アンテナ及びアンテナシステム
【課題】 最低共振周波数が低く、VSWR対周波数特性が広帯域にわたり平坦でかつ実用可能なVSWRが得られ、垂直偏波及び水平偏波ともに無指向性の小型のアンテナシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明のアンテナは、頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、を有するアンテナであって、前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴としている。
【解決手段】 本発明のアンテナは、頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、を有するアンテナであって、前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及びそのアンテナを用いたアンテナシステムに関する。特に、自動車、トラック、電車、船舶及び航空機等の移動体を含み、これらに限定されない車両における、ワイヤレス通信装置等の無線装置に利用可能な無指向性で且つ広帯域なアンテナ及びそのアンテナを用いたアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来のディスコーンアンテナの一例を示す図である。金属導体からなる円錐体(コーン)181、金属導体からなる円盤(ディスク)182、給電線183、給電点184の構造を有する。Lは円錐体181の円錘傾斜面に沿った長さ(円錐長)、Dは円盤182の半径である。従来のディスコーンアンテナは、円錐長Lの約4倍の波長である周波数が最低共振周波数となる特性を持っており、また、円盤182の半径Dの値が小さくなると最低共振周波数が高くなる傾向がある。
【0003】
図19は、特許文献1に開示されたアンテナである。該アンテナは、円錐体191の周面上にスパイラル状導電素子192a、192bを形成し、円盤193の平面上にメアンダ状導電素子194を形成することにより、最低共振周波数が円錐長Lに決定されずに、小型で最低共振周波数を従来のディスコーンアンテナより低くすることが可能で、かつ、多共振化が図られている。しかしながら、円盤193の平面上に形成するメアンダ状導電素子194は複雑な構造となり、多数の共振点を得ることができるものの、該アンテナでは広帯域にわたり平坦な周波数特性は実現できず、VSWRが高くなる周波数帯が出てしまう。
【0004】
図20は特許文献1に開示されたアンテナのVSWR対周波数特性の実測結果を示す図である。図20で示すとおり特許文献1に開示されたアンテナは、多数の共振点を得ることができ、共振点ではVSWRは低い値を示すものの、他方で、該アンテナでは広帯域にわたり平坦なVSWR対周波数特性を実現することができず、VSWRが高くなる周波数帯が出てしまうという欠点がある。
【特許文献1】特開平9−83238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のディスコーンアンテナは、円錐長Lの約4倍の波長である周波数が最低共振周波数となるため、小型の形状では低い周波数までの実用が困難であった。そのため円錐体の周面上にスパイラル状導電素子を形成し、円盤の平面上にメアンダ状導電素子を形成するなどの形態により、小型化を図る必要があったが、円盤の平面上に形成するメアンダ状導電素子は複雑な構造となり、多数の共振点を得ることができるものの、該アンテナでは広帯域にわたり平坦なVSWR対周波数特性を実現することができず、共振点ではVSWRは低い値を示すものの、他方で高くなる周波数帯が出てしまうという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、小型ディスコーンアンテナの使用可能な周波数帯を従来のディスコーンアンテナより低くし、広帯域にわたり平坦なVSWR対周波数特性を有しかつ広帯域にわたり実用可能なVSWRを実現するとともに、水平偏波および垂直偏波ともに無指向性を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナが提供される。
【0008】
また、本発明によると、
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナが提供される。
【0009】
また、前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有するようにしている。
【0010】
また、前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続しているようにしている。
【0011】
前記第3の導電素子は、四角形であるようにしてもよい。
【0012】
また、前記円錐体の頂角は、90°であるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明によると、
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナを備え、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有し、且つ
前記第3の導電素子は、車両の金属部分に電気的に接続されたことを特徴とするアンテナシステムが提供される。
【0014】
また、前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有するようにしている。
【0015】
また、前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続しているようにしている。
【0016】
また、前記第3の導電素子は、四角形であるようにしている。
【0017】
また、前記円錐体の頂角は、90°であるようにしている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、円錐体周面上に形成される導電素子のスパイラル形状と板の平面上に形成される導電素子のスパイラル形状を同形状の等角スパイラル形状となるよう形成することにより、円錐体に形成された導電素子と板に形成された導電素子とが相補性を有することとなる。よって、アンテナのインピーダンスが周波数にかかわらず一定で、このアンテナインピーダンスとマッチングをとれば、広帯域にわたりVSWRの周波数特性が平坦でかつ、高利得で実用可能なVSWRを得ることができるという顕著な効果を有する。
【0019】
また、本発明によれば、円錐体の底面に接地面となる平板を接合した構成とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。
【0020】
また、本発明によれば、円錐体の底面に接合した平板の接地面をさらに同電位となる自動車等の車両の金属ボディに接合させる構造とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例1及び2で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略するものとする。
【0022】
図1は、本実施形態に係る本発明のディスコーンアンテナの構成図である。このアンテナシステムは、円盤10と円錐体20と同軸線路(同軸ケーブル)30から構成される。円盤10及び円錐体20は絶縁体を用いて形成し、円盤10平面上及び円錐体20周面上に同じ等角スパイラル形状の導電素子11、12、21、22を形成した構造とする。本実施形態における本発明のディスコーンアンテナは、等角スパイラル形状の導電素子が、それぞれ、円盤に2本、円錐体に2本づつ設けられており、互いに180°の対称となる形状となっている。
【0023】
図2は、本発明に係るディスコーンアンテナシステムの同軸線路30の配線を示す断面図である。円盤10平面上に形成されるスパイラル状導電素子11、12の始端部に給電点a31が設けられ、この給電点a31に同軸線路30の芯線(中心導体)が接続され、円錐体20周面上に形成されるスパイラル状導電素子21、22の始端部(頂点部分)に給電点b32が設けられ、この給電点b32に同軸線路30のシールド線が接続される。
【0024】
図3(A)は、円盤10平面上に形成されるスパイラル状導電素子11、12の形状の一例である。この円盤10平面上に形成されたスパイラル形状と同一の形状の導電素子を円錐体周面上に形成する。上記スパイラル状導電素子は、スパイラルの曲線上の任意の点と原点とを結ぶ直線とその点における曲線の接線との間に作る角がどの点においても同一角となる形状である。なお、本実施形態においては、スパイラル状の導電素子が形成された板は、円盤10としたが、これに限定されるわけではなく、当該板の形状は四角形状としてもよい。
【0025】
等角スパイラルのスパイラル半径rは、次式に示すスパイラル方程式(1)によって求める。
r=a・exp(p(θ+φ)) ・・・(1)
【0026】
スパイラル曲線の半径をr、径を定める定数をa、スパイラル定数p、中心からスパイラル半径r方向の角度をθ、初期角度をφとして示している。上記径を定める定数a、スパイラル定数p及び初期角度φを変更することにより、中心点の始端部から終端部に帯状の導電素子部分を複数形成することができる。
【0027】
図3(B)は、上記スパイラル方程式(1)を用いて螺旋を描いたものである。なお、この螺旋のa値を変更してもう一本の螺旋を形成すれば、上記中心点の始端部から終端部に帯状の導電素子部分を形成することができ、さらに、180°の対称となるもう一本の対を形成することにより円盤平面上及び円錐体周面上にスパイラル形状に形成するようにしている。
【0028】
図4は、本実施形態に係るディスコーンアンテナの100MHzから6GHzの広帯域にわたり計測したVSWR対周波数特性の実測結果を示す図である。406.46MHzのVSWRは3.0dB、770.49MHzのVSWRは2.5dB、1.57GHzのVSWRは2.2dB、2.50GHzのVSWRは2.2dB、5.80GHzのVSWRは1.7dBであり、実施形態1に係るディスコーンアンテナは、広帯域にわたり実用可能なVSWRが実現している。また、共振点がないためVSWRの周波数特性も広帯域にわたり3dB以下の平坦な特性を示している。実測した上限周波数は、5.80GHzであるが、この図4からするとさらに高い周波数でも3dB以下の値を得ることが可能である。
【0029】
図5〜図7は、実施形態1に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置し、垂直偏波の指向特性を計測した結果である。
【0030】
図5は76MHz、83MHz、90MHz、156MHz及び222MHzの各周波数の測定結果である。また、図6は470MHz、620MHz及び770MHzの各周波数の測定結果である。また、図7は1575.42MHz、2499.7MHz及び5820MHzの各周波数の測定結果である。これらの測定結果によると、本実施形態に係るディスコーンアンテナの垂直偏波の指向特性が無指向性であることが分かる。
【0031】
図8、図9は、実施形態1に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し平行に円盤が地面に対し垂直となるよう設置し、垂直偏波の指向特性を計測した結果である。
【0032】
図8は76MHz、83MHz、90MHz、156MHz及び222MHzの各周波数の測定結果である。また、図9は470MHz、620MHz及び770MHzの各周波数の測定結果である。
【0033】
以上説明したとおり、本発明のアンテナによると、インピーダンスが周波数にかかわらず一定で、このアンテナインピーダンスとマッチングをとれば、広帯域にわたりVSWRの周波数特性が平坦でかつ、高利得で実用可能なVSWRを得ることができる。
【実施例1】
【0034】
図10は、本発明の実施形態2に係るディスコーンアンテナシステムの構成図である。本実施例に係るアンテナシステムは、円盤10と円錐体20と同軸線路30と接地板101から構成される。上述の実施形態と同様に、円盤10及び円錐体20は絶縁体を用いて形成し、円盤10平面上及び円錐体20周面上に同形状の等角スパイラル導電素子11、12、21、22を形成した構造とする。接地板101は、本ディスコーンアンテナシステムを接続する装置のグランド電位の接地面と接合しグランド電位となるように構成する。
【実施例2】
【0035】
図11は、本発明の実施例2に係るディスコーンアンテナシステムの構成図である。本実施例に係るアンテナシステムは、円盤10と円錐体20と同軸線路30と接地板101と接地板101を接合する自動車の金属ボディ111から構成される。
【0036】
本発明の実施例2と同様に、円盤10及び円錐体20は絶縁体を用いて形成し、円盤10平面上及び円錐体20周面上に同形状の等角スパイラル導電素子11、12、21、22を形成した構造とし、接地板101は、本ディスコーンアンテナシステムを接続する自動車の金属ボディ111と接合しグランド電位となるように構成する。
【0037】
図12は、自動車金属ボディ111下部前方に設置した実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムの100MHzから6GHzの広帯域にわたり計測したVSWR対周波数特性の実測結果を示す図である。図12のマーカー部分の計測値はあえて悪い値を選んだものであるが、それでもやや良好な数値を示しており、周波数184.03MHzのVSWRは3.0dB、395.84MHzのVSWRは3.0dB、728.899MHzのVSWRは3.4dB、2.08GHzのVSWRは2.9dB、2.40GHzのVSWRは2.5dB、5である。
【0038】
また、共振点がないためVSWRの周波数特性も広帯域にわたりほぼ3dB以下の平坦な特性を示している。図12に実測値を示していないものの、測定した最高周波数6GHz付近の波形をみるとVSWRが2dB以下であり6GHz以上の高周波領域まで実用可能である。
【0039】
さらに、実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムのVSWR対周波数特性を示す図12と前記実施形態1に係るディスコーンアンテナのVSWR対周波数特性を示す図4とを比較すると、グランド面を広くとった実施形態3は、実施形態1よりも実用可能な最低下限周波数帯域が広帯域化している。
【0040】
図13〜図15は、自動車金属ボディ111下部前方に設置した実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置し、垂直偏波の指向特性を計測した結果である。
【0041】
図13は76MHz、83MHz、90MHz、156MHz及び222MHzの各周波数の測定結果である。図14は470MHz、620MHz及び770MHzの各周波数の測定結果である。図15は1575.42MHz、2499.7MHz及び5820MHzの各周波数の測定結果である。これらの測定結果によると、本実施例に係るディスコーンアンテナシステムの垂直偏波の指向特性が無指向性であることを示している。
【0042】
図16、図17は、自動車金属ボディ111下部前方に設置した実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置し、水平偏波の指向特性を計測した結果である。
【0043】
図16は470MHz及び620MHzの各周波数の測定結果である。図17は1575.42MHz、2499.7MHz及び5820MHzの各周波数の測定結果である。これらの測定結果によると、本実施例に係るディスコーンアンテナシステムの水平偏波の指向特性が無指向性であることを示している。
【0044】
よって、本実施例に係るディスコーンアンテナシステムの垂直偏波及び水平偏波の指向性特性は、ともに無指向性であり、球体のような指向性特性を有することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のアンテナ及びアンテナシステムによると、アンテナのインピーダンスが周波数にかかわらず一定で、このアンテナインピーダンスとマッチングをとれば、広帯域にわたりVSWRの周波数特性が平坦でかつ、高利得で実用可能なVSWRを得ることができる。また、本発明によれば、円錐体の底面に接地面となる平板を接合した構成とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。更に、また、本発明によれば、円錐体の底面に接合した平板の接地面をさらに同電位となる自動車等の車両の金属ボディに接合させる構造とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。
【0046】
よって、本発明は、列車、車、船、飛行機を始め、あらゆる車両等の移動体における種々の周波数を用いた通信機器のアンテナとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンテナシステムの構成図である。
【図2】本発明のアンテナシステムの給電部分を示す断面図である。
【図3】本発明における導電素子のスパイラル形状を示す図である。
【図4】実施形態に係るアンテナシステムのVSWR対周波数特性の実測値を示す図である。
【図5】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で76MHz、83MHz、90MHz、156MHz、222MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図6】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、770MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図7】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で1575.42MHz、2499.70MHz、5820.00MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図8】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し平行に円盤が地面に対し垂直となるよう設置した条件で76MHz、83MHz、90MHz、156MHz、222MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図9】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し平行に円盤が地面に対し垂直となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、770MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係るアンテナシステムの構成図である。
【図11】本発明の一実施例に係るアンテナシステムの構成図である。
【図12】本発明の一実施例に係るアンテナシステムのVSWR対周波数特性の実測値を示す図である。
【図13】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で76MHz、83MHz、90MHz、156MHz、222MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図14】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、770MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図15】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で1575.42MHz、2499.70MHz、5820.00MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図16】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、各周波数の水平偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図17】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で1575.42MHz、2499.70MHz、5820.00MHz各周波数の水平偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図18】従来のディスコーンアンテナの構成図である。
【図19】従来のアンテナの構成図である。
【図20】従来のアンテナのVSWR対周波数特の実測値を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 円盤
11、21 スパイラル導電素子
12、22 非導電部
20 円錐体
30 同軸線路
31 給電点a
32 給電点b
101 接地板
111 自動車金属ボディ
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及びそのアンテナを用いたアンテナシステムに関する。特に、自動車、トラック、電車、船舶及び航空機等の移動体を含み、これらに限定されない車両における、ワイヤレス通信装置等の無線装置に利用可能な無指向性で且つ広帯域なアンテナ及びそのアンテナを用いたアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来のディスコーンアンテナの一例を示す図である。金属導体からなる円錐体(コーン)181、金属導体からなる円盤(ディスク)182、給電線183、給電点184の構造を有する。Lは円錐体181の円錘傾斜面に沿った長さ(円錐長)、Dは円盤182の半径である。従来のディスコーンアンテナは、円錐長Lの約4倍の波長である周波数が最低共振周波数となる特性を持っており、また、円盤182の半径Dの値が小さくなると最低共振周波数が高くなる傾向がある。
【0003】
図19は、特許文献1に開示されたアンテナである。該アンテナは、円錐体191の周面上にスパイラル状導電素子192a、192bを形成し、円盤193の平面上にメアンダ状導電素子194を形成することにより、最低共振周波数が円錐長Lに決定されずに、小型で最低共振周波数を従来のディスコーンアンテナより低くすることが可能で、かつ、多共振化が図られている。しかしながら、円盤193の平面上に形成するメアンダ状導電素子194は複雑な構造となり、多数の共振点を得ることができるものの、該アンテナでは広帯域にわたり平坦な周波数特性は実現できず、VSWRが高くなる周波数帯が出てしまう。
【0004】
図20は特許文献1に開示されたアンテナのVSWR対周波数特性の実測結果を示す図である。図20で示すとおり特許文献1に開示されたアンテナは、多数の共振点を得ることができ、共振点ではVSWRは低い値を示すものの、他方で、該アンテナでは広帯域にわたり平坦なVSWR対周波数特性を実現することができず、VSWRが高くなる周波数帯が出てしまうという欠点がある。
【特許文献1】特開平9−83238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のディスコーンアンテナは、円錐長Lの約4倍の波長である周波数が最低共振周波数となるため、小型の形状では低い周波数までの実用が困難であった。そのため円錐体の周面上にスパイラル状導電素子を形成し、円盤の平面上にメアンダ状導電素子を形成するなどの形態により、小型化を図る必要があったが、円盤の平面上に形成するメアンダ状導電素子は複雑な構造となり、多数の共振点を得ることができるものの、該アンテナでは広帯域にわたり平坦なVSWR対周波数特性を実現することができず、共振点ではVSWRは低い値を示すものの、他方で高くなる周波数帯が出てしまうという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、小型ディスコーンアンテナの使用可能な周波数帯を従来のディスコーンアンテナより低くし、広帯域にわたり平坦なVSWR対周波数特性を有しかつ広帯域にわたり実用可能なVSWRを実現するとともに、水平偏波および垂直偏波ともに無指向性を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナが提供される。
【0008】
また、本発明によると、
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナが提供される。
【0009】
また、前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有するようにしている。
【0010】
また、前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続しているようにしている。
【0011】
前記第3の導電素子は、四角形であるようにしてもよい。
【0012】
また、前記円錐体の頂角は、90°であるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明によると、
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナを備え、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有し、且つ
前記第3の導電素子は、車両の金属部分に電気的に接続されたことを特徴とするアンテナシステムが提供される。
【0014】
また、前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有するようにしている。
【0015】
また、前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続しているようにしている。
【0016】
また、前記第3の導電素子は、四角形であるようにしている。
【0017】
また、前記円錐体の頂角は、90°であるようにしている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、円錐体周面上に形成される導電素子のスパイラル形状と板の平面上に形成される導電素子のスパイラル形状を同形状の等角スパイラル形状となるよう形成することにより、円錐体に形成された導電素子と板に形成された導電素子とが相補性を有することとなる。よって、アンテナのインピーダンスが周波数にかかわらず一定で、このアンテナインピーダンスとマッチングをとれば、広帯域にわたりVSWRの周波数特性が平坦でかつ、高利得で実用可能なVSWRを得ることができるという顕著な効果を有する。
【0019】
また、本発明によれば、円錐体の底面に接地面となる平板を接合した構成とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。
【0020】
また、本発明によれば、円錐体の底面に接合した平板の接地面をさらに同電位となる自動車等の車両の金属ボディに接合させる構造とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例1及び2で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略するものとする。
【0022】
図1は、本実施形態に係る本発明のディスコーンアンテナの構成図である。このアンテナシステムは、円盤10と円錐体20と同軸線路(同軸ケーブル)30から構成される。円盤10及び円錐体20は絶縁体を用いて形成し、円盤10平面上及び円錐体20周面上に同じ等角スパイラル形状の導電素子11、12、21、22を形成した構造とする。本実施形態における本発明のディスコーンアンテナは、等角スパイラル形状の導電素子が、それぞれ、円盤に2本、円錐体に2本づつ設けられており、互いに180°の対称となる形状となっている。
【0023】
図2は、本発明に係るディスコーンアンテナシステムの同軸線路30の配線を示す断面図である。円盤10平面上に形成されるスパイラル状導電素子11、12の始端部に給電点a31が設けられ、この給電点a31に同軸線路30の芯線(中心導体)が接続され、円錐体20周面上に形成されるスパイラル状導電素子21、22の始端部(頂点部分)に給電点b32が設けられ、この給電点b32に同軸線路30のシールド線が接続される。
【0024】
図3(A)は、円盤10平面上に形成されるスパイラル状導電素子11、12の形状の一例である。この円盤10平面上に形成されたスパイラル形状と同一の形状の導電素子を円錐体周面上に形成する。上記スパイラル状導電素子は、スパイラルの曲線上の任意の点と原点とを結ぶ直線とその点における曲線の接線との間に作る角がどの点においても同一角となる形状である。なお、本実施形態においては、スパイラル状の導電素子が形成された板は、円盤10としたが、これに限定されるわけではなく、当該板の形状は四角形状としてもよい。
【0025】
等角スパイラルのスパイラル半径rは、次式に示すスパイラル方程式(1)によって求める。
r=a・exp(p(θ+φ)) ・・・(1)
【0026】
スパイラル曲線の半径をr、径を定める定数をa、スパイラル定数p、中心からスパイラル半径r方向の角度をθ、初期角度をφとして示している。上記径を定める定数a、スパイラル定数p及び初期角度φを変更することにより、中心点の始端部から終端部に帯状の導電素子部分を複数形成することができる。
【0027】
図3(B)は、上記スパイラル方程式(1)を用いて螺旋を描いたものである。なお、この螺旋のa値を変更してもう一本の螺旋を形成すれば、上記中心点の始端部から終端部に帯状の導電素子部分を形成することができ、さらに、180°の対称となるもう一本の対を形成することにより円盤平面上及び円錐体周面上にスパイラル形状に形成するようにしている。
【0028】
図4は、本実施形態に係るディスコーンアンテナの100MHzから6GHzの広帯域にわたり計測したVSWR対周波数特性の実測結果を示す図である。406.46MHzのVSWRは3.0dB、770.49MHzのVSWRは2.5dB、1.57GHzのVSWRは2.2dB、2.50GHzのVSWRは2.2dB、5.80GHzのVSWRは1.7dBであり、実施形態1に係るディスコーンアンテナは、広帯域にわたり実用可能なVSWRが実現している。また、共振点がないためVSWRの周波数特性も広帯域にわたり3dB以下の平坦な特性を示している。実測した上限周波数は、5.80GHzであるが、この図4からするとさらに高い周波数でも3dB以下の値を得ることが可能である。
【0029】
図5〜図7は、実施形態1に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置し、垂直偏波の指向特性を計測した結果である。
【0030】
図5は76MHz、83MHz、90MHz、156MHz及び222MHzの各周波数の測定結果である。また、図6は470MHz、620MHz及び770MHzの各周波数の測定結果である。また、図7は1575.42MHz、2499.7MHz及び5820MHzの各周波数の測定結果である。これらの測定結果によると、本実施形態に係るディスコーンアンテナの垂直偏波の指向特性が無指向性であることが分かる。
【0031】
図8、図9は、実施形態1に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し平行に円盤が地面に対し垂直となるよう設置し、垂直偏波の指向特性を計測した結果である。
【0032】
図8は76MHz、83MHz、90MHz、156MHz及び222MHzの各周波数の測定結果である。また、図9は470MHz、620MHz及び770MHzの各周波数の測定結果である。
【0033】
以上説明したとおり、本発明のアンテナによると、インピーダンスが周波数にかかわらず一定で、このアンテナインピーダンスとマッチングをとれば、広帯域にわたりVSWRの周波数特性が平坦でかつ、高利得で実用可能なVSWRを得ることができる。
【実施例1】
【0034】
図10は、本発明の実施形態2に係るディスコーンアンテナシステムの構成図である。本実施例に係るアンテナシステムは、円盤10と円錐体20と同軸線路30と接地板101から構成される。上述の実施形態と同様に、円盤10及び円錐体20は絶縁体を用いて形成し、円盤10平面上及び円錐体20周面上に同形状の等角スパイラル導電素子11、12、21、22を形成した構造とする。接地板101は、本ディスコーンアンテナシステムを接続する装置のグランド電位の接地面と接合しグランド電位となるように構成する。
【実施例2】
【0035】
図11は、本発明の実施例2に係るディスコーンアンテナシステムの構成図である。本実施例に係るアンテナシステムは、円盤10と円錐体20と同軸線路30と接地板101と接地板101を接合する自動車の金属ボディ111から構成される。
【0036】
本発明の実施例2と同様に、円盤10及び円錐体20は絶縁体を用いて形成し、円盤10平面上及び円錐体20周面上に同形状の等角スパイラル導電素子11、12、21、22を形成した構造とし、接地板101は、本ディスコーンアンテナシステムを接続する自動車の金属ボディ111と接合しグランド電位となるように構成する。
【0037】
図12は、自動車金属ボディ111下部前方に設置した実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムの100MHzから6GHzの広帯域にわたり計測したVSWR対周波数特性の実測結果を示す図である。図12のマーカー部分の計測値はあえて悪い値を選んだものであるが、それでもやや良好な数値を示しており、周波数184.03MHzのVSWRは3.0dB、395.84MHzのVSWRは3.0dB、728.899MHzのVSWRは3.4dB、2.08GHzのVSWRは2.9dB、2.40GHzのVSWRは2.5dB、5である。
【0038】
また、共振点がないためVSWRの周波数特性も広帯域にわたりほぼ3dB以下の平坦な特性を示している。図12に実測値を示していないものの、測定した最高周波数6GHz付近の波形をみるとVSWRが2dB以下であり6GHz以上の高周波領域まで実用可能である。
【0039】
さらに、実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムのVSWR対周波数特性を示す図12と前記実施形態1に係るディスコーンアンテナのVSWR対周波数特性を示す図4とを比較すると、グランド面を広くとった実施形態3は、実施形態1よりも実用可能な最低下限周波数帯域が広帯域化している。
【0040】
図13〜図15は、自動車金属ボディ111下部前方に設置した実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置し、垂直偏波の指向特性を計測した結果である。
【0041】
図13は76MHz、83MHz、90MHz、156MHz及び222MHzの各周波数の測定結果である。図14は470MHz、620MHz及び770MHzの各周波数の測定結果である。図15は1575.42MHz、2499.7MHz及び5820MHzの各周波数の測定結果である。これらの測定結果によると、本実施例に係るディスコーンアンテナシステムの垂直偏波の指向特性が無指向性であることを示している。
【0042】
図16、図17は、自動車金属ボディ111下部前方に設置した実施形態3に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置し、水平偏波の指向特性を計測した結果である。
【0043】
図16は470MHz及び620MHzの各周波数の測定結果である。図17は1575.42MHz、2499.7MHz及び5820MHzの各周波数の測定結果である。これらの測定結果によると、本実施例に係るディスコーンアンテナシステムの水平偏波の指向特性が無指向性であることを示している。
【0044】
よって、本実施例に係るディスコーンアンテナシステムの垂直偏波及び水平偏波の指向性特性は、ともに無指向性であり、球体のような指向性特性を有することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のアンテナ及びアンテナシステムによると、アンテナのインピーダンスが周波数にかかわらず一定で、このアンテナインピーダンスとマッチングをとれば、広帯域にわたりVSWRの周波数特性が平坦でかつ、高利得で実用可能なVSWRを得ることができる。また、本発明によれば、円錐体の底面に接地面となる平板を接合した構成とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。更に、また、本発明によれば、円錐体の底面に接合した平板の接地面をさらに同電位となる自動車等の車両の金属ボディに接合させる構造とすることにより、使用可能な周波数帯を低周波数側に広帯域化することができる。
【0046】
よって、本発明は、列車、車、船、飛行機を始め、あらゆる車両等の移動体における種々の周波数を用いた通信機器のアンテナとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンテナシステムの構成図である。
【図2】本発明のアンテナシステムの給電部分を示す断面図である。
【図3】本発明における導電素子のスパイラル形状を示す図である。
【図4】実施形態に係るアンテナシステムのVSWR対周波数特性の実測値を示す図である。
【図5】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で76MHz、83MHz、90MHz、156MHz、222MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図6】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、770MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図7】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で1575.42MHz、2499.70MHz、5820.00MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図8】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し平行に円盤が地面に対し垂直となるよう設置した条件で76MHz、83MHz、90MHz、156MHz、222MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図9】実施形態に係るディスコーンアンテナを円錐体の長軸が地面に対し平行に円盤が地面に対し垂直となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、770MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係るアンテナシステムの構成図である。
【図11】本発明の一実施例に係るアンテナシステムの構成図である。
【図12】本発明の一実施例に係るアンテナシステムのVSWR対周波数特性の実測値を示す図である。
【図13】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で76MHz、83MHz、90MHz、156MHz、222MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図14】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、770MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図15】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で1575.42MHz、2499.70MHz、5820.00MHz各周波数の垂直偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図16】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で470MHz、620MHz、各周波数の水平偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図17】自動車金属ボディ下部前方に設置した実施例に係るディスコーンアンテナシステムを円錐体の長軸が地面に対し垂直に円盤が地面に対し水平となるよう設置した条件で1575.42MHz、2499.70MHz、5820.00MHz各周波数の水平偏波指向特性の実測値を示す図である。
【図18】従来のディスコーンアンテナの構成図である。
【図19】従来のアンテナの構成図である。
【図20】従来のアンテナのVSWR対周波数特の実測値を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 円盤
11、21 スパイラル導電素子
12、22 非導電部
20 円錐体
30 同軸線路
31 給電点a
32 給電点b
101 接地板
111 自動車金属ボディ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第3の導電素子は、四角形であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記円錐体の頂角は、90°であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のアンテナ。
【請求項7】
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナを備え、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有し、且つ
前記第3の導電素子は、車両の金属部分に電気的に接続されたことを特徴とするアンテナシステム。
【請求項8】
前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有することを特徴とする請求項7に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続していることを特徴とする請求項7又は8に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記第3の導電素子は、四角形であることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記円錐体の頂角は、90°であることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一に記載のアンテナシステム。
【請求項1】
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナであって、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有することを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第3の導電素子は、四角形であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記円錐体の頂角は、90°であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のアンテナ。
【請求項7】
頂点部分及び底面を有し、第1の導電素子を有する円錐体と、
前記円錐体の前記頂点部分に対向して配置され、第2の導電素子を有する板と、
前記円錐体の底面に接して配置された板状の第3の導電素子と、
前記第3の導電素子を貫通し且つ前記円錐体の内部に配置された同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルの中心導線が前記第2の導電素子に電気的に接続され、且つ前記同軸ケーブルのシールド線は前記第1の導電素子及び前記第3の導電素子に電気的に接続された同軸ケーブルと、
を有するアンテナを備え、
前記第1の導電素子と前記第2の導電素子とは、等角スパイラルな形状を有し、且つ
前記第3の導電素子は、車両の金属部分に電気的に接続されたことを特徴とするアンテナシステム。
【請求項8】
前記第1の導電素子は、前記円錐体の頂点部分を始端部とした等角スパイラルな形状を有することを特徴とする請求項7に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記同軸ケーブルのシールド線は、前記円錐体の頂点部分において前記第第1の導電素子と電気的に接続していることを特徴とする請求項7又は8に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記第3の導電素子は、四角形であることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記円錐体の頂角は、90°であることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一に記載のアンテナシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−28361(P2007−28361A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209497(P2005−209497)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(301049423)株式会社ココモ・エムビー・コミュニケーションズ (9)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(301049423)株式会社ココモ・エムビー・コミュニケーションズ (9)
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