説明

アンテナ角度可変保持構造

【課題】 アンテナを任意の角度に固定することができ、しかも一旦角度を固定したら、一定の角度範囲内でアンテナを保持することが可能で、かつアンテナに外力が加わった場合はその固定を解除してアンテナおよび固定部品が破損するのを防止することが可能なアンテナ角度可変保持構造の提供。
【解決手段】 アンテナ角度可変保持構造は、アンテナ101と、アンテナが挿入される筒状部102と、筒状部が取り付けられる筐体103とを含み、筒状部には爪部104が、筐体には爪部を係止させる穴部を複数個有する引掛け部24がそれぞれ設けられ、アンテナと筒状部との隙間は所定値以下に設定され、かつ爪部の腕部は撓み易い長さに設定され、さらに、筐体に筒状部を任意の角度で保持させるために筐体の穴部は筒状部の角度に対応して複数個設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ角度可変保持構造に関し、特にSMA(Sub Miniature type A)型等のネジ固定式アンテナの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナを有する無線通信装置において、無線特性を最大限確保し、維持することが、仕様上重要な項目の一つである。外部アンテナを有する無線通信端末装置(子機)であれば、外部アンテナの放射特性が最大になるよう搭載角度を装置設置現場で調整でき、かつ、その角度を保持できることが必要である。外部アンテナを有する無線通信基地局装置(親機)であれば、無線通信端末装置(子機)側との相対角度が変化しないよう、アンテナ搭載角度を常に一定に保持し続ける構造が必要である。
【0003】
アンテナの種類としては、L字状に角度が固定されたアングルタイプ、L字状に折り曲げられる可倒タイプ、装置に垂直に固定する垂直固定型等幅広く存在するが、何れの汎用性のあるアンテナもアンテナの搭載角度を装置設置現場で調整でき、かつ、一定に保持するという構造は併せ持ってはいない。アングルタイプや可倒タイプのアンテナの場合は、装置設置現場でのアンテナ搭載角度の調整はできるが、外力により容易にアンテナの搭載角度が変わってしまう可能性が高い。
【0004】
特に、SMA型アンテナにおいては、固定構造がネジ固定のため、外力によるネジ緩みの危険性も高く、アンテナ角度保持やアンテナ脱落防止といった課題解決が必要不可欠である。
【0005】
垂直固定型アンテナにおいては、そもそも通常はカスタム品が多く、アンテナが比較的高価となるため、比較的安価な汎用の可倒タイプのアンテナを安価な方法で垂直に固定できることが望ましいという実態がある。
【0006】
図9は本発明に関連するアンテナ保持構造の一例の組み立て図、図10はそのアンテナ保持構造の一例の完成図、図11は同アンテナを有する装置の一例の斜視図である。図9〜図11はSMA型の可倒タイプの無線アンテナを有する装置の一例を示している。
【0007】
図9および図10に示すように、一般に、SMA型の無線アンテナは、取り付け金具3にアンテナコネクタ1が有するネジ部2を、ワッシャー4とナット5で固定し、取り付け金具3から突き出るネジ部2に、アンテナ本体7が有するナット部6を締め付けて固定している。アンテナ本体7とナット部6の回転は独立しており、ナット部6を強く締めても、アンテナ本体7の角度は固定されない構造となっている。そのため、図11に示すように、装置8にアンテナ9を固定した後でも、アンテナ9は回転方向10に自由に回転でき、折り曲げ方向11にも倒すことができる。
【0008】
一方、本発明に関連するアンテナ保持構造の他の一例として、無線機に設けた固定部材(ハウジング)にアンテナを装着することにより、アンテナを固定させる技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
さらに、本発明に関連するアンテナ保持構造の他の一例として、筒状のGPSアンテナの下部に設けた爪部を筐体の上部に設けた爪受部に係合させてGPSアンテナの位置決めを行い、かつ携帯無線用アンテナの基部(ホルダー部)をGPSアンテナに挿入して携帯無線用アンテナを固定する技術が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0010】
さらに、本発明に関連するアンテナ保持構造の他の一例として、パラボラアンテナを、受座を介して支持受座に取り付ける際に、支持受座に設けた長穴を介してねじで支持受座を受座に固定する技術が開示されている(たとえば、特許文献3参照)。この技術によれば、ねじを緩めることにより受座、すなわち受座に固定されたパラボラアンテナの仰角の調整が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−253841号公報
【特許文献2】特開2003−204215号公報
【特許文献3】実開昭63−085909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、図9〜図11に記載の関連発明では、基地局装置のアンテナ、あるいは、装置設置現場にて角度を調整した無線通信端末のアンテナにおいては、アンテナの角度が変わることにより、放射特性もずれてしまい、無線通信特性の最大値が低下してしまう。アンテナの傾きが大きくなるほど、安定した送受信ができなくなり、通信不能となるおそれがある。
【0013】
一方、外部にアンテナを有する無線通信端末装置および基地局装置においては、装置の設置現場にて無線特性が最適となるようアンテナの搭載角度を調整する必要がある。しかし、アンテナの角度調整後にその角度で堅個に固定できないため、振動や外部からの衝撃あるいは作業者の接触等により、アンテナの搭載角度が大きく変わってしまうことがある。
【0014】
あるいは、角度調整ができないアンテナにおいては、外部からの衝撃あるいは作業者の接触等により、アンテナが破損することがある。アンテナの角度が傾くとアンテナの放射特性も連動して傾き、送受信面における放射特性が劣化する。そのため、所定の位置からアンテナが傾くことにより、アンテナが送受信できる範囲は狭くなり、装置の無線機能が大きく損なわれてしまう。
【0015】
特に、基地局装置の場合、アンテナの搭載角度が変わってしまうと、そこにアクセスする多くの子機の通信が不安定あるいは不能となってしまい、システム上大きな損害を発生させるおそれがある。また、SMA型のアンテナにおいては、ネジで固定する構造のため、振動や衝撃等によるネジ緩みの発生により、端子が離れて無線特性が劣化したり、アンテナが脱落するおそれがある。
【0016】
また、特許文献1に記載の発明は、アンテナを固定部材に装着する点で、本発明と共通するものの、固定部材の「爪部」に関する記載がなく、さらに、アンテナは固定部材(ハウジング)と特殊ネジで固定されており、特殊ネジを使用しないでアンテナを固定する本発明とは構成が全く異なる。よって、特許文献1に記載の発明によって本発明と同様の効果を奏することはできない。
【0017】
また、特許文献2に記載の発明では、GPSアンテナの爪部は撓む構造を有していないため、この文献に記載の発明もまた本発明と同様の効果を奏することはできない。
【0018】
また、特許文献3に記載の発明では、ねじと長穴の組み合わせで角度調整をおこなっているが、本発明のような爪と、アンテナの角度に対応させた複数の穴との組み合わせとは全く構成が異なる。したがって、この文献に記載の発明もまた本発明と同様の効果を奏することはできない。
【0019】
そこで本発明の目的は、アンテナを任意の角度に固定することができ、しかも一旦角度を固定したら、一定の角度範囲内でアンテナを保持することが可能で、かつアンテナに外力が加わった場合はその固定を解除してアンテナおよび固定部品が破損するのを防止することが可能なアンテナ角度可変保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、本発明によるアンテナ角度可変保持構造は、アンテナと、前記アンテナが挿入される筒状部と、前記筒状部が取り付けられる筐体とを含み、前記筒状部には爪部が、前記筐体には前記爪部を係止させる穴部を複数個有する引掛け部がそれぞれ設けられ、前記アンテナと前記筒状部との隙間は所定値以下に設定され、かつ前記爪部の腕部は撓み易い長さに設定され、さらに、前記筐体に前記筒状部を任意の角度で保持させるために前記筐体の穴部は前記筒状部の角度に対応して複数個設けられることを特徴とする。
【0021】
また、本発明による他のアンテナ角度可変保持構造は、アンテナと、前記アンテナが挿入される筒状部と、前記筒状部が取り付けられる筐体とを含み、前記筒状部には爪部が、前記筐体には前記爪部を係止させる穴部を有する引掛け部がそれぞれ設けられ、前記アンテナと前記筒状部との隙間は所定値以下に設定され、かつ前記爪部の腕部は撓み易い長さに設定され、さらに、前記筐体に前記筒状部を任意の角度で保持させるために前記筐体の穴部は多角形状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アンテナを任意の角度に固定することができ、しかも一旦角度を固定したら、一定の角度範囲内でアンテナを保持することが可能で、かつアンテナに外力が加わった場合はその固定を解除してアンテナおよび固定部品が破損するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の動作原理を示す模式図である。
【図2】アンテナを傾けて固定する一例の斜視図である。
【図3】本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の第1実施形態の組み立て図である。
【図4】本発明に係るアンテナ保持構造の第1実施形態の完成図である。
【図5】アンテナを傾けて固定する場合の一例の断面図である。
【図6】第1実施形態の効果を示す模式図である。
【図7】本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の第2実施形態の組み立て図である。
【図8】本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の第2実施形態の完成図である。
【図9】本発明に関連するアンテナ保持構造の一例の組み立て図である。
【図10】そのアンテナ保持構造の一例の完成図である。
【図11】同アンテナを有する装置の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、実施の形態の説明に入る前に、本発明の特徴および動作原理について説明する。本発明の特徴は、汎用性のあるアンテナ、すなわち角度調整の自由度があるアンテナにおいて、任意の位置に角度を固定でき、一旦角度を固定したら、筒状の部分で一定の角度範囲内にアンテナを保持すると共に、装置本体への爪固定でアンテナの位置が不変となることを特徴とするアンテナの角度可変保持構造である。
【0025】
さらに、本発明の特徴は、アンテナに想定外の外力が加わっても固定構造が容易に外れるため何れの部品も壊れず、かつ再びアンテナを固定しなおすことができるところにある。
【0026】
次に、本発明の動作原理について説明する。図1は本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の動作原理を示す模式図である。同図を参照すると、本発明に係るアンテナ角度可変保持構造は、アンテナ101と、アンテナ101が挿入される筒状部(固定部品)102と、筒状部102が取り付けられる筐体103とを含み、筒状部102には複数の爪部 (引掛け固定構造)104が、筐体103には爪部104を係止させる穴部を複数個有する引掛け部24がそれぞれ設けられる。そして、アンテナ101と筒状部102との隙間は所定値以下に設定され、かつ爪部104の腕部106は撓み易い長さに設定される。
【0027】
すなわち、アンテナ101の外形より一回り大きい筒状部102と、装置筐体103の引掛け部24に形成される穴部に引掛け固定できる爪部104とによりアンテナ101を筐体103に固定する。これにより、アンテナ101が折れ曲げ方向あるいは回転方向に回転しても、アンテナ101は筒状部102の内壁に当接して止まり、一定範囲以上の角度には倒れなくなるため、比較的安価な角度調整の自由度がある汎用アンテナでも指定の角度に固定することが可能となる。
【0028】
さらに、筐体103の引掛け部24は、筒状部102の角度に応じて筒状部102の爪部104を係止させるための複数の穴部を有するため、所望の穴部を選択することにより、筒状部102の角度、すなわちアンテナ101の角度を所望の角度に固定することが可能となる。
【0029】
図2はアンテナを傾けて固定する一例の斜視図であり、図2(A)はアンテナを時計方向に傾斜させて固定する一例を示し、図2(B)はアンテナを反時計方向に傾斜させて固定する一例を示す。
【0030】
さらに、アンテナ101の外形と筒状部102の内径との間隔を比較的狭く保つことで、アンテナ101の角度を比較的狭い範囲内に保持することができる。また、SMA型のようなネジによる固定方法を持つアンテナにおいては、筐体103に引掛け固定する爪部104の位置が動かないように、爪部104と筐体103の引掛け部24の穴部との間隔を比較的狭くしておくことで、アンテナ101の固定ネジの緩みが発生しても、筒状部102の位置がずれない限りは、アンテナ101の位置が保持されるため、アンテナ101の脱落も防止することができる。
【0031】
さらに、爪部104の腕部106を撓み易い長さに設定することにより、アンテナ101に外力が加わった場合は爪部104が筐体103の引掛け部24の穴部から容易に外れるため、アンテナおよび固定部品が破損するのを防止することが可能となる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施形態について説明する。図3は本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の第1実施形態の組み立て図である。同図では、装置外部にSMA型の可倒タイプの無線アンテナを搭載する装置の構成例について説明する。
【0033】
同図を参照すると、本発明に係るアンテナ保持構造は、アンテナコネクタ12と、取り付け金具13と、ワッシャー14と、ナット15と、アンテナ本体16と、ナット部17と、下部筐体18と、上部筐体19と、軸20と、固定部品(筒状部)21と、爪22と、リブ23と、引掛け部24とを含んで構成される。
【0034】
固定部品(筒状部)21の下部にリブ23および爪22で構成される爪部31が設けられる。また、下部筐体18に固定部品(筒状部)21の爪部31を任意の角度で係止させるための複数の穴部を有する引掛け部24が設けられる。
【0035】
SMA型のアンテナコネクタ12は、取り付け金具13にワッシャー14と、ナット15で固定され、ナット15を貫通したアンテナコネクタ12の先端ネジ部とアンテナ本体16のナット部17とを締め付けて固定される。アンテナコネクタ12およびアンテナ本体16を固定した取り付け金具13は下部筐体18に固定される。
【0036】
下部筐体18に上部筐体19を被せて固定する。アンテナ本体16は軸20でL字状に折り曲げた形状をなし、アンテナ本体16の先端部から固定部品(筒状部)21の筒形状部を通して、固定部品(筒状部)21の爪部31を下部筐体18の引掛け部24の穴部に挿入する。
【0037】
図4は本発明に係るアンテナ保持構造の第1実施形態の完成図である。同図(A)は同アンテナ保持構造の斜視図、同図(B)は爪部31と引掛け部24の穴部付近の断面図である。
【0038】
同図(A)を参照すると、下部筐体18に上部筐体19を被せて筐体本体が構成されている。下部筐体18が四角い箱体であるのに対し、上部筐体19はL字状の箱体であり、よって下部筐体18に上部筐体19を被せると下部筐体18の上面の一部18aが露出する。この上面の一部18aに引掛け部24が形成され、固定部品(筒状部)21の爪部31がこの引掛け部24の穴部に挿入される。
【0039】
すなわち、同図(B)に示すように、固定部品(筒状部)21は爪22とリブ23とで下部筐体18の引掛け部24を挟み込んで固定される。同図(B)では爪22とリブ23とで下部筐体18の引掛け部24aを挟み込んで固定される一例を示している。
【0040】
また、アンテナ本体16の基部は、上部筐体19の側面に設けた穴部19aを介して筐体本体の内部に固定される。
【0041】
図5はアンテナを傾けて固定する場合の一例の断面図である。同図(A)はアンテナを反時計方向に傾斜させて固定部品(筒状部)21の爪22とリブ23とで下部筐体18の引掛け部24bを挟み込んで固定する場合の一例を示している。また、同図(B)はアンテナを時計方向に傾斜させて固定部品(筒状部)21の爪22とリブ23とで下部筐体18の引掛け部24cを挟み込んで固定する場合の一例を示している。
【0042】
図4(B)を参照すると、固定部品(筒状部)21の爪22とリブ23が形成されている部分(腕部106)は、アンテナ本体16に想定外の外力が加わった場合に撓み易い長さに設定されている。
【0043】
次に、第1実施形態の動作について説明する。図11で示したように、アンテナ9の角度はアンテナ9の折れ曲がり方向11と回転方向10の2方向がある。すなわち、図4(A)、(B)を参照すると、どちらの方向に対しても、アンテナ16が回転すればアンテナ16の外形は固定部品(筒状部)21の筒部内部に当接し、それ以上の角度には倒れなくなる。
【0044】
たとえば、アンテナ16の軸20から折り曲げた先15mmほどの箇所において、アンテナ16の外形と固定部品(筒状部)21の筒部内壁とを0.25mmほどの隙間を持って保持することにより、アンテナ16の角度の誤差は±1度以下に保持することが可能である。このアンテナ16の角度の誤差±1度以下の状態は、装置におけるアンテナの無線特性には全く影響がないレベルであり、これにより安定した無線通信が可能となる。
【0045】
また、固定部品(筒状部)21の爪22とリブ23とで挟み込む下部筐体18の引掛け部24を、引掛け部24bまたは引掛け部24cに変更すれば、アンテナ本体16の搭載角度を変更することができる(図5(A)および(B)参照)。これにより、装置におけるアンテナの無線特性を最適な角度に調整し、かつ、一定範囲内に保持することが可能となり、安定した無線通信を維持することができる。
【0046】
また、アンテナ16に想定外の強い外力が加わった場合については、固定部品(筒状部)21の爪22が許容できる以上の力になった時点で爪22が穴(引掛け部24の穴部)から外れるだけであり、何れの部品も破損することはない。この場合、固定部品(筒状部)21が外れたことにより、アンテナ16に外力が加わったことおよびアンテナ16の角度が変わってしまったことが視覚的にも分かる。そのため、作業者への注意を促すことにも繋がり、また外れた固定部品(筒状部)21を再び固定することでアンテナ16の角度を再び保持することができる。
【0047】
また、SMA型のアンテナ16は振動等でナット部17に緩みが発生する場合があり、その緩みに伴い、アンテナ16が抜ける方向に移動し、最終的にはアンテナ16の端子接続が外れ、最悪の場合アンテナ16が脱落してしまうこともある。
【0048】
これに対して、固定部品(筒状部)21の爪22と下部筐体18の引掛け部24とのアンテナ本体16が抜ける方向の隙間をナット部17のネジピッチ以下に抑えておけば、ナット部17の緩みが発生しても、ナット部17は1周以上回ることがなくなり、アンテナ16の端子接続が外れることもアンテナ16が脱落することも防止できる。
【0049】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、アンテナ本体16の回転方向の角度を調整して固定し、かつ、アンテナ本体16の角度をアンテナ本体16の回転方向および折り曲げ方向共に一定範囲内に保持することが可能となる。
【0050】
図6は第1実施形態の効果を示す模式図である。同図に示すように、アンテナ16の角度を一定に保つことで(同図の左側の図参照)、アンテナ本体16が傾いた場合(同図の右側の図参照)においても、送受信面に対するアンテナ本体16の放射特性を最大かつ一定に保つことができ、送受信先と安定した通信を行うことが可能となる。また、これにより、角度調整の自由度がある汎用アンテナで、角度が可変できない垂直固定型アンテナの代替もできるようになるため、選択できるアンテナの種類が増え、フレキシブルな装置設計を実現することが可能となる。
【0051】
また、本発明により、アンテナ本体16の脱落を防止することが可能となる。ネジ固定のアンテナの場合は、振動によるネジの緩み、爪固定のアンテナの場合は、外力による爪外れの危険性があるが、本発明の固定部品(筒状部)21により、物理的にアンテナ16は抜け方向に移動できなくなるため、ネジの緩みあるいは爪22外れにより、アンテナ16が脱落することがなくなる。
【0052】
また、これにより関連技術では振動が加わるような設置場所には、ネジの緩みの危険性があるため不向きとされていたSMA型のアンテナ等も問題なく使用できることとなり、使用できるアンテナの種類が増え、フレキシブルな装置設計の実現が可能となる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。装置サイズや筐体形状の制約等により、前述の第1実施形態のようにアンテナの下側で筐体の固定穴を設けられない場合がある。その場合の応用例について第2実施形態で説明する。
【0054】
基本構成は前述の第1実施形態と同様であるが、固定部品(筒状部)21´は上部筐体19´の側面の切り欠き部(穴部)24´と引っ掛けて固定する。
【0055】
図7は本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の第2実施形態の組み立て図である。同図を参照すると、本発明に係るアンテナ保持構造は、アンテナコネクタ12´と、取り付け金具13´と、ワッシャー14´と、ナット15´と、アンテナ本体16´と、ナット部17´と、下部筐体18´と、上部筐体19´と、固定部品(筒状部)21´と、爪22´と、リブ23´と、切り欠き部(穴部)24´とを含んで構成される。また、爪22´とリブ23´とで爪部31´が構成される。このとき、上部筐体19´の側面に設けた切り欠き部(穴部)24´は多角形の穴形状とする。
【0056】
図8は本発明に係るアンテナ角度可変保持構造の第2実施形態の完成図である。同図(A)は同アンテナ保持構造の斜視図、同図(B)は爪部31´と切り欠き部(穴部)24´付近の断面図である。
【0057】
同図(A)を参照すると、アンテナ本体16´が固定部品(筒状部)21´を用いて上部筐体19´の切り欠き部(穴部)24´に固定される様子を示している。また、同図(B)を参照すると、固定部品(筒状部)21´の爪22´と、リブ23´との間の壁25を多角形の一面とその隣り合う面の三面と形状を合わせておくことで、多角形の面の数の範囲内でアンテナ搭載角度を選択して固定することが可能となる。
【0058】
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、アンテナの下側で筐体の固定穴を設けられない場合でも、前述の第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0059】
また、SMA型以外のL字状に角度が固定されたアングルタイプあるいは折り曲げができる可倒タイプのアンテナにおいても、前述の第1あるいは第2実施形態と同様な構成にて本発明を適用することができ、これによりアンテナを任意の角度に固定でき、また一定の角度範囲内で保持することができ、さらにアンテナの脱落を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明を無線通信装置(通信端末および基地局等)に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
12、12´ アンテナコネクタ
13、13´ 取り付け金具
14、14´ ワッシャー
15、15´ ナット
16、16´ アンテナ本体
17、17´ ナット部
18、18´ 下部筐体
19、19´ 上部筐体
20 軸
21、21´ 固定部品(筒状部)
22、22´ 爪
23、23´ リブ
24 引掛け部
24´ 切り欠き部(穴部)
101 アンテナ
102 筒状部(固定部品)
103 筐体
104 爪部(引掛け固定構造)
106 腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナが挿入される筒状部と、
前記筒状部が取り付けられる筐体とを含み、
前記筒状部には爪部が、前記筐体には前記爪部を係止させる穴部を複数個有する引掛け部がそれぞれ設けられ、
前記アンテナと前記筒状部との隙間は所定値以下に設定され、かつ前記爪部の腕部は撓み易い長さに設定され、
さらに、前記筐体に前記筒状部を任意の角度で保持させるために前記筐体の穴部は前記筒状部の角度に対応して複数個設けられることを特徴とするアンテナ角度可変保持構造。
【請求項2】
前記アンテナはL字状の形状をなし、前記アンテナの折り曲げ部が前記筒状部に保持されることを特徴とする請求項1記載のアンテナ角度可変保持構造。
【請求項3】
前記筐体は箱状をなし、その上面部に前記アンテナおよび筒状部が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ角度可変保持構造。
【請求項4】
前記筐体の上面部は高さが異なる2段の平面で構成され、高さの低い方の平面に前記アンテナおよび筒状部が設けられることを特徴とする請求項3記載のアンテナ角度可変保持構造。
【請求項5】
前記筐体は箱状をなし、その側面部に前記アンテナおよび筒状部が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ角度可変保持構造。
【請求項6】
アンテナと、
前記アンテナが挿入される筒状部と、
前記筒状部が取り付けられる筐体とを含み、
前記筒状部には爪部が、前記筐体には前記爪部を係止させる穴部を有する引掛け部がそれぞれ設けられ、
前記アンテナと前記筒状部との隙間は所定値以下に設定され、かつ前記爪部の腕部は撓み易い長さに設定され、
さらに、前記筐体に前記筒状部を任意の角度で保持させるために前記筐体の穴部は多角形状に形成されることを特徴とするアンテナ角度可変保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−60337(P2012−60337A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200428(P2010−200428)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】