説明

アルミニウム合金発泡体およびその製造方法

【課題】高張力鋼板製の衝撃エネルギ吸収部材に代替できるアルミニウム合金発泡体を提供することである。
【解決手段】エネルギ吸収部材として用いられるアルミニウム合金発泡体が、Zn:1.0〜20.0%、Ca:0.1〜4.0%、Ti:0.1〜4.0%、Mg:0.3〜5.0%、を各々含有するとともに、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を発泡させてなり、発泡体の平均発泡径が5mm以下および相対密度が0.1以上であり、発泡セル壁の平均硬さが90Hv以上であることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の構造部材など、衝突時に圧縮の衝撃荷重を受けた際に変形して衝撃エネルギを吸収する、衝撃エネルギ吸収部材として用いられるアルミニウム合金発泡体およびその製造方法に関するものである。なお、アルミニウム合金発泡体を、以下、発泡アルミニウムとも言う。
【背景技術】
【0002】
上記したような衝撃エネルギ吸収部材(クラッシュボックス)として、通常、自動車の構造部材には、閉断面を有する鋼製の中空部材が汎用されている。鋼製の中空部材は、軸方向や断面方向の圧縮の衝撃入力を受けると潰れ変形して、その衝撃エネルギを吸収する。この際、限られた変形量で、より大きなエネルギを吸収可能とするには、部材の寸法や肉厚を大きくすることが有効である。しかし、これは鋼製中空部材の体積や重量の増加を招いてしまい、燃費が悪化したり車両同士の衝突時における相手車両に与えるダメージが大きくなったりして好ましくない。また、軟鋼板に代わって、高強度鋼板(ハイテン)を使用して、鋼製中空部材の体積や重量の増加を抑制することも実際に行なわれているが、高強度鋼板は成形性が劣るため、部材形状が制約を受けることや、成形工程が増加することといった不都合がある。
【0003】
これに対して、近年では、これら衝撃エネルギ吸収部材として、リサイクル性の良好な発泡アルミニウムなどの発泡金属が注目されている。このクラッシュボックスは、発泡アルミニウムを角柱状の形状としたものである。そして、この角柱軸芯方向を衝突方向に一致させるように配置し、衝突時に圧縮応力を受けて圧壊することにより衝突エネルギを吸収し、乗員や構造体への衝撃を減少させるようにしたものである。
【0004】
このような発泡アルミニウムを用いたクラッシュボックスへの適用例としては、自動車車体のサイドメンバなどの構造部材として、断面形状が略円形状あるいは多角形状をなす鋼製の管体の中空部に、発泡アルミニウムを充填したものが知られている(特許文献1、2、3、4、5参照)。
【0005】
これは、一定の反力を示しつつ圧縮変形する発泡アルミニウムの特性を利用したものであって、管体の圧縮変形を制御することによって、衝撃エネルギの吸収能を高めることが可能になる。
【0006】
更に、発泡アルミニウム自体の衝撃エネルギ吸収能を高めるために、アルミニウム組成として、重量%で、Cu:0.1〜7%、Ca:0.2〜5%、Zn:0.1〜10%、Mg:0.1〜20%、Ti:0.1〜5%からなる群の1種又は2種以上を含み、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金が、相対密度が0.20以下、平均気泡粒径が3.7mm以下とともに提案されている(特許文献6、7参照)。
【特許文献1】特開平8−164869号公報 (特許請求の範囲、図1)
【特許文献2】特開平11−59298号公報 (特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】特開2003−19977号公報 (特許請求の範囲、図1)
【特許文献4】特開2003−28224号公報 (特許請求の範囲、図1)
【特許文献5】特開2004−108541号公報 (特許請求の範囲、図1)
【特許文献6】特開平11−302765号公報 (特許請求の範囲、図1)
【特許文献7】特開2000−328155号公報 (特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記したような鋼製の管体や中空部材の中空部に発泡アルミニウムを充填したタイプのクラッシュボックスは、その皮材としての鋼製の管体や中空部材によって、初期瞬間応力、即ち、荷重−変位関係(特性)における最大荷重が高くなるとともに、プラトー応力(圧縮変形の際の圧縮応力)の安定性にも欠けるという問題がある。このため、実際問題として、発泡アルミニウム自体の衝撃エネルギ吸収性を活かし得ていない。
【0008】
即ち、前記したような従来の発泡アルミニウムでは、近年益々高くなっている、衝撃エネルギ吸収部材としての上記要求エネルギ吸収量に対応できていない。このため、発泡アルミニウム製構造部材は、軽量化の利点があっても、自動車などの高張力鋼板製の構造部材には代替できていない。
【0009】
例えば、近年の自動車の衝突安全基準としては、従来の5mile/h 程度の低速衝突から、16km/h、64km/hなどの中高速衝突に対応できる車体前面構造が求められるようになっている。即ち、このような中高速衝突でも、低速衝突時と同様に、自動車車体の左右のサイドメンバなどの構造部材が、軸方向の圧壊変形による衝突エネルギ吸収ができる設計が必要になってきている。
【0010】
これに対して、現在、一般的に使用されている440MPa級高張力鋼板製のクラッシュボックスでは、クラッシュボックスが50%変形するまでに6.0kJ/kg程度のエネルギ吸収量がある。このため、発泡アルミニウムが、このような高張力鋼板製のクラッシュボックスに代替できるようにするためには、発泡アルミニウム単体クラッシュボックスとして、高張力鋼板製クラッシュボックスと同等の体積を有することを前提に、高張力鋼板製クラッシュボックスと同等か、それ以上のエネルギ吸収量が必要である。
【0011】
なお、高張力鋼板製クラッシュボックスと同等の体積を有しなければ、発泡アルミニウムを高張力鋼板製クラッシュボックスに代替する軽量化の利点が生じない。
【0012】
発泡アルミニウムの密度を上げれば、エネルギ吸収量も必然的に向上する。しかし、発泡アルミニウムの密度を上げれば、重量が増加し、発泡アルミニウムの大きな利点である前記軽量化効果が損なわれる。したがって、密度を上げずに(軽量化効果を損なわずに)エネルギ吸収量を向上させる、という難しい課題がエネルギ吸収部材として用いられるアルミニウム合金発泡体にはある。
【0013】
また、自動車の衝撃吸収部材としての用途を想定した場合、前記した変形におけるエネルギ吸収とともに、変形応力を一定以下に抑制することが望まれている。変形応力が上昇することは、人などの衝突物に対する衝撃が大きくなることを意味するからである。一般に、アルミニウム合金発泡体の変形の初期はプラトー領域となって、変形応力が一定以下となる。しかし、アルミニウム合金発泡体の変形の後期には、発泡体が緻密化して、変形応力(圧縮応力)が急激に上昇し(立ち上がり)、衝突物に対する衝撃が大きくなるという問題がある。このため、変形の後期まで、変形応力(圧縮応力)が上昇しない(立ち上がらない)プラトー領域を維持できれば、エネルギ吸収量を保ったまま、変形応力の急激な上昇を抑制することが可能となる。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、高張力鋼板製の衝撃エネルギ吸収部材に代替できるアルミニウム合金発泡体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するために、本発明のアルミニウム合金発泡体の要旨は、エネルギ吸収部材として用いられるアルミニウム合金発泡体であって、質量%で、Zn:1.0〜20.0%、Ca:0.1〜4.0%、Ti:0.1〜4.0%、Mg:0.3〜5.0%、を各々含有するとともに、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を発泡させてなり、発泡体の平均発泡径が5mm以下および相対密度が0.1以上であり、発泡セル壁の平均硬さが90Hv以上であることとする。
【0016】
また、この目的を達成するために、上記要旨あるいは後述する好ましい態様のアルミニウム合金発泡体を製造する本発明方法の要旨は、アルミニウム合金溶湯に対して、水素化チタンを添加して、650℃以下の発泡可能な温度で発泡させ、質量%で、Zn:1.0〜20.0%、Ca:0.1〜4.0%、Ti:0.1〜4.0%、Mg:0.3〜5.0%、を各々含有するとともに、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金発泡体を得、このアルミニウム合金発泡体を400℃以上の温度で溶体化処理後に水冷し、その後100〜150℃の温度範囲で熱処理を行なうことである。
【発明の効果】
【0017】
本発明者らは、先に、特願2004−277531号(平成16年9月24日出願)にて、エネルギ吸収部材として用いられる同じ成分組成のアルミニウム合金発泡体につき、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子が体積分率で1.0%以上分散した組織を有することを特徴として特許出願した。これは、上記粒径が0.5nm以上で、50nm以下の微細な析出物粒子のエネルギ吸収量向上効果が、これより粗大な析出物粒子よりも、格段に大きいことを知見したためである。
【0018】
このように、アルミニウム合金発泡体の組織中に、これら微細な析出物粒子をできるだけ多く、分散乃至存在させることで、アルミニウム合金発泡体のエネルギ吸収量を格段に高めることができる。そして、アルミニウム合金発泡体単体製クラッシュボックスのエネルギ吸収量を高めることができる。
【0019】
これに対して、本発明では、この微細な析出物粒子分散に加えて、上記要旨のように、アルミニウム合金発泡体の化学成分組成として、更に、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有させることによって、アルミニウム合金発泡体の密度を上げずに(軽量化効果を損なわずに)、曲げ剛性を向上でき、エネルギ吸収量を向上できることを知見した。
【0020】
これらCu、Mnを含有させた場合、上記した好ましい本発明製造条件における上記した溶体化処理および水冷処理、その後の熱処理によって、発泡体組織中に、Cu、Mnのナノレベル以下の微細なクラスター(原子構造レベルでの、結晶化する前の原子の集団)や析出物などが生成し、曲げ剛性を向上させるものと推考される。
【0021】
Cu、Mnを含有させなくても、上記アルミニウム合金発泡体の合金元素であるZn、Mgなどから構成されるナノレベル以下の微細なクラスター(原子構造レベルでの、結晶化する前の原子の集団)や析出物などが生成すると推考される。したがって、これらZn、Mg、およびCu、Mnの微細なクラスターの存在が、アルミニウム合金発泡体の密度を上げずに、曲げ剛性を向上させ、エネルギ吸収量を向上させる効果を発揮する。
【0022】
前記した従来のアルミニウム合金発泡体のエネルギ吸収量が低いのは、上記微細な析出物粒子が少ない、あるいは、この微細なクラスターが存在しないことにも一因がある。因みに、通常の発泡アルミニウムの製法では、発泡後の冷却は室温まで放冷するために、本発明における上記微細な析出物粒子はほとんど生成しない。また、通常の発泡アルミニウムの製法では、発泡後に溶体化および焼入れ処理を行なわないために、本発明における上記微細なクラスターはほとんど生成しない。
【0023】
このため、従来のアルミニウム合金発泡体は、これら微細な析出物粒子とクラスターとを合わせて生成させる本発明アルミニウム合金発泡体に比して、密度を上げずに、エネルギ吸収量を向上させることができない。
【0024】
このように、本発明のように、特定合金組成からなる発泡アルミニウムの上記微細な析出物粒子とクラスターとを増すためには、後述する通り、特別な製造方法が必要となる。そして、本発明によれば、高張力鋼板製の構造部材に代替可能な、高い衝撃エネルギ吸収量を達成できる、アルミニウム合金発泡体を提供できる。
【0025】
また、本発明によれば、変形の後期まで、変形応力(圧縮応力)が上昇しないプラトー領域を維持でき、エネルギ吸収量を保ったまま、変形応力の急激な上昇を抑制できるアルミニウム合金発泡体を提供できる。即ち、アルミニウム合金発泡体に荷重を負荷して変形させた際のプラトー領域の歪量が70%以上である、言い換えると、歪量が70%を越えても変形応力(圧縮応力)が立ち上がらない、人などの衝突物への安全性に優れた、アルミニウム合金発泡体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発泡体の相対密度)
本発明では、密度を上げずに(軽量化効果を損なわずに)、エネルギ吸収量を向上できる。しかし、そうは言っても、アルミニウム合金発泡体に必要なエネルギ吸収量を得るためには、発泡体がある程度の相対密度を有することが前提となる。
【0027】
この点、前記した、一般的な440MPa級高張力鋼板製クラッシュボックスの50%変形までのエネルギ吸収量、6.0kJ/kg以上のエネルギ吸収量を得るための目安として、発泡体(発泡)の相対密度を0.1g/cm3 以上とする。発泡体の相対密度が0.1g/cm3 未満では、本発明における上記微細な析出物粒子とクラスターとを合わせて有する組織としても、発泡径の粗大化が発生しやすく、アルミニウム合金発泡体の6.0kJ/kg以上の前記エネルギ吸収量が得られない可能性がある。
【0028】
ここで、発泡体の相対密度の上限は特に規定しないが、相対密度が高いほど重量が大きくなり、発泡体の利点である軽量化効果が損なわれ、自動車などの軽量化に対する寄与が小さくなる。ただ、用途によっては、軽量化効果よりも変形応力が高い方が要求される場合もある。この点、相対密度は1.0g/cm3 以下が好ましい。また、プラトー領域を70%以上とするには、発泡体における金属の体積分率を25%以下とする必要があり、金属部分の真密度がおよそ2. 7〜3. 0g/cm3 であることから、相対密度の上限は0. 75g/cm3 程度となる。特に軽量化の効果、プラトー領域の確保が要求される用途では0.60g/cm3 以下が好ましい。
【0029】
なお、この発泡体の相対密度は、合金組成や製造条件、設備条件などに応じて、発泡剤(TiH2 )の添加量を調整して制御する。この相対密度は、発泡体から50×50×50mm(125cm3 )の試料を切り出し、この試料の重量を測定して、水の相当体積125cm3 =125gで割って求める。
【0030】
(発泡の平均発泡径)
アルミニウム合金発泡体の前記エネルギ吸収量を得るためには、アルミニウム合金発泡体の発泡径(発泡あるいは気泡の粒径)は微細なほど好ましい。本発明における上記微細な析出物粒子とクラスターとを合わせて有する組織としても、平均発泡径(発泡の平均粒径)が粗大化した場合、アルミニウム合金発泡体の6.0kJ/kg以上の前記エネルギ吸収量が得られない可能性がある。
【0031】
その目安として、アルミニウム合金発泡体の平均発泡径を5mm以下とする。平均発泡径を5mm以下の微細な発泡とすることにより、発泡粒径の均一性が保障され、圧縮強度や衝撃吸収特性が向上する。一方、アルミニウム合金発泡体の平均発泡径が5mmを超えて粗大化した場合、圧縮強度や衝撃吸収特性が低下する可能性が高い。
【0032】
平均発泡径は、発泡アルミニウムの断面を観察して各発泡の粒径を測定する通常の断面測定法で、測定可能である。
【0033】
(発泡セル壁硬さ)
本発明では、密度を上げずに(重量を増加させずに)、エネルギ吸収量を向上させるために、アルミニウム合金発泡体の発泡セル壁の平均硬さを、ビッカース硬度で90Hv以上とする。これによって、アルミニウム合金発泡体の曲げ剛性を向上させ、6.0kJ/kg以上の前記エネルギ吸収量を得ることができる。この発泡セル壁の平均硬さが90Hv未満では、6.0kJ/kg以上の前記エネルギ吸収量を得るのが難しくなる。ただ、発泡セル壁が硬くなりすぎると、脆くなるので、発泡セル壁の平均硬さの上限の目安としては180Hv程度とし、発泡セル壁の平均硬さを、好ましくは90〜180Hvの範囲とする。
【0034】
(析出物粒子)
本発明では、密度を上げずに、エネルギ吸収量を向上させるために、アルミニウム合金発泡体の組織を、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子が体積分率で1.0%以上分散した組織とすることが好ましい。
【0035】
これら微細な析出物粒子の存在量が、体積分率で1.0%未満では、アルミニウム合金発泡体の前記エネルギ吸収量を6.0kJ/kg以上とすることが困難となる。この析出物粒子の体積分率につき、上限は、合金元素含有量や製造条件により自ずと決まるため、特に定めないが、10%程度が上限となる。
【0036】
この析出物粒子の主体は、合金元素であるZnやMg、あるいはCu、Mn由来の、MgZn2 、Mg2 Zn11を主体とするZn−Mg化合物若しくはZn単体、そしてCu系、Mn系化合物である。この析出物粒子としては、この他、Al、Ca、Ti化合物なども含まれる。これら析出物の元素は後述するTEM観察にて識別と定量化が可能である。
【0037】
一方、粒径が50nmを超える粗大な析出物粒子は、前記した通り、エネルギ吸収量向上効果が小さい。このため、このような粗大な析出物粒子が多くなっても、アルミニウム合金発泡体の前記エネルギ吸収量を6.0kJ/kg以上とすることが困難となる。また、粒径が0.5nm未満の析出物粒子は、後述する透過型電子顕微鏡によっても検出、測定が困難であり、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子に比べれば、やはりエネルギ吸収量向上効果が小さい。
【0038】
アルミニウム合金発泡体組織中の、これら析出物粒子の識別と定量化は、10万〜30万倍の透過型電子顕微鏡(TEM)にて、組織を観察して行なう。本発明では、1μm×1μm(1μm2 )のTEM視野内の組織中に存在する、各析出物粒子の最大直径を各析出物粒子の粒径d として測定する。そして、これら粒径d が0.5〜50nmの範囲内に入る析出物粒子全ての合計面積率を求め、この値を、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子の体積分率とする。勿論、再現性や発泡体組織の均一性を図るために、上記観察視野を、発泡体の各部位によって複数化しても良く、この場合の面積率や体積分率は、複数視野の測定結果を更に平均化したものとなる。
【0039】
したがって、本発明では、前記粒径d (最大直径)が0.5nm未満の析出物粒子や、粒径d が50nmを超える析出物粒子を、上記体積分率の測定対象とはしない。言い換えると、本発明では、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子が体積分率で1.0%以上分散した組織であれば、アルミニウム合金発泡体のエネルギ吸収量などの要求特性を阻害しない範囲で、粒径d が50nmを超える粗大な析出物粒子や、あるいは粒径d が0.5nm未満の析出物粒子の存在を許容する。
【0040】
(合金組成)
アルミニウム合金発泡体の、エネルギ吸収部材として必要強度やエネルギ吸収能などの特性を満たすとともに、発泡の均一性にも関わる、アルミニウム合金組成を以下に説明する。
【0041】
本発明において、発泡体アルミニウム合金の組成は、前記微細な析出物量を確保するために、また、前記エネルギ吸収量など、発泡体としての必要特性を満たすために、質量%で、Zn:1.0〜20.0%、Ca:0.1〜4.0%、Ti:0.1〜4.0%、Mg:0.3〜5.0%を各々含有するとともに、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるものとする。
【0042】
(Zn)
Znは、Zn単体で析出するほか、Mgと共存して、上記析出物粒子の主体であるZn−Mg化合物を形成する。また、クラスター形成による強度向上にも有効な元素でもある。更に、凝固収縮する作用があり、セル壁の一部に膜厚の薄い部分を形成させ、圧縮変形能を高める作用がある。これらの作用を発揮させるためには、1.0%以上の含有が必要である。しかし、20.0%を超えて過度に含有すると、粗大なZn−Mg化合物を形成し、却って、エネルギ吸収量を低下させる。また、発泡アルミニウムの気泡粒径の安定化を阻害し、気泡が粗くなってしまい、圧縮強度を低下させる。従って、Znの含有量は1.0〜20.0%の範囲とする。
【0043】
(Mg)
Mgは、Znと共存して、上記析出物粒子の主体であるZn−Mg化合物を形成する。また、クラスター形成による強度向上に有効な元素であり、更に、Znと共同して発泡アルミニウムの製造時に、溶湯の粘性を増加させ、かつ気泡を安定化させて、発泡体を均質にする作用を有する。その効果を得るためには、Mgを少なくとも0.3%以上含有する必要がある。一方、5.0%を超えて過度に含有すると、粗大なZn−Mg化合物を形成し、却って、エネルギ吸収量を低下させる。また、溶湯の粘性を過度に高め、溶湯の流動性を著しく低下させ、発泡剤の分散が困難となり、却って、発泡の微細化、均一性が阻害され、圧縮強度を低下させる。したがって、Mg含有量は0.3〜5.0%の範囲とする。
【0044】
(Ca)
Caは、発泡アルミニウムの製造時におけるアルミニウム合金溶湯の粘性を増加させ、かつ気泡を安定化させて、発泡体を均質にするとともに、発泡の微細化、均一性を達成するための、発泡作用を有する。その効果を得るためには、少なくとも0.1%以上の含有が必要である。一方、4.0%を超えて過度に含有すると、Cu、Mnの存在下では、溶湯の粘性を過度に高め、溶湯の流動性を著しく低下させ、発泡剤の分散が困難となり、却って、発泡の微細化、均一性が阻害され、圧縮強度を低下させる。従って、Caの含有量は0.1〜4.0%の範囲とする。
【0045】
(Ti)
Tiは、発泡アルミニウムの強度向上に有効な元素である。その効果を引き出すためには、少なくとも0.1%以上の含有が必要である。一方、4.0%を超えて過度に含有すると、Cu、Mnの存在下では、溶湯の流動性を低下させ、晶出することにより、アルミニウムを脆くする。したがって、Tiの含有量は0.1〜4.0%の範囲とする。
【0046】
(Cu、Mn)
Cu、Mnは、アルミニウム合金発泡体の発泡セル壁の平均硬さを90Hv以上とし、発泡体の曲げ剛性を向上させるための元素である。Cu、Mnの含有効果は、前記した通り、好ましい本発明製造条件における溶体化処理および熱処理によって、発泡体組織中に、Cu、Mnのナノレベル以下の微細なクラスターや析出物などを生成させるゆえと推考される。この効果を発揮させるためには、Cuを0.1%以上、および/またはMnを0.1%以上、含有させる。一方、Cu、Mnの含有量が5.0%を越えた場合、溶湯の流動性を低下させ、発泡過程での発泡粒径の均一性を阻害する可能性が高い。このため、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%の1種または2種を含有させる。
【0047】
この他の元素は不純物であり、含有量が極力少ない方が好ましい。ただ、この他の元素の含有量を下げるための溶解、精錬など、発泡アルミニウム製造上のコストの問題もあり、発泡アルミニウムの特性を低下させない、通常の発泡アルミニウムにおける不純物量範囲、不純物レベルでの含有は許容する。
【0048】
(製造条件)
次に、本発明発泡アルミニウムを製造するための、好ましい製造条件について以下に説明する。本発明では、発泡アルミニウムの製造工程自体は、従来と同様である。
【0049】
但し、前記した通り、特定合金組成からなる発泡アルミニウムの発泡粒径を、平均粒径として微細気泡化した上で、本発明規定の組織とするためには、後述する通り、アルミニウム合金発泡体を得た後、このアルミニウム合金発泡体を400℃以上の温度で溶体化処理後に水冷し、100℃以上の温度で熱処理 (時効処理) を行なう必要がある。
【0050】
先ず、溶解炉内で、工業用純アルミニウムに対し、上記Zn:1.0〜20.0%、Mg:0.3〜5.0%、Ti:0.1〜4.0%、およびCu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%の1種または2種などの合金成分元素と、カルシウム0.1〜4.0%を添加し、大気中で溶湯を例えば約5分程度攪拌して増粘させる。
【0051】
そして、この増粘後の溶湯を600〜700℃の大気溶解炉中の鋳型に注湯した後、水素化チタンを所定量添加する。その後、例えば1〜10分間攪拌した後、攪拌機を取り除き、大気溶解炉中の鋳型内で、650℃以下の発泡可能な温度で発泡させ、1〜10分間程度保持して発泡を完了させる。
【0052】
Cu、Mnを含む本発明合金組成では、Cu、Mnを含まない組成に比して、発泡温度を比較的低くし、650℃以下の発泡可能な温度とする。この発泡温度が650℃を越えて高過ぎると、Cu、Mnを含む本発明合金組成では、アルミニウム合金発泡体の発泡径が粗大化し、エネルギ吸収量が低くなる。発泡可能な下限温度は、組成にもよるが、概ね600℃程度である。
【0053】
従来は、この保持後に、炉から鋳型を出し、室温まで放冷したままで製品化するために、必然的に析出物粒子がほとんど析出せず、組織中に前記微細な析出物粒子を必要量分散させることができない。また、発泡のセル壁の硬さが低くならざるを得ない。
【0054】
これに対して、本発明では、炉から鋳型を出し、室温まで放冷した後(発泡体を得た後)、このアルミニウム合金発泡体を400℃以上の温度で溶体化処理後に水冷し、100〜150℃の温度範囲で熱処理 (時効処理) を行なう。
【0055】
(溶体化処理)
溶体化処理は400℃以上の温度とする。この温度が400℃未満と低過ぎると、溶体化処理効果が無く、溶体化処理をしない場合と同様となり、アルミニウム合金発泡体組織に、微細なクラスターを存在させることができない。このため、後述する熱処理を行なわなければ、微細な析出物粒子も存在させることができずに、従来のアルミニウム合金発泡体と同じとなる。
【0056】
この溶体化処理後は水冷によって、急冷(強制冷却)する。溶体化処理後に空冷あるいは放冷した場合には、冷却速度が小さ過ぎるため、冷却途中で析出するMgZn2 、Mg2 Zn11を主体とするZn−Mg化合物析出物が粗大化する。このため、組織中に、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子を体積分率で1.0%以上分散させることができない。また、発泡のセル壁の硬さも低下する。
【0057】
(熱処理)
溶体化処理および水冷後に、100℃以上の温度で保持する熱処理(時効処理)を行なう。保持時間は、この温度範囲で3時間以上、100時間程度以下程度保持する。熱処理温度の上限は150℃とする。
【0058】
この熱処理は、上記水冷を室温まで行なってから再加熱しても良く、また、上記水冷を100〜150℃の温度範囲で停止して、その後、100〜150℃の温度範囲で保持しても良い。
【0059】
このような、比較的低温、かつ長時間の熱処理を行なうことによって、組織中に、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子を体積分率で1.0%以上分散させることができる。また、発泡のセル壁の硬さを向上させることができる。
【0060】
勿論、成分組成その他の条件にもよるが、この保持温度が低過ぎても、保持時間が短過ぎても、上記熱処理による効果が無くなる。一方、保持温度が高過ぎても、あるいは保持時間が長過ぎても、析出物粒子を却って粗大化させる。
【0061】
このような冷却後に、鋳型から発泡体を取り出し、機械加工して、角柱や角形など、所望形状の製品アルミニウム合金発泡体とする。
【実施例】
【0062】
以下に本発明の実施例を説明する。表2に示す発泡後の熱処理条件を変えて、表1に示す各化学成分組成のアルミニウム合金発泡体を製造した。これら発泡体の特性として、平均発泡径、相対密度、セル壁硬さ、析出物の体積分率、を各々調査した。また、発泡体の性能として、50%エネルギ吸収量とプラトー領域の歪量を評価した。
【0063】
具体的には、先ず、溶解炉内で、工業用純アルミニウムに対し、Zn、Mg、Ca、Cu、Mnなどの合金成分元素を添加し、大気中で溶湯を約5分程度攪拌して増粘させた。そして、この増粘後の溶湯を、約700℃の大気溶解炉中の鋳型に注湯した後、水素化チタンをTiとして0.1〜5.0%程度添加した。その後、約2分間攪拌した後、攪拌機を取り除き、鋳型を前記大気溶解炉内で、表2に示す各発泡温度で、約4分間程度保持して発泡を完了させた。
【0064】
この保持後に、炉から鋳型を出し、室温まで放冷した。そして、これら各発泡体を、表2に示す条件で、溶体化処理および熱処理を行なった。その後、これら各発泡体から試料を採取して、組織や特性、性能の調査を以下の通り、各々行なった。
【0065】
(平均発泡径、発泡セル壁硬さ)
上記試料の平均発泡径を前記した断面測定法により測定し、これら試料の相対密度も前記した方法で求めた。そして、これら試料の発泡セル壁の硬さも、マイクロビッカース硬度計にて、50gの荷重を加えて5箇所行い、それらの平均値として各々求めた。
【0066】
(析出物)
試料の前処理として、上記試料の発泡セルの一部から、Φ3mmの薄膜試料を切り出し、この試料を、硝酸による化学研磨および機械研磨により200μmまで薄くした後、硝酸アルコール液による電解研磨による更なる薄膜化を行った。これを明視野法によるTEM観察で、前記した方法で、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子の体積分率を測定した。測定部位は5箇所とし、体積分率はその平均とした。
【0067】
(エネルギ吸収量)
前記アルミニウム合金発泡体から、機械加工にて、高さ50mm×幅50mm×長さ50mmの試料を切り出し、インストロン社製万能圧縮試験機を用いて、発泡体の長手方向に静的に圧縮試験した際の50%エネルギ吸収量を求めた。また、この際の、変形応力が上昇しないプラトー領域の歪量を以下の通り求めた。荷重の負荷を開始すると、歪量5%程度で変形応力が安定するプラトー領域となるため、歪量10%から50%における変形応力を平均し、変形応力がこの平均値の2割増となった点を、上記プラトー領域の歪量とした。これらの結果も表2に示す。
【0068】
表1、2から明らかな通り、本発明組成内のアルミニウム合金A〜Eである発明例1〜5は、表2に示す適正条件で、溶体化処理および水冷による冷却、その後の熱処理を行なっている。この結果、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子が体積分率で1.0%以上分散した組織となっている。
【0069】
このため、発明例1〜5は、相対密度が0.22〜0.24の比較的低い密度レベルでありながら、発泡のセル壁の平均硬さが90Hv以上であり、エネルギ吸収量が6.3kJ/kg以上である。また、プラトー領域の歪量が70%以上であり、変形の後期まで、変形応力が上昇しないプラトー領域を維持でき、エネルギ吸収量を保ったまま、変形応力の急激な上昇を抑制できることが分かる。言い換えると、歪量が70%を越えても変形応力(圧縮応力)が立ち上がらない、人などの衝突物への安全性に優れた、アルミニウム合金発泡体であることが分かる。
【0070】
これに対して、比較例6は、本発明組成内のアルミニウム合金Aであるが、従来同様、発泡体の溶体化処理や、その後の熱処理を行なっていない。このため、発泡のセル壁の平均硬さが90Hv未満であり、エネルギ吸収量も低い。また、プラトー領域の歪量も低く、変形の後期で、変形応力の急激な上昇を抑制できない。
【0071】
比較例7は、本発明組成内のアルミニウム合金Aであり、発泡体の溶体化処理を行なっているものの、熱処理を行なっていない。このため、発泡のセル壁の平均硬さが90Hv未満であり、エネルギ吸収量も低い。また、プラトー領域の歪量も低く、変形の後期で、変形応力の急激な上昇を抑制できない。
【0072】
比較例8は、本発明組成内のアルミニウム合金Aであり、溶体化処理、その後の熱処理を行なっているものの、溶体化処理温度が低過ぎる。このため、比較例6、7と同様、発泡のセル壁の平均硬さが90Hv未満であり、エネルギ吸収量も低い。また、プラトー領域の歪量も低く、変形の後期で、変形応力の急激な上昇を抑制できない。
【0073】
比較例9は、本発明組成内のアルミニウム合金Aであり、溶体化処理、その後の熱処理を行なっているものの、溶体化処理後の冷却が空冷であり、冷却速度が小さ過ぎる。このため、このため、比較例6、7と同様、発泡のセル壁の平均硬さが90Hv未満であり、エネルギ吸収量も低い。また、プラトー領域の歪量も低く、変形の後期で、変形応力の急激な上昇を抑制できない。
【0074】
比較例10は、本発明組成内のアルミニウム合金Aであるが、発泡温度が高過ぎる。このため、適正条件で、溶体化処理および水冷による冷却、その後の熱処理を行なっているものの、発泡径が粗大化している。この結果、発泡のセル壁の平均硬さは90Hv以上であるものの、エネルギ吸収量が低い。
【0075】
比較例11〜17は、Zn、Ca、Ti、Mg、Cu、Mnの含有量が、各々、本発明組成の下限、あるいは上限に外れている表1のアルミニウム合金F〜Qを用いている。このため、製造条件は発明例と同じ適正な条件であるものの、発泡体の平均発泡径が粗大化するか、相対密度が小さ過ぎるか、発泡のセル壁の平均硬さが90Hv未満であり、総じて、エネルギ吸収量が低い。また、比較例111、13、15、17、19、21は、プラトー領域の歪量も低く、変形の後期で、変形応力の急激な上昇を抑制できない。
【0076】
以上の結果から、本発明アルミニウム合金発泡体における各要件の意義と好ましい製造条件の意義とが裏付けられる。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明によれば、高張力鋼板製の衝撃エネルギ吸収部材に代替できるアルミニウム合金発泡体を提供することができる。この結果、自動車の構造部材など、衝突時に圧縮の衝撃荷重を受けた際に変形して衝撃エネルギを吸収する、衝撃エネルギ吸収部材に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ吸収部材として用いられるアルミニウム合金発泡体であって、質量%で、Zn:1.0〜20.0%、Ca:0.1〜4.0%、Ti:0.1〜4.0%、Mg:0.3〜5.0%、を各々含有するとともに、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を発泡させてなり、発泡体の平均発泡径が5mm以下および相対密度が0.1以上であり、発泡セル壁の平均硬さが90Hv以上であることを特徴とするアルミニウム合金発泡体。
【請求項2】
前記アルミニウム合金発泡体に荷重を負荷して変形させた際のプラトー領域の歪量が70%以上である請求項1に記載のアルミニウム合金発泡体。
【請求項3】
前記アルミニウム合金発泡体の組織中に、粒径が0.5nm以上で、50nm以下の析出物粒子が体積分率で1.0%以上分散している請求項1または2に記載のアルミニウム合金発泡体。
【請求項4】
前記アルミニウム合金発泡体が単体としてエネルギ吸収部材に用いられる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金発泡体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかのアルミニウム合金発泡体を製造する方法であって、アルミニウム合金溶湯に対して、水素化チタンを添加して、650℃以下の発泡可能な温度で発泡させ、質量%で、Zn:1.0〜20.0%、Ca:0.1〜4.0%、Ti:0.1〜4.0%、Mg:0.3〜5.0%、を各々含有するとともに、Cu:0.1〜5.0%、Mn:0.1〜5.0%、の1種または2種を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金発泡体を得、このアルミニウム合金発泡体を400℃以上の温度で溶体化処理後に水冷し、その後100〜150℃の温度範囲で熱処理を行なうことを特徴とするアルミニウム合金発泡体の製造方法。

【公開番号】特開2007−224352(P2007−224352A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45742(P2006−45742)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願〔平成17年度 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの〕
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(000192626)神鋼鋼線工業株式会社 (44)