アンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法
【課題】 荷役中断時間を低減させるとともに、荷役の効率を向上させるアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法を提供する。
【解決手段】 アンローダ運転方法の演算装置10は、アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置であって、荷役条件が入力される荷役条件入力部12と、前記荷役条件入力部12から前記荷役条件を取得し、前記荷役条件からアンローダおよびブルドーザの荷役時間を求めて、前記荷役時間と前記アンローダが船倉間を移動する船倉替えパターンとに基づいて、複数の前記船倉を荷役する前記アンローダと前記ブルドーザとの前記荷役時間をバランスさせた前記アンローダの運転方法を演算する運転方法演算部14と、前記運転方法演算部14に接続され、前記運転方法演算部14の演算結果を出力する運転方法表示部16と、を備えた構成である。
【解決手段】 アンローダ運転方法の演算装置10は、アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置であって、荷役条件が入力される荷役条件入力部12と、前記荷役条件入力部12から前記荷役条件を取得し、前記荷役条件からアンローダおよびブルドーザの荷役時間を求めて、前記荷役時間と前記アンローダが船倉間を移動する船倉替えパターンとに基づいて、複数の前記船倉を荷役する前記アンローダと前記ブルドーザとの前記荷役時間をバランスさせた前記アンローダの運転方法を演算する運転方法演算部14と、前記運転方法演算部14に接続され、前記運転方法演算部14の演算結果を出力する運転方法表示部16と、を備えた構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船倉からばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンローダ100は、図10に示すように、船倉101内のばら物102、例えば穀物等を供給機等の堀削装置103により掻き取り、その掻き取ったばら物102を垂直ブーム104や水平ブーム105内部に設置したひれ付きコンベヤ111等の搬送装置で陸上に陸揚げする装置である。そして供給機には、回転羽根形供給機106がある。図11は回転羽根形供給機の説明図である。回転羽根形供給機106は、羽根の高速回転によりばら物102をひれ付きコンベヤ111へ跳ね上げて移載するものであり、ロータ107、案内板108およびスクリュー109を備えている。このロータ107、案内板108およびスクリュー109は、ひれ付きコンベヤ111の下端部に設けられている。ロータ107は、水平軸周りに回転してばら物102を跳ね上げるものである。案内板108は、ロータ107で跳ね上げたばら物102をひれ付きコンベヤ111へ導くものである。スクリュー109は、水平軸回りに回転してばら物102をロータ107に掻き寄せるものであり、ロータ107に隣接するとともにロータ107と同軸上に設けられている。
【0003】
また流動性が悪く、安息角の大きいばら物102に対しては、垂直軸回りに回転してばら物102をロータ107に掻き寄せる堀削ブレード110がロータ107、案内板108およびスクリュー109の外側に取り付けられる。この堀削ブレード供給機付きアンローダは、船倉101内で供給機を積極的に動かして荷役を行っている。そして堀削ブレード110供給機が届かない船倉コーナ部のばら物102は、船倉101内に入れられたブルドーザによって船倉中央部のハッチ下まで掻き出された後(中出し作業)、アンローダ100で荷役されている。
【0004】
このようなアンローダの運転方法には、船倉毎のばら物の陸揚げ量予定数量に応じてアンローダにより荷役を行い、船倉内積付け量全量を荷揚げする方法がある。この方法では、底ざらい荷役時は、ブルドーザを船倉内に搬入してアンローダとブルドーザとを同一船倉内で連携させて荷役させている。またアンローダの運転方法には、ばら物の安息角が大きく、崩壊等の危険がある場合に、ブルドーザを適宜船内に搬入し、中出し作業を実施する方法がある。この方法では、船倉毎にアンローダによる荷役とブルドーザによる荷役とを交互に繰り返し、荷役を継続していく。
ところで、アンローダの運転方法について開示された発明には、船倉内のばら物を周状に掻き取る発明があるが(例えば、特許文献1を参照)、複数ある船倉の中から効率的に荷役を行う順番を決める発明については不知である。
【特許文献1】特開平11−263446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したアンローダの運転方法は、船倉毎の陸揚げ量予定数量に応じてアンローダ荷役とブルドーザ荷役とを連携させて、ばら物の荷役を継続していくが、船倉替えパターンや船倉毎のアンローダ荷役量、船倉へのブルドーザの搬入パターンなどは経験的に行っているのが現状である。ここで船倉替えパターンとは、1つの船の中に複数の船倉がある場合、荷役が行われる船倉の順番、すなわちアンローダの移動経路である。
【0006】
図12は船倉替えパターンの一例を示す図である。図12は船倉替えパターンの一例を示しており、船倉数が4つ(a,b,c,d)であり、安息角の大きいばら物を全量荷揚げし、且つ、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とを交互に繰り返していく場合のパターンである。まず船倉a内のばら物を崩壊の危険が無いと考えられる量までアンローダによって荷役する(U1)。その後ブルドーザを搬入し(Bi)、船倉コーナ部のばら物をハッチ下の船倉中央まで掻き出す(B1)。この間アンローダは船倉bに移動して荷役する(U2)。アンローダは、船倉bのある量の荷役を完了すると、船倉aに戻りブルドーザを船倉aから搬出して(Bo)、船倉b内に搬入する(Bi)。このような運転を順次繰り返し、各船倉を一巡した後、船倉aの二段目の荷役を継続していく。この船倉荷揚げ順序、パターン、1回当たりの荷揚げ量などの運転方法は、上述したように経験的に決められている。
【0007】
図13は荷役時間と荷役量との関係を示す模式図である。図13の横軸は荷役時間を示し、縦軸は荷役量を示す。そして図13は、図12の船倉替えパターンの場合を例にした荷役時間と荷役量との関係を示している。このような場合、アンローダが1回当たり荷役量QU1の荷揚げを行うと、アンローダの荷役能力QUから、その時の荷役時間TU1が求まる。またアンローダの1回当たりの荷役量QU1を決めると、アンローダブーム(供給機)の届かない船倉コーナ部に残されたばら物の量、すなわちブルドーザによってハッチ下の船倉中央に掻き寄せるばら物の量(ブルドーザ荷役量)QB1が求まる。そしてブルドーザ荷役能力QBからブルドーザ荷役時間TB1が求まる。仮にアンローダの荷役時間TU1とブルドーザの荷役時間TB1のバランスが悪く、ブルドーザの荷役時間TB1より長い場合は、図13に示すとおり、アンローダの待ち時間が発生し、荷役効率は低下する。
【0008】
このためアンローダ荷役能力QU、ブルドーザ荷役能力QBおよび船倉毎のアンローダ荷役量QU1によって変化するアンローダ荷役時間TU1とブルドーザ荷役時間TB1とのバランスが崩れる場合があり、アンローダ待ち時間(図13の矢印Aを参照)またはブルドーザの待ち時間が発生し、荷役中断時間の増大、荷役効率の低下などの問題が発生する。また船倉替えパターンによってアンローダ移動時間(図13の矢印Bを参照)またはブルドーザ搬出入時間が増加する場合があり、これによっても荷役効率は低下する。
【0009】
また船倉の積載量が多くなる程、船倉替えパターンや船倉毎のアンローダ荷役量決定の不確かさが、荷役時間、荷役効率に大きく影響する傾向にある。そして中島忠男、高橋康弘、田辺政夫、木村一郎著「穀物用連続アンローダの荷役調査」港湾技研資料No.678(1990年6月)の図−18(c)からは、対象船舶30000トンでの荷役効率0.6〜0.75に対して、63000トンでは0.5〜0.9と変化していることが分かり、このことはアンローダの運転方法の全てが最適な方法で行われているとは言えない事を表している。
【0010】
本発明は、荷役中断時間を低減させるとともに、荷役の効率を向上させるアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法を提供することを目的とする。
また荷役の状態を監視することで、最も効率的な運転方法を取得可能なアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るアンローダ運転方法の演算装置は、アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置であって、荷役条件が入力される荷役条件入力部と、前記荷役条件入力部から前記荷役条件を取得し、前記荷役条件からアンローダおよびブルドーザの荷役時間を求めて、前記荷役時間と前記アンローダが船倉間を移動する船倉替えパターンとに基づいて、複数の前記船倉を荷役する前記アンローダと前記ブルドーザとの前記荷役時間をバランスさせた前記アンローダの運転方法を演算する運転方法演算部と、前記運転方法演算部に接続され、前記運転方法演算部の演算結果を出力する運転方法表示部と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
また陸揚げされた前記ばら物の荷役量を測定する手段と、荷役時間を測定する手段とを備え、前記運転方法演算部は、当該荷役量測定手段および当該荷役時間測定手段の測定結果に基づいて前記アンローダの運転方法を再演算する手段を備えた、ことを特徴としている。
【0013】
また本発明に係るアンローダ運転方法は、アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法であって、前記アンローダが前記船倉間を移動する船倉替えパターンを設定し、前記各船倉内の前記ばら物を荷役するアンローダ荷役時間と、前記アンローダで取り残した前記ばら物を荷役するブルドーザ荷役時間とを求めて、複数の前記船倉の前記ばら物を荷役していく時の前記アンローダ荷役時間と前記ブルドーザ荷役時間とをバランスさせる、ことを特徴としている。すなわち、複数の前記船倉の前記ばら物を荷役していく時の前記アンローダ荷役時間と前記ブルドーザ荷役時間との差を小さくしている。
【0014】
また前記船倉替えパターンは、前記アンローダの移動経路を短くするとともに移動回数を小さくし、且つ、船舶の重量バランスを保つパターンであることを特徴としている。
また前記船倉替えパターンは、前記船倉の数によって前記アンローダおよび前記ブルドーザの船倉替え作業に伴う前記移動経路を、前記船倉のいずれか1箇所から荷役を開始し、船舶の船首側の前記船倉と、船尾側の前記船倉を一往復する間に荷役する前記船倉の全てを荷役する経路とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
これにより船倉替えパターンや荷役時間に基づいてアンローダの運転方法を演算するので、アンローダ荷役時間とブルドーザ荷役時間とをバランスさせて荷役の中断する時間を低減することができる。またアンローダの運転方法は、演算により荷役時間や時間効率を向上させたものが得られるので、アンローダ移動時間やブルドーザ搬出入時間を低減でき、荷役効率を向上することができる。
【0016】
また、アンローダの運転方法の違いによる効果を演算することで、ブルドーザの投入台数(ブルドーザ能力)等の荷役計画を改善し、更なる効率向上を達成できる。
また、荷役量と荷役時間とを測定することにより、常に荷役の状態を監視できるので、実運転の状況と演算結果の状況とを比較して再演算し、演算結果の誤差を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係るアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法の最良の実施形態について説明する。図1はアンローダ運転方法の演算装置のブロック図である。アンローダ運転方法の演算装置10は、荷役条件入力部12、運転方法演算部14、運転方法表示部16、運転状態報知部18、荷役量測定部20および荷役時間測定部22を備えている。
【0018】
荷役条件入力部12は、運転方法を演算するのに必要な因子、例えば、船の大きさ、船倉数、陸揚げ予定数量、ばら物の種類、安息角等のばら物の物性、アンローダ荷役能力等の、運転方法や荷役効率に関連する荷役条件が入力されるものである。また荷役量測定部20は、陸揚げされたばら物の荷役量を測定する手段であり、例えばアンローダの後段設備であるベルトコンベア等に設けられていればよい。さらに荷役時間測定部22は、ばら物の荷役時間を測定する手段である。
【0019】
運転方法演算部14は、荷役条件入力部12に接続され、荷役条件入力部12から荷役条件を取得するものである。そして運転方法演算部14は、荷役条件に基づいてアンローダ荷役量およびブルドーザ荷役量を演算し、このアンローダ荷役量およびブルドーザ荷役量に基づいてアンローダの運転方法を演算するものである。また運転方法演算部14は、荷役量測定部20および荷役時間測定部22の測定結果に基づいてアンローダの運転方法を再演算するものである。
【0020】
具体的には、荷役条件入力部12で入力された荷役条件から、アンローダの荷役パターンや、各船倉の1回当たりのアンローダ荷役量、船倉替えパターン等の最適な運転方法を演算するものである。また運転開始後は、荷役量や荷役時間等の運転実データが入力され、その後の運転方法を再演算、補正する機能を具備している。なお運転方法演算部14は、アンローダ姿勢やアンローダの移動軌跡等の運転実データが入力されて、その後の運転方法を再演算、補正してもよい。
【0021】
運転方法表示部16は、運転方法演算部14に接続され、演算された運転方法を表示するものであり、例えばアンローダの運転台に配設されて、オペレータに運転方法を提示可能にしている。運転状態報知部18は、運転状態を視覚的、聴覚的にオペレータに報知するものである。
【0022】
次に、アンローダの運転方法を演算する工程について説明する。まず運転方法演算部14の概略動作について説明する。図2は運転方法演算部の処理工程を説明する概略フローである。運転方法演算部14は、荷役条件である船形データ(船倉寸法)、荷揚げ予定船倉およびばら物の物性から船倉毎の積載容量を演算するとともに、船倉替えパターン、すなわち荷役が行われる船倉の順番を演算する(S100)。次に、1回のアンローダ荷役でばら物を堀削する高さh1が設定される(S110)。このとき高さh1は、船倉の高さH1よりも小さい値に設定される。
【0023】
次に、各船倉における1回当たりのアンローダ荷役量が、船倉の幾何学的なパターンに基づいて演算される(S120)。次に、1回のブルドーザ荷役でばら物を掻き出すブルドーザ荷役量が、船倉の幾何学的なパターンに基づいて演算される(S130)。次に、S120で求められたアンローダ荷役量に基づいてアンローダ荷役時間が演算されるとともに、S130で求められたブルドーザ荷役量に基づいてブルドーザ荷役時間が演算される(S140)。
【0024】
次に、船倉替えパターンや堀削高さh1、アンローダ荷役時間、ブルドーザ荷役時間等に基づいてアンローダの運転方法が演算される(S150)。次に、S150で得られた運転方法に基づいてアンローダを運転させた場合、この運転方法による荷役効率が目標としている荷役効率以上になるか否かを検討する(S160)。S160の検討の結果、荷役効率が目標以上になる場合には、S150で得られた運転方法を用いてアンローダを実運転させることが決定される(S170)。これに対し、S160の検討の結果、荷役効率が目標未満になる場合には、S110のステップに戻り、アンローダ荷役で堀削される高さh1を再設定し、S120〜S160のステップを繰り返す。
【0025】
そしてS170で決定された運転方法で実運転をさせているときに、荷役量測定部20で陸揚げされたばら物の荷役量を測定するとともに、荷役時間測定部22でばら物の荷役を行っている時間を測定し、これらの測定結果を運転方法演算部14に出力する(S180)。運転方法演算部14は、測定結果を入力すると、測定結果である荷役量および荷役時間と、S150で得られた運転方法に基づいたばら物の荷役量および荷役時間とを比較する。そして比較した結果、両者に差がある場合に、アンローダの運転方法を再演算、すなわちS110〜S170のステップを再度行う。
【0026】
次に、アンローダ運転方法を演算する工程の詳細について説明する。図3はアンローダ運転方法の演算装置の処理工程を説明するフローである。まず、荷役条件入力部12に荷役条件が入力される(S200)。図4は荷役条件の具体例を示す表である。入力される荷役荷役条件は、図4に示すように、アンローダやブルドーザ、船舶、対象物等の大項目に分かれ、この大項目についての小項目が設定される。
【0027】
次に、荷役条件である船舶排水量が、1000〜3000トン、5000〜30000トン、40000〜100000トンであるか否かを検討する(S210)。そして上記の船舶排水量に該当する場合には、走行取り、旋回取りまたはスイング取り等の荷役パターンが決定される(S220)。図5はアンローダの荷役パターンの説明図である。荷役パターンは、船舶30の大きさによって効率のよいパターンに分かれる。3000トンクラス以下で船倉のハッチ口32の寸法が岸壁に沿って長い形状の船舶30に対しては、図5(A)に示す矢印のように、アンローダ全体を走行させて荷役する走行取りを行う。また約5000トンクラス以上の中型船から100000トンクラスの船舶30に対しては、図5(B)に示す旋回取りや図5(C)に示すスイング取りを行う。またS210での検討の結果、上記の排水量に該当しない場合は、オペレータによって荷役パターンが設定される(S230)。
【0028】
次に、船倉に積付けられたばら物を全量荷役するか否かを検討する(S240)。ばら物の全量を荷役する場合、荷役条件である船形データから各船倉の積載容量を演算する(S250)。そして船倉替えパターンを演算する(S260)。
【0029】
図6は船倉替えパターンの検討例を説明する図である。図6(A)は船舶の説明図であり、図6(B)は船倉替えパターンの説明図であり、図6(C)はルート距離の説明図である。図6は船倉数が5つ(船倉a〜船倉e)ある場合の船倉替えパターンの検討例であり、複数ある検討例の中から3つ(パターン(ア)〜(ウ))を示している。
【0030】
アンローダおよびブルドーザの運転の手順は、船倉の中央部をアンローダによって荷役を行い、アンローダの届かない船倉コーナ部をブルドーザによってハッチ下の船倉中央部に掻き出し、その後再度アンローダによって荷役を行っている。すなわち、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とを順次交互に行っていく。そしてブルドーザは、アンローダに設けられた補助装置で船倉に搬出入される場合があり、アンローダから独立した補助装置で船倉に搬出入される場合もある。図6に示す船倉替えパターンでは、アンローダに設けられた補助装置でブルドーザを船倉に搬出入する場合について検討する。
【0031】
パターン(ア)は、船倉a、船倉b、船倉c、船倉d、船倉e、船倉aの順に荷役を行うパターンである。このときのルート総長は、船倉間の距離をいずれも1とした場合24である。具体的には、まず船倉a内のばら物をアンローダで荷役した後、ブルドーザを船倉aに搬入する。この後、アンローダが船倉bに移動して、船倉b内のばら物をアンローダで荷役する。このときブルドーザは、船倉a内で荷役を行っている。そしてアンローダおよびブルドーザの荷役が終わると、アンローダが移動して、ブルドーザを船倉aから船倉bに移動させる。アンローダは、ブルドーザを船倉bに搬入すると船倉cに移動して、船倉c内のばら物を荷役する。このときブルドーザは、船倉b内で荷役を行う。この後は、上述したのと同様のアンローダ荷役およびブルドーザ荷役を行う。
【0032】
パターン(イ)は、船倉a、船倉c、船倉d、船倉b、船倉e、船倉aの順に荷役を行うパターンである。このパターンは、船のバランスを考えながら荷役を進める方法であり、安全性を考慮したパターンである。このときのルート総長は36である。したがってパターン(イ)は、パターン(ア)に比べて安全性が高くなるが、ルート総長が長くなるのでアンローダ移動時間等が多くなり、荷役効率が低下する。
【0033】
パターン(ウ)は、船倉a、船倉c、船倉e、船倉d、船倉bの順に荷役を行い、船舶のバランスを取りながら、ルート総長を低減するパターンである。すなわち、船倉を1つ飛ばして荷役を行うパターンである。このルート総長は、パターン(ア)と同様の24である。
【0034】
そして検討される多数のパターンからルート総長が少なく(アンローダの移動経路が短く、移動回数が小さい)、且つ、船舶の重量バランスが崩れない方法を選定する必要がある。これが以下の方法である。
(1)船倉数によってアンローダおよびブルドーザの船倉替え作業に伴う移動経路を、一列に並ぶ荷役する船倉の一箇所から荷役を開始し、荷役する船倉の中で船首側の船倉と船尾側の船倉を一往復する間に、荷役する船倉全てを荷役するように設定する。
(2)往路を1船倉または2船倉おきに、1船倉または2船倉続けて荷役を行い、復路に荷役しなかった1船倉または2船倉の荷役を行う。船倉数の多い船舶については、船舶のバランスが取れる範囲で、1船倉または2船倉を1〜3船倉に変更してもよい。
なおS240の検討の結果、ばら物の全量を荷役しない場合、荷役条件である船形データおよび荷揚げ予定数量から各船倉の積載容量を演算する(S270)。そして船倉替えパターンを任意設定する(S280)。
【0035】
次に、荷役条件であるばら物の安息角等のばら物物性に基づいて、船倉内に積付けられたばら物の崩壊の有無を検討する(S290)。S290の検討の結果、ばら物の崩壊の可能性がある場合には、ばら物が崩壊することの無いアンローダ堀削高さ(崩壊安全高さ)h1を設定する(S300)。またS290の検討の結果、ばら物の崩壊の可能性がない場合には、アンローダ堀削高さ(任意の高さ)h2を設定する(S310)。そしてS300で設定された堀削高さh1や、S310で設定された堀削高さh2における、1回の船倉当たりのアンローダ荷役量およびブルドーザ荷役量を船倉形状から演算する(S320,S330)。船倉形状は、幾何学的なパターンから求められる。
【0036】
図7は船倉形状を求めるための説明図である。ここでV0は荷役容積、L1、L2およびH1は船倉外形寸法であり、VU1は連続荷役時間当たりのアンローダの堀削容積、QUはアンローダの荷役能力、QU1はハッチ1回当たりのアンローダの荷役量、TU1はハッチ1回当たりのアンローダ連続荷役時間、ρはばら物の見掛比重、L3、L4およびh1はアンローダ堀削範囲寸法、αはばら物の安息角、VB1はブルドーザ荷役容積、TB1はブルドーザ連続荷役時間、QBはブルドーザ荷役能力、QB1はハッチ1回当たりのブルドーザ荷役量である。
【0037】
そして荷役容積V0は、V0=L1×L2×H1で表される。アンローダ堀削容積VU1は、VU1=QU×TU1/ρ=L3×L4×h1+h12/(2×tanα)×(2L4+2L3)で表される。なおL3とh1は、幾何学的に一義的に求まる。ブルドーザ荷役容積VB1は、VB1=L1×L2×h1−VU1で表される。ブルドーザ連続荷役時間TB1は、TB1=VB1×ρ/QBで表される。そしてアンローダ荷役量QU1は、QU1=TU1×QUで表される。またブルドーザ荷役量QB1=TB1×QBで表される。なお計算式は、より精度の高い計算式を用いてもよい。
【0038】
図8はアンローダ堀削高さと、アンローダおよびブルドーザ荷役量との関係を示す図である。ここで仮に、ばら物の崩壊を考慮して、アンローダ堀削高さh1を5mと設定した場合、堀削高さ5m、10m、15mでの各荷役量は、各堀削高さから5m引いた値の荷役量を引いた値が荷役する量となる。
【0039】
以上の結果をもとに、離散系シミュレータを用いて荷役時間、時間効率、荷役効率、すなわち運転方法を演算する(S340)。具体的には、離散系シミュレータは、まずアンローダ荷役時間およびブルドーザ荷役時間を求める。アンローダ荷役時間TU1は、アンローダ荷役量QU1をアンローダ荷役能力QUで除して得られ、またブルドーザ荷役時間TB1は、ブルドーザ荷役量QB1をブルドーザ荷役能力QBで除して得られる。
【0040】
次に、離散系シミュレータは、アンローダおよびブルドーザで複数の船倉を荷役していく時に、アンローダまたはブルドーザの荷役が中断することが無いように、船倉替えパターン、堀削高さ、荷役量等を設定し、アンローダ荷役時間とブルドーザ荷役時間とをバランスさせる運転方法を求める。すなわち、離散系シミュレータは、アンローダおよびブルドーザのいずれか一方が荷役を行っている時に、他方が荷役を終了して一方の荷役を終えるのを待つことが無いような運転方法を求める。また離散系シミュレータは、アンローダが船倉間を移動する距離が短くなる、すなわちアンローダの移動時間が短く、ブルドーザの搬出入時間が短くなる船倉替えパターンを設定する。
【0041】
そして演算された結果が、アンローダの堀削高さがh1となっているか否かを検討し(S350)、アンローダ堀削高さがh1であれば、S340で得られた演算結果が運転方法として決定される(S360)。またS350の検討結果、アンローダ堀削高さがh1でなければ、荷役効率が目標以上か否かを検討する(S370)。そして荷役効率が目標以上であれば、S340で得られた演算結果が、運転方法として決定される(S360)。また荷役効率が目標未満の場合は、アンローダ堀削高さ、船倉替えパターンを再設定し、再演算する。すなわちアンローダの運転方法の違いによる効果を演算することで、ブルドーザの投入台数(ブルドーザ能力)等の荷役計画を改善する。
【0042】
図9は運転方法演算結果の説明図である。図9に一点鎖線で示すケース(1)の演算条件と直線で示すケース(2)の演算条件とは、アンローダ荷役量、ブルドーザ荷役量、アンローダ荷役能力およびブルドーザ荷役能力を変えている。このため、ケース(1)のアンローダ荷役時間およびブルドーザ荷役時間と、ケース(2)のアンローダ荷役時間およびブルドーザ荷役時間とは異なる。ケース(1)の場合、時間T1でアンローダ荷役量qiの荷役を行うとすると、荷役能力Q1は、Q1=qi/T1であり、荷役効率η1は、η1=Q1/QUとなる。またケース(2)の場合、時間T2でアンローダ荷役量qiの荷役を行うとすると、荷役能力Q2は、Q2=qi/T2であり、荷役効率η2は、η2=Q2/QUである。なおQUはアンローダ荷役能力である。
【0043】
そして図9よりη1>η2であることが分かる。具体的には、ケース(1)の場合、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とがバランスし、アンローダの待ち時間が無く、荷役効率が高い。これに対し、ケース(2)の場合は、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とのバランスが崩れ、アンローダの待ち時間が長くなり、荷役効率が低い。
【0044】
この後、S360で運転方法が決定された結果を、運転方法表示部16に出力して表示され(S380)、運転状態報知部18によりオペレータに報知される(S390)。そしてオペレータは、運転方法表示部16に出力された運転方法に基づいて実運転させればよい。また実運転させているときに、荷役量測定部20で荷役されたばら物の荷役量を測定するとともに、荷役時間測定部22でばら物の荷役を行っている時間を測定し(S400)、これらの測定結果を運転方法演算部14に出力する。なおアンローダの垂直ブームや水平ブームに姿勢を計測する手段を設けるとともに、アンローダの移動軌跡をモニタリングする手段を設け、アンローダ姿勢やアンローダ移動軌跡を運転方法演算部14に出力してもよい(S410)。
【0045】
そして演算されたアンローダ荷役量や荷役時間等と、実運転により得られたアンローダ荷役量や荷役時間等が比較される。また演算されたアンローダ姿勢や移動軌跡と、実運転により得られたアンローダ姿勢や移動軌跡とを比較してもよい。比較した結果、両者に差がある場合に、アンローダの運転方法を再演算、すなわちS270〜S380のステップを再度行う。オペレータは、運転方法表示部16に表示された再演算結果に基づいて、アンローダを運転させればよい。
【0046】
このようなアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法は、荷役条件によって荷役パターンや船倉替えパターン、堀削高さ、アンローダ荷役量、ブルドーザ荷役量を設定、演算するので、アンローダ荷役時間とブルドーザ荷役時間とをバランスさせて荷役の中断する時間を低減することができ、またアンローダ移動時間やブルドーザ搬出入時間を低減させることで荷役効率を向上することができる。よって荷役コストを低減することができる。
【0047】
また、アンローダの運転方法の違いによる効果を演算することで、ブルドーザの投入台数(ブルドーザ能力)等の荷役計画を改善し、更なる効率向上を達成できる。
また、常に荷役の状態を監視しているので、実運転の状況と演算結果の状況とを比較して再演算することで、演算結果の誤差を低減することができ、ブルドーザの故障等の突発事象に対応することができる。したがって最も効率的な運転方法を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】アンローダ運転方法の演算装置のブロック図である。
【図2】運転方法演算部の処理工程を説明する概略フローである。
【図3】アンローダ運転装置の演算装置の処理工程を説明するフローである。
【図4】荷役条件の具体例を示す表である。
【図5】アンローダの荷役パターンの説明図である。
【図6】船倉替えパターンの検討例を説明する図である。
【図7】船倉形状を求めるための説明図である。
【図8】アンローダ堀削高さと、アンローダおよびブルドーザ荷役量との関係を示す図である。
【図9】運転方法演算結果の説明図である。
【図10】アンローダの説明図である。
【図11】回転羽根形供給機の説明図である。
【図12】船倉替えパターンの一例を示す図である。
【図13】荷役時間と荷役量との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
10………演算装置、12………荷役条件入力部、14………運転方法演算部、16………運転方法表示部、18………運転状態報知部、20………荷役量測定部、22………荷役時間測定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、船倉からばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンローダ100は、図10に示すように、船倉101内のばら物102、例えば穀物等を供給機等の堀削装置103により掻き取り、その掻き取ったばら物102を垂直ブーム104や水平ブーム105内部に設置したひれ付きコンベヤ111等の搬送装置で陸上に陸揚げする装置である。そして供給機には、回転羽根形供給機106がある。図11は回転羽根形供給機の説明図である。回転羽根形供給機106は、羽根の高速回転によりばら物102をひれ付きコンベヤ111へ跳ね上げて移載するものであり、ロータ107、案内板108およびスクリュー109を備えている。このロータ107、案内板108およびスクリュー109は、ひれ付きコンベヤ111の下端部に設けられている。ロータ107は、水平軸周りに回転してばら物102を跳ね上げるものである。案内板108は、ロータ107で跳ね上げたばら物102をひれ付きコンベヤ111へ導くものである。スクリュー109は、水平軸回りに回転してばら物102をロータ107に掻き寄せるものであり、ロータ107に隣接するとともにロータ107と同軸上に設けられている。
【0003】
また流動性が悪く、安息角の大きいばら物102に対しては、垂直軸回りに回転してばら物102をロータ107に掻き寄せる堀削ブレード110がロータ107、案内板108およびスクリュー109の外側に取り付けられる。この堀削ブレード供給機付きアンローダは、船倉101内で供給機を積極的に動かして荷役を行っている。そして堀削ブレード110供給機が届かない船倉コーナ部のばら物102は、船倉101内に入れられたブルドーザによって船倉中央部のハッチ下まで掻き出された後(中出し作業)、アンローダ100で荷役されている。
【0004】
このようなアンローダの運転方法には、船倉毎のばら物の陸揚げ量予定数量に応じてアンローダにより荷役を行い、船倉内積付け量全量を荷揚げする方法がある。この方法では、底ざらい荷役時は、ブルドーザを船倉内に搬入してアンローダとブルドーザとを同一船倉内で連携させて荷役させている。またアンローダの運転方法には、ばら物の安息角が大きく、崩壊等の危険がある場合に、ブルドーザを適宜船内に搬入し、中出し作業を実施する方法がある。この方法では、船倉毎にアンローダによる荷役とブルドーザによる荷役とを交互に繰り返し、荷役を継続していく。
ところで、アンローダの運転方法について開示された発明には、船倉内のばら物を周状に掻き取る発明があるが(例えば、特許文献1を参照)、複数ある船倉の中から効率的に荷役を行う順番を決める発明については不知である。
【特許文献1】特開平11−263446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したアンローダの運転方法は、船倉毎の陸揚げ量予定数量に応じてアンローダ荷役とブルドーザ荷役とを連携させて、ばら物の荷役を継続していくが、船倉替えパターンや船倉毎のアンローダ荷役量、船倉へのブルドーザの搬入パターンなどは経験的に行っているのが現状である。ここで船倉替えパターンとは、1つの船の中に複数の船倉がある場合、荷役が行われる船倉の順番、すなわちアンローダの移動経路である。
【0006】
図12は船倉替えパターンの一例を示す図である。図12は船倉替えパターンの一例を示しており、船倉数が4つ(a,b,c,d)であり、安息角の大きいばら物を全量荷揚げし、且つ、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とを交互に繰り返していく場合のパターンである。まず船倉a内のばら物を崩壊の危険が無いと考えられる量までアンローダによって荷役する(U1)。その後ブルドーザを搬入し(Bi)、船倉コーナ部のばら物をハッチ下の船倉中央まで掻き出す(B1)。この間アンローダは船倉bに移動して荷役する(U2)。アンローダは、船倉bのある量の荷役を完了すると、船倉aに戻りブルドーザを船倉aから搬出して(Bo)、船倉b内に搬入する(Bi)。このような運転を順次繰り返し、各船倉を一巡した後、船倉aの二段目の荷役を継続していく。この船倉荷揚げ順序、パターン、1回当たりの荷揚げ量などの運転方法は、上述したように経験的に決められている。
【0007】
図13は荷役時間と荷役量との関係を示す模式図である。図13の横軸は荷役時間を示し、縦軸は荷役量を示す。そして図13は、図12の船倉替えパターンの場合を例にした荷役時間と荷役量との関係を示している。このような場合、アンローダが1回当たり荷役量QU1の荷揚げを行うと、アンローダの荷役能力QUから、その時の荷役時間TU1が求まる。またアンローダの1回当たりの荷役量QU1を決めると、アンローダブーム(供給機)の届かない船倉コーナ部に残されたばら物の量、すなわちブルドーザによってハッチ下の船倉中央に掻き寄せるばら物の量(ブルドーザ荷役量)QB1が求まる。そしてブルドーザ荷役能力QBからブルドーザ荷役時間TB1が求まる。仮にアンローダの荷役時間TU1とブルドーザの荷役時間TB1のバランスが悪く、ブルドーザの荷役時間TB1より長い場合は、図13に示すとおり、アンローダの待ち時間が発生し、荷役効率は低下する。
【0008】
このためアンローダ荷役能力QU、ブルドーザ荷役能力QBおよび船倉毎のアンローダ荷役量QU1によって変化するアンローダ荷役時間TU1とブルドーザ荷役時間TB1とのバランスが崩れる場合があり、アンローダ待ち時間(図13の矢印Aを参照)またはブルドーザの待ち時間が発生し、荷役中断時間の増大、荷役効率の低下などの問題が発生する。また船倉替えパターンによってアンローダ移動時間(図13の矢印Bを参照)またはブルドーザ搬出入時間が増加する場合があり、これによっても荷役効率は低下する。
【0009】
また船倉の積載量が多くなる程、船倉替えパターンや船倉毎のアンローダ荷役量決定の不確かさが、荷役時間、荷役効率に大きく影響する傾向にある。そして中島忠男、高橋康弘、田辺政夫、木村一郎著「穀物用連続アンローダの荷役調査」港湾技研資料No.678(1990年6月)の図−18(c)からは、対象船舶30000トンでの荷役効率0.6〜0.75に対して、63000トンでは0.5〜0.9と変化していることが分かり、このことはアンローダの運転方法の全てが最適な方法で行われているとは言えない事を表している。
【0010】
本発明は、荷役中断時間を低減させるとともに、荷役の効率を向上させるアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法を提供することを目的とする。
また荷役の状態を監視することで、最も効率的な運転方法を取得可能なアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るアンローダ運転方法の演算装置は、アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置であって、荷役条件が入力される荷役条件入力部と、前記荷役条件入力部から前記荷役条件を取得し、前記荷役条件からアンローダおよびブルドーザの荷役時間を求めて、前記荷役時間と前記アンローダが船倉間を移動する船倉替えパターンとに基づいて、複数の前記船倉を荷役する前記アンローダと前記ブルドーザとの前記荷役時間をバランスさせた前記アンローダの運転方法を演算する運転方法演算部と、前記運転方法演算部に接続され、前記運転方法演算部の演算結果を出力する運転方法表示部と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
また陸揚げされた前記ばら物の荷役量を測定する手段と、荷役時間を測定する手段とを備え、前記運転方法演算部は、当該荷役量測定手段および当該荷役時間測定手段の測定結果に基づいて前記アンローダの運転方法を再演算する手段を備えた、ことを特徴としている。
【0013】
また本発明に係るアンローダ運転方法は、アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法であって、前記アンローダが前記船倉間を移動する船倉替えパターンを設定し、前記各船倉内の前記ばら物を荷役するアンローダ荷役時間と、前記アンローダで取り残した前記ばら物を荷役するブルドーザ荷役時間とを求めて、複数の前記船倉の前記ばら物を荷役していく時の前記アンローダ荷役時間と前記ブルドーザ荷役時間とをバランスさせる、ことを特徴としている。すなわち、複数の前記船倉の前記ばら物を荷役していく時の前記アンローダ荷役時間と前記ブルドーザ荷役時間との差を小さくしている。
【0014】
また前記船倉替えパターンは、前記アンローダの移動経路を短くするとともに移動回数を小さくし、且つ、船舶の重量バランスを保つパターンであることを特徴としている。
また前記船倉替えパターンは、前記船倉の数によって前記アンローダおよび前記ブルドーザの船倉替え作業に伴う前記移動経路を、前記船倉のいずれか1箇所から荷役を開始し、船舶の船首側の前記船倉と、船尾側の前記船倉を一往復する間に荷役する前記船倉の全てを荷役する経路とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
これにより船倉替えパターンや荷役時間に基づいてアンローダの運転方法を演算するので、アンローダ荷役時間とブルドーザ荷役時間とをバランスさせて荷役の中断する時間を低減することができる。またアンローダの運転方法は、演算により荷役時間や時間効率を向上させたものが得られるので、アンローダ移動時間やブルドーザ搬出入時間を低減でき、荷役効率を向上することができる。
【0016】
また、アンローダの運転方法の違いによる効果を演算することで、ブルドーザの投入台数(ブルドーザ能力)等の荷役計画を改善し、更なる効率向上を達成できる。
また、荷役量と荷役時間とを測定することにより、常に荷役の状態を監視できるので、実運転の状況と演算結果の状況とを比較して再演算し、演算結果の誤差を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係るアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法の最良の実施形態について説明する。図1はアンローダ運転方法の演算装置のブロック図である。アンローダ運転方法の演算装置10は、荷役条件入力部12、運転方法演算部14、運転方法表示部16、運転状態報知部18、荷役量測定部20および荷役時間測定部22を備えている。
【0018】
荷役条件入力部12は、運転方法を演算するのに必要な因子、例えば、船の大きさ、船倉数、陸揚げ予定数量、ばら物の種類、安息角等のばら物の物性、アンローダ荷役能力等の、運転方法や荷役効率に関連する荷役条件が入力されるものである。また荷役量測定部20は、陸揚げされたばら物の荷役量を測定する手段であり、例えばアンローダの後段設備であるベルトコンベア等に設けられていればよい。さらに荷役時間測定部22は、ばら物の荷役時間を測定する手段である。
【0019】
運転方法演算部14は、荷役条件入力部12に接続され、荷役条件入力部12から荷役条件を取得するものである。そして運転方法演算部14は、荷役条件に基づいてアンローダ荷役量およびブルドーザ荷役量を演算し、このアンローダ荷役量およびブルドーザ荷役量に基づいてアンローダの運転方法を演算するものである。また運転方法演算部14は、荷役量測定部20および荷役時間測定部22の測定結果に基づいてアンローダの運転方法を再演算するものである。
【0020】
具体的には、荷役条件入力部12で入力された荷役条件から、アンローダの荷役パターンや、各船倉の1回当たりのアンローダ荷役量、船倉替えパターン等の最適な運転方法を演算するものである。また運転開始後は、荷役量や荷役時間等の運転実データが入力され、その後の運転方法を再演算、補正する機能を具備している。なお運転方法演算部14は、アンローダ姿勢やアンローダの移動軌跡等の運転実データが入力されて、その後の運転方法を再演算、補正してもよい。
【0021】
運転方法表示部16は、運転方法演算部14に接続され、演算された運転方法を表示するものであり、例えばアンローダの運転台に配設されて、オペレータに運転方法を提示可能にしている。運転状態報知部18は、運転状態を視覚的、聴覚的にオペレータに報知するものである。
【0022】
次に、アンローダの運転方法を演算する工程について説明する。まず運転方法演算部14の概略動作について説明する。図2は運転方法演算部の処理工程を説明する概略フローである。運転方法演算部14は、荷役条件である船形データ(船倉寸法)、荷揚げ予定船倉およびばら物の物性から船倉毎の積載容量を演算するとともに、船倉替えパターン、すなわち荷役が行われる船倉の順番を演算する(S100)。次に、1回のアンローダ荷役でばら物を堀削する高さh1が設定される(S110)。このとき高さh1は、船倉の高さH1よりも小さい値に設定される。
【0023】
次に、各船倉における1回当たりのアンローダ荷役量が、船倉の幾何学的なパターンに基づいて演算される(S120)。次に、1回のブルドーザ荷役でばら物を掻き出すブルドーザ荷役量が、船倉の幾何学的なパターンに基づいて演算される(S130)。次に、S120で求められたアンローダ荷役量に基づいてアンローダ荷役時間が演算されるとともに、S130で求められたブルドーザ荷役量に基づいてブルドーザ荷役時間が演算される(S140)。
【0024】
次に、船倉替えパターンや堀削高さh1、アンローダ荷役時間、ブルドーザ荷役時間等に基づいてアンローダの運転方法が演算される(S150)。次に、S150で得られた運転方法に基づいてアンローダを運転させた場合、この運転方法による荷役効率が目標としている荷役効率以上になるか否かを検討する(S160)。S160の検討の結果、荷役効率が目標以上になる場合には、S150で得られた運転方法を用いてアンローダを実運転させることが決定される(S170)。これに対し、S160の検討の結果、荷役効率が目標未満になる場合には、S110のステップに戻り、アンローダ荷役で堀削される高さh1を再設定し、S120〜S160のステップを繰り返す。
【0025】
そしてS170で決定された運転方法で実運転をさせているときに、荷役量測定部20で陸揚げされたばら物の荷役量を測定するとともに、荷役時間測定部22でばら物の荷役を行っている時間を測定し、これらの測定結果を運転方法演算部14に出力する(S180)。運転方法演算部14は、測定結果を入力すると、測定結果である荷役量および荷役時間と、S150で得られた運転方法に基づいたばら物の荷役量および荷役時間とを比較する。そして比較した結果、両者に差がある場合に、アンローダの運転方法を再演算、すなわちS110〜S170のステップを再度行う。
【0026】
次に、アンローダ運転方法を演算する工程の詳細について説明する。図3はアンローダ運転方法の演算装置の処理工程を説明するフローである。まず、荷役条件入力部12に荷役条件が入力される(S200)。図4は荷役条件の具体例を示す表である。入力される荷役荷役条件は、図4に示すように、アンローダやブルドーザ、船舶、対象物等の大項目に分かれ、この大項目についての小項目が設定される。
【0027】
次に、荷役条件である船舶排水量が、1000〜3000トン、5000〜30000トン、40000〜100000トンであるか否かを検討する(S210)。そして上記の船舶排水量に該当する場合には、走行取り、旋回取りまたはスイング取り等の荷役パターンが決定される(S220)。図5はアンローダの荷役パターンの説明図である。荷役パターンは、船舶30の大きさによって効率のよいパターンに分かれる。3000トンクラス以下で船倉のハッチ口32の寸法が岸壁に沿って長い形状の船舶30に対しては、図5(A)に示す矢印のように、アンローダ全体を走行させて荷役する走行取りを行う。また約5000トンクラス以上の中型船から100000トンクラスの船舶30に対しては、図5(B)に示す旋回取りや図5(C)に示すスイング取りを行う。またS210での検討の結果、上記の排水量に該当しない場合は、オペレータによって荷役パターンが設定される(S230)。
【0028】
次に、船倉に積付けられたばら物を全量荷役するか否かを検討する(S240)。ばら物の全量を荷役する場合、荷役条件である船形データから各船倉の積載容量を演算する(S250)。そして船倉替えパターンを演算する(S260)。
【0029】
図6は船倉替えパターンの検討例を説明する図である。図6(A)は船舶の説明図であり、図6(B)は船倉替えパターンの説明図であり、図6(C)はルート距離の説明図である。図6は船倉数が5つ(船倉a〜船倉e)ある場合の船倉替えパターンの検討例であり、複数ある検討例の中から3つ(パターン(ア)〜(ウ))を示している。
【0030】
アンローダおよびブルドーザの運転の手順は、船倉の中央部をアンローダによって荷役を行い、アンローダの届かない船倉コーナ部をブルドーザによってハッチ下の船倉中央部に掻き出し、その後再度アンローダによって荷役を行っている。すなわち、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とを順次交互に行っていく。そしてブルドーザは、アンローダに設けられた補助装置で船倉に搬出入される場合があり、アンローダから独立した補助装置で船倉に搬出入される場合もある。図6に示す船倉替えパターンでは、アンローダに設けられた補助装置でブルドーザを船倉に搬出入する場合について検討する。
【0031】
パターン(ア)は、船倉a、船倉b、船倉c、船倉d、船倉e、船倉aの順に荷役を行うパターンである。このときのルート総長は、船倉間の距離をいずれも1とした場合24である。具体的には、まず船倉a内のばら物をアンローダで荷役した後、ブルドーザを船倉aに搬入する。この後、アンローダが船倉bに移動して、船倉b内のばら物をアンローダで荷役する。このときブルドーザは、船倉a内で荷役を行っている。そしてアンローダおよびブルドーザの荷役が終わると、アンローダが移動して、ブルドーザを船倉aから船倉bに移動させる。アンローダは、ブルドーザを船倉bに搬入すると船倉cに移動して、船倉c内のばら物を荷役する。このときブルドーザは、船倉b内で荷役を行う。この後は、上述したのと同様のアンローダ荷役およびブルドーザ荷役を行う。
【0032】
パターン(イ)は、船倉a、船倉c、船倉d、船倉b、船倉e、船倉aの順に荷役を行うパターンである。このパターンは、船のバランスを考えながら荷役を進める方法であり、安全性を考慮したパターンである。このときのルート総長は36である。したがってパターン(イ)は、パターン(ア)に比べて安全性が高くなるが、ルート総長が長くなるのでアンローダ移動時間等が多くなり、荷役効率が低下する。
【0033】
パターン(ウ)は、船倉a、船倉c、船倉e、船倉d、船倉bの順に荷役を行い、船舶のバランスを取りながら、ルート総長を低減するパターンである。すなわち、船倉を1つ飛ばして荷役を行うパターンである。このルート総長は、パターン(ア)と同様の24である。
【0034】
そして検討される多数のパターンからルート総長が少なく(アンローダの移動経路が短く、移動回数が小さい)、且つ、船舶の重量バランスが崩れない方法を選定する必要がある。これが以下の方法である。
(1)船倉数によってアンローダおよびブルドーザの船倉替え作業に伴う移動経路を、一列に並ぶ荷役する船倉の一箇所から荷役を開始し、荷役する船倉の中で船首側の船倉と船尾側の船倉を一往復する間に、荷役する船倉全てを荷役するように設定する。
(2)往路を1船倉または2船倉おきに、1船倉または2船倉続けて荷役を行い、復路に荷役しなかった1船倉または2船倉の荷役を行う。船倉数の多い船舶については、船舶のバランスが取れる範囲で、1船倉または2船倉を1〜3船倉に変更してもよい。
なおS240の検討の結果、ばら物の全量を荷役しない場合、荷役条件である船形データおよび荷揚げ予定数量から各船倉の積載容量を演算する(S270)。そして船倉替えパターンを任意設定する(S280)。
【0035】
次に、荷役条件であるばら物の安息角等のばら物物性に基づいて、船倉内に積付けられたばら物の崩壊の有無を検討する(S290)。S290の検討の結果、ばら物の崩壊の可能性がある場合には、ばら物が崩壊することの無いアンローダ堀削高さ(崩壊安全高さ)h1を設定する(S300)。またS290の検討の結果、ばら物の崩壊の可能性がない場合には、アンローダ堀削高さ(任意の高さ)h2を設定する(S310)。そしてS300で設定された堀削高さh1や、S310で設定された堀削高さh2における、1回の船倉当たりのアンローダ荷役量およびブルドーザ荷役量を船倉形状から演算する(S320,S330)。船倉形状は、幾何学的なパターンから求められる。
【0036】
図7は船倉形状を求めるための説明図である。ここでV0は荷役容積、L1、L2およびH1は船倉外形寸法であり、VU1は連続荷役時間当たりのアンローダの堀削容積、QUはアンローダの荷役能力、QU1はハッチ1回当たりのアンローダの荷役量、TU1はハッチ1回当たりのアンローダ連続荷役時間、ρはばら物の見掛比重、L3、L4およびh1はアンローダ堀削範囲寸法、αはばら物の安息角、VB1はブルドーザ荷役容積、TB1はブルドーザ連続荷役時間、QBはブルドーザ荷役能力、QB1はハッチ1回当たりのブルドーザ荷役量である。
【0037】
そして荷役容積V0は、V0=L1×L2×H1で表される。アンローダ堀削容積VU1は、VU1=QU×TU1/ρ=L3×L4×h1+h12/(2×tanα)×(2L4+2L3)で表される。なおL3とh1は、幾何学的に一義的に求まる。ブルドーザ荷役容積VB1は、VB1=L1×L2×h1−VU1で表される。ブルドーザ連続荷役時間TB1は、TB1=VB1×ρ/QBで表される。そしてアンローダ荷役量QU1は、QU1=TU1×QUで表される。またブルドーザ荷役量QB1=TB1×QBで表される。なお計算式は、より精度の高い計算式を用いてもよい。
【0038】
図8はアンローダ堀削高さと、アンローダおよびブルドーザ荷役量との関係を示す図である。ここで仮に、ばら物の崩壊を考慮して、アンローダ堀削高さh1を5mと設定した場合、堀削高さ5m、10m、15mでの各荷役量は、各堀削高さから5m引いた値の荷役量を引いた値が荷役する量となる。
【0039】
以上の結果をもとに、離散系シミュレータを用いて荷役時間、時間効率、荷役効率、すなわち運転方法を演算する(S340)。具体的には、離散系シミュレータは、まずアンローダ荷役時間およびブルドーザ荷役時間を求める。アンローダ荷役時間TU1は、アンローダ荷役量QU1をアンローダ荷役能力QUで除して得られ、またブルドーザ荷役時間TB1は、ブルドーザ荷役量QB1をブルドーザ荷役能力QBで除して得られる。
【0040】
次に、離散系シミュレータは、アンローダおよびブルドーザで複数の船倉を荷役していく時に、アンローダまたはブルドーザの荷役が中断することが無いように、船倉替えパターン、堀削高さ、荷役量等を設定し、アンローダ荷役時間とブルドーザ荷役時間とをバランスさせる運転方法を求める。すなわち、離散系シミュレータは、アンローダおよびブルドーザのいずれか一方が荷役を行っている時に、他方が荷役を終了して一方の荷役を終えるのを待つことが無いような運転方法を求める。また離散系シミュレータは、アンローダが船倉間を移動する距離が短くなる、すなわちアンローダの移動時間が短く、ブルドーザの搬出入時間が短くなる船倉替えパターンを設定する。
【0041】
そして演算された結果が、アンローダの堀削高さがh1となっているか否かを検討し(S350)、アンローダ堀削高さがh1であれば、S340で得られた演算結果が運転方法として決定される(S360)。またS350の検討結果、アンローダ堀削高さがh1でなければ、荷役効率が目標以上か否かを検討する(S370)。そして荷役効率が目標以上であれば、S340で得られた演算結果が、運転方法として決定される(S360)。また荷役効率が目標未満の場合は、アンローダ堀削高さ、船倉替えパターンを再設定し、再演算する。すなわちアンローダの運転方法の違いによる効果を演算することで、ブルドーザの投入台数(ブルドーザ能力)等の荷役計画を改善する。
【0042】
図9は運転方法演算結果の説明図である。図9に一点鎖線で示すケース(1)の演算条件と直線で示すケース(2)の演算条件とは、アンローダ荷役量、ブルドーザ荷役量、アンローダ荷役能力およびブルドーザ荷役能力を変えている。このため、ケース(1)のアンローダ荷役時間およびブルドーザ荷役時間と、ケース(2)のアンローダ荷役時間およびブルドーザ荷役時間とは異なる。ケース(1)の場合、時間T1でアンローダ荷役量qiの荷役を行うとすると、荷役能力Q1は、Q1=qi/T1であり、荷役効率η1は、η1=Q1/QUとなる。またケース(2)の場合、時間T2でアンローダ荷役量qiの荷役を行うとすると、荷役能力Q2は、Q2=qi/T2であり、荷役効率η2は、η2=Q2/QUである。なおQUはアンローダ荷役能力である。
【0043】
そして図9よりη1>η2であることが分かる。具体的には、ケース(1)の場合、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とがバランスし、アンローダの待ち時間が無く、荷役効率が高い。これに対し、ケース(2)の場合は、アンローダ荷役とブルドーザ荷役とのバランスが崩れ、アンローダの待ち時間が長くなり、荷役効率が低い。
【0044】
この後、S360で運転方法が決定された結果を、運転方法表示部16に出力して表示され(S380)、運転状態報知部18によりオペレータに報知される(S390)。そしてオペレータは、運転方法表示部16に出力された運転方法に基づいて実運転させればよい。また実運転させているときに、荷役量測定部20で荷役されたばら物の荷役量を測定するとともに、荷役時間測定部22でばら物の荷役を行っている時間を測定し(S400)、これらの測定結果を運転方法演算部14に出力する。なおアンローダの垂直ブームや水平ブームに姿勢を計測する手段を設けるとともに、アンローダの移動軌跡をモニタリングする手段を設け、アンローダ姿勢やアンローダ移動軌跡を運転方法演算部14に出力してもよい(S410)。
【0045】
そして演算されたアンローダ荷役量や荷役時間等と、実運転により得られたアンローダ荷役量や荷役時間等が比較される。また演算されたアンローダ姿勢や移動軌跡と、実運転により得られたアンローダ姿勢や移動軌跡とを比較してもよい。比較した結果、両者に差がある場合に、アンローダの運転方法を再演算、すなわちS270〜S380のステップを再度行う。オペレータは、運転方法表示部16に表示された再演算結果に基づいて、アンローダを運転させればよい。
【0046】
このようなアンローダ運転方法の演算装置およびアンローダの運転方法は、荷役条件によって荷役パターンや船倉替えパターン、堀削高さ、アンローダ荷役量、ブルドーザ荷役量を設定、演算するので、アンローダ荷役時間とブルドーザ荷役時間とをバランスさせて荷役の中断する時間を低減することができ、またアンローダ移動時間やブルドーザ搬出入時間を低減させることで荷役効率を向上することができる。よって荷役コストを低減することができる。
【0047】
また、アンローダの運転方法の違いによる効果を演算することで、ブルドーザの投入台数(ブルドーザ能力)等の荷役計画を改善し、更なる効率向上を達成できる。
また、常に荷役の状態を監視しているので、実運転の状況と演算結果の状況とを比較して再演算することで、演算結果の誤差を低減することができ、ブルドーザの故障等の突発事象に対応することができる。したがって最も効率的な運転方法を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】アンローダ運転方法の演算装置のブロック図である。
【図2】運転方法演算部の処理工程を説明する概略フローである。
【図3】アンローダ運転装置の演算装置の処理工程を説明するフローである。
【図4】荷役条件の具体例を示す表である。
【図5】アンローダの荷役パターンの説明図である。
【図6】船倉替えパターンの検討例を説明する図である。
【図7】船倉形状を求めるための説明図である。
【図8】アンローダ堀削高さと、アンローダおよびブルドーザ荷役量との関係を示す図である。
【図9】運転方法演算結果の説明図である。
【図10】アンローダの説明図である。
【図11】回転羽根形供給機の説明図である。
【図12】船倉替えパターンの一例を示す図である。
【図13】荷役時間と荷役量との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
10………演算装置、12………荷役条件入力部、14………運転方法演算部、16………運転方法表示部、18………運転状態報知部、20………荷役量測定部、22………荷役時間測定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置であって、
荷役条件が入力される荷役条件入力部と、
前記荷役条件入力部から前記荷役条件を取得し、前記荷役条件からアンローダおよびブルドーザの荷役時間を求めて、前記荷役時間と前記アンローダが船倉間を移動する船倉替えパターンとに基づいて、複数の前記船倉を荷役する前記アンローダと前記ブルドーザとの前記荷役時間をバランスさせた前記アンローダの運転方法を演算する運転方法演算部と、
前記運転方法演算部に接続され、前記運転方法演算部の演算結果を出力する運転方法表示部と、
を備えたことを特徴とするアンローダ運転方法の演算装置。
【請求項2】
陸揚げされた前記ばら物の荷役量を測定する手段と、荷役時間を測定する手段とを備え、
前記運転方法演算部は、当該荷役量測定手段および当該荷役時間測定手段の測定結果に基づいて前記アンローダの運転方法を再演算する手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンローダ運転方法の演算装置。
【請求項3】
アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法であって、
前記アンローダが前記船倉間を移動する船倉替えパターンを設定し、
前記各船倉内の前記ばら物を荷役するアンローダ荷役時間と、前記アンローダで取り残した前記ばら物を荷役するブルドーザ荷役時間とを求めて、複数の前記船倉の前記ばら物を荷役していく時の前記アンローダ荷役時間と前記ブルドーザ荷役時間とをバランスさせる、
ことを特徴とするアンローダ運転方法。
【請求項4】
前記船倉替えパターンは、前記アンローダの移動経路を短くするとともに移動回数を小さくし、且つ、船舶の重量バランスを保つパターンであることを特徴とする請求項3に記載のアンローダの運転方法。
【請求項5】
前記船倉替えパターンは、前記船倉の数によって前記アンローダおよび前記ブルドーザの船倉替え作業に伴う前記移動経路を、前記船倉のいずれか1箇所から荷役を開始し、船舶の船首側の前記船倉と、船尾側の前記船倉を一往復する間に荷役する前記船倉の全てを荷役する経路とすることを特徴とする請求項3に記載のアンローダの運転方法。
【請求項1】
アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法の演算装置であって、
荷役条件が入力される荷役条件入力部と、
前記荷役条件入力部から前記荷役条件を取得し、前記荷役条件からアンローダおよびブルドーザの荷役時間を求めて、前記荷役時間と前記アンローダが船倉間を移動する船倉替えパターンとに基づいて、複数の前記船倉を荷役する前記アンローダと前記ブルドーザとの前記荷役時間をバランスさせた前記アンローダの運転方法を演算する運転方法演算部と、
前記運転方法演算部に接続され、前記運転方法演算部の演算結果を出力する運転方法表示部と、
を備えたことを特徴とするアンローダ運転方法の演算装置。
【請求項2】
陸揚げされた前記ばら物の荷役量を測定する手段と、荷役時間を測定する手段とを備え、
前記運転方法演算部は、当該荷役量測定手段および当該荷役時間測定手段の測定結果に基づいて前記アンローダの運転方法を再演算する手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンローダ運転方法の演算装置。
【請求項3】
アンローダおよびブルドーザを用いて複数の船倉内にあるばら物を荷役するアンローダ運転方法であって、
前記アンローダが前記船倉間を移動する船倉替えパターンを設定し、
前記各船倉内の前記ばら物を荷役するアンローダ荷役時間と、前記アンローダで取り残した前記ばら物を荷役するブルドーザ荷役時間とを求めて、複数の前記船倉の前記ばら物を荷役していく時の前記アンローダ荷役時間と前記ブルドーザ荷役時間とをバランスさせる、
ことを特徴とするアンローダ運転方法。
【請求項4】
前記船倉替えパターンは、前記アンローダの移動経路を短くするとともに移動回数を小さくし、且つ、船舶の重量バランスを保つパターンであることを特徴とする請求項3に記載のアンローダの運転方法。
【請求項5】
前記船倉替えパターンは、前記船倉の数によって前記アンローダおよび前記ブルドーザの船倉替え作業に伴う前記移動経路を、前記船倉のいずれか1箇所から荷役を開始し、船舶の船首側の前記船倉と、船尾側の前記船倉を一往復する間に荷役する前記船倉の全てを荷役する経路とすることを特徴とする請求項3に記載のアンローダの運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−282286(P2006−282286A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100389(P2005−100389)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
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