説明

アルミニウム溶湯処理装置

【課題】貯湯槽内を簡単かつ確実に外気と遮断できるアルミニウム溶湯処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、密閉型の貯湯槽1と、貯湯槽1の上壁に貫通する筒状シール部材3と、筒状シール部材3に挿通配置された処理ガス吹き込み用シャフト2と、貯湯槽1の周壁に貫通されるとともに、槽内引込部に入湯口45が設けられた入湯管路4と、貯湯槽1の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に出湯口55が設けられた出湯管路5と、を備える。筒状シール部材3の下端、入湯口45および出湯口55が、溶湯液面L1よりも下方に配置されて、記貯湯槽内において、溶湯液面上空がアルミニウム溶湯Lによって、筒状シール部材3、入湯管路4および出湯管路5の各内部に対しそれぞれ密閉される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルミニウム溶湯中に処理ガスを吹き込むようにしたアルミニウム溶湯処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造前のアルミニウム溶湯には、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等の非金属介在物や、不純物等のカス(滓)が含まれている。カスが含まれたアルミニウム溶湯を鋳造すると、その鋳造製品に欠陥を生じさせる原因となるため、溶湯中のカスを除去する必要がある。
【0003】
従来、アルミニウム溶湯中のカスを除去する方法としては、溶湯中にアルゴンガス(Arガス)等の不活性ガスを微細な気泡状態で分散させて吹き込んで、バブリング作用により、カスを溶湯液面上に浮かび上がらせて除去する方法が多く採用されている。
【0004】
例えば下記特許文献1に示すアルミニウム溶湯処理装置は、貯湯槽の側壁に、入湯路および出湯路が連通接続されて、溶湯が入湯路の端部開口(入湯口)から貯湯槽内に流入される一方、貯湯槽内に貯留された溶湯が、出湯路の端部開口(出湯口)から流出されるようになっている。
【0005】
このようなアルミニウム溶湯処理装置においては、高品質のアルミニウム溶湯を得るには、外気と遮断して行うのが好ましく、また不活性ガスの大気中への不用意な放出を避けるためにも、貯湯槽の内部を外気と遮断して行うことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭61−40736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のアルミニウム溶湯処理装置は、入湯路用部材として、上部が開放された樋型(溝型)形状のものを使用し、その樋型入湯路を介して貯湯槽の側壁上端部から槽内に溶湯を垂れ流すように流入させていた。このため樋型入湯路を介して、貯湯槽が外部に開放され、槽内が外気に遮断されていない、という課題を抱えていた。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、貯湯槽内を簡単かつ確実に外気と遮断することができるアルミニウム溶湯処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、以下の構成を備えている。
【0010】
[1]アルミニウム溶湯が貯留される密閉型の貯湯槽と、
前記貯湯槽の上壁に密閉状態に貫通する筒状シール部材と、
前記筒状シール部材に挿通配置され、溶湯液面よりも下方に配置された下端部から溶湯中に処理ガスが気泡状態で放出される処理ガス吹き込み用シャフトと、
前記貯湯槽の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に入湯口が設けられ、槽外から供給されるアルミニウム溶湯を、前記入湯口を介して前記貯湯槽内に流入させる入湯管路と、
前記貯湯槽の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に出湯口が設けられ、前記貯湯槽内のアルミニウム溶湯を、前記出湯口を介して槽外に流出させる出湯管路と、を備え、
前記筒状シール部材の下端、前記入湯口および前記出湯口が、溶湯液面よりも下方に配置されて、
前記貯湯槽内において、溶湯液面上空がアルミニウム溶湯によって、前記筒状シール部材、前記入湯管路および前記出湯管路の各内部に対しそれぞれ密閉されるようにしたことを特徴とするアルミニウム溶湯処理装置。
【0011】
[2]前記貯湯槽内の溶湯液面上空に充満する排気ガスを回収可能に構成される前項1に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0012】
[3]前記貯湯槽は、上端に開口部を有する貯湯槽本体と、その貯湯槽本体の上端開口部を閉塞する閉塞蓋とを有する前項1または2に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0013】
[4]前記入湯口が、貯留される溶湯の表層部に配置される前項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0014】
[5]前記出湯口が、貯留される溶湯の深層部に配置される前項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0015】
[6]前記入湯口が、前記出湯口よりも高位に配置される前項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0016】
[7]前記シャフトが、軸心回りに回転駆動可能に構成され、
前記シャフトの回転によって、前記貯留槽内の溶湯に回転流が発生するように構成され、
前記貯湯槽の内周壁面における下側部に、アルミニウム溶湯を上向きに流動させる整流板が設けられる前項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0017】
[8]前記整流板が、溶湯回転方向に間隔をおいて複数設けられる前項7に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0018】
[9]前記整流板の上端が、前記筒状シール部材の下端よりも低位に配置される前項7または8に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0019】
[10]前記貯湯槽の周壁内面に、カスを収集するためのカス溜まり部が設けられる前項7〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0020】
[11]前記貯湯槽は、平面視矩形状に形成され、その貯湯槽の一角部が前記カス溜まり部として構成される前項10に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0021】
[12]前記貯湯槽の内壁面に、溶湯液面上を浮遊するカスを受け止めて前記カス溜まり部に収集させるためのカス止め板が設けられる前項10または11に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0022】
[13]前記貯湯槽の周壁に、前記カス溜まり部に対応して開口部が設けられ、
前記貯湯槽の外部に、前記開口部を介して前記カス溜まり部に連通する密閉型のカス回収部が設けられ、
前記カス溜まり部に収集されたカスが、前記開口部を介して前記カス回収部に回収されるようにした前項10〜12のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0023】
[14]前記開口部の下縁部に堰堤板が設けられ、
前記カス溜まり部に収集されたカスが、前記堰堤板をオーバーフローして前記カス回収部に回収されるようにした前項13に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0024】
[15]前記カス回収部に回収されたカスを、前記貯湯槽内に対し雰囲気を遮断した状態で、外部に排出するためのカス排出手段が設けられる前項13または14に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0025】
[16]前記カス止め板における溶湯回転方向の下流側に、前記出湯管路の槽内引込部が配置される前項12に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0026】
[17]前記入湯口が、溶湯回転方向に沿うように横向きに開口される前項7〜16のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0027】
[18]前記貯湯槽内における溶湯液面上空の気圧を調整するための槽内圧調整手段が設けられる前項1〜17のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0028】
[19]前記筒状シール部材の周壁に、溶湯を内部に流入するための流入孔が設けられる前項1〜18のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0029】
[20]前記筒状シール部材の内周面に、凹条部または凸条部からなる内周線条部が螺旋状に設けられ、
前記内周線条部によって、前記筒状シール部材内の溶湯を下方に導くようにした前項1〜19のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0030】
[21]前記シャフトの外周面に、凹条部または凸条部からなる外周線条部が螺旋状に設けられ、
前記外周線条部によって、シャフト周辺の溶湯を下方に導くようにした前項1〜20のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0031】
[22]前記シャフトの外周面に、回転流の発生を助勢するための羽根が設けられる前項1〜21のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0032】
[23]前記排気ガス外周手段によって回収された排気ガスを精製して、処理ガスとして再利用するようにした前項1〜22のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【0033】
[24]密閉型の貯湯槽と、
前記貯湯槽の上壁に密閉状態に貫通する筒状シール部材と、
前記筒状シール部材に挿通配置され、下端部から溶湯中に処理ガスが放出される処理ガス吹き込み用シャフトと、
前記貯湯槽の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に入湯口が設けられ、槽外から供給されるアルミニウム溶湯を、前記入湯口を介して前記貯湯槽内に流入させる入湯管路と、
前記貯湯槽の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に出湯口が設けられ、前記貯湯槽内のアルミニウム溶湯を、前記出湯口を介して槽外に流出させる出湯管路と、を備えたガスバブリング装置のアルミニウム溶湯処理方法であって、
前記貯湯槽内にアルミニウム溶湯を、その溶湯液面よりも、前記シャフトの下端部、前記筒状シール部材の下端、前記入湯口および前記出湯口が下方に配置されるように貯留して、前記貯湯槽内において、溶湯液面上空をアルミニウム溶湯によって、前記筒状シール部材、前記入湯管路および前記出湯管路の各内部に対しそれぞれ密閉し、
その密封状態で、前記シャフトの下端部から溶湯中に処理ガスを気泡状態で放出するようにしたことを特徴とするガスバブリング装置のアルミニウム溶湯処理方法。
【0034】
なおこの明細書において「アルミニウム」という語は、純アルミニウム、少量の不純物を含むアルミニウムおよびアルミニウム合金を含む意味で用いられる。また「不活性ガス」という語は、周期表のアルゴンガス、ヘリウムガス等の他にアルミニウムに対して不活性なチッ素ガス等も含む意味で用いられる。
【発明の効果】
【0035】
発明[1]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、密閉状態で溶湯を処理することができる。
【0036】
発明[2]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、排気ガスを大気に開放するのを確実に防止することができる。
【0037】
発明[3]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、密閉構造の溶湯槽を簡単に形成することができる。
【0038】
発明[4]〜[6]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、バブリング作用によるカス除去に最適な流動特性を確実に得ることができる。
【0039】
発明[7]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、溶湯に所定の回転流を発生させることができ、溶湯液面上に浮遊するカスを簡単に回収することができる。
【0040】
発明[8]〜[12]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、溶湯の回転流を安定させることができ、溶湯液面上に浮遊するカスを一層簡単に回収することができる。
【0041】
発明[13][14]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、溶湯液面上に浮遊するカスをほぼ自動的に回収することができる。
【0042】
発明[15]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、回収したカスを簡単に排出することができる。
【0043】
発明[16]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、槽内設置部品を、スペース的に効率良く配置することができる。
【0044】
発明[17]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、カス除去に適した流動特性を確実に得ることができる。
【0045】
発明[18]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、溶湯液面の高低を制御することができ、カスの回収を簡単に行うことができる。
【0046】
発明[19]〜[22]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、溶湯の回転流をより安定させることができ、カスの回収をより一層簡単に行うことができる。
【0047】
発明[23]のアルミニウム溶湯処理装置によれば、ガスのリサイクルにより、自然環境保護の問題に確実に対処することができる。
【0048】
発明[24]によれば、上記と同様の作用効果を有するガスバブリング装置のアルミニウム溶湯処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の実施形態であるアルミニウム溶湯処理装置を示す正面/側面断面図である。
【図2】実施形態のアルミニウム溶湯処理装置を示す平面断面図である。
【図3A】実施形態のアルミニウム溶湯処理装置において通常運転時の状態の正面断面図である。
【図3B】実施形態のアルミニウム溶湯処理装置においてカス回収時の状態の正面断面図である。
【図3C】実施形態のアルミニウム溶湯処理装置においてカス排出時の状態の正面断面図である。
【図4】実施形態のアルミニウム溶湯処理装置におけるカス回収ポケットの堰堤板周辺を示す正面図である。
【図5】実施形態のアルミニウム溶湯処理装置におけるカス止め板部分での正面断面図である。
【図6】実施形態の溶湯処理装置に設けられた排気ガス回収設備を示すブロック図である。
【図7】この発明に適用可能なカス回収ポケットにおける堰堤板の第1変形例を示す正面図である。
【図8】この発明に適用可能なカス回収ポケットにおける堰堤板の第2変形例を示す正面図である。
【図9】この発明の他の実施形態であるアルミニウム溶湯処理装置を示す平面断面図である。
【図10】この発明の別の実施形態であるアルミニウム溶湯処理装置を示す平面断面図である。
【図11】この発明に適用可能な入湯路の第1変形例を示す断面図である。
【図12】この発明に適用可能な入湯路の第2変形例を示す断面図である。
【図13】この発明に適用可能な筒状シール部材の第1変形例を示す斜視図である。
【図14】この発明に適用可能な筒状シール部材の第2変形例を示す切欠斜視図である。
【図15】この発明に適用可能な処理ガス吹き込み用シャフトの第1変形例を示す図であって、同図(a)は斜視図、同図(b)は平面図である。
【図16】実施形態の溶湯処理装置に設けられたガス再利用設備を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1はこの発明の実施形態であるアルミニウム溶湯処理装置を示す正面/側面断面図、図2はその水平断面図である。なお図1は、発明の理解を容易にするため、変則的な断面図で示されている。具体的に説明すると、図1の右側半分は溶湯処理装置における一側部(右側部)の正面断面図を示し、同図の左側半分は溶湯処理装置における前側部の側面断面図を示している。
【0051】
両図に示すように、このアルミニウム溶湯処理装置は、ガスバブリング装置を構成するもので、貯湯槽(1)と、処理ガス吹き込み用シャフト(2)と、筒状シール部材(3)と、入湯管路(4)と、出湯管路(5)と、カス回収ポケット(6)と、整流板(71)〜(73)およびカス止め板(75)と、を基本的な構成要素として備えている。
【0052】
貯湯槽(1)は、上端に開口部が設けられた貯湯槽本体(11)と、貯湯槽本体(11)の上端開口部を気密状態(密閉状態)に閉塞する閉塞蓋(15)とを備えている。
【0053】
貯湯槽本体(11)は、前後左右の4方向が側壁(周壁)によって閉塞された平面視矩形状に形成されている。なお以下の説明においては、図2の紙面に向かって下側を前側、上側を後側、右側を右側、左側を左側として説明する。従って、図1の貯湯槽(1)においては、右側に右側壁が示され、左側に前側壁が示されるものである。
【0054】
閉塞蓋(15)の中央には、円形のシャフト挿通孔(16)が形成されている。このシャフト挿通孔(16)には、筒状シャフトカバーを構成する筒状シール部材(3)が設けられている。筒状シール部材(3)は、円筒形の形状を有しており、上端部が、閉塞蓋(15)におけるシャフト挿通孔(16)の内周端面に、気密状態(密閉状態)に取り付けられている。さらに筒状シール部材(3)の下端は、貯湯槽(11)に貯留されるアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも下方に配置されるよう構成されている。従って、筒状シール部材(3)の内部は、シャフト挿通孔(16)を介して、外気と連通されるものの、貯湯槽(1)の内部において、溶湯液面上の雰囲気(上空)は、アルミニウム溶湯(L)によって、筒状シール部材(3)の内部に対し密閉されて、外気と遮断されるようになっている。
【0055】
筒状シール部材(3)の内部には、処理ガス吹き込み用シャフト(2)が配置されている。このシャフト(2)は、筒状シール部材(3)の筒孔内に、軸心に沿って挿通配置され、上端が貯湯槽(1)の上方に配置されるとともに、下端が貯湯槽(1)の内部に配置される。
【0056】
シャフト(2)の下端には、外周側面に、多数の処理ガス放出孔(図示省略)が設けられた円盤状の処理ガス放出部材(21)が設けられている。この処理ガス放出部材(21)は、貯湯槽(1)の底面近傍、つまり貯留されるアルミニウム溶湯(L)の深層部に配置されている。なお本実施形態においては、処理ガス放出部材(21)がシャフト(2)の下端部を構成するものである。
【0057】
シャフト(2)の内部には、シャフト(2)に沿って上端から処理ガス放出部材(21)に連通する処理ガス経路(図示省略)が設けられている。さらに図6に示すようにシャフト(2)の上端は、ガス管路を介して、処理ガス供給手段(20)としてのガスボンベに連通接続されており、その処理ガス供給手段(20)から、不活性ガス(処理ガス)としてのアルゴンガス(Arガス)が、シャフト(2)の上端に加圧状態で導入できるようになっている。そしてシャフト(2)の上端から導入されたアルゴンガスは、シャフト内部の上記処理ガス経路を通って、下端部の処理ガス放出部材(21)に導入されて、そこから、無数の気泡となって溶湯(L)中に分散されて放出されるようになっている。
【0058】
またシャフト(2)は、処理ガス放出部材(21)と共に、図示しない回転駆動手段によって、軸心回りに回転駆動できるようになっており、シャフト(2)および処理ガス放出部材(21)が回転しながら、処理ガス放出部材(21)から気泡状態でアルゴンガスが放出されることにより、無数の気泡が溶湯(L)中に、均等にバランス良く分散させた状態で放出されるようになっている。
【0059】
なお本実施形態において、シャフト(2)および処理ガス放出部材(21)は、図2の平面視において反時計回り(左回り)に回転駆動するようになっており、後述するように、その回転力によって、貯湯槽(1)内に貯留されるアルミニウム溶湯(L)に、同図の黒塗りの矢印で示すように反時計回りの回転流が発生するようになっている。
【0060】
入湯管路(4)は、貯湯槽本体(11)における一側壁(右側壁)における後端部に設けられている。入湯管路(4)は、周囲4側面が閉塞された角管部材(管状部材)によって構成されており、貯湯槽本体(11)の一側壁に気密状態(密閉状態)で貫通配置されている。
【0061】
入湯管路(4)における貯湯槽(1)の内側に配置される部分(槽内引込部)の端面は、制御板(41)によって閉塞されるとともに、槽内引込部の下壁には、下向きに開口された入湯口(45)が形成されている。
【0062】
入湯管路(4)は、アルミニウム溶湯供給手段(図示省略)に接続されており、その供給手段から供給されるアルミニウム溶湯(L)が、図1,2の白抜きの矢印で示すように入湯管路(4)を通って、入湯口(45)から貯湯槽(1)に流入されるようになっている。
【0063】
さらに入湯管路(4)の入湯口(45)は、貯湯槽(1)内に貯留されるアルミニウム溶湯中の比較的浅い位置(表層部)に配置されるものの、入湯口(45)の全周が、アルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも下方に配置されて、貯湯槽(1)の内部は入湯管路(4)の内部に対し液封止状態となっている。従って、入湯管路(4)の内部が大気に開放されていようとも、貯湯槽(1)において、溶湯液面上空は、アルミニウム溶湯(L)によって、入湯管路(4)の内部に対し密閉されて、外気と遮断されるようになっている。
【0064】
なお入湯管路(4)の少なくとも槽内引込部が、流通経路の周囲を閉塞する管状部材によって構成されていれば、貯湯槽(1)内の溶湯液面上空の気密性を確保することができる。つまり本発明において、入湯管路(4)における貯湯槽(1)の外側に配置される部分(槽外引出部)は、流通経路の周壁上部が開放された樋型(溝型)の形状に形成されていても良い。
【0065】
さらに入湯管路(4)の槽内引込部は、その周壁の一部を貯湯槽(1)の一部によって構成するようにしても良い。例えば、入湯管路(4)の槽内引込部における周壁の一部を、貯湯槽(1)の閉塞蓋(15)や、貯湯槽本体(11)の周側壁によって構成するようにしても良い。
【0066】
出湯管路(5)は、貯湯槽本体(11)における前側壁における左側端部に設けられている。出湯管路(5)は、入湯管路(4)と同様、周囲4側面が閉塞された角管部材(管状部材)によって構成されており、貯湯槽本体(11)の前側壁に気密状態(密閉状態)で貫通配置されている。
【0067】
出湯管路(5)における貯湯槽(1)の内側に配置される部分(槽内引込部)は、下方に90°屈曲形成されて、貯湯槽本体(11)の前側壁内面に沿って下方に延びる下方延設部(51)が設けられる。さらにその下方延設部(51)の下端面には、下向きに開口された出湯口(55)が形成されている。この出湯口(55)は、貯湯槽本体(11)の底面近傍に配置されており、シャフト(2)の下端に設けられた処理ガス放出部材(21)よりも下方に配置されている。従って、この出湯口(55)の全周は、貯湯槽(1)内に貯留されるアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも下方に配置されることになる。
【0068】
そして、貯湯槽(1)内に貯留されたアルミニウム溶湯(L)は、図1,2の白抜きの矢印で示すよに出湯口(55)から出湯管路(5)内に流入されて、出湯管路(5)を通って、貯湯槽(1)の外部に流出され、鋳造装置等に送り込まれるようになっている。
【0069】
また出湯管路(5)の出湯口(55)は、既述したように、貯湯槽(1)の溶湯液面(L1)よりも下方に配置されているため、貯湯槽(1)の内部は出湯管路(5)の内部に対し液封止状態となっている。従って、出湯管路(5)の内部が大気に開放されていようとも、貯湯槽(1)内の溶湯液面上空は、アルミニウム溶湯(L)によって、出湯管路(5)の内部に対し密閉されて、外気と遮断されるようになっている。
【0070】
なおこの出湯管路(5)においても、上記入湯管路(4)と同様、少なくとも槽内引込部が、流通経路の周囲を閉塞する管状部材によって構成されていれば、貯湯槽(1)内の溶湯液面上空の気密性を確保することができる。つまり本発明において、出湯管路(5)における貯湯槽(1)の外側に配置される部分(槽外引出部)は、流通経路の周壁上部が開放された樋型(溝型)の形状に形成されていても良い。
【0071】
さらに出湯管路(5)の槽内引込部は、その周壁の一部を貯湯槽(1)の一部によって構成するようにしても良い。例えば、出湯管路(5)の槽内引込部における周壁の一部を、貯湯槽(1)の閉塞蓋(15)や、貯湯槽本体(11)の周側壁によって構成するようにしても良い。
【0072】
図2〜4に示すように、カス回収部としてのカス回収ポケット(6)は、貯湯槽本体(11)における他側壁(左側壁)の後部上側に設けられている。カス回収ポケット(6)は、その内部は、開口部(61)を介して貯湯槽(1)に連通されるものの、上端が閉塞されたボックス型の密閉構造を有しており、外気に対して遮断されている。なお本実施形態においては、カス回収ポケット(6)の上壁は、貯湯槽(1)の閉塞蓋(15)の一部によって構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、カス回収ポケット(6)の上壁(閉塞蓋)は、貯湯壁(1)の閉塞蓋(15)と別体で構成するようにしても良い。
【0073】
開口部(61)の下縁部は堰堤板(62)によって構成されている。この堰堤板(62)の上端位置は、貯湯槽(1)内に貯留されるアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも少し高い位置に設定されており、後述するように、アルミニウム溶湯(L)の液面上に浮遊するカス(Lx)が堰堤板(62)をオーバーフローして、カス回収ポケット(6)内に流入されるようになっている。
【0074】
なお本実施形態においては、貯湯槽(1)の周側壁におけるカス回収ポケット(6)に対応する部分を切り欠いて、開口部(61)を形成し、その開口部(61)の下側縁部によって、堰堤板(62)を構成するようにしても良い。
【0075】
また本実施形態においては、堰堤板(62)の上部には、図7,8に示すように、V字状やU字状(上向きコ字状)等のカス流入用凹部(63)を形成し、その凹部(63)を介して、貯湯槽(1)からカス(Lx)をオーバーフローさせるようにしても良い。このように堰堤板(62)に凹部(63)を形成する場合には、凹部(63)の底面の位置を、貯湯槽(1)内のアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも少し高い位置に形成するようにすれば良い。
【0076】
カス回収ポケット(6)には、開閉自在な遮断板(65)が設けられており、その遮断板(65)を閉じることによって、図3Cに示すように、カス回収ポケット(6)の内部が、貯湯槽(1)側の入口室(66)と、外側の出口室(67)とに分離されるようになっている。さらに遮断板(65)を閉じた状態では、その遮断板(65)によって、入口室(66)は、出口室(67)に対し密閉されるようになっている。
【0077】
カス回収ポケット(6)の出口室(67)側の周壁には、カス排出パイプ(68)が設けられるとともに、そのパイプ(68)には開閉バルブ(69)が設けられている。そして開閉バルブ(69)を開くと、カス排出パイプ(68)内の流通が許容されて、カス回収ポケット(6)の出口室(67)に収容されたカス(Lx)がカス排出パイプ(68)を通って外部に排出されるようになっている。さらに開閉バルブ(69)を閉じると、カス排出パイプ(68)の流通が遮断されて、カス(Lx)の排出が停止されるようになっている。なお言うまでもなく、開閉バルブ(69)を閉じた状態では、カス回収ポケット(6)内は、外気と遮断されて、気密性が確保されるようになっている。
【0078】
ここで本実施形態においては、遮断板(65)、ガス排出パイプ(68)および開閉バルブ(69)等によって、ガス排出手段が構成されている。
【0079】
図1,2,5に示すように、貯湯槽(1)の前側壁、一側壁(右側壁)および後側壁の各内面には、上下方向に延びる整流板(71)〜(73)が設けられている。
【0080】
各整流板(71)〜(73)は、貯湯槽(1)の内壁面から内側に向けて突出するように取り付けられて、平面視で反時計回りに回転流動するアルミニウム溶湯(L)の流動方向に対し直角に配置される。さらに各整流板(71)〜(73)の下端は、貯湯槽(1)の底面に接触するように配置される。従って、各整流板(71)〜(73)によって、回転流動する一部のアルミニウム溶湯(L)は上方へ誘導(流動)されるようになっている。
【0081】
なお、各整流板(71)〜(73)は、上端が筒状シール部材(3)の下端位置および入湯口(45)の位置に対し同等もしくは低くて、処理ガス放出部材(21)の位置よりも高い位置に配置されている。
【0082】
また貯湯槽(1)の他側壁(左側壁)内面におけるカス回収ポケット(6)の前側には、換言すれば、回収ポケット(6)の開口部(61)に対して、アルミニウム溶湯(L)の回転流動方向下流側の位置には、槽内側に向けて突出するようにカス止め板(75)が取り付けられている。このカス止め板(75)は、その上端部がアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも上方に配置されており、アルミニウム溶湯(L)の回転流動方向に対し直角に配置されている。従ってこのガス受け止め板(75)は、液面上に浮遊し、かつアルミニウム溶湯(L)に追従して反時計回りに回転流動するカス(Lx)を受け止めて、カス回収ポケット(6)側に誘導できるようになっている。
【0083】
ここで本実施形態においては、貯湯槽(1)内におけるカス止め板後方のカス回収ポケット開口部周辺、つまり後側壁および左側壁間の角部(一角部)が、カス溜まり部(60)として構成されている。
【0084】
また図2に示すように、カス止め板(75)の側縁部は、後方に屈曲されて、カス誘導部(76)として構成されており、液面上で回転流動して、カス誘導部(75)に当たったカス(Lx)は、カス誘導部(76)にガイドされて、カス溜まり部(60)側にスムーズに誘導されるようになっている。
【0085】
本実施形態において、カス止め板(75)の下端は、貯湯槽(1)の底面に接触するように配置されて、カス止め板(75)の下側部(74)は、上記整流板(71)〜(73)と実質的に同様な構成となる。従って本実施形態においては、カス止め板(75)の下側部(74)を、上記整流板(71)〜(73)と同様な、整流板として取り扱うようにしても良い。
【0086】
なお本実施形態においては、カス止め板(75)の下端を、貯湯槽(1)の底面まで設けているが、それだけに限られず、本発明においては、ガス受け止め板(75)の下端を、アルミニウム溶湯(L)の浅い位置(表層部)までしか設けないようにしても良い。この場合には、ガス受け止め板の下方に、そのガス受け止め板から分離させて、別途、整流板を設けるようにしても良い。
【0087】
図6に示すように、本実施形態のアルミニウム溶湯処理装置は、排気ガス回収手段としての排気ガス回収設備(8)が設けられている。この排気ガス回収設備(8)は、配管群によって構成されるガス回収管路(80)を備え、そのガス回収管路(80)の流入側端部が、貯湯槽(1)の閉塞蓋(15)に密封状態に貫通されて、貯湯槽(1)内におけるアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも上方(溶湯液面上空)に配置されている。
【0088】
さらに排気ガス回収設備(8)は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)の蒸気をトラップする蒸気トラップ(81)と、圧力計(82)と、ガス輸送手段としてのコンプレッサー(83)と、ガス回収容器(84)とを備え、これらのガス回収管路(80)上にこの順に設けられている。
【0089】
そしてコンプレッサー(83)の駆動によって、貯湯槽(1)内の溶湯液面上空に充満する使用済みガス(排気ガス)が、ガス回収管路(80)に吸引され、その排気ガスが、蒸気トラップ(81)を通ってAl、Mg、Zn蒸気が除去されて、ガス回収容器(84)に回収されるようになっている。
【0090】
また回収されたガスは適宜、精製工場において、所定の純度のアルゴンガス等、所定の成分の処理ガスに精製されて、リサイクルされるものである。
【0091】
なお言うまでもなく、排気ガス回収設備(8)に採用可能なガス輸送手段は、コンプレッサー(83)に限られず、他のガス輸送手段、例えば吸引ポンプ等も採用することができる(後述のガス再利用設備9においても同じ)。
【0092】
ここで本実施形態においては、コンプレッサー(83)等のガス輸送手段によって、槽内圧調整手段が構成されている。
【0093】
次に本実施形態の溶湯処理装置によって、アルミニウム溶湯(L)を処理して、その溶湯(L)から非金属介在物や不純物等のカス(Lx)を除去する際の動作について説明する。
【0094】
まず溶湯処理装置の稼働時においては、貯湯槽(1)内に予めアルミニウム溶湯(L)が所定量貯留されているものとする。
【0095】
なお既述したように、処理ガス吹き込み用シャフト(2)の外周に配置される筒状シール部材(3)の下端と、入湯管路(4)の入湯口(41)および出湯管路(5)の出湯口(51)とはいずれも、貯留されるアルミニウム溶湯(L)の液面(L1)よりも下方位置に配置されている。さらにカス回収ポケット(6)において、遮断板(65)は開放されるとともに、開閉バルブ(69)は閉じられている。従ってこのこの状態では、貯湯槽(1)およびカス回収ポケット(6)の各内部における上方空間部は、液封止によって、筒状シール部材(3)、入湯管路(4)および出湯管路(5)の各内部に対しそれぞれ密閉され、大気(外気)に対し遮断された状態となっている。
【0096】
そしてこの状態において、アルミニウム溶湯(L)を入湯管路(4)に通して入湯口(41)から貯湯槽(1)内に順次連続的に流入させるとともに、貯湯槽(1)内のアルミニウム溶湯(L)を出湯口(51)から順次連続的に出湯管路(5)に流出させて、その管路(5)に通して所定箇所(鋳造装置湯)へと送り込む。なお貯湯槽(1)内でのアルミニウム溶湯(L)の詳細な流動動作については、後に説明するものとする。
【0097】
こうして貯湯槽(1)内にアルミニウム溶湯(L)を供給する一方で、処理ガス吹き込み用シャフト(2)および処理ガス放出部材(21)を軸心回りに回転駆動させつつ、処理ガス供給手段(20)からシャフト(2)内にアルゴンガス(処理ガス)を加圧状態で供給する。シャフト(2)内に供給されたアルゴンガスは、シャフト(2)内を降下して処理ガス放出部材(21)に導入されて、処理ガス放出部材(21)の外周面から無数の気泡となって、アルミニウム溶湯(L)内に均等に分散されて放出される。
【0098】
アルミニウム溶湯(L)内に放出された無数の気泡は、溶湯内を浮揚していく際に、溶湯内に混入されたカス(Lx)を付着させて溶湯液面(L1)に浮上した後、カス(Lx)から分離して上空に放出される一方、分離されたカス(Lx)は溶湯液面上を浮遊するようになる。このようにアルミニウム溶湯(L)内に混入されたカス(Lx)が浮かび上がって液面上を浮遊する。
【0099】
ここで本実施形態において、貯湯槽(1)内のアルミニウム溶湯(L)には、シャフト(2)の回転によって図2の黒塗りの矢印で示すように、平面視反時計回りの回転流が発生しており、その回転流に沿って、アルミニウム溶湯(L)が流動している。その一方、入湯管路(4)の入湯口(41)は、液面付近の表層部で下向きに配置されるとともに、出湯管路(5)の出湯口(51)は、貯湯槽(1)の底面付近の深層部で下向きに配置されている。このため、入湯口(41)から流入される主流のアルミニウム溶湯(L)は、貯湯槽(1)の内部を大きくゆっくり旋回しながら徐々に沈降するように、螺旋状の流れに沿って流動していき、その後、出湯口(51)から出湯管路(5)に流出されて貯湯槽(1)の外部に流出されるようになる。このように貯湯槽(1)内に供給されるアルミニウム溶湯(L)は、螺旋状の流れに沿って貯湯槽(1)内全域をむら無く流動するため、その間に、多数のアルゴンガス気泡と接触することにより、上記したように、アルミニウム溶湯(L)内に混入されるカス(Lx)が確実に除去される。
【0100】
さらに本実施形態においては、入湯管路(4)の入湯口(41)を液面付近の表層部に配置しているため、入湯口(41)から貯湯槽(1)内に流入されたアルミニウム溶湯(L)は、表層部での回転流にスムーズに合流させることができる。
【0101】
その上さらに、出湯管路(5)の出湯口(51)を底面付近の深層部に配置しているため、貯湯槽(1)内を螺旋状の流れに沿って沈降したアルミニウム溶湯(L)を、貯湯槽(1)内から出湯口(51)を介してスムーズに流出させることができる。
【0102】
このように入湯口(41)から流入されるアルミニウム溶湯(L)を、所定の回転流に無理なく合流させることができるとともに、回転流動するアルミニウム溶湯(L)を、スムーズに出湯口(51)から流出させることができるため、上記カス除去に最適な流動特性を確実に得ることができる。
【0103】
またアルミニウム溶湯(L)の表層部よりも下側の中層部および深層部においては、筒状シール部材(3)が配置されないため、シャフト(2)による回転力が直接、溶湯(L)に伝わって、十分な回転力で回転しながら外側に押し出されるように流動する。このように中層部および深層部に十分な回転流が発生する一方、貯湯槽(1)の内周壁面における下側部(深層部)に、回転流に対し直交する整流板(71)〜(73)を配置しているため、深層部で回転流動する一部のアルミニウム溶湯(L)は、図1の黒塗りの矢印に示すように整流板(71)〜(73)により流れが制御されて、槽内壁面に沿って上昇する。この上昇流によって、中間層および深層部での上記回転流が表層部に押し上げられて、表層部においては、所望の安定した回転流が発生し、上記したようにアルミニウム溶湯(L)が大きくゆっくり回転流動する。
【0104】
また本実施形態では、アルミニウム溶湯(L)の表層部において、シャフト(2)の周囲を筒状シール部材(3)によって覆っているため、表層部で回転流動するアルミニウム溶湯(L)が、シャフト(2)に絡み付いて急激に沈降していくような不具合を防止することができ、表層部で所望の大きてゆるやかな回転流を確実に発生させることができる。
【0105】
さらに筒状シール部材(3)の回りを旋回するように大きく回転流動するアルミニウム溶湯(L)と、上下に循環流動する一部のアルミニウム溶湯(L)とがバランス良く混ざり合うことにより、偏流を防止することができ、貯湯槽(1)の特定箇所で、一部のアルミニウム溶湯(L)が長期間滞留するような不具合を防止でき、カス除去を確実に行うことができる。
【0106】
また表層部のアルミニウム溶湯(L)がシャフト(2)に直接絡みつかず、大きくてゆっくりとした安定した回転流が発生するため、後述するようにカス(Lx)の回収も容易に行うことができる。
【0107】
なお、本実施形態では、貯湯槽(1)内のアルミニウム溶湯(L)の表層部において、シャフト(2)の周囲を、筒状シール部材(3)によって覆っているため、シャフト(2)の回転による回転流が発生し難いものとなっている。さらにアルミニウム溶湯(L)の深層部においては、整流板(71)〜(73)が配置されるため、回転流が抑制されるものとなっている。そこで本実施形態においては、既述したように整流板(71)〜(73)の上端位置を、筒状シール部材(3)の下端位置よりも低位に配置しているため、少なくとも整流板(71)〜(73)と筒状シール部材(3)との間の中層部においては、アルミニウム溶湯(L)に所望の回転流が得られる。従って上記したように、表層部においても、アルミニウム溶湯(L)に安定した回転流が確実に得られるものである。
【0108】
一方、本実施形態の溶湯処理装置においては、既述したように貯湯槽(1)の溶湯液面上が密封されているため、溶湯内で放出されて液面上に放出された使用済みアルゴンガス(排気ガス)は、貯湯槽(1)内に加圧状態で封入されて、大気への不用意な放出を確実に防止することができる。しかも、貯湯槽(1)内のアルミニウム溶湯(L)は、外気と遮断された状態で処理されるため、カス除去性能を一段と向上させることができ、高品質のアルミニウム溶湯(鋳造用素材)を確実に得ることができる。
【0109】
ここで、本実施形態においては、貯湯槽(1)内に封入される使用済みアルゴンガスは回収するようにしている。すなわち図6に示すように処理ガス回収時においては、排気ガス回収設備(8)におけるコンプレッサー(83)を駆動させて、貯湯槽(1)の液面上に充満する使用済みガスを、ガス回収管路(80)に沿って吸引流通させることにより、蒸気トラップ(81)を介してガス回収容器(84)に回収するようにしている。
【0110】
また回収したアルゴンガスは、既述したように、精製工場において、所定の純度のアルゴンガス(所定の成分の処理ガス)に精製されて、リサイクルされるものである。
【0111】
なお使用済みアルゴンガスの回収処理は、バッチ処理で断続的に行うようにしても良いし、インライン処理で連続的に行うようにしても良い。
【0112】
また、本実施形態においては、貯湯槽(1)内で溶湯液面上を浮遊するカス(Lx)を回収して排出することができる。
【0113】
すなわち上記したように、表層部のアルミニウム溶湯(L)が大きくゆっくり回転するため、液面(L1)で浮遊するカス(Lx)が、シャフト(2)に絡みついて中心部に凝集するようなことがなく、アルミニウム溶湯(L)の回転流動に追従して液面上を大きく回転しながら、遠心力によって徐々に外側に移動していく。このようにカス(Lx)を貯湯槽(1)の外周部に導くように、カス(Lx)の挙動を制御できるため、カス(Lx)の回収を容易に行うことができる。
【0114】
具体的には、溶湯処理層(1)の左側壁および後側壁間の角部にカス溜まり部(60)を形成しているため、溶湯処理層(1)の内周壁面、つまり後側壁内面に沿って移動するカス(Lx)は、カス溜まり部(60)にスムーズに導かれていく。しかも本実施形態においては、カス溜まり部(60)における回転流の下流側に、回転流を遮る態様にカス止め板(75)を配置しているため、回転流に伴って、カス溜まり部(60)を横切ろうとするカス(Lx)が、カス止め板(75)に受け止められて、カス溜まり部(60)に誘導されていく。従って液面上を浮遊するカス(Lx)は、カス溜まり部(60)に効率良く収集されていく。
【0115】
ここで本実施形態の溶湯処理装置においては、通常運転状態、例えば使用済みアルゴンガスを吸引回収していない状態では、貯湯槽(1)の溶湯液面上空は密閉されるとともに、加圧状態で供給されたアルゴンガス(排気ガス)が充満している。このため図1,3Aに示すように、外部の大気圧(P1)よりも、貯湯槽(1)の上空部の気圧(槽内圧P2)は高くなっている。従って「大気圧(P1)<槽内圧(P2)」の関係が成立し、貯湯槽(1)の液面高さは、大気圧状態での液面高さよりも低くなっている。
【0116】
そして本実施形態においては、カス回収ポケット(6)における堰堤板(62)の上端位置が、既述したように貯湯槽(1)の液面(L1)よりも高い位置に設定されているため、通常運転状態では、貯湯槽(1)内におけるカス溜まり部(60)に収集されたカス(Lx)は、堰堤板(62)をオーバーフローすることなく、カス溜まり部(60)に収集した状態で滞留している。
【0117】
そこで本実施形態においては、定期的、あるいはカス溜まり部(60)に所定量以上のカス(Lx)が溜まった時点で、その溜まったカス(Lx)を、貯湯槽(1)からカス回収ポケット(6)に回収するものである。
【0118】
すなわちカス回収操作を行うには、上記排気ガス回収設備のコンプレッサー(83)を駆動したり、あるいは貯湯槽(1)を単に外気に開放させたりして、貯湯槽(1)内の気圧(P2)を低下させる。これにより図3Bに示すように貯湯槽(1)内の溶湯液面(L1)が上昇するため、この液面上昇に伴って、液面上のカス(Lx)も上昇する。従って、カス(Lx)が、カス回収ポケット(6)の堰堤板(62)の上端よりも上位に配置されて、カス(Lx)が堰堤板(62)をオーバーフローして、カス回収ポケット(6)内に回収される。
【0119】
こうして貯湯槽(1)内のカス(Lx)を、カス回収ポケット(6)内に回収した後、運転を再開する場合には、コンプレッサー(83)の駆動を停止したり、貯湯槽(1)内を外気と遮断するものである。
【0120】
また本実施形態において、カス回収ポケット(6)内に回収されたカス(Lx)は、外部に排出することができるが、例えば通常運転中に、カス回収ポケット(6)内のカス(Lx)を排出する場合には図3Cに示すように、カス回収ポケット(6)の遮断板(65)を閉じることにより、入口室(66)および出口室(67)間を分離して、出口室(67)を貯湯槽(1)内の雰囲気から遮断する。その後、開閉バルブ(69)を開いて、出口室(67)内のカス(Lx)をカス排出パイプ(68)を介して外部に排出するものである。
【0121】
なお貯湯槽(1)を大気に開放して、カス(Lx)をカス回収ポケット(6)内に回収するような場合には、その大気開放中においては、遮断板(65)を閉じることなく、開放したままの状態で、カス回収ポケット(6)内に回収されたカス(Lx)をカス排出パイプ(68)を介して外部に排出するようにしても良い。
【0122】
さらに定期点検時等において、貯湯槽(1)を大気に開放する際に、遮断板(65)を閉じずに、カス回収ポケット(6)内のカス(Lx)をカス排出パイプ(68)を介して排出することもできる。換言すれば本発明において、遮断板(65)は必ずしも設ける必要がなく、貯湯槽(1)内を大気に開放させるような場合を見計らって、必要に応じて、カス回収ポケット(6)内のカス(Lx)を排出するようにしても良い。
【0123】
また本実施形態においては、貯湯槽(1)の前壁と、カス止め板(75)との間のデッドスペースに、出湯管路(5)の槽内引込部を配置しているため、槽内設置部品を、スペース的に効率良く配置でき、貯湯槽(1)の無駄な大型化を回避でき、高性能コンパクト化を図ることができる。
【0124】
なお言うまでもなく、入湯管路(4)や出湯管路(5)の設置位置は、上記実施形態のものだけに限られず、どのような位置に設置しても良い。例えば図9に示すように、出湯管路(5)を貯湯槽(1)の右側壁前端に設置するようにしても良い。さらに図10に示すように、入湯管路(4)を貯湯槽(1)の前側壁右端に設置するようにしても良い。
【0125】
また上記実施形態において、入湯管路(4)の槽内引込部は、直線状に形成しているが、それだけに限られず、本発明においては、入湯管路(4)の槽内引込部を屈曲させるようにしても良い。例えば図11に示すように、入湯管路(4)の槽内引込部に、下方に向かって延びる下方延設部(42)を形成し、その下端に下向きに開口する入湯口(41)を形成するようにしても良い。さらに図12に示すように、入湯管路(4)の槽内引込部に、下方に向かって延びる下方延設部(42)を形成し、その下方延設部(42)の下端を制御板(43)により閉塞するとともに、下方延設部(42)の下部周壁に、水平方向(横向き)に開口する入湯口(41)を形成するようにしても良い。このように入湯口(41)を横向きに開口させる場合には、入湯口(41)から流出される溶湯(L)の流出方向を、貯湯槽(1)内における溶湯(L)の回転流動方向に一致させることにより、回転速度を加速させることができ、溶湯表層部に、より一層安定した回転流を発生させることができる。
【0126】
さらに上記実施形態等においては、入湯口(41)の開口方向を下向きまたは横向きに設定しているが、それだけに限られず、本発明においては、入湯口を、斜め下向きや、斜め上向きに開口させるようにしても良い。
【0127】
同様に、出湯口(51)の開口方向も下向きに限定されるものではなく、横向きはもちろんのこと、斜め下向きや、斜め上向きに設定するようにしても良い。
【0128】
また本発明においては図13に示すように、シャフト(2)の周囲に設けられる筒状シール部材(3)に流入孔(31)を形成するようにしても良い。この流入孔(31)は、溶湯液面(L1)よりも低位に設けられ、その流通孔(31)を介して、アルミニウム溶湯(L)を筒状シール部材(3)内に流入させて、そのアルミニウム溶湯(L)を沈降させて中層部から深層部で回転させながら外側に流動させるものである。この場合には、アルミニウム溶湯(L)の中層部および深層部において、より一層安定した回転流が発生し、表層部において、より一層安定した回転流を確実に発生させることができる。
【0129】
さらに筒状シール部材(3)に流入孔(31)を形成するような場合には、図14に示すように、筒状シール部材(3)の内周面における流入孔(31)よりも下側に、凸条部または凹条部等の内周線条部(32)を螺旋状に設けることにより、筒状シール部材(3)の内部に、螺旋状に降下する溶湯(L)の流れを発生させることができ、溶湯(L)をより一層スムーズに沈降させることができる。なおシャフト(2)の外周面に、螺旋状の突条部または凹条部等の線条線条部を設けることによっても、螺旋状に降下する溶湯(L)の流れを発生させることができる。
【0130】
また本発明においては図15に示すように、シャフト(2)の外周面に羽根(25)を設けるようにしても良い。この場合には、羽根(25)によって、アルミニウム溶湯(L)に、十分な回転力を与えることができ、安定した回転流をより一層確実に発生させることができる。
【0131】
また上記実施形態においては、貯湯槽(1)内の気圧を変化させることにより、溶湯液面(L1)の高さを上昇させて、液面上のカス(Lx)を堰堤板(62)に対してオーバーフローさせて、カス回収ポケット(6)内に回収するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、堰堤板(62)を上下に昇降駆動自在に設けて、カス回収時には、堰堤板(62)を降下させて、その低位の堰堤板(62)に対して貯湯槽(1)側のカス(Lx)をオーバーフローさせて、カス回収ボックス(6)に回収するようにしても良い。
【0132】
さらに上記実施形態においては、貯湯槽(1)内のカス(Lx)が所定量貯まる毎に断続的に、カス(Lx)を貯湯槽(1)からカス回収ボックス(6)に回収するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、貯湯槽(1)からカス回収ボックス(6)に連続的にカス(Lx)を回収するようにしても良い。すなわち、堰堤板(62)の上端位置を、貯湯槽(1)の溶湯液面(L1)と同位、あるいは少しだけ高位に設定しておいて、貯湯槽(1)のカス溜まり部(60)に、カス(Lx)が順次収集されるに従って、自動的に連続して堰堤板(62)をオーバーフローさせてカス回収ボックス(6)に回収されるようにした、いわゆる垂れ流し方式でカス(Lx)をカス回収ボックス(6)に回収するようにしても良い。
【0133】
また本発明において、カス回収ボックス(6)は必ずしも必要なものではなく、貯湯槽(1)の閉塞蓋(15)を開放させるような場合を見計らって、必要に応じて、カス溜まり部(60)に収集されたカス(Lx)を、適宜、ヒシャク等ですくい取るようにしても良い。
【0134】
ところで、上記実施形態においては、回収した使用済みのアルゴンガスを、バッチ式で精製して再利用するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、回収した使用済みのアルゴンガスを、インライン式で順次精製していき、リアルタイムで再利用するようにしても良い。
【0135】
例えば図16に示すように、上記実施形態と同様のアルミニウム溶湯処理装置に、ガス再利用設備(9)を装備させるようにしても良い。このガス再利用設備(9)は、配管群によって構成されるガス管路(90)を備え、そのガス管路(90)の流入側端部が、貯湯槽(1)の閉塞蓋(15)に密封状態に貫通されて、貯湯槽(1)内における溶湯液面(L1)よりも上方に配置されている。
【0136】
さらにガス再利用設備(9)には、ガス管路(90)上に、蒸気トラップ(81)、水分除去装置(91)、酸素除去装置(92)、酸化炭素除去装置(93)、水素除去装置(94)、圧力計(82)、コンプレッサー(83)およびガス保存容器(95)が設けられている。さらにガス保存容器(95)のガス出口には、配管群によって構成される戻し管路(96)が連通接続されるとともに、その戻し管路(96)が、圧力計(97)を介して、シャフト(2)の上端部に連通接続されている。さらに戻し管路(96)には、バックアップ用に、アルゴンガスボンベ等の処理ガス供給手段(20)が連通接続されている。
【0137】
このガス再利用設備(9)において、コンプレッサー(83)を駆動すると、貯湯槽(1)内の上空に充満する使用済みガスが、ガス管路(90)に吸引され、その使用済みガスが、蒸気トラップ(81)、水分除去装置(91)、酸素除去装置(92)、酸化炭素除去装置(93)、水素除去装置(94)を通って、AL、Mg、Zn蒸気、水分、酸素、酸化炭素、水素が順次除去されて、所定の純度のアルゴンガス(所定の成分の処理ガス)に精製された後、ガス保存容器(95)に保存される。さらにガス保存容器(95)に保存された精製ガスは、戻し管路(96)を通って、シャフト(2)に供給されて、貯湯槽(1)内のアルミニウム溶湯(L)中に微細の気泡状態で放出されるものである。またガス保存容器(95)からの貯湯槽(1)のへの精製ガスの供給量(ガス圧)が少ない場合には、バックアップ用の処理ガス供給手段(20)から不足分の処理ガスが戻し管路(96)に供給されるものである。
【0138】
このように本発明においては、回収した使用済みガスを、リアルタイムで再利用(リサイクル)することができる。
【0139】
ここで本実施形態においては、蒸気トラップ(81)、水分除去装置(91)、酸素除去装置(92)、酸化炭素除去装置(93)、水素除去装置(94)によって、ガス精製手段が構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0140】
この発明のアルミニウム溶湯処理装置は、アルミニウム溶湯中に処理ガスを吹き込むようにしたガスバブリングフィルター等に適用可能である。
【符号の説明】
【0141】
1…貯湯槽
11…貯湯槽本体
15…閉塞蓋
16…シャフト挿通孔
2…処理ガス吹き込み用シャフト
21…処理ガス放出部材
25…羽根
3…筒状シール部材
31…流入孔
32…内周線条部
4…入湯管路
45…入湯口
5…出湯管路
55…出湯口
6…カス回収ポケット(カス回収部)
61…開口部
62…堰堤板
71〜73…整流板
75…カス止め板
83…コンプレッサー(槽内圧調整手段)
L…アルミニウム溶湯
L1…溶湯液面
Lx…カス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム溶湯が貯留される密閉型の貯湯槽と、
前記貯湯槽の上壁に密閉状態に貫通する筒状シール部材と、
前記筒状シール部材に挿通配置され、溶湯液面よりも下方に配置された下端部から溶湯中に処理ガスが気泡状態で放出される処理ガス吹き込み用シャフトと、
前記貯湯槽の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に入湯口が設けられ、槽外から供給されるアルミニウム溶湯を、前記入湯口を介して前記貯湯槽内に流入させる入湯管路と、
前記貯湯槽の周壁に密閉状態に貫通されるとともに、槽内引込部に出湯口が設けられ、前記貯湯槽内のアルミニウム溶湯を、前記出湯口を介して槽外に流出させる出湯管路と、を備え、
前記筒状シール部材の下端、前記入湯口および前記出湯口が、溶湯液面よりも下方に配置されて、
前記貯湯槽内において、溶湯液面上空がアルミニウム溶湯によって、前記筒状シール部材、前記入湯管路および前記出湯管路の各内部に対しそれぞれ密閉される一方、
前記貯湯槽内における溶湯液面上空の気圧を調整するための槽内圧調整手段が設けられ、その槽内圧調整手段による気圧調整によって、溶湯液面の高低が制御されるようにしたことを特徴とするアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項2】
前記貯湯槽内の溶湯液面上空に充満する排気ガスを回収可能に構成される請求項1に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項3】
前記貯湯槽は、上端に開口部を有する貯湯槽本体と、その貯湯槽本体の上端開口部を閉塞する閉塞蓋とを有する請求項1または2に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項4】
前記入湯口が、前記出湯口よりも高位に配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項5】
前記シャフトが、軸心回りに回転駆動可能に構成され、
前記シャフトの回転によって、前記貯留槽内の溶湯に回転流が発生するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項6】
前記貯湯槽の周壁内面に、カスを収集するためのカス溜まり部が設けられる請求項5に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項7】
前記貯湯槽は、平面視矩形状に形成され、その貯湯槽の一角部が前記カス溜まり部として構成される請求項6に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項8】
前記貯湯槽の内壁面に、溶湯液面上を浮遊するカスを受け止めて前記カス溜まり部に収集させるためのカス止め板が設けられる請求項6または7に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項9】
前記貯湯槽の周壁に、前記カス溜まり部に対応して開口部が設けられ、
前記貯湯槽の外部に、前記開口部を介して前記カス溜まり部に連通する密閉型のカス回収部が設けられ、
前記カス溜まり部に収集されたカスが、前記開口部を介して前記カス回収部に回収されるようにした請求項6〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項10】
前記開口部の下縁部に堰堤板が設けられ、
前記カス溜まり部に収集されたカスが、前記堰堤板をオーバーフローして前記カス回収部に回収されるようにした請求項9に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項11】
カスを前記カス回収部に回収させる際に、前記槽内圧調整手段によって、溶湯液面を上昇させるようにした請求項10に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項12】
前記カス回収部に回収されたカスを、前記貯湯槽内に対し雰囲気を遮断した状態で、外部に排出するためのカス排出手段が設けられる請求項9〜11のいずれか1項に記載のアルミニウム溶湯処理装置。
【請求項13】
回収された排気ガスを精製して、処理ガスとして再利用するようにした請求項2に記載のアルミニウム溶湯処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−63472(P2013−63472A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6941(P2013−6941)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2008−333942(P2008−333942)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】