説明

イオンセンサー装置及びイオンセンサー装置を備えたイオン濃度測定装置

【課題】測定対象の薬液等の内部への侵入を防止し、正確なイオン濃度対応値を検出可能なイオンセンサー装置及びそれを備えたイオン濃度測定装置をもたらす。
【解決手段】イオン感応部11を有するISFETチップ10とサーミスター20及びコンデンサー25を裏面に保持する回路基板30と、ケース部40と、液絡部50とを備え、回路基板30のイオン感応部露出開口31とイオン感応部11の外周縁11aは封止され、回路基板30の最外周縁近傍裏面の外周縁リング35及び液絡部露出開口32を形成する内縁部32a近傍裏面の液絡部外周リング36は、ケース部40の対向面42に密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンセンサー装置及びイオンセンサー装置を備えたイオン濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン感応型電界効果トランジスター(以下、ISFETと称す)を用いて測定対象のイオン計測を行うイオンセンサーは、特許文献1に記載されているように公知である。
【0003】
図14は、特許文献1に記載されたISFETチップを用いたイオンセンサーの主要部断面図であり、特許文献1の図2(c)に対応した図である。
【0004】
図14において、イオンセンサー501は、絶縁フィルム510、ISFETチップ520、補強板530、液絡部540、ケース550、飽和KClゲル560及び擬似電極570を備えている。
【0005】
上記イオンセンサー501において、絶縁フィルム510には、イオン感応窓510aと液絡穴510bとが形成され、導体箔511が埋設されている。ISFETチップ520は、絶縁フィルム510の裏面に取付けられ、そのイオン感応部520bがイオン感応窓510aから露出し、その端子が導体箔511に接続している。補強板530は、絶縁フィルム510の裏面に一体化されており、ISFETチップ520を挿入するチップ取付用開口部530a及び液絡用穴530bが形成されている。また補強板530のチップ取付用開口部530aには絶縁樹脂535が埋め込まれている。絶縁樹脂535は、ISFETチップ520のイオン感応部520bが露出する状態でISFETチップ520を封止している。液絡部540は、上記液絡穴510bと液絡用穴530bを貫通して先端がイオンセンサー501の表面に露出するとともに、後端が補強板530とケース550との間に収納された飽和KClゲル560内に浸漬している。飽和KClゲル560中には、擬似電極570が配置されている。ケース550は、絶縁フィルム510の左側端と右側裏面及び補強板530を覆い、飽和KClゲル560を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3096087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図14(特許文献1)のイオンセンサー501は、イオン濃度測定対象の薬液等がイオンセンサー501の内部に侵入するおそれがある。すなわち、ケース550は、絶縁フィルム510の左側端や右側裏面と接触しているにすぎず、その接触部から薬液等がイオンセンサー501の内部に侵入するおそれがある。
【0008】
従って、薬液等がイオンセンサー501の内部に侵入すると、図示されていないが内部に配置される電子回路部品がショートし、イオンセンサー501のイオン濃度を測定できなくする。
【0009】
本発明は、上記課題を解消するもので、測定対象流体が内部に侵入することを防止し、正確なイオン濃度対応値を検出可能なイオンセンサー装置及びイオン濃度を測定可能なイオン濃度測定装置をもたらすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明のイオンセンサー装置は、イオン感応部を有するイオンセンサーチップと、裏面に前記イオンセンサーチップを保持するとともに、前記イオン感応部を露出させるイオン感応部露出開口及び液絡部露出開口が形成された回路基板と、前記回路基板を保持するケース部と、前記液絡部露出開口から一端が露出する状態で前記ケース部に配置された液絡部とを備え、前記回路基板の前記イオン感応部露出開口を形成する内縁部と前記イオン感応部の外周縁とは封止リング部により封止され、前記回路基板は、最外周縁の近傍裏面に金属膜からなる外周縁リング及び前記液絡部露出開口を形成する内縁部の近傍裏面に金属膜からなる液絡部外周リングが形成されており、前記回路基板が前記ケース部に保持された際に、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングが前記回路基板の裏面に対向する前記ケース部の対向面に実質的に密着されることにより、前記外周縁リングの内側領域であり前記封止リング部の外側領域でありかつ前記液絡部外周リングの外側領域に該当する平面領域において前記回路基板の裏面及び前記イオンセンサーチップの裏面とケース部との間には、外部から密閉された密閉部が形成されており、前記密閉部には、電気的導通部が配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、前記イオン感応部露出開口を形成する内縁部と前記イオン感応部の外周縁が封止リング部により封止されており、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングと前記ケース部の対向面とが各々実質的に密着していることにより、前記外周縁リングの内側領域であり前記封止リング部の外側領域でありかつ前記液絡部外周リングの外側領域に該当する平面領域において前記回路基板の裏面及び前記イオンセンサーチップの裏面とケース部との間には、外部と密閉された密閉部が形成される。
このため、薬液等の測定対象である流体が、密閉部の内部に侵入することがない。したがって、密閉部に配置されている電気的導通部の絶縁低下を防止できる。特に、電気的導通部同士のショートを防止可能である。さらには電気的導通部が腐食あるいは変質することを防止することができる。このため、測定対象流体のイオン濃度対応値を正確に検出可能であり、長期に渡って信頼性の高い検出を可能とするイオンセンサー装置を得ることができる。
【0012】
なお、上記実質的に密着しているとは、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングとケース部の前記対向面とが、各々直接に接触した場合の他、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングと前記対向面との間に、前記回路基板を前記ケース部を接合する接着材が極めて薄く介在する場合も含む。要するに、実質的な密着とは、前記外周縁リング及び液絡部外周リングとケース部の前記対向面とが互いに対向保持されており、この対向保持により測定対象流体がイオンセンサー装置の内部に侵入しない状態を意味する。
また、密閉部は、外部から閉鎖された部屋である。密閉部は、その内部に、前記電気的導通部以外に空間が存在している場合、前記電気的導通部以外に封止リング部や回路基板とケース部とを接合する接着材で埋め尽くされている場合、及び前記電気的導通部以外に封止リング部や前記接着材と空間が存在している場合があり得る。
【0013】
また、前記密閉部に配置された電気的導通部とは、前記密閉部に配置された他の電気的導通部と電気的に導通するものを指す。前記電気的導通部以外の他の電気的導通部は、後述する測定出力制御部に導通する外部導電部材を含んでいる。
【0014】
本発明のイオンセンサー装置は、測定対象のイオン濃度対応値を検出するものである。イオン濃度対応値は、例えば薬液のpH値または電気伝導度の対応値を検出し、気体のにおいの対応値または排気ガス中の特定含有物質濃度の対応値を検出する。前記イオン濃度対応値は、例えば、測定対象のイオン濃度に応じてイオンセンサーチップのソース電極とドレイン電極の間に生じる電圧値またはその間に流れる電流値等である。
【0015】
(2)本発明のイオンセンサー装置は、(1)に記載されたイオンセンサー装置であって、前記電気的導通部は、前記回路基板の裏面に配置された金属膜からなる配線パターンであることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、イオンセンサー装置の密閉部内部の配線パターンに係わる絶縁低下、及び配線パターンの腐食と変質等を防ぐことができる。このため、測定対象流体のイオン濃度対応値を正確に検出可能であり、長期に渡って信頼性の高い検出を可能とするイオンセンサー装置を得ることができる。
なお、上記配線パターンに係わる絶縁低下とは、配線パターンと電子回路部品の端子等とのショート、また複数の配線パターン同士のショートを含むものである。また前記配線パターンは、前記イオンセンサーチップと導通し、回路基板の裏面に配置される電子回路部品の端子に導通し、あるいは前記他の電気的導通部に導通するものを含む。
【0017】
(3)本発明のイオンセンサー装置は、(1)または(2)に記載されたイオンセンサー装置であって、前記電気的導通部は、前記回路基板の裏面に保持された電子回路部品であることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、イオンセンサー装置の密閉部内部の電子回路部品の端子等に係わる絶縁低下、及び前記端子等の腐食と変質等を防ぐことができる。このため、測定対象流体のイオン濃度対応値を正確に検出可能であり、長期に渡って信頼性の高い検出を可能とするイオンセンサー装置を得ることができる。
なお、上記電子回路部品の端子等に係わる絶縁低下とは、電子回路部品の端子等同士のショート、電子回路部品の端子等と配線パターンとのショート、また電子回路部品の端子等と前記他の電気的導通部とのショートを含む。
【0019】
(4)本発明のイオンセンサー装置は、(2)または(3)に記載されたイオンセンサー装置であって、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングは、前記配線パターンと同一の材料で同一厚に形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングが前記配線パターンと同一の材料で同一厚に形成されているので、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングの厚さを均一に安定的に形成でき、製造も容易である。このため、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングとケース部の前記対向面との密着性が安定する。また配線パターンの配置領域、前記外周縁リングの配置領域及び前記液絡部外周リングの配置領域において回路基板の高さが均一化し、ケース部の各対向面に対する前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングの密着度がより高まり安定する。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0021】
(5)本発明のイオンセンサー装置は、(2)から(4)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングは、前記配線パターンの最小幅より幅狭に形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明によれば、前記配線パターンは安定的な導電性を確保でき、同時に、外周縁リング及び液絡部外周リングはケース部の前記対向面に対し密着良好となる。
すなわち、一方では、配線パターンは、確実な導電性確保の観点から一定幅以上のパターン幅を必要とする。他方では、外周縁リング及び液絡部外周リングは、幅広にしすぎるとケース部の対向面と密着しにくくなり、部分的な隙間が生じやすくなる。そこで、外周縁リング及び液絡部外周リングは、ある程度幅狭に形成することが好ましい。このため、回路基板を対向面に押圧して上記密着を行わせようとする際、幅狭な外周縁リング及び液絡部外周リングに上記押圧時の圧力が集中し、外周縁リング及び液絡部外周リングの全周がケース部の対向面に確実に密着する。したがって、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0023】
(6)本発明のイオンセンサー装置は、(1)から(5)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記回路基板は、フレキシブル回路基板であることが好ましい。
【0024】
上記本発明によれば、回路基板が柔軟性を有するので、外周縁リング及び液絡部外周リングがケース部の対向面に密着し易くなる。特に、上記密着のためには回路基板が前記対向面に押圧されるが、外周縁リング及び液絡部外周リングとケース部の対向面が多少歪んでいても、外周縁リング及び液絡部外周リングは、柔軟性ある回路基板によりその歪みに順応可能である。このため、外周縁リング及び液絡部外周リングと前記対向面とが密着し易くなり、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0025】
(7)本発明のイオンセンサー装置は、(6)に記載されたイオンセンサー装置であって、前記外周縁リングは、前記回路基板の外周側壁から所定距離だけ内側領域に配置され、前記液絡部外周リングは、液絡部露出開口を形成する前記内縁部から所定距離だけ外側領域に配置されていることが好ましい。
【0026】
本発明によれば、回路基板をケース部に接合する際に回路基板に加わる押圧力により、上記所定距離に対応する回路基板の外周側壁の近傍裏面側には外周縁リングが不在のため、外周側壁の近傍部分がケース部側に食い込むように変形し、この状態で接合される。このため、外周縁リングとケース部の対向面との密着度が高まる。しかも回路基板の上記所定距離に相当する外周側壁近傍部分はケース部側に食い込んだ状態で接合されるので、回路基板の外周側壁が剥離されにくくなる。
【0027】
同様に、回路基板に加わる前記押圧力により、上記所定距離に相当する回路基板の液絡部露出開口を形成する内縁部の近傍裏面側には液絡部外周リングが不在のため、この内縁部の近傍部分がケース部側に食い込むように変形し、この状態で接合される。このため、液絡部外周リングとケース部の対向面との密着度が高まる。しかも回路基板の上記所定距離に相当する内縁部近傍部分はケース部側に食い込んだ状態で接合されるので、回路基板の液絡部露出開口を形成する前記内縁部が剥離されにくくなる。
【0028】
(8)本発明のイオンセンサー装置は、(1)から(7)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記ケース部は合成樹脂材からなり、前記ケース部の前記対向面の面粗さは、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングの面粗さよりも粗く形成されていることが好ましい。
【0029】
本発明によれば、回路基板をケース部に接合する際に回路基板がケース部に押圧される際に、合成樹脂材からなる前記ケース部の対向面に形成された多数の微細な凸部が外周縁リング及び液絡部外周リングの金属膜によりつぶされる。このため、外周縁リングの金属膜と対向面はより確実な密着状態になる。一方、前記対向面には凸部に隣接して凹部も多数形成されているから、外周縁リング及び液絡部外周リングと前記対向面との間に接着材が介在した場合でも、上記接着材が上記凹部に逃げ込むことができる。このため、外周縁リング及び液絡部外周リングと前記対向面との間に接着材が介在することがほとんどなく、両者の密着状態がより高まる。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0030】
(9)本発明のイオンセンサー装置は、(1)から(8)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記回路基板の裏面には、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングと同一厚で同一金属膜からなり、前記外周縁リングの内側領域において前記ケース部の対向面に接触可能な平面位置に配置され、どの導通部材とも導通しない島状部を有し、当該島状部が前記対向面に接触していることが好ましい。
【0031】
上記本発明によれば、外周縁リング及び液絡部外周リングが配置されていない回路基板の平面領域に島状部が形成されているので、当該平面領域における回路基板のケース部側への変形を防止することができる。このため、回路基板の平面全体において前記対向面に対する平行度が確保でき、外周縁リング及び液絡部外周リングの前記対向面への傾きが防止され、両者の密着度がより高まる。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0032】
(10)本発明のイオンセンサー装置は、(2)から(9)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記回路基板における前記イオン感応部露出開口を形成する前記内縁部の近傍裏面であり、前記イオン感応部露出開口を挟んだ前記配線パターンの対向側に、前記配線パターンと同一厚の金属膜からなるダミーパターンが形成されていることが好ましい。
【0033】
本発明によれば、配線パターンと対向配置されたダミーパターンとにより、イオンセンサーチップを回路基板に対し平行配置することができる。すなわち、イオンセンサーチップの一端側に対応する回路基板部分のみに配線パターンが配置されている場合には、イオンセンサーチップの一端側は回路基板に対し厚さ方向に傾斜する。これに対してイオンセンサーチップの他端側に対応する回路基板部分にダミーパターンを配置すると、イオンセンサーチップは、上記傾斜が解消され、回路基板に対して平行配置される。このため、イオンセンサーチップのイオン感応部も傾斜しないので、イオン濃度対応値を正確に検出可能となる。しかも、回路基板のイオン感応部露出開口を形成する内縁部において、イオンセンサーチップとイオン感応部露出開口との厚さ方向の隙間が安定するので、封止リング部がイオン感応部露出開口の全周にわたって安定して構成される。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0034】
なお、本発明のイオンセンサー装置は、(1)から(9)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記回路基板の外周縁は、前記ケース部の外周縁と接着材で接合されていることが好ましい。
【0035】
上記本発明によれば、回路基板の外周縁はケース部の外周縁と接着材で接合されているので、その内側領域に配置されている外周縁リングにはほとんど外力が働くことがない。このため、回路基板の外周縁は、落下やぶつけ等の外力が働いても剥離されにくくなり、外周縁リングとケース部の対向面の密着性を長期にわたって確保することが出来る。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0036】
(11)本発明のイオンセンサー装置は、(1)から(10)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、前記回路基板に接合され、かつ前記回路基板を前記ケース部に位置決めするための金属ボールをさらに備えており、前記金属ボールは、前記ケース部の所定位置に形成された金属ボール位置決め孔に挿入されていることが好ましい。
【0037】
上記本発明によれば、回路基板は、はんだ接合等により接合された金属ボールによってケース部に位置決めされる。このため、回路基板はケース部に対する所定位置に確実に位置決めされる。したがって、外周縁リング及び液絡部外周リングとケース部の対向面の接触位置が変動することなく安定するので、両者の密着性を長期にわたって確保することができる。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを確実に防止することができる。なお、前記金属ボールは、はんだボールを用いることが好ましいが、それ以外の金属を用いてもよい。また金属ボールを回路基板に接合する方法は、はんだ以外の接合材を用いても良く、例えばエポキシ系熱硬化性接着材を用いてもよい。
【0038】
(12)本発明のイオン濃度測定装置は、(1)から(11)のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置と、前記イオンセンサー装置にイオン濃度対応値を検出させてイオン濃度測定結果を出力する測定出力制御部とを備えたことを特徴とする。
【0039】
上記本発明によれば、測定対象の流体がイオンセンサー装置の前記密閉部の内部に侵入することを防止し、正確なイオン濃度を測定可能なイオン濃度測定装置をもたらすことができる。
【0040】
上記測定出力制御部は、少なくともイオンセンサー装置にイオン濃度対応値を検出させる検出指令機能、その検出結果に基づいてイオン濃度を計数する計数機能及び当該イオン濃度を出力させる出力機能を備えている。前記出力機能は、自身が出力したイオン濃度データーから当該イオン濃度を表示する表示機能、あるいは音声出力する音声出力機能、もしくは一連の操作を行わせる操作機能を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態1のイオン濃度測定装置1の平面図。
【図2】図1のA方向から見たイオンセンサー装置2の平面図。
【図3】図1のイオン濃度測定装置1の先端Bにおける主要断面図。
【図4】図2のD−D位置から見たイオンセンサー装置2の断面図。
【図5】図2のC0−C2位置から見たイオンセンサー装置2の断面図。
【図6】図2のE−E位置から見たイオンセンサー装置2の断面図。
【図7】図2の上半分に相当するイオンセンサー装置2の拡大平面図。
【図8】実施形態1のイオンセンサー装置2におけるサーミスター20保持部の側面図。
【図9】実施形態1のイオンセンサー装置2における外周縁部の一部切り欠き断面図。
【図10】実施形態1のイオンセンサー装置2における液絡部50周辺の断面図。
【図11】実施形態1のイオンセンサー装置2における配線パターン33の断面図。
【図12】本発明の実施形態2のイオンセンサー装置102の平面図。
【図13】本発明の変形例2における外周縁リング235の平面図。
【図14】特許文献1の図2(c)に対応したイオンセンサー501の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0043】
〔実施形態1〕
図1〜図11は、実施形態1におけるイオン濃度測定装置1と、イオン濃度測定装置1の一部を構成するイオンセンサー装置2を示す図である。
【0044】
図1はイオン濃度測定装置1の平面図、図2は図1のA方向から見たイオンセンサー装置2の平面図、図3は図1のイオン濃度測定装置1の先端Bにおける主要断面図で、図2のC0−C1位置から見たイオンセンサー装置2の断面図、図4は図2のD−D位置から見たイオンセンサー装置2の断面図、図5は図2のC0−C2位置から見たイオンセンサー装置2の断面図、図6は図2のE−E位置から見たイオンセンサー装置2の断面図、図7は図2の上半分に相当するイオンセンサー装置2の拡大平面図である。図8は実施形態1のイオンセンサー装置2におけるサーミスター20の保持部の側面図、図9は実施形態1のイオンセンサー装置2における外周縁部の一部切り欠き断面図、図10は実施形態1のイオンセンサー装置2における液絡部50周辺の断面図、図11は実施形態1のイオンセンサー装置2における配線パターン33の断面図である。
なお、各図の縮尺は、理解しやすくするために必ずしも統一されていない。また各図において、構造の理解を助けるために誇張表示した部分があり、例えば配線パターン、外周縁リング、液絡部外周リング、島状部、ダミーパターンは、実際の厚さよりも厚い比率で誇張表示した。
【0045】
イオン濃度測定装置1は、図1のようにイオンセンサー装置2、装置基部3、接続コード4、制御装置5を備えている。
【0046】
イオンセンサー装置2は、図1の左端の鎖線円Bで囲んだ先端部分を測定対象の薬液に浸漬し、イオン濃度であるpH値に対応する値を検出する。イオンセンサー装置2は、上記先端部分(図1の左側面)がイオンセンサー装置2の底辺に対し所定の角度α(70度程度)だけ傾斜して形成されている。この先端側部分は、直径約10mmの円筒状である。装置基部3は、上記先端部分を測定対象の薬液に浸漬させるよう作業者が主に把持する部分であり、内部には少なくともイオンセンサー装置2の電気的導通部と導通しかつ制御装置5の電子部品に導通させる電気導通部材(図示せず)が配置されている。
【0047】
制御装置5は、前記電気導通部材及び接続コード4を介してイオンセンサー装置2に薬液のイオン濃度対応値であるpH対応値を検出させかつその検出結果に基づいてイオン濃度としてのpH値を出力する測定出力制御部(図示せず)を備えている。この測定出力制御部は、少なくともイオンセンサー装置2にpH対応値を検出させる検出指令機能、その検出結果に基づいてpH値を計数する計数機能及び当該pH値を出力させる出力機能を有し、それらの機能を実行するCPU、メモリー、電池等の電子部品(図示せず)を備えている。前記出力機能は、自身が出力したpH値データーから当該pH値を表示する表示部6を含み、さらに操作部7を備えている。操作部7は、pH測定を開始しあるいは終了させるスイッチボタン、表示レンジを変更する表示レンジ変更ボタン、薬液の種類を選択する薬液選択ボタン、照明ランプを点灯あるいは消灯するランプボタン等の操作ボタンを備えている。なお、表示部6とともにpH値を音声出力する音声出力部(図示せず)を備えてもよい。
【0048】
イオンセンサー装置2は、イオン感応部11を有するイオンセンサーチップであるISFET(イオン感応型電界効果トランジスター)チップ10と、裏面に前記ISFETチップ10及び電子回路部品であるサーミスター20及びコンデンサー25を保持するとともに、前記イオン感応部11を露出させるイオン感応部露出開口31及び液絡部露出開口32が形成された回路基板30と、前記回路基板30を保持するケース部40と、前記液絡部露出開口32から一端が露出する状態で前記ケース部40に保持された液絡部50とを備えている。
【0049】
ISFETチップ10は、上面の中央部にイオン感応部11が配置され、上面の一端側にソース電極S、基準電極R及びドレイン電極Dが露出している。
【0050】
イオンセンサー装置2は、次のように薬液のpH対応値を検出する。イオンセンサー装置2の先端B部分(図1を参照)を薬液に浸漬すると、後述するケース部40内に収納された基準電極板55により定められた基準電圧が、液絡部50を浸透し液絡部50の表面に沁み出した電解液53に印加される。この電解液53が薬液に接触すると、ISFETチップ10におけるゲート電極(図示せず)のゲート電圧は、前記基準電圧を基準として、前記薬液のイオン量に応じて変化する。上記ゲート電圧の変化に対応して上記ドレイン電極Dとソース電極Sとの間の電圧に変化が生じ、前記電圧に応じた電流が流れる。イオンセンサー装置2は、上記ドレイン電極Dとソース電極Sとの間の電圧値を検出する。イオン濃度測定装置1は、イオンセンサー装置2が検出した上記電圧値に基づいて、前記制御装置5により薬液のpH値を計測し、そのpH値を表示部6で表示する。
【0051】
回路基板20は、ポリアクリレート系の液晶ポリマーを用い、厚さ約50μmの薄板状のフレキシブル回路基板素材を使用している。ポリアクリケート系の液晶ポリマーは、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)に優れ、耐熱性が高い熱可塑性樹脂である。回路基板20は、上記素材上に、約18μm厚の電解銅膜を面圧成形によってラミネートしたものである。
【0052】
回路基板20は、平面形状が図2のように略円形であり、図2の左側にイオン感応部露出開口31、イオン感応部露出開口31の右側に液絡部露出開口32が形成されている。イオン感応部露出開口31は、ISFETチップ10の平面面積より狭いがイオン感応部11が上方に露出できる面積を有して形成されている。回路基板20は、さらにイオン感応部露出開口31周辺の裏面に、ISFETチップ10を固定保持している。この場合、回路基板20の裏面に複数個形成された導電用の配線パターン33は、前述のソース電極S、基準電極R及びドレイン電極Dに導電接合している。
【0053】
イオン感応部露出開口31を形成する内縁部(側壁部)31aには、イオン感応部11の外周縁11a(図5参照)付近とともにエポキシ系熱硬化性接着材が塗布され硬化されて封止リング部60が形成配置されている。このエポキシ系熱硬化性接着材は、フィラーを含まない酸無水物系硬化材の一液性エポキシ接着材が好ましい。この接着材は、硬化後の曲げ弾性率が3.5GPa程度と低く高いフレキシブル性を有しており、ポリアクリケート系の液晶ポリマーからなる回路基板30の内縁部31a近傍の裏面との密着性は良好である。このため、封止リング部60は、図2〜図6に図示のように、イオン感応部露出開口31を形成する回路基板30の内縁部31a及びその近傍とイオン感応部の外周縁11a付近の各々全周に漏れなく形成され、その全周の封止を確実にしている。
【0054】
さらに封止リング部60は、図4〜図6のように、ISFETチップ10上面と回路基板30の裏面との隙間にも形成される。すなわち、ISFETチップ10上面には各電極のバンプが突出形成されているので、ISFETチップ10上面と回路基板30の裏面との間には前記バンプ突出分の隙間が生じる。上記接着材は、この隙間に毛細管現象により浸みこんで行き、ISFETチップ10の側壁全周を切れ目なく覆う。したがって、封止リング部60は、イオン感応部露出開口31を形成する内縁部31aとイオン感応部11の外周縁11a付近、ISFETチップ10上面と回路基板30裏面との隙間及びISFETチップ10の側壁の全周にわたって形成される。
【0055】
なお回路基板30の裏面は、後述する配線パターン33、外周縁リング35、液絡部外周リング36等を残して形成するエッチングの前に電解銅膜を面圧成形で接合する関係で、凹凸が小さな平滑状態に形成されている。このため、封止リング部60が回路基板30の裏面に密着可能で、外部からの薬液侵入をより阻止する。また封止リング部60近傍は、回路基板30の外周部(外周側壁30a)に比べ衝撃等の外力を受けにくいので、封止リング部60と回路基板30の裏面との密着可能は維持されやすい。
このため、封止リング部60は、回路基板30にISFETチップ10を固定するとともに、薬液が内部に侵入することを確実に防止する。また封止リング部60は、回路基板20の裏面にISFETチップ10を固定することにも寄与している。なお、封止リング部60がイオン感応部の外周縁11a付近だけに形成されているため、封止リング部60の内側領域では、イオン感応部11が薬液に接触可能である。
【0056】
液絡部露出開口32は、後述する液絡部50の先端部を露出可能に収納している。
【0057】
回路基板20の裏面には、電子回路部品であるサーミスター20及びコンデンサー25が取付けられている。サーミスター20は、測定環境の温度により種々の特性を温度補正する。サーミスター20は、図2において下側に配置され、図8のように接続リード21が配線パターン33にはんだ接合されている。コンデンサー25は、図7のように配線パターン33の一方のR端子と他方のR端子にはんだによって導電接合している。なお、回路基板20の裏面に取り付けられる電子回路部品は、上記のサーミスター20及びコンデンサー25のどちらかでもよく、必要に応じてそれら以外の電子回路部品を取り付けてもよい。
【0058】
配線パターン33は、図2及び図7のように、一端がISFETチップ10の各端子、コンデンサー25の端子及びサーミスター20の各端子に接続し、他端が所定領域に集約配列されて他端群33dを構成している。配線パターン33の上記他端群33dは、外部導通部材80(図3参照)の一端にはんだで導通固定されている。配線パターン33の幅B1は、図7及び図11図示のように、導電抵抗を高めないため及び確実な断線防止を図るため、概ね300μm以上に形成されている。
外部導通部材80は、図3のように、ケース部40内に配置され、他端は装置基部3の電気導通部材(図示せず)に導通している導電ケーブルである。装置基部3の前記電気導通部材は、接続コード4を介して制御装置5に導通する。このため、イオンセンサー装置2で薬液のpH値の対応値を検出すると、制御装置5がpH値を計数しその値を表示する。
【0059】
回路基板30の裏面には、前述の配線パターン33の他に、配線パターン33と同材質の金属膜で同厚に構成されたはんだボールリング34(図5を参照)、外周縁リング35、液絡部外周リング36、島状部37及びダミーパターン38(図2参照)が配置されている。それらは、回路基板30を構成する液晶ポリマーフィルム材33b(図11参照)の裏面に圧着された電解銅膜に対して、配線パターン33、はんだボールリング34、外周縁リング35、液絡部外周リング36、島状部37及びダミーパターン38の形成箇所をマスクし、エッチングを行った後、マスクを剥離し洗浄し、エッチングされなかった銅膜に必要な金属メッキを施すことにより得られる。
【0060】
配線パターン33は、その断面図が図11に図示されている。図11において、33aは液晶ポリマーフィルム材30bの裏面に接着された電解で形成された銅膜、33bは銅膜33a上にメッキで形成されたニッケル膜、33cはニッケル膜上にメッキで形成された金膜である。配線パターン33の表面は、通常の銅箔と同様にほぼ鏡面状態であるが、多少荒らす処理を施してもよい。配線パターン33の厚さtは10〜20μm、ニッケル膜33bの厚さは3〜10μm、金膜33cは0.01〜0.05μmである。
はんだボールリング34、外周縁リング35、液絡部外周リング36、島状部37及びダミーパターン38の断面構造、材質、厚さ及び製造方法は、上述の配線パターン33と同様であるが、詳細は、後述する。
【0061】
ケース部40は、液晶ポリマー樹脂からなり射出成形により製造されている。
ケース部40は、射出成型が可能で、寸法精度が高く、機械的強度が強く、耐薬品性(耐酸、耐アルカリ)と耐熱性(約200℃)に優れるなどの条件から、液晶ポリマー樹脂であるポリプラスチックス株式会社製の商品名ベクトラA410が好ましい。ケース部40は、図1のように、左側先端が、図1のケース部40の底辺に対して角度α(70度程度)を有した傾斜状の面に形成され、この傾斜状の面に対して回路基板30がほぼ平行に配置され固定されている。
【0062】
ケース部40は、回路基板30の配置側に、ISFETチップ10の配置を許容するISFETチップ受容窪み41、対向面42、はんだボール位置決め孔43及び外周接着材保持窪み44、液絡部挿入部45を形成している。
【0063】
ISFETチップ受容窪み41は、図3〜図6のように、ISFETチップ10の配置を受容するが、ISFETチップ10外端部側においては一段と深く形成されている。
【0064】
対向面42は、回路基板30の裏面の多くの部分が対向する平面である。対向面42と対向する回路基板30の裏面及びISFETチップ1の裏面との間には、特に回路基板30をケース部40に接合する第1接着材層65が形成されている。この第1接着材層65は、ケース部40が曲げ弾性率の高い(18.5GPa)液晶ポリマーを使用している関係から、フィラーを55〜65%含有し曲げ弾性率の高い(10GPa)エポキシ系の熱硬化性接着剤が好ましい。対向面42は、梨地面に形成されている。
【0065】
はんだボール位置決め孔43は、平面円形状の孔で金属ボールとしてのはんだボール75を挿入可能である。はんだボール75は、Sn―Ag(3%)−Cu(0.5%)系の融点220℃の鉛フリーのはんだで構成された直径約0.6mmの球体で、図5に図示されたように回路基板30の裏面に接合される。
【0066】
はんだボール75は、回路基板30の所定平面位置に定められてから加熱される。この加熱により、回路基板30の裏面に形成されたはんだボールリング34に予め塗布された低温鉛フリーはんだペーストが溶融するため、はんだボール75は回路基板30に取り付けられる。この加熱は、はんだボール75のボール状態が崩れない程度の温度と時間に管理されているため、はんだボール75は、はんだボール位置決め孔43に位置決めされる。このため、回路基板30は、ケース部40の所定位置に位置決めされる。
なお、回路基板30の裏面には、図5のようにはんだボール75に対応する位置にはんだボールリング34が形成されている。はんだボールリング34は、回路基板30に対するはんだボール75の平面位置を定め、しかもはんだボール75の表面が溶融する際に溶融はんだが周囲に流れ去ることを防止する。このため回路基板30は、ケース部40の所定位置に確実に位置決めされる。また、上記はんだボール75は、はんだで形成する以外に他の金属(ステンレススチール、黄銅等)からなる金属ボールを用いてもよく、この金属ボールや上記はんだボール75を回路基板30に接合する接合材は、上記はんだ以外の接合材、例えばエポキシ系熱硬化性接着材を用いてもよい。
【0067】
外周接着材保持窪み44は、ケース部40の外周縁に、しかも回路基板30の外周縁のやや外側に構成されている。図9には、外周接着材保持窪み44の拡大図が示されている。外周接着材保持窪み44は、断面レ形状に形成されており、対向面42の外縁42aからほぼ垂直に掘り込まれた垂直壁44aと、垂直壁44aの底部から斜め上方かつ外縁に向かって形成された傾斜面44bとから構成されている。
【0068】
前記傾斜面44bの中間位置から回路基板30の外周側壁30aの中間位置までは、第1接着材層65が充填されて両者を接合している。さらに第1接着材層65の上部に、第1接着材層65の材質と同一のエポキシ系熱硬化性接着材が塗布され硬化されて第2接着材層70が形成されている。第2接着材層70は、第1接着材層65が硬化形成されてから形成されるが、第1接着材層65の硬化時間とは異なる硬化時間で形成される。第2接着材層70は、前記傾斜面44bの上端から回路基板30の外周側壁30aの上端まで充填される。第1接着材層65の充填量は、多すぎるとケース部40の側壁を流れ下りまた回路基板30の上面を越えて充填される危険性があるため、実際の場合少なめに留めておく。この場合、充填量にバラツキがあり、全く充填されない箇所が存在することもあり得る。この全く充填されない箇所が生じることを想定して、第2接着材層70を形成する。なお、第2接着材層70は、第1接着材層65と異なる材料を用いてもよい。
【0069】
第1接着材層65及び第2接着材層70は、回路基板30の外周側壁30aがケース部40から剥離しないように、回路基板30をケース部40に接合する。傾斜面44bは、加熱前の第1接着材層65及び第2接着材層70が外周接着材保持窪み44から漏れ出ないようにするもので、しかもそれらの十分な充填を可能とし、硬化後において回路基板30の外周側壁30aの剥離を確実に防止させている。傾斜面44bの傾斜角βは、30度〜45度が好ましく、約35度がより好ましい。βが上記範囲であると、第2接着層70はケース部40の側壁に漏れ出しにくくなる。また前記垂直壁44bの平面配置位置は、回路基板30の外周側壁30aより外側である。この外側への突出長さL1は、垂直壁44bの深さ程度である。このため、第1接着材層65及び第2接着材層70の充填容積を多く確保することができ、傾斜面44bの傾斜角βを外周側壁30aの平面位置に妨げられずに任意に設定することが出来る。なお、上記突出長さL1は、ゼロにしてもよい。
【0070】
ケース部40の液絡部挿入部45は、液絡部50を挿入固定する。
【0071】
液絡部50は、例えば親水性のポリエチレン樹脂、またはセラミックスからなる多孔質の円柱体である。液絡部50は、柔軟性を利用して液絡部挿入部45に圧入して保持され、その先端が回路基板30の液絡部露出開口32から外部に露出している。このため、液絡部50は、後述の電解液53を浸み込ませその露出側先端において電解液53を測定対象の薬液に接触させることができる。
【0072】
ケース部40の液絡部挿入部45の底部側には、図4のように、電解液収納室46が形成されている。この電解液収納室46には、電解液53が封入されている。電解液53は、例えばKClを主成分にしたゲル状の液である。この電解液53には、導電性の基準電極板55が浸漬配置されている。基準電極板55は、ケース部40に保持され、制御装置5の測定出力制御部に導通している。なお、電解液53は、ゲル状であり、しかも密閉された電解液収納室46に収納されているため、測定対象の薬液が液絡部50の露出側先端から電解液収納室46の内部に侵入することはない。なお、電解液53は、KCl以外を用いること、及びゲル状以外とすることも可能である。
【0073】
回路基板20の裏面に形成された外周縁リング35、液絡部外周リング36、島状部37及びダミーパターン38について、詳述する。
【0074】
外周縁リング35は、回路基板20の最外周縁付近の裏面に形成されている。回路基板30がケース部40に接合される際には、外周縁リング35の表面(ケース部40の対向面42との対向面)が対向面42に対し密着状態になる。外周縁リング35の平面形状は、図2のように回路基板30の最外周縁形状に沿って円形状であり、図9のようにその幅B2は全周においてほぼ均一であり、0.2〜0.3mm程度で、配線パターン33の幅B1に対し10分の1〜30分の1程度である。外周縁リング35は、図9に拡大図示されているように、回路基板30の外周側壁30aから内側(中心側)に多少の距離を有して配置されている。外周縁リング35の外周縁と回路基板30の外周側壁30aとの距離L2は、外周縁リング35の幅B2と同等以上である。具体的には、外周縁リング35の幅B2は200〜300μmであり、上記距離L2も200〜300μmである。外周縁リング35の厚さtが10〜20μmであるので、上記幅B2及び上記距離L2は上記厚さtの20〜30倍である。外周縁リング35の厚さtは、配線パターン33等と同等である。なお、外周縁リング35の幅B2は、全周において不均一としてもよい。
【0075】
上記距離L2を確保することにより、外周縁リング35と対向面42との密着度が高まる。しかも回路基板20の外周側壁30aが剥離されにくくなる。この詳細は、後述する。
【0076】
液絡部外周リング36は、図10に拡大図示したように、回路基板30の液絡部露出開口32を形成する内縁部32a付近の裏面に形成されている。回路基板20がケース部40に接合され際には、液絡部外周リング36の表面(対向面42との対向面)が対向面42に密着状態になる。液絡部外周リング36の平面形状は、液絡部露出開口32を形成する内縁部32aの形状に沿って円形状(図2参照)であり、図10のようにその幅B3は全周においてほぼ均一である。液絡部外周リング36は、液絡部露出開口32を形成する内縁部32aから外側に多少の距離を有して配置されている。液絡部外周リング36の内周縁と液絡部露出開口32を形成する内縁部32aとの距離L3は、液絡部外周リング36の幅B3と同等以上である。具体的には、液絡部外周リング36の幅B3は、全周においてほぼ均一であり、0.2〜0.3mm程度である。配線パターン33の幅に対して10分の1〜30分の1程度である。上記距離L3も0.2〜0.3mm程度である。液絡部外周リング36の厚さtが10〜20μmであるので、上記幅B3及び上記距離L3は上記厚さtの20〜30倍である。液絡部外周リング36の厚さは、外周縁リング35及び配線パターン33の厚さと同等である。なお、液絡部外周リング36の幅B3は全周において不均一としてもよい。
【0077】
上記距離L3を確保することにより、液絡部外周リング36とケース部40の対向面42との密着度が高まる。しかも回路基板20の液絡部露出開口32を形成する内縁部32a側が剥離されにくくなる。この詳細は、後述する。
【0078】
ここで、回路基板30がケース部40に対し第1接着材層65及び第2接着材層70により保持された際に、外周縁リング35及び液絡部外周リング36が回路基板30の裏面に対向するケース部40の対向面42に実質的に密着される。この密着により、外周縁リング35の内側領域であり封止リング部60の外側領域でありかつ液絡部外周リング36の外側領域である平面領域において、回路基板30の裏面及びISFETチップ10の裏面とケース部40(ISFETチップ受容窪み41、対向面42等)との間には、外部から密閉された密閉部Mが形成される。この密閉部Mには、電気的導通部が配置されている。上記外部とは、薬液が存在する領域であり、密閉部Mの外部領域を意味する。
密閉部Mに配置されている電気的導通部は、サーミスター20及びコンデンサー25等の電子回路部品、さらには配線パターン33等の電気的導通の役割を有しているものを指すが、同時に、配線パターン33とサーミスター20の接続リード21との電気的導通箇所、配線パターン33とコンデンサー25の端子との電気的導通箇所、各配線パターン33と外部導通部材80との電気的導通箇所である他端群33dも含む。
なお、配線パターン33とISFETチップ10の各ソース電極S、基準電極R及びドレイン電極Dとの導通接合箇所は、封止リング部60に埋め込まれるように配置されているが、前記密閉部M内に配置してもよい。
【0079】
ここで、外周縁リング35及び液絡部外周リング36をケース部40の対向面42に密着させる必要性は、ケース部40に使用されている前述の液晶ポリマー樹脂とエポキシ系接着材との接着性に難を有するからである。このため、回路基板30の外周側壁30a周辺に2つの接着材層65、70が形成されているだけでは、薬液が密閉部Mの内部に侵入することがある。その場合でも、外周縁リング35及び液絡部外周リング36がケース部40の対向面42に密着しているので、薬液が密閉部Mの内部に侵入することを確実に阻止することができる。
【0080】
なお、外周縁リング35及び液絡部外周リング36が対向する対向面42の面粗さは、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の面粗さよりも粗く形成されている。外周縁リング35及び液絡部外周リング36の表面は、平滑でほぼ鏡面状態である。これに対し対向面42は、梨地仕上げされている。ケース部40は、HN3012程度の梨地仕上げが施された金型を使用して射出成形されるので、対向面42にその梨地がそのまま転写される。
上記密着を図る際、回路基板30を対向面42に押圧する。その際に対向面42に多数の微細な凸部が形成されているが、この微細凸部は、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の金属膜により容易につぶれて塑性変形する。このため、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の金属膜と前記対向面42全域とはより確実な密着状態になる。
【0081】
加えて、前記対向面42には微細凸部の隣に微細凹部も多数形成されている。外周縁リング35及び液絡部外周リング36と対向面42との間に接着材65や封止材が介在したとしても、回路基板30をケース部40に接着する接着材65が上記微細凹部に逃げ込むことが可能である。このため、上記接着材65が、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と対向面42との密着面間に介在することがほぼなくなり、両者はより密着する。
なお、前記対向面42の微細な凹部は、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と対向しない箇所にも形成される。この箇所においては、第1接着材層65が上記凹部に流れ込むので、凹部が上記接着材のアンカー効果を呈し、回路基板30をケース部40に強固に接合することができる。
【0082】
島状部37は、図2及び図7のように、回路基板30の裏面に形成され、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と同一厚で同一金属膜からなる。この島状部37は、外周縁リング35の内側領域において、どの導電部材とも導電せず、且つケース部40の対向面42に接触可能な平面位置に配置されている。当該島状部37は、回路基板30とケース部40とが接合されると、対向面42に接触する。すなわち、島状部37の配置箇所は、外周縁リング35の内側領域であり封止リング部60の外側領域でありかつ液絡部外周リング36の外側領域である平面領域、つまり密閉部Mが形成される平面領域である。しかも島状部37は、ISFETチップ10、配線パターン33、サーミスター20、コンデンサー25、はんだボールリング34、はんだボール75及びダミーパターン38が配置されていない平面領域に配置されている。島状部37は、複数個が上記平面領域に満遍なく配置されている。
したがって、島状部37は、回路基板30がケース部40の対向面42側へ変形することを防止する。このため、回路基板30の平面全領域において対向面42に対する平行度を確保することができる。島状部37は、円形状であるが、多角形状、長円形状等、任意の形状を採用することができる。
【0083】
ダミーパターン38は、図2のように、回路基板30におけるイオン感応部露出開口31の外側領域の裏面であって、イオン感応部露出開口31を挟んだ配線パターン33の対向側に、配線パターン33と同一厚の同一金属膜として形成されている。ダミーパターン38により、ISFETチップ10は、回路基板30と平行度を保つことが出来る。このため、ISFETチップ10のイオン感応部11が傾斜することがなく、イオン濃度を正確に測定することができる。しかも、封止リング部60が全周にわたって安定して構成できる。
【0084】
イオンセンサー装置2の組立順序は、以下の通りである。
まず、回路基板30を製造する。回路基板30の原料としては、ポリアクリレート系の液晶ポリマーフィルム材の裏面に電解銅膜を面圧成型によってラミネートし、この銅膜上にニッケルメッキ及び金メッキを施した基材を用いる。この基材に、配線パターン33、はんだボールリング34、外周縁リング35、液絡部外周リング36、島状部37及びダミーパターン38の相当部分をマスクしてから銅膜をエッチング除去し、イオン感応部露出開口31及び液絡部露出開口32をプレス抜きして、回路基板30を得る。
【0085】
この回路基板30の配線パターン33の各導通箇所及びはんだボールリング34に低温鉛フリーはんだペーストを塗布し、ISFETチップ10、サーミスター20、コンデンサー25及び外部導通部材80の各導通箇所を配線パターン33の各対応する導通箇所に載置し、はんだボール75をはんだボールリング33に載置する。このはんだボール75は、回路基板30の所定平面位置に位置決めしておく。この状態で180〜200℃で加熱すると低温鉛フリーはんだペーストが溶融するので、この低温鉛フリーはんだペーストが上記導通箇所同士及びはんだボール75とはんだボールリング34を接合する。この場合、はんだボール75は、融点220℃の鉛フリーのはんだであるので、上記加熱時にボールの径は変化しない。またISFETチップ10は、基準電極R、ソース電極S及びドレイン電極Dが各対応する配線パターン33に接合し、イオン感応部11がイオン感応部露出開口31から露出している状態で、回路基板30のイオン感応部露出開口31の外側領域裏面に仮固定される。
【0086】
次に、図5のように、回路基板30のイオン感応部露出開口31を形成する内縁部31aとISFETチップ10のイオン感応部11の外周縁11aとに前述のエポキシ熱硬化性接着材の液状物を塗布し、加熱硬化して封止リング部60を形成する。この加熱温度は、上記はんだペースト塗布部の接合温度の180〜200℃よりも低く、120℃程度である。なお、上記エポキシ熱硬化性接着材の液状物を塗布する際は、イオン感応部11の露出面を狭くしないようにイオン感応部露出開口31を形成する内縁部31a付近に留める。また上記エポキシ熱硬化性接着材の液状物は、図4の図示のように、ISFETチップ10上面と回路基板30裏面との隙間に十分充填し、しかもISFETチップ10の側壁全周に切れ目なく充填する。したがって、封止リング部60は、イオン感応部露出開口31を形成する内縁部31aとイオン感応部11の外周縁付近、ISFETチップ10上面と回路基板30裏面との隙間及びISFETチップ10の側壁全周に形成される。
【0087】
次に、図4図示のように、液絡部50が、射出成形で製造されたケース部40の液絡部挿入部45に圧入保持される。前後して、基準電極板55がケース部40に取り付けられ、電解液53がケース部40の電解液収納室46に注入される。この状態のケース部40の対向面42に、第1接着材層65のエポキシ樹脂系の液状物を塗布する。対向面42の上方から前述の回路基板30を載置する。その場合、回路基板30の液絡部露出開口32に液絡部50を嵌め込み、はんだボール75をケース部40のはんだボール位置決め孔43に挿入する。したがって、回路基板30は、ケース部40に対し平面方向に位置決めされる。この状態で、回路基板30の表面をケース部40側に押圧装置で押圧する。この押圧により、回路基板30の外周縁リング35及び液絡部リング36がケース部40の対向面42に実質的に密着する。この押圧を維持した状態で加熱する。加熱温度は、120℃程度である。この加熱温度は、上記はんだペースト塗布部の接合温度の180〜200℃よりも低い。この加熱により第1接着材層65の液状物が硬化し第1接着材層65が形成され、回路基板30がケース部40に接合される。
【0088】
以上のように回路基板30がケース部40に接合された状態では、第1接着材層65は、回路基板30の裏面側にも形成される。その場合、外周縁リング35及び液絡部リング36は、ケース部40の対向面42に実質的に密着する。上記第1接着材層65は、回路基板40の外周側壁30aにも図9のように形成される。
【0089】
次に外周側壁30aに形成された第1接着材層65上に第2の接着材70の液状物を塗布し120℃程度で加熱硬化し、図9のように第2接着材層70が得られる。なお、ケース部40の電解液収納室46に電解液53を収納する時期は、上記全ての工程が終了した後、実際の使用直前でもよく、あるいは第1接着材層65の液状物を塗布する前に行ってもよい。
【0090】
実施形態1のイオンセンサー装置2によれば、次の作用効果を有する。
【0091】
(イ)回路基板30のイオン感応部露出開口31を形成する内縁部31aとISFET10のイオン感応部11の外周縁11aが封止リング部60により封止されており、外周縁リング35及び液絡部外周リング36とケース部40の対向面42とが各々実質的に密着していることにより、外周縁リング35の内側領域であり封止リング部60の外側領域でありかつ液絡部外周リング36の外側領域に該当する平面領域において、回路基板30の裏面及びISFET10の裏面とケース部40との間には、薬液存在側外部と密閉された密閉部Mが形成される。
このため、薬液の測定対象が、密閉部Mの内部に侵入することがない。したがって、密閉部Mに配置されている電気的導通部の絶縁低下を防止することができる。特に、電気的導通部である、配線パターン33、サーミスター20、コンデンサー25の各々同士、及び配線パターン33とサーミスター20、コンデンサー25及び外部導通部材80との導電箇所のショートを防止することができる。さらにそれら電気的導通部の腐食あるいは変質を防止することができる。このため、薬液のイオン濃度対応値であるpH対応値を正確に検出可能であり、長期に渡って信頼性の高いpH対応値を検出を可能とするイオンセンサー装置2及びイオン濃度測定装置1を得ることができる。
【0092】
(ロ)外周縁リング35及び液絡部外周リング36が配線パターン33と同一の材料で同一厚に形成されているので、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の厚さを均一に形成でき、製造も容易である。このため、外周縁リング35及び液絡部外周リング36とケース部40の対向面42との密着性が安定する。また配線パターン33の配置領域、外周縁リング35の配置領域及び液絡部外周リング36の配置領域において、回路基板30の高さが同一化し、ケース部40の各対向面42に対する外周縁リング35及び液絡部外周リング36の密着度がより高まり安定する。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0093】
(ハ)外周縁リング35及び液絡部外周リング36は、配線パターン33の最小幅より幅狭に形成されているため、配線パターン33は、安定的な導電性を確保でき、同時に、外周縁リング35及び液絡部外周リング36は、ケース部40の対向面42に対し密着良好となる。
すなわち、一方では、配線パターンは、確実な導電性確保の観点から一定幅以上のパターン幅を必要とする。他方では、外周縁リング35及び液絡部外周リング36は、幅広にしすぎるとケース部40の対向面42と密着しにくく部分的な隙間が生じやすくなる。そこで、外周縁リング35及び液絡部外周リング36は、ある程度幅狭に形成することが好ましい。このため、回路基板30を対向面42に押圧して上記密着を行わせようとする際、幅狭な外周縁リング35及び液絡部外周リング36に上記押圧時の圧力が集中し、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の全周がケース部40の対向面42に確実に密着する。したがって、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0094】
また外周縁リング35及び液絡部外周リング36の表面には、図11のように、金膜33cが被覆されている。この金膜33cは、接着材(特にエポキシ樹脂系接着材)を付きにくくする性質があるため、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の幅が狭いと、その表面からより除去されやすくなる。このため、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と前記対向面42との間の第1接着材層65を排除し、両者が直接接触しやすくする。
【0095】
(ニ)回路基板30は、フレキシブル回路基板であり柔軟性を有するので、外周縁リング35及び液絡部外周リング36がケース部40の対向面42に密着し易くなる。特に、上記密着のためには回路基板30が前記対向面42に押圧されるが、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と前記対向面42が多少歪んでいても、外周縁リング35及び液絡部外周リング36は、柔軟性ある回路基板30によりその歪みに順応可能である。このため、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と前記対向面42とが密着し易くなり、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0096】
(ホ)外周縁リング35は、回路基板30の外周側壁30aから所定距離だけ内側領域に配置され、液絡部外周リング36は、液絡部露出開口32を形成する内縁部32aから所定距離だけ外側領域に配置されている。
そこで、回路基板30をケース部40に接合する際に回路基板30に加わる押圧力により、上記所定距離に対応する回路基板30の外周側壁30aの近傍裏面側には外周縁リング35が不在のため、外周側壁30aの近傍部分がケース部40側に食い込むように変形し、この状態で接合される。このため、外周縁リング35と前記対向面42との密着度が高まる。しかも回路基板30の上記所定距離に相当する外周側壁30a近傍部分はケース部40側に食い込んだ状態で接合されるので、回路基板30の外周側壁30aが剥離されにくくなる。
【0097】
同様に、回路基板30に加わる前記押圧力により、上記所定距離に相当する回路基板30の液絡部露出開口32を形成する内縁部32aの近傍裏面側には液絡部外周リング36が不在のため、この内縁部32aの近傍部分がケース部40側に食い込むように変形し、この状態で接合される。このため、液絡部外周リング36と前記対向面42との密着度が高まる。しかも回路基板30の上記所定距離に相当する内縁部32a部分はケース部40側に食い込んだ状態で接合されるので、回路基板30の液絡部露出開口32を形成する前記内縁部32aが剥離されにくくなる。
【0098】
(ヘ)ケース部40は合成樹脂材からなり、ケース部40の対向面42の面粗さは、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の面粗さよりも粗く形成されている。このため、回路基板30をケース部40に接合する際に回路基板30がケース部40に押圧される際に、合成樹脂材からなるケース部40の前記対向面42に形成された多数の微細な凸部が外周縁リング35及び液絡部外周リング36の金属膜によりつぶれ塑性変形する。このため、外周縁リング35の金属膜と前記対向面42はより確実な密着状態になる。
【0099】
一方、前記対向面42には微細な凸部に隣接して凹部も多数形成されているから、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と前記対向面42との間に接着材が介在したとしても、上記接着材が上記凹部に逃げ込むことができる。このため、外周縁リング35及び液絡部外周リング36と対向面42との間に接着材が介在することがほぼなくなり、両者の密着状態がより高まる。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0100】
(ト)外周縁リング35及び液絡部外周リング36が配置されていない密閉部Mに該当する回路基板30の平面領域には島状部37が形成されているので、当該平面領域における回路基板30のケース部40側への変形を防止することができる。このため、回路基板30の平面領域全体において前記対向面42に対する平行度が確保でき、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の前記対向面42への傾きが防止され、両者の密着度がより高まる。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0101】
(チ)配線パターン33と対向配置されたダミーパターン38とにより、ISFETチップ10を回路基板30に対し平行配置することができる。すなわち、ISFETチップ10のイオン感応部11が傾斜しないので、イオン濃度対応値を正確に検出可能となる。
しかも、回路基板30のイオン感応部露出開口31を形成する内縁部31aにおいて、ISFETチップ10とイオン感応部露出開口31との厚さ方向での隙間が安定するので、封止リング部60がイオン感応部露出開口31の全周にわたって安定して構成される。このため、封止リング部60により、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0102】
(リ)回路基板30の外周縁はケース部40の外周縁と第1接着材層65及び第2接着材層70で接合されているので、その内側領域に配置されている外周縁リング35にはほとんど外力が働くことがない。このため、回路基板30の外周縁は、落下やぶつけ等の外力が働いても剥離されにくくなり、外周縁リング35とケース部40の対向面42の密着性を長期にわたって確保することが出来る。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0103】
(ヌ)回路基板30は、はんだ接合されたはんだボール75によってケース部40に位置決めされる。このため、回路基板30はケース部40に対する所定平面位置に確実に位置決めされる。したがって、外周縁リング35及び液絡部外周リング36とケース部40の対向面42の接触位置が変動することがなく安定するので、両者の密着性を長期にわたって確保することが出来る。このため、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0104】
(ル)イオン濃度測定装置1は、上記したイオンセンサー装置2と、イオンセンサー装置2に測定対象のイオン濃度対応値を検出させてイオン濃度測定結果のpH値を出力する測定出力制御部とを備えたので、薬液の測定対象流体が内部に侵入することを防止し、正確なイオン濃度を測定可能なイオン濃度測定装置1をもたらすことができる。
【0105】
〔変形例1〕
実施形態1では、回路基板30の裏面に配線パターン33が形成され、この配線パターン33の一端が、ISFETチップ10の各電極R、S、Dに導通接続し、またはサーミスター20やコンデンサー25に接続し、他端が外部導通部材80に導通接続するものであった。実施形態1の変形例1は、配線パターンを回路基板30の裏面に配置せず、他の導電手段によりISFETチップ10の各電極やサーミスター20やコンデンサー25と外部導通部材80とを導通接続するものである。
例えば、配線パターンを回路基板30の内層に埋設し、配線パターンの一端を、裏面側に露出させてISFETチップ10の各電極R、S、Dに導通接続し、サーミスター20やコンデンサー25に導通接続し、配線パターンの他端をも裏面側に露出させて外部導通部材80に導通接続する。上記裏面側に露出させるのは、回路基板30の該当箇所にスルーホールを開け、スルーホールに埋め込んだ導電性部材を用いる。したがって、回路基板に埋め込まれた配線パターンの電気ショートは、確実に防止される。上記配線パターンの他に、導電ワイヤーを用いてISFETチップ10の各電極、サーミスター20やコンデンサー25と外部導通部材80に導通接続してもよい。
【0106】
〔実施形態2〕
実施形態1は、回路基板30の裏面にサーミスター20、コンデンサー25等の電子回路部品を取り付けていた。実施形態2は、回路基板の裏面に、前記電子回路部品を取り付けない点で実施形態1と異なる。前記電子回路部品は、図1に図示された装置基部3もしくは制御装置5に配置される。その他は、基本的には実施形態1と同様である。
【0107】
図12は、実施形態2におけるイオンセンサー装置102の平面図である。
図12において、回路基板130の裏面には、実施形態1と同様にISFETチップ10が取り付けられ、さらにISFETチップ10の基準電極R、ソース電極S及びドレイン電極Dに一端側が導通接続する各々の配線パターン133が配設されている。各々の配線パターン133の他端側は、ほぼ一箇所に集合して他端群133dを構成している。この他端群133dにおいて、外部導通部材80と導通接続している。
【0108】
各配線パターン133は、外周縁リング135の内側領域であり封止リング部60の外側領域でありかつ液絡部外周リング136の外側領域に該当する平面領域に配置されている。前記外周縁リング135及び前記液絡部外周リング136は、回路基板133が前記ケース部40に保持された際に、回路基板133の裏面に対向するケース部40の対向面42に密着している。したがって、各配線パターン133は、密閉部Mの平面領域に配置されている。
【0109】
このため、実施形態2によれば、実施形態1で得られた作用効果の(ロ)〜(ル)と同様の作用効果を有する他、(ヲ)を有する。
【0110】
(ヲ)回路基板130のイオン感応部露出開口31を形成する内縁部31aとイオン感応部11の外周縁11aが封止リング部60により封止されており、外周縁リング135及び液絡部外周リング136とケース部40の対向面42とが各々実質的に密着していることにより、外周縁リング135の内側領域であり封止リング部60の外側領域でありかつ液絡部外周リング136の外側領域に該当する平面領域において、回路基板130の裏面及びISFET10の裏面とケース部40との間には、薬液存在側である外部と密閉された密閉部Mが形成される。
このため、薬液の測定対象が、密閉部Mの内部に侵入することがない。したがって、密閉部Mに配置されている電気的導通部に係わる絶縁低下を防止することができる。特に、電気的導通部である、配線パターン133同士、及び配線パターン133の他端群133dと外部導通部材80との導電箇所のショートを防止することが可能である。さらにはそれら電気的導通部の腐食あるいは変質を防止することができる。このため、薬液のイオン濃度対応値であるpH対応値を正確に検出可能であり、長期に渡って信頼性の高いpH対応値を検出可能とするイオンセンサー装置2及びイオン濃度測定装置1を得ることができる。
【0111】
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136とケース部40の対向面42とが各々実質的に密着しているとは、次の状況を意味する。上記実質的に密着しているとは、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136と前記対向面42とが、各々直接に接触している場合を含むが、その他、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136と前記対向面42との間に、回路基板30、130をケース部40に接合する接着材(第1接着材層65等)及び封止リング部60が極めて薄く介在する場合も含む。要するに、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136とケース部40の対向面42とが互いに対向しており、この対向状態が、回路基板30をケース部40に固定する固定手段で維持されることにより、測定対象流体がイオンセンサー装置2の密閉部Mの内部に侵入しない状態が保持されていることを意味する。
【0112】
〔変形例2〕
上記各実施形態において、外周縁リング35及び液絡部外周リング36は、平面形状がほぼ円形であった。変形例2は、外周縁リング35及び液絡部外周リング36の平面形状を非円形に構成したものである。図13は、外周縁リング235の平面図である。図13の外周縁リング235は、平面形状が凹凸形状である。このため、凹凸形状の外周縁リング235とケース部40の対向面42との密着長さが長くなり、薬液の侵入力に対する密着部の抵抗力を高めることができる。このため、薬液が密閉部Mの内部に侵入することをより確実に阻止することができる。
【0113】
〔変形例3〕
上記各実施形態において、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136は、1つのリングであった。変形例3は、外周縁リング35、135と液絡部外周リング36、136の少なくとも一方を、平面配置において多重のリングで構成するものである。例えば、内側リングの外側に外側リングを配置する2重リングでもよく、さらにその外側に他のリングを配置する3重リングでもよい。外周縁リング35、135と液絡部外周リング36、136は、同じリング数にすることも、異なるリング数とすることもできる。例えば、外周縁リング35、135を2重にし、液絡部外周リング36、136を1重とすることも可能である。外周縁リング35、135と液絡部外周リング36、136の少なくとも一方を、多重のリングで構成すると、ケース部40の対向面42に密着するリング数が増え、その分、イオンセンサー装置2、102の密閉部Mがより密閉状態となる。このため、薬液等の測定対象である流体が、配線パターン33、133を配置しているイオンセンサー装置2、102の密閉部Mの内部に侵入することをより防止することができる。
【0114】
〔変形例4〕
上記各実施形態において、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136は、配線パターン33、133、島状部37及びダミーパターン38と同じ金属で構成され、厚さも同じものであった。変形例4は、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136が、配線パターン33、133、島状部37及びダミーパターン38の少なくとも1つとは異なる金属または厚さで構成されるものである。その様な構成にすると、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136は、配線パターン33、133、島状部37及びダミーパターン38に影響されず独自に材質、高さを設定することができる。このため、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136とケース部40の対向面42との密着性を最良にすることができる。例えば、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136の厚さを、他よりも厚く形成すると、回路基板30,130が対向面42側に押圧される際に、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136には他の部分よりも高圧がかるため、外周縁リング35、135及び液絡部外周リング36、136が対向面42により確実に密着する。
【0115】
〔変形例5〕
上記各実施形態において、回路基板30、130は、フレキシブル回路基板であった。変形例5は、回路基板をフレキシブル性が殆ど認められない材料を用いている。変形例5の回路基板は、例えば無機ガラスを用いる。無機ガラスを用いれば、強度が強く、耐薬品性に優れるので多種類の測定対象のイオン濃度を検出することが出来る。測定対象によっては、ガラス繊維入りエポキシ樹脂を回路基板に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のイオンセンサー装置は、検出対象のイオン濃度対応値を検出するものである。イオン濃度対応値は、例えば薬液のpH値または電気伝導度の対応値を検出し、気体のにおいの対応値または排気ガス中の特定含有物質濃度の対応値を検出する。前記イオン濃度対応値は、例えば、測定対象のイオン濃度に応じてイオンセンサーチップのソース電極とドレイン電極の間に生じる電圧値またはその間に流れる電流値等である。
【0117】
本発明のイオン濃度測定装置は、本発明のイオンセンサー装置を用いて、測定対象のイオン濃度を測定するものである。このイオン濃度測定装置は、例えば薬液のpH測定器、電気伝導度測定器、気体のにおい測定器、排気ガス中の特定含有物質濃度測定器等に適用可能である。
なお、各実施形態及び各変形例では、イオンセンサーチップ(ISFETチップ10)を用いていたが、このISFETチップ10に代えて他の高絶縁性を必要とする他のセンサーを用い、それ以外は、各実施形態及び各変形例と同様の構造とすることも可能である。上記他のセンサーを例示すれば、電気伝導率センサー、溶存酸素濃度センサー及び塩分濃度センサー等であり、例えば水質測定用センサー装置に適用される。
【符号の説明】
【0118】
1・・・イオン濃度測定装置、2、102・・・イオンセンサー装置、3・・・装置基部、4・・・接続コード、5・・・制御装置、6・・・表示部、7・・・操作部、10・・・ISFETチップ、11・・・イオン感応部、11a・・・外周部、20・・・サーミスター、21・・・サーミスターの接続リード、25・・・コンデンサー、30、130・・・回路基板、30a・・・外周側壁、30b・・・液晶ポリマーフィルム材、31・・・イオン感応部露出開口、31a・・・イオン感応部露出開口を形成する内縁部、32・・・液絡部露出開口、32a・・・液絡部露出開口を形成する内縁部、33、133・・・配線パターン、33a・・・銅膜、33b・・・ニッケル膜、33c・・・金膜、33d、133d・・・他端群、34・・・はんだボールリング、35、135、235・・・外周縁リング、36、136・・・液絡部外周リング、37・・・島状部、38・・・ダミーパターン、40・・・ケース部、41・・・ISFETチップ受容窪み、42・・・対向面、42a・・・対向面の外縁、43・・・はんだボール位置決め孔、44・・・外周接着材保持窪み、44a・・・垂直壁、44b・・・傾斜面、45・・・液絡部挿入部、46・・・電解液収納室、50・・・液絡部、53・・・電解液、55・・・基準電極板、60・・・封止リング部、65・・・第1接着材層、70・・・第2接着材層、75・・・はんだボール、80・・・外部導通部材、501・・・イオンセンサー、510・・・絶縁フィルム、510a・・・イオン感応窓、510b・・・液絡穴、511・・・導体箔、520・・・ISFETチップ、520b・・・イオン感応部、530・・・補強板、530a・・・チップ取付用開口部、530b・・・液絡用穴、535・・・絶縁樹脂、540・・・液絡部、560・・・飽和KCl、570・・・擬似電極、R・・・ISFETチップの基準電極、S・・・ISFETチップのソース電極、D・・・ISFETチップのドレイン電極、L1・・・ケース部外周の垂直壁が回路基板外周側壁から外側に突出している突出長さ、L2・・・外周縁リングの外周縁と回路基板の外周側壁との距離、L3・・・液絡部外周リングの内周縁と液絡部露出開口を形成する内縁部との距離、B1・・・配線パターンの幅、B2・・・外周縁リングの幅、B3・・・液絡部外周リングの幅、M・・・密閉部、t・・・配線パターンの厚さ、α・・・イオンセンサー装置の先端部分がイオンセンサー装置の底辺に対し傾斜した角度、β・・・ケース部外周の傾斜面の傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン感応部を有するイオンセンサーチップと、
裏面に前記イオンセンサーチップを保持するとともに、前記イオン感応部を露出させるイオン感応部露出開口及び液絡部露出開口が形成された回路基板と、
前記回路基板を保持するケース部と、
前記液絡部露出開口から一端が露出する状態で前記ケース部に配置された液絡部とを備え、
前記回路基板の前記イオン感応部露出開口を形成する内縁部と前記イオン感応部の外周縁とは封止リング部により封止され、
前記回路基板は、最外周縁の近傍裏面に金属膜からなる外周縁リング及び前記液絡部露出開口を形成する内縁部の近傍裏面に金属膜からなる液絡部外周リングが形成されており、
前記回路基板が前記ケース部に保持された際に、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングが前記回路基板の裏面に対向する前記ケース部の対向面に実質的に密着されることにより、前記外周縁リングの内側領域であり前記封止リング部の外側領域でありかつ前記液絡部外周リングの外側領域に該当する平面領域において前記回路基板の裏面及び前記イオンセンサーチップの裏面とケース部との間には、外部密閉された密閉部が形成されており、
前記密閉部には、電気的導通部が配置されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたイオンセンサー装置であって、
前記電気的導通部は、前記回路基板の裏面に配置された金属膜からなる配線パターンであることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたイオンセンサー装置であって、
前記電気的導通部は、前記回路基板の裏面に保持された電子回路部品であることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載されたイオンセンサー装置であって、
前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングは、前記配線パターンと同一の材料で同一厚に形成されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、
前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングは、前記配線パターンの最小幅より幅狭に形成されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、
前記回路基板は、フレキシブル回路基板であることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたイオンセンサー装置であって、
前記外周縁リングは、前記回路基板の外周側壁から所定距離だけ内側領域に配置され、前記液絡部外周リングは、液絡部露出開口を形成する前記内縁部から所定距離だけ外側領域に配置されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、
前記ケース部は合成樹脂材からなり、前記ケース部の前記対向面の面粗さは、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングの面粗さよりも粗く形成されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、
前記回路基板の裏面には、前記外周縁リング及び前記液絡部外周リングと同一厚で同一金属膜からなり、前記外周縁リングの内側領域において前記ケース部の対向面に接触可能な平面位置に配置され、どの導通部材とも導通しない島状部を有し、当該島状部が前記対向面に接触していることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項10】
請求項2から請求項9のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、
前記回路基板における前記イオン感応部露出開口を形成する前記内縁部の近傍裏面であり、前記イオン感応部露出開口を挟んだ前記配線パターンの対向側に、前記配線パターンと同一厚の金属膜からなるダミーパターンが形成されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置であって、
前記回路基板に接合され、かつ前記回路基板を前記ケース部に位置決めするための金属ボールをさらに備えており、
前記金属ボールは、前記ケース部の所定位置に形成された金属ボール位置決め孔に挿入されていることを特徴とするイオンセンサー装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうちいずれかに記載されたイオンセンサー装置と、前記イオンセンサー装置にイオン濃度対応値を検出させてイオン濃度測定結果を出力する測定出力制御部とを備えたことを特徴とするイオン濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−237615(P2012−237615A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105972(P2011−105972)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)