説明

アンテナ作動状態判定システム、アンテナ作動状態判定システムを備えた物流管理システム、アンテナ作動状態判定方法

【課題】複数のアンテナに作動しているアンテナと作動していないアンテナが混在している場合に、複数のアンテナから作動していないアンテナを判定することが可能な、アンテナ作動状態判定システム及びアンテナ作動状態判定方法を提供する。
【解決手段】第一作動状態反映用タグ8aを第一指向性アンテナ6aが送信する電波のみに応答する位置に配置し、残りの作動状態反映用タグ8b〜8dを残りの指向性アンテナ6b〜6dが送信する電波のみに応答する位置に配置し、各指向性アンテナ6a〜6dが送信した電波に対する各作動状態反映用タグ8a〜8dの応答を、各指向性アンテナ6a〜6dが受信したか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定した結果に基づいて、指向性アンテナ6が作動しているか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アンテナとタグを備えたRFIDシステムに対し、アンテナの作動状態を判定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、倉庫等における物品の管理を、容易且つ確実に、また、リアルタイムで行うことが可能なシステムとして、例えば、特許文献1に記載されている物流管理システムがある。
特許文献1に記載されている物流管理システムでは、物品を管理するための方法として、RFID(無線周波数ID:Radio Frequency IDentification)システムを用いている。
ここで、RFIDシステムは、リーダライタとタグとの間における情報の通信を、無線高周波信号を用いて行うシステムである。そして、特許文献1に記載されている物流管理システムでは、リーダライタが備えるアンテナを倉庫内における任意の位置(壁等)へ配置するとともに、タグを物品に取り付けて、物品の管理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDシステムに用いるリーダライタとしては、読み取り率やコストの要求から、一般的に、複数のアンテナ、例えば、四つのアンテナを備えたものを用いる場合が多い。
しかしながら、複数のアンテナを備えたリーダライタを用いた場合、故障やアンテナケーブルの断線等によって作動していないアンテナが存在していても、少なくとも一つのアンテナが作動している状態では、複数のアンテナから、作動していないアンテナを検出することが困難となるという問題が発生する。
【0005】
この問題は、複数のアンテナを備えたリーダライタでは、作動していないアンテナの読み取り対象であるタグを、他の作動しているアンテナが読み取り可能であるために発生する。この場合、例えば、四つのアンテナのうち一つのアンテナのみが作動していない状態となっても、残りの作動している三つのアンテナで、リーダライタに要求される読み取り対象であるタグを読み取り可能である。このため、リーダライタ全体として、読み取り率が低下した状態となる。
【0006】
なお、リーダライタとしては、アンテナが正常に作動にしているか否かを確認する付加機能(アプリケーションソフト等)を有している機種もあるが、この機能を利用すると、タグの読み取り回数が減少してしまう。これは、アンテナが正常に作動にしているか否かを確認する付加機能を動作させることにより、タグを読み取るコマンドを行う、単位時間当たりの回数が減少してしまうためである。このため、高速で移動する物品に貼付されたタグ(ICタグ)を読む状況において、タグを読み残す確率が増加して、本来の機能が十分に発揮されない事態が発生することとなる。
【0007】
したがって、複数のアンテナに作動しているアンテナと作動していないアンテナが混在している状態では、この作動していないアンテナを早急に検出して交換や修理等を行うことが、リーダライタの読み取り率が低下することを抑制するために重要となる。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、複数のアンテナに、作動しているアンテナと作動していないアンテナが混在している状態であっても、複数のアンテナから作動していないアンテナを判定することが可能な、アンテナ作動状態判定システム及びアンテナ作動状態判定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、受信した電波に応答する識別用タグへ電波を送受信して前記識別用タグの情報を読み取り可能な複数の指向性アンテナが作動しているか否かを判定するアンテナ作動状態判定システムであって、
前記指向性アンテナが送信した電波に応答する複数の作動状態反映用タグと、
前記指向性アンテナが前記作動状態反映用タグの応答を受信したか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定する電波受信判定部と、
前記電波受信判定部の判定結果に基づいて、前記指向性アンテナが作動しているか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定部と、を備え、
前記複数の作動状態反映用タグのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグは、前記複数の指向性アンテナのうち一つの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置され、
前記複数の作動状態反映用タグのうち残りの作動状態反映用タグは、前記複数の指向性アンテナのうち残りの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、一つの前記指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に、複数の前記作動状態反映用タグが配置されていることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載したアンテナ作動状態判定システムと、前記指向性アンテナと、を備え、前記識別用タグを取り付けた物品の情報を管理する物流管理システムであって、
前記指向性アンテナは、電波の送受信方向を前記識別用タグの移動経路へ向けて配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、受信した電波に応答する識別用タグへ電波を送受信して前記識別用タグの情報を読み取り可能な複数の指向性アンテナが作動しているか否かを判定するアンテナ作動状態判定方法であって、
前記複数の指向性アンテナが送信した電波に対する複数の作動状態反映用タグの応答を複数の指向性アンテナが受信したか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定する電波受信判定ステップと、
前記電波受信判定ステップの判定結果に基づいて、前記指向性アンテナが作動しているか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定ステップと、を有し、
前記複数の作動状態反映用タグのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグを、前記複数の指向性アンテナのうち一つの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置し、
前記複数の作動状態反映用タグのうち残りの作動状態反映用タグを、前記複数の指向性アンテナのうち残りの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置し、
前記アンテナ作動状態判定ステップでは、前記電波受信判定ステップにおいて前記一つの作動状態反映用タグの応答を前記一つの指向性アンテナが受信したと判定すると、前記一つの指向性アンテナが作動していると判定し、前記電波受信判定ステップにおいて前記残りの作動状態反映用タグの応答を前記残りの指向性アンテナが受信したと判定すると、前記残りの指向性アンテナが作動していると判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一つの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置された作動状態反映用タグからの応答を受信可能な指向性アンテナが、作動状態反映用タグからの応答を受信していない場合に、この指向性アンテナが、作動していない指向性アンテナであると判定することが可能となる。
これにより、指向性アンテナが正常に作動にしているか否かを確認する付加機能を必要とせず、作動状態反映用タグを上記の位置に配置するだけで、複数の指向性アンテナに、作動している指向性アンテナと作動していない指向性アンテナが混在している状態であっても、複数の指向性アンテナから、作動していない指向性アンテナを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のアンテナ作動状態判定システムを備えた物流管理システムの概略構成を示す平面図である。
【図2】本実施形態のアンテナ作動状態判定システムが行う動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第一実施形態に対する変形例の概略構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に対する変形例の概略構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第一実施形態に対する変形例の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に対する変形例の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1を用いて、本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1と、アンテナ作動状態判定システム1を備えた物流管理システムSの構成を説明する。
図1は、本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1を備えた物流管理システムSの概略構成を示す平面図である。
【0014】
(物流管理システムSの構成)
図1中に示すように、物流管理システムSは、例えば、コンテナ等の物品2を搬送する倉庫内において、識別用タグ4を取り付けた物品2の情報を識別して管理するシステムである。
なお、本実施形態では、一例として、物品2が、識別用タグ4を取り付けたコンテナであり、物品2を搬送する環境が倉庫内である場合を説明する。また、図1中には、物品2の搬送方向(移動方向)を、上向きの矢印(図1中に「搬送方向」と記載した矢印)で示し、物品2を搬送する搬送経路、すなわち、識別用タグ4の移動経路を、搬送方向に沿った二本の点線間の領域(図1中に「搬送経路」と記載した矢印)で示している。また、物品2は、例えば、フォークリフト等を用いて搬送される。なお、識別用タグ4は、例えば、物品2を搬送する台車(台)等に取り付けてもよい。
【0015】
ここで、識別用タグ4は、コンテナ内に収容した内容物の情報、もしくは、コンテナ内に収容した内容物と関連付けられた情報、を記憶したICチップ(図示せず)を備えており、ICチップに記憶した内容物の情報は、後述する指向性アンテナ6によって読み取られて、物品2の管理に用いられる。すなわち、識別用タグ4は、指向性アンテナ6が送信した電波に応答する。
【0016】
また、識別用タグ4は、それぞれが異なる情報(例えば、製品コード及び製品シリアル番号情報)を記憶している複数個(例えば、三十個)のタグの集合体で形成される場合がある。本実施形態では、一例として、識別用タグ4の構成が、異なる情報を記憶している三十個のタグの集合体である場合を説明する。
また、物流管理システムSは、アンテナ作動状態判定システム1と、複数の指向性アンテナ6を備えている。なお、アンテナ作動状態判定システム1については、後述する。
各指向性アンテナ6は、電波を送受信可能、具体的には、特定の方向へ選択的に電波を送信可能であるとともに、特定の方向から選択的に電波を受信可能なアンテナである。
【0017】
また、各指向性アンテナ6は、電波の送受信方向を、上述した搬送経路へ向けて配置されている。なお、指向性アンテナ6が電波を送受信する方向は、指向性アンテナ6の搬送経路へ向けた面(送受信面)の中心から、送受信面と直交する線を中心として、例えば、約90[°]の範囲で放射状に広がる範囲である。ここで、図1中では、説明のために、指向性アンテナ6が電波を送受信する方向を、約90[°]の範囲で放射状に広がる範囲としては示していない。
【0018】
また、各指向性アンテナ6は、予め設定した時間間隔で電波を送信する。さらに、各指向性アンテナ6は、後述する作動状態反映用タグ8からの応答を受信すると、この受信した応答を含む情報信号を、後述する読み取り情報検出部10へ出力する。
本実施形態では、一例として、図1中に示すように、指向性アンテナ6の数を四つとした場合について説明する。なお、指向性アンテナ6の数は、これに限定するものではなく、二つ、三つ、または、五つ以上であってもよい。
すなわち、複数の指向性アンテナ6は、第一指向性アンテナ6aと、第二指向性アンテナ6bと、第三指向性アンテナ6cと、第四指向性アンテナ6dから構成されている。
【0019】
第一指向性アンテナ6aと第二指向性アンテナ6bは、電波の送受信方向を互いに対向させた状態、具体的には、送受信面を互いに対向させた状態で、物品2を搬送する搬送経路の両側に配置されている。なお、以下の説明では、第一指向性アンテナ6aが送信する電波を「第一アンテナ送信電波」と記載する場合がある。同様に、以下の説明では、第二指向性アンテナ6bが送信する電波を「第二アンテナ送信電波」と記載する場合がある。
【0020】
第三指向性アンテナ6cと第四指向性アンテナ6dは、第一指向性アンテナ6a及び第二指向性アンテナ6bよりも搬送方向の下流において、電波の送受信方向を互いに対向させた状態、具体的には、送受信面を互いに対向させた状態で、物品2を搬送する搬送経路の両側に配置されている。なお、以下の説明では、第三指向性アンテナ6cが送信する電波を「第三アンテナ送信電波」と記載する場合がある。同様に、以下の説明では、第四指向性アンテナ6dが送信する電波を「第四アンテナ送信電波」と記載する場合がある。
【0021】
ここで、本実施形態では、上述した第一アンテナ送信電波と、第二アンテナ送信電波と、第三アンテナ送信電波と、第四アンテナ送信電波として、異なる強度や周波数に設定した電波を用いない場合を説明する。
なお、図1中では、第一指向性アンテナ6a及び第三指向性アンテナ6cが電波を送受信可能な範囲(領域)を、二本の一点鎖線間の領域で示している。同様に、図1中では、第二指向性アンテナ6b及び第四指向性アンテナ6dが電波を送受信可能な範囲(領域)を、二本の破線間の領域で示している。
【0022】
(アンテナ作動状態判定システム1の構成)
また、アンテナ作動状態判定システム1は、複数の作動状態反映用タグ8と、読み取り情報検出部10と、コントローラ部12と、データベース部14を備えている。
各作動状態反映用タグ8は、指向性アンテナ6が送信した電波に応答する。具体的には、各作動状態反映用タグ8は、指向性アンテナ6から受信した電波により駆動して、指向性アンテナ6に応答するための電波を出力する。
【0023】
また、本実施形態では、上述したように、指向性アンテナ6の数を四つとしている。このため、本実施形態では、図1中に示すように、作動状態反映用タグ8の数を四つとした場合について説明する。なお、作動状態反映用タグ8の数は、これに限定するものではなく、少なくとも指向性アンテナ6の数と同じであればよい。
すなわち、複数の作動状態反映用タグ8は、第一作動状態反映用タグ8aと、第二作動状態反映用タグ8bと、第三作動状態反映用タグ8cと、第四作動状態反映用タグ8dから構成されている。
【0024】
第一作動状態反映用タグ8aは、第一指向性アンテナ6aが送信する第一アンテナ送信電波のみに応答する位置に配置されている。
具体的には、第一作動状態反映用タグ8aは、第二指向性アンテナ6bよりも、物品2を搬送する搬送経路から離れた位置において、第二指向性アンテナ6bよりも第三指向性アンテナ6c及び第四指向性アンテナ6dから離れた位置に配置されている。これにより、第一作動状態反映用タグ8aは、第二アンテナ送信電波と、第三アンテナ送信電波及び第四アンテナ送信電波に応答しない位置に配置されている。
【0025】
第二作動状態反映用タグ8bは、第二指向性アンテナ6bが送信する第二アンテナ送信電波のみに応答する位置に配置されている。
具体的には、第二作動状態反映用タグ8bは、第一指向性アンテナ6aよりも、物品2を搬送する搬送経路から離れた位置において、第一指向性アンテナ6aよりも第三指向性アンテナ6c及び第四指向性アンテナ6dから離れた位置に配置されている。これにより、第二作動状態反映用タグ8bは、第一アンテナ送信電波と、第三アンテナ送信電波及び第四アンテナ送信電波に応答しない位置に配置されている。
【0026】
第三作動状態反映用タグ8cは、第三指向性アンテナ6cが送信する第三アンテナ送信電波のみに応答する位置に配置されている。
具体的には、第三作動状態反映用タグ8cは、第四指向性アンテナ6dよりも、物品2を搬送する搬送経路から離れた位置において、第四指向性アンテナ6dよりも第一指向性アンテナ6a及び第二指向性アンテナ6bから離れた位置に配置されている。これにより、第三作動状態反映用タグ8cは、第一アンテナ送信電波と、第二アンテナ送信電波及び第四アンテナ送信電波に応答しない位置に配置されている。
【0027】
第四作動状態反映用タグ8dは、第四指向性アンテナ6dが送信する第四アンテナ送信電波のみに応答する位置に配置されている。
具体的には、第四作動状態反映用タグ8dは、第三指向性アンテナ6cよりも、物品2を搬送する搬送経路から離れた位置において、第三指向性アンテナ6cよりも第一指向性アンテナ6a及び第二指向性アンテナ6bから離れた位置に配置されている。これにより、第四作動状態反映用タグ8dは、第一アンテナ送信電波と、第二アンテナ送信電波及び第三アンテナ送信電波に応答しない位置に配置されている。
【0028】
なお、本実施形態では、一例として、各作動状態反映用タグ8a〜8dを、上述した位置に配置する際に、作動状態反映用タグ8を支持するタグ支持体(図示せず)を用いる場合について説明する。このタグ支持体は、作動状態反映用タグ8を、倉庫の床面よりも高い位置で支持する構成とする。これは、倉庫の床面で発生する電波の反射によって、対応する指向性アンテナ6が送信した電波を作動状態反映用タグ8が受信する際に、他の指向性アンテナ6が送信した電波を受信してしまう可能性を低減させるためである。すなわち、各作動状態反映用タグ8a〜8dは、上述した位置に配置する際に、床面で発生する電波の反射によって、対応する指向性アンテナ6以外から送信された電波を受信しないように、配置する位置を設定する。
【0029】
また、本実施形態では、一例として、各作動状態反映用タグ8a〜8dの構成(寸法形状や、ICチップに記憶したデータ内容)が、互いに異なる応答を出力する構成である場合について説明する。
ここで、各作動状態反映用タグ8a〜8dのICチップに記憶したデータ内容は、識別用タグ4のICチップに記憶したデータ内容とは明確に異なる内容とすることにより、指向性アンテナ6が本来の読み取り対象としている物品2のデータと、各作動状態反映用タグ8a〜8dのデータとを、明確に区分する。
【0030】
以上により、第一アンテナ送信電波を受信した第一作動状態反映用タグ8aの応答(以下、「第一応答」と記載する場合がある)は、第一指向性アンテナ6aのみが受信可能である。また、第二アンテナ送信電波を受信した第二作動状態反映用タグ8bの応答(以下、「第二応答」と記載する場合がある)は、第二指向性アンテナ6bのみが受信可能である。
【0031】
同様に、第三アンテナ送信電波を受信した第三作動状態反映用タグ8cの応答(以下、「第三応答」と記載する場合がある)は、第三指向性アンテナ6cのみが受信可能である。また、第四アンテナ送信電波を受信した第四作動状態反映用タグ8dの応答(以下、「第四応答」と記載する場合がある)は、第四指向性アンテナ6dのみが受信可能である。
【0032】
すなわち、複数の作動状態反映用タグ8a〜8dのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグ8(例えば、第一作動状態反映用タグ8a)は、複数の指向性アンテナ6a〜6dのうち一つの指向性アンテナ6(第一指向性アンテナ6a)が送信する電波(第一アンテナ送信電波)のみに応答(第一応答)する位置に配置されている。これに加え、複数の作動状態反映用タグ8a〜8dのうち残りの作動状態反映用タグ8(作動状態反映用タグ8b〜8d)は、複数の指向性アンテナ6a〜6dのうち残りの指向性アンテナ6(指向性アンテナ6b〜6d)が送信する電波(第二、第三及び第四アンテナ送信電波)のみに応答(第二、第三及び第四応答)する位置に配置されている。
【0033】
また、上述したように、第一応答と、第二応答と、第三応答及び第四応答は、それぞれ、互いに異なる応答である。
読み取り情報検出部10は、互いに独立した複数のポート(入出力端子)を有しており、各ポートには、それぞれ、複数の指向性アンテナ6が個別に接続されている。本実施形態では、一例として、読み取り情報検出部10の構成を、独立した四つのポートを有している構成とし、これらのポートに、それぞれ、四つの指向性アンテナ6a〜6dが個別に接続されている場合を説明する。
したがって、各指向性アンテナ6a〜6dと読み取り情報検出部10は、RFIDシステムにおけるリーダライタを形成している。
【0034】
また、読み取り情報検出部10は、各指向性アンテナ6a〜6dから入力された情報信号から、各指向性アンテナ6a〜6dがそれぞれ受信した各応答(第一〜第四応答)を取得し、この取得した各応答を含む情報信号を、コントローラ部12へ出力する。ここで、読み取り情報検出部10による、コントローラ部12への情報信号の出力は、予め設定した所定の時間が経過した後に行う。なお、読み取り情報検出部10とコントローラ部12との接続には、有線を用いてもよく、また、無線を用いてもよい。
【0035】
また、読み取り情報検出部10は、各指向性アンテナ6a〜6dから入力された情報信号から、識別用タグ4が記憶している情報を取得し、この取得した情報を含む情報信号を、コントローラ部12へ出力する。
コントローラ部12は、例えば、PC(Personal Computer)を用いて形成されており、電波受信判定部16と、アンテナ作動状態判定部18を備えている。
【0036】
電波受信判定部16は、読み取り情報検出部10から入力された情報信号に基づき、各指向性アンテナ6a〜6dが各作動状態反映用タグ8a〜8dの応答を受信したか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する。また、電波受信判定部16は、各指向性アンテナ6a〜6dに対する個別の判定結果を含む情報信号を、アンテナ作動状態判定部18へ出力する。
【0037】
具体的には、電波受信判定部16は、第一指向性アンテナ6aが第一応答を受信したか否かと、第二指向性アンテナ6bが第二応答を受信したか否かと、第三指向性アンテナ6cが第三応答を受信したか否かと、第四指向性アンテナ6dが第四応答を受信したか否かを判定する。
アンテナ作動状態判定部18は、電波受信判定部16から入力された情報信号に基づき、電波受信判定部16の判定結果に基づいて、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する。また、アンテナ作動状態判定部18は、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を含む情報信号を、データベース部14へ出力する。
【0038】
具体的には、アンテナ作動状態判定部18は、電波受信判定部16が、第一指向性アンテナ6aが第一応答を受信したと判定すると、第一指向性アンテナ6aが作動していると判定し、第一指向性アンテナ6aが第一応答を受信していないと判定すると、第一指向性アンテナ6aが作動していないと判定する。この判定は、第二指向性アンテナ6bと第二応答との関係、第三指向性アンテナ6cと第三応答との関係、第四指向性アンテナ6dと第四応答との関係に関しても同様である。
なお、指向性アンテナ6が作動していない状態とは、例えば、指向性アンテナ6自体が物理的に破損している状態や、指向性アンテナ6と読み取り情報検出部10とを接続するアンテナケーブルが断線している状態や、読み取り情報検出部10が有するポートからアンテナケーブルが抜けている状態等である。
【0039】
また、アンテナ作動状態判定部18は、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を、例えば、スピーカ(図示せず)等から警報として出力する。また、アンテナ作動状態判定部18は、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を、例えば、ディスプレイ(図示せず)等に警告メッセージとして表示する。
なお、特に図示しないが、コントローラ12は、読み取り情報検出部10が取得した識別用タグ4が記憶している情報を処理するための、識別タグ情報処理部を備えている。そして、識別タグ情報処理部が処理した情報は、データベース部14へ出力される。
【0040】
ここで、コントローラ12とデータベース部14との接続には、有線を用いてもよく、また、インターネット等のネットワーク通信を用いてもよい。
データベース部14は、例えば、サーバー(Server)を用いて形成されており、アンテナ作動状態判定部18から入力された情報信号に基づき、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を格納する。
【0041】
また、データベース部14は、格納した判定結果を含む情報信号を、例えば、アンテナ作動状態判定システム1の外部から受信した、判定結果情報の取り扱い権限を有するユーザからの要求等に応じて、インターネット等を介して出力する。この出力先は、例えば、国外に存在する、倉庫の管理会社が有する管理システム等である。
また、データベース部14は、コントローラ12が備える識別タグ情報処理部が処理した情報を格納し、さらに、これらの格納した情報を、上述した判定結果を含む情報信号と同様に、ユーザからの要求等に応じて、インターネット等を介して出力する。
【0042】
(動作)
次に、図1を参照しつつ、図2を用いて、本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1が行う動作を説明する。
図2は、本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1が行う動作を示すフローチャートである。
図2中に示すように、アンテナ作動状態判定システム1は、例えば、コントローラ部12から入力された動作指令や、制御権限を有する管理者等による外部からの動作指令により動作を開始(START)する。
【0043】
アンテナ作動状態判定システム1が動作を開始すると、まず、ステップS10において、読み取り情報検出部10が、各指向性アンテナ6a〜6dがそれぞれ受信した各応答(第一〜第四応答)を取得(各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報を取得)する。さらに、ステップS10においては、物流管理システムSが行う動作として、読み取り情報検出部10が、上記の応答に加え、識別用タグ4が記憶している情報を取得する。
【0044】
ステップS10において、読み取り情報検出部10が各作動状態反映用タグ8a〜8d及び識別用タグ4の情報を取得すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、ステップS10における処理を開始してから一定時間が経過するまでに、読み取り情報検出部10が取得した各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報を、コントローラ部12(PC)へ出力(送信)するか否かの判定を行う。なお、この判定は、例えば、ステップS10における処理を開始してから、予め設定した所定の処理時間が経過しているか否かに基づいて行う。
【0045】
そして、ステップS10における処理を開始してから、予め設定した所定の処理時間が経過しており、各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報を、コントローラ部12へ出力する(「Yes」)と判定した場合、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS14へ移行する。
一方、ステップS10における処理を開始してから、予め設定した所定の処理時間が経過しておらず、各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報を、コントローラ部12へ出力しない(「No」)と判定した場合、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS10へ復帰する。
【0046】
ステップS14では、ステップS10における処理を開始してから一定時間が経過するまでに、読み取り情報検出部10が取得した各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報を、コントローラ部12へ送信する。ステップS14において、読み取り情報検出部10が、各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報をコントローラ部12へ出力すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS16へ移行する。
なお、ステップS12及びステップS14では、物流管理システムSが行う動作として、上記の判定の結果に関わらず、ステップS10において取得した識別用タグ4が記憶している情報を、コントローラ部12へ出力する。
【0047】
ここで、本実施形態では、上述したように、識別用タグ4が三十種類の情報を記憶しており、四つの作動状態反映用タグ8a〜8dが、それぞれ、固有の情報を記憶している。
したがって、本実施形態では、ステップS10において、識別用タグ4が記憶している三十種類の情報と、各作動状態反映用タグ8a〜8dが記憶している四種類の情報、すなわち、合計で三十四種類の情報を取得してコントローラ部12へ出力するための処理を行う。
以上により、ステップS10からステップS14までの処理は、各指向性アンテナ6a〜6dを介して読み取り情報検出部10が行う処理である。
【0048】
ステップS16では、読み取り情報検出部10から入力された各作動状態反映用タグ8a〜8d及び識別用タグ4の情報を、コントローラ部12が有するメモリ部(図示せず)に保管する。ステップS16において、各作動状態反映用タグ8a〜8d及び識別用タグ4の情報を、コントローラ部12が有するメモリ部に保管すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS18へ移行する。
ステップS18では、コントローラ部12が有するメモリ部に保管した各作動状態反映用タグ8a〜8d及び識別用タグ4の情報に対するフィルタリングを行う。
【0049】
ここで、ステップS18で行う、各作動状態反映用タグ8a〜8dの情報に対するフィルタリングには、上述した一定時間が経過するまでに読み取り情報検出部10へ入力された情報信号において、重複している同一の応答(例えば、複数の第一応答)を一つの応答(この場合、一つの第一応答)としてまとめる処理を含む。
これに加え、ステップS18で行う、識別用タグ4の情報に対するフィルタリングには、読み取り情報検出部10へ入力された情報信号から、物品2に関係の無い識別用タグの情報を除去する処理を含む。この処理は、予め、物品2に関係する識別用タグ4の情報(タグ情報)をコントローラ部12に設定して行う。ここで、予め設定しておく情報タグとは、例えば、UID(Unique Item identification)や、EPC(Electric Product Code)や、ユーザーエリア等を用いる。なお、情報タグとして用いる情報には、上述した情報タイプ、物品2を製造したメーカーの固有コード、物品2に固有の物品コード、物品2に固有のシリアルナンバー、倉庫に固有のコード、物品2の出荷先等がある。
【0050】
また、ステップS18で行う、識別用タグ4の情報に対するフィルタリングには、読み取り情報検出部10が取得した識別用タグ4の情報から、重複している同一の情報を一つの情報としてまとめる処理を含む。これは、識別用タグ4の情報を取得する際には、異なる指向性アンテナ6が、それぞれ、同一の情報を取得する状況が発生するためである。
さらに、ステップS18で行う、識別用タグ4の情報に対するフィルタリングには、識別用タグ4が記憶している三十種類の情報を、予め設定した順番に整列させる処理(ナンバリング)を含む。
【0051】
また、ステップS18では、上記のフィルタリングを行った情報を用いて、電波受信判定部16による処理と、アンテナ作動状態判定部18による処理の一部を行う。
具体的には、電波受信判定部16が、上記のフィルタリングによりまとめた各応答を参照し、各指向性アンテナ6a〜6dが各作動状態反映用タグ8a〜8dの応答を受信したか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する。
【0052】
そして、アンテナ作動状態判定部18が、電波受信判定部16の判定結果に基づいて、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する。
ステップS18において、各作動状態反映用タグ8a〜8d及び識別用タグ4の情報に対するフィルタリングと、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かの、各指向性アンテナ6a〜6dに対する個別の判定を行うと、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS20へ移行する。
【0053】
ステップS20では、予めコントローラ部12に設定したアプリケーションを動作させ、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を、例えば、スピーカ等から警報として出力する。ステップS20において、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を出力すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS22へ移行する。
【0054】
ここで、アプリケーションの動作により、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を出力する場合には、例えば、同一の指向性アンテナ6が作動していないとの判定結果が複数回(例えば、三回)検出された場合にのみ、この指向性アンテナ6が作動していないとの判定結果を、スピーカ等から警報として出力してもよい。
【0055】
これは、例えば、指向性アンテナ6が作動していないとの判定結果が一回のみ検出された場合としては、物流管理システムSの管理に関わる人員(作業員等)が、作動状態反映用タグ8と指向性アンテナ6との間において、電波の送受信経路に立ち入った場合が考えられるためである。この場合には、指向性アンテナ6が作動していても、指向性アンテナ6が作動していないとの判定結果が検出されてしまう。
【0056】
これに対し、上述したように、同一の指向性アンテナ6が作動していないとの判定結果が複数回検出された場合にのみ、この指向性アンテナ6が作動していないとの判定結果を出力することにより、人員の移動等に起因する誤検出の発生を抑制することが可能となる。
なお、ステップS20で動作させるアプリケーションとしては、上述したステップS18の処理とステップS20の処理とをまとめて行うことが可能なアプリケーションを用いてもよい。この場合、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS16からステップS20へ移行する。
【0057】
ステップS22では、コントローラ部12が、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を、データベース部14(DB)へ出力(送信)する。ステップS22において、コントローラ部12が、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果をデータベース部14へ出力すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS24へ移行する。
【0058】
また、ステップS22では、物流管理システムSが行う動作として、ステップS18においてフィルタリングを行った識別用タグ4の情報(三十種類の情報)を、データベース部14へ出力する。
以上により、ステップS16からステップS22までの処理は、コントローラ部12が行う処理である。
したがって、本実施形態では、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理に、各指向性アンテナ6a〜6dが送信した電波に対する各作動状態反映用タグ8a〜8dの応答を各指向性アンテナ6a〜6dが受信したか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する電波受信判定ステップが含まれる。
【0059】
これに加え、本実施形態では、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理に、電波受信判定ステップの判定結果に基づいて、指向性アンテナ6が作動しているか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定ステップが含まれる。
ステップS24では、コントローラ部12から入力された、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果を、データベース部14が有するメモリ部(図示せず)に保管する。これに加え、ステップS24では、物流管理システムSが行う動作として、コントローラ部12から入力された識別用タグ4の情報を、データベース部14が有するメモリ部に保管する。
【0060】
ステップS24において、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果及び識別用タグ4の情報を、データベース部14が有するメモリ部に保管すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS26へ移行する。
ステップS26では、予めデータベース部14に設定したアプリケーションを動作させ、各指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを個別に判定した判定結果及び識別用タグ4の情報を、例えば、時間順に整頓する。ステップS26において、データベース部14に設定したアプリケーションを動作させると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、ステップS28へ移行する。
【0061】
ステップS28では、ステップS26で処理した判定結果(情報)を、例えば、日付の情報を付与した後に、データベース部14が有するメモリ部に格納する。なお、ステップS28の処理で用いるメモリ部は、例えば、ステップS24の処理で用いたメモリ部よりも容量等が大きなものを用いる。ステップS28において、ステップS26で処理した情報を格納すると、アンテナ作動状態判定システム1が行う処理は、終了(「END」)する。
なお、上述したように、本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1の動作で実施するアンテナ作動状態判定方法は、受信した電波に応答する識別用タグ4へ電波を送受信して識別用タグ4の情報を読み取り可能な、複数の指向性アンテナ6a〜6dが作動しているか否かを、判定する方法である。
【0062】
具体的には、電波を送受信可能な各指向性アンテナ6a〜6dが送信した電波に対する各作動状態反映用タグ8a〜8dの応答を、各指向性アンテナ6a〜6dが受信したか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する電波受信判定ステップと、この電波受信判定ステップの判定結果に基づいて、指向性アンテナ6が作動しているか否かを、各指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定ステップを有する方法である。
【0063】
このアンテナ作動状態判定方法は、各作動状態反映用タグ8a〜8dのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグ8を、各指向性アンテナ6a〜6dのうち一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置するとともに、各作動状態反映用タグ8a〜8dのうち残りの作動状態反映用タグ8を、各指向性アンテナ6a〜6dのうち残りの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置することを前提としている。
【0064】
また、上記のアンテナ作動状態判定方法は、アンテナ作動状態判定ステップでは、電波受信判定ステップにおいて、各作動状態反映用タグ8a〜8dのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグ8の応答を、各指向性アンテナ6a〜6dのうち一つの指向性アンテナ6が受信したと判定すると、各指向性アンテナ6a〜6dのうち一つの指向性アンテナ6が作動していると判定する。これに加え、電波受信判定ステップにおいて、各作動状態反映用タグ8a〜8dのうち残りの作動状態反映用タグ8の応答を、各指向性アンテナ6a〜6dのうち残りの指向性アンテナ6が受信したと判定すると、各指向性アンテナ6a〜6dのうち残りの指向性アンテナ6が作動していると判定する。
【0065】
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、四つの作動状態反映用タグ8a〜8dのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグ8を、四つの指向性アンテナ6a〜6dのうち一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置している。
【0066】
これに加え、本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、四つの作動状態反映用タグ8a〜8dのうち残りの作動状態反映用タグ8を、四つの指向性アンテナ6a〜6dのうち残りの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置している。
このため、一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置された作動状態反映用タグ8からの応答を受信可能な指向性アンテナ6が、作動状態反映用タグ8からの応答を受信していない場合に、この指向性アンテナ6が、作動していない指向性アンテナ6であると判定することが可能となる。
【0067】
その結果、指向性アンテナ6が正常に作動にしているか否かを確認する付加機能を必要とせず、作動状態反映用タグ8を上記の位置に配置するだけで、四つの指向性アンテナ6a〜6dに、作動している指向性アンテナ6と作動していない指向性アンテナ6が混在している状態であっても、四つの指向性アンテナ6a〜6dから、作動していない指向性アンテナ6を判定することが可能となる。
これにより、四つの指向性アンテナ6a〜6dから、作動していない指向性アンテナ6を早急に検出して交換や修理等を行うことが可能となり、リーダライタの読み取り率低下を抑制することが可能となる。
【0068】
(2)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1は、RFIDシステムの既存構成(各指向性アンテナ6a〜6dと読み取り情報検出部10で形成するリーダライタ、データベース部14)に、各指向性アンテナ6a〜6dに対応する各作動状態反映用タグ8a〜8dを加え、また、コントローラ部12にアプリケーションを追加するだけで形成することが可能となる。
その結果、製造コストの増加を抑制することが可能となるとともに、アンテナ作動状態判定システム1に掛かる負担の増加を抑制することが可能となる。
【0069】
(3)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1は、搬送経路の変更や、指向性アンテナ6の設置位置の変更等、倉庫内におけるアンテナ作動状態判定システム1の設置環境が変化しても、各指向性アンテナ6が電波を送受信可能な方向に対して、各作動状態反映用タグ8を配置する位置を変更するだけで、倉庫内におけるアンテナ作動状態判定システム1の設置環境の変化に対応することが可能となる。
その結果、高い汎用性を発揮することが可能となるとともに、運用コストの増加を低減することが可能となる。
【0070】
(4)本実施形態の物流管理システムSでは、各指向性アンテナ6a〜6dが、電波の送受信方向を、指向性アンテナ6が送信した電波に応答する識別用タグ4が搬送される搬送経路へ向けて配置されている。
このため、例えば、コンテナ等の物品2を搬送する倉庫内において、物品2の種類を識別するシステムに対し、識別用タグ4を用いた物品2の種類を識別するとともに、各指向性アンテナ6a〜6dから作動していない指向性アンテナ6を判定することが可能となる。
その結果、物品2に取り付けた識別用タグ4の読み取り率低下を抑制することが可能となり、識別用タグ4を用いた物品2の種類の識別に関する確実性を向上させることが可能となる。
【0071】
(5)本実施形態のアンテナ作動状態判定方法は、四つの指向性アンテナ6a〜6dが送信した電波に対する四つの作動状態反映用タグ8a〜8dの応答を、四つの指向性アンテナ6a〜6dが受信したか否かを、四つの指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定する電波受信判定ステップを有している。
これに加え、本実施形態のアンテナ作動状態判定方法は、電波受信判定ステップの判定結果に基づいて、指向性アンテナ6が作動しているか否かを、四つの指向性アンテナ6a〜6dに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定ステップを有している。
【0072】
そして、本実施形態のアンテナ作動状態判定方法は、各作動状態反映用タグ8a〜8dのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグ8を、各指向性アンテナ6a〜6dのうち一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置するとともに、各作動状態反映用タグ8a〜8dのうち残りの作動状態反映用タグ8を、各指向性アンテナ6a〜6dのうち残りの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置することを前提としている。
このため、一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置された作動状態反映用タグ8からの応答を受信可能な指向性アンテナ6が、作動状態反映用タグ8からの応答を受信していない場合に、この指向性アンテナ6が、作動していない指向性アンテナ6であると判定することが可能となる。
【0073】
その結果、指向性アンテナ6が正常に作動にしているか否かを確認する付加機能を必要とせず、作動状態反映用タグ8を上記の位置に配置するだけで、四つの指向性アンテナ6a〜6dに、作動している指向性アンテナ6と作動していない指向性アンテナ6が混在している状態であっても、四つの指向性アンテナ6a〜6dから、作動していない指向性アンテナ6を判定することが可能となる。
これにより、四つの指向性アンテナ6a〜6dから、作動していない指向性アンテナ6を早急に検出して交換や修理等を行うことが可能となり、リーダライタの読み取り率低下を抑制することが可能となる。
【0074】
(6)本実施形態のアンテナ作動状態判定方法では、PCを用いて形成したコントローラ部12が行う処理、具体的には、上述するステップS18及びステップS20で行う処理において、電波受信判定ステップとアンテナ作動状態判定ステップを行う。
その結果、コントローラ部12以外、すなわち、各指向性アンテナ6a〜6dと読み取り情報検出部10で形成するリーダライタやデータベース部14において、電波受信判定ステップとアンテナ作動状態判定ステップを行う場合と比較して、電波受信判定ステップとアンテナ作動状態判定ステップの処理を効率に行うことが可能となる。
これは、以下に記載する理由による。
各指向性アンテナ6a〜6dと読み取り情報検出部10で形成するリーダライタにおいて、電波受信判定ステップとアンテナ作動状態判定ステップを行うと、両ステップの処理を行うことによって、各指向性アンテナ6a〜6dと読み取り情報検出部10によるタグ(識別用タグ4、作動状態反映用タグ8)の読み取り率が低下する。
【0075】
(変形例)
以下、本実施形態の変形例を列挙する。
(1)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、一つの指向性アンテナ6(例えば、第一指向性アンテナ6a)に対して、一つの作動状態反映用タグ8(例えば、第一作動状態反映用タグ8a)のみを、一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置しているが、これに限定するものではない。
【0076】
すなわち、例えば、図3から図5中に示すように、一つの指向性アンテナ6(図中では、第一指向性アンテナ6a)に対して、二つの作動状態反映用タグ8(図中では、第一作動状態反映用タグ8a1と第一作動状態反映用タグ8a2)を、一つの指向性アンテナ6が送信する電波のみに応答する位置に配置してもよい。なお、図3から図5は、本実施形態に対する変形例の概略構成を示す平面図である。
この場合、例えば、近傍に電波を反射する物体が多い環境等、一つの指向性アンテナ6が送信する電波の送信状況が不安定な場合であっても、一つの指向性アンテナ6が送信した電波に対する応答の確実性を向上させることが可能となる。
【0077】
(2)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、作動状態反映用タグ8を配置する際に、作動状態反映用タグ8を支持するタグ支持体を用いたが、これに限定するものではなく、例えば、作動状態反映用タグ8を、倉庫の壁面や床面に直接配置してもよい。また、例えば、作動状態反映用タグ8を、倉庫の床に埋め込んで配置してもよい。
(3)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、二つの指向性アンテナ6(例えば、第一指向性アンテナ6aと第二指向性アンテナ6b)を、電波の送受信方向を互いに対向させた状態で、物品2を搬送する搬送経路の両側に配置したが、これに限定するものでない。すなわち、例えば、図6中に示すように、二つの指向性アンテナ6(図中では、第一指向性アンテナ6aと第二指向性アンテナ6b)を、電波の送受信方向を互いに平行に向けた状態で、物品2を搬送する搬送経路の方側に配置してもよい。なお、図6は、本実施形態に対する変形例の概略構成を示す平面図である。
【0078】
(4)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、一つの指向性アンテナ6(例えば、第一指向性アンテナ6a)に対応する作動状態反映用タグ8(例えば、第一作動状態反映用タグ8a)を、電波の送受信方向を互いに対向させた指向性アンテナ6(例えば、第二指向性アンテナ6b)よりも、物品2を搬送する搬送経路から離れた位置に配置しているが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、一つの指向性アンテナ6に対応する作動状態反映用タグ8を、電波の送受信方向を互いに対向させた指向性アンテナ6の真下に配置してもよく、また、電波の送受信方向を互いに対向させた指向性アンテナ6よりも搬送経路に近い位置に配置してもよい。
(5)本実施形態のアンテナ作動状態判定システム1では、図1中に示すように、物品2の水平方向にのみ、各指向性アンテナ6を配置したが、これに限定するものではなく、物品2の水平方向に加え、物品2の鉛直方向にも各指向性アンテナ6を配置してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 アンテナ作動状態判定システム
2 物品
4 識別用タグ
6 指向性アンテナ(第一指向性アンテナ6a、第二指向性アンテナ6b、第三指向性アンテナ6c、第四指向性アンテナ6d)
8 作動状態反映用タグ(第一作動状態反映用タグ8a、第二作動状態反映用タグ8b、第三作動状態反映用タグ8c、第四作動状態反映用タグ8d)
10 読み取り情報検出部
12 コントローラ部
14 データベース部
16 電波受信判定部
18 アンテナ作動状態判定部
S 物流管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した電波に応答する識別用タグへ電波を送受信して前記識別用タグの情報を読み取り可能な複数の指向性アンテナが作動しているか否かを判定するアンテナ作動状態判定システムであって、
前記指向性アンテナが送信した電波に応答する複数の作動状態反映用タグと、
前記指向性アンテナが前記作動状態反映用タグの応答を受信したか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定する電波受信判定部と、
前記電波受信判定部の判定結果に基づいて、前記指向性アンテナが作動しているか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定部と、を備え、
前記複数の作動状態反映用タグのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグは、前記複数の指向性アンテナのうち一つの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置され、
前記複数の作動状態反映用タグのうち残りの作動状態反映用タグは、前記複数の指向性アンテナのうち残りの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置されていることを特徴とするアンテナ作動状態判定システム。
【請求項2】
一つの前記指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に、複数の前記作動状態反映用タグが配置されていることを特徴とする請求項1に記載したアンテナ作動状態判定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載したアンテナ作動状態判定システムと、前記指向性アンテナと、を備え、前記識別用タグを取り付けた物品の情報を管理する物流管理システムであって、
前記指向性アンテナは、電波の送受信方向を前記識別用タグの移動経路へ向けて配置されていることを特徴とする物流管理システム。
【請求項4】
受信した電波に応答する識別用タグへ電波を送受信して前記識別用タグの情報を読み取り可能な複数の指向性アンテナが作動しているか否かを判定するアンテナ作動状態判定方法であって、
前記複数の指向性アンテナが送信した電波に対する複数の作動状態反映用タグの応答を複数の指向性アンテナが受信したか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定する電波受信判定ステップと、
前記電波受信判定ステップの判定結果に基づいて、前記指向性アンテナが作動しているか否かを、前記複数の指向性アンテナに対して個別に判定するアンテナ作動状態判定ステップと、を有し、
前記複数の作動状態反映用タグのうち少なくとも一つの作動状態反映用タグを、前記複数の指向性アンテナのうち一つの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置し、
前記複数の作動状態反映用タグのうち残りの作動状態反映用タグを、前記複数の指向性アンテナのうち残りの指向性アンテナが送信する電波のみに応答する位置に配置し、
前記アンテナ作動状態判定ステップでは、前記電波受信判定ステップにおいて前記一つの作動状態反映用タグの応答を前記一つの指向性アンテナが受信したと判定すると、前記一つの指向性アンテナが作動していると判定し、前記電波受信判定ステップにおいて前記残りの作動状態反映用タグの応答を前記残りの指向性アンテナが受信したと判定すると、前記残りの指向性アンテナが作動していると判定することを特徴とするアンテナ作動状態判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−150726(P2012−150726A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10152(P2011−10152)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】