説明

アンテナの硬質性および製造性を改善するために合金膜を含むプラズモンアンテナを使用する熱アシスト磁気書込みヘッド

【課題】アンテナの硬質性および製造性を改善するために合金膜を含むプラズモンアンテナを使用する熱アシスト磁気書込みヘッドを提供する。
【解決手段】プラズモン加熱デバイスを有する熱アシスト書込みヘッドを提供する。プラズモン加熱デバイスは、熱アシスト書込みヘッドのエアベアリング面に位置するプラズモンアンテナを有する。プラズモンアンテナは、プラズモンアンテナを構成するために使用されるイオンミリングおよび化学機械研磨などのプロセスに耐えるのに十分に硬質である合金から構成される。プラズモンアンテナは、好ましくは、AuXから構成され、Xは、Cu、Ni、Ta、Ti、Zr、またはPtであり、5原子パーセント未満の濃度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録に関し、より詳細には、プラズモン加熱デバイスを有する磁気書込みヘッドに関する。プラズモン加熱デバイスは、透明開口、および、ノッチであって、ノッチ内に幅広レーザスポットエネルギーを収束させるためのノッチを有する不透明金属プラズモンアンテナを含む。プラズモンアンテナは、製造中の頑丈さの改善のために独特の金合金から形成される。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの長期メモリの心臓部は、磁気ディスクドライブと呼ばれる組立体である。磁気ディスクドライブは、回転磁気ディスク、回転磁気ディスクの表面に隣接してサスペンションアームによって懸垂保持される書込みおよび読取りヘッド、ならびに、読取りおよび書込みヘッドを、回転ディスク上の選択された環状トラックにわたって(over)配置するためにサスペンションアームを揺動させるアクチュエータを含む。読取りおよび書込みヘッドは、エアベアリング面(air bearing surface)(ABS)を有するスライダ上に直接位置付けられる。サスペンションアームは、ディスクの表面に向かってスライダをバイアスさせ、ディスクが回転すると、ディスクに隣接するエアが、ディスクの表面と共に移動する。スライダは、この移動エアのクッション上でディスクの表面にわたって飛翔する。スライダがエアベアリング上に載ると、書込みおよび読取りヘッドは、回転ディスクへの磁気転移の書込み、および回転ディスクからの磁気転移の読取りのために使用される。読取りおよび書込みヘッドは、書込みおよび読取り機能を実装するコンピュータプログラムに従って動作する処理回路要素に接続される。
【0003】
GMRまたはTMRセンサなどの磁気抵抗センサが、回転磁気ディスクから磁場を検知するために使用される。センサは、被ピン止め層(pinned layer)および自由層と呼ばれる、第1の強磁性層と第2の強磁性層との間に挟まれた非磁性導電性層またはバリア層を含む。第1および第2のリード線がセンサに接続されて、リード線を通してセンス電流を伝導する。被ピン止め層の磁化は、エアベアリング面(ABS)に垂直にピン止めされ、自由層の磁気モーメントはABSに平行に位置付けられるが、外部磁場に応答して自由に回転できる。被ピン止め層の磁化は、通常、反強磁性層との交換結合によってピン止めされる。
【0004】
スペーサ層の厚さは、センサを通る伝導電子の平均自由行程未満であるように選択される。この配置構成によって、伝導電子の一部分は、スペーサ層と被ピン止め層および自由層との界面によって散乱される。被ピン止め層および自由層の磁化が、互いに対して平行であるとき、散乱は最小であり、被ピン止め層および自由層の磁化が、反平行であるとき、散乱は最大になる。散乱の変化は、cosΘに比例してスピン弁センサの抵抗を変える。ここで、Θは、被ピン止め層の磁化と自由層の磁化との角度である。読取りモードでは、スピン弁センサの抵抗は、回転ディスクからの磁場の大きさに比例して変化する。センス回路がスピン弁センサを通して伝導されると、抵抗変化は、再生信号として検出され処理される電位変化をもたらす。
【0005】
書込みヘッドは、磁気ディスクの平面に垂直に配向した磁化としてデータを記録する垂直記録ヘッドでありうる。磁気ディスクは、薄い磁気的に硬質の上部層によって覆われた磁気的に軟質の下地層を有する。垂直書込みヘッドは、非常に小さな断面を有する書込み極およびかなりより大きな断面を有する戻り極を有する。強力で非常に集中した磁場が、書込み極から磁気ディスク表面に垂直な方向に放出し、磁気的に硬質の上部層を磁化する。結果として得られる磁束は、その後、軟質の下地層を通って進み、戻り極に戻る。磁束は、十分に拡散しかつ弱いため、戻り極に戻る途中で磁気的に硬質の上部層を通過するときに、書込み極によって記録された信号を消去しないことになる。
【0006】
ビットの面密度、したがってデータ密度を増加させるために、媒体は、小さな磁気ビットが消磁されないように高い保磁力を有する磁性材料から作製される必要がある。高い保磁力を有する媒体上に書込むために、垂直記録ヘッド内に加熱デバイスが組み込まれなければならない。この加熱要素は、媒体上の磁気ビット上に局所的なホットスポットを生成し、ビットの保磁力を一時的に減少させるため、ビットは、垂直記録ヘッドによって書込まれうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0177302号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、磁気書込み極およびプラズモン加熱デバイスを含む熱アシスト磁気書込みヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
プラズモン加熱デバイスは、不透明で金属のプラズモンアンテナおよびプラズモンアンテナに隣接する開口を含む。磁気リップ構造は、開口が磁気リップ構造とプラズモンアンテナとの間にあるように、プラズモンアンテナに対向して配設される。アンテナは、製造を容易にするように設計された金合金から構成される。
【0010】
プラズモン加熱デバイス用のアンテナの製造は、最終形状を画定するために、イオンミリングおよび化学機械研磨などの種々の製造ステップを必要とする。純粋なAuは、性能を目的として良好なアンテナ材料であるが、この材料は、アンテナを形成するために必要であるこれらのプロセスに十分に耐えない。たとえば、イオンミリングは、純粋なAuの側壁上に粗さを生成し、化学機械研磨は、アンテナの表面を粗化し、これらの粗さは共に、アンテナの性能を減少させる。さらに、Auが軟質金属であるため、ラッピング中に、研磨粒子が金に埋め込まれる。
【0011】
本発明は、金属合金でアンテナを構成することによってこれらの問題を克服する。この合金は、少量(たとえば、5原子パーセント未満)の元素Xを含むAuX、AgX、CuX、またはAlXでありうる。ここで、Xは、Cu、Ni、Ta、Ti、Zr、またはPtである。これは、プラズモンデバイスの性能に著しく影響を及ぼすことなく、製造プロセスに耐えるのに十分な硬質性をアンテナ材料に与える。
【0012】
本発明のこれらのまた他の特徴および利点は、図に関連して考えられる好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。図では、同じ参照数字は、全体を通して同じ要素を示す。
【0013】
本発明の特質および利点ならびに好ましい使用モードをより完全に理解するために、一定比例尺に従わない添付図面に関連して読まれる以下の詳細な説明が参照されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が具現化されうるディスクドライブシステムの略図である。
【図2】図1のライン2−2から切取ったスライダのABS視図であり、スライダ上の磁気ヘッドの場所を示す。
【図3】本発明の実施形態による磁気書込みヘッドの側断面図である。
【図4】図3の円4−4から切り取られた磁気書込みヘッドの一部分の拡大図である。
【図5】図4のライン5−5から見た、書込みヘッドの一部分のABS視図である。
【図6】本発明の代替の実施形態による合金金属膜を含む近方場変換器加熱要素を示す書込みヘッドの断面図である。
【図7】図6の実施形態からの合金金属膜を含む加熱要素のプラズモンアンテナの上面図である。
【図8】本発明によって提供されるアンテナ画定部(antenna definition)の改善を示す種々の中間製造ステージの1つのステージにおけるプラズモン加熱デバイスのアンテナの図である。
【図9】本発明によって提供されるアンテナ画定部の改善を示す種々の中間製造ステージの別のステージにおけるプラズモン加熱デバイスのアンテナの図である。
【図10】本発明によって提供されるアンテナ画定部の改善を示す種々の中間製造ステージの別のステージにおけるプラズモン加熱デバイスのアンテナの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、本発明を実行するために現在のところ考えられる最良の実施形態である。この説明は、本発明の一般的な原理を示すために行われ、本明細書で請求される本発明の概念を制限することは意図されていない。
【0016】
ここで図1を参照して、本発明を具現化するディスクドライブ100が示される。図1に示すように、少なくとも1つの回転可能磁気ディスク112は、スピンドル114上で支持され、ディスクドライブモータ118によって回転する。各ディスク上での磁気記録は、磁気ディスク112上の同心データトラックの環状パターン(図示せず)の形態である。
【0017】
少なくとも1つのスライダ113は、磁気ディスク112の近くに位置決めされ、各スライダ113は、1つまたは複数の磁気ヘッド組立体121を支持する。磁気ディスクが回転するにつれて、スライダ113は、所望のデータが書込まれる磁気ディスクの異なるトラックに磁気ヘッド組立体121がアクセスできるように、ディスク表面122にわたって半径方向に内側にまた外側に移動する。各スライダ113は、サスペンション115によってアクチュエータアーム119に取付けられる。サスペンション115は、スライダ113をディスク表面122に対してバイアスさせるわずかなばね力を提供する。各アクチュエータアーム119は、アクチュエータ手段127に取付けられる。図1に示すアクチュエータ手段127は、ボイスコイルモータ(VCM)であってよい。VCMは、一定磁場内で可動のコイルを備え、コイル移動の方向および速度は、コントローラ129によって供給されるモータ電流信号によって制御される。
【0018】
ディスク記憶システムの動作中に、磁気ディスク112の回転は、スライダ113とディスク表面122との間にエアベアリングを生成し、スライダ113に上向き力または揚力を及ぼす。そのため、エアベアリングは、通常動作中に、サスペンション115のわずかなばね力と釣り合い、小さな実質的に一定の間隔だけ、ディスク表面から離れかつディスク表面のわずか上のところでスライダ113を支持する。
【0019】
ディスク記憶システムの種々のコンポーネントは、アクセス制御信号および内部クロック信号などの、制御ユニット129によって生成される制御信号によって動作が制御される。通常、制御ユニット129は、ロジック制御回路、記憶手段、およびマイクロプロセッサを備える。制御ユニット129は、種々のシステム動作を制御するために、ライン上のドライブ駆動制御信号123およびライン128上のヘッド位置およびシーク制御信号などの制御信号を生成する。ライン128上の制御信号は、スライダ113を、ディスク112上の所望のデータトラックに最適に移動させ位置決めするために、所望の電流プロファイルを提供する。書込みおよび読取り信号は、記録チャネル125によって書込みおよび読取りヘッド121に伝達される、および書込みおよび読取りヘッド121から伝達される。
【0020】
図2を参照して、スライダ113内の磁気ヘッド121の配向がより詳細に見ることができる。図2は、スライダ113のABS視図であり、見てわかるように、誘導書込みヘッドおよび読取りセンサを含む磁気ヘッドは、スライダのトレーリングエッジに位置付けられる。典型的な磁気ディスク記憶システムおよび図1の添付図の上記説明は、示すだけのためのものである。ディスク記憶システムが、多数のディスクおよびアクチュエータを含んでもよく、また、各アクチュエータがいくつかのスライダを支持してもよいことが明らかであるべきである。
【0021】
ここで図3を参照して、図2に示すヘッド121などの磁気ヘッドに組み込まれてもよい書込みヘッド300が述べられる。書込みヘッド300は、エアベアリング面(ABS)および磁気戻り極304まで延在する書込み極302を含みうる。戻り極304は、ABSにおける書込み極302の断面より大きい断面をABSにおいて有する。書込み極302は、ABSから除去された領域内で整形層306に接続されうる。磁気後方ギャップ層308は、ABSから除去された領域内で整形層306を戻り層304に接続し、それにより、ABSから除去された領域内で書込み極302を戻り極304に磁気的に接続する。書込み極302、戻り層304、整形層306、および後方ギャップ層308は全て、NiFe、CoFe、またはCoNiFeなどの磁性材料から構成される。書込み極302はまた、磁性材料から構成され、好ましくは、非磁性材料の薄い層によって分離されたCoFeなどの高磁気モーメント材料の層の積重ねから構成される。
【0022】
図3に断面で示す導電性書込みコイル310は、書込み極302と戻り極304との間を通過してもよく、または、同様に書込み極302の上を通過してもよい。書込み極302は、Cuなどの非磁性で導電性の材料から構成され、アルミナなどの非磁性で電気絶縁性の材料312内に埋め込まれうる。
【0023】
ひき続き図3を参照して、プラズモン加熱デバイス314は、磁気媒体112を局所的に加熱するために書込み極302に隣接して設けることができる。プラズモン加熱デバイス314は、後方ギャップ層308を超えて延在できるように、後方ギャップ層308内の開口を通過する。磁気媒体112は、書込み極302に対して矢印316によって示す方向に進む。したがって、見てわかるように、プラズモン加熱デバイス314は、書込み極302から上流にあり、すなわち換言すれば、書込み極302に対してリーディング方向にある。加熱デバイス314は、書込み極302からすぐ上流にある領域内で磁気媒体112を局所的に加熱し、磁気媒体の保磁力を一時的に減少させる。これは、普通なら保磁力が高過ぎて書込むことができない磁気媒体に対する書込みを著しく容易にする。加熱デバイス314が有効に機能するために、加熱デバイス314は、できる限り書込み極の近くに位置しなければならない。さらに、加熱デバイス314は、隣接するデータトラックまたは同じトラック上の下流データを消磁することを回避するために媒体112上の非常に小さなエリアだけを加熱しなければならない。
【0024】
図4は、図3の円4から見た、プラズモン加熱デバイス314の一部分の拡大図を示す。図5は、図4のライン5−5から見た図4に示す構造のABS視図を示す。図4を参照して、プラズモン加熱デバイス314は、光導波路402を含み、光導波路402は、タンタル酸化物(Ta)、チタン酸化物(TiO)、ニオブ酸化物(Nb)、ジルコニウム酸化物(ZnO)、ランタン酸化物(La)、イットリウム酸化物(Y)、スカンジウム酸化物(Sc)、あるいは、これらの酸化物の2元系、3元系、または4元系の組合せなどの酸化物から構成されうる。導波路402はまた、シリコン酸窒化物(SiOxNy)、タンタル酸窒化物(TaOxNy)、チタン酸窒化物(TiOxNy)、およびジルコニウム酸窒化物(ZrOxNy)などの酸窒化物から構成されうる。
【0025】
光導波路402は、アルミナなどの材料でありうるクラッディング材料404によって囲まれる。プラズモン加熱デバイス314はまた、ABSに位置する不透明金属アンテナ406を含む。磁気金属リップ408は、書込み極302から、磁気リップ408とアンテナ406との間に形成された開口410に向かって延在してもよい。
【0026】
アンテナ406、磁気リップ408、および開口410は、図5を参照してより明確に見ることができ、図5は、図4のライン5−5から見た構造のABS視図を示す。図5を見てわかるように、アルミナなどの材料でありうるクラッディング材料404は、アンテナ406の下の空間を充填する。アンテナ408の両側の空間412は、クラッディング材料404でありうる、または、アンテナ406は、磁気リップ408の側面を上方に延在しうる。あるいは、磁気リップ408は、側部空間412を充填するために外側に延在しうる。
【0027】
ひき続き図5を参照して、プラズモンアンテナ406は、開口410に隣接して形成され、両者の間に界面504を形成する。プラズモンアンテナ406は、プラズモンアンテナ406を画定するために使用される製造プロセスに耐えるのに十分な硬質性を有する金属合金から構成される。純粋のAuは、その独特の電気光学的特性のために、アンテナ406の構成にとってよい候補であることになる。しかし、純粋のAuから構成されるプラズモンデバイスの高スループット作製は、純粋のAuが軟質性であるために、困難である。たとえば、アンテナを画定するために使用されるイオンミリングは、著しく粗い側壁を有するアンテナ406をもたらし、一方、化学機械研磨は、アンテナ406の上部表面に粗さをもたらす。ナノスケールプラズモン開口410およびアンテナ406の寸法制御は、非常に重要である。開口410の後方エッジ上の8nmの粗さは、その性能を15%減少させうる。
【0028】
そのために、アンテナ406は、アンテナ406の構成に必要な処理ステップに耐えるのに十分な硬質性を有するAu合金から構成され、スムーズなエッジを有する非常に輪郭のはっきりしたアンテナをもたらす。アンテナ406は、AuXから構成されうる。ここで、Xは、Cu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである。好ましくは、AuXから構成されるアンテナ406は、5原子パーセント未満であるXの濃度を有する。意外にも、プラズモンデバイスの性能が、これらの合金元素の添加によってあまり影響を受けないことを本発明者等は発見した。その理由は、最適性能が、純粋の金(Au)の使用によって達成されうるだけであると、以前は考えられていたからである。
【0029】
磁気リップ408は、書込み極302に磁気的に結合し、書込み極302の一部として磁気的に機能する。磁気リップ408は、Co、Fe、Cr、および/またはNiを含む2元系または3元系化合物(たとえば、CoFe、CoFeCr、CoFeNi)などの磁性金属から構成され、ほとんどのリーディングエッジ506は、リップの書込みエッジ506として機能する。開口410は、SiOx、SiOxNy、Alなどの低屈折率誘電体材料または1.75未満の屈折率を有するある他の同様な誘電体から構成される。
【0030】
光が導波路402(図4)を通して進むとき、プラズモン波が、アンテナ406と開口410との間の接合部504で形成される。アンテナ406と開口410との間の接合部504は、ノッチ508を持つように形成される。このノッチ508は、所望の場所でプラズモン波のノードを形成するように設計される。
【0031】
レーザ光は、スライダの屈曲側において導波路断面に入射し、光は、導波路によって運ばれ、「E」形プラズモンアンテナ406で送出される。金属−誘電体界面504に衝突する光は、ノッチに平行な分極を有し、したがって、共鳴プラズモン波を生成する。「E」形アンテナ406の広い「ウィング(wing)」領域は、電荷リザーバとして働き、したがって、境界条件を設定する。「避雷針(lightning−rod)」効果のために、空間電荷濃度は、アンテナの残りの部分と比較してアンテナ406の100nm未満の寸法のノッチ508において増加する。波長未満の寸法の光エネルギーのこの濃度は、ノッチ508におけるホットスポットの生成をもたらす。このホットスポットは、その場所の保磁力を一時的に低めるように、磁気媒体112(図3)を局所的に加熱するために使用される。ホットスポットは、他のいかなる加熱方法を使用して可能であるよりも小さくかつ収束させて、媒体の著しく収束されかつ小さなエリア内で媒体112を加熱する。
【0032】
図8−10は、種々の中間製造ステージにおけるプラズモンデバイスの一部分を示し、本発明に従って構築されたアンテナが、スムーズな側面およびスムーズな上側表面を有する輪郭のはっきりしたアンテナを形成するこれらのプロセスにどのように耐えることができるかを示す。
【0033】
ここで図8を参照して、基板312が設けられる。これは、図3を参照して上述した絶縁充填層312であり、アルミナなどの材料から構成されうる。その後、クラッディング層404が基板312を覆って堆積される。上述したように、クラッディング材料はまた、プラズモン加熱デバイスのクラッディングを画定するように構成されたアルミナなどの材料でありうる。その後、金属合金アンテナ材料406が、クラッディング材料404を覆って堆積される。上述したように、アンテナ材料406は、AuX、CuX、AgX、またはAlXの合金であり、Xは、Cu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、合金は、Xが5原子パーセント未満(しかし、Xは0より大きい原子パーセント)である。
【0034】
その後、開口材料410が、アンテナ材料406を覆って堆積され、開口が、アルミナSiOxまたはSiOxNyなどの低屈折率(1.75未満)を有する材料から構成される。このステージで、フォトリソグラフィが行われて、図5に示すようにアンテナおよび開口についての所望の形状が得られ、CMPプロセスが使用されて、図5に示す表面512が平坦化される。その後、CoFeなどの磁気リップ材料408が、開口材料を覆って堆積される。別のCMPステップが使用されて、図5に示すようにAuX表面514が平坦化されうる。マスキング材料602が、磁気リップ材料408を覆って堆積される。マスク材料602は、フォトレジスト材料でありうるが、1つまたは複数の硬質(hard)マスク層、画像転写層、および底部反射防止コーティング(bottom antireflective coating)(BARC)(図示せず)などの層も含みうる。
【0035】
その後、図9を参照して、マスク602が、フォトリソグラフィ的にパターニングされて、エアベアリング面(ABS)から所望の場所に後方エッジ604を有するマスクが形成される。その後、イオンミリングプロセスが実施されて、マスク602の画像が下地層408、410、406、および404上に転写され、図10に示す構造が残る。純粋なAuが開口材料406として使用された場合、このイオンミリングは、波形であり輪郭のはっきりしない表面をなす後方エッジ1002をもたらすことになる。この波形は、デバイスの性能を大幅に低下させることになる。アンテナ406が、上述したより硬質の金属合金から構成されるため、イオンミリングは、アンテナ406上にスムーズで平坦で輪郭のはっきりした後方エッジ1002を生成する。その後、導波路材料が、後方エッジ1002と良好に接触するように堆積される。
【0036】
図4に示すエアベアリング面(ABS)を画定するために、スライシングおよびラッピングプロセスが、スライダ作製レベルで実施される。ラッピングプロセスは、研磨粒子を含む研磨スラリの使用を含む。純粋なAuがアンテナ材料406として使用される場合、この軟質性は、これらの研磨粒子が、アンテナのABS表面に埋め込まれることを可能にし、それにより、アンテナ406の性能が低下する。アンテナが、より硬質な金属合金から構成されるため、粒子のこの埋め込みは起こらず、アンテナの性能が維持される。
【0037】
さらに、磁気アンテナ406は、先に論じた形状以外の形状を有しうる。たとえば、アンテナ406は、エアベアリング面において点にまで狭くなる鳥のくちばしと同様の形状を有するナノビーク(nano−beak)設計でありうる。図6および7は、アンテナがナノビークアンテナ804である本発明のこうした実施形態を示す。ナノビークアンテナ804は、磁気リップ408に隣接し、かつ、磁気リップ408から、上述した1つまたは複数の材料から構成されてもよい拡散バリア層502によって分離されたクラッディング材料404内に位置する。ABSから測定されるナノビーク金属804および拡散バリア層502の長さは、図8に示す磁気リップ408の長さと同じである。見てわかるように、アンテナ804は、ABSにおいてテーパ付き点を有する。導波路802は、上側戻り極302から非磁性スペーサ層806によって分離されうる。アンテナのトップダウン図が、図7に示され、図7では、アンテナ804はまた、トップダウンから見るとABSにおいて点にまで細くなることが見てわかる。導波路402を通って進む光は、アンテナに引き寄せられ、アンテナ804の尖った先端において非常に収束したホットスポットを形成する。このホットスポットからの熱もやはり、アンテナ804と磁気リップ408との間で拡散を生じうる。しかし、この拡散は、両者の間の拡散バリア層502の存在によって防止される。したがって、拡散バリア層502の存在は、先に述べた実施形態で提供したのと同じ利点を、今述べている実施形態において提供する。
【0038】
他のアンテナ形状は、ロリポップ(lollipop)形状、蝶ネクタイ(bow tie)形状、またはツーロッド(two−rod)アンテナを含む。同様に、開口410の形状または構成も変わりうる。たとえば、開口は、「C」形状、三角形形状を有しうる、または、隆起導波路開口として構成されうる。さらに、NFTは、微小開口レーザ(Very Small Aperture Laser)(VSAL)でありうる。
【0039】
種々の実施形態が上述されたが、種々の実施形態は、制限としてではなく、例としてだけ提示されたことが理解されるべきである。本発明の範囲内に入る他の実施形態はまた、当業者に明らかでありうる。したがって、本発明の広がりおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のうちのいかなる実施形態によっても制限されるべきではなく、添付特許請求の範囲およびその均等物に従ってだけ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0040】
100 ディスクドライブ
112 磁気ディスク
113 スライダ
114 スピンドル
115 サスペンション
118 ドライブモータ
119 アクチュエータアーム
121 磁気ヘッド組立体
122 ディスク表面
123 駆動制御
125 データ記録チャネル
127 VCM(アクチュエータ手段)
128 ライン
129 制御ユニット
300 書込みヘッド
302 書込み極
304 磁気戻り極
306 整形層
308 磁気後方ギャップ層
310 導電性書込みコイル
312 非磁性で電気絶縁性材料
314 プラズモン加熱デバイス
402 光導波路
404 クラッディング材料
406 不透明金属アンテナ
408 磁気金属リップ
410 開口材料
412 側部空間
502 拡散バリア層
504 界面
506 リーディングエッジ
508 ノッチ
602 マスキング材料
604、1002 後方エッジ
802 導波路
804 ナノビークアンテナ
806 非磁性スペーサ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱アシスト磁気書込みヘッドで使用するための加熱デバイスであって、
プラズモンアンテナを備え、
前記プラズモンアンテナは金属合金を含む、加熱デバイス。
【請求項2】
前記金属合金は、金合金AuXであり、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項3】
前記金属合金は、金合金AuXであり、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項4】
前記金属合金は、銅合金CuXであり、XはNi、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項5】
前記金属合金は、銅合金CuXであり、XはNi、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項6】
前記金属合金は、銀合金AgXであり、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項7】
前記金属合金は、銀合金AgXであり、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項8】
前記金属合金は、アルミニウム合金AlXであり、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項9】
前記金属合金は、アルミニウム合金AlXであり、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項10】
前記プラズモンアンテナの少なくとも一方のエッジに接触する開口をさらに備える、請求項1に記載の加熱デバイス。
【請求項11】
熱アシスト磁気書込みヘッドであって、
金属合金を含む金属E形アンテナを備える近接場変換器と、
磁極と、
前記磁極に接続された磁気リップとを備える、熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項12】
前記金属E形アンテナは、金合金AuXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、誘電体C形開口は、SiO、Si、またはSiOを含む、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項13】
前記金属E形アンテナは、金合金AuXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満であり、SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口をさらに備える、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項14】
前記金属E形アンテナは、銅合金CuXを含み、XはNi、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満であり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満であり、SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口をさらに備える、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項15】
前記金属E形アンテナは、銀合金AgXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口をさらに備える、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項16】
前記金属E形アンテナは、銀合金AgXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満であり、SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口をさらに備える、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項17】
前記金属E形アンテナは、アルミニウム合金AlXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口をさらに備える、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項18】
前記金属E形アンテナは、アルミニウム合金AlXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満であり、SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口をさらに備える、請求項11に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項19】
熱アシスト磁気書込みヘッドであって、
金属合金を含む三角形ビーク式アンテナを備える近接場変換器と、
SiO、Si、またはSiOを含む誘電体C形開口と、
磁極と、
前記磁極に接続された磁気リップとを備える、熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項20】
前記三角形ビーク式アンテナは、金合金AuXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項19に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項21】
前記三角形ビーク式アンテナは、アルミニウム合金AlXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項19に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項22】
前記三角形ビーク式アンテナは、銅合金CuXを含み、XはNi、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtである、請求項19に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項23】
前記三角形ビーク式アンテナは、金合金AuXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項19に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項24】
前記三角形ビーク式アンテナは、アルミニウム合金AlXを含み、XはCu、Ni、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項19に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。
【請求項25】
前記三角形ビーク式アンテナは、銅合金CuXを含み、XはNi、Ta、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Y、W、Ru、Rh、またはPtであり、前記Xの濃度は5原子パーセント未満である、請求項19に記載の熱アシスト磁気書込みヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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