説明

イオン交換装置

【課題】再生レベルを低く抑え、高純度の処理水を実用的な採水量の範囲で得、破砕したイオン交換樹脂等の夾雑物が処理水中に混入することを抑制できるイオン交換装置を提供する。
【解決手段】原水W1を頂部配液部241へ配液しながら、底部集液部242で集液することにより原水W1の下降流を生成して、処理水W2を製造する水処理プロセスの水の流れ;再生液W4を頂部配液部241へ配液しながら、底部集液部242で集液することにより再生液W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる第1再生プロセスの再生液W4の流れ;及び、再生液W4を底部配液部242へ配液しながら、中間部集液部243で集液することにより再生液W4の上昇流を生成して、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる第2再生プロセスの再生液W4の流れを切り換え可能なバルブ手段3と、処理水W2中の夾雑物を捕捉するストレーナ33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬水軟化装置などのイオン交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水道水や地下水などの原水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)や硝酸性窒素(硝酸イオン及び亜硝酸イオン)等をイオン交換樹脂により吸着して除去するイオン交換装置が知られている。これらのイオン交換装置のうち、陽イオン交換樹脂を使用して原水中の硬度成分をナトリウムイオンやカリウムイオンへ置換するものは、通常、硬水軟化装置と呼ばれる。一方、イオン交換装置のうち、陰イオン交換樹脂を使用して原水中の硝酸性窒素を塩化物イオンへ置換するものは、通常、硝酸性窒素除去装置と呼ばれる。
【0003】
硬水軟化装置においては、構造がシンプルであるという理由で並流再生を採用しているものが多い。しかしながら、並流再生は、水処理プロセス(水軟化プロセス)での硬度リークレベルが比較的高いため、処理水である軟水を使用するボイラ等の機器においてスケール障害が発生しやすい。そのため、高純度の処理水を得るために、再生レベル(イオン交換樹脂1リットルあたりの再生剤使用量)を高く設定する必要がある。
【0004】
並流再生に対して、向流再生は、硬度リークレベルが低いため、処理水の純度の低下の課題を解消できる。しかしながら、向流再生を行うイオン交換装置においては、再生プロセス中にイオン交換樹脂床が流動しないように、イオン交換樹脂床を保持するために、各種の複雑な技術を必要とする。
【0005】
これに対して、特許文献1、2に開示されたスプリット・フロー再生は、並流再生及び向流再生の課題を同時に解決できる。すなわち、スプリット・フロー再生を行うイオン交換装置によれば、再生レベルを低く抑えつつ、高純度の処理水を実用的な採水量の範囲で得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/23796号
【特許文献2】特開2008−55392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、スプリット・フロー再生を行うイオン交換装置では、イオン交換樹脂床の直径Dに対する深さHの比率(H/D)が小さくなると、所期の採水量が得られないという現象がしばしば見られる。これは、イオン交換樹脂床内に設置した中間部集液部から径方向に離れた部分で、再生液が流れにくい部分が存在するからである。この問題を解決するため、本出願人は、先に国際出願PCT/JP2010/003179号において、並流再生と部分向流再生とからなる二段再生を行うイオン交換装置を提案した。
【0008】
ところで、イオン交換装置においては、処理水の用途に、飲料水や食品加工用水が含まれる場合が多い。イオン交換樹脂は、使用初期においては十分な強度が保たれているが、使用期間が長くなると、酸化劣化などにより次第に強度が低下し、破砕することがある。そして、破砕したイオン交換樹脂が処理水中に混入すると、飲料水や食品の風味を損なったり、人体に対する安全性を損なったりするおそれがある。このため、イオン交換装置においては、再生レベルを低く抑えつつ、高純度の処理水を実用的な採水量の範囲で得るだけでなく、更に改良が望まれている。
【0009】
本発明は、再生レベルを低く抑えつつ、高純度の処理水を実用的な採水量の範囲で得ると共に、破砕したイオン交換樹脂等の夾雑物が処理水中に混入することを抑制することができるイオン交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、イオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、前記イオン交換樹脂床を再生する再生液が貯留される再生液タンクと、前記圧力タンクと前記再生液タンクとを接続する再生液供給ラインと、前記イオン交換樹脂床の頂部に設けられる頂部配液部と、前記イオン交換樹脂床の底部に設けられる底部配液部と、前記イオン交換樹脂床の底部に設けられる底部集液部と、前記イオン交換樹脂床の深さ方向の中間部に設けられる中間部集液部と、原水を前記頂部配液部へ配液しながら、前記底部集液部で集液することにより原水の下降流を生成して、処理水を製造する水処理プロセスの水の流れ;再生液を前記頂部配液部へ配液しながら、前記底部集液部で集液することにより再生液の下降流を生成して、前記イオン交換樹脂床の全体を再生させる第1再生プロセスの再生液の流れ;及び、再生液を前記底部配液部へ配液しながら、前記中間部集液部で集液することにより再生液の上昇流を生成して、前記イオン交換樹脂床の下部を再生させる第2再生プロセスの再生液の流れを切り換え可能なバルブ手段と、前記水処理プロセス、前記第1再生プロセス及び前記第2再生プロセスを順に切り換えるように、前記バルブ手段を制御するバルブ制御手段と、前記圧力タンクに接続され、処理水が流通する処理水ラインと、前記処理水ラインに設けられ、処理水中の夾雑物を捕捉するストレーナと、を備えるイオン交換装置に関する。
【0011】
また、前記ストレーナは、前記バルブ手段の内部に設けられることが好ましい。
【0012】
また、前記バルブ制御手段は、前記第1再生プロセス及び/又は前記第2再生プロセスの実施に基づいて、前記バルブ手段を制御することが好ましい。
【0013】
また、前記バルブ制御手段は、前記ストレーナを通過する処理水の積算流通量、積算流通時間及び圧力損失の変化のうちのいずれか1つ以上に基づいて、前記バルブ手段を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、再生レベルを低く抑えつつ、高純度の処理水を実用的な採水量の範囲で得ると共に、破砕したイオン交換樹脂等の夾雑物が処理水中に混入することを抑制することができるイオン交換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。
【図2】プロセス制御バルブ3により実行されるプロセスを示すフローチャートである。
【図3】再生プロセス及び押出プロセスの詳細なフローチャートである。
【図4】各プロセスにおけるプロセス制御バルブ3の開閉状態を示す図である。
【図5】(A)〜(D)は、各プロセスにおける流体の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。図2は、プロセス制御バルブ3により実行されるプロセスを示すフローチャートである。図3は、再生プロセス及び押出プロセスの詳細なフローチャートである。図4は、各プロセスにおけるプロセス制御バルブ3の開閉状態を示す図である。図5(A)〜(D)は、各プロセスにおける流体の流れを示す図である。
【0017】
硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水などの原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンやカリウムイオンへ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器などに接続される。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の硬水軟化装置1は、主として、圧力タンク2と、バルブ手段としてのプロセス制御バルブ3と、再生液タンクとしての塩水タンク4と、バルブ制御手段を含む制御部5と、を備えて構成される。
【0019】
圧力タンク2は、圧力タンク本体21と、蓋部材22とを備える。
圧力タンク本体21は、上部に開口部を有する有底の筒状体であり、処理材である陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211を収容する。
イオン交換樹脂床211は、特定の構成に制限されない。例えば、イオン交換樹脂床211は、ケイ石や不活性樹脂からなる支持床上に積層されていてもよい。
蓋部材22は、圧力タンク本体21の上部の開口部を閉鎖する。蓋部材22には、プロセス制御バルブ3が一体的に装着されている。
圧力タンク2の詳細については後述する。
【0020】
また、詳細については後述するが、プロセス制御バルブ3は、少なくとも、原水W1を圧力タンク2の頂部スクリーン(頂部配液部)241へ配液しながら、底部スクリーン(底部集液部)242で集液することにより原水W1の下降流を生成して、処理水である軟水W2を製造する水処理プロセスST1の水(原水W1、軟水W2)の流れ;
再生液である塩水W4を圧力タンク2の頂部スクリーン(頂部配液部)241へ配液しながら、底部スクリーン(底部集液部)242で集液することにより塩水W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる第1再生プロセスST4の塩水W4の流れ;及び、
塩水W4を圧力タンク2の底部スクリーン(底部集液部)242へ配液しながら、中間部集液部(中間部)243で集液することにより塩水W4の上昇流を生成して、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる第2再生プロセスST6の塩水W4の流れを切り換え可能なバルブである。
【0021】
塩水タンク4は、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W4を貯留する。再生液は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置では、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液などを利用できる。塩水タンク4の詳細については後述する。
【0022】
圧力タンク2について、更に説明する。蓋部材22は、流体の供給及び排出を行う第1蓋流路221、第2蓋流路222及び第3蓋流路223を有する。これらの各蓋流路221、222、223は、後述するように、プロセス制御バルブ3を構成する各種ラインとそれぞれ接続されている。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0023】
圧力タンク2内において、蓋部材22の下面側であってイオン交換樹脂床211の頂部には、樹脂ビーズの流出を防止する頂部スクリーン241が設けられている。頂部スクリーン241は、樹脂ビーズよりも小さな多数の開孔を有する(後述する底部スクリーン242及び中間部スクリーン243も同様。)。第1蓋流路221は、頂部スクリーン241を介して、圧力タンク2内と連通する。頂部スクリーン241による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の頂部付近に設定される。頂部スクリーン241は、イオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部配液部、及びイオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部集液部として機能する。
【0024】
圧力タンク2内において、第2蓋流路222には、圧力タンク本体21の底部付近へ延びる第1集配液管231が接続されている。第1集配液管231の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する底部スクリーン242が設けられている。第1集配液管231は、第2蓋流路222と連通する。底部スクリーン242による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の底部付近に設定される。底部スクリーン242は、イオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部配液部、及びイオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部集液部として機能する。
【0025】
圧力タンク2内において、第3蓋流路223には、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近へ延びる第2集配液管232が接続されている。第2集配液管232の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する中間部スクリーン243が設けられている。第2集配液管232は、第3蓋流路223と連通する。中間部スクリーン243による集水位置は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近に設定される。つまり、中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる。中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる中間部集液部として機能する。中間部スクリーン243による集水位置は、中間部スクリーン243における開孔のうち、最も下側の開孔と定義する。
【0026】
第2集配液管232の内径は、第1集配液管231の外径よりも大径に設定されている。第1集配液管231及び第2集配液管232の軸芯は、いずれも圧力タンク2の軸芯と同軸上に設定されている。すなわち、第1集配液管231及び第2集配液管232は、第1集配液管231が内管に設定され且つ第2集配液管232が外管に設定された二重管構造を形成して、圧力タンク2に装着されている。
【0027】
第1蓋流路221には、プロセス制御バルブ3を介して原水ラインL1が接続されている。第2蓋流路222には、プロセス制御バルブ3を介して、処理水ラインとしての軟水ラインL2が接続されている。第3蓋流路223には、第5排水ラインL55が接続されている。第5排水ラインL55は、プロセス制御バルブ3の内部において、第1排水ラインL51の接続部J51に接続されている。原水ラインL1、軟水ラインL2及び第1排水ラインL51は、プロセス制御バルブ3の外部まで延びている。すなわち、原水ラインL1、軟水ラインL2及び第1排水ラインL51は、それぞれ、その一部がプロセス制御バルブ3の内部に設けられ、その残部がプロセス制御バルブ3の外部に設けられている。
【0028】
制御部5は、CPU及びメモリを含んで構成される。制御部5は、後述する原水フロースイッチ61、塩水流量計62等からの信号が入力されて、入力された信号などに基づいてプロセス制御バルブ3を制御する。メモリには、本実施形態の硬水軟化装置1の運転を実施する制御プログラムが予め記憶されている。この制御プログラムは、例えば、硬水軟化装置1における水処理プロセスの流路と再生プロセスの流路とを切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御する。詳細には、制御部5は、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST4及び第2再生プロセスST6を順に切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御する。
【0029】
プロセス制御バルブ3は、その内部に、各種のライン、弁等を備える。
具体的には、プロセス制御バルブ3は、ラインとして、原水ラインL1と、軟水ラインL2と、希釈水ラインL3と、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第4塩水ラインL44と、第1排水ラインL51と、第2排水ラインL52と、第3排水ラインL53と、第4排水ラインL54と、第5排水ラインL55と、バイパスラインL6とを備える。原水ラインL1における第1蓋流路221側の一部は、第5塩水ラインL45としても機能する。軟水ラインL2における第2蓋流路222側の一部は、第6塩水ラインL46としても機能する。
【0030】
プロセス制御バルブ3は、弁として、原水通水弁311と、軟水通水弁312と、バイパス弁313と、エゼクタ弁314と、第3排水弁315と、第2排水弁316と、第1排水弁317と、塩水弁318と、第1定流量弁322と、第2定流量弁34とを備える。
また、プロセス制御バルブ3は、エゼクタストレーナ321と、エゼクタ323と、第1オリフィス324と、第2オリフィス325と、軟水ストレーナ33とを備える。
【0031】
原水ラインL1には、原水W1の供給側から第1蓋流路221へ向けて順に、原水フロースイッチ61と、接続部J11と、原水通水弁311と、接続部J12と、接続部J13と、が設けられる。原水ラインL1における接続部J12と第1蓋流路221との間の部分は、第5塩水ラインL45としても機能する。
原水フロースイッチ61は、プロセス制御バルブ3の外部に設けられる。原水フロースイッチ61は、原水W1の流れ(圧力)の有無を検出する。原水フロースイッチ61からの検出信号は、制御部5へ入力される。
【0032】
軟水ラインL2には、第2蓋流路222から軟水W2の供給先へ向けて順に、接続部J21と、軟水ストレーナ33と、軟水通水弁312と、接続部J22と、が設けられる。軟水ラインL2における第2蓋流路222と接続部J21との間の部分は、第6塩水ラインL46としても機能する。
軟水ストレーナ33は、軟水ラインL2を第2蓋流路222から軟水W2の供給先へ向けて流通する軟水W2中の夾雑物(樹脂ビーズの破砕片、ゴミ等)を捕捉する。
【0033】
希釈水ラインL3は、その上流側の端部において、原水ラインL1の接続部J11に接続されると共に、その下流側の端部において、エゼクタ323の一次側に接続される。希釈水ラインL3には、上流側(接続部J11側)から下流側(エゼクタ323側)に向けて順に、エゼクタストレーナ321と、第1定流量弁322と、エゼクタ323と、が設けられる。
【0034】
エゼクタストレーナ321は、原水W1からなる希釈水に含まれる懸濁物質を除去し、第1定流量弁322及びエゼクタ323の詰まりを防止する。第1定流量弁322は、エゼクタ323へ供給する希釈水を所定範囲の流量に調節する。
エゼクタ323には、ノズル部の吐出側において、第1塩水ラインL41の下流側の端部が接続されている。エゼクタ323は、希釈水(原水W1)が前記ノズル部から吐出されるときに発生する負圧を利用して、塩水タンク4から塩水W4(例えば、塩化ナトリウムの飽和水溶液)を吸引可能に構成されている。そして、エゼクタ323において、塩水タンク4からの塩水W4は、希釈水(原水W1)によって、所定濃度(例えば、8〜12重量%)にまで希釈されるようになっている。
【0035】
バイパスラインL6は、接続部J11と接続部J22とを接続する。つまり、バイパスラインL6は、原水ラインL1又は希釈水ラインL3と軟水ラインL2とを接続する。
【0036】
再生液供給ラインは、圧力タンク2と塩水タンク(再生液タンク)4とを接続するラインである。第1実施形態において、再生液供給ラインは、2本形成される。
1本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)とから構成される。2本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第4塩水ラインL44と、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)とから構成される。
【0037】
第1塩水ラインL41の一端部は、塩水タンク4内に配置される。第1塩水ラインL41の他端部は、エゼクタ323の前記ノズル部に接続される。第1塩水ラインL41には、塩水タンク4からエゼクタ323に向けて順に、塩水流量計62と、塩水弁318と、が設けられる。
【0038】
塩水流量計62は、プロセス制御バルブ3の外部に設けられる。塩水流量計62は、第1塩水ラインL41を流通する塩水W4又は補給水としての原水W1の流量を検出する。塩水流量計62からの検出信号は、制御部5へ入力される。塩水流量計62は、双方向の瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサや軸流式流量センサを利用することができる。また、塩水流量計62は、単一方向の瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサを2個使用してもよい。この場合、前記接線式流量センサ及び前記軸流式流量センサ以外にも、カルマン渦式流量センサや電磁式流量センサ等を利用することができる。
【0039】
第3塩水ラインL43の上流側の端部と、第4塩水ラインL44の上流側の端部とは、接続部J41において接続される。第2塩水ラインL42は、エゼクタ323の二次側と接続部J41とを接続する。
【0040】
第3塩水ラインL43の下流側の端部は、接続部J12において第5塩水ラインL45(原水ラインL1)に接続される。第3塩水ラインL43の途中には、第1オリフィス324が設けられる。
第4塩水ラインL44の下流側の端部は、接続部J21において第6塩水ラインL46(軟水ラインL2)に接続される。第4塩水ラインL44には、上流側から下流側に向けて順に、第2オリフィス325と、エゼクタ弁314と、が設けられる。
第1オリフィス324及び第2オリフィス325は、後述する再生プロセス及び押出プロセスにおいて、再生液である塩水W4又は原水W1を第2蓋流路222及び第1蓋流路221に均等に分配するためのものである。
【0041】
第1排水ラインL51の下流側の端部からは、各種の排水W5が排出される。第1排水ラインL51の上流側の端部は、接続部J51において、第2排水ラインL52の下流側の端部及び第5排水ラインL55の下流側の端部に接続される。第2排水ラインL52の上流側の端部は、接続部J52において、第3排水ラインL53の下流側の端部及び第4排水ラインL54の下流側の端部に接続される。第3排水ラインL53の上流側の端部は、接続部J42において、第4塩水ラインL44に接続される。第4排水ラインL54の上流側の端部は、接続部J13において、原水ラインL1(第5塩水ラインL45)に接続される。第5排水ラインL55の上流側の端部は、第3蓋流路223に接続される。
【0042】
第2排水ラインL52の途中には、第2定流量弁34が設けられる。第2定流量弁34は、圧力タンク2から排出されて第2排水ラインL52を流通する排水W5の流量を所定範囲に調節する。
第3排水ラインL53の途中には、第1排水弁317が設けられる。第4排水ラインL54の途中には、第3排水弁315が設けられる。第5排水ラインL55の途中には、第2排水弁316が設けられる。
【0043】
プロセス制御バルブ3において、各種の弁311〜318は、種々の作動機構及び弁構造を採用することができる。具体的には、カム機構により作動されるリフト式又はダイアフラム式の流路開閉弁や、リンク機構により作動されるスライドピストン式の流路開閉弁などが好適である。
【0044】
次に、塩水タンク4について説明する。塩水タンク4は、塩水タンク本体41と、塩水ウェル42と、塩水プレート44とを備える。塩水タンク本体41は、上部が開口した有底の形状を有する。塩水ウェル42は、筒状であり、塩水タンク本体41の内側に配置される。塩水プレート44は、塩水ウェル42の外側において、塩水の貯留部(下方)と、再生塩43(例えば、粒状やペレット状の塩化ナトリウム)の貯蔵部(上方)とを、上下に区画する透水性のプレートからなる。
【0045】
塩水タンク本体41の内側であって且つ塩水ウェル42の内側には、塩水ライン配置空間46が形成される。塩水ライン配置空間46には、第1塩水ラインL41の上流側の端部が配置される。塩水ウェル42の下方の側壁には、連通孔45が設けられる、連通孔45は、塩水の貯留部と塩水ライン配置空間46との間を連通する。そのため、塩水W4又は補給水は、塩水の貯留部と塩水ライン配置空間46との間を自在に流通できる。
【0046】
プロセス制御バルブ3は、図2及び図3に示すプロセスを切り換える。プロセス制御バルブ3は、流路を切り換えながら、以下のプロセスST1〜ST10を順次実施する。
(ST1)原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる水処理プロセス(水軟化プロセス)
(ST2)軟水ストレーナ33を逆洗浄するストレーナ洗浄プロセス
(ST3)洗浄水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して下から上へ通過させる逆洗浄プロセス
(ST4)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1再生プロセス
(ST5)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1押出プロセス
(ST6)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の上部に対して上から下へ通過させると共に、イオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2再生プロセス
(ST7)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の上部に対して上から下へ通過させると共に、イオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2押出プロセス
(ST8)濯ぎ水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させるリンス・プロセス
(ST9)原水W1を塩水タンク4へ供給する補水プロセス
(ST10)原水W1の供給を待機する(水処理)待機プロセス
【0047】
プロセス制御バルブ3における各弁311〜318の開閉は、図4に示すように、プロセスST1〜ST10毎に、制御部5により制御される。その結果、図5に示すように、圧力タンク2内において、プロセスST1〜ST10毎に、流体の流れが生成されるか、あるいは、流体の流れが生成されない。なお、ストレーナ洗浄プロセスST2と逆洗浄プロセスST3との間には、塩水W4の供給を待機する再生待機プロセスが設けられている。
【0048】
図5に示す流体の流れが生成される結果、頂部スクリーン241は、配液部又は集液部として機能する。すなわち、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5、第2再生プロセスST6、第2押出プロセスST7及びリンス・プロセスST8では、頂部スクリーン241は、配液部(頂部配液部)として機能する。また、逆洗浄プロセスST3では、頂部スクリーン241は、集液部として機能する。
【0049】
底部スクリーン242は、配液部又は集液部として機能する。すなわち、逆洗浄プロセスST3、第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7では、底部スクリーン242は、配液部(底部配液部)として機能する。また、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5及びリンス・プロセスST8では、底部スクリーン242は、集液部(底部集液部)として機能する。
【0050】
中間部スクリーン243は、集液部としてのみ機能する。すなわち、第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7において、中間部スクリーン243は、集液部(中間部集液部)として機能する。
【0051】
制御部5のメモリに記憶された制御プログラムは、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5、第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7からなる二段再生を実施するように、プロセス制御バルブ3を制御する。図5に示すように、第1再生プロセスST4では、再生液としての塩水W4を、頂部スクリーン241を介してイオン交換樹脂床211の頂部へ配液しながら、底部スクリーン242を介してイオン交換樹脂床211の底部で集液することにより塩水W4の下降流を生成し、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる。
【0052】
第2再生プロセスST6では、再生液としての塩水W4を、頂部スクリーン241を介してイオン交換樹脂床211の頂部へ配液しながら、中間部スクリーン243を介してイオン交換樹脂床211の中間部で集液することにより塩水W4の下昇流を生成し、イオン交換樹脂床211の上部を再生させる。更に、第2再生プロセスST6では、再生液としての塩水W4を、底部スクリーン242を介してイオン交換樹脂床211の底部へ配液しながら、中間部スクリーン243を介してイオン交換樹脂床211の中間部で集液することにより塩水W4の上昇流を生成し、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。
【0053】
次に、本実施形態に係る硬水軟化装置1の運転方法(動作)について詳細に説明する。以下では、水処理プロセスST1、ストレーナ洗浄プロセスST2、第1再生プロセスST4及び第2再生プロセスST6の動作を中心に説明する。
なお、水処理プロセスST1を除く各プロセスST2〜ST10においては、バイパス弁313が開放している。そのため、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流通する過剰な原水W1は、接続部J12からバイパスラインL6へ流通し、接続部J22及び軟水ラインL2を介して、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0054】
〔水処理プロセスST1〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図4のST1に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水などの原水W1は、原水ラインL1及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。頂部スクリーン241から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程で原水W1の硬度成分はナトリウムイオンへ置換され、原水W1は軟水化される。
【0055】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。その後、軟水W2は、第1集配液管231、第2蓋流路222及び軟水ラインL2を介して、所定の軟水W2の需要箇所へ供給される。そして、所定量の軟水W2を採取することにより、イオン交換樹脂床211が硬度成分を置換できなくなると、再生プロセスを実施する。
【0056】
〔ストレーナ洗浄プロセスST2〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図4のST2に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1、接続部J11、バイパスラインL6、接続部J22、軟水ラインL2、軟水ストレーナ33、接続部J21、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。この過程において、軟水ストレーナ33を二次側から一次側へ流れる原水W1により、軟水ストレーナ33は逆洗浄され、軟水ストレーナ33によって捕捉されていた夾雑物は、原水W1と共に、系外へ排出される。
【0057】
〔再生プロセス〕
再生プロセスは、イオン交換樹脂床211の硬度成分の除去能力(イオン交換容量)を回復させるために、逆洗浄プロセスST3〜補水プロセスST9を順次実施する(図2参照)。これらのプロセスのうち、逆洗浄プロセスST3、リンス・プロセスST8、補水プロセスST9及び待機プロセスST10は、特許文献1、2等に開示されるように周知であるので、その説明を省略する。
【0058】
〔再生プロセス:第1再生プロセスST4〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図4のST4に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
この際、原水W1中の懸濁物質は、エゼクタストレーナ321により除去される。また原水W1の流量は、第1定流量弁322により所定範囲に調節される。
【0059】
エゼクタ323において、原水W1の通過によってノズル部(符号省略)の吐出側で負圧が発生し、第1塩水ラインL41内も負圧となる。その結果、塩水タンク4内の飽和塩水W4は、第1塩水ラインL41を介してエゼクタ323へ吸引される。そして、エゼクタ323内では、飽和塩水W4が原水W1を希釈水として所定濃度まで希釈され、再生液としての塩水W4が調製される。
調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0060】
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の全体を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4は、第1集配液管231、第2蓋流路222、軟水ラインL2、接続部J21、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0061】
第1再生プロセスST4は、いわゆる並流再生である。この並流再生では、図3に示すように、再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量(=再生レベル×イオン交換樹脂床容量)に達すると、処理は終了し、第1押出プロセスST5へ移行する(図3のプロセスST42参照)。
なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量は、以下の関係を有する。
再生剤量=再生液の濃度×再生液の比重×再生液の供給容量 ・・・ (1)
【0062】
〔再生プロセス:第1押出プロセスST5〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図4のST5に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0063】
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第1集配液管231、第2蓋流路222、軟水ラインL2、接続部J21、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0064】
〔再生プロセス:第2再生プロセスST6〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図4のST6に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
【0065】
エゼクタ323において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0066】
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の上部を再生させる。イオン交換樹脂床211の上部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0067】
また、エゼクタ323において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42の接続部J41から分流し、第4塩水ラインL44、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)及び第2蓋流路222を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、第1集配液管231を介して、底部スクリーン242から配水される。
【0068】
底部スクリーン242から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0069】
第2再生プロセスST6は、部分並流再生と部分向流再生とを同時に行ういわゆるスプリット・フロー再生である。部分向流再生では、第1再生プロセスST4では再生されにくいイオン交換樹脂床211の下部が、効率的に再生される。なお、第2再生プロセスST6においてイオン交換樹脂床211の下部の流動は、再生液としての塩水W4の下降流によって抑制される。
図3に示すように、再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量に達すると、処理は終了し、第2押出プロセスST7へ移行する(図3のプロセスST62参照)。
なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量の関係は、上述の(1)式で示した通りである。
【0070】
〔再生プロセス:第2押出プロセスST7〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図4のST7に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
エゼクタ323を通過した原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0071】
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の上部を再生させる。イオン交換樹脂床211の上部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0072】
また、エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42の接続部J41から分流し、第4塩水ラインL44、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)及び第2蓋流路222を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、第1集配液管231を介して、底部スクリーン242から配水される。
【0073】
底部スクリーン242から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0074】
本実施形態の硬水軟化装置1によれば、例えば、以下に示す効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1は、原水W1を頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより原水W1の下降流を生成して、軟水W2を製造する水処理プロセスST1の水の流れ;塩水W4を頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより塩水W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる第1再生プロセスST4の塩水W4の流れ;及び、塩水W4を底部スクリーン242へ配液しながら、中間部スクリーン243で集液することにより塩水W4の上昇流を生成して、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる第2再生プロセスST6の塩水W4の流れを切り換え可能なプロセス制御バルブ3を備える。そのため、本実施形態によれば、再生レベルを低く抑えつつ、高純度の処理水を実用的な採水量の範囲で得ることができる。
【0075】
また、本実施形態の硬水軟化装置1は、軟水ラインL2を流通する軟水W2における夾雑物を捕捉する軟水ストレーナ33を備える。そのため、本実施形態によれば、需要箇所へ供給される軟水W2中に、破砕したイオン交換樹脂等の夾雑物が混入することを抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、軟水ストレーナ33は、プロセス制御バルブ3の内部に設けられる。そのため、本実施形態によれば、軟水ストレーナ33の自動洗浄が容易に可能であり、軟水ストレーナ33に関して省スペース化を図ることができる。
【0077】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、制御部5は、第1再生プロセスST4及び/又は第2再生プロセスST6の実施に基づいて、プロセス制御バルブ3を制御する。そのため、本実施形態によれば、軟水ストレーナ33の洗浄プロセス(ST2)を、再生プロセスに連動させて実施することができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、第2再生プロセスST6において、底部スクリーン242から中間部スクリーン243への上昇流と共に、頂部スクリーン241から中間部スクリーン243への下降流を生成しているが、頂部スクリーン241から中間部スクリーン243への下降流は、必ずしも必要ない。すなわち、第2再生プロセスST6では、イオン交換樹脂床211の下部に対して、部分向流再生が行われさえすればよい。
【0079】
前述の実施形態においては、軟水ストレーナ33は、プロセス制御バルブ3の内部に位置する軟水ラインL2に設けられているが、これに制限されない。例えば、軟水ストレーナ33は、プロセス制御バルブ3の外部であって、軟水ラインL2の途中に設けることができる。この場合、軟水ストレーナ33のメンテナンス(交換、非自動的な洗浄)が容易である。
【0080】
軟水ストレーナ33は、プロセス制御バルブ3の外部における軟水ラインL2に設けられた手動バイパス用の弁(図示せず)に、内蔵させることができる。この場合、軟水ストレーナ33に関して省スペース化を図ることができる。
また、軟水ストレーナ33は、第1集配液管231に内蔵させることができる。この場合、軟水ストレーナ33の自動洗浄が可能であると共に、軟水ストレーナ33に関して省スペース化を図ることができる。
【0081】
前述の実施形態においては、ストレーナ洗浄プロセスST2は、逆洗浄プロセスST3の前に実施しているが、これに制限されない。バルブ制御手段としての制御部5は、再生プロセスST3〜ST8、その他のプロセスの実施に基づいて、プロセス制御バルブ3を制御することができる。
例えば、ストレーナ洗浄プロセスST2は、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5、第2再生プロセスST6、第2押出プロセスST7、リンス・プロセスST8、補水プロセスST9、待機プロセスST10又は水処理プロセスST1のいずれかのプロセスの前に実施することができる。
【0082】
前述の実施形態においては、ストレーナ洗浄プロセスST2は、各プロセスST1〜ST10の1サイクルにおいて毎回実施しているが、これに制限されない。例えば、再生プロセスST3〜ST8を所定回数実施する度に、ストレーナ洗浄プロセスST2を実施することもできる(必ずしも、ストレーナ洗浄プロセスST2を毎回実施する必要はない。)。
【0083】
前述の実施形態においては、バルブ制御手段としての制御部5は、再生プロセスST3〜ST8の実施に基づいて、プロセス制御バルブ3を制御しているが、これに制限されない。バルブ制御手段としての制御部5は、軟水ストレーナ33を通過する処理水(軟水W2)の積算流通量、積算流通時間及び圧力損失の変化のうちのいずれか1つ以上に基づいて、プロセス制御バルブ3を制御することができる。
【0084】
軟水ストレーナ33を通過する軟水W2の積算流通量に基づく場合には、例えば、軟水ラインL2のどこかに(軟水ストレーナ33の近傍の下流側が好ましい)、軟水W2の積算流量計を設け、この積算流量計により測定された積算流通量の信号を制御部5に出力するように構成する。制御部5は、入力された積算流通量に基づいて(例えば、積算流通量が所定量以上になったら)、ストレーナ洗浄プロセスST2を実施する。
【0085】
軟水ストレーナ33を通過する軟水W2の積算流通時間に基づく場合には、例えば、軟水ラインL2のどこかに(軟水ストレーナ33の近傍の下流側が好ましい)、軟水W2のフロースイッチを設け、このフロースイッチにより測定された積算流通時間の信号を制御部5に出力するように構成する。制御部5は、入力された積算流通時間に基づいて(例えば、積算流通時間が所定時間以上になったら)、ストレーナ洗浄プロセスST2を実施する。
【0086】
軟水ストレーナ33を通過する軟水W2の圧力損失の変化に基づく場合には、例えば、軟水ラインL2における軟水ストレーナ33の上流側及び下流側の両方に(軟水ストレーナ33の近傍が好ましい)、それぞれ軟水W2の圧力計を設け、これらの圧力計により測定されたそれぞれの圧力の信号を制御部5に出力するように構成する。制御部5は、入力された圧力の差(圧力損失)に基づいて(例えば、所定流量(例えば20L/min)における圧力損失が所定値以上上昇したら)、ストレーナ洗浄プロセスST2を実施する。
【0087】
前述の実施形態は、本発明のイオン交換装置を硬水軟化装置に適用しているが、これに制限されない。例えば、硬水軟化装置におけるイオン交換樹脂を、陽イオン交換樹脂から陰イオン交換樹脂へ置換すれば、硝酸性窒素除去装置として使用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 硬水軟化装置(イオン交換装置)
2 圧力タンク
3 プロセス制御バルブ(バルブ手段)
4 塩水W4(再生液タンク)
5 制御部(バルブ制御手段)
33 軟水ストレーナ(ストレーナ)
211 イオン交換樹脂床
241 頂部スクリーン(頂部配液部)
242 底部スクリーン(底部配液部、底部集液部)
243 中間部スクリーン(中間部集液部)
L41〜L46 第1塩水ライン〜第6塩水ライン(再生液供給ライン)
L2 軟水ライン(処理水ライン)
W1 原水
W2 軟水(処理水)
W4 塩水(再生液)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、
前記イオン交換樹脂床を再生する再生液が貯留される再生液タンクと、
前記圧力タンクと前記再生液タンクとを接続する再生液供給ラインと、
前記イオン交換樹脂床の頂部に設けられる頂部配液部と、
前記イオン交換樹脂床の底部に設けられる底部配液部と、
前記イオン交換樹脂床の底部に設けられる底部集液部と、
前記イオン交換樹脂床の深さ方向の中間部に設けられる中間部集液部と、
原水を前記頂部配液部へ配液しながら、前記底部集液部で集液することにより原水の下降流を生成して、処理水を製造する水処理プロセスの水の流れ;再生液を前記頂部配液部へ配液しながら、前記底部集液部で集液することにより再生液の下降流を生成して、前記イオン交換樹脂床の全体を再生させる第1再生プロセスの再生液の流れ;及び、再生液を前記底部配液部へ配液しながら、前記中間部集液部で集液することにより再生液の上昇流を生成して、前記イオン交換樹脂床の下部を再生させる第2再生プロセスの再生液の流れを切り換え可能なバルブ手段と、
前記水処理プロセス、前記第1再生プロセス及び前記第2再生プロセスを順に切り換えるように、前記バルブ手段を制御するバルブ制御手段と、
前記圧力タンクに接続され、処理水が流通する処理水ラインと、
前記処理水ラインに設けられ、処理水中の夾雑物を捕捉するストレーナと、
を備える
イオン交換装置。
【請求項2】
前記ストレーナは、前記バルブ手段の内部に設けられる
請求項1に記載のイオン交換装置。
【請求項3】
前記バルブ制御手段は、前記第1再生プロセス及び/又は前記第2再生プロセスの実施に基づいて、前記バルブ手段を制御する
請求項1又は2に記載のイオン交換装置。
【請求項4】
前記バルブ制御手段は、前記ストレーナを通過する処理水の積算流通量、積算流通時間及び圧力損失の変化のうちのいずれか1つ以上に基づいて、前記バルブ手段を制御する
請求項1又は2に記載のイオン交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−143663(P2012−143663A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1381(P2011−1381)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】