説明

アークスタート良否判定方法

【課題】 アークスタートにおける不良発生の傾向を適切に把握することが可能なアークスタート良否判定方法を提供すること。
【解決手段】 消耗電極ガスシールドアーク溶接におけるアークスタート良否判定方法であって、複数回の溶接において、それぞれのアークスタートにおける良否判定、および不良であった場合の不良の種類判定の結果に基づき、良好なスタートの回数、不良であった場合の各種類の回数を自動的に累積させる。このような構成により、ある溶接条件を設定すると、たとえばティーチペンダントTPの表示によって、その溶接条件においてどのような種類の不良がどのような比率で発生しているかを定量的に把握することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗電極ガスシールドアーク溶接におけるアークスタートの良否の判定方法に関し、特に、溶接電圧・電流波形によってアークスタートの良否を自動判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗電極ガスシールドアーク溶接において、アークスタートは過渡的な現象であり、定常溶接状態と比べて不良な状態が発生しやすい。アークスタートにおいてどのような不良が発生しているか、あるいは良好な状態であるのか、を判定することは適切な溶接を行うのに重要である。特許文献1には、アークスタートの良否の判定方法を自動的に行う方法が開示されている。この判定方法においては、長期短絡の回数、長期アーク切れの回数、溶接電圧移動平均値のバラツキを、あらかじめ定めた基準値と比較することによって良否の判定を行っている。
【0003】
しかしながら、常に適切な溶接を行うには、アークスタートにおける不良な状態を減少させていくことが重要である。しかも、アークスタートにおける不良な状態は、まったく同じ条件で溶接を行ったとしても、毎回発生するとは限らない。特許文献1に開示された良否判定方法においては、ある1回の溶接においてどのような不良が発生するかを把握できるだけである。同じ条件で溶接を繰り返した場合に、他のどのような不良が発生しうるかは把握しえない。このようなことでは、常に適切な溶接を行うための処置を効果的に行うことが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−326361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、アークスタートにおける不良発生の傾向を適切に把握することが可能なアークスタート良否判定方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるアークスタート良否判定方法は、消耗電極ガスシールドアーク溶接におけるアークスタート良否判定方法であって、複数回の溶接において、それぞれのアークスタートにおける良否判定、および不良であった場合の不良の種類判定の結果に基づき、良好なスタートの回数、不良であった場合の各種類の回数を自動的に累積させることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた判定期間中の長期短絡の回数、長期アーク切れの回数、および溶接電圧移動平均値のバラツキ値を算出し、上記長期短絡の回数、長期アーク切れの回数、および溶接電圧移動平均値のバラツキ値によって上記不良の種類判定を行う。
【0008】
本発明のより好ましい実施の形態においては、上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた判定期間中のあらかじめ定めた長期アーク期間判別値よりも長く続く長期アーク期間の発生回数を算出し、上記長期アーク期間の発生回数によっても上記不良の種類判定を行う。
【0009】
本発明のより好ましい実施の形態においては、上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた判定期間中のあらかじめ定めた、上記長期アーク期間判別値よりも短い中期アーク期間判別値よりも長く続く中期アーク期間の発生回数を算出し、上記中期アーク期間の発生回数によっても上記不良の種類判定を行う。
【0010】
本発明のより好ましい実施の形態においては、上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた時間よりも長い時間短絡が続く初期長期短絡発生を検出し、上記初期長期短絡発生によっても上記不良の種類判定を行う。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記不良の発生比率があらかじめ定めた基準比率を超えた場合に、溶接パラメータを自動的に調整する溶接パラメータ自動調整モードを有する。
【0012】
このような構成によれば、溶接を繰り返し行った場合に、そのアークスタートの良否判定結果が自動的に累積される。したがって、溶接を行う者は、ある溶接条件を設定すると、その溶接条件においてどのような種類の不良がどのような比率で発生しているかを定量的に把握することが可能である。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る溶接装置の構成図である。
【図2】本発明に係るアークスタート良否判定方法を示す電圧波形図である。
【図3】本発明に係るアークモニタ装置のブロック図である。
【図4】本発明に係るバラツキ値算出回路のブロック図である。
【図5】本発明に係るアークスタートの良否の判定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る判定記憶装置を示すブロック図である。
【図7】ティーチペンダントにおける表示画面例を示す図である。
【図8】追加の項目を含むアークスタート良否判定方法を説明するための電圧および電流波形図である。
【図9】追加の項目を行うためのアークモニタ装置のブロック図である。
【図10】追加の項目を含むティーチペンダントにおける表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1は、消耗電極ガスシールドアーク溶接装置の一例を示している。本実施形態の溶接装置Aは、溶接電源装置PS、電圧検出器VD、電流検出器ID、アークモニタ装置AM、判定記憶装置JM、溶接トーチ4、および送給ロール5を備えている。
【0017】
溶接トーチ4は、溶接ワイヤ1が挿通されるものであり、溶接ワイヤ1を母材2の溶接個所に導くためのものである。溶接トーチ4は、給電チップ4aを有している。給電チップ4aには、溶接ワイヤ1が摺動する。送給ロール5は、溶接ワイヤ1を送給するものであり、ワイヤ送給モータWMによって駆動される。
【0018】
溶接電源装置PSは、溶接電圧Vwおよび溶接電流Iwを出力する。溶接電源装置PSの+極は、給電チップ4aに接続されており、−極は、母材2に接続されている。これにより、溶接ワイヤ1と母材2との間にアーク3が発生する。また、溶接電源装置PSからは、ワイヤ送給モータWMに対して送給制御信号Fcが送られる。送給制御信号Fcは、溶接ワイヤ1の送給を制御するため信号である。
【0019】
図2は、溶接装置Aによるアークスタートにおいて不良な状態となったときの電圧波形図である。同図(A)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧の移動平均値Vraの時間変化を示す。溶接装置Aにおいては、後述する構成とされたアークモニタ装置AMによって、下記の3つの項目を判定する。
【0020】
(1)長期短絡の回数Ns
同図(A)に示すように、溶接電圧Vwと予め定めた短絡判別値Vt1とを比較して、Vw≦Vt1のときを短絡期間Tsとして判別する。そして、この短絡期間Tsが予め定めた長期短絡判別値Tstよりも長いときを長期短絡として判別する。時刻t1のアークスタート開始時点から予め定めた判定期間Tj中に上記の長期短絡が発生した回数Nsを計数する。判定期間Tjは、アークスタートが定常状態に収束する時間である数s程度に設定する。
【0021】
(2)長期アーク切れの回数Nn
同図(A)に示すように、溶接電圧Vwと予め定めたアーク切れ判別値Vt2とを比較して、Vw≧Vt2のときをアーク切れ期間Tnとして判別する。そして、このアーク切れ期間Tnが予め定めた長期アーク切れ判別値Tntよりも長いときを長期アーク切れとして判別し、上記の判定期間Tj中に長期アーク切れが発生した回数Nnを計数する。
【0022】
(3)溶接電圧移動平均値Vraのバラツキ値Bd
同図(B)に示す溶接電圧移動平均値Vraは、同図(A)に示す溶接電圧Vwの移動平均値を算出したものである。平滑時の時定数に相当する移動平均期間は、判定期間Tj(数s)よりも短く、10ms〜200ms程度に設定する。これは、短絡期間およびアーク期間の不規則性を定量化するためである。すなわち、移動平均期間が長すぎると平滑されて不規則性を判別することができなくなり、逆に移動平均期間が短すぎると不規則でない場合も変動幅が大きいためにやはり不規則性を判別することができなくなる。
【0023】
溶接電圧移動平均値Vraのバラツキ値Bdによって、短絡期間とアーク期間との不規則性を判別することができる。このバラツキ値Bdとして、同図(B)に示すように、溶接電圧移動平均値Vraの最大変動幅Wppを採用することができる。さらには、溶接電圧移動平均値Vraが、予め定めた移動平均値適正範囲Wvr外となる範囲外時間Tvrを判定期間Tj中合算した範囲外時間合算値Stvを採用することもできる。
【0024】
上述した(1)長期短絡の回数Ns、(2)長期アーク切れの回数Nn、および(3)溶接電圧移動平均値Vraのバラツキ値Bdによってアークスタートの良否判定を行うことができる。判定基準は、種々な溶接条件に応じて変化するが、例えば、判定期間Tj=3sにおいてNs≧3かつNn≧2かつWpp≧4Vのときはアークスタートは不良であると判定することができる。
【0025】
このような判定を実現するために、溶接装置Aには以下の構成が適用されている。
【0026】
図1に示すように、電圧検出器VDは、溶接電圧Vwを検出して電圧検出信号Vdを出力する。電流検出器IDは、溶接電流Iwを検出して電流検出信号Idを出力する。
【0027】
アークモニタ装置AMは、図3に示された構成とされている。アークモニタ装置AMには、電圧検出信号Vdおよび電流検出信号Idが入力される。判定期間タイマ回路TJは、電流検出信号Idを入力として、判定期間信号Tjを出力する。判定期間信号Tjは、溶接ワイヤ1が母材2に接触して溶接電流Iwが通電を開始するアークスタート開始時点から予め定めた一定時間だけHighレベルとなる。
【0028】
第1の比較回路CP1は、電圧検出信号Vdと予め定めた短絡判別値Vt1とを比較して、Vd≦Vt1のときにHighレベルとなる短絡期間信号Tsを出力する。第2の比較回路CP2は、短絡期間信号Tsと予め定めた長期短絡判別値Tstとを比較して、Ts≧TstのときにHighレベルとなる長期短絡期間信号LTsを出力する。長期短絡回数計数回路NSは、判定期間信号TjがHighレベルの間に長期短絡期間信号LTsがLowレベルからHighレベルへと変化する回数を計数して長期短絡回数信号Nsを出力する。
【0029】
第3の比較回路CP3は、電圧検出信号Vdと予め定めたアーク切れ判別値Vt2とを比較して、Vd≧Vt2のときにHighレベルとなるアーク切れ期間信号Tnを出力する。第4の比較回路CP4は、アーク切れ期間信号Tnと予め定めた長期アーク切れ判別値Tntとを比較して、Tn≧TntのときにHighレベルとなる長期アーク切れ期間信号LTnを出力する。長期アーク切れ発生回数計数回路NNは、判定期間信号TjがHighレベルの間に上記の長期アーク切れ期間信号LTnがLowレベルからHighレベルへと変化する回数を計数して長期アーク切れ発生回数信号Nnを出力する。
【0030】
溶接電圧移動平均値算出回路VRAは、電圧検出信号Vdを入力として、予め定めた移動平均期間Traによって移動平均値を算出して、溶接電圧移動平均値信号Vraを出力する。バラツキ値算出回路BDは、溶接電圧移動平均値信号Vraを入力として、図2に示した最大変動幅Wpp、範囲外時間合算値Stv等のバラツキ値信号Bdを出力する。
【0031】
アークスタート判定回路ASJは、長期短絡回数信号Ns、長期アーク切れ発生回数信号Nnおよびバラツキ値信号Bdを入力として、予め定めた判定基準に従ってアークスタートの良否判定を行う。
【0032】
図4は、範囲外時間合算値Stvを算出する場合のバラツキ値算出回路BDのブロック図である。第5の比較回路CP5は、溶接電圧移動平均値信号Vraと予め定めた移動平均値適正範囲Wvrとを比較して、範囲外のときはHighレベルとなる範囲外時間信号Tvrを出力する。合算回路SUMは、判定期間信号TjがHighレベルの間の上記の範囲外時間信号Tvrの合算を行い、範囲外時間合算値信号Stvをバラツキ値信号Bdとして出力する。
【0033】
図5は、アークスタート判定回路ASJによるアークスタートの良否の判定処理を示すフローチャートである。同図は、判定処理の一例である。以下、同図を参照して説明する。
【0034】
ステップST1において、長期短絡回数Nsが予め定めた基準回数Nst以上であり、かつ、範囲外時間合算値Stvが予め定めた第1の基準時間Tt1以上で予め定めた第2の基準時間Tt2未満であり、かつ、長期アーク切れ発生回数Nnが予め定めた基準回数Nnt以上であるかを判定して、YESならばステップST2へ進みアークスタートを「やや不良」と判定し、NOならばステップST3へ進む。
【0035】
ステップST3において、範囲外時間合算値Stvが上記の第2の基準時間Tt2以上であるかを判定して、YESならばステップST4に進みアークスタートを「不良」と判定し、NOならば「良好」と判定する。アークスタート判定回路ASJは、判定結果を判定結果信号Asjとして出力する。
【0036】
図6は、溶接装置Aの判定記憶装置JMの構成を示している。判定記憶装置JMは、判定累積回路JA、溶接条件設定回路WC、および溶接パラメータ調整回路TGを有している。
【0037】
溶接条件設定回路WCは、溶接電圧Vw、溶接電流Iw、および溶接速度WVを設定し、これらの情報を溶接条件設定信号Wcとして溶接電源装置PSへと送る。また、溶接条件設定信号Wcは、溶接パラメータ調整回路TG、判定累積回路JAにも送られる。溶接条件設定回路WCは、たとえば溶接トーチ4を保持するロボットの制御装置に内蔵されていてもよい。
【0038】
判定累積回路JAは、アークモニタ装置AMから判定結果信号Asjを受ける。判定結果信号Asjは、判定の対象となった溶接のアークスタートが良好であったか、不良であったか、また不良であった場合その種類が上述した(1)〜(3)のいずれであったかという情報を含んでいる。判定累積回路JAは、正常スタートの回数である正常スタート回数Cr0、長期短絡発生スタート回数Cr1、長期アーク切れ発生スタート回数Cr2、および電圧バラツキ発生スタート回数Cr3を変数として保持している。判定累積回路JAは、判定結果信号Asjに基づき、対象となった溶接のアークスタートが良好であった場合には正常スタート回数Cr0に1を加算し、短絡不良であった場合には長期短絡発生スタート回数Cr1に1を加算し、長期アーク切れ発生スタート不良であった場合には長期アーク切れ発生スタート回数Cr2に1を加算し、電圧バラツキ発生スタート不良であった場合には電圧バラツキ発生スタート回数Cr3に1を加算する。
【0039】
次いで、判定累積回路JAは、累積された正常スタート回数Cr0、長期短絡発生スタート回数Cr1、長期アーク切れ発生スタート回数Cr2、および電圧バラツキ発生スタート回数Cr3を、たとえば判定記憶装置JMに接続されたティーチペンダントTPに送る。この場合、判定累積回路JAは、たとえば溶接トーチ4を保持するロボットの制御装置に内蔵されていてもよい。図7に示すように、ティーチペンダントTPには、判定結果累積画面が表示される。この画面には、正常スタート、長期短絡発生スタート、長期アーク切れ発生スタート、電圧バラツキ発生スタートそれぞれの累積回数が表示される。
【0040】
また、判定累積回路JAは、長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3を保持している。長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3は、使用者によってあらかじめ定められた比率であり、それまでの累積溶接回数に占める各不良項目の比率として許されると思われる大きさである。判定累積回路JAは、正常スタート回数Cr0、長期短絡発生スタート回数Cr1、長期アーク切れ発生スタート回数Cr2、および電圧バラツキ発生スタート回数Cr3から、累積溶接回数における長期短絡発生スタート、長期アーク切れ発生スタート、電圧バラツキ発生スタートのそれぞれの比率を算出する。そして、それぞれの比率が長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3を超えるか否かを判定する。いずれかの比率が、長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3を超える場合、たとえば、図7に示す判定結果累積画面において、該当する項目が強調表示される。この強調表示がなされているときに、使用者が所定のアイコン(図示略)に触れると、該当する項目のアークスタート不良を抑制するためのガイダンスが表示される。なお、所定の累積溶接回数を超えるまでは、長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3との比率比較を行わない構成としてもよい。
【0041】
正常スタート回数Cr0、長期短絡発生スタート回数Cr1、長期アーク切れ発生スタート回数Cr2、および電圧バラツキ発生スタート回数Cr3の累積は、同様あるいは類似と判断された溶接条件のグループごとになされる。たとえば、判定累積回路JAは、溶接電流Iw、溶接電圧Vw、および溶接速度WVの設定値によって定められる溶接条件グループを保持している。溶接電流Iwの設定範囲が0〜400Aである場合、50Aごとに区分される。溶接電圧Vwの設定範囲が10〜50Vである場合、5Vごとに区分される。溶接速度WVの設定範囲が0〜250cm/minである場合、50cm/minごとに区分される。したがって、溶接条件設定回路WCにおいて溶接条件を決定すると、その溶接条件(溶接電流Iw、溶接電圧Vw、溶接速度WV)に該当する溶接条件グループの累積結果がティーチペンダントTPに表示される。
【0042】
さらに、判定累積回路JAは、長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3との比率比較結果を判定累積信号Jaとして溶接パラメータ調整回路TGに送る。
【0043】
溶接パラメータ調整回路TGには、溶接条件設定信号Wcと判定累積信号Jaとが入力される。溶接パラメータ調整回路TGは、長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、および電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3を超える比率の項目があった場合、溶接電源装置PSに対して溶接パラメータ調整信号Tgを送る。この溶接パラメータ調整信号Tgが送られると、溶接装置Aは、溶接パラメータ自動調整モードをとる。
【0044】
溶接パラメータ自動調整モードについて、長期短絡発生スタート回数Cr1が比較的多いために、長期短絡発生スタートの比率が長期短絡発生スタート基準比率Cs1を超えた場合を例に説明する。長期短絡発生スタートの不良が発生する原因としては、アーク中に成長した溶滴が短絡した時の短絡電流の増加の割合が小さいことが挙げられる。短絡電流の増加の割合が小さいと、短絡した溶滴に対するピンチ力が不足し、溶滴が母材2から離れない。これにより、アークの再点弧が遅れてしまう。この短絡時間が長くなると、溶接ワイヤ1が溶融池に突っ込んでしまうなど溶融バランスを崩す原因となる。このため、長期短絡発生スタートの不良を抑制するには、短絡電流の増加割合を大きくすることが有効である。そのための方策としては、電子リアクトル値を少なくすることが有効であることが、発明者らの試験によって判明している。
【0045】
したがって、溶接パラメータ調整回路TGからは、溶接電源装置PSに対して電子リアクトル値を一定割合で小さくするように、溶接パラメータ調整信号Tgによって指示がなされる。この指示によって溶接電源装置PSにおいては、電子リアクトル値が一定割合で小さく設定される。この状態のパラメータで、その後の溶接を繰り返し実施する。その結果、長期短絡発生スタートの比率が長期短絡発生スタート基準比率Cs1を超えない状態となれば、溶接パラメータ自動調整モードは完了する。一方、長期短絡発生スタートの比率が長期短絡発生スタート基準比率Cs1を超える状態が継続していると、溶接パラメータ調整回路TGは、さらに電子リアクトル値を小さくするよう、溶接電源装置PSに対して指示を送る。この繰り返しによって、長期短絡発生スタート回数Cr1が抑制される。
【0046】
溶接パラメータの調整は、溶接パラメータ自動調整モードによる場合のほか、使用者の判断によってマニュアル操作で行われてもよい。たとえば、長期短絡発生スタートの比率は長期短絡発生スタート基準比率Cs1を超えていないが、長期短絡発生スタート回数Cr1が相対的に多い場合、使用者の判断により、たとえば電子リアクトル値の調整がなされる。
【0047】
次に、本実施形態のアークスタート良否判定方法の作用について説明する。
【0048】
本実施形態によれば、溶接を繰り返し行った場合に、そのアークスタートの良否判定結果が自動的に累積される。この溶接の繰り返しは、アークスタートの良否判定を主目的としたテスト溶接でもよいし、実際の溶接であってもよい。どのような溶接が行われたとしても、溶接電流Iw、溶接電圧Vw、溶接速度WVなどの溶接条件ごとに区分されて、アークスタートの良否判定結果が累積される。したがって、溶接装置Aの使用者は、ある溶接条件を設定すると、ティーチペンダントTPの表示によって、その溶接条件においてどのような種類の不良がどのような比率で発生しているかを定量的に把握することが可能である。
【0049】
溶接パラメータ自動調整モードによれば、その時に高い頻度で生じているアークスタートの不良が、自動的に抑制されうる。この調整作業は、使用者の熟練度には左右されない。上述した例は、長期短絡発生スタートの比率が高い場合に電子リアクトル値を小さくするものであるが、本発明における溶接パラメータ自動調整モードにおいては、さまざまなアークスタートの不良に対して想定される溶接パラメータの調整を適宜設定することができる。
【0050】
以下、溶接装置Aにおいてさらに追加の項目についてアークスタート良否判定方法を行う場合について説明を行う。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0051】
図8は、溶接装置Aによるアークスタートにおける電圧波形図および電流波形図である。同図(A)は溶接電圧Vwの時間変化を簡略に示すものであり、同図(B)は溶接電流Iwの時間変化を示している。アークモニタ装置AMは、上述した(1)〜(3)の項目に加え、下記の3つの項目を判定する。
【0052】
(4)長期アーク発生回数Na1
図8(A)に示すように、溶接電圧Vwが短絡判別値Vt1とアーク切れ判別値Vt2の間にある期間をアーク期間Taとして判別する。そして、このアーク期間Taが予め定めた長期アーク期間判別値Tat1よりも長いときを長期アークとして判別する。上述の判定期間Tj中に上記の長期アークが発生した回数Na1を計数する。
【0053】
(5)中期アーク発生回数Na2
上記のアーク期間Taが予め定めた長期アーク期間判別値Tat1よりも短く、中期アーク期間判別値Tat2よりも長いときを中期アークとして判別する。上述の判定期間Tj中に上記の中期アークが発生した回数Na2を計数する。
【0054】
(6)初期長期短絡発生Ss
図8(B)に示すように、溶接電流Iwが通電を開始した直後に生じる短絡期間を初期短絡期間Tssと判別する。この初期短絡期間Tssが予め定めた初期短絡期間判別値Tss1よりも長いときを初期長期短絡発生Ssとして判別する。
【0055】
アーク期間Taが長い場合には、溶接ビードの外観の不良等の溶接欠陥が発生する可能性が高くなるため、不良とすることが品質管理上望ましい場合がある。そのような場合、上述したアークスタート良否判定方法に(4)長期アーク発生回数Na1および(5)中期アーク発生回数Na2の項目を加える。
【0056】
初期短絡期間Tssが長い場合、溶接スタート時点からアーク3が点弧せずに短絡が継続し、ビート始端部に欠損が生じるという問題が生じている可能性が高くなる。一方、短絡期間Tsが長期化した場合にはビードが細くなる傾向が見られるため、初期短絡期間Tssが長い場合には短絡期間Tsが長い場合と分けて判定するほうが望ましい場合がある。このような場合、上述したアークスタート良否判定方法に(6)初期長期短絡発生Ssの項目を加える。
【0057】
上述した(1)〜(3)の項目だけではなく、(4)長期アーク発生回数Na1、(5)中期アーク発生回数Na2、および(6)初期長期短絡発生Ssを加えることにより、より精密なアークスタート良否判定を行うことができる。たとえば、長期短絡判別値Tstを10msとしてときに、アーク期間Taが80msとなり、直後の短絡期間3msとなったとする。この場合、アーク期間Taが長すぎ、溶接ビードの外観不良が生じる可能性が高いが、(1)〜(3)の項目だけで判定を行った場合には不良と判断されない。長期アーク期間判別値Tat1を60ms、中期アーク期間判別値Tat2を40msとして(4)長期アーク発生回数Na1および(5)中期アーク発生回数Na2を判定項目に加えることでこの場合も不良として検出することができる。
【0058】
このような判定を実現するために、アークモニタ装置AMは図9に示された構成とされている。アークモニタ装置AMには、電圧検出信号Vdおよび電流検出信号Idが入力される。
【0059】
アーク期間判定回路TAは、短絡期間信号Tsおよびアーク切れ期間信号Tnを入力とし、双方がLowレベルである間だけHighレベルとなるアーク期間信号Taを出力する。第6の比較回路CP6では、アーク期間信号Taを受信してアーク期間信号TaがHighレベルである時間を計測する。その計測時間が予め定められた長期アーク期間判別値Tat1を超えてからアーク期間信号TaがLowレベルに切り替わるまでの間、第6の比較回路CP6はHighレベルとなる長期アーク信号LTa1を出力する。長期アーク発生回数計数回路NA1は、判定期間信号TjがHighレベルの間に長期アーク信号LTa1がLowレベルからHighレベルへと変化する回数を計数して長期アーク発生回数信号Na1を出力する。
【0060】
第7の比較回路CP7では、アーク期間信号Taを受信してアーク期間信号TaがHighレベルである時間を計測する。その計測時間が予め定められた中期アーク期間判別値Tat2を超えてからアーク期間信号Taが切り替わるまでの間、第7の比較回路CP7はHighレベルとなる中期アーク信号LTa2を出力する。中期アーク発生回数計数回路NA2は、判定期間信号TjがHighレベルの間に中期アーク信号LTa2がLowレベルからHighレベルへと変化する回数を計数する。さらに、中期アーク発生回数計数回路NA2は、長期アーク発生回数信号Na1を受信し、計数した回数から長期アーク発生回数を引いた値を算出して中期アーク発生回数信号Na2を出力する。
【0061】
初期長期短絡検出回路SSは、判定期間信号TjがHighレベルとなってから電流検出信号Idが減少に転じるまでの初期短絡期間Tssが予め定めた初期短絡期間判別値Tss1を超えたときにHighレベルとなる初期長期短絡発生信号Ssを出力する。初期長期短絡発生信号Ssは、判定期間信号TjがLowレベルとなったときにはLowレベルに切り替わる。
【0062】
アークスタート判定回路ASJは、長期短絡回数信号Ns、長期アーク切れ発生回数信号Nnおよびバラツキ値信号Bdに加えて、長期アーク発生回数信号Na1、中期アーク発生回数信号Na2および初期長期短絡発生信号Ssを入力として、予め定めた判定基準に従ってアークスタートの良否判定を行う。
【0063】
なお、Tst≧Tss1の条件下において図5における処理を行うと、長期短絡回数Nsのうちに初期短絡期間Tssが含まれることになる。初期長期短発生信号SsがHighレベルの場合に長期短絡回数Nsから1引いた回数を用いて予め定めた基準回数Nstとの比較を行うようにすることでより厳格な良否判定を行うことができる。
【0064】
アークスタート判定回路ASJは、初期長期短絡発生信号SsがHighレベルとなったときには、「不良」と判定する。長期アーク発生回数Na1が予め定めた基準回数以上である場合にも「不良」と判定する。長期アーク発生回数Na1が予め定めた基準回数以下であり、中期アーク発生回数が予め定めた基準回数以上である場合には「やや不良」と判定する。
【0065】
判定累積回路JAは、上述の構成に加えて、長期アーク発生スタート回数Cr4、中期アーク発生スタート回数Cr5、および初期長期短絡発生スタート回数Cr6を変数として保持するものとする。判定累積回路JAは、判定結果信号Asjに基づき、対象となった溶接のアークスタートが良好であった場合には正常スタート回数Cr0に1を加算し、長期アーク発生による不良であった場合には長期アーク発生スタート回数Cr4に1を加算し、中期アーク発生によるスタート不良であった場合には中期アーク発生スタート回数Cr5に1を加算し、初期長期短絡発生による不良であった場合には初期長期短絡発生スタート回数Cr6に1を加算する。
【0066】
次いで、判定累積回路JAは、累積された長期アーク発生スタート回数Cr4、中期アーク発生スタート回数Cr5、および初期長期短絡発生スタート回数Cr6もティーチペンダントTPに送る。図10に示すように、ティーチペンダントTPが表示する判定結果累積画面にこれらの回数も表示されることになる。
【0067】
また、判定累積回路JAは、長期アーク発生スタート基準比率Cs4、中期アーク発生スタート基準比率Cs5、および初期長期短絡発生スタート基準比率Cs6をさらに保持している。長期アーク発生スタート基準比率Cs4、中期アーク発生スタート基準比率Cs5、および初期長期短絡発生スタート基準比率Cs6は、使用者によってあらかじめ定められた比率であり、それまでの累積溶接回数に占める各不良項目の比率として許されると思われる大きさである。判定累積回路JAは、正常スタート回数Cr0、長期短絡発生スタート回数Cr1、長期アーク切れ発生スタート回数Cr2、電圧バラツキ発生スタート回数Cr3、長期アーク発生スタート基準回数Cr4、中期アーク発生スタート基準回数Cr5、および初期長期短絡発生スタート基準回数Cr6から、累積溶接回数における長期短絡発生スタート、長期アーク切れ発生スタート、電圧バラツキ発生スタート、長期アーク発生スタート、中期アーク発生スタート、初期長期短絡発生スタートのそれぞれの比率を算出する。そして、それぞれの比率が長期短絡発生スタート基準比率Cs1、長期アーク切れ発生スタート基準比率Cs2、電圧バラツキ発生スタート基準比率Cs3、長期アーク発生スタート基準比率Cs4、中期アーク発生スタート基準比率Cs5、および初期長期短絡発生スタート基準比率Cs6を超えるか否かを判定する。長期アーク発生スタート、中期アーク発生スタート、初期長期短絡発生スタートのいずれかの比率が長期アーク発生スタート基準比率Cs4、中期アーク発生スタート基準比率Cs5、および初期長期短絡発生スタート基準比率Cs6を超える場合、ティーチペンダントTPが表示する判定結果累積画面において、該当する項目が強調表示される。この強調表示がなされているときに、使用者が所定のアイコン(図示略)に触れると、該当する項目のアークスタート不良を抑制するためのガイダンスが表示される。これらの項目においても、所定の累積溶接回数を超えるまでは、長期アーク発生スタート基準比率Cs4、中期アーク発生スタート基準比率Cs5、および初期長期短絡発生スタート基準比率Cs6との比率比較を行わない構成としてもよい。
【0068】
長期アーク発生スタート回数Cr4、中期アーク発生スタート回数Cr5、および初期長期短絡発生スタート回数Cr6の累積も、同様あるいは類似と判断された溶接条件のグループごとになされる。さらに、判定累積回路JAは、長期アーク発生スタート基準比率Cs4、中期アーク発生スタート基準比率Cs5、および初期長期短絡発生スタート基準比率Cs6との比率比較結果も判定累積信号Jaに加えて溶接パラメータ調整回路TGに送る。
【0069】
本発明に係るアークスタート良否判定方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0070】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
5a 給電チップ
A 溶接装置
AJ 溶接状態判定回路
AM アークモニタ装置
ASJ アークスタート判定回路
Asj 判定結果信号
BD バラツキ値算出回路
Bd 溶接電圧移動平均値Vraのバラツキ値(信号)
CP1 第1の比較回路
CP2 第2の比較回路
CP3 第3の比較回路
CP4 第4の比較回路
CP5 第5の比較回路
CP6 第6の比較回路
CP7 第7の比較回路
Cr0 正常スタート回数
Cr1 長期短絡発生スタート回数
Cr2 長期アーク切れ発生スタート回数
Cr3 電圧バラツキ発生スタート回数
Cr4 長期アーク発生スタート回数
Cr5 中期アーク発生スタート回数
Cr6 初期長期短絡発生スタート回数
Cs1 長期短絡発生スタート基準比率
Cs2 長期アーク切れ発生スタート基準比率
Cs3 電圧バラツキ発生スタート基準比率
Cs4 長期アーク発生スタート基準比率
Cs5 中期アーク発生スタート基準比率
Cs6 初期長期短絡発生スタート基準比率
Fc 送給制御信号
ID 電流検出器
Id 電流検出信号
Iw 溶接電流
JA 判定累積回路
Ja 判定累積信号
JM 判定記憶装置
LTn 長期アーク切れ期間信号
LTs 長期短絡期間信号
LTa1 長期アーク信号
LTa2 中期アーク信号
NN 長期アーク切れ発生回数計数回路
Nn 長期アーク切れ発生回数(信号)
Nnt、Nst 基準回数
NS 長期短絡回数計数回路
Ns 長期短絡回数(信号)
NA1 長期アーク発生回数計数回路
NA2 中期アーク発生回数計数回路
Na1 長期アーク発生回数(信号)
Na2 中期アーク発生回数(信号)
PS 溶接電源装置
ST1〜5 ステップ
SUM 合算回路
Stv 範囲外時間合算値(信号)
SS 初期長期短絡検出回路
Ss 初期長期短絡発生(信号)
TA アーク期間判定回路
Ta アーク期間(信号)
TG 溶接パラメータ調整回路
Tg 溶接パラメータ調整信号
TJ 判定期間タイマ回路
Tj 判定期間(信号)
Tn アーク切れ期間(信号)
Tnt 長期アーク切れ判別値
Tra 移動平均期間
Ts 短絡期間(信号)
Tst 長期短絡判別値
Tt1 第1の基準時間
Tt2 第2の基準時間
Tvr 範囲外時間(信号)
Tat1 長期アーク期間判別値
Tat2 中期アーク期間判別値
Tss 初期短絡期間(信号)
Tss1 初期短絡期間判別値
VD 電圧検出器
Vd 電圧検出信号
VRA 溶接電圧移動平均値算出回路
Vra 溶接電圧移動平均値(信号)
Vt1 短絡判別値
Vt2 アーク切れ判別値
Vw 溶接電圧
WC 溶接条件設定回路
Wc 溶接条件設定信号
Wi 電流適正範囲
WM ワイヤ送給モータ
Wpp 溶接電圧移動平均値の最大変動幅
WV 溶接速度
Wv 電圧適正範囲
Wvr 移動平均値適正範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗電極ガスシールドアーク溶接におけるアークスタート良否判定方法であって、
複数回の溶接において、それぞれのアークスタートにおける良否判定、および不良であった場合の不良の種類判定の結果に基づき、良好なスタートの回数、不良であった場合の各種類の回数を自動的に累積させることを特徴とする、アークスタートの良否判定方法。
【請求項2】
上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた判定期間中の長期短絡の回数、長期アーク切れの回数、および溶接電圧移動平均値のバラツキ値を算出し、上記長期短絡の回数、長期アーク切れの回数、および溶接電圧移動平均値のバラツキ値によって上記不良の種類判定を行う、請求項1に記載のアークスタートの良否判定方法。
【請求項3】
上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた判定期間中のあらかじめ定めた長期アーク期間判別値よりも長く続く長期アーク期間の発生回数を算出し、上記長期アーク期間の発生回数によっても上記不良の種類判定を行う、請求項2に記載のアークスタートの良否判定方法。
【請求項4】
上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた判定期間中のあらかじめ定めた、上記長期アーク期間判別値よりも短い中期アーク期間判別値よりも長く続く中期アーク期間の発生回数を算出し、上記中期アーク期間の発生回数によっても上記不良の種類判定を行う、請求項3に記載のアークスタートの良否判定方法。
【請求項5】
上記不良の種類判定においては、アークスタート開始時点からあらかじめ定めた時間よりも長い時間短絡が続く初期長期短絡発生を検出し、上記初期長期短絡発生によっても上記不良の種類判定を行う、請求項2ないし4のいずれかに記載のアークスタートの良否判定方法。
【請求項6】
上記不良の発生比率があらかじめ定めた基準比率を超えた場合に、溶接パラメータを自動的に調整する溶接パラメータ自動調整モードを有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のアークスタートの良否判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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