説明

アンテナ制御システム及び給電装置

【課題】任意接続である+12V、−48Vの電源ラインを使用する端末機器を容易かつ低コストに使用可能とするアンテナ制御システム及び給電装置を提供する。
【解決手段】無線基地局のアンテナの制御を行う1台以上の端末機器11と、端末機器11に制御信号を送信し、端末機器11を制御してアンテナの制御を行うと共に、端末機器11に電源を供給する制御装置12と、制御装置12と端末機器11、および端末機器11同士を接続するために用いられる制御ケーブル13と、を備え、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システムにおいて、制御装置12と別体に、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給する給電装置2を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AISG(Antenna Interface Standards Group)規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システム及び給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用の無線基地局では、一般に、アンテナのチルト制御を遠隔制御により行えるようになっている。当初は、アンテナの制御方式としてメーカーごとに独自の方式を用いていたが、近年のLTE(Long Term Evolution)無線基地局などでは、アンテナの制御をAISG規格で行うことが多くなっている。AISG規格は、アンテナの基本的な相互運用を確実にすべく標準化された規格である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8に示すように、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行う従来のアンテナ制御システム81は、無線基地局のアンテナ(図示せず)の制御を行うRET(Remote Electrical Tilt)ユニットなどの端末機器(AISG端末機器)11と、端末機器11に制御信号(RS−485規格信号)を送信し、端末機器11を制御してアンテナの制御を行うと共に、端末機器11に電源を供給する制御装置(AISG制御装置)12と、制御装置12と端末機器11とを接続する制御ケーブル(AISG制御ケーブル)13と、を備えている。制御ケーブル13は、図示していないが、制御信号を伝送するための制御信号線と、電源を供給するための電源線とを備えている。
【0004】
AISG規格にて規定されているコネクタのピン端子の番号(Pin Number)、各ピン端子で伝搬する信号(Signal)、必須接続(Mandatory)であるか任意接続(Optional)であるかという要求(Requirement)を表1に示す。
【0005】
【表1】

【0006】
表1に示すように、AISG規格では、1番の+12V、2番の−48V、6番の10〜30Vの3種類の電源ラインが用意されており、+12Vと−48Vの電源ラインは任意接続、10〜30Vの電源ラインは必須接続とされている。なお、表1における8番のNCは無接続(No Connection)を意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2010−519804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、AISG規格では上述のように3種類(10〜30V,+12V、−48V)の電源ラインが用意されているにもかかわらず、現状の既設のアンテナ制御システムでは、必須接続である10〜30Vの電源ラインのみが使用され、任意接続の−48Vや+12Vの電源ラインが使用されていない場合が多い。よって、+12Vや−48Vの任意接続の電源ラインを使用する端末機器が非常に使用しづらいという問題がある。
【0009】
現状の既設のアンテナ制御システムでは、例えば、制御装置が10〜30Vの電源ラインのみに電源を供給している場合や、分配器等の端末機器の内部(入出力間)で+12Vや−48Vの電源ラインが接続されていない場合、あるいは、制御ケーブルとして+12V、−48Vの電源線を備えていないものを用いている場合も多く、このような場合、+12Vや−48Vの電源ラインを使用する端末機器を使用することはできない。
【0010】
このような既設のアンテナ制御システムにおいて、+12Vや−48Vの電源ラインを使用する端末機器を使用するとなると、使用する任意接続の電源ラインに対応していない制御装置、端末機器、制御ケーブル等を全て取り替える必要が生じ、非常に手間とコストがかかってしまう。
【0011】
なお、AISG規格では、以前は1番の+12Vを必須接続としていたという経緯もあり、古い端末機器では、1番の+12Vの電源ラインのみから電源供給を受けるよう構成されたものがある。また、電圧を大きくすれば小電流でも大電力を供給でき、制御ケーブル等での電圧降下を抑制して電力効率を向上できることから、将来的には、2番の−48Vの電源ラインを使用する端末機器が増えると考えられる。よって、上述のような既設のアンテナ制御システムにおいて、+12Vや−48Vの電源ラインを使用する端末機器を使用可能とすることは、アンテナ制御システムの柔軟性や拡張性を高める上で非常に重要である。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み為されたものであり、任意接続である+12V、−48Vの電源ラインを使用する端末機器を容易かつ低コストに使用可能とするアンテナ制御システム及び給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、無線基地局のアンテナの制御を行う1台以上の端末機器と、前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられる制御ケーブルと、を備え、AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムにおいて、前記制御装置と別体に、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給する給電装置を備えたアンテナ制御システムである。
【0014】
前記給電装置は、前記制御装置側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される入力コネクタと、前記制御装置と反対側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される出力コネクタと、前記入力コネクタと前記出力コネクタが取り付けられると共に、該両コネクタの間で、必須接続である10〜30Vの電源ラインと、前記制御信号を伝送する制御信号ラインをそれぞれ電気的に接続し、かつ、前記入力コネクタと前記出力コネクタの少なくとも一方の前記+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給するよう構成された本体部と、を備えていてもよい。
【0015】
前記本体部は、前記10〜30Vの電源ラインから入力された電圧を変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するよう構成されてもよい。
【0016】
前記本体部は、前記制御装置以外の独立電源に接続され、該独立電源から入力された電圧を直接あるいは変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するよう構成されてもよい。
【0017】
また、本発明は、無線基地局のアンテナの制御を行う1台以上の端末機器と、前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられる制御ケーブルと、を備え、AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムに用いる給電装置であって、前記制御装置側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される入力コネクタと、前記制御装置と反対側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される出力コネクタと、前記入力コネクタと前記出力コネクタが取り付けられると共に、該両コネクタの間で、必須接続である10〜30Vの電源ラインと、前記制御信号を伝送する制御信号ラインをそれぞれ電気的に接続し、かつ、前記入力コネクタと前記出力コネクタの少なくとも一方の、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給するよう構成された本体部と、を備えた給電装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、任意接続である+12V、−48Vの電源ラインを使用する端末機器を容易かつ低コストに使用可能とするアンテナ制御システム及び給電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図であり、(b)は給電装置の概略構成図である。
【図2】図1のアンテナ制御システムに用いる制御ケーブルの一例を示す横断面図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムに用いる給電装置の概略構成図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムに用いる給電装置の概略構成図である。
【図5】本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムに用いる給電装置の概略構成図である。
【図6】本発明の一変形例に係るアンテナ制御システムに用いる給電装置の概略構成図である。
【図7】図1(b)の給電装置を分配器と同一の筐体に内蔵したときの概略構成図である。
【図8】従来のアンテナ制御システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0021】
図1(a)は、本実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図であり、図1(b)は給電装置の概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、アンテナ制御システム1は、無線基地局のアンテナ(図示せず)の制御を行うRETユニットなどの端末機器(AISG端末機器)11と、端末機器11に制御信号(RS−485規格信号)を送信し、端末機器11を制御してアンテナの制御を行うと共に、端末機器11に電源を供給する制御装置(AISG制御装置)12と、制御装置12と端末機器11、および端末機器11同士を接続するための制御ケーブル(AISG制御ケーブル)13と、を備えている。アンテナ制御システム1は、AISG規格に準拠してアンテナのチルト角等の制御を行うものである。
【0023】
図1では、2台の端末機器11をデイジーチェーン接続した場合を示しているが、端末機器11の台数はこれに限定するものではなく、1台以上であればよい。
【0024】
制御装置12には、各端末機器11に制御信号と電力を出力するための出力コネクタ(メスコネクタ)12aが設けられている。各端末機器11には、制御装置12からの制御信号と電力が入力される入力コネクタ(オスコネクタ)11aと、デイジーチェーン接続用の出力コネクタ(メスコネクタ)11bとが設けられている。また、制御ケーブル13の一端にはオスコネクタ13aが設けられ、制御ケーブル13の他端にはメスコネクタ13bが設けられている。これらコネクタ11a,11b,12a,13a,13bは、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)であり、例えば、第一電子工業社製のAIC−M16R−8SCなどである。
【0025】
ここでは、一例として、制御装置12が、必須接続である10〜30Vの電源ラインにのみ電源を供給するものである場合を説明する。また、1段目(図示左側)の端末機器11は、10〜30Vの電源ラインのみを使用するものであり、2段目(図示右側)の端末機器11は、−48Vの電源ラインを使用するものとする。これは、例えば、制御装置12と1段目の端末機器11で構成された既設のアンテナ制御システムに、−48Vの電源ラインを使用する2段目の端末機器11を追加する場合を想定している。
【0026】
制御装置12の出力コネクタ12aには、制御ケーブル13のオスコネクタ13aが接続され、その制御ケーブル13のメスコネクタ13bが1段目(図示左側)の端末機器11の入力コネクタ11aに接続される。これにより、制御装置12と1段目の端末機器11とが制御ケーブル13を介して接続される。
【0027】
1段目の端末機器11と2段目の端末機器11は、制御装置12と1段目の端末機器11との接続と同様に制御ケーブル13を介して接続されるが、両者を直接接続しても、−48Vの電源ラインに電源が供給されていないために、2段目の端末機器11は動作することができない。そこで、アンテナ制御システム1では、両端末機器11の間に、本発明の給電装置2を挿入している。給電装置2については、後に詳述する。
【0028】
制御ケーブル13は、図2に示すように、制御信号を伝送する制御信号ラインとして用いる2本の制御信号線14と、電源を供給するための3本の電源線15とを備えている。2本の制御信号線14には、ドレインワイヤ16が縦添えされており、2本の制御信号線14とドレインワイヤ16の周囲には、これらを一括して取り囲むようにシールドテープ(金属テープ)17が設けられている。
【0029】
3本の電源線15は、異なる電圧が設定された2本の電源線15a,15cと、DCリターン用の電源線15bとからなる。ここでは、−48Vの電源ラインとなる−48V線15aと10〜30Vの電源ラインとなる10〜30V線15cを備える場合を示している。
【0030】
3本の電源線15は、介在18と共に2本の制御信号線14の周囲(シールドテープ17の周囲)に配置され、これらを一括して取り囲むように、シールドテープ19、編組シールド20、シース21が順次設けられている。
【0031】
なお、図2の制御ケーブル13は、あくまで一例として示したものであり、制御ケーブル13は、図2の構成に限定されるものではない。例えば、制御装置12と1段目の端末機器11間、および1段目の端末機器11と給電装置2間に設けられる制御ケーブル13については、−48V線15aを使用しないので、−48V線15aを省略したものを用いることも可能である。また、2段目の端末機器11が+12Vの電源ラインを使用するものである場合は、給電装置2と2段目の端末機器11間に設けられる制御ケーブル13として、+12Vの電源ラインとなる電源線(+12V線)を備えたものを用いる必要がある。
【0032】
さて、アンテナ制御システム1は、制御装置12と別体に、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給する本発明の給電装置2を備えている。ここでは、給電装置2として、−48Vの電源ラインに電源を供給する(−48V電源を付加する)ものを用いる場合を説明する。
【0033】
給電装置2は、1段目と2段目の端末機器11間の制御ケーブル13の途中に挿入される。給電装置2は、制御装置12側(1段目の端末機器11側)の制御ケーブル13と接続される入力コネクタ(オスコネクタ)3と、制御装置12と反対側(2段目の端末機器11側)の制御ケーブル13と接続される出力コネクタ(メスコネクタ)4と、入力コネクタ3と出力コネクタ4が取り付けられる本体部5と、を備えている。
【0034】
入力コネクタ3と出力コネクタ4は、AISG規格に準拠した一般的なコネクタである。ここでは、入力コネクタ3と出力コネクタ4を制御ケーブル13に接続する場合を示しているが、端末機器11の入力コネクタ11aまたは出力コネクタ11bに直接接続することも可能である。
【0035】
図1(a)のアンテナ制御システム1では、1段目の端末機器11の出力コネクタ11bには、制御ケーブル13のオスコネクタ13aが接続され、その制御ケーブル13のメスコネクタ13bが給電装置2の入力コネクタ3に接続され、これにより、1段目の端末機器11と給電装置2とが制御ケーブル13を介して接続されている。また、給電装置2の出力コネクタ4には、制御ケーブル13のオスコネクタ13aが接続され、その制御ケーブル13のメスコネクタ13bが2段目の端末機器11の入力コネクタ11aに接続され、これにより、給電装置2と2段目の端末機器11とが制御ケーブル13を介して接続されている。2段目の端末機器11の出力コネクタ11bは、何も接続されず開放された状態となっている。
【0036】
図1(b)に示すように、本体部5は、両コネクタ3,4の間で、必須接続である10〜30Vの電源ラインと、制御信号を伝送する制御信号ラインをそれぞれ電気的に接続するように構成されている。つまり、本体部5は、両コネクタ3,4の間で、10〜30Vの電源ラインとなる6番のピン端子同士、DCリターンとなる7番のピン端子同士、RS485A,RS485Bの制御信号ラインとなる3番,5番のピン端子同士を、それぞれ内部配線5aにより直接結線するように構成されている。
【0037】
また、本体部5は、出力コネクタ4の−48Vの電源ライン(2番のピン端子)に電源を供給するよう構成される。本実施の形態では、本体部5を、10〜30Vの電源ラインから入力された電圧を変換(変圧)して、−48Vの電源ラインに出力するように構成した。具体的には、本体部5にDC/DCコンバータ5bを備え、DC/DCコンバータ5bを用いて10〜30V電源から−48V電源を生成し、DC/DCコンバータ5bの出力端子を−48Vの電源ラインへ接続することにより、−48Vの電源ラインに給電するように構成した。DC/DCコンバータ5bとしては、入出力絶縁型のものを用いる。
【0038】
DC/DCコンバータ5bの入力端子の正極(Vin(+))は10〜30Vの電源ライン、すなわち6番のピン端子同士を接続する内部配線5aに電気的に接続され、入力端子の負極(Vin(−))はDCリターン、すなわち7番のピン端子同士を接続する内部配線5aに電気的に接続される。また、DC/DCコンバータ5bの出力端子の正極(Vout(+))はDCリターン、すなわち7番のピン端子同士を接続する内部配線5aに電気的に接続され、出力端子の負極(Vout(−))は出力コネクタ4の−48Vの電源ライン、すなわち2番のピン端子に電気的に接続される。
【0039】
なお、DC/DCコンバータ5bとしては、入力端子の負極(Vin(−))と出力端子の正極(Vout(+))が内部で電気的に接続されているものを用いてもよい。この場合、入力端子の負極(Vin(−))と出力端子の正極(Vout(+))のいずれか一方を、DCリターンに電気的に接続するようにすればよい。
【0040】
本実施の形態では、一例として、給電装置2を、−48Vの電源ラインに電源を供給するように構成した場合を説明したが、+12Vの電源ラインを使用する端末機器11を接続する場合には、給電装置2を、+12Vの電源ラインに電源を供給するように構成してもよい。この場合、DC/DCコンバータ5bの出力端子の正極(Vout(+))を出力コネクタ4の+12Vの電源ライン、すなわち1番のピン端子に電気的に接続し、出力端子の負極(Vout(−))をDCリターン、すなわち7番のピン端子同士を接続する内部配線5aに電気的に接続するように、本体部5を構成すればよい。
【0041】
また、本実施の形態では、出力コネクタ4の−48Vの電源ラインのみに電源を供給したが、図3(a)に示すように、DC/DCコンバータ5bの出力端子の負極(Vout(−))を、入力コネクタ3の−48Vの電源ライン(2番のピン端子)に電気的に接続してもよいし、図3(b)に示すように、DC/DCコンバータ5bの出力端子の負極(Vout(−))を、両コネクタ3,4の−48Vの電源ライン(2番のピン端子)に電気的に接続してもよい。つまり、本体部5は、入力コネクタ3と出力コネクタ4のいずれか一方または両方の+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給するように構成されていればよい。
【0042】
なお、図3(a),(b)に示した給電装置2のように、入力コネクタ3の−48Vの電源ライン(または+12Vの電源ライン)に電源を供給するよう構成する場合、例えば、開放されている末端の端末機器11(図1(a)における2段目の端末機器11)の出力コネクタ11bに、給電装置2の入力コネクタ3を直接接続することも可能である。このような用途では、給電装置2の出力コネクタ4を使用しない場合もあるため、出力コネクタ4を省略して給電装置2をより簡易な構成とすることも可能である。
【0043】
本実施の形態の作用を説明する。
【0044】
本実施の形態に係るアンテナ制御システム1では、制御装置12と別体に、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給する給電装置2を備えている。
【0045】
給電装置2を備えることにより、+12V電源や−48V電源の供給が無いAISG制御系、つまり10〜30Vの電源ラインのみで給電を行っている既設のアンテナ制御システムにおいても、任意接続である+12Vや−48Vの電源ラインを使用する端末機器11を使用することが可能になる。
【0046】
本発明では、給電装置2を追加するのみで、+12Vや−48Vの電源ラインを使用する端末機器11を使用可能となるため、既設のアンテナ制御システムの制御装置12や端末機器11や制御ケーブル13を取り替える必要がない。よって、容易かつ低コストに+12Vや−48Vの電源ラインを使用する端末機器11を使用可能とし、システムの柔軟性や拡張性を向上できる。
【0047】
また、本実施の形態では、給電装置2として、10〜30Vの電源ラインから入力された電圧を変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するものを用いており、10〜30Vの電源ラインで供給する電力の一部を、−48Vの電源ラインで供給している。電圧を大きくすれば小電流でも大電力を供給でき、制御ケーブル13等での電圧降下を抑制して電力効率を向上できることから、給電装置2を挿入することで、アンテナ制御システム1の一部区間での電力効率を向上でき、結果的にシステム全体の電力効率を高めることが可能になる。よって、同じ消費電力の端末機器11を用いる場合には、より長く制御ケーブル13を延長すること(つまり制御装置12と端末機器11間の距離をより長くすること)が可能になる。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、給電装置2の本体部5を、10〜30Vの電源ラインから入力された電圧を変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するよう構成したが、これに限らず、本体部5を制御装置12以外の独立電源に接続し、独立電源から入力された電圧を直接あるいは変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するよう構成してもよい。
【0050】
例えば、図4(a),(b)に示す給電装置41のように、本体部5に独立した直流電源42を接続し、DC/DCコンバータ5bにて、直流電源42から入力された電圧を変換(変圧)して、−48Vの電源ライン(または+12Vの電源ライン)に出力するよう構成してもよい。図4(a)は直流電源42としてバッテリ43を用いた場合、図4(b)は直流電源42として、商用電源44から供給される交流電源をAC/DCコンバータ45で直流に変換したものを用いている場合を示している。
【0051】
また、図5に示す給電装置51のように、出力電圧が−48V(または+12V)であるバッテリ53を直流電源42として用意できる場合には、DC/DCコンバータ5bを省略して、直流電源42から入力された電圧を直接−48Vの電源ライン(または+12Vの電源ライン)に出力するよう構成してもよい。バッテリ53を本体部5に内蔵することも可能である。
【0052】
さらに、図6に示す給電装置61のように、本体部5にAC/DCコンバータ62を備えると共に、本体部5に商用電源63を接続するようにし、AC/DCコンバータ62にて、商用電源63から入力された交流電源を直流に変換して、−48Vの電源ライン(または+12Vの電源ライン)に出力するよう構成してもよい。
【0053】
図4〜6の給電装置41,51,61では、制御装置12以外の独立電源を用いて−48V電源(または+12V電源)を生成しているため、10〜30V電源の電力ロスがなくなるというメリットがある。
【0054】
さらにまた、本発明の給電装置を分配器(AISG信号分配器)やアレスタに内蔵することも可能である。図7は、一例として、4つの出力コネクタ73を備えた4分配の分配器71と同一筐体72内に図1(b)の給電装置2を内蔵した場合を示している。この場合、給電装置2の出力コネクタ4および分配器71の入力コネクタを省略して、両者を直接接続するよう構成すればよい。なお、RETユニットなどの端末機器11と同一筐体内に本発明の給電装置を内蔵することも、もちろん可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 アンテナ制御システム
2 給電装置
3 入力コネクタ
4 出力コネクタ
5 本体部
5a 内部配線
5b DC/DCコンバータ
11 端末機器
12 制御装置
13 制御ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局のアンテナの制御を行う1台以上の端末機器と、
前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、
前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられる制御ケーブルと、を備え、
AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムにおいて、
前記制御装置と別体に、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給する給電装置を備えた
ことを特徴とするアンテナ制御システム。
【請求項2】
前記給電装置は、
前記制御装置側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される入力コネクタと、
前記制御装置と反対側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される出力コネクタと、
前記入力コネクタと前記出力コネクタが取り付けられると共に、該両コネクタの間で、必須接続である10〜30Vの電源ラインと、前記制御信号を伝送する制御信号ラインをそれぞれ電気的に接続し、かつ、前記入力コネクタと前記出力コネクタの少なくとも一方の前記+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給するよう構成された本体部と、を備えている
請求項1記載のアンテナ制御システム。
【請求項3】
前記本体部は、
前記10〜30Vの電源ラインから入力された電圧を変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するよう構成される
請求項2記載のアンテナ制御システム。
【請求項4】
前記本体部は、
前記制御装置以外の独立電源に接続され、該独立電源から入力された電圧を直接あるいは変換して、+12Vまたは−48Vの電源ラインに出力するよう構成される
請求項2記載のアンテナ制御システム。
【請求項5】
無線基地局のアンテナの制御を行う1台以上の端末機器と、
前記端末機器に制御信号を送信し、前記端末機器を制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記端末機器に電源を供給する制御装置と、
前記制御装置と前記端末機器、および前記端末機器同士を接続するために用いられる制御ケーブルと、を備え、
AISG規格に準拠して前記アンテナの制御を行うアンテナ制御システムに用いる給電装置であって、
前記制御装置側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される入力コネクタと、
前記制御装置と反対側の前記制御ケーブルまたは前記端末機器と接続される出力コネクタと、
前記入力コネクタと前記出力コネクタが取り付けられると共に、該両コネクタの間で、必須接続である10〜30Vの電源ラインと、前記制御信号を伝送する制御信号ラインをそれぞれ電気的に接続し、かつ、前記入力コネクタと前記出力コネクタの少なくとも一方の、任意接続である+12Vまたは−48Vの電源ラインに電源を供給するよう構成された本体部と、を備えた
ことを特徴とする給電装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−17042(P2013−17042A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148429(P2011−148429)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】