(a)を含有する。汎用のスプレー混合物を調製するために、例えば0.2〜5.0、好ましくは0.3〜3.0そして特に0.35〜2.0 lの本発明による成分(a)を含有する活性化合物濃縮物を、水を用いて10〜2000 lに、好ましくは50〜1500 lに、そして特に100〜1000 lに希釈することができる。もし適当であれば、0.1重量%〜5重量%(スプレー混合物に基づいて)の助剤をスプレー混合物に加えてもよい。かかる助剤として材料の例として、デンプンおよびデンプン誘導体、例えば、カルボキシルおよびスルホ基を含有するデンプン(Nuフィルム、販売元Union Carbide Corp.)、および展着剤(spreader and extender)、例えば、Miller Chemical & Fertilizer Corp.から販売されるVapor Guardが挙げられる。
【0180】
本明細書において、量は一般的に、特に断らない限り、組成物の全重量に対する量を意味する。本発明によれば、表現「本質的に」は一般的に少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、そして特に少なくとも98%の百分比を示す。
【0181】
本明細書において、アルキル、アルコキシなどの用語は、好ましくは、特に断らない限り、1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝の炭化水素基、一般的に5〜30個、好ましくは8〜20個、そして特に9〜16個の炭素原子を有する上記脂肪族基、および、例えば芳香族基の置換基としての一般的に1〜10、特に1〜6個そして特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するより短い基を含む。
【0182】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、好ましくは、特に断らない限り、2〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝のモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-またはヘキサ不飽和炭化水素基、一般的に5〜30個、好ましくは8〜20個、そして特に9〜16個の炭素原子を有する上記脂肪族基、および、例えば芳香族基の置換基としての一般的に2〜10、特に2〜6個そして特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有するより短い基を表す。この意味では、モノまたはポリ不飽和脂肪酸の基が挙げられる。
【0183】
用語「ハロゲン」は好ましくはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素そしてとりわけ塩素を表す。
【0184】
例えば:
C1-C4-アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピルまたは1,1-ジメチルエチル、特にメチルまたはエチルを表し;
C5-C40-アルキルは、ラウリル、ステアリルまたはセチルを表し;
C1-C4-ハロアルキルは、部分的にまたは完全にフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素により置換された上記C1-C4-アルキル、例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-フルオロプロピルまたは3-フルオロプロピル、2-クロロプロピルまたは3-クロロプロピル、特に2-フルオロエチルまたは2-クロロエチルを表し;
シアノ-C1-C4-アルキルは、シアノメチル、1-シアノ-エタ-1-イル、2-シアノ-エタ-1-イル、1-シアノ-プロパ-1-イル、2-シアノ-プロパ-1-イル、3-シアノ-プロパ-1-イル、1-シアノ-プロパ-2-イル、2-シアノ-プロパ-2-イル、そして特にシアノメチルまたは2-シアノエチルを表し;
C1-C4-アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ、n-ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシまたは1,1-ジメチルエトキシ、特にメトキシまたはエトキシを表し;
C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキルは、上記C1-C4-アルコキシにより置換されたC1-C4-アルキル、従って、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、n-プロポキシメチル、(1-メチルエトキシ)メチル、n-ブトキシメチル、(1-メチルプロポキシ)メチル、(2-メチルプロポキシ)メチル、(1,1-ジメチルエトキシ)メチル、2-(メトキシ)エチルまたは2-(エトキシ)エチル、特にメトキシメチルまたは2-メトキシエチルを表し;
C2-C6-アルケニルは、例えば、エテニル、プロパ-2-エン-1-イル、n-ブテン-4-イル、1-メチルプロパ-2-エン-1-イル、2-メチルプロパ-2-エン-1-イル、または2-ブテン-1-イル、特にプロパ-2-エン-1-イルを表し;
C3-C6-ハロアルケニルは、部分的にまたは完全にフッ素、塩素、および/または臭素により置換された上記C3-C6-アルケニル、例えば2-クロロアリル、3-クロロアリル、2,3-ジクロロアリルまたは3,3-ジクロロアリル、特に2-クロロアリルを表し;
C2-C6-アルキニルは、例えば、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル、n-ブタ-1-イン-1-イル、n-ブタ-1-イン-3-イル、n-ブタ-1-イン-4-イルまたはn-ブタ-2-イン-1-イル、特にプロパ-2-イン-1-イルを表し;
C3-C8-シクロアルキル-C1-C4-アルキルは、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、(シクロプロピル)エチル、1-(シクロブチル)エチル、1-(シクロペンチル)エチル、1-(シクロヘキシル)エチル、1-(シクロへプチル)エチル、1-(シクロオクチル)エチル、2-(シクロプロピル)エチルまたは2-(シクロブチル)エチル、特にシクロペンチルメチルを表し;
フェニル-C1-C6-アルキルは、例えば、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロパ-1-イル、2-フェニルプロパ-1-イル、3-フェニルプロパ-1-イル、特にベンジルまたは2-フェニルエチルを表し;
チエニル-C1-C4-アルキルは、例えば、2-チエニルメチル、3-チエニルメチルまたは2-チエニルエチルを表し;
ピラゾリル-C1-C4-アルキルは、例えば、1-ピラゾリルメチル、2-ピラゾリルメチル、3-ピラゾリルメチルまたは2-ピラゾリルエチルを表す。
【実施例】
【0185】
本発明を、次の実施例によりさらに詳しく説明する。
【0186】
実施例1:生物学的活性(コムギのウドンコ病の治療防除)
鉢植えした栽培種「Kanzler」のコムギ実生の葉に、2枚葉の段階でコムギのウドンコ病(Erysiphe [syn. Blumeria] graminis forma specilis tritici)の胞子を散布し、温室中で平均20%の前感染まで育てた。次いで植物に、活性化合物および下記のアジュバントを含有する水性懸濁液または乳濁化液をスプレーした。上記懸濁液または乳濁化液は、85%シクロヘキサノンおよび5%乳濁化剤から成る混合物中に10%活性化合物を有するストック溶液から調製した。スプレーコーティングが乾燥した後に、植物を再び温室に戻した。試験植物を20〜24℃の温度および大気相対湿度60〜90%の温室中においた。施用後20〜30日に、ウドンコ病の発生程度を目視により全葉面積の%感染で測定した。
【表1】

【0187】
使用したアルコールアルコキシレートが活性化合物または活性化合物混合物の殺真菌作用を増加することは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1) 少なくとも1種の式(I):
【化1】

[式中、置換基は次の意味を有する:
R1はジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルであり;
R2は水素またはフッ素であり;
R3は、シアノにより置換されていてもよいC1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシ-C1-C4-アルキル、C3-C6-アルケニル、C3-C6-ハロアルケニル、C3-C6-アルキニルまたはC3-C8-シクロアルキル-C1-C4-アルキルであり;
R4は、フェニル環上にハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1以上の置換基を有していてもよいフェニル-C1-C6-アルキル;または
チエニル環上にハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1以上の置換基を有していてもよいチエニル-C1-C4-アルキル;または
ピラゾリル環上にハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシおよびC1-C4-ハロアルコキシから選択される1以上の置換基を有していてもよいピラゾリル-C1-C4-アルキルである]で表されるベンズアミドオキシム誘導体、
(b1) 少なくとも1種のアルコキシル化されたアルコール、
を含んでなる組成物であって、成分(b1)の成分(a1)に対する重量比が少なくとも0.5である上記組成物。
【請求項2】
組成物の全重量に対する成分(b1)の比率が成分(a1)の比率より大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アルコールが、5〜30、好ましくは8〜20、そして特に9〜15個の炭素原子を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
アルコキシル化度が1〜100、好ましくは1〜25、特に2〜15、そして特に好ましくは3〜12である、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
アルコキシル化されたアルコールが式(II):
R6-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-(CpH2pO)z-H (II)
[式中、R6は、C5-C30-アルキルまたはC5-C30-アルケニルであり;
m、n、pは、互いに独立して、2〜16、好ましくは2、3、4または5の整数であり;
x、y、zは、互いに独立して、0〜100の数であり;そして
x+y+zは、1〜100の値である]
のアルコールアルコキシレートから選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
m=2であり、xの値が0より大きくそしてz=0である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
yが0である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
yが0より大きい、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
n=3である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
x対yの比が1:1〜4:1そして特に1.5:1〜3:1である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
n=5である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
xの値が1〜50そして好ましくは4〜25であり、そしてyの値が0.5〜20、好ましくは0.5〜4そして特に0.5〜2である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
n=2であり、yおよびxの値がそれぞれ0より大きくそしてz=0である、請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
m=3である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
x対yの比が1:10〜3:1そして特に1.5:1〜1:6である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
m=5である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
xの値が0.5〜20、好ましくは0.5〜4そして特に0.5〜2であり、そしてyの値が3〜50そして好ましくは4〜25である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
アルコールが2-プロピルへプタノールである、請求項5〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
アルコールがC13オキソアルコールである、請求項5〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
C13オキソアルコールが、ヒドロホルミル化した3量体ブテンの水素化により得られたものである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
C13オキソアルコールが、ヒドロホルミル化した2量体ヘキセンの水素化により得られたものである、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
アルコールがC10オキソアルコールである、請求項5〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
C10オキソアルコールが、ヒドロホルミル化した3量体プロペンの水素化により得られたものである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
ベンズアミドオキシム誘導体が式Ia:
【化2】

[式中、R1は先に定義した通りであり;
R5は水素、ハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-ハロアルキル、C1-C4-アルコキシまたはC1-C4-ハロアルコキシであり;そして
nは1、2または3である]
で表される、先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
ベンズアミドオキシム誘導体がN-フェニルアセチル-2-ジフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムまたはN-フェニルアセチル-2-トリフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
(a2)少なくとも1種のさらなる殺真菌剤
を含有する先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
さらなる殺真菌剤がメトラフェノン、エポキシコナゾールおよびピラクォストロビンから選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
(c)さらなる助剤
を含有する先行する請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
(a)少なくとも1種の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体、好ましくは
N-フェニルアセチル-2-ジフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムまたはN-フェニルアセチル-2-トリフルオロメトキシ-5,6-ジフルオロベンズアミド(O-シクロプロピルメチル)オキシムの2〜35重量%;および、もし適当であれば、メトラフェノン、エポキシコナゾールもしくはピラクロストロビン、または2もしくは3種のこれらの活性化合物の混合物の5〜25重量%;および
(b) 少なくとも1種のアルコールアルコキシレート、好ましくはアルコキシル化されたC10もしくはC13オキソアルコールの5〜40重量%
(c) 1種以上の助剤の15〜45重量%
を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
少なくとも2つの容器を有するキットであって、
(a1)第1の容器は、少なくとも1種の式(I)のベンズアミドオキシム誘導体を含有し、上記ベンズアミドオキシム誘導体は先行する請求項のいずれか1項に規定されており;そして
(b1)第2の容器は、少なくとも1種のアルコキシル化されたアルコールを含有し、上記アルコキシル化されたアルコールは先行する請求項のいずれか1項に規定されている、上記キット。
【請求項31】
式(I)のベンズアミドオキシム誘導体の殺真菌作用を改善するためのアルコキシル化されたアルコールの使用であって、上記式(I)のベンズアミドオキシム誘導体は先行する請求項のいずれか1項に規定されている、上記使用。
【請求項32】
アルコールアルコキシレート対ベンズアミドオキシムの施用量の比が0.5:1〜100:1、好ましくは1:1〜50:1、特に1:1〜20:1の範囲にあることを特徴とする、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
施用するアルコールアルコキシレートの量が施用するベンズアミドオキシム誘導体の量より大きいことを特徴とする、請求項31または32に記載の使用。

【公表番号】特表2007−502261(P2007−502261A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523000(P2006−523000)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009122
【国際公開番号】WO2005/015998
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】