説明

アルミニウム形材の模様付け方法およびアルミニウム形材

【課題】自然の風合い感のある模様や立体感のある幾何学的模様を備えたアルミニウム形材の模様付け方法と、それにより得られたアルミニウム形材を提供する。
【解決手段】アルミニウム形材Aを押出し成形で得た後、焼入れ処理VIする前に、プレスによって模様付け加工する。押出し成形後のアルミニウム形材Aは、熱処理する前よりも硬度が低いので、プレスによって模様付けをすると、形が明瞭に付きやすく、立体感のある模様となり、アルミニウム形材を傷つけることもない。長尺板状のアルミニウム形材Aに、押圧プレス10で竹材の節を表わす線状突起kを形成する。押圧プレス10は、押し型12を備えており、押し型12は、その型幅が、アルミニウム形材Aの幅より狭く、かつその型幅方向の湾曲半径rがアルミニウム形材の幅方向の湾曲半径Rよりも小さい。押し型12の両端部で鋭い押し傷が付かず、ゆるやかに曲がった仕上がりになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム形材の模様付け方法およびアルミニウム形材に関する。さらに詳しくは、種々のデザインを模様付けすることが可能であり、とくに竹材や木材の自然の風合いをもたせた模様あるいは種々の幾何学的模様を付けるのに好適なアルミニウム形材の模様付け方法と、その方法で得られたアルミニウム形材に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム形材に自然木の風合いをもたせる技術には、特許文献1や特許文献2に記載の従来技術がある。
特許文献1の従来技術は、金属材料の表面に木目模様のフィルムを貼付したものである。しかし、この従来技術では、仕上がりが平坦になるので、いかに模様を自然に近づけたとしても自然木の風合いに欠けるものであった。
【0003】
特許文献2の従来技術は、金属材料の表面に切削具を接触させて木目調の筋溝模様を形成し、その表面をサンダー処理し塗装するというものである。この従来技術では、筋溝模様によって木質の風合いをもたせるものであるが、凹み形状の模様のみであるので、凹凸感に乏しく、自然の風合い感にはやはり欠けるものであった。
【0004】
そして、上記従来技術以外に何らかの模様を付ける技術はなかったので、従来のアルミニウム形材は、デザイン性に乏しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−177238号公報
【特許文献2】特開2004−338153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、自然の風合い感を豊かに備えたアルミニウム形材の模様付け方法と、それにより得られたアルミニウム形材を提供することを目的とする。
また、模様の種類に限らず、模様が立体的であり明瞭に視認できるアルミニウム形材の模様付け方法と、それにより得られたアルミニウム形材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のアルミニウム形材への模様付け方法は、アルミニウム形材を押出し成形で得た後、焼入れ処理する前に、模様付け加工することを特徴とする。
第2発明のアルミニウム形材への模様付け方法は、アルミニウム形材を押出し成形で得た後、焼入れ処理する前に、押圧プレスまたはロールプレスによって模様付け加工することを特徴とする。
第3発明の模様付け方法は、第1発明において、長尺板状のアルミニウム形材に、押圧プレスで竹材の節を表わす線状突起を形成することを特徴とする。
第4発明の模様付け方法は、第3発明において、前記押圧プレスは、幅方向に湾曲した前記アルミニウム形材に節状の線状突起を形成するための押し型を備えており、該押し型は、その型幅が、前記アルミニウム型材の幅より狭く、かつその型幅方向の湾曲半径が前記アルミニウム形材の幅方向の湾曲半径よりも小さいことを特徴とする。
第5発明の模様付け方法は、第1発明において、長尺板状のアルミニウム形材に、ロールプレスで木材の木目を表わす線状突起を形成することを特徴とする。
第6発明の模様付け方法は、第5発明において、前記ロールプレスは、前記アルミニウム形材に木目状の線状突起を形成するためのロール型を備えており、該ロール型は、表面が平坦なプレーンロールと、表面に木目状の線状突起を有する型付きロールとの対からなることを特徴とする。
第7発明の模様付け方法は、第5発明において、前記ロールプレスは、前記アルミニウム形材に木目状の模様を形成するためのロール型を備えており、該ロール型は、表面に凸状突起を有するロールと、表面に前記凹状突起を有するロールの対からなることを特徴とする。
第8発明の模様付け方法は、第5発明において、前記ロールプレスは、前記アルミニウム形材に幾何学的模様を形成するためのロール型を備えており、該ロール型は、表面に凸状突起を有するロールと、表面に前記凹状突起を有するロールの対からなることを特徴とする。
第9発明のアルミニウム形材は、長尺板状のアルミニウム形材であって、アルミニウム形材自体が加圧により変形することによって形成された幅方向に延びる隣接した2本の突条からなる節状突起が、長手方向に間隔を空けて形成されていることを特徴とする。
第10発明のアルミニウム形材は、長尺板状のアルミニウム形材であって、アルミニウム形材自体が加圧により変形することによって木目状の線状突起が連続して形成されていることを特徴とする。
第11発明のアルミニウム形材は、長尺板状のアルミニウム形材であって、アルミニウム形材自体が加圧により変形することによって幾何学的模様が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、押出し成形後のアルミニウム形材は、熱処理する前よりも硬度が低いので、模様付けをすると、模様の形が明瞭に付きやすく、種々の模様を凹凸豊かに付けることができる。
第2発明によれば、押出し成形後のアルミニウム形材は、熱処理する前よりも硬度が低いので、押圧プレスまたはロールプレスによって模様付けをすると、模様の形が明瞭に付きやすく、アルミニウム形材を傷つけることもない。よって、種々の模様を凹凸豊かに付けることができる。
第3発明によれば、硬度が低い状態のアルミニウム形材に竹材の節を表わす線状突起を付けるので、節らしい形状に良く仕上がり、母材を傷めることはない。よって、自然の竹材と同様に見えるアルミニウム形材が得られる。
第4発明によれば、押し型の型幅がアルミニウム形材より狭く、かつ湾曲半径が小さいので、アルミニウム形材を押し型で押圧したとき、押し型の両端部で鋭い押し傷が付かず、ゆるやかに曲がった仕上がりになる。このため、自然の竹の節と同様な丸みが付いた線状突起となり、自然の竹材と良く似たアルミニウム形材が得られる。
第5発明によれば、硬度が低い状態のアルミニウム形材に木目を表わす線状突起を付けるので、木材らしい外観に良く仕上がり母材も傷めることはない。よって自然の木材と同様に見えるアルミニウム形材が得られる。
第6発明によれば、ロール型の対をなすプレーンロールをアルミニウム形材の裏面に当て、型付きロールを表面に当てて加圧転動させると、長尺のアルミニウム形材の表面に連続した木目模様を形成することができる。
第7発明によれば、アルミニウム形材を一対のロールで挟んで加圧した状態で転動させると、アルミニウム形材の表裏両面から凹凸が付けられるので、長尺のアルミニウム形材に立体的な木目調模様を形成することができる。
第8発明によれば、アルミニウム形材を一対のロールで挟んで加圧した状態で転動させると、アルミニウム形材の表裏両面から凹凸が付けられるので、長尺のアルミニウム形材に立体的な幾何学的模様を形成することができる。
第9発明によれば、竹の節に見える節状突起がアルミニウム形材に加えられた加圧変形によって形成されているので、凹凸感が充分に生じ自然の風合いを豊かに表現でき、かつ経年変化による劣化も生じない。
第10発明によれば、木の木目に見える節状突起がアルミニウム形材に加えられた加圧変形によって形成されているので、凹凸感が充分に生じ自然の風合いを豊かに表現でき、かつ経年変化による劣化も生じない。
第11発明によれば、幾何学的な凹凸がアルミニウム形材に加えられた加圧変形によって形成されているので、凹凸感が明瞭に現われ、明確なデザインを演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の模様付け方法の工程図(I〜IV)である。
【図2】本発明の模様付け方法の工程図(V〜VII)である。
【図3】押圧プレスによる模様付け方法の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図4】押圧プレスによる模様付けしている状態の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図5】節状突起が形成されたアルミニウム形材Aを示し、(A)は表面側の斜視図、(B)は裏面側の斜視図、(C)は断面図である。
【図6】ロールプレスによる模様付け方法の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図7】ロールプレスにより模様付けした状態の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図8】木目模様が形成されたアルミニウム形材Bを示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図9】本発明に係るアルミニウム形材A,Bをフェンスに取付けた状態の説明図であって、(A)は正面図、(B)は縦断面図である。
【図10】図9におけるX線断面図であって、(A)は竹調のアルミニウム形材A、(B)は木目調のアルミニウム形材Bを示す。
【図11】ロールプレス40による模様付け方法の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図12】ロールプレス40により模様付けしている状態の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図13】図12のプレス加工部分の拡大図である。
【図14】木目模様が形成されたアルミニウム形材Cを示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図15】ロールプレス50による模様付け方法の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図16】ロールプレス50により模様付けしている状態の説明図であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図17】図16のプレス加工部分の拡大図である。
【図18】幾何学模様が形成されたアルミニウム形材Dを示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図19】本発明に係るアルミニウム形材C,Dをフェンスに取付けた状態の説明図であって、(A)は正面図、(B)は縦断面図である。
【図20】図19におけるX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2の工程図に基づき、本発明のアルミニウム形材への模様付け方法を説明する。
同図において、押出し工程I、冷却工程II、引張矯正工程III、切断工程IV、熱処理工程VI、アルマイト処理VIIは従来通りのアルミニウム形材の押出し成形工程と、とくに変わるところはない。本発明において重要なのは切断工程IVと熱処理工程VIの間にプレスによる模様付け工程Vが入っている点である。
【0011】
押出し工程Iでは、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるビレットを、公知の押出機1を用いて押出し成形する。この工程によりビレットがアルミニウム形材Aとなる。
冷却工程IIでは、アルミニウム形材Aが冷却床2の上で空冷または炉冷により冷却される。
【0012】
引張矯正工程IIIでは、アルミニウム形材Aの両端がストレッチャー3のグラブでつかまれて長手方向に引張りをかけられる。これにより曲がりなどが矯正される。
切断工程IVでは、アルミニウム形材Aが所望の長さにカッターで切断される。
【0013】
模様付け工程Vでは、プレス加工によってアルミニウム形材Aに、竹の節や木材の木目のような立体模様が模様付けされる。本工程によって、竹や木材のように見えるアルミニウム形材Aが得られる。なお、この工程は後に詳述する。
【0014】
熱処理工程VIは、高温加工(押出し工程I)から冷却(冷却工程II)後、人工時効硬化処理する工程をいう。この熱処理には、公知の熱処理炉5などが用いられる。
アルマイト処理工程VIIは、クロム酸液の中にアルミニウム形材Aを浸漬する工程であり、本工程により形材表面の汚れ除去、脱脂を行い、かつ防錆処理を行うことができる。
【0015】
本発明において、模様付け工程Vは、第1に熱処理工程VIの前に行われること、第2に押圧プレスまたはロールプレス等のプレスで加工されることが特徴である。
【0016】
本発明において、既述のごとく模様付け工程Vは熱処理工程VIの前に行われるのが、第1の特徴であるが、その理由は次のとおりである。
アルミニウム形材Aの引張強さは、加工工程の進展に応じて次のように変化する。
a)押出し工程Iの直後は、最も軟らかい状態を得るように焼きなおししたものに相当し、例えば、合金番号6063のアルミニウム形材であれば、引張強さ90N/mm、耐力50N/mmである。
b)冷却工程IIから切断工程IVまでは、高温加工から冷却後、自然時効させたものに相当し、合金番号6063のアルミニウム形材Aであれば、引張強さ150N/mm、耐力90N/mmとなる。
c)熱処理工程VIを終えたものは、高温加工から冷却後、人工時効硬化処理させたものに相当し、合金番号6063のアルミニウム形材Aであれば、引張強さ185N/mm、耐力145N/mmとなる。
【0017】
上記のように引張強度と耐力は上記a)→b)→c)の順に強くなるので、c)の熱処理前のアルミニウム形材Aがまだ軟らかい状態で模様付け加工Vをするというのが本発明の特徴である。
【0018】
つぎに、模様付け加工の各実施形態を説明する。
以下に示す竹調アルミニウム形材Aの加工は押圧プレスを用いるものである。木目調アルミニウム形材B、木目調アルミニウム形材Cおよび幾何学模様アルミニウム形材Dの加工はロールプレスを用いるものである。
【0019】
(竹調アルミニウム形材A)
まず、竹調アルミニウム形材Aの模様付け方法を説明する。
図3の押圧プレス10はアルミニウム形材Aを竹調に加工するためのプレスである。押圧プレス10は、ベッドの上方においてラムが上下動し、ベッド上に下型を置き、ラムの下端に押型(上型)を装着し、手動もしくは動力で押型を材料に対して加圧動作できるものであれば、どのような型式のプレスであってもよい。
【0020】
図5は前記プレス10で模様付けされる竹調アルミニウム形材Aを示しており、(A)図に示す表面は竹の節を表現する節状突起kが付いた加工後のアルミニウム形材Aであり、(B)図に示す裏面は節状突起が付いていない加工前のアルミニウム形材Aである。
(C)図に示すように、アルミニウム形材Aの断面形状は、湾曲した本体部a1とその両側から立上り、かつ外側に延びるL字形のリブa2とからなる。本体部a1の幅Wは、例えば100mmであり、湾曲半径Rは、例えば500mmであるが、これらの寸法に限られるものではない。
【0021】
図3に戻って、11は下型であり、断面形状は中央部11aが凹み両端部11bが立上った幅広溝の形状をしている。中央部11aはアルミニウム形材Aの本体部A1と同一の湾曲半径で下向きに凹むように湾曲している。この下型11は、衝撃による傷の付き難い弾力性のある合成樹脂、たとえば商品名MCナイロンで作成されている。
【0022】
符号12は上型となる押し型であって、アルミニウムなどの軽金属で製作されたブロック状の部材である。側面視の中央部には下向きに開口した溝12aが形成されている。溝12aの前後の下面は押え部12bとなる部分である。この押え部12bの下面は幅方向に湾曲しており、その湾曲半径Rは、下型11の中央部11aと同じ半径である。
溝12aには歯型12cが嵌ってボルト等で固定されるようになっている。また、歯型12cは溝12a内で上下位置が調製可能となっている。
【0023】
前記歯型12cは、その下面が竹の節に似た形状の突起12pが形成されている。
この歯型12cの下面は幅方向において下向きに凸となる湾曲形状をなしており、その湾曲半径rは、たとえば130mmであって、アルミニウム形材Aの本体部や下型11の中央部11aの湾曲半径R(500mm)より小さくなっている。また、歯型12cの幅wも、アルミニウム形材Aの本体部や下型11の中央部11aの幅Wよりも小さくなっている。
【0024】
図4はアルミニウム形材Aを下型11と押し型12で挟圧して、アルミニウム形材Aに節を形成する加工法を示している。
押し型12でアルミニウム形材Aを押圧すると、歯型12cがアルミニウム形材Aの裏面に喰い込み、合成樹脂製の下型11は加圧力に順応して変形するので、凸形の突起12pがアルミニウム形材Aの表面に突出する方向の加圧変形が生じる。このとき、押え型12bは歯型12cの前後を押さえているので、歯型12cの前後ではアルミニウム形材Aに変形は生じない。このため、節形変形の凹凸が明瞭に発生する。
【0025】
また、歯型12cの幅は小さく、かつ湾曲半径rもアルミニウム形材Aの本体部a1の湾曲半径Rより小さいので、中央部分がより多く喰い込み両端部分の喰い込みは浅くなり、両端部分でアルミニウム形材Aに鋭い押し傷が付くことはない。
このため、自然の竹と同様に、丸く湾曲した節kが付いたような外観を得ることができる。
【0026】
(木目調アルミニウム形材B)
つぎに、木目調アルミニウム形材Bの模様付け方法を説明する。
図6のロールプレス20はアルミニウム形材Bを木目調に加工するためのプレスの一例である。ロールプレス20は、一対のロールの間で材料を加圧動作できるものであれば、人力加圧あるいは動力加圧のいずれであってもよく、動力も油圧や空圧など種々の型式のプレスを用いることができる。
【0027】
図6に示すロールプレス20は歯付きロール21とプレーンロール22を備えている。歯付きロール21の表面は硬度の高い歯付き層が設けられ、その表面には自然の風合いに似せた無端状の木目模様となる凹凸条gが形成されている。プレーンロール22は表面が平滑であり、商品名MCナイロンなどの衝撃による傷の付き難い弾力性のある合成樹脂層で被覆されている。
【0028】
歯付きロール21は押下げフレーム23に回転自在に軸支されており、プレーンロール22はプレスフレーム24に回転自在に軸支されている。押下げフレーム23はプレスフレーム24に対し昇降自在であり、ハンドル25で押下げ加圧することができる。
【0029】
図7に示すように、押下げフレーム23を押し下げると、アルミニウム形材Bは上側の歯付きロール21と下側のプレーンロール22で挟まれて加圧され、かつロールを回転させることで、模様付けが行われる。つまり、ロールプレス20の加圧によって、アルミニウム形材Bには、その長手方向に木目模様gが連続して形成されることになる。
このロールプレス20では、ハンドル25に加える押圧力Fを加減することで木目模様gの深さを深くも浅くも加減することができる。
【0030】
図8は上記のようにして模様付けされた木目調アルミニウム形材Bを示している。(A)図に示すように、アルミニウム形材Bの表面には、木材の木目模様gが模様付け加工されている。なお、(B)図に示すように、アルミニウム形材Bの断面形状は、平坦な本体部b1とその両端から立上り、かつ外側に延びるL字形のリブb2とからなる。本体部B1の幅は、例えば100mmであるが、これらの寸法に限られるものではない。
【0031】
上述した図5の竹調のアルミニウム形材Aや図8の木目調のアルミニウム形材Bは、フェンスや門扉などの材料として用いられる。
図9および図10はフェンスとして用いる場合の使用例を示すもので、多数本のアルミニウム形材Aまたはアルミニウム形材Bは平行に並べて立てられ、上端と下端を上桟31と下桟32に嵌められて整列させられている。
なお、図10の(A),(B)に示すように、各アルミニウム形材A,Bは、互いにリブを重ねておき、一方のリブに形成した嵌め環33で胴縁あるいは横桟材などに結合してもよい。
【0032】
(木目調アルミニウム形材C)
つぎに、木目調アルミニウム形材Cの模様付け方法を説明する。
図11のロールプレス40はアルミニウム形材Cに木目調模様を連続的に加工するためのプレスである。ロールプレス40は、一対のロールの間で材料を加圧動作して連続送りできるものであれば、どのような型式のプレスであってもよいが、図示のものは、押圧ジャッキがネジ棒式、駆動型式が動力駆動ギヤ伝達式である。
【0033】
図11示すように、ロールプレス40は上ロール41と下ロール42を備えている。上ロール41は押下げフレーム43に回転自在に軸支され、プレスフレーム44内で昇降自在である。下ロール42はプレスフレーム44の下方部分に回転自在に軸支されている。押下げフレーム43はネジ棒式ジャッキ45を回すことにより押下げられる。ネジ棒式ジャッキ45の回転は、ハンドルを手動で回してもよく、動力で回してもよい。
【0034】
上ロール41の回転軸にはギヤ46が取付けられ、下ロール42の回転軸にはギヤ47が取付けられ、これらのギヤ46,47にはアイドルギヤ48,49が噛み合っている。
なお、アイドルギヤや48,49は押下げフレーム43と共にギヤ46が下降すると、その下降を許容しつつ、噛合いを保障する図示しない移動機構で支持されている。
上記のギヤ伝達機構により上ロール41のギヤ46にモータ等の動力が入力されると下ロール42も同方向に回転するようになっている。
【0035】
ロールプレス40における上ロール41の表面には自然の風合いに似せた無端状の木目模様となる凸条pが形成されている。下ロール42の表面には無端状の木目模様となる凹条hが形成されている。これらの凸条pと凹条hは互いに嵌合する形状である。
【0036】
図12に示すように、ネジ棒式ジャッキ45により押下げフレーム43が押し下げられると、アルミニウム形材Cは上ロール41と下ロール42で挟まれて加圧され、かつ上下ロール41,42を回転させることで、模様付けが行われる。つまり、ロールプレス40の加圧によって、アルミニウム形材Cには、その長手方向に木目模様が連続して形成されることになる。
なお、ネジ棒式ジャッキ45はネジ棒のねじ込み量を加減することにより、微妙な圧力の調整も可能である。
【0037】
とくに、本実施形態では図13に示すように、上ロール41の凸条pと下ロール42の凹条hとの間にアルミニウム形材Cが挟み込まれ、鋭い凹凸条が隆起するので、その木目模様gは表裏両面とも立体的となり、視認性の高いデザインとなる。
また、図ではアルミニウム形材Cの裏面に上ロール41の凸状pを喰い込ませて、形材の表面に立体的な模様を隆起させているが、上ロール41と下ロール42を上下逆に配置するか、あるいはアルミニウム形材Cを図示とは表裏逆に挿入して、形材の表面を窪ませた立体模様としてもよい。
【0038】
図14は木目調アルミニウム形材Cを示している。(A)図に示すように、アルミニウム形材Cの表面には、木材の木目模様gが模様付け加工されている。そして、(B)図に示すように、この木目模様gの凹凸は表裏両面に隆起した立体感豊かなものである。なお、アルミニウム形材Cの断面形状は、平坦な本体部c1とその両端から立上り、かつ外側に延びるL字形のリブc2とからなる。本体部c1の両端縁(約5mm幅の部分)は、形材の変形や劣化を防ぐため、模様付けしないことが好ましい。
【0039】
(幾何学模様アルミニウム形材D)
つぎに幾何学模様アルミニウム形材Dの模様付け方法を説明する。
図15のロールプレス50はアルミニウム形材Dは幾何学模様に加工するためのプレスである。ロールプレス50は、一対のロールの間で材料を加圧動作できるものであれば、どのような型式のプレスであってもよいが、図示のものは、押圧ジャッキがネジ棒式、駆動型式が動力駆動ギヤ伝達式である。
【0040】
図15示すように、ロールプレス50は上ロール51と下ロール52を備えている。上ロール51は押下げフレーム53に回転自在に軸支され、プレスフレーム54内で昇降自在である。下ロール52はプレスフレーム54の下方部分に回転自在に軸支されている。押下げフレーム53はネジ棒式ジャッキ55を回すことにより押下げられる。ネジ棒式ジャッキ55の回転は、ハンドルを手動で回してもよく、動力で回してもよい。
【0041】
上ロール51の回転軸にはギヤ56が取付けられ、下ロール52の回転軸にはギヤ57が取付けられ、これらのギヤ56,57にはアイドルギヤ58,59が噛み合っている。 なお、アイドルギヤ58,59は、押下げフレーム53と共にギヤ56が下降すると、その下降を許容しつつ、噛合いを保障する図示しない移動機構で支持されている。
上記のギヤ伝達機構により上ロール51のギヤ56にモータ等の動力が入力されると下ロール52も同方向に回転するようになっている。
【0042】
ロールプレス50における上ロール51の表面には2種類の幾何学凸模様p1,p2が形成されている。下ロール52の表面には2種類の幾何学凹模様h1,h2が形成されている。これらの凸模様p1,p2と凹模様h1,h2は互いに嵌合する形状である。
【0043】
図16に示すように、ネジ棒式ジャッキ55により押下げフレーム53が押下げられると、アルミニウム形材Cは上ロール51と下ロール52で挟まれて加圧され、かつ上下ロール51,52を回転させることで、模様付けが行われる。つまり、ロールプレス50の加圧によって、アルミニウム形材Dに幾何学模様が断続的あるいは連続的に形成されることになる。
なお、ネジ棒式ジャッキ55はネジ棒のねじ込み量を加減することにより、微妙な圧力の調整も可能である。
【0044】
とくに、本実施形態では図17に示すように、上ロール51の凸模様p1,p2と下ロール52の凹模様h1,h2との間にアルミニウム形材Dが挟み込まれ、鋭い凹凸が隆起するので、その幾何学模様g1,g2は表裏両面とも立体的となり、視認性の高いデザインとなる。なお、図示の実施形態では、幾何学模様g1,g2はアルミニウム形材Dの長手方向にも短手方向にも交互に表われるようになっている。
また、図ではアルミニウム形材Dの裏面に上ロール51の凸模様p1,p2を喰い込ませて、形材の表面に立体的な幾何学模様を隆起させているが、上ロール51と下ロール52を上下逆に配置するか、あるいはアルミニウム形材Dを図示とは表裏逆に挿入して、形材の表面を窪ませた立体模様としてもよい。
【0045】
図18は幾何学模様アルミニウム形材Dを示している。(A)図に示すように、アルミニウム形材Dの表面には、幾何学模様g1,g2が模様付け加工されている。そして、(B)図に示すように、この幾何学的模様g1,g2の凹凸は表裏両面に隆起した立体感豊かなものである。なお、アルミニウム形材Dの断面形状は、平坦な本体部d1とその両端から立上り、かつ外側に延びるL字形のリブd2とからなる。本体部d1の両端縁(約5mm幅の部分)は、形材の変形や劣化を防ぐため、模様付けしないことが好ましい。
【0046】
上記のようにして製造された木目調のアルミニウム形材Cや幾何学模様アルミニウム形材Dは、フェンスや門扉などの材料として用いられる。
図19および図20はフェンスとして用いる場合の使用例を示している。多数本のアルミニウム形材Cまたはアルミニウム形材Dは平行に並べて立てられ、上端と下端を上桟31と下桟32に嵌められて整列させられている。
また、図20に示すように、各アルミニウム形材C,Dは、互いにリブを重ねておき、一方のリブに形成した嵌め環33で胴縁あるいは横桟材などに結合してもよい。
【0047】
なお、上記のように模様付きのアルミニウム形材C,Dのみを用いる外、模様のないアルミニウム形材と併用することも可能である。この場合、模様付きのアルミニウム形材C,Dはデザイン上のアクセント部材となる。
【0048】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、1本のアルミニウム形材に1種類の模様を形成するものであったが、1本のアルミニウム形材に2種類以上の模様を形成してもよい。この場合、1種類の押圧プレスあるいはロールプレスでアルミニウム形材の途中まで模様付けした後、別のプレスにアルミニウム形材を通して別の模様を付ければよい。このようにすれば、アルミニウム形材に2種類の模様を形成することができる。同様にして3種類以上のプレスを用いれば3種類以上の模様を形成することができる。
【0049】
図6にロールプレス20はハンドル25に加える押圧力を変えることで模様付けした凹凸の深さや高さを変えることができるが、図11に示すロールプレス40や図15に示すロールプレス50においても同様であり、手動あるいは動力による押圧力を変えることによって、模様付けのための凹凸条の深さや高さを任意に変えることができる。
【符号の説明】
【0050】
A アルミニウム形材
B アルミニウム形材
C アルミニウム形材
D アルミニウム形材
10 押圧プレス
11 下型
12 押し型
20 ロールプレス
40 ロールプレス
50 ロールプレス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム形材を押出し成形で得た後、焼入れ処理する前に、模様付け加工する
ことを特徴とするアルミニウム形材への模様付け方法。
【請求項2】
アルミニウム形材を押出し成形で得た後、焼入れ処理する前に、押圧プレスまたはロールプレスによって模様付け加工する
ことを特徴とするアルミニウム形材への模様付け方法。
【請求項3】
長尺板状のアルミニウム形材に、押圧プレスで竹材の節を表わす線状突起を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の模様付け方法。
【請求項4】
前記押圧プレスは、幅方向に湾曲した前記アルミニウム形材に節状の線状突起を形成するための押し型を備えており、
該押し型は、その型幅が、前記アルミニウム型材の幅より狭く、かつその型幅方向の湾曲半径が前記アルミニウム形材の幅方向の湾曲半径よりも小さい
ことを特徴とする請求項2記載の模様付け方法。
【請求項5】
長尺板状のアルミニウム形材に、ロールプレスで木材の木目を表わす線状突起を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の模様付け方法。
【請求項6】
前記ロールプレスは、前記アルミニウム形材に木目状の線状突起を形成するためのロール型を備えており、
該ロール型は、表面が平坦なプレーンロールと、表面に木目状の線状突起を有する型付きロールとの対からなる
ことを特徴とする請求項5記載の模様付け方法。
【請求項7】
前記ロールプレスは、前記アルミニウム形材に木目状の模様を形成するためのロール型を備えており、
該ロール型は、表面に凸状突起を有するロールと、表面に前記凹状突起を有するロールの対からなる
ことを特徴とする請求項5記載の模様付け方法。
【請求項8】
前記ロールプレスは、前記アルミニウム形材に幾何学的模様を形成するためのロール型を備えており、
該ロール型は、表面に凸状突起を有するロールと、表面に前記凹状突起を有するロールの対からなる
ことを特徴とする請求項5記載の模様付け方法。
【請求項9】
長尺板状のアルミニウム形材であって、アルミニウム形材自体が加圧により変形することによって形成された幅方向に延びる隣接した2本の突条からなる節状突起が、長手方向に間隔を空けて形成されている
ことを特徴とするアルミニウム形材。
【請求項10】
長尺板状のアルミニウム形材であって、アルミニウム形材自体が加圧により変形することによって木目状の線状突起が連続して形成されている
ことを特徴とするアルミニウム形材。
【請求項11】
長尺板状のアルミニウム形材であって、アルミニウム形材自体が加圧により変形することによって幾何学的模様が形成されている
ことを特徴とするアルミニウム形材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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