説明

アンテナ装置

【課題】低散乱断面積を実現するとともに、相互干渉を低減させたアンテナ装置を得る。
【解決手段】両端が近接するように折り曲げられ、かつ両端が地導体2の近傍に配置され、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブと、誘電体チューブの内部において、誘電体チューブの両端に設けられた第1および第2の電極と、電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源7と、プラズマ励起電源7と第1の電極とを接続する第1の配線9と、プラズマ励起電源7と第2の電極とを接続する第2の配線10と、地導体2に設けられた高周波電源8と、第1および第2の配線9、10の少なくとも一方に、高周波電源8から出力される高周波電力を結合させるための高周波電力結合手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、未使用時の低散乱断面積を実現するアンテナ装置、または近接配置されて切り替え使用する複数のアンテナを有するアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、防衛分野で用いられるアンテナは、低散乱断面積を実現することが望まれており、この種のアンテナは、未使用時に低散乱断面積を実現するためのものである。
また、近接配置された複数のアンテナを切り替えて使用する方向探知システムなどにおいては、非使用アンテナの導体を電気的に透明に構成し、方向探知の精度向上を実現している。
【0003】
従来から、未使用時にアンテナの導体を電気的に透明にすることが可能なプラズマアンテナの一例が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
図10は特許文献1に記載された従来のアンテナ装置を示すブロック構成図である。
図10において、誘電体チューブ101の内部には電離性ガスが含まれており、誘電体チューブ101内の電離性ガスは、外部電源102からの電力供給によりプラズマ状態になる。
【0004】
プラズマ状態の電離性ガスは高周波における導体として作用するので、プラズマ状態の電離性ガスに対し、結合素子104を介して、高周波電源103からの高周波電力を供給することにより、誘電体チューブ101は、アンテナとして動作する。
このとき、誘電体チューブ101と外部電源102とを接続する配線に高周波電流が流れるのを防ぐために、高周波をカットするフィルタ105、106が設置される。
【0005】
図10に示す従来のアンテナ装置によれば、外部電源102をOFFにすると、誘電体チューブ101内の電離性ガスがプラズマ状態から通常状態に変化して、高周波における導電性が失われるので、誘電体チューブ101は、高周波に対して電気的に透明に見えることになる。
【0006】
しかしながら、図10のアンテナ装置においては、誘電体チューブ101が直線状であり、誘電体チューブ101の両端に外部電源102の配線が接続されているので、アンテナ放射方向は、誘電体チューブ101の長手方向の中心点において、長手方向に直交する面で最大となる。したがって、配線または外部電源102が放射面を横切る構成となり、アンテナの放射特性を乱す要因となる。また、フィルタ105、106により、アンテナの放射特性の乱れの影響を多少低減することができるものの、完全にその影響を除去することはできない。
【0007】
【特許文献1】米国特許5594456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のアンテナ装置は、アンテナの放射特性を乱す構成を有するので、フィルタを設けても、完全にその影響を除去することができないという課題があった。
また、通常、アンテナ装置は自由空間に設置され、それに付随する配線も自由空間に配置されており、配線が高い散乱断面積を有することから、アンテナとして動作する誘電体チューブのみを低散乱断面積に構成しても、装置全体としては高い散乱断面積を有することになるという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、未使用時の低散乱断面積を実現するアンテナ装置、または近接配置されて切り替え使用する複数のアンテナを有するアンテナ装置において、相互干渉を低減させたアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるアンテナ装置は、地導体と、両端が近接するように折り曲げられ、かつ両端が地導体の近傍に配置され、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブと、誘電体チューブの内部において、誘電体チューブの両端に設けられた第1および第2の電極と、電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源と、プラズマ励起電源と第1の電極とを接続する第1の配線と、プラズマ励起電源と第2の電極とを接続する第2の配線と、地導体に設けられた高周波電源と、第1および第2の配線の少なくとも一方に、高周波電源から出力される高周波電力を結合させるための高周波電力結合手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、未使用時の低散乱断面積を実現するアンテナ装置、または近接配置されて切り替え使用する複数のアンテナを有するアンテナ装置において、相互干渉を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す斜視図であり、図2は図1内の地導体2の裏面側の回路構成を示す回路図である。
図1において、アンテナ放射部を構成する誘電体チューブ1は、内部に電離性ガスが充填されており、中央部で折り曲げられて、両端が近接するように細長いU(コ)の字状を有している。
【0013】
誘電体チューブ1の両端は、地導体2の近傍に配置されており、誘電体チューブ1は、地導体2の表面において、折り曲げられた部分が地導体2から遠ざかる位置となるように、かつ地導体2の鉛直方向に配置されている。
【0014】
誘電体チューブ1の両端には、誘電体チューブ1に対する給電用の第1の電極端子3および第2の電極端子4が配設されており、第1および第2の電極端子3、4は、誘電体チューブ1の内部の電離性ガスと接触し、かつ地導体2に近接している。
第1の電極端子3と一体の第1の配線9は、地導体2上の第1の穴5に挿入され、第2の電極端子4と一体の第2の配線10は、地導体2上の第2の穴6に挿入されている。
【0015】
図2において、地導体2の裏面側に位置する第1および第2の配線9、10の先端部には、プラズマ励振のための給電用のプラズマ励起電源7が接続されている。プラズマ励起電源7は、地導体2の裏面に配置されている。
【0016】
また、第1および第2の穴5、6の近傍において、第1の配線9と地導体2との間には、キャパシタ13を介した高周波電源8が設けられている。
第1および第2の配線9、10の相互間には、キャパシタ11が設けられ、第1および第2の配線9、10と地導体2との間には、キャパシタ12が設けられている。
【0017】
第1の配線9は、第1の電極端子3とプラズマ励起電源7とを接続するように、第1の穴5を貫通している。同様に、第2の配線10は、第2の電極端子4とプラズマ励起電源7とを接続するように、第2の穴6を貫通している。
【0018】
第1および第2の配線9、10は、使用する高周波の波長λに比べて短い間隔で、複数のキャパシタ11を介して接続されている。
高周波電源8は、キャパシタ13を介して、第1の配線9に接続されている。
第1および第2の配線9、10と地導体2との間を接続するキャパシタ12は、高周波電源8が接続された第1の配線9の位置からプラズマ励起電源7側に向かって、高周波の波長λの1/4程度離れた位置に配置されている。
【0019】
なお、すべてのキャパシタ11〜13の静電容量は、高周波においてほぼ短絡状態を示し、かつ、プラズマ励起電源7の周波数においてほぼ開放状態を示すように設定されている。
また、誘電体チューブ1の折り曲げられた部分と地導体2との間の距離は、高周波の波長λの1/4程度の長さを有している。
【0020】
次に、図1および図2に示したこの発明の実施の形態1による動作原理について説明する。
まず、プラズマ励起電源7がONの状態では、プラズマを励振するための低周波電力が第1および第2の電極端子3、4に供給される。
このとき、誘電体チューブ1の内部の電離性ガスがプラズマ状態となり、誘電体チューブ1が高周波において導体として動作する。
【0021】
また、第1および第2の電極端子3、4は、誘電体チューブ1内のプラズマと接触しているので、プラズマと各電極端子3、4とは導通状態にある。
第1および第2の配線9、10の相互間は、使用する高周波の波長λに比べて短い間隔で、キャパシタ11を介して導通されているので、両者は高周波において同電位となり、1本の線として動作する。
【0022】
第1の配線9には、第1の穴5の近傍において、キャパシタ13を介して高周波電源8が接続されており、高周波電源8は、地導体2と、第1および第2の配線9、10とから形成される高周波線路に対して、高周波電力を供給する。
この高周波電力は、アンテナとして動作する誘電体チューブ1側のみならず、プラズマ励起電源7側にも伝達される。
【0023】
しかし、プラズマ励起電源7側に伝達された高周波電力は、キャパシタ12の位置で全反射されるので、キャパシタ12からプラズマ励起電源7側には供給されることはない。
これにより、高周波電力がプラズマ励起電源7内にて消費されることを防ぐことが可能になる。
【0024】
また、キャパシタ12は、高周波電力の供給点から波長λの1/4程度の距離に位置しているので、高周波電力の供給点からキャパシタ12を見込んだインピーダンスは、理想的には無限大となり、アンテナのインピーダンスに影響を与えることはない。
また、キャパシタ12により、第1および第2の配線9、10は、地導体2に対して高周波で導通状態になり、アンテナ給電部を除いて同電位に保たれるので、第1および第2の配線9、10からの不要な高周波の放射を押さえることが可能になる。
【0025】
以上の構成によれば、誘電体チューブ1の第1および第2の電極端子3、4に高周波電力が同相で供給されるので、Uの字形の導体は高周波において1本の導体と等価になり、地導体2上のモノポールアンテナとして動作する。
【0026】
この場合、誘電体チューブ1の折り曲げられた部分と地導体2との距離は、高周波の波長λの1/4程度の長さを有していれば、アンテナのインピーダンスが共振状態となり、高周波電源8とのインピーダンス整合がとりやすい。
また、誘電体チューブ1以外のアンテナ構成部材(図2参照)は、すべて地導体2の裏側に隠れているので、アンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0027】
一方、プラズマ励起電源7がOFFの場合には、誘電体チューブ1は、高周波において誘電体として動作する。
また、誘電体チューブ1以外のアンテナ構成部材は、すべて地導体2の裏側に隠れているので、地導体2の表側は、ほぼ自由空間として作用する。
【0028】
したがって、地導体2の表側から見た散乱断面積を小さくすることが可能になる。
また、地導体2の表側に複数のアンテナ素子を並べて、複数のアンテナを切り替え動作させる場合には、未使用アンテナのプラズマ励起電源7をOFFすることで、未使用アンテナの部分がほぼ自由空間として作用するので、動作しているアンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0029】
以上のように、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置(図1、図2)は、地導体2と、両端が近接するように折り曲げられ、かつ両端が地導体2の近傍に配置され、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブ1と、誘電体チューブ1の内部において、誘電体チューブ1の両端に設けられた第1および第2の電極端子3、4と、電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源7とを備えている。
【0030】
また、プラズマ励起電源7と第1の電極端子3とを接続する第1の配線9と、プラズマ励起電源7と第2の電極端子4とを接続する第2の配線10と、地導体2に設けられた高周波電源8と、第1および第2の配線の少なくとも一方に、高周波電源8から出力される高周波電力を結合させるための高周波電力結合手段とを備えている。
【0031】
誘電体チューブ1は、地導体2から鉛直方向に伸びるように配置されている。
高周波電力結合手段は、第1および第2の配線9、10の少なくとも一方を、地導体2に対して高周波で短絡するキャパシタ12により構成され、第1および第2の配線9、10は、地導体2に近接配置されている。
【0032】
さらに、高周波電源8は、第1および第2の配線9、10の少なくとも一方と地導体2との間に接続されるとともに、第1または第2の配線9、10に対するキャパシタ12の接続位置から第1または第2の電極端子3、4側に向かって、高周波の波長λに対して1/4だけ離れた位置に配置されている。
【0033】
これにより、未使用時の低散乱断面積を実現するアンテナ装置、または近接配置されて切り替え使用する複数のアンテナを有するアンテナ装置において、相互干渉を低減させることができる。
すなわち、未使用時のアンテナの低散乱断面積を実現するとともに、相互干渉を低減させることができる。
【0034】
なお、図1では、誘電体チューブ1を地導体2の鉛直方向に直線上に配置したが、誘電体チューブ1をヘリカル状に形成してもよく、また、地導体2に対して平行に配置されるように折り曲げても同様の効果を有する。
【0035】
さらに、高周波電源8からの高周波電力の供給点からキャパシタ12を見込んだインピーダンスを大きく見せるために、キャパシタ12と高周波電力の供給点との距離を、高周波の波長λの1/4程度に設定したが、その代替え手段として、キャパシタ12の設置部分に、直列にインダクタを挿入しても同様の効果を示すことは言うまでもない。
【0036】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1、図2)では、地導体2を用いたが、図3のように、地導体2を削除してもよい。
図3はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示す側面図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「a」を付して詳述を省略する。
【0037】
図3においては、地導体2が不要なので、前述のキャパシタ12も不要となる。
この場合、基本的構成は前述の実施の形態1(図1、図2)と同様なので、前述と異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
図3において、誘電体チューブ1aは、ループ状に曲げられている。
高周波電源8は、各電源端子に挿入された2つのキャパシタ13を介して、第1および第2の配線9、10に接続されている。
【0039】
また、第1の配線9と第2の配線10との間に挿入されたキャパシタ11は、高周波電源8が接続された位置からプラズマ励起電源7側に向かって、高周波の波長λの1/4程度だけ離れた位置に配置されている。
この場合、第1および第2の電極端子3、4側の1/4波長の範囲においては、キャパシタ11(図2参照)が不要となる。
【0040】
次に、図3に示したこの発明の実施の形態2による動作原理について説明する。
まず、プラズマ励起電源7がON状態の場合の動作について説明する。
この場合、高周波電源8は、第1の配線9と第2の配線10との間に配置されるので、第1の配線9と第2の配線10との間に高周波電力を供給する。
【0041】
したがって、誘電体チューブ1aは、ループアンテナとして動作させることが可能となり、前述の実施の形態1におけるモノポールアンテナとは異なる放射パターンを実現することができる。
【0042】
第1の配線9と第2の配線10との間に供給された高周波電力は、プラズマ励起電源7側にも伝達されるが、プラズマ励起電源7側に伝達された高周波電力は、キャパシタ11の位置で全反射されるので、キャパシタ11からプラズマ励起電源7側に高周波電力が供給されることはない。
これにより、高周波電力がプラズマ励起電源7内にて消費されることを防ぐことが可能になる。
【0043】
また、キャパシタ11は、高周波電力の供給点から波長λの1/4程度の距離に位置しているので、高周波電力の供給点からキャパシタ11を見込んだインピーダンスは、理想的には無限大となり、アンテナのインピーダンスに影響を与えることはない。
【0044】
また、図3の構成によれば、プラズマを誘起するための第1および第2の電極端子3、4が近接配置されるので、第1および第2の配線9、10が、アンテナ放射部を構成する誘電体チューブ1aを横切ることないので、各配線9、10がアンテナの放射特性に悪影響を与えないという利点がある。
【0045】
次に、プラズマ励起電源7がOFF状態の場合の動作について説明する。
通常、アンテナ装置を設置する場合には、放射部分を自由空間に配置し、その他の給電回路などを放射に影響しない部分に配置する。
図3のアンテナ装置では、誘電体チューブ1aのみを自由空間に配置し、それ以外の部材を放射に影響しない部分に配置する構成が可能なので、散乱断面積を小さくすることが可能になる。
【0046】
また、複数のアンテナ素子を並べて、複数アンテナを切り替え動作させる場合には、未使用アンテナのプラズマ励起電源7をOFFすることにより、未使用アンテナの部分がほぼ自由空間として作用するので、動作しているアンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0047】
以上のように、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置(図3)は、両端が近接するように折り曲げられ、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブ1aと、誘電体チューブ1aの内部において、誘電体チューブ1aの両端に設けられた第1および第2の電極端子3、4と、電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源7とを備えている。
【0048】
また、プラズマ励起電源7と第1の電極端子3とを接続する第1の配線9と、プラズマ励起電源7と第2の電極端子4とを接続する第2の配線10と、第1の配線9と第2の配線10との間に接続された高周波電源8と、第1の配線9と第2の配線10との間に、高周波電源8から出力される高周波電力を結合させるための高周波電力結合手段とを備えている。
【0049】
高周波電力結合手段は、第1の配線9と第2の配線10とを高周波で短絡するキャパシタ11により構成されている。
また、高周波電源8は、キャパシタ11が接続された位置から第1または第2の電極端子3、4側に向かって、高周波の波長λに対して1/4だけ離れた位置に配置されている。
【0050】
これにより、前述と同様に、未使用時の低散乱断面積を実現するアンテナ装置、または近接配置されて切り替え使用する複数のアンテナを有するアンテナ装置において、相互干渉を低減させることができる。
すなわち、未使用時のアンテナの低散乱断面積を実現するとともに、相互干渉を低減させることができる。
【0051】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図3)では、地導体2を削除したが、図4および図5のように、地導体2を用いてもよい。
図4はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示す斜視図であり、図5は図4内の地導体2の裏面側の回路構成を示す回路図である。
図4、図5において、前述(図1〜図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0052】
図4、図5において、基本的な構成は前述の実施の形態1(図1、図2)と同様なので、ここでは前述と異なる部分についてのみ説明する。
図4において、地導体2上には、前述の実施の形態2(図3)と同形状のループ状に曲げられた誘電体チューブ1aが立設されている。
【0053】
図5において、高周波電源8が接続された位置からプラズマ励起電源7側に向かって、高周波の波長λの1/4程度離れた位置には、第1の配線9と第2の配線10との間を接続するキャパシタ11が配置されている。なお、第1および第2の電極端子3、4側の1/4波長の範囲にあるキャパシタ11(図2参照)は、前述の実施の形態2(図3)と同様に削除されている。
また、第2の配線10には、第1の配線9における高周波電源8が接続された部分の近傍において、第2の配線10と地導体2とを接続するキャパシタ12が設けられている。
【0054】
次に、図4および図5に示したこの発明の実施の形態3による動作原理について説明する。
まず、プラズマ励起電源7がON状態の場合の動作について説明する。
この場合、高周波電源8は、第1の配線9と地導体2との間に接続され、かつ接続点の近傍において、第2の配線10と地導体2とが、キャパシタ12を介して高周波で短絡されているので、第1の配線9と第2の配線10との間に高周波電力が供給される。
【0055】
したがって、誘電体チューブ1aは、ループアンテナとして動作させることが可能となり、前述の実施の形態1のモノポールアンテナとは異なる放射パターンを実現することができる。
【0056】
また、第1の配線9と第2の配線10との間に供給された高周波電力は、プラズマ励起電源7側にも伝達されるが、プラズマ励起電源7側に伝達された高周波電力は、キャパシタ11の位置で全反射されるので、キャパシタ11からプラズマ励起電源7側に高周波電力が供給されることはない。
これにより、高周波電力がプラズマ励起電源7内にて消費されることを防ぐことが可能になる。
【0057】
また、キャパシタ11は、高周波電力の供給点から波長λの1/4程度の距離に位置しているので、高周波電力の供給点からキャパシタ11を見込んだインピーダンスは、理想的には無限大となり、アンテナのインピーダンスに影響を与えることはない。
【0058】
また、キャパシタ12により、第1および第2の配線9、10は、地導体2に対して高周波で導通状態になり、アンテナ給電部を除いて同電位に保たれるので、第1および第2の配線9、10からの不要な高周波の放射を押さえることが可能になる。
また、誘電体チューブ1a以外のアンテナ構成部材は、すべて地導体2の裏側に隠れているので、アンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0059】
また、プラズマ励起電源7がOFF状態の場合、誘電体チューブ1a以外のすべてのアンテナ構成部材が地導体2の裏側に隠れていることから、地導体2の表側は、ほぼ自由空間として作用するので、地導体2の表側から見た散乱断面積を小さくすることが可能になる。
【0060】
さらに、地導体2の表側に複数のアンテナ素子を並べて、複数のアンテナを切り替え動作させる場合には、未使用アンテナのプラズマ励起電源7をOFFすることにより、未使用アンテナの部分がほぼ自由空間として作用するので、動作しているアンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0061】
以上のように、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置(図4、図5)は、地導体2と、両端が近接するように折り曲げられ、かつ両端が地導体2の近傍に配置され、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブ1aと、誘電体チューブ1aの内部において、誘電体チューブ1aの両端に設けられた第1および第2の電極端子3、4と、電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源7とを備えている。
【0062】
また、プラズマ励起電源7と第1の電極端子3とを接続する第1の配線9と、プラズマ励起電源7と第2の電極端子4とを接続する第2の配線10と、地導体2に設けられた高周波電源8と、第1の配線9と第2の配線10とを高周波で短絡する第1のキャパシタ11と、第2の配線10と地導体2との間を高周波で短絡する第2のキャパシタ12とを備えている。
【0063】
誘電体チューブ1aは、ループ状に形成されており、高周波電源8は、地導体2と第1の配線9との間に接続されている。
第2のキャパシタ12は、第1のキャパシタ11が接続された位置から第1または第2の電極端子3、4側に向かって、高周波の波長λに対して1/4だけ離れた位置に配置されている。
【0064】
これにより、前述と同様に、未使用時の低散乱断面積を実現するアンテナ装置、または近接配置されて切り替え使用する複数のアンテナを有するアンテナ装置において、相互干渉を低減させることができる。
すなわち、未使用時のアンテナの低散乱断面積を実現するとともに、相互干渉を低減させることができる。
【0065】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態2(図3)では、ループ状の誘電体チューブ1aを用いたが、図6のように、Tの字状の誘電体チューブ1bを用いてもよい。
図6はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す側面図であり、前述(図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「b」を付して詳述を省略する。
【0066】
図6において、基本的な構成は、前述の実施の形態2と同様なので、ここでは前述と異なる部分についてのみ説明する。
この場合、Tの字状に曲げられた誘電体チューブ1bが用いられている。Tの字状に形成された誘電体チューブ1bを用いることにより、折り返しダイポールアンテナとして動作させることが可能になる。
【0067】
折り返しダイポールにおいては、アンテナが自己平衡作用を有しているので、不要な電流の放射を抑制するという利点がある。
以下、図7および図8を参照しながら、自己平衡作用の原理について説明する。
図7は通常のダイポールアンテナを概略的に示す構成図であり、図8はこの発明の実施の形態4による折り返しダイポールアンテナを概略的に示す構成図である。
【0068】
図7および図8において、プラズマ励起電源7などの回路構成は、高周波においてアンテナに影響しないように対策が施されているので、省略されている。
まず、図7に示す通常のダイポールアンテナにおいては、高周波電源8に平衡2線として動作する配線21、22が接続され、各配線21、22の先端に、放射部となる導体素子23、24が接続されている。
【0069】
この場合、配線21には、破線矢印で示す電流B1が流れ、配線22には、破線矢印で示す電流B2が流れる。
また、導体素子23には、1点鎖線で示す電流A1が流れ、導体素子24には、1点鎖線で示す電流A2が流れる。
【0070】
図7において、アンテナ構造が完全に左右対称であれば、A1=A2、B1=B2となる。通常、配線21、22は、高周波の波長λに比べて十分に近接配置されているので、電流B1と電流B2とが打ち消し合って、配線21、22の部分から放射される電力は無視できる程度になる。
【0071】
しかし、アンテナ構造の誤差やその他の要因によって左右の対称性が崩れると、B1≠B2となり、電流B1と電流B2との間で打ち消し合わない成分が生じるので、不平衡成分が生じる。電流の不平衡成分は、ダイポールアンテナの交差偏波として放射され、ダイポールアンテナの特性を劣化させることになる。
【0072】
一方、図8に示すこの発明の実施の形態4による折り返しダイポールアンテナにおいては、導体素子23a、24aが連続的な一筆書の形状を有することから、アンテナ構造の左右対称性が崩れた場合でも、アンテナの形状自体に平衡作用があるので、B1=B2の条件が保たれる。
【0073】
したがって、電流の不平衡成分が生じることはなく、ダイポールアンテナの特性劣化を防ぐことが可能になる。
なお、ここでは、地導体2を削除したが、地導体2を設けることも可能である。
【0074】
以上のように、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置(図6、図8)によれば、誘電体チューブ1bは、Tの字状に形成されており、折り返しダイポールの構成は、一筆書の形状を有している。
【0075】
これにより、折り曲げて構成された誘電体チューブ1(図1参照)を有するプラズマアンテナの構成と親和性があり、プラズマアンテナを構成しやすいという利点がある。
また、誘電体チューブ1b以外のアンテナ構成部材を、放射部として動作する導体素子23、24から離すことが可能となるので、アンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0076】
また、プラズマ励起電源7がOFF状態の場合には、誘電体チューブ1b以外のアンテナ構成部材を、放射部として動作する導体素子23、24から離すことが可能となるので、散乱断面積を小さくすることが可能になる。
【0077】
また、複数のアンテナ素子を並べて、複数のアンテナを切り替え動作させる場合には、未使用アンテナのプラズマ励起電源7をOFFすることにより、未使用アンテナの部分がほぼ自由空間として作用するので、動作しているアンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0078】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4(図6、図8)では、単一の誘電体チューブ1bを用いたが、図9のように、第1および第2の誘電体チューブ1c、1dを近接して並設し、全体としてTの字状の誘電体チューブを構成してもよい。
図9はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す側面図であり、前述(図6参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「c、d」を付して詳述を省略する。
【0079】
図9において、第1の誘電体チューブ1cは、第1のプラズマ励起電源7cにより給電され、第2の誘電体チューブ1dは、第2のプラズマ励起電源7dにより給電される。
第1および第2の誘電体チューブ1c、1dは、両端が近接するように折り曲げられ、かつ、各折り曲げ端部が互いに逆方向となるように、それぞれ中央部にて直角方向に曲げられており、Lの字形を有している。
【0080】
第1の誘電体チューブ1cと同様に、第2の誘電体チューブ1dの内部には、電離性ガスが充填されている。
また、第2の誘電体チューブ1dの両端の内部には、第3および第4の電極端子15、16が設けられており、各電極端子15、16は、第2の誘電体チューブ1d内の電離性ガスと接触している。
【0081】
第3および第4の電極端子15、16には、第3および第4の配線18、19が接続されており、第3の配線18と第4の配線19との間は、キャパシタ11dを介して、高周波で短絡されている。
【0082】
Lの字形を有する第1および第2の誘電体チューブ1c、1dは、第1の誘電体チューブ1cの第1および第2の電極端子3、4から延在する直線部分と、第2の誘電体チューブ1dの第3および第4の電極端子15、16から延在する直線部分とが、近接して平行になるように配置されることにより、全体としてTの字形を構成している。
【0083】
第1の誘電体チューブ1cにおいて、第1の電極端子3と第1のプラズマ励起電源7cとを接続するように第1の配線9が設置され、第2の電極端子4と第1のプラズマ励起電源7cとを接続するように第2の配線10が設置されている。
同様に、第2の誘電体チューブ1dにおいて、第3の電極端子15と第2のプラズマ励起電源7dとを接続するように第3の配線18が設置され、第4の電極端子16と第2のプラズマ励起電源7dとを接続するように第4の配線19が設置されている。
【0084】
第1の配線9と第2の配線10との間には、高周波の波長λに比べて十分小さい間隔でキャパシタ11cが配置され、同様に、第3の配線18と第4の配線19との間には、高周波の波長λに比べて十分小さい間隔でキャパシタ11dが配置される。
【0085】
高周波電源8は、各電源端子に挿入された2つのキャパシタ13を介して、第1の配線9と第3の配線18との間に接続されている。
第1の配線9と第3の配線18との間において、高周波電源8が接続された位置から第1および第2のプラズマ励起電源7c、7d側に向かって、高周波の1/4波長程度離れた位置にキャパシタ12が配置されている。
【0086】
なお、すべてのキャパシタ11c、11d、12、13の静電容量は、高周波においてほぼ短絡状態を示し、第1および第2のプラズマ励起電源7c、7dの周波数においてほぼ開放状態を示すように設定されている。
【0087】
次に、図9に示したこの発明の実施の形態8による動作原理について説明する。
まず、プラズマ励起電源7c、7dがON状態の場合の動作について説明する。なお、前述と同様に動作する部分については、その説明を省略する。
【0088】
第1の誘電体チューブ1cの第1および第2の電極端子3、4から延在する2本の直線部分は、第1および第2の配線9、10の部分において、高周波で短絡状態にあるので、1本の線として見なせる。以下、第1および第2の配線9、10(直線部分)を第1の束という。
【0089】
同様に、第2の誘電体チューブ1dの第3および第4の電極端子15、16から延在する2本の直線部分は、第3および第4の配線18、19の部分において、高周波で短絡状態にあるので、1本の線として見なせる。以下、第3および第4の配線18、19(直線部分)を第2の束という。
【0090】
第1および第2の束により、平行の2線が形成され、この2線に高周波電源8から高周波電力が励起される。
高周波電力は、アンテナとして動作する第1および第2の誘電体チューブ1c、1d側のみならず、第1および第2のプラズマ励起電源7c、7d側にも伝達されるが、プラズマ励起電源7c、7d側に伝達された高周波電力は、キャパシタ12の位置で全反射される。
【0091】
したがって、キャパシタ12からプラズマ励起電源7c、7d側には、高周波電力が供給されないので、高周波電力が第1のプラズマ励起電源7cまたは第2のプラズマ励起電源7d内で消費されることを防ぐことが可能になる。
【0092】
また、キャパシタ12は、高周波電力の供給点から波長λの1/4程度の距離に位置しているので、高周波電力の供給点からキャパシタ12を見込んだインピーダンスは、理想的には無限大となり、アンテナのインピーダンスに影響を与えることはない。
【0093】
第1の束と第2の束との間に励起された高周波電力は、第1および第2の束の先端に配置された第1および第2の誘電体チューブ1c、1d(ダイポールアンテナ)から放射される。
【0094】
図9のアンテナ装置によれば、第1および第2の誘電体チューブ1c、1d以外のアンテナ構成部材を、ダイポールアンテナから離すことが可能となるので、アンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
【0095】
また、第1および第2のプラズマ電源7c、7dがOFF状態の場合には、誘電体チューブ1c、1d以外のアンテナ構成部材を、ダイポールアンテナから離すことが可能となるので、散乱断面積を小さくすることが可能になる。
【0096】
また、複数のアンテナ素子を並べて、複数のアンテナを切り替え動作させる場合には、未使用アンテナの第1および第2のプラズマ電源7c、7dをOFFすることにより、未使用アンテナの部分がほぼ自由空間として作用するので、動作しているアンテナの放射特性を乱さないという利点がある。
なお、ここでは、地導体2を削除したが、地導体2を設けることも可能である。
【0097】
以上のように、この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置は、両端が近接するように折り曲げられ、かつ折り曲げ端部が第1の直角方向に折り曲げられ、内部に電離性ガスを含む第1の誘電体チューブ1cと、第1の誘電体チューブ1cに近接して並設され、両端が近接するように折り曲げられ、かつ折り曲げ端部が、第1の直角方向とは反対側の第2の直角方向に折り曲げられ、内部に電離性ガスを含む第2の誘電体チューブ1dとを備えており、第1および第2の誘電体チューブ1c、1dは、全体としてTの字状を構成している。
【0098】
また、第1の誘電体チューブ1cの内部において、第1の誘電体チューブ1cの両端に設けられた第1および第2の電極端子3、4と、第2の誘電体チューブ1dの内部において、第2の誘電体チューブ1dの両端に設けられた第3および第4の電極端子15、16と、第1の誘電体チューブ1c内の電離性ガスをプラズマ状態に保持するための第1のプラズマ励起電源7cと、第2の誘電体チューブ1d内の電離性ガスをプラズマ状態に保持するための第2のプラズマ励起電源7dとを備えている。
【0099】
また、第1のプラズマ励起電源7cと第1の電極端子3とを接続する第1の配線9と、第1のプラズマ励起電源7cと第2の電極端子4とを接続する第2の配線10と、第2のプラズマ励起電源7dと第3の電極端子15とを接続する第3の配線18と、第2のプラズマ励起電源7dと第4の電極端子16とを接続する第4の配線19と、第1の配線9と第3の配線18との間に接続された高周波電源8と、第1の配線9と第3の配線18とを高周波で短絡するキャパシタ12とを備えている。
【0100】
さらに、高周波電源8は、キャパシタ12が接続された位置から第1〜第4の電極端子3、4、15、16側に向かって、高周波の波長λに対して1/4だけ離れた位置に配置されている。
これにより、前述と実施の形態1〜4と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
【図2】図1内の地導体の裏面側の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示す側面図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
【図5】図4内の地導体の裏面側の構成を示す回路図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す側面図である。
【図7】この発明の実施の形態4による作用効果を説明するための通常のダイポールアンテナを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態4による作用効果を説明図するための折り返しダイポールアンテナを示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す側面図である。
【図10】従来のアンテナ装置を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0102】
1、1a、1b 誘電体チューブ、1c 第1の誘電体チューブ、1d 第2の誘電体チューブ、2 地導体、3 第1の電極端子、4 第2の電極端子、7 プラズマ励起電源、7c 第1のプラズマ励起電源、7d 第2のプラズマ励起電源、9 第1の配線、10 第2の配線、8 高周波電源、11、12 キャパシタ、11 第1のキャパシタ、12 第2のキャパシタ、15 第3の電極端子、16 第4の電極端子、18 第3の配線、19 第4の配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地導体と、
両端が近接するように折り曲げられ、かつ前記両端が前記地導体の近傍に配置され、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブと、
前記誘電体チューブの内部において、前記誘電体チューブの両端に設けられた第1および第2の電極端子と、
前記電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源と、
前記プラズマ励起電源と前記第1の電極端子とを接続する第1の配線と、
前記プラズマ励起電源と前記第2の電極端子とを接続する第2の配線と、
前記地導体に設けられた高周波電源と、
前記第1および第2の配線の少なくとも一方に、前記高周波電源から出力される高周波電力を結合させるための高周波電力結合手段と、
を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記高周波電力結合手段は、前記第1および第2の配線の少なくとも一方を、前記地導体に対して高周波で短絡するキャパシタにより構成され、
前記第1および第2の配線は、前記地導体に近接配置され、
前記高周波電源は、前記第1および第2の配線の少なくとも一方と前記地導体との間に接続されるとともに、前記第1または第2の配線に対する前記キャパシタの接続位置から前記第1または第2の電極端子側に向かって、前記高周波の波長に対して1/4だけ離れた位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
両端が近接するように折り曲げられ、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブと、
前記誘電体チューブの内部において、前記誘電体チューブの両端に設けられた第1および第2の電極端子と、
前記電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源と、
前記プラズマ励起電源と前記第1の電極端子とを接続する第1の配線と、
前記プラズマ励起電源と前記第2の電極端子とを接続する第2の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続された高周波電源と、
前記第1の配線と前記第2の配線との間に、前記高周波電源から出力される高周波電力を結合させるための高周波電力結合手段と、
を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
前記高周波電力結合手段は、前記第1の配線と前記第2の配線とを高周波で短絡するキャパシタにより構成され、
前記高周波電源は、前記キャパシタが接続された位置から前記第1または第2の電極端子側に向かって、前記高周波の波長に対して1/4だけ離れた位置に配置されたことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
地導体と、
両端が近接するように折り曲げられ、かつ前記両端が前記地導体の近傍に配置され、内部に電離性ガスを含む誘電体チューブと、
前記誘電体チューブの内部において、前記誘電体チューブの両端に設けられた第1および第2の電極端子と、
前記電離性ガスをプラズマ状態に保持するためのプラズマ励起電源と、
前記プラズマ励起電源と前記第1の電極端子とを接続する第1の配線と、
前記プラズマ励起電源と前記第2の電極端子とを接続する第2の配線と、
前記地導体に設けられた高周波電源と、
前記第1の配線と前記第2の配線とを高周波で短絡する第1のキャパシタと、
前記第2の配線と前記地導体との間を高周波で短絡する第2のキャパシタと、
を備え、
前記高周波電源は、前記第1のキャパシタが接続された位置から前記第1または第2の電極端子側に向かって、前記高周波の波長に対して1/4だけ離れた位置において、前記地導体と前記第1の配線との間に接続され、
前記第2のキャパシタは、前記第1のキャパシタが接続された位置から前記第1または第2の電極端子側に向かって、前記高周波の波長に対して1/4だけ離れた位置に配置されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
前記誘電体チューブは、前記地導体から鉛直方向に伸びるように配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記誘電体チューブは、ループ状に形成されたことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記誘電体チューブは、Tの字状に形成されたことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
両端が近接するように折り曲げられ、かつ折り曲げ端部が第1の直角方向に折り曲げられ、内部に電離性ガスを含む第1の誘電体チューブと、
前記第1の誘電体チューブに近接して並設され、両端が近接するように折り曲げられ、かつ折り曲げ端部が、前記第1の直角方向とは反対側の第2の直角方向に折り曲げられ、内部に電離性ガスを含む第2の誘電体チューブと、
前記第1の誘電体チューブの内部において、前記第1の誘電体チューブの両端に設けられた第1および第2の電極端子と、
前記第2の誘電体チューブの内部において、前記第2の誘電体チューブの両端に設けられた第3および第4の電極端子と、
前記第1の誘電体チューブ内の電離性ガスをプラズマ状態に保持するための第1のプラズマ励起電源と、
前記第2の誘電体チューブ内の電離性ガスをプラズマ状態に保持するための第2のプラズマ励起電源と、
前記第1のプラズマ励起電源と前記第1の電極端子とを接続する第1の配線と、
前記第1のプラズマ励起電源と前記第2の電極端子とを接続する第2の配線と、
前記第2のプラズマ励起電源と前記第3の電極端子とを接続する第3の配線と、
前記第2のプラズマ励起電源と前記第4の電極端子とを接続する第4の配線と、
前記第1の配線と前記第3の配線との間に接続された高周波電源と、
前記第1の配線と前記第3の配線とを高周波で短絡するキャパシタと、
を備え、
前記高周波電源は、前記キャパシタが接続された位置から前記第1〜第4の電極端子側に向かって、前記高周波の波長に対して1/4だけ離れた位置に配置されたことを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−148025(P2010−148025A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326003(P2008−326003)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】