説明

アース装置

【解決手段】アース装置を、接地基礎体1に配置された導電性被覆導電線3が、取付部材2を介して、導電性保持部材5により覆われるように構成するとともに、前記導電性被覆導電線3及び前記導電性保持部材5を、導電性コンクリート6及びモルタル7とにより覆うように構成したものである。
【効果】アース装置を、接地基礎体に配置された導電性被覆導電線が、取付部材を介して、導電性保持部材により覆われるように構成するとともに、前記導電性被覆導電線及び前記導電性保持部材を、導電性コンクリート及びモルタルとにより覆うように構成したので、導電性被覆導電線が、接地基礎体に密接的に接合されることになるので、長期間安定した低接地抵抗を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート体や岩塊等の接地基礎体に設置されるアース装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器等のアース装置は、敷地内の空地個所部分に、長尺の導電性の金属材からなるアース棒を大地に打設し、該打設されたアース棒をアース装置として使用していた。従来のこのようなアース装置は、一例として、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−182701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高層建造物に設置された電気機器にアース装置を施すためには、従来は、高層建造物の電気機器等を有する設置個所から地上まで、アース線を引き下ろすとともに、アース装置まで、長尺のアース線を引き回すことになり、従って、アース装置の設置作業に、手間と時間がかかるとともに、アース装置の維持管理が煩雑になるという問題があった。
【0005】
また、従来のアース装置においては、アース棒を打設するにあたり、予め、アース棒を打設する個所及びその周辺の大地の埋設状況の確認を行い、支障のないことを確認した後に、アース装置の施工工事をする必要があり、アース装置の施工に、更なる手間と時間がかかるという問題があった。
【0006】
更に、アース棒の打設において、大地の比抵抗が大きく、所定の接地抵抗が得られないことがあり、更なるアース棒の打設の追加、即ち、複数本のアース棒の打設が必要となり、従って、アース装置の施工に、なお更なる手間と時間がかかるという問題があった。
【0007】
更にまた、通信等の通信所の設置は、高所設置個所が多く、必ずしも良条件の場所とは限らず、山頂や山腹の岩塊の上や岩塊に囲まれた近傍に設置することもある。このような場合にも、従来は、通信所の周辺に、接地装置を施すことが困難であるので、遠方まで長尺のアース線を引き回すことになり、従って、アース装置の設置作業に、手間と時間がかかるとともに、アース装置の維持管理が煩雑になるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来のアース装置が、有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した目的を達成するために、アース装置を、接地基礎体に配置された導電性被覆導電線が、取付部材を介して、導電性保持部材により覆われるように構成するとともに、前記導電性被覆導電線及び前記導電性保持部材を、導電性コンクリート及びモルタルとにより覆うように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏することができる。
【0011】
アース装置を、接地基礎体に配置された導電性被覆導電線が、取付部材を介して、導電性保持部材により覆われるように構成するとともに、前記導電性被覆導電線及び前記導電性保持部材を、導電性コンクリート及びモルタルとにより覆うように構成したので、導電性被覆導電線が、接地基礎体に密接的に接合されることになるので、長期間安定した低接地抵抗を得ることができる。
【0012】
また、アース装置を、接地基礎体に配置された導電性被覆導電線が、取付部材を介して、導電性保持部材により覆われるように構成するとともに、前記導電性被覆導電線及び前記導電性保持部材を、導電性コンクリート及びモルタルとにより覆うように構成したので、接地基礎体の表面部に雨水が侵入し、アース装置を構成する導電性被覆導電線と接地基礎体との接合に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0013】
更に、アース装置を、接地基礎体に配置された導電性被覆導電線が、取付部材を介して、導電性保持部材により覆われるように構成するとともに、前記導電性被覆導電線及び前記導電性保持部材を、導電性コンクリート及びモルタルとにより覆うようにしたので、アース装置の防水機能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、一部構成部材が省略された本発明のアース装置を構成する一部断面図を含む拡大斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−Aに沿った垂直断面図である。
【図3】図3は、本発明のアース装置の垂直断面図である。
【図4】図4は、本発明のアース装置を構成する導電性保持部材の一部の切欠きを含む平面図である。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0016】
1は、コンクリート体や岩塊等の接地基礎体であり、1aは、接地基礎体1
の上面部である。
【0017】
次に、アース装置を構成する部材について説明する。
【0018】
2は、取付部材であり、取付部材2は、アンカースクリュー2aとセットボルト2bとから構成されている。1b は、接地基礎体1の上面部1aの所要の複数箇所に配置されたアンカースクリュー取付穴であり、アンカースクリュー取付穴1bには、取付部材2を構成するアンカースクリュー2aが嵌入されることになる。
【0019】
3は、コンクリート体や岩塊等の接地基礎体1の上面部1aに設置された導電性被覆導電線であり、導電性被覆導電線3は、中心部に導電性金属線3aを有し、導電性金属線3aは、ブラスチックに導電性カーボンブラック粉
末や導電性金属粉末が混合された導電性プラスチック3bにより被覆されている。
【0020】
4は、接地線であり、接地線4は、中心部に配置された金属導電線4aと、金属導電線4aを被覆するように配置された絶縁外被4bとにより構成されている。略水平状に配置された導電性被覆導電線3と略垂直に配置される接地線4とは、接地線4の金属導電線4aと導電性被覆導電線3の導電性金属線3aとを接続するとともに、接続部分に、公知のように、防水処理を施すことにより接続されている。このようにして、導電性被覆導電線3が、接地線4を介して、電気機器等のアース端子に接続されることになる。
【0021】
5は、導電性保持部材であり、導電性保持部材5は、銅材等からなる導電性金属線5aを網状に製織した網状体として構成されている。なお、網状体に代えて、導電性のパンチングメタル板として構成することもできる。このような網状体やパンチングメタル板を、適当な長さや幅や重量に切断して、導電性保持部材5を製造することもできる。
【0022】
6は、導電性コンクリートであり、導電性コンクリート6は、セメントに、導電性カーポンブラック粉末を配合した導電性セメントに、水を加えて製造される。なお、導電性コンクリート6は、水を少なめに配合した、パサパサ状の半練り状の状態のものであってもよい。
【0023】
7は、モルタルであり、セメントに、砂又は砂利を、水で混練したものであり、また、8は、ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)である。
【0024】
次に、アース装置を構成する部材の施工順序等について、より具体的に説明する。
【0025】
上述したように、コンクリート体や岩塊等の接地基礎体1の上面部1aに、予め、計算された接地面積を有する設置面の所要の複数個所に、アンカースクリュー取付穴1bを形成する。アンカースクリュー取付穴1bの直径及び深さは、取付部材2のアンカースクリュー2aが嵌入され取着されるような大きさに形成されている。
【0026】
次に、アンカースクリュー取付穴1bに、アンカースクリュー2aを嵌入する。本実施例には、設置される導電性被覆導電線3の長手方向に沿って、3個のアンカー2aが設置されている例が示されている。導電性被覆導電線3の両端部付近に設置されたアンカースクリュー2aは、導電性被覆導電線3の長手方向に沿って、導電性被覆導電線3の同じ周面側に位置するように設置されており、また、導電性被覆導電線3の中央部に設置されたアンカースクリュー2aは、導電性被覆導電線3の両端部付近に設置されたアンカースクリュー2aが位置する導電性被覆導電線3の周面側と対向する周面側に位置するように設置されている。このように構成することにより、導電性被覆導電線3の両端部付近に設置されたアンカースクリュー2aと導電性被覆導電線3の中央部に設置されたアンカースクリュー2aとを、導電性被覆導電線3の長手方向に対して、垂直な方向から見た場合に、導電性被覆導電線3の両端部付近に設置されたアンカースクリュー2aと導電性被覆導電線3の中央部に設置されたアンカースクリュー2aとの間には、導電性被覆導電線3が敷設される所定の間隔D1が形成されることになる。この間隔D1に位置する接地基礎体1の上面部1aに、導電性被覆導電線3を敷設するとともに、導電性被覆導電線3を所望の長さに切断し、切断された導電性被覆導電線3の切断端部には、公知のように、適宜、防水処理を施す。更に、導電性被覆導電線3の両端部付近に設置されたアンカースクリュー2aに対向するように、適宜、別のアンカースクリュー2aを配置することも、また、導電性被覆導電線3の中央部に設置されたアンカースクリュー2aに対向するように、適宜、別のアンカースクリュー2aを配置することもでき、このように、アンカースクリュー2aの数を増やすことにより、アース装置の強度を増加することができる。
【0027】
また、導電性被覆導電線3のもう一方の端部には、上述したように、接地線4が接続されており、導電性被覆導電線3と接地線4との接続部分には、公知のように、防水処理が施されることになる。
【0028】
次に、導電性保持部材5を、接地基礎体1の上面部1aに敷設された導電性被覆導電線3の全体が覆われるように配置し、次いで、導電性保持部材5の網目やパンチ孔に、セットボルト2bを挿通し、その後、コンクリート体や岩塊等の接地基礎体1の上面部1aに形成されたアンカースクリュー取付穴1bに嵌入され取着されたアンカースクリュー2aに、セットボルト2bを螺合させることにより、導電性保持部材5を、導電性被覆導電線3を覆うように、接地基礎体1の上面部1aに取り付ける。
【0029】
その後、接地基礎体1に取り付けられた導電性被覆導電線3及び導電性保持部材5を、導電性コンクリート6により被覆し、更に、導電性コンクリート6が、ある程度乾燥した後、導電性コンクリート6を、半練り状態のモルタル7にて被覆する。更にまた、モルタル7が乾燥した後、必要に応じて、モルタル7全体にケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)8を塗布する。ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)8を、モルタル7の表面に塗布することにより、アース装置の防水効果を増加することができるとともに、モルタル7のひび割れを防止し、アース装置の耐久性を向上することができる。
【0030】
上述したように、接地基礎体1に設置され、且つ、接地線4に接続された導電性被覆銅電線3を覆うように、導電性保持部材5が配設され、また、導電性保持部材5を、取付部材2により、接地基礎体1に取着することにより、アース装置が、接地基礎体1に設置されることになる。
【0031】
上述したように、コンクリート体や岩塊等の接地基礎体1に配置された導電性被覆導電線3を、導電性保持部材5を介して、取付部材2により、接地基礎体1に取り付けるように構成したので、経時的或いは地震等による、接地基礎体1と導電性被覆導電線3との密着性を損なうことを防止でき、従って、アース装置の信頼性が向上する。
【0032】
なお、図1及び図2においては、図3に示されているような、本発明のアース装置を構成するモルタル7が省略されているとともに、必要に応じて配設されるケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)8が省略されている。
【符号の説明】
【0033】
1・・・・・・・接地基礎体
2・・・・・・・取付部材
3・・・・・・・導電性被覆導電線
4・・・・・・・接地線
5・・・・・・・導電性保持部材
6・・・・・・・導電性コンクリート
7・・・・・・・モルタル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地基礎体に配置された導電性被覆導電線が、取付部材を介して、導電性保持部材により覆われるように構成されているとともに、前記導電性被覆導電線及び前記導電性保持部材を、導電性コンクリート及びモルタルとにより覆うように構成したことをことを特徴とするアース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−33362(P2012−33362A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171335(P2010−171335)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000130835)株式会社サンコーシヤ (64)
【Fターム(参考)】