説明

イオン交換装置

【課題】処理液中に夾雑物が混入することを抑制することができると共に、装置全体のコンパクト化を実現することができるイオン交換装置を提供する。
【解決手段】イオン交換樹脂床211が収容され、開口部21aを有する圧力タンク2と、圧力タンク2の開口部21aを閉鎖する蓋部材22と、蓋部材22に設けられ、圧力タンク2の内部と外部とを連通すると共に、原液W1を圧力タンク2の外部からイオン交換樹脂床211へ向けて流通させる原液流路221と、蓋部材22に設けられ、圧力タンク2の内部と外部とを連通すると共に、イオン交換樹脂床211を通過して生成された処理液W2を圧力タンク2の外部へ向けて流通させる処理液流路222と、処理液流路222に設けられるストレーナ33であって、処理液W2をストレーナ33の一次側から二次側に向かって通過させることにより処理液W2中の夾雑物を捕捉するストレーナ33と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬水軟化装置等のイオン交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水道水や地下水等の原水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)や硝酸性窒素(硝酸イオン及び亜硝酸イオン)等をイオン交換樹脂により吸着して除去し、処理水を製造するイオン交換装置が知られている。
【0003】
イオン交換装置は、原水等の液体が流通する原液ラインと、イオン交換樹脂床を収容し、原水等の液体が導入される圧力タンクと、圧力タンク内で製造された処理液を需要箇所へ供給する処理液ラインと、イオン交換樹脂床の再生や洗浄等に使用された液体を排出する排液ラインと、を備えている。これらの原液ライン、処理液ライン及び排液ラインは、イオン交換装置の内部の圧力タンクと接続され、イオン交換装置の外部に延びている。
【0004】
このようなイオン交換装置において高品質の処理液を得るために、破砕したイオン交換樹脂やゴミ等の夾雑物が処理液に混入することを抑制する技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術は、イオン交換装置の外部における処理液ラインに、夾雑物を捕捉する夾雑物捕捉手段(Y型ストレーナ)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−140838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術は、イオン交換装置の外部における処理液ラインに夾雑物捕捉手段を備えるものであるため、イオン交換装置の周囲における配管設備が煩雑になっていた。そのため、イオン交換装置の内部における処理液ラインに夾雑物捕捉手段を備えるイオン交換装置の提供が望まれていた。
【0007】
しかし、イオン交換装置の内部には、圧力タンクと、圧力タンクに接続される原液ライン、処理液ライン及び排液ライン等が密に配置されている。そのため、イオン交換装置の内部において、夾雑物捕捉手段を処理液ラインに設置するためのスペースを確保することが困難であった。
一方、夾雑物捕捉手段を設置するためのスペースをイオン交換装置の内部に確保しようとすると、イオン交換装置の容積(サイズ)を増大する必要があり、装置全体をコンパクト化することが困難であった。
【0008】
本発明は、夾雑物が処理液中に混入することを抑制することができると共に、装置全体のコンパクト化を実現することができるイオン交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、イオン交換樹脂床が収容され、開口部を有する圧力タンクと、前記圧力タンクの開口部を閉鎖する蓋部材と、前記蓋部材に設けられ、前記圧力タンクの内部と外部とを連通すると共に、原液を前記圧力タンクの外部から前記イオン交換樹脂床へ向けて流通させる原液流路と、前記蓋部材に設けられ、前記圧力タンクの内部と外部とを連通すると共に、前記イオン交換樹脂床を通過して生成された処理液を前記圧力タンクの外部へ向けて流通させる処理液流路と、前記処理液流路に設けられるストレーナであって、処理液を該ストレーナの一次側から二次側に向かって通過させることにより処理液中の夾雑物を捕捉するストレーナと、を備えるイオン交換装置に関する。
【0010】
また、前記蓋部材に設けられ、前記ストレーナの一次側に位置する前記処理液流路に連通する排液流路と、洗浄液を前記ストレーナの二次側から一次側に向かって流通させるように、洗浄液を前記処理液流路から前記排液流路に向かう方向に流通させる流通制御手段と、を更に備えることが好ましい。
【0011】
また、前記ストレーナは、少なくとも一部が多孔状で且つ開口部及び底部を有する筒状に形成されており、前記ストレーナの開口部側の外面に設けられ、前記ストレーナの径方向の外方に向けて延びると共に、前記処理液流路に直接的に又は間接的に当接する延出部と、前記延出部と前記処理液流路との間をシールするシール部材と、を更に備え、前記ストレーナは、該ストレーナにおける前記底部側又は前記延出部側から前記処理液流路に挿入可能に構成されることが好ましい。
【0012】
また、前記ストレーナの外面に設けられ、該ストレーナの外面から突出すると共に該ストレーナの軸方向に沿って延びる3以上の突状部を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理液中に夾雑物が混入することを抑制することができると共に、装置全体のコンパクト化を実現することができるイオン交換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。
【図2】軟水ストレーナ33をストレーナ開口部333側から視た斜視図である。
【図3】軟水ストレーナ33を底部332側から視た斜視図である。
【図4】軟水ストレーナ33における底部332側から第2蓋流路222に挿入された軟水ストレーナ33を示す図である。
【図5】プロセス制御バルブ3により実行されるプロセスを示すフローチャートである。
【図6】各プロセスにおけるプロセス制御バルブ3の開閉状態を示す図である。
【図7】(A)〜(D)は、各プロセスにおける流体の流れを示す図である。
【図8】軟水ストレーナ33における延出部334側から第2蓋流路222に挿入された軟水ストレーナ33を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。
【0016】
硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンやカリウムイオンへ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器等に接続される。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の硬水軟化装置1は、主として、圧力タンク2と、プロセス制御バルブ3と、塩水タンク4と、流通制御手段としての制御部5と、を備えて構成される。
【0018】
圧力タンク2は、圧力タンク本体21と、蓋部材22とを備える。
圧力タンク本体21は、上部に開口部21aを有する有底の筒状体であり、処理材である陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211を収容する。
イオン交換樹脂床211は、特定の構成に制限されない。例えば、イオン交換樹脂床211は、濾過砂利や不活性樹脂からなる支持床上に積層されていてもよい。
蓋部材22は、圧力タンク本体21の上部の開口部21aを閉鎖する。蓋部材22には、プロセス制御バルブ3が一体的に装着されている。
圧力タンク2の詳細については後述する。
【0019】
また、詳細については後述するが、プロセス制御バルブ3は、採水及び再生に関して、原水W1を圧力タンク2の頂部スクリーン(頂部配液部)241へ配液しながら、底部スクリーン(底部集液部)242で集液することにより原水W1の下降流を生成して、処理水である軟水W2を製造する水処理プロセスST1の水(原水W1、軟水W2)の流れ;
再生液である塩水W4を圧力タンク2の頂部スクリーン(頂部配液部)241へ配液しながら、底部スクリーン(底部集液部)242で集液することにより塩水W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる第1再生プロセスST4の塩水W4の流れ;及び、
塩水W4を圧力タンク2の底部スクリーン(底部集液部)242へ配液しながら、中間部スクリーン(中間部集液部)243で集液することにより塩水W4の上昇流を生成して、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる第2再生プロセスST6の塩水W4の流れを切り換え可能なバルブである。
【0020】
塩水タンク4は、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W4を貯留する。再生液は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置では、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液等を利用できる。塩水タンク4の詳細については後述する。
【0021】
圧力タンク2について、更に説明する。蓋部材22は、流体の供給及び排出を行う第1蓋流路221、第2蓋流路222、第3蓋流路223及び第4蓋流路224を有する。これらの各蓋流路221、222、223及び224は、後述するように、プロセス制御バルブ3を構成する各種ラインとそれぞれ接続されている。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0022】
圧力タンク2内において、蓋部材22の下面側であってイオン交換樹脂床211の頂部には、樹脂ビーズの流出を防止する頂部スクリーン241が設けられている。頂部スクリーン241は、樹脂ビーズよりも小さな多数の開孔を有する(後述する底部スクリーン242及び中間部スクリーン243も同様)。第1蓋流路221は、頂部スクリーン241を介して、圧力タンク2内と連通する。頂部スクリーン241による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の頂部付近に設定される。頂部スクリーン241は、イオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部配液部、及びイオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部集液部として機能する。
【0023】
圧力タンク2内において、第2蓋流路222には、圧力タンク本体21の底部付近へ延びる第1集配液管231が接続されている。第1集配液管231の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する底部スクリーン242が設けられている。第1集配液管231は、第2蓋流路222と連通する。底部スクリーン242による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の底部付近に設定される。底部スクリーン242は、イオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部配液部、及びイオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部集液部として機能する。
【0024】
また、蓋部材22の第2蓋流路222には、軟水W2中の夾雑物(樹脂ビーズの破砕片、ゴミ等)を捕捉する軟水ストレーナ33が設けられている。第2蓋流路222及び軟水ストレーナ33の詳細については、後述する。
【0025】
圧力タンク2内において、第3蓋流路223には、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近へ延びる第2集配液管232が接続されている。第2集配液管232の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する中間部スクリーン243が設けられている。第2集配液管232は、第3蓋流路223と連通する。中間部スクリーン243による集水位置は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近に設定される。つまり、中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる。中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる中間部集液部として機能する。
【0026】
第2集配液管232の内径は、第1集配液管231の外径よりも大径に設定されている。第1集配液管231及び第2集配液管232の軸芯は、いずれも圧力タンク2の軸芯と同軸上に設定されている。すなわち、第1集配液管231及び第2集配液管232は、第1集配液管231が内管に設定され且つ第2集配液管232が外管に設定された二重管構造を形成して、圧力タンク2に装着されている。
【0027】
第1蓋流路221には、プロセス制御バルブ3を介して原水ラインL1が接続されている。第1蓋流路221は、原水W1を圧力タンク2の外部からイオン交換樹脂床211へ向けて流通させる原液流路として機能する。第2蓋流路222には、プロセス制御バルブ3を介して、処理水ラインとしての軟水ラインL2が接続されている。第2蓋流路222は、軟水W2を圧力タンク2の外部へ向けて流通させる処理液流路として機能する。第3蓋流路223には、第5排水ラインL55が接続されている。第5排水ラインL55は、プロセス制御バルブ3の内部において、第1排水ラインL51の接続部J51に接続されている。
【0028】
第4蓋流路224は、軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222から分岐している。第4蓋流路224の一端には、第4塩水ラインL44が接続されている。第4蓋流路224は、軟水ストレーナ33の二次側から一次側に向かって流通させた洗浄液としての原水W1を圧力タンク2の外部へ向けて流通させる排液流路として機能する。
【0029】
原水ラインL1、軟水ラインL2及び第1排水ラインL51は、プロセス制御バルブ3の外部まで延びている。すなわち、原水ラインL1、軟水ラインL2及び第1排水ラインL51は、それぞれ、その一部がプロセス制御バルブ3の内部に設けられ、その残部がプロセス制御バルブ3の外部に設けられている。
【0030】
制御部5は、CPU及びメモリを含んで構成される。制御部5は、後述する原水フロースイッチ61、塩水流量計62等からの信号が入力されて、入力された信号等に基づいてプロセス制御バルブ3を制御する。メモリには、本実施形態の硬水軟化装置1の運転を実施する制御プログラムが予め記憶されている。この制御プログラムは、例えば、硬水軟化装置1における水処理プロセスの流路と、ストレーナ洗浄プロセスの流路と、再生プロセスの流路等とを切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御する。
【0031】
詳細には、制御部5は、後述する水処理プロセスST1、ストレーナ洗浄プロセスST2、逆洗浄プロセスST3、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5、第2再生プロセスST6、第2押出プロセスST7、リンス・プロセスST8、補水プロセスST9及び待機プロセスST10を順に切り換えるように、プロセス制御バルブ3を制御する。特に、制御部5は、ストレーナ洗浄プロセスST2において、原水W1を軟水ストレーナ33の二次側から一次側に向かって流通させるように、原水W1を軟水ストレーナ33の二次側に位置する第2蓋流路222から第4蓋流路224に向かう方向に流通させる、流通制御手段として機能する。原水W1が、軟水ストレーナ33の二次側に位置する第2蓋流路222から第4蓋流路224に流通する過程については、後述する。
【0032】
プロセス制御バルブ3は、その内部に、各種のライン、弁等を備える。
具体的には、プロセス制御バルブ3は、ラインとして、原水ラインL1と、軟水ラインL2と、希釈水ラインL3と、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第4塩水ラインL44と、第1排水ラインL51と、第2排水ラインL52と、第3排水ラインL53と、第4排水ラインL54と、第5排水ラインL55と、バイパスラインL6とを備える。原水ラインL1における第1蓋流路221側の一部は、第5塩水ラインL45としても機能する。
【0033】
プロセス制御バルブ3は、弁として、原水通水弁311と、軟水通水弁312と、バイパス弁313と、エゼクタ弁314と、第3排水弁315と、第2排水弁316と、第1排水弁317と、塩水弁318と、第1定流量弁322と、第2定流量弁34とを備える。
また、プロセス制御バルブ3は、エゼクタストレーナ321と、エゼクタ323と、第1オリフィス324と、第2オリフィス325とを備える。
【0034】
原水ラインL1には、原水W1の供給側から第1蓋流路221へ向けて順に、原水フロースイッチ61と、接続部J11と、原水通水弁311と、接続部J12と、接続部J13と、が設けられる。原水ラインL1における接続部J12と第1蓋流路221との間の部分は、第5塩水ラインL45としても機能する。
原水フロースイッチ61は、プロセス制御バルブ3の外部に設けられる。原水フロースイッチ61は、原水W1の流れ(圧力)の有無を検出する。原水フロースイッチ61からの検出信号は、制御部5へ入力される。
【0035】
軟水ラインL2には、第2蓋流路222から軟水W2の供給先へ向けて順に、軟水通水弁312と、接続部J22と、が設けられる。
【0036】
希釈水ラインL3は、その上流側の端部において、原水ラインL1の接続部J11に接続されると共に、その下流側の端部において、エゼクタ323の一次側に接続される。希釈水ラインL3には、上流側(接続部J11側)から下流側(エゼクタ323側)に向けて順に、エゼクタストレーナ321と、第1定流量弁322と、エゼクタ323と、が設けられる。
【0037】
エゼクタストレーナ321は、原水W1からなる希釈水に含まれる懸濁物質を除去し、第1定流量弁322及びエゼクタ323の詰まりを防止する。第1定流量弁322は、エゼクタ323へ供給する希釈水を所定範囲の流量に調節する。
エゼクタ323には、ノズル部の吐出側において、第1塩水ラインL41の下流側の端部が接続されている。エゼクタ323は、希釈水(原水W1)が前記ノズル部から吐出されるときに発生する負圧を利用して、塩水タンク4から塩水W4(例えば、塩化ナトリウムの飽和水溶液)を吸引可能に構成されている。そして、エゼクタ323において、塩水タンク4からの塩水W4は、希釈水(原水W1)によって、所定濃度(例えば、8〜12重量%)にまで希釈されるようになっている。
【0038】
バイパスラインL6は、接続部J11と接続部J22とを接続する。つまり、バイパスラインL6は、原水ラインL1又は希釈水ラインL3と軟水ラインL2とを接続する。
【0039】
再生液供給ラインは、圧力タンク2と塩水タンク(再生液タンク)4とを接続するラインである。第1実施形態において、再生液供給ラインは、2本形成される。
1本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)とから構成される。2本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第4塩水ラインL44とから構成される。
【0040】
第1塩水ラインL41の一端部は、塩水タンク4内に配置される。第1塩水ラインL41の他端部は、エゼクタ323の前記ノズル部に接続される。第1塩水ラインL41には、塩水タンク4からエゼクタ323に向けて順に、塩水流量計62と、塩水弁318と、が設けられる。
【0041】
塩水流量計62は、プロセス制御バルブ3の外部に設けられる。塩水流量計62は、第1塩水ラインL41を流通する塩水W4又は補給水としての原水W1の流量を検出する。塩水流量計62からの検出信号は、制御部5へ入力される。塩水流量計62は、双方向の瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサ、軸流式流量センサ、カルマン渦式流量センサ等を利用することができる。
【0042】
第3塩水ラインL43の上流側の端部と、第4塩水ラインL44の上流側の端部とは、接続部J41において接続される。第2塩水ラインL42は、エゼクタ323の二次側と接続部J41とを接続する。
【0043】
第3塩水ラインL43の下流側の端部は、接続部J12において第5塩水ラインL45(原水ラインL1)に接続される。第3塩水ラインL43の途中には、第1オリフィス324が設けられる。
第4塩水ラインL44の下流側の端部は、蓋部材22における第4蓋流路224の一端に接続される。第4塩水ラインL44には、上流側から下流側に向けて順に、第2オリフィス325と、エゼクタ弁314と、が設けられる。
第1オリフィス324及び第2オリフィス325は、後述する第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7において、再生液である塩水W4又は押出水である原水W1を第2蓋流路222及び第1蓋流路221に均等に分配するためのものである。
【0044】
第1排水ラインL51の下流側の端部からは、各種の排水W5が排出される。第1排水ラインL51の上流側の端部は、接続部J51において、第2排水ラインL52の下流側の端部及び第5排水ラインL55の下流側の端部に接続される。第2排水ラインL52の上流側の端部は、接続部J52において、第3排水ラインL53の下流側の端部及び第4排水ラインL54の下流側の端部に接続される。第3排水ラインL53の上流側の端部は、接続部J42において、第4塩水ラインL44に接続される。第4排水ラインL54の上流側の端部は、接続部J13において、原水ラインL1(第5塩水ラインL45)に接続される。第5排水ラインL55の上流側の端部は、第3蓋流路223に接続される。
【0045】
第2排水ラインL52の途中には、第2定流量弁34が設けられる。第2定流量弁34は、圧力タンク2から排出されて第2排水ラインL52を流通する排水W5の流量を所定範囲に調節する。
第3排水ラインL53の途中には、第1排水弁317が設けられる。第4排水ラインL54の途中には、第3排水弁315が設けられる。第5排水ラインL55の途中には、第2排水弁316が設けられる。
【0046】
プロセス制御バルブ3において、各種の弁311〜318は、種々の作動機構及び弁構造を採用することができる。具体的には、カム機構により作動されるリフト式又はダイアフラム式の流路開閉弁や、リンク機構により作動されるスライドピストン式の流路開閉弁等が好適である。
【0047】
次に、塩水タンク4について説明する。塩水タンク4は、塩水タンク本体41と、塩水ウェル42と、塩水プレート44とを備える。塩水タンク本体41は、上部が開口した有底の形状を有する。塩水ウェル42は、筒状であり、塩水タンク本体41の内側に配置される。塩水プレート44は、塩水ウェル42の外側において、塩水の貯留部(下方)と、再生塩43(例えば、粒状やペレット状の塩化ナトリウム)の貯蔵部(上方)とを、上下に区画する透水性のプレートからなる。
【0048】
塩水タンク本体41の内側であって且つ塩水ウェル42の内側には、塩水ライン配置空間46が形成される。塩水ライン配置空間46には、第1塩水ラインL41の上流側の端部が配置される。塩水ウェル42の下方の側壁には、連通孔45が設けられる、連通孔45は、塩水の貯留部と塩水ライン配置空間46との間を連通する。そのため、塩水W4又は補給水は、塩水の貯留部と塩水ライン配置空間46との間を自在に流通できる。
【0049】
次に、軟水ストレーナ33について、図2から図4を参照しながら詳細に説明する。図2は、軟水ストレーナ33をストレーナ開口部333側から視た斜視図である。図3は、軟水ストレーナ33を底部332側から視た斜視図である。図4は、軟水ストレーナ33における底部332側から第2蓋流路222に挿入された軟水ストレーナ33を示す図である。図4中に記載した矢印は、水処理プロセスST1において軟水W2が流れる方向を示す。
【0050】
軟水ストレーナ33は、軟水ラインL2を第2蓋流路222から軟水W2の供給先へ向けて流通する軟水W2中の夾雑物(樹脂ビーズの破砕片、ゴミ等)を捕捉する部材である。図2から図4に示すように、軟水ストレーナ33は、本体部331と、ストレーナ開口部333と、底部332と、延出部334と、突状部336と、を備える。軟水ストレーナ33は、例えば、ABS樹脂やPPS樹脂等のプラスチック材料により一体成形される。
【0051】
本体部331は、有底円筒状に形成される。詳細には、本体部331は、円筒の側面の内部と外部とを連通するスリット状の孔部335を多数有する。孔部335は、所定の大きさの夾雑物(樹脂ビーズの破砕片、ゴミ等)が流通しない大きさに開口される。例えば、孔部335のスリット幅は、0.045〜0.15mmの範囲で設定される。
ストレーナ開口部333は、本体部331の一端側に開口され、本体部331の内部と連通する。底部332は、本体部331の他端側を閉塞する。
【0052】
延出部334は、本体部331におけるストレーナ開口部333側の外面に設けられ、本体部331の径方向の外方に向けて延びる。詳細には、延出部334は、円環状に形成され、延出部334の表裏を連通するスリット状の孔部335を多数有する。延出部334の外径は、後述する小径流路部222bの内径よりも大きく、かつ、後述する大径流路部222aの内径よりも小さい(図4参照)。
【0053】
突状部336は、本体部331の外面から本体部331の径方向の外方に突出して設けられ、かつ、本体部331の軸方向に沿って延びる。また、突状部336は、底部332の外面からも本体部331の軸方向に突出して設けられる。突状部336は、本体部331の中心軸に対して放射状に2対(周方向に90°間隔で4つ)設けられる。突状部336の突出高さは、軟水ストレーナ33をその底部332側から、後述する小径流路部222bに挿入できる大きさに、設定されている。
【0054】
以上のように構成される軟水ストレーナ33は、図4に示すように、その底部332側から蓋部材22の第2蓋流路222に挿入される。詳細には、軟水ストレーナ33は、シール用リング340(後述)を介して第2蓋流路222に配置され、かつ、押圧部材343(後述)によって第2蓋流路222に押圧される。第2蓋流路222は、大径流路部222aと、小径流路部222bと、段部222cとを有する。大径流路部222aは、蓋部材22において、軟水W2の流れ方向における下流側に配置される。小径流路部222bは、蓋部材22において、大径流路部222aの上流側に配置される。第2蓋流路222の流路断面は、例えば、円形状となっている。大径流路部222aは、小径流路部222bよりも内径が大きい。大径流路部222aと小径流路部222bとは、段部222cにおいて区画されている。
【0055】
この段部222cには、円環状のシール用リング340が配置される。シール用リング340は、第2蓋流路222において軟水ストレーナ33の延出部334と段部222cとの間に配置される部材である。すなわち、軟水ストレーナ33の延出部334は、シール用リング340を介して第2蓋流路(処理液流路)222の段部222cに間接的に当接する。詳細には、シール用リング340の内径は、小径流路部222bの内径と略同一である。また、シール用リング340の外径は、大径流路部222aの内径よりも若干小さい。シール用リング340は、例えば、所定の弾性を有するプラスチック材料又はゴム材料等により形成される。シール用リング340は、軟水ストレーナ33の延出部334と段部222cとの間において、夾雑物が流出しないようにシールするシール部材として機能する。
【0056】
押圧部材343は、軟水ストレーナ33の延出部334を、シール用リング340を介して第2蓋流路222の段部222cに押圧する部材である。押圧部材343は、例えば、蓋部材22の外部から大径流路部222aの内部に挿入される軟水ラインL2を形成するパイプ部材の先端部である。押圧部材343の外周面には、Oリング344が設けられる。Oリング344は、押圧部材343と大径流路部222aとの隙間をシールする。なお、この軟水ラインL2(パイプ部材)の先端部は、固定手段(図示せず)によって蓋部材22に対して着脱自在に固定される。
【0057】
次に、プロセス制御バルブ3により実行されるプロセスについて図5から図7を参照しながら説明する。図5は、プロセス制御バルブ3により実行されるプロセスを示すフローチャートである。図6は、各プロセスにおけるプロセス制御バルブ3の開閉状態を示す図である。図7(A)〜(D)は、各プロセスにおける流体の流れを示す図である。
【0058】
プロセス制御バルブ3は、図5に示すプロセスを切り換える。プロセス制御バルブ3は、流路を切り換えながら、以下のプロセスST1〜ST10を順次実施する。
(ST1)原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる水処理プロセス(水軟化プロセス)
(ST2)軟水ストレーナ33を逆洗浄するストレーナ洗浄プロセス
(ST3)洗浄水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して下から上へ通過させる逆洗浄プロセス
(ST4)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1再生プロセス
(ST5)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1押出プロセス
(ST6)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の上部に対して上から下へ通過させると共に、イオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2再生プロセス
(ST7)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の上部に対して上から下へ通過させると共に、イオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2押出プロセス
(ST8)濯ぎ水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させるリンス・プロセス
(ST9)原水W1を塩水タンク4へ供給する補水プロセス
(ST10)原水W1の供給を待機する(水処理)待機プロセス
【0059】
プロセス制御バルブ3における各弁311〜318の開閉は、図6に示すように、プロセスST1〜ST10毎に、制御部5により制御される。その結果、図7に示すように、圧力タンク2内において、プロセスST1〜ST10毎に、流体の流れが生成されるか、あるいは、流体の流れが生成されない。なお、ストレーナ洗浄プロセスST2と逆洗浄プロセスST3との間には、塩水W4の供給を待機する再生待機プロセスが設けられている。
【0060】
図7に示す流体の流れが生成される結果、頂部スクリーン241は、配液部又は集液部として機能する。すなわち、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5、第2再生プロセスST6、第2押出プロセスST7及びリンス・プロセスST8では、頂部スクリーン241は、配液部(頂部配液部)として機能する。また、逆洗浄プロセスST3では、頂部スクリーン241は、集液部として機能する。
【0061】
底部スクリーン242は、配液部又は集液部として機能する。すなわち、逆洗浄プロセスST3、第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7では、底部スクリーン242は、配液部(底部配液部)として機能する。また、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5及びリンス・プロセスST8では、底部スクリーン242は、集液部(底部集液部)として機能する。
【0062】
中間部スクリーン243は、集液部としてのみ機能する。すなわち、第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7において、中間部スクリーン243は、集液部(中間部集液部)として機能する。
【0063】
制御部5のメモリに記憶された制御プログラムは、第1再生プロセスST4、第1押出プロセスST5、第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7からなる二段再生を実施するように、プロセス制御バルブ3を制御する。図7に示すように、第1再生プロセスST4では、再生液としての塩水W4を、頂部スクリーン241を介してイオン交換樹脂床211の頂部へ配液しながら、底部スクリーン242を介してイオン交換樹脂床211の底部で集液することにより塩水W4の下降流を生成し、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる。
【0064】
第2再生プロセスST6では、再生液としての塩水W4を、頂部スクリーン241を介してイオン交換樹脂床211の頂部へ配液しながら、中間部スクリーン243を介してイオン交換樹脂床211の中間部で集液することにより塩水W4の下昇流を生成し、イオン交換樹脂床211の上部を再生させる。更に、第2再生プロセスST6では、再生液としての塩水W4を、底部スクリーン242を介してイオン交換樹脂床211の底部へ配液しながら、中間部スクリーン243を介してイオン交換樹脂床211の中間部で集液することにより塩水W4の上昇流を生成し、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。
【0065】
次に、本実施形態に係る硬水軟化装置1の運転方法(動作)について詳細に説明する。以下では、水処理プロセスST1、ストレーナ洗浄プロセスST2、第1再生プロセスST4及び第2再生プロセスST6の動作を中心に説明する。
なお、水処理プロセスST1を除く各プロセスST2〜ST10においては、バイパス弁313が開放している。そのため、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流通する過剰な原水W1は、接続部J12からバイパスラインL6へ流通し、接続部J22及び軟水ラインL2を介して、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
【0066】
〔水処理プロセスST1〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図6のST1に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水等の原水W1は、原水ラインL1及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。頂部スクリーン241から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程で原水W1の硬度成分はナトリウムイオンへ置換され、原水W1は軟水化される。
【0067】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。その後、軟水W2は、第1集配液管231、第2蓋流路222及び軟水ラインL2を介して、所定の軟水W2の需要箇所へ供給される。そして、所定量の軟水W2を採取することにより、イオン交換樹脂床211が硬度成分を置換できなくなると、再生プロセスを実施する。
【0068】
〔ストレーナ洗浄プロセスST2〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図6のST2に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1、接続部J11、バイパスラインL6、接続部J22、軟水ラインL2、軟水ストレーナ33の二次側に位置する第2蓋流路222、軟水ストレーナ33、軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222へと流通する。
【0069】
軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222においては、圧力タンク2の内部へ向かう第2蓋流路222と、圧力タンク2の外部へ向かう第4蓋流路224とに流路が分岐している。第4蓋流路224は、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53及び第2排水ラインL52を介して、第1排水ラインL51の末端部において大気圧に開放されている。一方、圧力タンク2の内部が密閉されているため、圧力タンク2の内部へ向かう第2蓋流路222側の圧力は、第4蓋流路224側の圧力(大気圧)よりも高くなっている。そのため、軟水ストレーナ33の一次側に流通してきた原水W1は、より低圧(大気圧)側の第4蓋流路224に流通し、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0070】
この過程において、軟水ストレーナ33を二次側(ストレーナ開口部333側)から一次側(底部332側)へ流れる原水W1により、軟水ストレーナ33は、所定時間、逆洗浄される。そのため、軟水ストレーナ33の一次側の表面(主として本体部331の外面)において捕捉されていた夾雑物は、原水W1と共に、系外へ排出される(図1及び図4を併せて参照)。
【0071】
〔再生プロセス〕
再生プロセスは、イオン交換樹脂床211の硬度成分の除去能力(イオン交換容量)を回復させるために、逆洗浄プロセスST3〜補水プロセスST9を順次実施する(図5参照)。これらのプロセスのうち、逆洗浄プロセスST3、リンス・プロセスST8、補水プロセスST9及び待機プロセスST10は、周知の操作であるので、その詳細な説明を省略する。
【0072】
〔再生プロセス:第1再生プロセスST4〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図6のST4に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
この際、原水W1中の懸濁物質は、エゼクタストレーナ321により除去される。また原水W1の流量は、第1定流量弁322により所定範囲に調節される。
【0073】
エゼクタ323において、原水W1の通過によってノズル部(符号省略)の吐出側で負圧が発生し、第1塩水ラインL41内も負圧となる。その結果、塩水タンク4内の飽和塩水W4は、第1塩水ラインL41を介してエゼクタ323へ吸引される。そして、エゼクタ323内では、飽和塩水W4が原水W1を希釈水として所定濃度まで希釈され、再生液としての塩水W4が調製される。
調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0074】
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の全体を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4は、第1集配液管231、軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222、第4蓋流路224、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0075】
第1再生プロセスST4は、いわゆる並流再生である。この並流再生では、再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量(=再生レベル×イオン交換樹脂床容量)に達すると、処理は終了し、第1押出プロセスST5へ移行する。
なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量は、以下の関係を有する。
再生剤量=再生液の濃度×再生液の比重×再生液の供給容量 ・・・ (1)
【0076】
〔再生プロセス:第1押出プロセスST5〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図6のST5に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0077】
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第1集配液管231、軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222、第4蓋流路224、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0078】
〔再生プロセス:第2再生プロセスST6〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図6のST6に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
【0079】
エゼクタ323において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0080】
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の上部を再生させる。イオン交換樹脂床211の上部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0081】
また、エゼクタ323において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42の接続部J41から分流し、第4塩水ラインL44、第4蓋流路224及び軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、第1集配液管231を介して、底部スクリーン242から配水される。
【0082】
底部スクリーン242から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0083】
第2再生プロセスST6は、部分並流再生と部分向流再生とを同時に行ういわゆるスプリット・フロー再生である。部分向流再生では、第1再生プロセスST4では再生されにくいイオン交換樹脂床211の下部が、効率的に再生される。なお、第2再生プロセスST6においてイオン交換樹脂床211の下部の流動は、再生液としての塩水W4の下降流によって抑制される。
再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量に達すると、処理は終了し、第2押出プロセスST7へ移行する。
なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量の関係は、上述の(1)式で示した通りである。
【0084】
〔再生プロセス:第2押出プロセスST7〕
制御部5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図6のST7に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
エゼクタ323を通過した原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0085】
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の上部を再生させる。イオン交換樹脂床211の上部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0086】
また、エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42の接続部J41から分流し、第4塩水ラインL44、第4蓋流路224及び軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、第1集配液管231を介して、底部スクリーン242から配水される。
【0087】
底部スクリーン242から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
【0088】
本実施形態の硬水軟化装置1によれば、例えば、以下に示す各効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1は、イオン交換樹脂床211が収容され、開口部21aを有する圧力タンク2と、圧力タンク2の開口部21aを閉鎖する蓋部材22と、蓋部材22に設けられ、圧力タンク2の内部と外部とを連通すると共に、原水W1を圧力タンク2の外部からイオン交換樹脂床211へ向けて流通させる第1蓋流路221と、蓋部材22に設けられ、圧力タンク2の内部と外部とを連通すると共に、イオン交換樹脂床211を通過して生成された軟水W2を圧力タンク2の外部へ向けて流通させる第2蓋流路222と、第2蓋流路222に設けられる軟水ストレーナ33であって、軟水W2を軟水ストレーナ33の一次側から二次側に向かって通過させることにより軟水W2中の夾雑物を捕捉する軟水ストレーナ33と、を備える。
【0089】
そのため、本実施形態によれば、破砕したイオン交換樹脂等の夾雑物を軟水ストレーナ33によって捕捉することができ、このような夾雑物が軟水W2中に混入することを抑制することができる。また、軟水ストレーナ33を蓋部材22に設けることによって、装置全体のコンパクト化を実現することができる。
【0090】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、蓋部材22に設けられ、軟水ストレーナ33の一次側に位置する第2蓋流路222に連通する排液流路としての第4蓋流路224と、原水W1を軟水ストレーナ33の二次側から一次側に向かって流通させるように、原水W1を第2蓋流路222から第1蓋流路221に向かう方向に流通させる制御部5と、を更に備える。
【0091】
そのため、本実施形態によれば、ストレーナ洗浄プロセスST2において、軟水ストレーナ33によって捕捉された夾雑物を、軟水ストレーナ33の二次側から一次側に向かって原水W1によって洗い流すことができ、更にその洗い流された夾雑物を、第2蓋流路222及び第4蓋流路224を介して圧力タンク2の外部(系外)に排出することができる。従って、軟水ストレーナ33を取り外すことなく清掃し、軟水ストレーナ33の捕捉能力を回復することができる。
【0092】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、軟水ストレーナ33は、多孔状で且つストレーナ開口部333及び底部332を有する筒状に形成され、第2蓋流路222の段部222cに対してシール用リング340を介して配置される延出部334を備える。また、軟水ストレーナ33は、その底部332側から第2蓋流路222に挿入可能に構成される。
【0093】
そのため、本実施形態によれば、軟水ストレーナ33を簡易に構成することができると共に、軟水ストレーナ33を第2蓋流路222に挿入して容易に配置することができる。また、軟水ストレーナ33の延出部334を、シール用リング340を介して第2蓋流路222の段部222cに対して配置することができる。従って、夾雑物が、延出部334と段部222cとの間を通過して軟水W2中に混入することを確実に抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態の硬水軟化装置1においては、軟水ストレーナ33の外面に設けられ、軟水ストレーナ33の外面から突出すると共に軟水ストレーナ33の軸方向に沿って延びる3以上の突状部336を更に備える。
【0095】
そのため、本実施形態によれば、軟水ストレーナ33の突状部336は、多数の孔部335が設けられた本体部331を補強することができる。また、軟水ストレーナ33の突状部336は、軟水ストレーナ33の本体部331を蓋部材22の第2蓋流路222(小径流路部222b)に挿入する際に、本体部331を小径流路部222bに案内することができる。更に、軟水ストレーナ33の突状部336は、小径流路部222bの内面(内壁)に当接することによって、本体部331の中心軸を第2蓋流路222(小径流路部222b)の中心に略一致させることができる。従って、第2蓋流路222において、軟水ストレーナ33が傾いた状態で配置されることを抑制することができる。
【0096】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、軟水ストレーナ33をその底部332側から第2蓋流路222に挿入して配置するものとして説明したが、これに制限されない。図8に示すように、軟水ストレーナ33をその延出部334側から第2蓋流路222に挿入して配置してもよい。ここで、図8は、軟水ストレーナ33における延出部334側から第2蓋流路222に挿入された軟水ストレーナ33を示す図である。
【0097】
図8に示す軟水ストレーナ33を用いたストレーナ洗浄プロセスST2によれば、軟水ストレーナ33を二次側(底部332側)から一次側(ストレーナ開口部333側)へ流れる原水W1により、軟水ストレーナ33は、所定時間、逆洗浄される。そのため、軟水ストレーナ33の一次側の表面(主として本体部331の内面)において捕捉されていた夾雑物は、原水W1と共に、系外へ排出される。
【0098】
また、前述の実施形態においては、軟水ストレーナ33は、スリット状の孔部335を有するものとして説明したが、これに制限されない。軟水ストレーナ33は、軟水W2中の夾雑物を捕捉することができるように多孔状に形成されていればよく、例えばメッシュスクリーンやパンチングスクリーンを用いて形成することもできる。
【0099】
また、前述の実施形態においては、軟水ストレーナ33は、4つの突状部336を有するものとして説明したが、これに制限されない。水処理プロセスST1における軟水W2の流通及びストレーナ洗浄プロセスST2における原水W1の流通を妨げない範囲で、本体部331に対する突状部336の配設数や配設位置を任意に変更することができる。
【0100】
上述したように、突状部336は、a)本体部331の補強;b)本体部331を第2蓋流路222に挿入する際の案内;及び、c)軟水ストレーナ33の傾斜配置防止の観点で設けられている。このため、突状部336は、少なくとも3つ(本体部331の周方向に120°間隔で3つ)を有していれば、これらの機能を充足することができる。
【0101】
また、前述の実施形態においては、軟水ストレーナ33の延出部334は、シール用リング340を介して第2蓋流路(処理液流路)222の段部222cに間接的に当接するものとして説明したが、これに制限されない。軟水ストレーナ33の延出部334と段部222cとの間において、夾雑物が流通しないようにすることができれば、軟水ストレーナ33の延出部334を第2蓋流路222の段部222cに直接的に当接させてもよい。
【0102】
前述の実施形態は、本発明のイオン交換装置を硬水軟化装置に適用しているが、これに制限されない。例えば、硬水軟化装置におけるイオン交換樹脂を、陽イオン交換樹脂から陰イオン交換樹脂へ置換すれば、硝酸性窒素除去装置として使用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 硬水軟化装置(イオン交換装置)
2 圧力タンク
5 制御部(流通制御手段)
21a 開口部
22 蓋部材
33 軟水ストレーナ(ストレーナ)
211 イオン交換樹脂床
221 第1蓋流路(原液流路)
222 第2蓋流路(処理液流路)
224 第4蓋流路(排液流路)
332 底部
333 ストレーナ開口部(開口部)
334 延出部
336 突状部
340 シール用リング(シール部材)
W1 原水(原液)
W2 軟水(処理液)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂床が収容され、開口部を有する圧力タンクと、
前記圧力タンクの開口部を閉鎖する蓋部材と、
前記蓋部材に設けられ、前記圧力タンクの内部と外部とを連通すると共に、原液を前記圧力タンクの外部から前記イオン交換樹脂床へ向けて流通させる原液流路と、
前記蓋部材に設けられ、前記圧力タンクの内部と外部とを連通すると共に、前記イオン交換樹脂床を通過して生成された処理液を前記圧力タンクの外部へ向けて流通させる処理液流路と、
前記処理液流路に設けられるストレーナであって、処理液を該ストレーナの一次側から二次側に向かって通過させることにより処理液中の夾雑物を捕捉するストレーナと、
を備えるイオン交換装置。
【請求項2】
前記蓋部材に設けられ、前記ストレーナの一次側に位置する前記処理液流路に連通する排液流路と、
洗浄液を前記ストレーナの二次側から一次側に向かって流通させるように、洗浄液を前記処理液流路から前記排液流路に向かう方向に流通させる流通制御手段と、
を更に備える請求項1に記載のイオン交換装置。
【請求項3】
前記ストレーナは、少なくとも一部が多孔状で且つ開口部及び底部を有する筒状に形成されており、
前記ストレーナの開口部側の外面に設けられ、前記ストレーナの径方向の外方に向けて延びると共に、前記処理液流路に直接的に又は間接的に当接する延出部と、
前記延出部と前記処理液流路との間をシールするシール部材と、を更に備え、
前記ストレーナは、該ストレーナにおける前記底部側又は前記延出部側から前記処理液流路に挿入可能に構成される請求項1又は2に記載のイオン交換装置。
【請求項4】
前記ストレーナの外面に設けられ、該ストレーナの外面から突出すると共に該ストレーナの軸方向に沿って延びる3以上の突状部を更に備える請求項3に記載のイオン交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−166132(P2012−166132A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27928(P2011−27928)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】