説明

アンテナポールおよびその製造方法

【課題】
コンクリート柱の先端に鋼管柱を嵌合する簡単な構造で必要な高さだけ嵩上げすることができるアンテナポールおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
通信用アンテナと、該アンテナを支持する鋼管柱とを有するアンテナポールであって、前記鋼管柱の下部は下方に広がったテーパーを有し、前記鋼管柱のテーパーと同じテーパーを有するコンクリート柱の先端に、前記鋼管柱の下部を嵌合させてなることを特徴とするアンテナポールおよびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナポールおよびその製造方法に関する。
具体的には、例えば、携帯電話の通信用アンテナを支持するアンテナポールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話の通信用アンテナを支持するアンテナポールは、一般的なコンクリート柱の高さでは足りない長さだけ嵩上げした構造を採用することが多く、従来のアンテナポールの嵩上げ方法は、コンクリート柱の上部にバンドやボルトを取り付けて、鋼管柱を固定する方法が採用されていた。しかし、この方法では、鋼管柱とコンクリート柱の中心が一致しないため、偏心した不安定な構造となるという問題点があった。
【0003】
コンクリート柱と鋼管柱とを結合した柱については、従来から種々の提案がなされており、例えば、特公平7−6302号公報(下記特許文献1)には、上端にフランジを固設した基礎パイプと、下端に前記基礎パイプのフランジとボルト結合されるフランジを固設し、内腔に縦状の補強板を固設した鋼管ポールと、下端に前記鋼管ポールの上端部に嵌合される縦鋼管を一体結合したコンクリートポールとの組み合わせからなることを特徴とする自立電柱が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された従来の柱は、前述のように、上端にフランジを固設した基礎パイプと、下端に前記基礎パイプのフランジとボルト結合されるフランジを固設し、内腔に縦状の補強板を固設した鋼管ポールの上部にコンクリートポールを嵌合した構造であるため、製造コストが高いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−6302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、コンクリート柱の先端に鋼管柱を嵌合する簡単な構造で必要な高さだけ嵩上げすることができるアンテナポールおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために、鋭意検討の結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)通信用アンテナと、該アンテナを支持する鋼管柱とを有するアンテナポールであって、前記鋼管柱の下部は下方に広がったテーパーを有し、前記鋼管柱のテーパーと同じテーパーを有するコンクリート柱の先端に、前記鋼管柱の下部を嵌合させてなることを特徴とするアンテナポール。
(2)(1)に記載のアンテナポールの製造方法であって、前記鋼管柱を加熱した後に、絞り加工を施して該鋼管柱の外径を縮減させることにより、前記テーパーを形成することを特徴とするアンテナポールの製造方法。
【0008】
<作用>
(1)の発明のアンテナポールによれば、鋼管柱の下部は下方に広がったテーパーを有し、前記鋼管柱のテーパーと同じテーパーを有するコンクリート柱の先端に、前記鋼管柱の下部を嵌合させるので、簡単な構造で必要な高さだけ嵩上げすることができるアンテナポールおよびその製造方法を提供することができる。
(2)の発明のアンテナポールの製造方法によれば、前記鋼管柱を加熱した後に、絞り加工を施して該鋼管柱の外径を縮減させることにより、前記テーパーを形成するので、鋼管柱の下部にコンクリート柱のテーパーと同一のテーパーを容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンクリート柱の先端に鋼管柱を嵌合する簡単な構造で必要な高さだけ嵩上げすることができるアンテナポールおよびその製造方法を提供することができ、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のアンテナポールの実施形態を例示する側面図である。
【図2】本発明のアンテナポールの鋼管柱とコンクリート柱の結合部を例示する詳細図である。
【図3】本発明のアンテナポールの鋼管柱とコンクリート柱の結合部を例示する詳細図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明を実施するための最良の形態について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。図1〜図3において、1はコンクリート柱、2は結合部、3は鋼管柱、4はアンテナ支持部、5はアンテナを示す。
【0012】
図1は、本発明のアンテナポールの実施形態を例示する側面図である。
【0013】
例えば、携帯電話の通信用アンテナを支持するアンテナポールは、一般的なコンクリート柱の高さでは足りない長さだけ嵩上げした構造を採用することが多く、従来のアンテナポールの嵩上げ方法は、コンクリート柱にバンドやボルトを取り付けて、鋼管柱を固定する方法が採用されていたが、この方法では、鋼管柱とコンクリート柱の中心が一致しないため、偏心した不安定な構造となるという問題点があった。
【0014】
そこで、本発明のアンテナポールは、通信用アンテナ5と、該アンテナ5をアンテナ支持部4を介して支持する鋼管柱3とを有するアンテナポールであって、前記鋼管柱3の下部は下方に広がったテーパーを有し、前記鋼管柱3のテーパーと同じテーパーを有するコンクリート柱1の先端に、前記鋼管柱3の下部を嵌合させてなることを特徴とする。
【0015】
即ち、図1に示すように、鋼管柱3の下部は下方に広がったテーパーを有し、前記鋼管柱3のテーパーと同じテーパーを有するコンクリート柱1の先端に、前記鋼管柱3の下部を嵌合させるので、簡単な構造で必要な高さだけ嵩上げすることができるアンテナポールおよびその製造方法を提供することができる。
【0016】
図2、図3は、本発明のアンテナポールの鋼管柱とコンクリート柱の結合部を例示する詳細図であり、図2はアンテナ支持部4を介してアンテナ5を支持する場合を示し、図3は鋼管柱3に直接アンテナ5を取り付ける場合を示す。
【0017】
本発明に用いる鋼管柱3の中心軸は、コンクリート柱1の中心軸と一致し、鋼管柱3の内径は、コンクリート柱1の外径と一致することにより、鋼管柱3とコンクリート1とが固定されているので、従来のように偏心した構造にならず、直線性を保つことができる。
【0018】
また、本発明に用いる鋼管柱3は、下部が下方向に広がっており、コンクリート柱1の上部のテーパーと同じ、例えば1/75程度のテーパーを有するので、コンクリート柱1の上部に嵌合させることにより、結合部2において、鋼管柱3の内面とコンクリート柱1の外面とが接触するとともに、高い面圧を生じるので強固に固定することができるので、地震や風圧などによって脱落する心配はない。本発明においては上記テーパー及び結合部2の長さは問わないが、鋼管柱3とコンクリート柱1との結合力を確保するためには、テーパーは1/100〜1/50が好ましく、結合部2の長さは500〜1000mmが好ましい。
【0019】
図2に示すように、アンテナ支持部4を介してアンテナ5を支持することができるが、図3に示すように、鋼管柱3に直接、アンテナ5を取り付けてもよい。鋼管柱3のテーパーは、図2、図3に示すように、2段テーパーとすることによって、鋼管柱3の上部の外径を小さくすることができ、また、鋼管柱3の上部はテーパーを設けないストレート鋼管とすることにより、アンテナ5を取り付け易くすることができるうえ、アンテナ5の向きの調整も容易である。
【0020】
本発明の鋼管ポールの製造方法は、前記鋼管柱2を加熱した後に、絞り加工を施して該鋼管柱3の外径を縮減させることにより、前記テーパーを形成することにより、鋼管柱の下部にコンクリート柱のテーパーと同一のテーパーを容易に形成することができる。
【0021】
本発明においては、前記絞り加工の方法は問わないが、前記鋼管柱2を高周波加熱により600〜700℃に加熱した後に、鋼管柱2の外周に複数の加工ロールを押付けて回転させる温間スピニング成形加工を用いて縮径することによって一定厚のまま加工することができるので、断面性能を損なうことなく自在なテーパー形状の鋼管柱2を安価に製造することができる。
【実施例】
【0022】
図1〜図3に示す本発明の鋼管ポールを下記条件で実施した。
<実施条件>
・ 鋼管柱の長さ :2000mm
・鋼管柱下部の外径 :211mm、板厚:4.5mm
・鋼管柱先端部の外径 :114mm、板厚:4.5mm
・鋼管柱下部のテーパー:1/75
・結合部長さ :750mm
【0023】
その結果、コンクリート柱の先端に鋼管柱を嵌合する簡単な構造で必要な高さだけ嵩上げすることができるアンテナポールおよびその製造方法を提供すること本発明の効果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のアンテナポールは、実施計画中であり、製造コストが安価であるため、今後、携帯電話用アンテナポールへの適用拡大が期待される。
【符号の説明】
【0025】
1 コンクリート柱
2 結合部
3 鋼管柱
4 アンテナ支持部
5 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信用アンテナと、該アンテナを支持する鋼管柱とを有するアンテナポールであって、前記鋼管柱の下部は下方に広がったテーパーを有し、前記鋼管柱のテーパーと同じテーパーを有するコンクリート柱の先端に、前記鋼管柱の下部を嵌合させてなることを特徴とするアンテナポール。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナポールの製造方法であって、前記鋼管柱を加熱した後に、絞り加工を施して該鋼管柱の外径を縮減させることにより、前記テーパーを形成することを特徴とするアンテナポールの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−57296(P2012−57296A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198416(P2010−198416)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000115360)ヨシモトポール株式会社 (27)