説明

アース装置

【課題】アース対象物がアースされていることを確実に検知することができるアース装置を提供すること。
【解決手段】
アース側配線4と、スイッチ24およびLED25が接続される検知側配線5とを、常には導通されていない状態で備え、アース側配線4および検知側配線5の一端部に設けられている装着側クリップ2を容器Cに装着し、スイッチ24のONにより、アース側配線4と検知側配線5とを導通させ、検知側配線5から、容器C、アース側配線4を順次介してアース側クリップ3へ至る直列回路を形成する。
そして、検知側配線5の導通を、スイッチ24のONに基づくLED25の点灯によって検知することによって、容器Cがアース側配線4によりアースされていることを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アース対象物をアースするためのアース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性の有機溶剤を貯蔵するための容器や、高電圧が印加される装置には、帯電を防止し、除電するためのアース装置が接続される場合がある。
アースによって、例えば、有機溶剤を扱うときに、容器が帯電して静電気が発生し、有機溶剤に引火することや、例えば、高電圧が印加される装置を除電して、感電を防止することができる。
【0003】
このようなアース装置として、例えば、アース線を介して接地される接地棒と、絶縁物を介して接地棒に連結されるとともに、リード線を介して接地される補助電極と、リード線の途中に設けられる表示灯とを備え、接地棒とともに補助電極も高電圧ボックスに当接させて、電源から、表示灯、リード線、補助電極、高電圧ボックス、接地棒、アース線、大地電位部を介して電源に戻る閉ループを形成することにより、表示灯を点灯させる接地装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この接地装置によれば、高電圧ボックスが接地棒により接地されていないと、表示灯が消灯する。そのため、高電圧ボックスが接地棒により接地されていることを、容易に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−219226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1に記載の接地装置では、高電圧ボックスが接地棒により接地されていることを確認するためには、接地棒と補助電極との両方が高電圧ボックスに当接している必要があるところ、接地棒と補助電極とは、間隔を隔てて平行に配置されている。
そのため、障害物の干渉などにより、高電圧ボックスに、接地棒および補助電極のいずれか一方のみが当接し、他方が当接しない場合を生じる。すると、例えば、高電圧ボックスに、接地棒が当接し、補助電極が当接しない場合には、接地棒により高電圧ボックスが接地されているにもかかわらず、表示灯が消灯してしまい、高電圧ボックスが接地棒により接地されていることを確認できないという不具合を生じる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、アース対象物がアースされていることを確実に検知することができるアース装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のアース装置は、アース対象物をアースするためのアース装置であって、アース側配線と、前記アース側配線に対して常には導通されていない検知側配線と、前記アース側配線および前記検知側配線の一端部に設けられ、前記アース対象物に装着されることにより、前記アース側配線と前記検知側配線とを導通させる装着部材と、前記アース側配線および前記検知側配線の他端部に設けられ、アースのためのアース部材と、前記検知側配線に接続され、前記検知側配線の導通を検知する検知手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
このアース装置は、アース側配線と、検知手段を備える検知側配線とを、常には導通されていない状態で備えており、アース側配線と検知側配線とは、アース側配線および検知側配線の一端部に設けられている装着部材がアース対象物に装着されることにより、導通される。また、アース側配線および検知側配線の他端部には、アース部材が設けられている。
【0010】
そのため、装着部材がアース対象物に装着されることにより、アース対象物と、アース側配線および検知側配線との導通が確保される。
これにより、検知側配線から、アース対象物、アース側配線を順次介してアース部材へ至る直列回路が形成され、検知側配線の導通を検知手段によって検知することによって、アース対象物がアース側配線によりアースされていることを、確実に、検知することができる。
【0011】
また、本発明のアース装置では、前記装着部材は、前記アース側配線の一端部に接続される第1通電部材と、前記第1通電部材に対して間隔を隔てて対向配置されるように前記検知側配線の一端部に接続され、前記装着部材が前記アース対象物に装着されたときに、前記第1通電部材と導通される第2通電部材と、前記第1通電部材と前記第2通電部材との間を常には絶縁する絶縁部材とを備え、前記第1通電部材と前記第2通電部材との間に前記アース対象物を挟むように装着することにより、前記アース対象物に対して位置固定されることが好適である。
【0012】
このアース装置では、装着部材は、第1通電部材と第2通電部材との間にアース対象物を挟むように装着することにより、アース対象物に対して位置固定される。
そのため、装着部材をアース対象物に装着したときには、アース対象物のほぼ同じ部位の両側において、第1通電部材と第2通電部材とを位置固定することができる。
しかも、第1通電部材と第2通電部材との間は、常には、絶縁部材により絶縁されている。
【0013】
そのため、装着部材がアース対象物に装着されたときには、確実に、アース対象物を介して第1通電部材と第2通電部材とが導通される。
その結果、アース対象物がアース側配線によりアースされていることを、より確実に、検知することができる。
また、本発明のアース装置では、前記第1通電部材は、前記アース対象物を一方側から挟む第1挟持部材であり、前記第2通電部材は、前記アース対象物を他方側から挟む第2挟持部材であり、前記絶縁部材は、前記第1挟持部材および前記第2挟持部材を同軸上で回転自在に支持する支持部材であることが好適である。
【0014】
このアース装置では、第1挟持部材により、アース対象物を一方側から挟み、第2挟持部材により、アース対象物を他方側から挟むことができる。
そのため、確実に、アース対象物を第1挟持部材と第2挟持部材との間に挟むことができる。
また、本発明のアース装置では、前記検知手段は、前記検知側配線の導通を検知したときに点灯する表示灯を備えることが好適である。
【0015】
このアース装置では、検知手段が検知側配線の導通を検知したことを、表示灯の点灯により確認することができる。
また、本発明のアース装置では、前記検知手段は、前記検知側配線の導通を検知したときに検知音を発生する検知音発生装置を備えることが好適である。
このアース装置では、検知手段が検知側配線の導通を検知したことを、検知音発生装置からの検知音により確認することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアース装置によれば、アース対象物がアース側配線によりアースされていることを、確実に、検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のアース装置の一例としてのアース線を示す概略構成図である。
【図2】図1に示すアース線の装着側クリップの拡大図である。
【図3】図1に示すアース線のアース側クリップの拡大図である。
【図4】図1に示すアース線によるアースを説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明のアース装置の一例としてのアース線を示す概略構成図である。図2は、図1に示すアース線の装着側クリップの拡大図である。図3は、図1に示すアース線のアース側クリップの拡大図である。
アース線1は、図1に示すように、揮発性の有機溶剤などを収容するための金属製の容器Cなどをアースするためのケーブルであり、一方側端部(一端部。以下同じ。)がアース対象物の一例としての容器Cに接続され、他方側端部(他端部。以下同じ。)が鉄柱などのアース電位部材Eに接続される。
【0019】
アース線1は、装着部材の一例としての装着側クリップ2と、アース部材の一例としてのアース側クリップ3と、アース側配線4と、検知側配線5とを備えている。
装着側クリップ2は、アース線1の一端部に設けられている。
装着側クリップ2は、図2に示すように、第1通電部材としての第1挟持部材11と、第1挟持部材11に対して間隔を隔てて対向配置される第2通電部材としての第2挟持部材12と、絶縁部材の一例としての支持部材13とを備えている。
【0020】
第1挟持部材11は、金属などの導電性材料から、長手方向(一方および他方に延びる方向。以下同じ)に延びる杆状(断面略U字形状)に形成されている。また、第1挟持部材11の長手方向一端部には、対向方向(第1挟持部材11と第2挟持部材12との対向方向。以下同じ。)内面において、鋸歯状の滑り止め部18が形成されている。
第2挟持部材12は、金属などの導電性材料から、長手方向に延び、第1挟持部材11よりも短い杆状(断面略U字形状)に形成されている。また、第2挟持部材12の長手方向一端部には、対向方向内面において、鋸歯状の滑り止め部18が形成されている。
【0021】
支持部材13は、第1支持部材14および第2支持部材15を備えている。
第1支持部材14は、絶縁性の樹脂からなり、第1被覆部16と、第1連結部17とを一体的に備えている。
第1被覆部16は、長手方向に沿って延びる略筒形状に形成され、内部に第1挟持部材11の長手方向他端部が挿通されている。これにより、第1挟持部材11の長手方向他端部は、第1被覆部16によって被覆されている。
【0022】
第1連結部17は、頂部が湾曲された略三角形の平板形状に形成され、第1被覆部16の対向方向内面から、対向方向内側に向かって突出している。また、第1連結部17には、幅方向(長手方向および対向方向の両方と直交する方向。以下同じ。)に沿って、貫通穴19が貫通形成されている。
第2支持部材15は、第1支持部材14と同様に、絶縁性の樹脂からなり、第2被覆部20と、第2連結部21とを一体的に備えている。
【0023】
第2被覆部20は、長手方向に沿って延びる略筒形状に形成されている。また、第2被覆部20の長手方向一端部には、第2挟持部材12の長手方向他端部が挿入されている。これにより、第2挟持部材11の長手方向他端部は、第2被覆部20によって被覆されている。
第2連結部21は、第1連結部17と同様に、頂部が湾曲された略三角形の平板形状に形成され、第2被覆部20の対向方向内面から対向方向内側に向かって突出している。また、第2連結部21には、幅方向に沿って、貫通穴19が貫通形成されている。
【0024】
また、第2被覆部20内には、スイッチ電極22、スイッチ24、および、表示灯の一例としてのLED25が設けられている。
スイッチ電極22は、第2挟持部材12と同様の材料から、第2挟持部材12よりも短い杆状に形成されている。また、スイッチ電極22は、その長手方向一端部が第2被覆部20の長手方向他端部に被覆されるとともに、その長手方向他端部が第2被覆部20の長手方向他端部から露出されるように、長手方向において第2挟持部材12と間隔を隔てて、第2被覆部20の長手方向他端部に挿入されている。
【0025】
スイッチ24は、金属などの導電性部材からなり、対向方向に進退可能な略円筒形状の押しボタンスイッチであり、図示しないばねなどの付勢部材などにより付勢されて、常には、第2連結部21の反対側に向かって第2被覆部20から突出(進出)するように、設けられている。また、スイッチ24は、対向方向において、第2挟持部材12の長手方向他端部、および、スイッチ電極22の長手方向一端部と対向するように、第2被覆部20の長手方向他端部に配置されている。
【0026】
スイッチ24は、図示しない付勢部材の付勢力に抗して第2被覆部20に向かって押圧されることにより、第2被覆部20内に退避される(ON状態)。すると、スイッチ24が、第2挟持部材12の長手方向他端部、および、スイッチ電極22の長手方向一端部と接触し、第2挟持部材12およびスイッチ電極22が、スイッチ24を介して互いに電気的に接続される。
【0027】
また、スイッチ24は、第2被覆部20に向かう押圧を解除されると、図示しない付勢部材の付勢力により、第2被覆部20内から進出される(OFF状態)。すると、スイッチ24が、第2挟持部材12の長手方向他端部、および、スイッチ電極22の長手方向一端部から離間し、第2挟持部材12およびスイッチ電極22の電気的な接続が解除される。
【0028】
LED25は、対向方向において、第2挟持部材12の長手方向他端部と対向するように配置され、第2挟持部材12の長手方向他端部と、電気的に接続されている。LED25は、スイッチ24とともに検知手段を構成する。
そして、第1被覆部16と第2被覆部20とは、幅方向に投影したときに第1連結部17および第2連結部21の各貫通穴19が重なるように、両第1連結部17および両第2連結部21を重ねて、組み合わされている。
【0029】
そして、各貫通穴19には、回動軸23が、幅方向に沿って相対回転自在に挿通されている。これにより、第1挟持部材11および第2挟持部材12は、ともに、回動軸23を支点として、回転自在に支持されている。また、第1被覆部16および第2被覆部20は、図示しないばねなどの付勢部材により、第1挟持部材11および第2挟持部材12の一端部が互いに近接するように付勢されている。
【0030】
なお、第1挟持部材11および第2挟持部材12は、図示しないストッパにより、それらの一端部が互いにわずかに間隔を隔てて対向するように、規制されている。これにより、第1挟持部材11の一端部と、第2挟持部材12の一端部との間は、常には絶縁されている。
また、第1挟持部材11の他端部と、第2挟持部材12の他端部との間は、支持部材13によって絶縁されている。
【0031】
すなわち、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間は、常には、支持部材13によって絶縁されている。そして、第1挟持部材11の一端部と、第2挟持部材12の一端部との間に、上記わずかな間隔より厚い導体が挟まれたときに、第1挟持部材11と第2挟持部材12とが導通される。
装着側クリップ2では、第1挟持部材11および第2挟持部材12の他端部を、図示しない付勢部材の付勢力に抗して対向方向内側に向かって押圧すると、第1挟持部材11および第2挟持部材12が回動軸23を支点に回動されて、第1挟持部材11および第2挟持部材12の一端部が互いに離間される。
【0032】
また、第1挟持部材11および第2挟持部材12の他端部への押圧を解除すると、図示しない付勢部材の付勢力により、第1挟持部材11および第2挟持部材12が回動軸23を支点に回動されて、第1挟持部材11および第2挟持部材12の一端部が互いに近接される。
アース側クリップ3は、アース線1の他端部に設けられている(図1参照)。
【0033】
アース側クリップ3は、図3に示すように、第1挟持部材31と、第1挟持部材31に対して間隔を隔てて対向配置される第2挟持部材32と、支持部材33とを備えている。
第1挟持部材31および第2挟持部材32は、第1挟持部材11と同様に、金属などの導電性材料から、長手方向に延びる杆状(断面視略U字形状)に形成されている。また、第1挟持部材31および第2挟持部材32の長手方向他端部には、それらの対向方向内面において、鋸歯状の滑り止め部38が形成されている。
【0034】
支持部材33は、第1支持部材34および第2支持部材35を備えている。
第1支持部材34および第2支持部材35は、それぞれ、絶縁性の樹脂からなり、被覆部36と、連結部37とを一体的に備えている。
被覆部36は、長手方向に沿って延びる略筒形状に形成され、内部に第1挟持部材31または第2挟持部材32の一端部が挿通されている。これにより、第1挟持部材31または第2挟持部材32の一端部は、被覆部36によって被覆されている。
【0035】
連結部37は、頂部が湾曲された略三角形の平板形状に形成され、被覆部36の対向方向内面から、対向方向内側に向かって突出している。また、連結部37には、幅方向に沿って、貫通穴39が貫通形成されている。
そして、第1支持部材34および第2支持部材35は、幅方向に投影したときに各貫通穴39が重なるように、各連結部37を重ねて組み合わされている。
【0036】
そして、各貫通穴39には、回動軸40が、幅方向に沿って相対回転自在に挿通されている。これにより、第1挟持部材31および第2挟持部材32は、ともに、回動軸40を支点として、回転自在に支持されている。また、両被覆部36は、図示しないばねなどの付勢部材により、第1挟持部材31および第2挟持部材32の他端部が互いに近接するように付勢されている。
【0037】
なお、第1挟持部材31および第2挟持部材32は、図示しないストッパにより、それらの他端部が互いにわずかに間隔を隔てて対向するように、規制されている。これにより、第1挟持部材31の他端部と、第2挟持部材32の他端部との間は、絶縁されている。
また、第1挟持部材31の一端部と、第2挟持部材32の一端部との間は、支持部材33によって絶縁されている。
【0038】
すなわち、第1挟持部材31と第2挟持部材32との間は、常には、支持部材33によって絶縁されている。そして、第1挟持部材31の他端部と、第2挟持部材32の他端部との間に、上記わずかな間隔より厚い導体が挟まれたときに、第1挟持部材31と第2挟持部材32とが導通される。
アース側クリップ3では、第1挟持部材31および第2挟持部材32の一端部を、図示しない付勢部材の付勢力に抗して対向方向内側に向かって押圧すると、第1挟持部材31および第2挟持部材32が回動軸40を支点に回動されて、第1挟持部材31および第2挟持部材32の他端部が互いに離間される。
【0039】
また、第1挟持部材31および第2挟持部材32の一端部への押圧を解除すると、図示しない付勢部材の付勢力により、第1挟持部材31および第2挟持部材32が回動軸40を支点に回動されて、第1挟持部材31および第2挟持部材32の他端部が互いに近接される。
アース側配線4は、長尺な導線であり、銅などの金属からなるワイヤーを、樹脂などの絶縁体により被覆することによって形成されている。
【0040】
アース側配線4は、一端部が、装着側クリップ2の第1挟持部材11の長手方向他端部に接続されており、他端部が、アース側クリップ3の第1挟持部材31の長手方向一端部に接続されている。
検知側配線5は、アース側配線4と同様の長尺な導線であり、銅などの金属からなるワイヤーを、樹脂などの絶縁体により被覆することによって形成されている。
【0041】
検知側配線5は、一端部が、装着側クリップ2の第2挟持部材12の長手方向他端部に接続されており、他端部が、アース側クリップ3の第2挟持部材32の長手方向一端部に接続されている。また、検知側配線5の途中には、LED25の電源としての電池41が設けられている。
そして、アース線1の使用状態においては、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間に容器Cの一部を挟むように、装着側クリップ2が容器Cに装着されている。すなわち、第1挟持部材11は、容器Cを対向方向一方側から挟み、第2挟持部材12は、容器Cを対向方向他方側から挟んでいる。
【0042】
また、第1挟持部材31と第2挟持部材32との間にアース電位部材Eの一部を挟むように、アース側クリップ3がアース電位部材Eに装着されている。
これにより、装着側クリップ2が容器Cに位置固定され、アース側クリップ3がアース電位部材Eに位置固定されている。
次に、図4を参照してアース線1の作用について説明する。
【0043】
図4は、図1に示すアース線によるアースを説明するための回路図である。
アース線1は、使用状態において、図4に示すように、容器Cとアース電位部材Eとの間において、装着側クリップ2の第1挟持部材11から、アース側配線4を介して、アース側クリップ3の第1挟持部材31へ至るアース側ラインと、アース側クリップ3の第2挟持部材32から、検知側配線5を介して、装着側クリップ2の第2挟持部材12へ至る検知側ラインとを形成する。
【0044】
そして、第1挟持部材11と第2挟持部材12とが容器Cを介して導通されるとともに、第1挟持部材31と第2挟持部材32とがアース電位部材Eを介して導通されている。
これにより、容器Cとアース電位部材Eとの間において、装着側クリップ2、アース側配線4、アース側クリップ3、検知側配線5を含む直列回路が形成されている。
なお、検知側ラインは、スイッチ24が常にはOFF状態であるため、導通されていない。そのため、LED25は、消灯している。
【0045】
そして、アース側ラインの導通を確認するには、スイッチ24をONにする。すると、検知側ラインの導通が確保される。すると、電池41からの電流が直列回路を流れ、LED25が点灯する。
このように、LED25の点灯により、アース側ラインの導通を確認することができる。
【0046】
このようなアース線1によれば、アース側配線4と、スイッチ24およびLED25が接続される検知側配線5とを、常には導通されていない状態で備えており、アース側配線4と検知側配線5とは、装着側クリップ2が容器Cに装着され、スイッチ24のONにより導通される。
そのため、装着側クリップ2が容器Cに装着され、スイッチ24のONにより、容器Cと、アース側配線4および検知側配線5との導通が確保される。
【0047】
これにより、検知側配線5から、容器C、アース側配線4を順次介してアース側クリップ3へ至る直列回路が形成される。
その結果、検知側配線5の導通を、スイッチ24のONに基づくLED25の点灯によって検知することができ、容器Cがアース側配線4によりアースされていることを、確実に、検知することができる。
【0048】
また、このようなアース線1によれば、装着側クリップ2は、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間に容器Cを挟むように装着することにより、容器Cに対して位置固定される。
そのため、装着側クリップ2を容器Cに装着したときには、容器Cのほぼ同じ部位の両側において、第1挟持部材11と第2挟持部材12とを位置固定することができる。
【0049】
しかも、第1挟持部材11と第2挟持部材12との間は、常には、支持部材13により絶縁されている。
そのため、装着側クリップ2が容器Cに装着されたときには、確実に、容器Cを介して第1挟持部材11と第2挟持部材12とが導通される。
その結果、容器Cがアース側配線4によりアースされていることを、より確実に、検知することができる。
【0050】
また、このようなアース線1によれば、第1挟持部材11により、容器Cを対向方向一方側から挟み、第2挟持部材12により、容器Cを対向方向他方側から挟むことができる。
そのため、確実に、容器Cを第1挟持部材11と第2挟持部材12との間に挟むことができる。
【0051】
また、このようなアース線1によれば、検知側配線5の導通を、LED25の点灯により、容易に確認することができる。
さらに、このようなアース線1によれば、スイッチ24およびLED25が装置側クリップ2と一体的に設けられているので、操作性を向上させることができる。
なお、上記した実施形態では、装着側クリップ2の第2支持部材15内にスイッチ24およびLED25を設けたが、スイッチ24およびLED25は、検知側配線5に設けられていてもよい。
【0052】
また、上記した実施形態では、アース側クリップ3を備えたが、アース側クリップ3を備えずに、アース側配線4および検知側配線5の他端部を、直接、アース電位部材Eに電気的に接続してもよい。
また、上記した実施形態では、LED25を備えているが、LED25の代わりに、または、LED25とともに、検知音発生装置の一例として、検知音がメモリされたスピーカを備えてもよい。
【0053】
検知音としては、例えば、ビープ音などの警告音や、導通を検知した旨の音声アナウンスなどが挙げられる。
このようなアース線1によれば、検知手段が検知側配線5の導通を検知したことを、スピーカからの検知音により確認することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 アース線
2 装着側クリップ
3 アース側クリップ
4 アース側電線
5 検知側電線
11 第1挟持部材
12 第2挟持部材
13 支持部材
22 スイッチ電極
24 スイッチ
25 LED
C 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース対象物をアースするためのアース装置であって、
アース側配線と、
前記アース側配線に対して常には導通されていない検知側配線と、
前記アース側配線および前記検知側配線の一端部に設けられ、前記アース対象物に装着されることにより、前記アース側配線と前記検知側配線とを導通させる装着部材と、
前記アース側配線および前記検知側配線の他端部に設けられ、アースのためのアース部材と、
前記検知側配線に接続され、前記検知側配線の導通を検知する検知手段と
を備えることを特徴とする、アース装置。
【請求項2】
前記装着部材は、
前記アース側配線の一端部に接続される第1通電部材と、
前記第1通電部材に対して間隔を隔てて対向配置されるように前記検知側配線の一端部に接続され、前記装着部材が前記アース対象物に装着されたときに、前記第1通電部材と導通される第2通電部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材との間を常には絶縁する絶縁部材と
を備え、
前記第1通電部材と前記第2通電部材との間に前記アース対象物を挟むように装着することにより、前記アース対象物に対して位置固定されることを特徴とする、請求項1に記載のアース装置。
【請求項3】
前記第1通電部材は、前記アース対象物を一方側から挟む第1挟持部材であり、
前記第2通電部材は、前記アース対象物を他方側から挟む第2挟持部材であり、
前記絶縁部材は、前記第1挟持部材および前記第2挟持部材を同軸上で回転自在に支持する支持部材であることを特徴とする、請求項2に記載のアース装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記検知側配線の導通を検知したときに点灯する表示灯を備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のアース装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記検知側配線の導通を検知したときに検知音を発生する検知音発生装置を備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のアース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−48090(P2011−48090A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195789(P2009−195789)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】