説明

アロマ芳香火屋

【課題】 ろうそくの火のカバー用途のみならず、より豊かな視覚効果、嗅覚効果を与えるアロマ芳香火屋を提供する。
【解決手段】 耐火素材で形成された載置台10と、瓦素材で形成され下面に開口部を有する略釣鐘形状の火屋20と、多孔質の瓦素材で形成されアロマ芳香液を前記多孔質に含浸させたアロマ芳香小片であって前記火屋20の上面に載せ置かれるアロマ芳香小片30を備えている。火屋20の上面には上面孔24が設けられている。アロマ芳香小片30の径よりも小さい径を持ち、アロマ芳香小片30を載せ置くことによりアロマ芳香小片30の底面と火屋20内部とをつなげる。火屋20の内部の載置台10の上に熱源となるろうそく40を置き、ろうそく40の熱により上面孔24を介してアロマ芳香小片30をあぶり、含浸されているアロマ芳香液を蒸散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろうそくの灯りをもたらす火屋の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
火屋の目的は、内部のろうそくの火を風雨から守り、また、火がむき出しで燃えていると周囲の可燃性のものに火が燃え移らないようにする保護カバーとしての目的で用いられるものである。そして、ろうそくの火の灯りが周囲から見えるように耐火性を有する透明素材で形成するのが基本であった。
そのため、従来技術における火屋は、透明のガラス製や耐火プラスチックなどの素材で形成され、内部にろうそくを収める空間と下面に開口部を有する略釣鐘形状をしたものであった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−42522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今、世の中で癒しが求められている。そこで、たくさんの癒しグッズが開発・販売されている。
視覚による癒しとして、行灯や提灯などの暖かい暖色系の色による灯りを照らすものが注目されている。
聴覚による癒しとして、風鈴などの優しい音色を出すものや水のせせらぎ音などが注目されている。
嗅覚による癒しとして、安らぎを覚える匂いを出すアロマを蒸散させるアロマポットなどが注目されている。
味覚による癒しとして、ミントなどの爽快感を与える嗜好品が注目されている。
触覚による癒しとして、アーユルベーダなどのアロマオイルによるマッサージなどが注目されている。
【0005】
火屋は主に、視覚による癒しを提供することはできるが、中のろうそくの火がそのまま見えることが基本であり、癒しグッズとして、さらなる視覚効果、嗅覚効果を与えることができなかった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み案出されたものであって、より豊かな視覚効果、嗅覚効果を与える癒し効果を与える火屋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1のアロマ芳香火屋は、
耐火素材で形成された載置台と、
瓦素材で形成され、下面に開口部を有する略釣鐘形状の火屋と、
多孔質の瓦素材で形成され、アロマ芳香液を前記多孔質に含浸させたアロマ芳香小片であって、前記火屋の上面に載せ置かれるアロマ芳香小片と、
前記火屋の上面に設けられ、前記アロマ芳香小片を載せ置くことにより、前記火屋内部の熱を前記アロマ芳香小片に伝導する上面部と、
前記火屋の内部の前記載置台の上に熱源となるろうそくを置き、前記ろうそくの熱により前記上面部を介して前記アロマ芳香小片を熱し、含浸されているアロマ芳香液を蒸散させる、アロマ芳香と灯りとをもたらすものである。
なお、前記火屋の側面に模様を形作る模様孔を設け、前記火屋内部で灯されるろうそくの灯りが前記模様孔を介して前記火屋外に漏れるようにし、より豊かな視覚効果を与えることができる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2のアロマ芳香火屋は、
瓦素材で形成され、底面に平面部分を有し、側面の一部に開口部を有する略釣鐘形状の火屋と、
多孔質の瓦素材で形成され、アロマ芳香液を前記多孔質に含浸させたアロマ芳香小片であって、前記火屋の上面に載せ置かれるアロマ芳香小片と、
前記火屋の上面に設けられ、前記アロマ芳香小片の径よりも小さい径を持つ上面孔であって、前記孔の上に前記アロマ芳香小片を載せ置くことにより、前記孔を形成する周縁により前記アロマ芳香小片を支えつつ前記アロマ芳香小片の底面と前記火屋内部とをつなげる上面孔と、
前記火屋の内部の前記底面に熱源となるろうそくを置き、前記ろうそくの熱により前記上面孔を介して前記アロマ芳香小片を熱し、含浸されているアロマ芳香液を蒸散させる、アロマ芳香と灯りとをもたらすものである。
なお、前記火屋の開口部が設けられた側面の対向面側の側面に模様を形作る模様孔を設け、前記火屋内部で灯されるろうそくの灯りが前記模様孔を介して前記火屋外に漏れるようにし、より豊かな視覚効果を与えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアロマ芳香火屋によれば、アロマによる嗅覚効果、模様孔を介した灯りによる豊かな視覚効果を得ることができ、優れた癒しを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明のアロマ芳香火屋の実施形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に示した具体的な用途や形状・寸法などには限定されない。
【実施例1】
【0011】
実施例1として本発明の第1のアロマ芳香火屋の構成例を示す。
図1は、本発明の第1のアロマ芳香火屋の構成例を示す平面図および正面図である。
図2は火屋20のみを取り出して見た平面図と、底面図と、図1の平面図にA−A線として示した面における縦断面図である。
図3はアロマ芳香小片30の平面図および正面図と、載置台10の平面図および正面図である。
図1に示すように、本発明のアロマ芳香火屋100は、載置台10、火屋20、アロマ芳香小片30を備えている。
【0012】
載置台10は、耐火素材で形成されたものであり、例えば、瓦素材などでも良い。後述するろうそく40が載せ置かれるのでろうそくの火に対する耐火性が必要である。
【0013】
火屋20は、瓦素材で形成され、下面に開口部21を有する略釣鐘形状のものである。周囲の側壁22には模様を形作る模様孔23が設けられており、火屋内部で灯されるろうそく40の灯りが模様孔23を介して火屋外に漏れるようになっており、より豊かな視覚効果を与えることができるものとなっている。
なお、模様孔23の形状は多種多様なものが可能である。この例では一例として花柄模様となっている。
また、図2に見るように、火屋20の上面には上面部24が設けられている。この上面部24の上に後述するようにアロマ芳香小片30が載せ置かれ、後述するように火屋20内部のろうそくなどの熱源により上面部24が熱せられ、上面部24を介してアロマ芳香小片30が暖められる。
なお、火屋20の瓦素材としては「淡路いぶし瓦」を用いることが好ましい。「淡路いぶし瓦」は美しい光沢を持っているので視覚的な癒し効果が注目されているが、電磁波の吸収能力や反射能力があることが確認されており、人体に有害と言われる電磁波を低減させる効果もある。本発明のアロマ芳香火屋の瓦素材として「淡路いぶし瓦」を使用することにより視覚的な癒し効果と電磁波低減効果が得られる。
【0014】
アロマ芳香小片30は図3に見るように板状の小片であり、コイン状の円柱体となっている。底面図は正面図と同様、背面図および側面図は正面図と同様であるため図示は省略している。
アロマ芳香小片30は、多孔質の瓦素材で形成され、アロマ芳香液を多孔質に含浸させたものである。火屋20の上面に載せ置かれる。瓦素材は多孔質でありこの微小な孔にアロマ芳香液が含浸される。後述するようにこのアロマ芳香小片30が暖められることにより含浸されていたアロマ芳香液が少しずつ蒸散してゆくこととなる。
なお、アロマ芳香は香りに応じて効果があるとされ(たとえば、ラベンダーの香りであれば鎮静効果、ミントであれば疲労回復など)、混じり合わないように、アロマ芳香小片30を複数個提供し、含浸させるアロマ芳香液を決めて固定しておくことも好ましい。
なお、アロマ芳香小片30の瓦素材としても「淡路いぶし瓦」を用いることが好ましい。「淡路いぶし瓦」はきめ細かい肌合いを持つ一方、多孔質性にも優れており、アロマ芳香液を含浸させることによりたっぷりとアロマ芳香液を貯蔵することでき、嗅覚的な癒し効果を発揮することができる。
【0015】
本発明のアロマ芳香火屋100は、内部にろうそく40の火を燃やすことにより視覚効果と嗅覚効果を与えるものである。
【0016】
図4は、本発明のアロマ芳香火屋100の使用状態を、図1の平面図にA−A線として示した面における縦断面図で示した図である。
火屋20の内部において載置台10の上に熱源となるろうそく40を置く。この例ではさらなる安全性を考慮して、耐火性に優れたろうそくカップ41の中にろうそく40を入れて載置台10の上に設置している。
【0017】
火屋20の内部においてろうそく40を燃やすことにより、ろうそく40の熱が上昇し、上面孔24を介してアロマ芳香小片30を熱する。アロマ芳香小片30にはアロマ芳香液が含浸されており、この含浸されているアロマ芳香液が蒸散することによりアロマ芳香という嗅覚効果が得られる。
【0018】
また、本発明のアロマ芳香火屋100は例えば瓦素材でできているためにろうそくの灯りは模様孔23からのみ漏れ出るため、灯りにより模様孔23の輪郭が綺麗に彩られるように見えることとなる。特に夜間においては模様孔23の輪郭が綺麗に彩られる。なお、本発明のアロマ芳香火屋100の模様孔23は多様なバリエーションが可能である。
つまり、本発明のアロマ芳香火屋100において、アロマ芳香という嗅覚効果と、灯りという視覚効果とが得られる。
【実施例2】
【0019】
実施例2として本発明の第2のアロマ芳香火屋の構成例を示す。
図5および図6は、本発明の第2のアロマ芳香火屋100aの構成例を示す図である。図5は平面図および正面図、図6は背面図となっている。図7は火屋20aのみを取り出して見た平面図と、底面図と、図5の平面図にB−B線として示した面における縦断面図である。
図5および図6に示すように、本発明のアロマ芳香火屋100aは、火屋20a、アロマ芳香小片30を備えている。特に載置台は示されていないが載置台を用いる構成も可能である。
【0020】
火屋20aは、瓦素材で形成され、底面に平面部分10aを備え、正面には模様孔23を備え、背面には開口部21aを備えた略釣鐘形状の火屋となっている。実施例1の例では開口部21は底面部に設けられていたが、実施例2の構成例は底面は平面部分10aが設けられており、開口部21aは背面に大きく設けられている。
模様孔23は実施例1と同様、火屋20a内部で灯されるろうそく40の灯りが模様孔23を介して火屋20a外に漏れるようにし、より豊かな視覚効果を与えることができるものとなっている。
図7に見るように、火屋20の上面には上面孔24が設けられている。
【0021】
アロマ芳香小片30は、実施例1のアロマ芳香小片30と同様で良く、多孔質の瓦素材で形成され、アロマ芳香液を多孔質に含浸させたものである。火屋20の上面に載せ置かれる。
アロマ芳香小片30と火屋20の上面孔24との関係については実施例1のアロマ芳香火屋100と同様であり、上面孔24の径はアロマ芳香小片30の径よりも小さい径となっている。つまり、上面孔24の上にアロマ芳香小片30を載せ置いても通過して落ちないようになっており、上面孔24の上にアロマ芳香小片30を載せ置くことにより、上面孔24を形成する周縁によりアロマ芳香小片30を支えるようになっている。
【0022】
上面孔24の上にアロマ芳香小片30を載せることにより、アロマ芳香小片30の底面と火屋20aの内部空間とがつながることとなる。
【0023】
本発明のアロマ芳香火屋100aは、内部にろうそく40の火を燃やすことにより視覚効果と嗅覚効果を与えるものである。
図8は、本発明のアロマ芳香火屋100aの使用状態を、背面から示した図である。
【0024】
火屋20aの内部において載置台10の上に熱源となるろうそく40を置く。この例ではさらなる安全性を考慮して、耐火性に優れたろうそくカップ41の中にろうそく40を入れて載置台10の上に設置している。
火屋20aの内部においてろうそく40を燃やすことにより、ろうそく40の熱が上昇し、上面孔24を介してアロマ芳香小片30を熱する。アロマ芳香小片30にはアロマ芳香液が含浸されており、この含浸されているアロマ芳香液が蒸散することによりアロマ芳香という嗅覚効果が得られる。
【0025】
また、本発明のアロマ芳香火屋100aは例えば瓦素材でできているためにろうそくの灯りは模様孔23からのみ漏れ出るため、灯りにより模様孔23の輪郭が綺麗に彩られるように見えることとなる。特に夜間においては模様孔23の輪郭が綺麗に彩られる。なお、本発明のアロマ芳香火屋100の模様孔23は多様なバリエーションが可能である。
つまり、本発明のアロマ芳香火屋100aにおいて、アロマ芳香という嗅覚効果と、灯りという視覚効果とが得られる。
【0026】
以上、本発明のアロマ芳香火屋における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明はろうそくの火に対するカバーである火屋に対して広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1のアロマ芳香火屋の構成例を示す平面図および正面図
【図2】火屋のみを取り出して見た平面図と、底面図と、図1の平面図にA−A線として示した面における縦断面図
【図3】アロマ芳香小片30の平面図および正面図と、載置台10の平面図および正面図
【図4】本発明のアロマ芳香火屋100の使用状態を、図1の平面図にA−A線として示した面における縦断面図で示した図
【図5】本発明の第2のアロマ芳香火屋の構成例を示す平面図および正面図
【図6】本発明の第2のアロマ芳香火屋の構成例を示す背面図
【図7】火屋20aのみを取り出して見た平面図と、底面図と、図5の平面図にB−B線として示した面における縦断面図
【図8】本発明のアロマ芳香火屋100aの使用状態を、背面から示した図
【符号の説明】
【0029】
100,100a アロマ芳香火屋
10 載置台
20,20a 火屋
21,21a 開口部
22 壁面
23 模様孔
24 上面孔
30 アロマ芳香小片
40 ろうそく
41 ろうそくカップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火素材で形成された載置台と、
瓦素材で形成され、下面に開口部を有する略釣鐘形状の火屋と、
多孔質の瓦素材で形成され、アロマ芳香液を前記多孔質に含浸させたアロマ芳香小片であって、前記火屋の上面に載せ置かれるアロマ芳香小片と、
前記火屋の上面に設けられ、前記アロマ芳香小片を載せ置くことにより、前記火屋内部の熱を前記アロマ芳香小片に伝導する上面部と、
前記火屋の内部の前記載置台の上に熱源となるろうそくを置き、前記ろうそくの熱により前記上面部を介して前記アロマ芳香小片を熱し、含浸されているアロマ芳香液を蒸散させる、アロマ芳香と灯りとをもたらすアロマ芳香火屋。
【請求項2】
前記火屋の側面に模様を形作る模様孔を設け、前記火屋内部で灯されるろうそくの灯りが前記模様孔を介して前記火屋外に漏れるようにした請求項1に記載のアロマ芳香火屋。
【請求項3】
瓦素材で形成され、底面に平面部分を有し、側面の一部に開口部を有する略釣鐘形状の火屋と、
多孔質の瓦素材で形成され、アロマ芳香液を前記多孔質に含浸させたアロマ芳香小片であって、前記火屋の上面に載せ置かれるアロマ芳香小片と、
前記火屋の上面に設けられ、前記アロマ芳香小片の径よりも小さい径を持つ上面孔であって、前記孔の上に前記アロマ芳香小片を載せ置くことにより、前記孔を形成する周縁により前記アロマ芳香小片を支えつつ前記アロマ芳香小片の底面と前記火屋内部とをつなげる上面孔と、
前記火屋の内部の前記底面に熱源となるろうそくを置き、前記ろうそくの熱により前記上面孔を介して前記アロマ芳香小片を熱し、含浸されているアロマ芳香液を蒸散させる、アロマ芳香と灯りとをもたらすアロマ芳香火屋。
【請求項4】
前記火屋の開口部が設けられた側面の対向面側の側面に模様を形作る模様孔を設け、前記火屋内部で灯されるろうそくの灯りが前記模様孔を介して前記火屋外に漏れるようにした請求項3に記載のアロマ芳香火屋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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