説明

イオン性修飾剤を含有する高純度クロマトグラフィー材料

本発明は例えばクロマトグラフィー分離用の新規クロマトグラフィー材料、その製造方法および前記クロマトグラフィー材料を含む分離装置;前記材料を含む分離装置、クロマトグラフィーカラムおよびキット;並びにその製造方法を提供する。本発明のクロマトグラフィー材料はクロマトグラフィー表面を含む高純度クロマトグラフィー材料であり、前記クロマトグラフィー表面は疎水性表面基と1種以上のイオン性修飾剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液体クロマトグラフィー(LC)用充填材は一般に有機材料(例えばポリジビニルベンゼン)とシリカに代表される無機材料の2種類に分類される。多くの有機材料は強アルカリ性と強酸性の移動相に対して化学的に安定性であるため、移動相pHの選択が柔軟になる。しかし、有機クロマトグラフィー材料では一般にカラムの効率が低く、特に低分子量被験物で問題となる。多くの有機クロマトグラフィー材料は典型的なクロマトグラフィー用シリカの機械的強度を欠くのみならず、移動相の組成が変化すると収縮・膨張する。
【0002】
シリカは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)および超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)で最も広く使用されている材料である。最も一般的な用途ではオクタデシル(C18)、オクチル(C8)、フェニル、アミノ、シアノ等の有機官能基で表面を誘導体化したシリカを利用している。HPLC用固定相としてこれらの充填材を使用すると、効率が高く、収縮または膨張の徴候を示さないカラムが得られる。
【0003】
最新のハイブリッド材料技術(HMT)はシリカ系充填材に伴う従来のクロマトグラフィーの問題に対する有力な解決方法となる。HMTによる改良点としては、高pH安定性の劇的な改善と優れた低pH安定性、高い機械的安定性、pH7で使用した場合の良好なピーク形状、高効率、良好な保持力および望ましいクロマトグラフィー選択性が挙げられる。
【0004】
しかし、場合により、HMTおよびシリカ材料には2つの問題が認められている。第1の問題は低pHで使用した場合の塩基のピーク形状の不良であり、低pHで使用した場合には負荷量とピークキャパシティに悪影響を与える恐れがある。
【0005】
多くのHMTおよびシリカ材料に認められる第2の問題はカラムを移動相pHの反復変化(例えばpH10から3への反復切替)にさらされた後の酸性および塩基性被験物の保持時間の変化(「ドリフト」と言う)である。
【0006】
従って、優れたピーク形状とドリフトの低減をもたらす代替材料が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は例えばクロマトグラフィー分離用の新規クロマトグラフィー材料、その製造方法および前記クロマトグラフィー材料を含む分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明はクロマトグラフィー表面を含む高純度クロマトグラフィー材料(HPCM)を提供し、前記クロマトグラフィー表面は疎水性表面基と1種以上のイオン性修飾剤を含有しており、但し、イオン性修飾剤が両性イオンを含有しないとき、イオン性修飾剤は第四級アンモニウムイオン部分を含有しない。
【0009】
特定の態様において、HPCMは更にクロマトグラフィーコア材料を含むことができる。いくつかの態様において、クロマトグラフィーコアはシリカ材料、ハイブリッド無機/有機材料、表面多孔質材料または表面多孔質材料である。
【0010】
別の態様において、イオン性修飾剤はカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、アミノ基、イミド基、アミド基、ピリジル基、イミダゾリル基、ウレイド基、チオニル−ウレイド基またはアミノシラン基を含有する。
【0011】
別の態様において、イオン性修飾剤はジルコニウム、アルミニウム、セリウム、鉄、チタン、これらの塩、これらの酸化物およびこれらの組合せから構成される群から選択される。
【0012】
別の態様において、イオン性修飾剤は式(I):
【0013】
【化1】

式(II):
【0014】
【化2】

式(III):
【0015】
【化3】

またはこれらの組合せを有する基から選択されるイオン性修飾試薬から得ることができ、上記式中、
mは1〜8の整数であり;
vは0または1であり;
vが0であるとき、m’は0であり;
vが1であるとき、m’は1〜8の整数であり;
Zは化学反応基を表し、(限定されないが)
【0016】
【化4】

−OH、−OR、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iを含み;
Yは内包型極性官能基であり;
は各々独立してケイ素上の化学反応基を表し、(限定されないが)−H、−OH、−OR、ジアルキルアミン、トリフラート、Br、Cl、I、ビニル、アルケンまたは−(CHm”Qを含み;
Qは各々−OH、−OR、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iであり;
m”は1〜8の整数であり;
pは1〜3の整数であり;
1’は各々独立してF、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、またはC−C18ヘテロアリール、フルオロアルキルもしくはフルオロアリールを表し;
、R2’、RおよびR3’は各々独立して水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、C−C18ヘテロアリール、−Z、または式−Si(R’)R”もしくは−C(R’)R”を有する基を表し;
aおよびbは各々0〜3の整数を表し、但し、a+b=3であり;
R’はC−C直鎖、環状または分岐アルキル基を表し;
R”はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンまたはアニオン交換基、内包型極性官能基を含むアルキルまたはアリール基およびキラル部分から構成される群から選択される機能付与基であり;
は水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
は水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
は各々独立してC−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
Hetは少なくとも1個の窒素原子を含む複素環系またはヘテロアリール環系を表し;および
Aは酸性イオン性修飾剤部分または両性電荷イオン性修飾剤部分を表す。
【0017】
イオン性修飾試薬が式(III)から選択される特定の態様において、Aはアルキル、アリールまたはアリールアルキル基を含有するリン酸、カルボン酸、スルホン酸またはボロン酸の保護体または非保護体を表す。
【0018】
イオン性修飾試薬が式(III)から選択される他の特定の態様において、Aは両性電荷イオン性修飾剤を表す。理論に限定するものではないが、両性電荷イオン性修飾剤は相反する電荷を示すことができる2つのサブ原子団を有する。所定条件下で両性電荷イオン性修飾剤は両性イオンおよび両性電解質と同様に作用し、正電荷と負電荷の両方を示し、ゼロの正味電荷を維持することができる。他の条件下で両性電荷イオン性修飾剤は一方の原子団のみがイオン化され、正または負の正味電荷を示す場合もある。
【0019】
両性電荷イオン性修飾試薬としては、限定されないが、(一般に窒素または酸素原子上に)正電荷を示すと共に、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはボロン酸等の酸基を介して負電荷を示すことが可能なアルキル基、分岐アルキル基、アリール基、環状基、多環芳香族基、多環基、複素環基および多環複素環基が挙げられる。あるいは、金属含有錯体にも正電荷と負電荷の両方を示すものがある。
【0020】
両性電荷イオン性修飾試薬としては、限定されないが、更に両性イオン、両性電解質、アミノ酸、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルカルボン酸、モノおよびジメチルアミノアルキルスルホン酸、モノおよびジメチルアミノアルキルカルボン酸、ピリジニウムアルキルスルホン酸、並びにピリジニウムアルキルカルボン酸基も挙げられる。あるいは、両性電荷イオン性修飾剤としては、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート、6−メチル−9,10−ジデヒドロエルゴリン−8−カルボン酸、フェノールスルホフタレイン、ベタイン、キノノイド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンおよびN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン基も挙げられる。
【0021】
イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される特定の態様において、mは2または3である。
【0022】
イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される特定の態様において、RはCl、−OH,ジアルキルアミノ、メトキシまたはエトキシを表す。
【0023】
イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される特定の態様において、R1’はメチル、エチル、イソブチル、イソプロピルまたはtert−ブチルを表す。
【0024】
イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される他の態様において、RおよびRは各々水素を表す。
【0025】
イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される他の態様において、R2’およびR3’
は各々水素を表す。
【0026】
イオン性修飾試薬が式(I)から選択される他の態様において、RおよびRは各々水素を表す。
【0027】
イオン性修飾試薬が式(II)から選択される他の態様において、Hetはピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニルまたはトリアジニルである。
【0028】
イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される他の態様において、Vは1であり、m’は3であり、R、R2’、RおよびR3’は各々水素である。イオン性修飾試薬が式(I)、(II)または(III)から選択される特定の態様において、Vは1であり、m’は3であり、R、R2’、RおよびR3’は各々水素であり、Yはカルバメート、カーボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカーボネート、チオカルバメートまたはトリアゾールである。
【0029】
更に他の態様において、イオン性修飾試薬はアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(2−(トリクロロシリル)エチル)ピリジン、2−(2−(トリメトキシ)エチル)ピリジン、2−(2−(トリエトキシ)エチル)ピリジン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリクロロシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリクロロシラン、スルホプロピルトリシラノール、カルボキシエチルシラントリオール、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、n−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸、(2−ジエチルホスファトエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、2,2−ジメトキシ−1−チア−2−シラシクロペンタン、ビス(トリクロロシリルエチル)フェニルスルホニルクロリド、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、スルホン酸フェネチルトリシラノール、(トリエトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリメトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリクロロシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、ホスホン酸フェネチルトリシラノール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンまたはN,N−ジメチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。
【0030】
所定態様において、本発明のHPCMにおける疎水性表面基:イオン性修飾剤の比は約2.5:1〜約350:1、約3:1〜約200:1、約4:1〜約150:1、約4:1〜約35:1、約5:1〜約25:1、約5:1〜約22:1、約20:1〜約100:1、または約25:1〜約100:1である。
【0031】
他の態様において、本発明のHPCMにおけるイオン性修飾剤の濃度は約0.5μmol/m未満、約0.4μmol/m未満、約0.3μmol/m未満、約0.01μmol/m〜約0.5μmol/m、約0.01μmol/m〜約0.4μmol/m、または約0.03μmol/m〜約0.3μmol/mである。
【0032】
別の態様において、本発明のHPCMの疎水性表面基はC〜C30結合相である。特定の態様において、疎水性表面基はC18結合相である。他の態様において、疎水性表面基は芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルまたはキラル結合相である。更に他の態様において、疎水性表面基は内包型極性基結合相である。
【0033】
特定の態様において、本発明のHPCMは粒子、顆粒状材料、モノリス、表面多孔質材料、表面多孔質粒子、表面多孔質モノリスまたはオープンチューブクロマトグラフィー用表面多孔質層の形態とすることができる。
【0034】
特定の態様において、本発明のHPCMは無機材料(例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア)、ハイブリッド有機/無機材料、ハイブリッド表面層を付加した無機材料(例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア)、無機(例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア)表面層を付加したハイブリッド材料、または別のハイブリッド表面層を付加したハイブリッド材料から構成することができる。他の態様において、本発明のHPCMは規則的細孔構造、非周期的細孔構造、非結晶質もしくは非晶質細孔構造または実質的に不規則な細孔構造を有することができる。
【0035】
態様において、本発明のHPCMはクロマトグラフィー強化性細孔形状を有しない。
【0036】
別の態様において、本発明のHPCMはクロマトグラフィー強化性細孔形状を有する。
【0037】
特定の態様において、本発明のHPCMは約25〜1100m/g、約80〜500m/g、または約120〜330m/gの表面積を有する。
【0038】
他の態様において、本発明のHPCMは約0.15〜1.5cm/g、または約0.5〜1.3cm/gの細孔容積を有する。
【0039】
更に他の態様において、本発明のHPCMは約110m/g未満、約105m/g未満、約80m/g未満、または約50m/g未満のマイクロポア表面積を有する。
【0040】
更に他の態様において、本発明のHPCMは約20〜1500Å、約50〜1000Å、約100〜750Å、または約110〜500Åの平均細孔径を有する。
【0041】
更に他の態様において、本発明のHPCMが粒子状のとき、本発明のHPCMは約0.3〜100μm、約0.5〜20μm、0.8〜10μm、または約1.0〜3.5μmの平均粒度を有する。
【0042】
別の態様において、本発明のHPCMはpH約1〜約14、pH約10〜約14、またはpH約1〜約5で加水分解安定性である。
【0043】
更に別の態様において、本発明のHPCMは約2.5〜約300の定量化表面被覆率比B/A(式中、Aはイオン性修飾剤を表し、Bは疎水性基を表す)を有する。所定態様において、定量化表面被覆率比B/Aは約3〜約200、約4〜約35または約5〜約22である。
【0044】
別の態様において、本発明のHPCMは表面修飾することができる。特定の態様において、本発明のHPCMはポリマーコーティングにより表面修飾することができる。他の態様において、本発明のHPCMは有機基修飾とシラノール基修飾の併用によるポリマーコーティング、有機基修飾とポリマーコーティングの併用、シラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾することができる。他の態様において、本発明のHPCMは有機基修飾とシラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾した材料とすることができる。更に他の態様において、本発明のHPCMは材料の有機基と修飾試薬の間の有機共有結合の形成により表面修飾することができる。
【0045】
特定の態様において、本発明のHPCMは更に材料の内部に分散されたナノ粒子を含むことができる。ナノ粒子を更に含む態様において、ナノ粒子は2種以上のナノ粒子の混合物とすることができる。ナノ粒子を含むいくつかの態様において、ナノ粒子はナノ複合体の<20重量%またはナノ複合体の<5重量%の割合で存在する。ナノ粒子を含む他の態様において、ナノ粒子は結晶質または非晶質である。所定態様において、ナノ粒子は炭化ケイ素、アルミニウム、ダイアモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物およびこれらの窒化物から構成される群から選択される1種以上の部分を含む物質である。他の特定の態様において、ナノ粒子はナノダイアモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン、立方晶窒化ホウ素から構成される群から選択される1種以上の部分を含む物質である。別の態様において、ナノ粒子は直径200nm以下、直径100nm以下、直径50nm以下、または直径20nm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)従来の市販C18結合型材料と、(b)本発明の材料を使用した場合の(pH3からpH10への)pH切替に伴うドリフトを示す。
【図2】(a)従来の市販C18結合型材料と、(b)本発明の材料を使用した場合の各種被験物のピーク形状を示す。
【図3】3種類の異なるHPCM C18材料を充填した4.6×150mmカラムへのアミトリプチリンのアイソクラチック負荷挙動の比較を示し、(a)イオン性修飾剤レベルの高い生成物2eは凹状ラングミュア等温線を示唆するフロンティング/非ラングミュアピーク形状を示し、(b)イオン性修飾剤レベルが平衡状態の生成物2dは線形ラングミュア等温線を示唆するほぼ対称のガウス型/線形ピーク形状を示し、(c)イオン性修飾剤レベルが非常に低い生成物2bは凸状ラングミュア等温線を示唆するテーリング/バイラングミュアピーク形状を示す。
【図4】C18カラム(いずれも2.1×50mm)へのアミトリプチリンのアイソクラチック負荷挙動の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は例えばクロマトグラフィー分離用の新規クロマトグラフィー材料、その製造方法および前記クロマトグラフィー材料を含む分離装置を提供する。以下、定義を参照しながら本発明を更に詳細に説明する。
【0048】
定義
「高純度」または「高純度クロマトグラフィー材料」とは、高純度前駆体から製造される材料を包含する。特定の態様において、高純度材料は金属汚染度が低く、および/または、限定されないが、表面シラノールの酸性や表面の不均一等のクロマトグラフィー特性の低下を伴わない。
【0049】
「クロマトグラフィー表面」とは、試料のクロマトグラフィー分離を実施する表面を包含する。特定の態様において、クロマトグラフィー表面は多孔質である。いくつかの態様において、クロマトグラフィー表面は粒子、表面多孔質材料またはモノリスの表面とすることができる。特定の態様において、クロマトグラフィー表面はクロマトグラフィー分離中に併用される1種以上の粒子、表面多孔質材料またはモノリスの表面から構成される。他の特定の態様において、クロマトグラフィー表面は非多孔質である。
【0050】
「イオン性修飾剤」とは、電子供与性基または電子求引性基を有する官能基を包含する。特定の態様において、イオン性修飾剤は1個以上のカルボン酸基、アミノ基、イミド基、アミド基、ピリジル基、イミダゾリル基、ウレイド基、チオニル−ウレイド基もしくはアミノシラン基、またはこれらの組合せを含有する。他の態様において、イオン性修飾剤は遊離孤立電子対を有する窒素またはリン原子を含有する基を包含する。特定の態様において、イオン性修飾剤は材料表面と共有結合しており、イオン性基を有する。いくつかの場合において、イオン性修飾剤は表面ハイブリッド基の化学修飾によりクロマトグラフィー材料と結合している。
【0051】
「疎水性表面基」とは、疎水性を示すクロマトグラフィー表面上の表面基を包含する。特定の態様において、疎水性基はC4〜C18結合相等の炭素結合相とすることができる。他の態様において、疎水性表面基は疎水性表面の外側部分が疎水性を維持するように内包型極性基を含有することができる。いくつかの場合において、疎水性基は表面ハイブリッド基の化学修飾によりクロマトグラフィー材料と結合している。他の場合において、疎水性基はC4〜C30、内包型極性基、キラル、フェニルアルキルまたはペンタフルオロフェニル結合およびコーティングとすることができる。
【0052】
「クロマトグラフィーコア」とは、粒子、モノリスまたは本発明の材料の内側部分を形成する別の適切な構造の形態の本願に定義するクロマトグラフィー材料を包含し、限定されないが、シリカまたはハイブリッド材料等の有機材料が挙げられる。特定の態様において、クロマトグラフィーコアの表面は本願に定義するようなクロマトグラフィー表面に相当するか、または本願に定義するようなクロマトグラフィー表面で覆われた材料に相当する。クロマトグラフィー表面材料は不連続ないし明白な移行部を認識できるようにクロマトグラフィーコアに堆積または結合またはアニールしてもよいし、クロマトグラフィーコアの表面と融合して材料の漸次移行を生じ、不連続内部コア表面を生じないようにクロマトグラフィーコアと結合してもよい。実施態様において、クロマトグラフィー表面材料はクロマトグラフィーコアの材料と同一でも異なるものでもよく、限定されないが、細孔容積、表面積、平均細孔径、炭素含有率または加水分解pH安定性を含む物理的または物理化学的性質がクロマトグラフィーコアと異なっていてもよい。
【0053】
「ハイブリッド無機/有機材料」を含めて「ハイブリッド」とは、有機官能基を内部ないし「骨格」無機構造とハイブリッド材料表面の両方の一部とした無機系構造を包含する。ハイブリッド材料の無機部分は例えばアルミナ、シリカ、チタン、セリウムもしくはジルコニウムまたはこれらの酸化物、あるいはセラミック材料とすることができる。「ハイブリッド」とは、内部ないし「骨格」無機構造とハイブリッド材料表面の両方に有機官能基を導入した無機系構造を包含する。上記のように、典型的なハイブリッド材料は米国特許第4,017,528号、6,528,167号、6,686,035号および7,175,913号に示されている。
【0054】
「脂環式基」なる用語は炭素原子数3以上の閉環構造を包含する。脂環式基としては、飽和環状炭化水素であるシクロパラフィンないしナフテン、2個以上の二重結合を有する不飽和炭化水素であるシクロオレフィン、および三重結合を有するシクロアセチレンが挙げられる。脂環式基は芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例としては、シクロプロパン、シクロヘキサンおよびシクロペンタンが挙げられる。シクロオレフィンの例としては、シクロペンタジエンとシクロオクタテトラエンが挙げられる。脂環式基は更に縮合環構造と、アルキル置換脂環式基等の脂環式基を包含する。脂環式基の場合、このような置換基としては更に低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CN等が挙げられる。
【0055】
「脂肪族基」なる用語は一般に炭素原子数1〜22の直鎖または分岐鎖であることを特徴とする有機化合物を包含する。脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が挙げられる。複雑な構造では、鎖が分岐または架橋している場合もある。アルキル基としては、直鎖アルキル基と分岐鎖アルキル基を含めて炭素原子数1以上の飽和炭化水素が挙げられる。このような炭化水素部分は1個以上の炭素上を例えばハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、アルコキシ、アルキルカルボキシ、アルキルチオまたはニトロ基で置換してもよい。特に炭素数を指定しない限り、本願で使用する「低級脂肪族」(例えば低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)とは上記定義による脂肪族基のうちで炭素原子数が1〜6のものを意味する。このような低級脂肪族基(例えば低級アルキル基)の代表例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、tert−ブチル、3−チオペンチル等である、本願で使用する「ニトロ」なる用語は−NO2を意味し、「ハロゲン」なる用語は−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味し、「チオール」なる用語はSHを意味し、「ヒドロキシル」なる用語は−OHを意味する。従って、本願で使用する「アルキルアミノ」なる用語はアミノ基が結合した上記定義によるアルキル基を意味する。適切なアルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜約12、好ましくは炭素原子数1〜約6の基が挙げられる。「アルキルチオ」なる用語はスルフヒドリル基が結合した上記定義によるアルキル基を意味する。適切なアルキルチオ基としては、炭素原子数1〜約12、好ましくは炭素原子数1〜約6の基が挙げられる。本願で使用する「アルキルカルボキシル」なる用語はカルボキシル基が結合した上記定義によるアルキル基を意味する。本願で使用する「アルコキシ」なる用語は酸素原子が結合した上記定義によるアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基としては、炭素原子数1〜約12、好ましくは炭素原子数1〜約6の基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。「アルケニル」および「アルキニル」なる用語は夫々少なくとも1個の二重結合または三重結合を含む以外はアルキルと同様の不飽和脂肪族基を意味する。適切なアルケニルおよびアルキニル基としては、炭素原子数2〜約12、好ましくは炭素原子数1〜約6の基が挙げられる。
【0056】
「アルキル」なる用語は直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シアノアルキル(脂環式)基、アルキル置換シアノアルキル基およびシアノアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を包含する。所定態様において、直鎖または分岐鎖アルキルはその主鎖の炭素原子数が30以下であり、例えば直鎖ではC1〜C30または分岐鎖ではC3〜C30である。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキルはその主鎖の炭素原子数が20以下であり、例えば直鎖ではC1〜C20または分岐鎖ではC3〜C20であり、より好ましくは18以下である。同様に、好ましいシアノアルキルはその環構造における炭素原子数が4〜10であり、より好ましくは環構造における炭素原子数が4〜7である。「低級アルキル」なる用語は鎖中の炭素数が1〜6のアルキル基と、環構造中の炭素数が3〜6のシアノアルキルを意味する。
【0057】
更に、本明細書および特許請求の範囲の随所で使用する「アルキル」(「低級アルキル」を含む)なる用語は「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両者を包含し、このうち、後者は炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素に置換する置換基を有するアルキル部分を意味する。このような置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸塩、硫酸塩、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族もしくは複素芳香族部分が挙げられる。当業者に自明の通り、炭化水素鎖上で置換される部分は必要に応じてそれ自体置換されていてもよい。シアノアルキルは更に例えば上記置換基で置換することができる。「アラルキル」部分とは、例えば1〜3個の非縮合または縮合環を有する環炭素原子数6〜約18のアリールで置換されたアルキル(例えばフェニルメチル(ベンジル))である。
【0058】
本願で使用する「アミノ」なる用語は式−NRaRbの非置換または置換部分を意味し、式中、RaおよびRbは各々独立して水素、アルキル、アリールもしくはヘテロシクリルであり、またはRaとRbはそれらが結合している窒素原子と一緒になり、3〜8員環の環状部分を形成する。従って、特に指定しない限り、「アミノ」なる用語はピペリジニルまたはピロリジニル基等の環状アミノ部分を包含する。「アミノ置換アミノ基」とは、RaおよびRbの少なくとも一方が更にアミノ基で置換されたアミノ基を意味する。
【0059】
「芳香族基」なる用語は1個以上の環を含む不飽和環状炭化水素を包含する。芳香族基としては、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよい5および6員単環基(例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等)が挙げられる。芳香環は1個以上の環位置を例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CN等で置換してもよい。
【0060】
「アリール」なる用語は0〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよい5および6員単環芳香族基(例えば非置換または置換ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等)を包含する。アリール基は更に、ナフチル、キノリル、インドリル等の多環式縮合芳香族基も包含する。芳香環は1個以上の環位置を例えばアルキル基について上述したような置換基で置換してもよい。適切なアリール基としては、非置換または置換フェニル基が挙げられる。本願で使用する「アリールオキシ」なる用語は酸素原子が結合した上記定義によるアリール基を意味する。本願で使用する「アラルコキシ」なる用語は酸素原子が結合した上記定義によるアラルキル基を意味する。適切なアラルコキシ基は1〜3個の非縮合または縮合環をもち、環炭素原子数6〜約18である(例えばO−ベンジル)。
【0061】
「セラミック前駆体」なる用語はセラミック材料の形成をもたらす任意化合物を包含するものとする。
【0062】
「キラル部分」なる用語はキラルまたは立体選択的合成を可能にする任意官能基を包含するものとする。キラル部分としては、限定されないが、少なくとも1個のキラル中心を有する置換基、天然および非天然アミノ酸、ペプチドおよび蛋白質、誘導体化セルロース、大環状抗生物質、シクロデキストリン、クラウンエーテル、並びに金属錯体が挙げられる。
【0063】
「内包型極性官能基」なる用語はシリカ表面上の未反応シラノール基の遮蔽による塩基性試料との相互作用を減らすようにその一部分として極性部分を提供する官能基である。内包型極性官能基としては、限定されないが、カーボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカーボネート、チオカルバメート、エチレングリコール、複素環、トリアゾール官能基または米国特許第5,374,755号に開示されているようなカルバメート官能基、およびキラル部分が挙げられる。
【0064】
「クロマトグラフィー強化性細孔形状」なる用語は、例えば従来技術における他のクロマトグラフィー媒体と区別されるように、材料のクロマトグラフィー分離能を強化することが判明した本願に開示する材料の細孔構造の形状を包含する。例えば、材料のクロマトグラフィー分離能が例えば当分野で公知であるかまたは従来使用されている形状に比較して「強化」されているか否かを判定するためには、形状を形成、選択または構成し、各種特性および/または因子を使用することができる。これらの因子の例としては、(例えばバンドの広がりの減少と良好なピーク形状により立証されるような)高い分離効率、カラム寿命延長および高い物質移動特性が挙げられる。これらの特性は当分野で周知の技術を使用して測定または観測することができる。例えば、本発明の多孔質無機/有機ハイブリッド材料のクロマトグラフィー強化性細孔形状は「インクびん」または「シェル形」細孔形状または形態の不在により従来技術の材料から区別され、これらの形状はいずれも例えば物質移動速度を低下させ、効率低下をもたらすため、望ましくない。
【0065】
クロマトグラフィー強化性細孔形状は小集団のマイクロポアしか含まないハイブリッド材料に認められる。小集団のマイクロポアがハイブリッド材料で得られるのは、直径約<34Åの全細孔が材料の比表面積を約110m/g未満にするときである。このようにマイクロポア表面積(MSA)が小さいハイブリッド材料は(例えばバンドの広がりの減少と良好なピーク形状により立証されるような)高い分離効率と良好な物質移動特性を含むクロマトグラフィー強化をもたらす。マイクロポア表面積(MSA)はBJH法を使用して等温線の吸着側からの多点法窒素吸着解析により求めた場合に直径34Å以下の細孔群の表面積として定義される。本願で使用する略称「MSA」および「MPA」は同義に使用し、「マイクロポア表面積」を意味する。
【0066】
「機能付与基」なる用語はクロマトグラフィー固定相に所定のクロマトグラフィー機能を付与する有機官能基を包含する。
【0067】
「複素環基」なる用語は環内の原子の1個以上が炭素以外の元素(例えば窒素、硫黄または酸素)である閉環構造を包含する。複素環基は飽和でも不飽和でもよく、ピロールやフラン等の複素環基は芳香族性を有することができる。このような基としてはキノリンやイソキノリン等の縮合環構造が挙げられる。複素環基の他の例としては、ピリジンとプリンが挙げられる。複素環基は1個以上の構成原子を例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF3、−CN等で置換することもできる。適切な複素芳香族および複素脂環式基は一般に1〜3個の非縮合または縮合3〜約8員環と、1個以上のN、OまたはS原子を有する(例えばクマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノおよびピロリジニル)。
【0068】
「金属酸化物前駆体」なる用語は、金属を含有しており、金属酸化物(例えばアルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム)の形成をもたらす任意化合物を包含するものとする。
【0069】
「モノリス」なる用語は個々の粒子の形状および形態が維持されるように層構造に充填された個々の粒子の集合を包含するものとする。粒子を団結させる材料を使用して粒子を充填すると有利である。例えば、ジビニルベンゼン、メタクリレート、ウレタン、アルケン、アルキン、アミン、アミド、イソシアネートまたはエポキシ基の線状または架橋ポリマーや、オルガノアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、ポリオルガノアルコキシシロキサン、ポリエトキシシロキサンおよびセラミック前駆体の縮合反応物等の当分野で周知の多数の結合材を使用することができる。特定の態様において、「モノリス」なる用語は更に米国特許第7,250,214号に詳述されているハイブリッドモノリス等の他の方法により製造されたハイブリッドモノリス、0〜99モルパーセントのシリカ(例えばSiO)を含有する1種以上のモノマーの縮合から製造されたハイブリッドモノリス、融合多孔質無機/有機粒子から製造されたハイブリッドモノリス、クロマトグラフィー強化性細孔形状を有するハイブリッドモノリス、クロマトグラフィー強化性細孔形状をもたないハイブリッドモノリス、規則的細孔構造を有するハイブリッドモノリス、非周期的細孔構造を有するハイブリッドモノリス、非結晶質または非晶質分子秩序を有するハイブリッドモノリス、結晶ドメインないし領域を有するハイブリッドモノリス、種々の異なるマクロポア特性およびメソポア特性を有するハイブリッドモノリス、並びに種々の異なるアスペクト比のハイブリッドモノリスを包含する。所定態様において、「モノリス」なる用語は更にG.Guiochon/V.Chromatogr.A 1168(2007)101−168に記載されているもの等の無機モノリスも包含する。
【0070】
「ナノ粒子」なる用語は、少なくとも1つの寸法が約100nm未満、例えば直径または粒子厚が約100nm(0.1mm)未満であり、結晶質で非結晶質でもよい微細粒子/粒状物または粉末/ナノ粉末の微細メンバーである。ナノ粒子は従来のバルク材料に比較して特性が異なり、多くの場合には優れており、例えば、特に強度、硬度、靭性、焼結性および反応性の向上が挙げられる。ナノ材料の特性を決定するために多大な科学研究が続けられており、コロイド沈殿、機械的粉砕および気相核生成・成長を含む多数の方法により、(主にナノサイズ粉末として)少量が合成されている。ナノ相材料の最近の開発については、Gleiter,H.(1989)“Nano−crystalline materials,”Prog.Mater.Sci.33:223−315およびSiegel,R.W.(1993)“Synthesis and properties of nano−phase materials,”Mater.Sci.Eng.A168:189−197に詳細に記載されており、これらの文献を本願に援用する。特定の態様において、ナノ粒子は炭化ケイ素、アルミニウム、ダイアモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素およびこれらの混合物の酸化物または窒化物を含む。特定の態様において、本発明のナノ粒子はダイアモンド、酸化ジルコニウム(アモルファス型、単斜晶系、正方晶系および立方晶系)、酸化チタン(アモルファス型、アナターゼ型、ブルカイト型およびルチル型)、アルミニウム(アモルファス型、α型およびγ型)および窒化ホウ素(立方晶系)から選択される。特定態様において、本発明のナノ粒子はナノダイアモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン(アナターゼ型)、立方晶窒化ホウ素およびその任意組合せから選択される。更に、特定態様において、ナノ粒子は結晶質でも非晶質でもよい。特定態様において、ナノ粒子は直径100mm以下、例えば直径50mm以下、例えば直径20mm以下である。
【0071】
更に、当然のことながら、本発明の複合体内に分散していることを特徴とするナノ粒子とは、外部から添加されたナノ粒子を意味するものとする。これとは対照的に、その場で形成可能なナノ粒子または推定ナノ粒子と有意類似性を有する構造の場合には、例えば、粒子等のマクロ分子構造にこれらの内部で形成された粒子の凝集物が含まれている可能性がある。
【0072】
「実質的に不規則」なる用語はX線粉末回折解析に基づく細孔規則性の欠如を意味する。具体的に、「実質的に不規則」とはX線回折パターンにおける少なくとも1nmのd値(ないしd間隔)に対応する回折角のピークの不在により定義される。
【0073】
「表面修飾剤」とは所定のクロマトグラフィー機能をクロマトグラフィー固定相に付与する(一般に)有機官能基を包含する。多孔質無機/有機ハイブリッド材料は表面修飾剤で更に置換または誘導体化することが可能な有機基とシラノール基を併有する。
【0074】
「表面修飾」なる用語は本願では表面修飾剤で更に置換または誘導体化することが可能な有機基とシラノール基を併有する本発明の複合材料の意味で使用する。「表面修飾剤」としては、所定のクロマトグラフィー機能をクロマトグラフィー固定相に付与する(一般に)有機官能基が挙げられる。例えば誘導体化またはコーティング後に架橋することにより、本願に開示するもの等の表面修飾剤を基材に結合し、表面修飾剤の化学的性質を基材に付与する。一態様において、ハイブリッド材料の有機基は表面修飾剤と反応し、有機共有結合を形成する。修飾剤は、限定されないが、求核反応、求電子反応、シクロ付加反応、フリーラジカル反応、カルベン反応、ニトレン反応およびカルボカチオン反応を含む有機・ポリマー化学で周知の多数のメカニズムを介して材料の有機基と有機共有結合を形成することができる。有機共有結合は、限定されないが、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄およびハロゲンを含む有機化学でよく知られている元素間の共有結合の形成を伴うとして定義される。更に、炭素−ケイ素結合と炭素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合として定義されるが、ケイ素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合として定義されない。各種合成変換が文献から周知であり、例えば、March,J.Advanced Organic Chemistry,3rd Edition,Wiley,New York,1985を参照されたい。
【0075】
クロマトグラフィー表面材料
本発明はクロマトグラフィー表面を含む高純度クロマトグラフィー材料(HPCM)を提供し、前記クロマトグラフィー表面は疎水性表面基と1種以上のイオン性修飾剤を含有しており、但し、イオン性修飾剤が両性イオンを含有しないとき、イオン性修飾剤は第四級アンモニウムイオン部分を含有しない。
【0076】
特定の態様において、HPCMは更にクロマトグラフィーコア材料を含むことができる。いくつかの態様において、クロマトグラフィーコアはシリカ材料、ハイブリッド無機/有機材料、表面多孔質材料または表面多孔質粒子である。クロマトグラフィーコア材料は不連続粒子状でもよいし、モノリスでもよい。クロマトグラフィーコア材料は任意多孔質材料とすることができ、市販品でもよいし、米国特許第4,017,528号、6,528,167号、6,686,035号および7,175,913号に記載されている方法等の公知方法により製造することもできる。いくつかの態様において、クロマトグラフィーコア材料は非多孔質コアでもよい。
【0077】
クロマトグラフィー表面材料と(存在する場合には)クロマトグラフィーコア材料の組成はクロマトグラフィー選択性強化、カラム化学的安定性強化、カラム効率強化および/または機械的強度強化を実現するように当業者が変えることができる。同様に、周囲材料の組成はクロマトグラフィー分離を強化するように親水/親油バランス(HLB)、表面電荷(例えば等電点またはシラノールpKa)、および/または表面機能性に変化をもたらす。更に、所定態様において、クロマトグラフィー材料の組成は更に表面修飾するのに利用できるように表面機能性を与えることもできる。
【0078】
本発明のHPCMのイオン性修飾剤と疎水性表面基は公知方法を使用して製造することができる。イオン性修飾試薬には市販品もある。例えば、アミノアルキルトリアルコキシシラン、メチルアミノアルキルトリアルコキシシランおよびピリジルアルキルトリアルコキシシラン等のシラン類が市販されている。クロロプロピルアルキルトリクロロシランおよびクロロプロピルアルキルトリアルコキシシラン等の他のシラン類も市販されている。これらをイミダゾールと結合・反応させてイミダゾリルアルキルシリル表面種を形成することもできるし、またはピリジンと結合・反応させてピリジルアルキルシリル表面種を形成することもできる。他の酸性修飾剤も市販されており、限定されないが、スルホプロピルトリシラノール、カルボキシエチルシラントリオール、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、n−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸、(2−ジエチルホスファトエチル)トリエトキシシラン、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシランおよび2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0079】
グリニャール反応やヒドロシリル化を含む一般的な合成プロトコルを使用してこれらの型のシランを合成することは当業者に公知である。クロマトグラフィー、再結晶または蒸留により生成物を精製することができる。
【0080】
イソシアネート等の他の添加剤も市販されており、あるいは当業者が合成することができる。一般的なイソシアネート形成プロトコルは第一級アミンをホスゲンまたはトリホスゲンとして知られる試薬と反応させる方法である。
【0081】
いくつかの態様において、イオン性修飾剤はカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、アミノ基、イミド基、アミド基、ピリジル基、イミダゾリル基、ウレイド基、チオニル−ウレイド基またはアミノシラン基を含有する。
【0082】
他の態様において、イオン性修飾剤試薬は式(I):
【0083】
【化5】

式(II):
【0084】
【化6】

式(III):
【0085】
【化7】

を有する基から選択され、上記式中、
mは1〜8の整数であり;
vは0または1であり;
vが0であるとき、m’は0であり;
vが1であるとき、m’は1〜8の整数であり;
Zは化学反応基を表し、(限定されないが)
【0086】
【化8】

−OH、−OR、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iを含み;
Yは内包型極性官能基であり;
は各々独立してケイ素上の化学反応基を表し、(限定されないが)−H、−OH、−OR、ジアルキルアミン、トリフラート、Br、Cl、I、ビニル、アルケンまたは−(CHm”Qを含み;
Qは各々−OH、−OR、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iであり;
m”は1〜8の整数であり;
pは1〜3の整数であり;
1’は各々独立してF、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、またはC−C18ヘテロアリール、フルオロアルキルもしくはフルオロアリールを表し;
、R2’、RおよびR3’は各々独立して水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、C−C18ヘテロアリール、−Z、または式−Si(R’)R”もしくは−C(R’)R”を有する基を表し;
aおよびbは各々0〜3の整数を表し、但し、a+b=3であり;
R’はC−C直鎖、環状または分岐アルキル基を表し;
R”はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンまたはアニオン交換基、内包型極性官能基を含むアルキルまたはアリール基およびキラル部分から構成される群から選択される機能付与基であり;
は水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
は水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
は各々独立してC−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
Hetは少なくとも1個の窒素原子を含む複素環系またはヘテロアリール環系を表し;および
Aは酸性イオン性修飾剤部分または両性電荷イオン性修飾剤部分を表す。
【0087】
更に他の態様において、イオン性修飾剤はアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(2−(トリクロロシリル)エチル)ピリジン、2−(2−(トリメトキシ)エチル)ピリジン、2−(2−(トリエトキシ)エチル)ピリジン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリクロロシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリクロロシラン、スルホプロピルトリシラノール、カルボキシエチルシラントリオール、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、n−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸、(2−ジエチルホスファトエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、2,2−ジメトキシ−1−チア−2−シラシクロペンタン、ビス(トリクロロシリルエチル)フェニルスルホニルクロリド、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、スルホン酸フェネチルトリシラノール、(トリエトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリメトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリクロロシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、ホスホン酸フェネチルトリシラノール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンまたはN,N−ジメチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。
【0088】
特定の態様において、イオン性修飾剤が式(III)を有するとき、酸性イオン性修飾剤はトリシラノール、トリアルコキシシランもしくはトリクロロシランの保護体もしくは脱保護体;またはスルホン酸アルキルシラン、スルホン酸フェニルアルキルシラン、スルホン酸ベンジルアルキルシラン、スルホン酸フェニルシラン、スルホン酸ベンジルシラン、カルボン酸アルキルシラン、カルボン酸フェニルアルキルシラン、カルボン酸ベンジルアルキルシラン、カルボン酸フェニルシラン、カルボン酸ベンジルシラン、リン酸アルキルシラン、ホスホン酸フェニルアルキルシラン、ホスホン酸ベンジルアルキルシラン、ホスホン酸フェニルシラン、ホスホン酸ベンジルシラン、ボロン酸アルキルシラン、ボロン酸フェニルアルキルシラン、ボロン酸ベンジルアルキルシラン、ボロン酸フェニルシラン、ボロン酸ベンジルシランの塩である。
【0089】
特定の態様において、イオン性修飾剤が式(III)を有するとき、酸性イオン性修飾剤はスルホン酸アルキルイソシアネート、スルホン酸フェニルアルキルイソシアネート、スルホン酸ベンジルアルキルイソシアネート、スルホン酸フェニルイソシアネート、スルホン酸ベンジルイソシアネート、カルボン酸アルキルイソシアネート、カルボン酸フェニルアルキルイソシアネート、カルボン酸ベンジルアルキルイソシアネート、カルボン酸フェニルイソシアネート、カルボン酸ベンジルイソシアネート、リン酸アルキルイソシアネート、ホスホン酸フェニルアルキルイソシアネート、ホスホン酸ベンジルアルキルイソシアネート、ホスホン酸フェニルイソシアネート、ホスホン酸ベンジルイソシアネート、ボロン酸アルキルイソシアネート、ボロン酸フェニルアルキルイソシアネート、ボロン酸ベンジルアルキルイソシアネート、ボロン酸フェニルイソシアネートもしくはボロン酸ベンジルイソシアネートの保護体もしくは脱保護体または塩である。
【0090】
特定の態様において、イオン性修飾試薬が式(III)から選択されるとき、Aは両性電荷イオン性修飾剤部分を表す。理論に限定するものではないが、両性電荷イオン性修飾剤部分は相反する電荷を示すことができる2つのサブ原子団を有する。所定条件下で両性電荷イオン性修飾剤部分は両性イオンおよび両性電解質と同様に作用し、正電荷と負電荷の両方を示し、ゼロの純電荷を維持することができる。他の条件下で両性電荷イオン性修飾剤部分は一方の原子団のみがイオン化され、正または負の純電荷を示す場合もある。両性電荷イオン性修飾剤部分としては、限定されないが、(一般に窒素または酸素原子上に)正電荷を示すと共に、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸またはボロン酸等の酸基を介して負電荷を示すことが可能なアルキル基、分岐アルキル基、アリール基、環状基、多環芳香族基、多環基、複素環基および多環複素環基が挙げられる。あるいは、金属含有錯体にも正電荷と負電荷の両方を示すものがある。両性電荷イオン性修飾剤部分としては、限定されないが、更に両性イオン、両性電解質、アミノ酸、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルカルボン酸、モノおよびジメチルアミノアルキルスルホン酸、モノおよびジメチルアミノアルキルカルボン酸、ピリジニウムアルキルスルホン酸、並びにピリジニウムアルキルカルボン酸基も挙げられる。あるいは、両性電荷イオン性修飾剤部分は2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート、6−メチル−9,10−ジデヒドロエルゴリン−8−カルボン酸、フェノールスルホフタレイン、ベタイン、キノノイド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンおよびN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン基でもよい。
【0091】
いくつかの態様において、本発明のHPCMにおける疎水性表面基:イオン性修飾剤の比は約4:1〜約150:1、約20:1〜約100:1、または約25:1〜約100:1である。
【0092】
他の態様において、本発明のHPCMにおけるイオン性修飾剤の濃度は約0.5μmol/m未満、約0.4μmol/m未満、約0.3μmol/m未満、約0.01μmol/m〜約0.5μmol/m、約0.1μmol/m〜約0.4μmol/m、または約0.2μmol/m〜約0.3μmol/mである。
【0093】
更に別の態様において、本発明のHPCMは約2.5〜約300の定量化表面被覆率比B/A(式中、Aはイオン性修飾剤を表し、Bは疎水性基を表す)を有する。特定の態様において、定量化表面被覆率比B/Aは約3〜約200、約4〜約35または約5〜約22である。
【0094】
別の態様において、本発明のHPCMの疎水性表面基はC4〜C30結合相である。特定の態様において、疎水性表面基はC18結合相である。更に他の態様において、疎水性表面基は内包型極性基結合相である。他の態様において、疎水性表面基は芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシルまたはペンタフルオロフェニルアルキル結合相である。別の態様において、疎水性表面基はC〜C30、内包型極性基、キラル、フェニルアルキルもしくはペンタフルオロフェニル結合またはコーティングである。
【0095】
特定の態様において、本発明のHPCMは粒子、モノリスまたは表面多孔質材料の形態とすることができる。他の特定の態様において、本発明のHPCMは非多孔質材料である。
【0096】
特定の態様において、本発明のHPCMは無機材料(例えばシリカ)、ハイブリッド有機/無機材料、ハイブリッド表面層を付加した無機材料(例えばシリカ)、無機(例えばシリカ)表面層を付加したハイブリッド粒子、または別のハイブリッド表面層を付加したハイブリッド粒子とすることができる。
【0097】
一態様において、本発明のHPCMはクロマトグラフィー強化性細孔形状を有しない。別の態様において、本発明のHPCMはクロマトグラフィー強化性細孔形状を有する。
【0098】
特定の態様において、本発明のHPCMは約25〜1100m/g、約80〜500m/g、または約120〜330m/gの表面積を有する。
【0099】
他の態様において、本発明のHPCMは約0.15〜1.7cm/g、または約0.5〜1.3cm/gの細孔容積を有する。
【0100】
他の特定の態様において、本発明のHPCMは非多孔質である。
【0101】
更に他の態様において、本発明のHPCMは約110m/g未満、約105m/g未満、約80m/g未満、または約50m/g未満のマイクロポア表面積を有する。
【0102】
更に他の態様において、本発明のHPCMは約20〜1500Å、約50〜1000Å、約100〜750Å、または約110〜500Åの平均細孔径を有する。
【0103】
別の態様において、本発明のHPCMはpH約1〜約14、pH約10〜約14、またはpH約1〜約5で加水分解安定性である。
【0104】
別の態様において、本発明は本願に記載する材料であって、更にナノ粒子またはクロマトグラフィー表面の内側に分散した2種以上のナノ粒子の混合物を含むHPCM材料を提供する。
【0105】
特定の態様において、ナノ粒子はナノ複合体の<20重量%、ナノ複合体の<10重量%、またはナノ複合体の<5重量%の割合で存在する。
【0106】
他の態様において、ナノ粒子は結晶質または非晶質であり、炭化ケイ素、アルミニウム、ダイアモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物またはこれらの窒化物とすることができる。特定態様において、ナノ粒子はナノダイアモンド、炭化ケイ素、二酸化チタンおよび立方晶窒化ホウ素から構成される群から選択される1種以上の部分を含む物質である。
【0107】
他の態様において、ナノ粒子は直径200nm以下、直径100nm以下、直径50nm以下、または直径20nm以下とすることができる。
【0108】
表面修飾
本発明のHPCM材料は更に表面修飾することができる。
【0109】
即ち、一態様において、本願に記載する材料は式Z(R’)Si−R”を有する表面修飾剤で表面修飾することができ、上記式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノまたはトリフルオロメタンスルホネートであり、aおよびbは各々0〜3の整数であり、但し、a+b=3であり、R’はC−C直鎖、環状または分岐アルキル基であり、R”は機能付与基である。
【0110】
別の態様において、材料はポリマーコーティングにより表面修飾されている。
【0111】
特定の態様において、R’はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルから構成される群から選択される。他の態様において、R’はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンまたはアニオン交換基、内包型極性官能基を含むアルキルまたはアリール基およびキラル部分から構成される群から選択される。特定の態様において、R’は芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルおよびキラル部分から構成される群から選択される。
【0112】
一態様において、R”はC−C30アルキル基である。別の態様において、R”はキラル部分を含む。更に別の態様において、R”はC−C20アルキル基である。
【0113】
特定の態様において、表面修飾剤は内包型極性官能基を含む。特定の態様において、このような内包型極性官能基としては、カーボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカーボネート、チオカルバメート、エチレングリコール、複素環またはトリアゾール官能基が挙げられる。他の態様において、このような内包型極性官能基としては、米国特許第5,374,755号に開示されているようなカルバメート官能基と、キラル部分が挙げられる。このような基としては、一般式:
【0114】
【化9】

の基が挙げられ、式中、l、m、o、rおよびsは0または1であり、nは0、1、2または3であり、pは0、1、2、3または4であり、およびqは0〜19の整数であり;Rは水素、アルキル、シアノおよびフェニルから構成される群から選択され;Z、R’、aおよびbは上記と同義である。好ましくは、カルバメート官能基は下記一般構造:
【0115】
【化10】

をもち、式中、Rは例えばシアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルまたはベンジルとすることができる。Rはオクチル、ドデシルまたはオクタデシルが有利である。
【0116】
特定の態様において、表面修飾剤はフェニルヘキシルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシランおよびオクタデシルジメチルクロロシランから構成される群から選択される。いくつかの態様において、表面修飾剤はオクチルトリクロロシランおよびオクタデシルトリクロロシランから構成される群から選択される。他の態様において、表面修飾剤はイソシアネートまたは1,1’−カルボニルジイミダゾール(特にハイブリッド基が(CHOH基を含むとき)から構成される群から選択される。
【0117】
別の態様において、材料は有機基修飾とシラノール基修飾の併用により表面修飾されている。
【0118】
更に別の態様において、材料は有機基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾されている。別の態様において、有機基はキラル部分を含む。
【0119】
更に別の態様において、材料はシラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾されている。
【0120】
他の態様において、材料は粒子の有機基と修飾試薬の間の有機共有結合の形成により表面修飾されている。
【0121】
更に他の態様において、材料は有機基修飾とシラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾されている。
【0122】
別の態様において、材料はシラノール基修飾により表面修飾されている。
【0123】
所定態様において、表面修飾層は多孔質でも非多孔質でもよい。
【0124】
分離装置およびキット
別の態様は本願に記載するようなHPCM材料を含む固定相を有する各種分離装置を提供する。分離装置としては、例えばクロマトグラフィーカラム、薄層プレート、濾過膜、試料清浄化装置およびマイクロタイタープレートが挙げられる。
【0125】
HPCM材料はその安定性改善により、これらの装置に耐用期間の改善を付与する。従って、特定態様において、本発明は、
a)充填材を収容するための円筒形内部を有するカラムと、
b)本願に記載する高純度クロマトグラフィー材料を含む充填クロマトグラフィーベッド
を含む耐用期間の改善されたクロマトグラフィーカラムを提供する。
【0126】
別の特定態様において、本発明は、
a)充填材を収容するための内部チャネルと、
b)本願に記載する高純度クロマトグラフィー材料を含む充填クロマトグラフィーベッド
を含むクロマトグラフィー装置を提供する。
【0127】
本発明は更に本願に記載するようなHPCM材料と、使用説明書を含むキットも提供する。一態様において、説明書は分離装置(例えばクロマトグラフィーカラム、薄層プレート、濾過膜、試料清浄化装置およびマイクロタイタープレート)用の使用説明書である。
【0128】
本発明の材料の合成
本発明は本願に記載する高純度クロマトグラフィー材料(HPCM)の製造方法も提供する。
【0129】
一態様において、本発明は本願に記載するHPCMの製造方法として、
a.クロマトグラフィーコアをイオン性修飾試薬と反応させ、イオン性修飾材料を得る段階と;
b.得られた材料を疎水性表面修飾基と反応させる段階
を含む方法を提供する。
【0130】
別の態様において、本発明は本願に記載する高純度クロマトグラフィー材料の製造方法として、
a.クロマトグラフィーコアを疎水性表面修飾基と反応させ、表面修飾材料を得る段階と;
b.得られた材料をイオン性修飾試薬と反応させる段階
を含む方法を提供する。
【0131】
別の態様において、本発明は本願に記載する高純度クロマトグラフィー材料の製造方法として、
a.クロマトグラフィーコアを疎水性表面修飾基と反応させ、表面修飾材料を得る段階と;
b.得られた材料をエンドキャッピング表面基と反応させる段階と;
c.得られた材料をイオン性修飾試薬と反応させる段階
を含む方法を提供する。
【0132】
別の態様において、本発明は本願に記載する高純度クロマトグラフィー材料の製造方法として、
a.クロマトグラフィーコアをイオン性修飾試薬と反応させ、イオン性修飾材料を得る段階と;
b.得られた材料を反応させ、ハイブリッド表面層を生成する段階と;
c.得られた材料を疎水性表面修飾基と反応させる段階
を含む方法を提供する。
【0133】
態様において、上記のような本発明のHPCMは約3〜約133の添加量比B’/A’で製造され、ここでA’は調合物に添加されるイオン性修飾剤試薬を表し、B’は調合物に添加される疎水性基を表す。特定の態様において、添加量比B’/A’は約4〜約80、約4〜約15、または約6〜約7である。
【0134】
一態様において、本願に記載する方法は更に残留シラノール基をエンドキャッピングする段階を含む。
【0135】
一態様において、上記方法では、上記段階を同時に実施する。
【0136】
別の態様では、製造時の高純度クロマトグラフィー材料の細孔構造を水熱処理により改変し、窒素(N)吸着解析により確認されるように、細孔の開口と細孔径を拡大する。水熱処理は製造時のハイブリッド材料と塩基の水溶液を含有するスラリーを調製し、スラリーを高温、例えば100〜200℃のオートクレーブで10〜30時間加熱することにより実施する。トリメチルアミン(TEA)やトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン等のアルキルアミンの使用または水酸化ナトリウムの使用が有利である。こうして処理した材料を冷却し、濾過し、水とメタノールで洗浄後、80℃で16時間減圧乾燥する。
【0137】
特定の態様では、水熱処理後、高純度クロマトグラフィー材料の表面を種々の物質で修飾する。このような「表面修飾剤」としては、所定のクロマトグラフィー機能をクロマトグラフィー固定相に付与する(一般に)有機官能基が挙げられる。所定態様において、HPCMがハイブリッド材料である場合には、表面修飾剤で更に置換または誘導体化することが可能な有機基とシラノール基を併有する。
【0138】
水熱処理後の高純度クロマトグラフィー材料の表面は材料の有機基に対して反応性の試薬と反応させることにより誘導体化することが可能な有機基を含む。例えば、臭素(Br)、水素(H)、フリーラジカル、成長ポリマーラジカル中心、ジエン等の各種オレフィン反応性試薬と材料上のビニル基を反応させることができる。別の例では、下記のように、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸塩化物および反応性オルガノシラン等の各種アルコール反応性試薬と材料上のヒドロキシル基と反応させることができる。この種の反応は文献から周知であり、例えばMarch,J.Advanced Organic Chemistry,3rd Edition,Wiley,New York,1985;Odian,G.The Principles of Polymerization,2nd Edition,Wiley,New York,1981を参照されたい。
【0139】
更に、水熱処理後の高純度クロマトグラフィー材料の表面は反応性オルガノシランと反応させることにより誘導体化することが可能なシラノール基も含む。高純度クロマトグラフィー材料の表面誘導体化は、例えば有機溶媒中で還流条件下にオクタデシルトリクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランと反応させることにより、標準方法に従って実施される。この反応にはトルエン等の有機溶媒を一般に使用する。反応を触媒するためにピリジンやイミダゾール等の有機塩基を反応混合物に加える。次にこの反応の生成物を水、トルエンおよびアセトンで洗浄する。pHを調節した有機水溶液中で周囲温度または高温で加水分解によりこの材料を更に処理することができる。この加水分解にはアセトン等の有機溶媒を一般に使用する。pHの調節はトリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸、酢酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、リン酸緩衝液、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムを含む酸または塩基修飾剤を使用して実施することができる。次に加水分解の生成物を水、トルエンおよびアセトンで洗浄し、80℃〜100℃で16時間減圧乾燥する。上記と同様の手順を使用することにより、得られた材料を更にトリメチルクロロシラン等の短鎖シランと反応させ、残留シラノール基をエンドキャッピングすることができる。
【0140】
例えば誘導体化またはコーティング後に架橋することにより、本願に開示するもの等の表面修飾剤を基材に結合し、表面修飾剤の化学的性質を基材に付与する。1態様において、高純度クロマトグラフィー材料の有機基は表面修飾剤と反応し、有機共有結合を形成する。修飾剤は、限定されないが、求核反応、求電子反応、シクロ付加反応、フリーラジカル反応、カルベン反応、ニトレン反応およびカルボカチオン反応を含む有機・ポリマー化学で周知の多数のメカニズムを介して材料の有機基と有機共有結合を形成することができる。有機共有結合は、限定されないが、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄およびハロゲンを含む有機化学でよく知られている元素間の共有結合の形成を伴うとして定義される。更に、炭素−ケイ素結合と炭素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合として定義されるが、ケイ素−酸素−ケイ素結合は有機共有結合として定義されない。
【0141】
「機能付与基」なる用語は所定のクロマトグラフィー機能をクロマトグラフィー固定相に付与する有機官能基を包含し、例えばオクタデシル(C18)やフェニルが挙げられる。このような機能付与基は基材に直接導入するか、または例えば本願に開示するもの等の表面修飾剤に存在しており、例えば誘導体化またはコーティング後に架橋することにより表面修飾剤を基材に結合し、表面修飾剤の化学的性質を基材に付与する。
【0142】
特定の態様では、シラノール基を表面修飾する。他の態様では、有機基を表面修飾する。更に他の態様では、高純度クロマトグラフィー材料の有機基とシラノール基の両方を表面修飾または誘導体化する。別の態様では、ポリマーコーティングにより高純度クロマトグラフィー材料を表面修飾する。特定の態様では、ポリマーコーティングによる表面修飾をシラノール基修飾、有機基修飾、またはシラノール基と有機基の両方の修飾と併用する。シラノール基修飾、有機基修飾、またはシラノール基と有機基の両方の修飾によりイオン性修飾剤を材料に付加することができる。シラノール基修飾、有機基修飾、またはシラノール基と有機基の両方の修飾により疎水性表面基を材料に付加することができる。
【0143】
より一般には、式Z(R’)Si−R”の化合物を含む表面修飾剤で処理することにより高純度クロマトグラフィー材料の表面を修飾することができ、上記式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ)またはトリフルオロメタンスルホネートであり、aおよびbは各々0〜3の整数であり、但し、a+b=3であり、R’はC−C直鎖、環状または分岐アルキル基であり、R”は機能付与基である。特定の例において、このような材料はポリマーコーティングにより表面修飾されている。
【0144】
R’としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルまたはシクロヘキシルが挙げられ、R’はメチルが好ましい。
【0145】
機能付与基R”としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、内包型極性官能基を含むアルキルもしくはアリール基またはキラル部分が挙げられる。適切な機能付与基R”の例としては、キラル部分、C−C30アルキル(オクチル(C)、オクタデシル(C18)等のC−C20およびトリアコンチル(C30)を含む);アルカリール(例えばC−Cフェニル);シアノアルキル基(例えばシアノプロピル);ジオール基(例えばプロピルジオール);アミノ基(例えばアミノプロピル);および内包型極性官能基(例えばカーボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカーボネート、チオカルバメート、エチレングリコール、複素環およびトリアゾール官能基または米国特許第5,374,755号に開示されているようなカルバメート官能基、並びにキラル部分)を含むアルキルまたはアリール基が挙げられる。特定の態様において、R”は芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシル,ペンタフルオロフェニルアルキルおよびキラル部分から構成される群から選択される。このような基としては、一般式:
【0146】
【化11】

の基が挙げられ、式中、l、m、o、rおよびsは0または1であり、nは0、1、2または3であり、pは0、1、2、3または4であり、およびqは0〜19の整数であり;Rは水素、アルキル、シアノおよびフェニルから構成される群から選択され;Z、R’、aおよびbは上記と同義である。好ましくは、カルバメート官能基は下記一般構造:
【0147】
【化12】

を有し、式中、Rは例えばシアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルまたはベンジルとすることができる。Rはオクチル、ドデシルまたはオクタデシルが有利である。
【0148】
キラル分離等の特定の用途では、機能付与基としてキラル部分を含むと特に有利である。
【0149】
ポリマーコーティングは文献から公知であり、一般にポリマー層を支持体に化学結合せずに表面に物理吸着したモノマーを重合または重縮合させる方法(タイプI)、ポリマー層を支持体に化学結合しながら表面に物理吸着したモノマーを重合または重縮合させる方法(タイプII)、物理吸着したプレポリマーを支持体に固相化する方法(タイプIII)および予め合成したポリマーを支持体の表面に化学吸着させる方法(タイプIV)により提供することができる。例えばその内容を本願に援用するHanson,et al.,J.Chromat.A656(1993)369−380参照。上記のように、ハイブリッド材料のポリマーコーティングを本発明に記載する各種表面修飾法と併用することができる。
【0150】
従って、特定の態様において、疎水性表面修飾剤はフェニルヘキシルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシランおよびオクタデシルジメチルクロロシランから構成される群から選択される。別の態様において、表面修飾剤はオクチルトリクロロシランおよびオクタデシルトリクロロシランから構成される群から選択される。
【0151】
別の態様において、高純度クロマトグラフィー材料は有機基修飾とシラノール基修飾の併用により表面修飾されている。
【0152】
他の態様において、高純度クロマトグラフィー材料は有機基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾されている。
【0153】
他の態様において、高純度クロマトグラフィー材料はシラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾されている。
【0154】
別の態様において、高純度クロマトグラフィー材料はハイブリッドコアおよび/または周囲材料の有機基と修飾試薬の間の有機共有結合の形成により表面修飾されている。
【0155】
特定の態様において、高純度クロマトグラフィー材料は有機基修飾とシラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾されている。
【0156】
一態様において、高純度クロマトグラフィー材料はシラノール基修飾により表面修飾されている。
【0157】
別の態様において、本発明はポロゲンを更に使用することにより高純度クロマトグラフィー材料を修飾する方法を提供する。別の態様において、ポロゲンはシクロヘキサノール、トルエン、メシチレン、2−エチルヘキサン酸、フタル酸ジブチル、1−メチル−2−ピロリジノン、1−ドデカノールおよびTriton X−45から構成される群から選択される。特定の態様において、ポロゲンはトルエンまたはメシチレンである。
【0158】
1態様において、本発明は界面活性剤または安定剤を使用することにより高純度クロマトグラフィー材料を更に修飾する方法を提供する。特定の態様において、界面活性剤はTriton X−45、Triton X100、Triton X305、TLS、Pluronic F−87、Pluronic P−105、Pluronic P−123、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸TRISまたはTriton X−165である。特定の態様において、界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸アンモニウムまたはドデシル硫酸TRISである。
【0159】
以上、ハイブリッド、シリカ、粒子、モノリスおよび表面多孔質材料を含む本発明のHPCMの合成の所定態様について記載したが、以下、実施例で更に例証する。
【実施例】
【0160】
多孔質クロマトグラフィー材料の表面修飾について記載する以下の非限定的な実施例により本発明を更に例証することができる。
【0161】
材料
特に指定しない限り、全試薬は入手時の状態で使用した。当業者に自明の通り、下記購入品および供給業者には等価のものも存在するので、下記供給業者は限定的であると解釈すべきではない。
【0162】
性状決定
当業者に自明の通り、下記機器および供給業者には等価のものも存在するので、下記機器は限定的であると解釈すべきではない。
【0163】
%C、%H、%Nの数値は燃焼解析(CE−440 Elemental Analyzer;Exeter Analytical Inc.,North Chelmsford,MA)により測定し、あるいは%CはCoulometric Carbon Analyzer(モジュールCM5300,CM5014,UIC Inc.,Joliet,IL)により測定した。これらの材料の比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)および平均細孔径(APD)は多点法N吸着法(Micromeritics ASAP 2400;Micromeritics Instruments Inc.,Norcross,GA)を使用して測定した。SSAはBET法を使用して計算し、SPVはP/P>0.98として求めた一点法値とし、APDはBJH法を使用して等温線の脱着側から計算した。7kVで走査型電子顕微鏡(SEM)画像解析を実施した(JEOL JSM−5600機器,Tokyo,Japan)。Beckman Coulter Multisizer 3アナライザー(30μmアパーチャー,70,000カウント;Miami,FL)を使用して粒度を測定した。粒径(dp)は体積基準粒度分布の50%累積直径として測定した。分布の幅は体積基準90%累積直径を体積基準10%累積直径で割った数値として測定した(9010比と言う)。Bruker Instruments Avance−300分光計(7mmダブルブロードバンドプローブ)を使用して多核(13C,29Si)CP−MAS NMRスペクトルを取得した。スピン速度は一般に5.0〜6.5kHzとし、回復遅延時間は5秒とし、交差偏光接触時間は6ミリ秒とした。外部標準としてアダマンタン(13C CP−MAS NMR,δ38.55)とヘキサメチルシクロトリシロキサン(29Si CP−MAS NMR,δ−9.62)を使用してテトラメチルシランに対する13Cおよび29Si CP−MAS NMRスペクトルシフトの報告値を記録した。DMFitソフトウェアを使用してスペクトル逆重畳により各種ケイ素環境の集合を評価した[Massiot,D.;Fayon,F.;Capron,M.;King,I.;Le Calve,S.;Alonso,B.;Durand,J.−O.;Bujoli,B.;Gan,Z.;Hoatson,G.Magn.Reson.Chem.2002,40,70−76]。6.0232.100pH電極を備えるMetrohm 716 DMS Titrino自動滴定装置(Metrohm,Hersau,Switzerlandまたは同等装置)を使用して滴定を実施した。
【0164】
[実施例1]
ディーン・スタークトラップを使用して(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(15g,Waters Corporation,Milford,MA;6.5%C;SSA=186m/g;SPV=0.79cm/g;APD=151Å)をトルエン(100mL,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で1時間還流した。反応混合物1aはBEH材料7.2gを使用した。冷却後、成分Aシラン助剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、2−(2−(トリクロロシリル)エチル)ピリジン(2PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(QPTMS,50%メタノール溶液,Gelest Inc.,Morrisville,PA)またはクロロプロピルトリメトキシシラン(CPTMS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を添加した。反応混合物を1時間加熱還流した。冷却後、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)とオクタデシルジメチルクロロシラン(成分B,ODMCS,AldrichまたはGelest)を加えた。次に反応混合物を3時間加熱還流した。反応混合物1jおよび1kでは、トルエン200mLを使用し、イミダゾールをCPTMSと同時に加えた。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はFisher Scientificから入手)で順次洗浄した。次に生成物を80℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表1にまとめる。生成物1aは成分Aシラン助剤の使用を利用しない対照実験とした。生成物1b〜1lでは、成分Aシラン助剤の添加率を0.03〜10.6μmol/mとし、成分Aに対するBの添加モル比を0.19〜66.6とした。生成物1kおよび1lにはイミダゾールと反応することが知られているクロロプロピルシラン基を粒子に導入し、イミダゾールプロピル基を得た[A.M.Lazarin,Y.Gushikem and S.C.deCastro,J.Mater.Chem.,2000,10,2526;B.Gadenne,P.Hesemann,J.J.E.Moreau Chem.Commun.,2004,1768]。13C CP−MAS NMR分光法を使用してクロロプロピル基とイミダゾールの反応を確認した。
【0165】
元素分析により測定した表面修飾後の粒子%Nの差により成分Aシラン助剤の表面被覆率を求めた。表1に示すように、未結合BEH粒子と生成物1a〜1cはこの測定により計測可能な窒素含有率に達しなかった。NDは計測不能を意味する。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差によりC18基の表面被覆率を求めた。シラン助剤が完全に凝縮していると仮定することにより成分Aシラン助剤に起因する炭素含有量を除外する方法(補正法I)または成分Aシラン助剤被覆率計算から得られた数値を使用する方法(補正法II)により、C18基の表面被覆率を補正することができる。生成物1b〜1jでは、C18被覆率の補正を過大評価している可能性があるが、それでも非常に小さい(0.11μmol/m未満)。
【0166】
【表1】

【0167】
[実施例2]
トルエン(100mL)還流下でイミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WT)を使用して実施例1からの材料をトリメチルクロロシラン(TMCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)で4時間修飾した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄後、80℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表2にまとめる。
【0168】
【表2】

【0169】
[実施例3]
ディーン・スタークトラップを使用して(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(Waters Corporation,Milford,MA;6.5%C;SSA=182〜185m/g;SPV=0.72〜0.76cm/g;APD=142〜151Å)をトルエン(5mL/g,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で1時間還流した。冷却後、成分Aシラン助剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、ジエチルホスファトエチルトリエトキシシラン(DEPS,Gelest Inc.Morrisville,PA)または2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン(SPETCS,50%トルエン溶液,Gelest Inc.,Morrisville PA)を添加した。反応混合物を1時間加熱還流した。冷却後、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)とオクタデシルトリクロロシラン(成分B,ODTCS,Aldrich,Milwaukee,WI)を加えた。次に反応混合物を16時間加熱還流した。生成物3cは3時間反応させた。生成物3af〜3ajには成分Bを加えなかった。
【0170】
次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に材料をアセトン/0.12M酢酸アンモニウム水溶液(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)中で2時間(加水分解型A)、アセトン/0.1M重炭酸アンモニウム(pH8)水溶液中で50℃にて20時間(加水分解型B)、またはアセトン/0.1M重炭酸アンモニウム(pH10)水溶液中で50℃にて20時間(加水分解型C)還流した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に生成物を80℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表3にまとめる。シラン助剤(成分A)添加率は0.03〜3.70μmol/mとし、成分Aに対するBの添加モル比は4.3〜133.4とした。
【0171】
元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差によりC18基の表面被覆率を求めた。シラン助剤が完全に凝縮していると仮定することによりシラン助剤に起因する炭素含有量を除外する方法により得たC18基の被覆率の補正はこのデータセットでは小さかった(0.15μmol/m未満)ので、表3には記入しなかった。生成物3ajは滴定によるイオン交換容量が0.22mequiv/gであった。
【0172】
【表3】


【0173】
[実施例4]
トルエン(5mL/g)還流下でイミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)を使用して実施例3からの材料をトリエチルクロロシラン(TECS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)またはtert−ブチルジメチルクロロシラン(TBDMCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)で4〜20時間修飾した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄後、80℃で16時間減圧乾燥した。反応混合物4a〜4gおよび4m〜4abは4時間反応させ、反応混合物4h〜4lは20時間反応させた。反応混合物4m〜4abには更にトリメチルクロロシラン(TMCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)とイミダゾールを加え、反応混合物を更に16時間加熱した。選択した生成物を同様の方法で更にTMCS(反応混合物4k)またはヘキサメチルジシラザン(反応混合物4c,Gelest Inc.,Morrisville,PA)と反応させた。反応データを表4にまとめる。
【0174】
【表4】

【0175】
[実施例5]
ディーン・スタークトラップを使用して(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(Waters Corporation,Milford,MA;3.9μm,6.68%C;SSA=182m/g;SPV=0.75cm/g;APD=148Å)をトルエン(5mL/g,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で1時間還流した。冷却後、成分Aシラン助剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)または2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン(CMETCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を添加した。反応混合物を1時間加熱還流した。反応混合物5fおよび5gには、APTESとCMETCSの混合物を使用した。冷却後、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)またはジイソプロピルエチルアミン(DIPEA,Aldrich,Milwaukee,WI)と、成分Bシランとしてフェニルヘキシルトリクロロシラン(PTCS)、オクチルトリクロロシラン(OTCS,Aldrich,Milwaukee,WI)、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン(PFPPTCS)またはオクタデシルジメチルクロロシラン(ODMCS,Aldrich,Milwaukee,WI)を加えた。生成物5a〜5hにはイミダゾールを使用した。生成物5i〜5tにはDIPEAを使用した。その後、反応混合物を16時間加熱還流した。
【0176】
反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に材料を実施例3に詳述したように加水分解した。生成物5a〜5hは加水分解型Aを使用した。生成物5i〜5uは加水分解型Cを使用した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に生成物を70℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表5にまとめる。成分Aシラン助剤添加率は0.03〜0.35μmol/mとし、成分Aに対するBの添加モル比は6.5〜133.3とした。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差により表面被覆率を求めた。
【0177】
【表5】

【0178】
[実施例6]
トルエン(5mL/g)還流下でイミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)を使用して実施例5からの材料をトリエチルクロロシラン(TECS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)またはtert−ブチルジメチルクロロシラン(TBDMCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)で17〜20時間修飾した。反応混合物6e、6i〜6oおよび6qには4時間後に更にTMCSとイミダゾールを加え、反応混合物を更に16時間加熱した。反応混合物6iおよび6jでは、イミダゾールの代わりにジイソプロピルエチルアミン(DIPEA,Aldrich,Milwaukee,WI)を使用した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄後、70℃で16時間減圧乾燥した。生成物6pの試料はアセトニトリル水溶液中または実施例3の加水分解Cで更に加水分解した。炭素含有率の目立った変化は認められなかった。反応データを表6にまとめる。
【0179】
【表6】

【0180】
[実施例7]
ディーン・スタークトラップを使用して(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(15g,1.7μm,Waters Corporation,Milford,MA;6.5%C;SSA=92m/g;SPV=0.73cm/g;APD=311Å)をトルエン(100mL,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で2時間還流した。冷却後、成分Aシラン助剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(0.018g,添加率0.06μmol/m,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を添加し、反応混合物を1時間加熱還流した。冷却後、イミダゾール(5.06g,Aldrich,Milwaukee,WI)と、成分Bシランとしてtert−ブチルジメチルクロロシラン(2.08g,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を加えた。次に反応混合物を20時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄後、80℃で16時間減圧乾燥した。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差(7.88%C)により生成物7aの表面被覆率を求めた処、2.50μmol/mであった。
【0181】
[実施例8]
ディーン・スタークトラップを使用して多孔質シリカ粒子(Waters Corporation,Milford,MA;3.5μm;SSA=251m/g;SPV=0.80cm/g;APD=119Å)をトルエン(シリカ1グラム当たり5mL,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で1時間還流した。冷却後、成分Aシラン助剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES,Gelest Inc.,Morrisville,PA)または2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を添加した。生成物8aにはAPTESを使用した。生成物8b〜dには4PEを使用した。反応混合物を1時間加熱還流した。冷却後、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)またはジイソプロピルエチルアミン(DIPEA,Aldrich,Milwaukee,WI)と、成分Bシランとしてフェニルヘキシルトリクロロシラン(PTCS)、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン(PFPPTCS)またはオクタデシルジメチルクロロシラン(ODMCS,Aldrich,Milwaukee,WI)を加えた。生成物8aおよび8bにはイミダゾールを使用した。生成物8cおよび8dにはDIPEAを使用した。その後、反応混合物を20時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に材料をアセトン/0.1M酢酸アンモニウム水溶液(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)中で3.5時間還流した。生成物8b、8cおよび8dは50℃に20時間加熱した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に生成物を80℃で16時間減圧乾燥した。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差により生成物の表面被覆率を求めた。生成物8aは生成物4cについて記載したと同様に更に反応させ、生成物8eを得た。生成物8bおよび8dは生成物4mについて記載したと同様に更に反応させ、生成物8fおよび8gを得た。反応データを表7にまとめる。
【0182】
[実施例9]
表8に示す中性、極性および塩基性化合物の混合物の分離に実施例2、4、6および8からの多孔質粒子の試料を使用した。スラリー充填技術を使用して2.1×100mmクロマトグラフィーカラムに充填した。クロマトグラフィーシステムはACQUITY UPLC(登録商標)SystemとACQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower 2 Chromatography Data Software(Build 2154)を使用した。移動相条件は20mM KHPO/KHPO,pH7.00±0.02/メタノール(40/60v/v);流速:0.25mL/min;温度:30℃;検出:254nm;被験物:ウラシル、プロプラノロール、ブチルパラベン、ナフタレン、フタル酸ジプロピル、アセナフテンおよびアミトリプチリンとした。カラム4gおよび8aを23℃で試験した。
【0183】
実施例2、4、6、7および8からの粒子を充填したカラムはこれらの条件下で中性、極性および塩基性化合物の分離に十分な保持と分解を実現することが認められる。相対保持率は被験物の保持時間をアセナフテンの保持時間で割った数値である。従って、数値が1未満であるならば、保持率はアセナフテンよりも低く、数値が1よりも大きいならば、保持率はアセナフテンよりも高い。(相対保持率はHPLC分野で周知のパラメータである。)
【0184】
【表7】

【0185】
【表8】


【0186】
[実施例10]
実施例9の移動相および試験条件を使用して実施例2、4、6および8からの多孔質粒子の試料をUSPピークテーリング係数について評価した。結果を表9に示す。ピークテーリング係数はHPLC分野で周知のパラメータである(数値が低いほどテーリングの低下に対応する)。実施例2、4、6、7および8からの粒子を充填したカラムは市販C18カラムと同等のテーリング係数を有することが明白である。
【0187】
【表9】

【0188】
[実施例11]
表10に示す中性、極性および塩基性化合物の混合物の分離に実施例2〜8からの多孔質粒子の試料を使用した。スラリー充填技術を使用して2.1×100mmクロマトグラフィーカラムに充填した。生成物5i〜5m、6i〜6oおよび8c〜8gを充填したカラムは2.1×50mmクロマトグラフィーカラムを使用した。クロマトグラフィーシステムはACQUITY UPLC(登録商標)SystemとACQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower 2 Chromatography Data Software(Build 2154)を使用した。移動相条件は15.4mMギ酸アンモニウム,pH3.00±0.02/アセトニトリル(65/35v/v);流速:0.25mL/min;温度:30℃;検出:254nm;被験物:ウラシル、ピレンスルホン酸、デシプラミン、アミトリプチリン、ブチルパラベンおよびトルエンとした。カラム4gおよび8aは23℃で試験した。
【0189】
実施例2〜8からの粒子を充填したカラムはこれらの条件下で中性、極性および塩基性化合物の分離に十分な保持と分解を実現することが認められる。相対保持率は被験物の保持時間をトルエンの保持時間で割った数値である。従って、数値が1未満であるならば、保持率はトルエンよりも低く、数値が1よりも大きいならば、保持率はトルエンよりも高い(相対保持率はHPLC分野で周知のパラメータである。)。
【0190】
【表10】


【0191】
[実施例12]
実施例11の移動相および試験条件を使用して実施例2〜8からの多孔質粒子の試料をUSPピークテーリング係数について評価した。結果を表11に示す。ピークテーリング係数はHPLC分野で周知のパラメータである(数値が低いほどテーリングの低下に対応する)。実施例2〜8からの粒子を充填したカラムは市販C18カラムと同等のテーリング係数を有することが明白である。
【0192】
【表11】


【0193】
[実施例13]
表12に示す中性化合物と塩基性化合物の混合物の分離に実施例2、4〜8からの多孔質粒子の試料を使用した。スラリー充填技術を使用して2.1×50mmクロマトグラフィーカラムに充填した。クロマトグラフィーシステムはACQUITY UPLC(登録商標)SystemとACQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower Chromatography Data Software(Build 1154)を使用した。勾配条件:4.6分間で0.1%ギ酸(溶媒A)中15→65%アセトニトリル(溶媒B)後、1.4分間保持;流速:0.4mL/min;温度:30℃;検出:260nm;16.7%メタノール中で調製した塩基性試験混合物:ウラシル、酒石酸メトプロロール、パパベリン、アミトリプチリン;16.7%メタノール中で調製した中性試験混合物:ウラシル、プレドニゾン、カフェインとした。生成物5l、5n、6i、6j、8cおよび8fを充填したカラムは15→95%アセトニトリルを使用した。比較用カラムAおよびBは市販品とし、2.7μm C18結合型表面多孔質シリカ充填材を充填した。比較用カラムCは市販品とし、ODTCSで表面修飾後にエンドキャッピングした式(Oi.5SiCHCHSiO1.5)(SiOの1.7μm多孔質ハイブリッド粒子を充填した。
【0194】
3回の注入のピーク幅(4σ)の平均を使用してピークキャパシティを計算した。ピークキャパシティの決定と、低pH勾配分離における塩基性被験物のピーク形状不良およびそれに伴うピークキャパシティ不良に起因する問題はHPLCおよびUPLC分野で周知である。これらの試験条件下で中性被験物(プレドニゾン)に対する塩基性被験物(アミトリプチリン)のピークキャパシティの比を比較することにより、塩基性被験物クロマトグラフィー性能の良好な比較を行うことができる。ピークキャパシティ比が1に近いならば、塩基性被験物と中性被験物の性能が同等であると判断される。ピークキャパシティ比が0.8未満ならば、クロマトグラフィー性能が実質的に低下したと判断される。ピークキャパシティが1よりも大きいならば、中性被験物よりも塩基性被験物のクロマトグラフィー性能が改善したと判断される。
【0195】
生成物4u、4jおよび4nを充填したカラムのピークキャパシティ比を比較することにより、粒度変化による相違を検討することができる。これらの生成物では成分AおよびBの種類と添加率は同様であるが、粒度は1.8μm(生成物4u)から2.9μm(生成物4j)および3.9μm(生成物4n)まで変化する。ピークキャパシティ比を求めると、夫々0.86、1.09および1.02であった。これらの条件下で粒度は性能に影響を与え、特に<2μm充填材では顕著であると結論することができる。生成物4uは依然としてピークキャパシティ比が比較用カラムA〜Dよりも優位に改善されている。
【0196】
生成物2aおよび2dを充填したカラムのピークキャパシティ比を比較することにより、成分Aシラン助剤の影響を検討することができる。これらの生成物では粒度、成分Bシランの種類および成分Bシランの添加率が同様である。生成物2aには成分Aシラン助剤を添加していない。生成物2dは0.3μmol/mのAPTESを添加して製造した。ピークキャパシティ比を求めると、夫々0.72および1.18であった。これらの条件下で成分Aシラン助剤の種類は性能を改善すると結論することができる。
【0197】
生成物4cおよび4iを充填したカラムのピークキャパシティ比を比較することにより、成分Aシラン助剤の種類の相違を検討することができる。これらの生成物では粒度と成分Bシランの添加率が同様である。同一の成分Aシラン助剤添加率を使用して製造したが、成分Aシラン助剤の種類を生成物4cではAPTESとし、生成物4iでは4PEとした。ピークキャパシティ比を求めると、夫々0.74および0.38であった。これらの条件下で成分Aシラン助剤の種類は性能に影響を与えると結論することができる。
【0198】
生成物4hおよび4jを充填したカラムのピークキャパシティ比を比較することにより、成分Aシラン助剤の添加率の相違を検討することができる。これらの生成物では粒度、成分Bシランの種類および成分Bシランの添加率が同様である。これらの生成物は同一種の成分Aシラン助剤を使用して製造したが、成分Aの添加率は0.06μmol/m(生成物4h)から0.3μmol/m(生成物4j)まで変化させた。ピークキャパシティ比を求めると、夫々0.67および1.09であった。これらの条件下で成分Aシラン助剤の添加率は性能に影響を与えると結論することができる。
【0199】
生成物4kおよび6eを充填したカラムのピークキャパシティ比を比較することにより、成分Bシランの種類の相違を検討することができる。これらの生成物では粒度、成分Aシラン助剤の種類および成分Aシラン助剤の添加率が同様である。これらの生成物は同一の成分Bシラン添加率で製造したが、成分Bシランの種類を生成物4kではODTCSとし、生成物6eではOTCSとした。ピークキャパシティ比を求めると、夫々1.02および0.34であった。これらの条件下で成分Bシランの種類は性能に影響を与えると結論することができる。
【0200】
生成物41および4jを充填したカラムのピークキャパシティ比を比較することにより、成分Bシラン添加率の相違を検討することができる。これらの生成物では粒度、成分Aシラン助剤の種類および添加率が同様である。これらの生成物は同一の成分Bシランを使用して製造したが、成分Bシラン添加率は4μmol/m(生成物41)と2μmol/m(生成物4j)とした。ピークキャパシティ比を求めると、夫々0.45および1.09であった。これらの条件下で成分Bシラン添加率は性能に影響を与えると結論することができる。
【0201】
【表12】


【0202】
[実施例14]
塩基性被験物の負荷量増加による効率の相違について実施例2および4からの多孔質粒子の試料を評価した。スラリー充填技術を使用して4.6×150mmクロマトグラフィーカラムに充填した。クロマトグラフィーシステムはAlliance HPLC(登録商標)SystemとWaters 996 PDA検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower 2 Chromatography Data Software(Build 2154)を使用し、注入量20μL;流速:1.0mL/min;温度:30℃;検出:230nm;被験物:アミトリプチリンまたはプロプラノロール(移動相中60μg/mLに調製)とした。被験物のカラム負荷量は表13に示す通り、0.1μg〜2.5μgとした。同等の保持係数(0.9〜2.0)とするために、アミトリプチリン[アセトニトリル/水(60/40v/v)中0.05% TFA]とプロプラノロール[アセトニトリル/水(70/30v/v)中0.05% TFA]を使用する分離に合わせて移動相条件を調整した。比較用カラムAは市販品とし、5μm C18結合型多孔質シリカ充填材を充填した。比較用カラムBは市販品とし、ODTCSで表面修飾後にエンドキャッピングした式(Oi.5SiCHCHSiO1.5)(SiOの5μm多孔質ハイブリッド充填材を充填した。比較用カラムCおよびDは市販品とし、有機機能性シランで表面修飾後にC18表面修飾した5μm多孔質シリカ充填材を充填した。
【0203】
低pHアイソクラチック条件下で使用した場合に塩基性被験物では負荷量を増すと効率低下とピーク形状の悪化が認められることはHPLCおよびUPLC分野で周知である。理論に限定するものではないが、塩基性被験物の分離性能のこの悪化は被験物の過剰負荷に起因すると考えられている。表12に示すように、高負荷量での性能低下はアミトリプチリンまたはプロプラノロール負荷量0.1〜1.2μgまたは0.1〜2.5μgでのカラム効率の低下率百分率として判定される。
【0204】
アミトリプチリンおよびプロプラノロール負荷量1.2μgおよび2.5μgでも同様の結果が得られた。この試験で良好な性能であったカラムとしては、生成物2c、2gおよび4gを充填したカラムが挙げられ、被験物負荷量1.2μgで効率低下率が低かった(<20%)。これらのカラムは比較用カラムAおよびCと同等の性能であり、比較用カラムBおよびDよりも性能が改善された。これらの良好な性能のカラムは1.2μgと2.5μgの負荷量の間の効率低下の差が約100%であった。試験した他のカラムは被験物負荷量1.2μgで効率低下率が高く(>20%)、1.2μgと2.5μgの負荷量の間の効率低下の差は約25〜50%であった。
【0205】
生成物2cおよび2gを充填したカラムについてアミトリプチリン効率の低下率(カラム負荷量1.2μg)を比較することにより、成分Aシラン助剤の種類の影響を検討することができる。これらの生成物は成分Bシランの種類と成分Bシランの添加率が同一である。同一の成分Aシラン助剤添加率を使用して製造したが、成分Aシラン助剤は生成物2cではAPTESとし、生成物2gでは4PEとした。アミトリプチリン効率の低下率を求めた処、夫々4%と13%であった。
【0206】
生成物4c、4fおよび4gを充填したカラムについてアミトリプチリン効の低下率(カラム負荷量1.2μg)を比較することにより、成分Aシラン添加率の影響を検討することができる。これらの生成物は成分Bシランの種類と成分Bシランの添加率が同一である。同一の成分Aシラン助剤の種類を使用して製造したが、成分Aシラン添加率は生成物4cでは0.06μmol/m、生成物4fでは0.12μmol/mm、生成物4gでは0.20μmol/mとした。アミトリプチリン効率の低下率を求めた処、夫々40%、34%および10%であった。
【0207】
生成物2cおよび4bを充填したカラムについてアミトリプチリン効率の低下率(カラム負荷量1.2μg)を比較することにより、成分Bシランの種類の影響を検討することができる。これらの生成物は成分Aシラン助剤の種類と成分Aシラン助剤の添加率が同一である。同一の成分Bシラン添加率を使用して製造したが、成分Bシランの種類を生成物2cではODMCSとし、生成物4bではODTCSとした。アミトリプチリン効率の低下率を求めた処、夫々4%と43%であった。
【0208】
【表13】

【0209】
[実施例15]
疎水性表面基とイオン性修飾剤を示すように表面シラノール基を修飾する手順として、実施例1、3、5、7および8に詳述した一般手順を適用し、各種多孔質材料の表面シラノール基を修飾する。本実施例ではシリカ、ハイブリッド無機/有機材料、ハイブリッド無機/有機表面層を付加したハイブリッド無機/有機、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ポリマーまたは炭素材料、およびシリカ表面層を付加したハイブリッド無機/有機、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ポリマーまたは炭素材料からなるモノリス、球状、顆粒状、表面多孔質および不規則材料を使用する。球状、顆粒状または不規則材料の粒度は5〜500μm、より好ましくは15〜100μm、より好ましくは20〜80μm、より好ましくは40〜60μmとする。これらの材料のAPDは30〜2,000Å、より好ましくは40〜200Å、より好ましくは50〜150Åとする。これらの材料のSSAは20〜1000m/g、より好ましくは90〜800m/g、より好ましくは150〜600m/g、より好ましくは300〜550m/gとする。これらの材料のTPVは0.3〜1.5cm/g、より好ましくは0.5〜1.2cm/g、より好ましくは0.7〜1.1cm/gとする。モノリス材料のマクロポア直径は0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜25μm、より好ましくは1〜20μmとする。
【0210】
イオン性修飾剤である成分Aは実施例1、3、5、7および8で使用した基から選択するか、あるいは酸性イオン性修飾剤を含む式(I)、式(II)または式(III)を有する基から選択し、限定されないが、アルキル、アリールおよびアリールアルキル基を含有するリン酸、カルボン酸、スルホン酸およびボロン酸の保護体および非保護体が挙げられる。
【0211】
式IおよびIIの好ましいシランイオン性修飾試薬としては、4−ピリジルアルキルトリアルコキシシラン、3−ピリジルアルキルトリアルコキシシラン、2−ピリジルアルキルトリアルコキシシラン、イミダゾールアルキルトリアルコキシシラン、アミノアルキルトリアルコキシシラン、モノアルキルアミノアルキルトリアルコキシシランおよびジアルキルアミノアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。
【0212】
式IIIの好ましいシランイオン性修飾試薬としては、トリシラノール、トリアルコキシシランまたはトリクロロシラン、スルホン酸アルキルシラン、スルホン酸フェニルアルキルシラン、スルホン酸ベンジルアルキルシラン、スルホン酸フェニルシラン、スルホン酸ベンジルシラン、カルボン酸アルキルシラン、カルボン酸フェニルアルキルシラン、カルボン酸ベンジルアルキルシラン、カルボン酸フェニルシラン、カルボン酸ベンジルシラン、リン酸アルキルシラン、ホスホン酸フェニルアルキルシラン、ホスホン酸ベンジルアルキルシラン、ホスホン酸フェニルシラン、ホスホン酸ベンジルシラン、ボロン酸アルキルシラン、ボロン酸フェニルアルキルシラン、ボロン酸ベンジルアルキルシラン、ボロン酸フェニルシラン、ボロン酸ベンジルシランの酸保護体、酸脱保護体、クロロ体および塩が挙げられる。
【0213】
[実施例16]
実施例15で製造した選択材料からの残留シラノール基を実施例2、4および6に詳述したプロトコルに従って更に反応させる。
【0214】
[実施例17]
一般手順で、プロパノールハイブリッドで包囲したハイブリッド粒子(生成物17a)を以下のように多段階法で製造した。
【0215】
フラスコでアセトキシプロピルトリメトキシシラン(700g,Gelest Inc.,Morrisville,PA)をエタノール(374g,無水,J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)および0.01M酢酸水溶液(22g,J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)と混合した。得られた溶液をアルゴンまたは窒素雰囲気下で16時間撹拌・還流した。大気圧でアルコールをフラスコから留去した。アルゴンまたは窒素スイープ流下で110℃に17時間加熱することにより残留アルコールと揮発種を除去した。得られたポリオルガノアルコキシシロキサンは粘度95cPの透明な粘性液体であった。
【0216】
(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(20g,Waters Corporation,Milford,MA;6.5%C;SSA=190m/g;SPV=0.80cm/g;APD=155Å)の脱水トルエン(Fisher Scientific,Fairlawn,NJ;5mL/g)懸濁液にこのポリオルガノアルコキシシロキサンを加えた。ディーン・スタークトラップを使用してこの反応混合物を80℃に1時間、110℃に20時間加熱し、残留水を除去した。反応混合物を室温まで冷却し、粒子を0.5μm濾紙で分離し、エタノール(無水,J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)を使用して繰返し洗浄した。次に材料をエタノール(3mL/g,無水,J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)、脱イオン水(7mL/g)および30%水酸化アンモニウム(20g;J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)に懸濁し、50℃まで4時間加熱した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水とメタノール(Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)で順次洗浄した。次に生成物を80℃で16時間減圧乾燥した。
【0217】
次にスラリー濃度5mL/gとなるように粒子を0.3Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液(TRIS,Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)と混合した。酢酸(J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)を使用して得られたスラリーのpHを9.8に調整した。次にスラリーをステンレス鋼オートクレーブに入れ、155℃まで20時間加熱した。オートクレーブで室温まで冷却後、生成物を0.5μm濾紙で分離し、水とメタノール(Fisher Scientific,Suwanee,GA)で洗浄した。次に粒子を80℃で16時間減圧乾燥した。
【0218】
次に粒子を1モル塩酸溶液(Aldrich,Milwaukee,WI)に20時間98℃にて分散させた。粒子を0.5μm濾紙で分離し、中性pHまで水洗後、アセトン(HPLCグレード,Fisher Scientific,Fairlawn,N.J.)で洗浄した。粒子を80℃で16時間減圧乾燥した。このアプローチにより得られた生成物は8.1〜8.6%C;SSA=150〜166m/g;SPV=0.6〜0.7cm/g;APD=134〜145Å)である。NMR分光法を使用して構造解析を実施した。元素分析を使用して粒子%Cの差によりプロパノール基の表面被覆率を求めた処、3.2〜3.8μmol/mであった。
【0219】
[実施例18]
実施例17からのプロパノールハイブリッドで包囲したハイブリッド粒子をアルゴンブランケット下に脱水トルエン(5mL/g,J.T.Baker)中、オクタデシルイソシアネート(ODIC,Aldrich Chemical)、ペンタフルオロフェニルイソシアネート(PFPIC,Aldrich Chemical)、2,2−ジフェニルエチルイソシアネート(DPEIC,Aldrich Chemical)、4−シアノフェニルイソシアネート(4CPIC,Aldrich Chemical)または3−シアノフェニルイソシアネート(3CPIC,Aldrich Chemical)で修飾した。懸濁液を16時間加熱還流(110℃)後、<30℃まで冷却した。粒子をフィルター装置に移し、トルエンとアセトンで十分に洗浄した。次に材料を実施例3の加水分解セクションに詳述したように処理するか、または材料をアセトンと1%トリフルオロ酢酸(Aldrich,Milwaukee,WI)溶液(10mL/g粒子)の1:1v/v混液中で50℃に1時間加熱した(加水分解D)。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、アセトンとトルエン(70℃に加熱)で順次洗浄した。次に生成物を70℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表14にまとめる。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差によりカルバメート基の表面被覆率を求めた。
【0220】
【表14】

【0221】
[実施例19]
実施例18の材料をトルエン(5mL/g)還流下に更にアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)または2−(2−ピリジルエチル)トリメトキシシラン(2PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)で20時間修飾した。生成物19aおよび19bを4時間反応させた。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に材料を実施例3の加水分解セクションに詳述したように処理するか、または材料をアセトンと1%トリフルオロ酢酸(Aldrich,Milwaukee,WI)溶液(10mL/g粒子)の1:1v/v混液中で50℃に1時間加熱した(加水分解D)。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトンで順次洗浄後、70℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表15に示す
【0222】
【表15】


【0223】
[実施例20]
実施例19の選択材料を実施例4に詳述したようにエンドキャッピングにより更に修飾した。データを表16にまとめる。
【0224】
【表16】

【0225】
[実施例21]
実施例17からのプロパノールハイブリッドで包囲したハイブリッド粒子をトルエン(5mL/g)還流下に2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)で20時間修飾した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄した。次に材料を実施例3の加水分解Cに従って処理した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトンで順次洗浄した。次に選択した生成物を70℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表17にまとめる。
【0226】
【表17】

【0227】
[実施例22]
加水分解Cを使用して実施例21からの生成物を実施例18に詳述したようにイソシアネートで修飾した。反応データを表18にまとめる。
【0228】
【表18】

【0229】
[実施例23]
実施例3、4、21および22で製造した選択材料について、以下の手順を使用して表面ピリジル基(イオン性修飾剤)の濃度を定量した。2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(1.12μmol,Gelest Inc.,Morrisville,PA)のメタノール(0.4mL,HPLCグレード)溶液を実施例3、21または22からの試料(0.2000g)に加えた。次に水酸化ナトリウム溶液(4.0mL,2.5M)を使用して試料を64℃で60分間温浸した。試料をMillex−LCRフィルター(0.45μm,25mm,Millipore)で濾過し、ヘキサン(HPLCグレード)で抽出した。次にUV/Visible分光計(300〜240nM,0.1nM間隔,走査速度=120nM/min,スリット幅=2nM)を使用して水層を分析した。基材粒子のに吸光度寄与を補正しながら2種類の波長での吸光度を使用してピリジル基の濃度を計算した。結果を表19にまとめる。これらの結果によると、表面上のピリジルエチル基(成分A)の濃度は添加時よりも低下している。成分Bの被覆率測定値を使用し、B/Aの表面被覆率測定値の比を求めることができる。この結果、B/Aの表面被覆率の比(8〜190)は添加モル比(6〜80)よりも範囲が広くなる。
【0230】
【表19】

【0231】
[実施例24]
(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOの5μm BEH多孔質ハイブリッド粒子(25g,Waters Corporation,Milford,MA;6.5%C;SSA=190m/g;SPV=0.80cm/g;APD=155Å)の脱水トルエン(250mL,Fisher Scientific)懸濁液に成分Aとして2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(0.2182g,0.2μmol/m,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を加えた後、実施例17に詳述したプロパノールハイブリッドで包囲したハイブリッド粒子の一般作製手順に従った。この反応の生成物24aは8.3%Cおよび3.70μmol/mプロパノール基を有するプロパノールハイブリッドで包囲したハイブリッド粒子の形成中に低レベルのイオン性修飾剤を取込んだ。
【0232】
[実施例25]
実施例18に詳述したと同様の方法で加水分解Cを使用して実施例24からの部分生成物24a(16.2g)を成分Bとしてオクタデシルイソシアネート(7.51g,10μmol/m)と反応させた。この反応の生成物は14.27%Cおよびカルバメート基2.00μmol/mであった。こうして得られた生成物25aはB/A添加モル比が50であった。
【0233】
[実施例26]
実施例17に詳述したプロパノールハイブリッドで包囲したコア材料の一般作製手順を各種多孔質材料に適用する。実施例15に詳述したコア材料も使用する。
【0234】
[実施例27]
実施例1、3もしくは5に詳述したシランアプローチまたは実施例18に詳述したイソシアネートアプローチを使用し、実施例26で製造したこれらのプロパノールハイブリッドで包囲したコア材料の表面を成分Bとして疎水性基で修飾する。
【0235】
実施例19に詳述したシランアプローチを使用し、これらの材料の表面を成分Aイオン性修飾剤で更に修飾する。あるいは、実施例18に詳述したアプローチに従い、Zがイソシアネートまたは1−カルバモイルイミダゾールである式タイプIまたはIIのイオン性修飾試薬と表面プロパノール基を反応させる。好ましいイオン性修飾剤としては、4−ピリジルアルキルイソシアネート、3−ピリジルアルキルイソシアネート、2−ピリジルアルキルイソシアネート、イミダゾールアルキルイソシアネート、1−(N−(4−ピリジルアルキル)カルバモイル)イミダゾール、1−(N−(3−ピリジルアルキル)カルバモイル)イミダゾール、1−(N−(2−ピリジルアルキル)カルバモイル)イミダゾールおよび1−(N−(イミダゾール−1−イルアルキル)カルバモイル)イミダゾールが挙げられる。
【0236】
あるいは、実施例18に詳述したアプローチに従い、Zがイソシアネートまたは1−カルバモイルイミダゾールである式IIIのイオン性修飾試薬と表面プロパノール基を反応させる。好ましいイオン性修飾剤としては、イソシアナトアルキルスルホン酸、イソシアナトアルキルカルボン酸、イソシアナトアルキルリン酸、イソシアナトアルキルボロン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルスルホン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルカルボン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルリン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルボロン酸、イソシアナトアリールスルホン酸、イソシアナトアリールカルボン酸、イソシアナトアリールリン酸、イソシアナトアリールボロン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールスルホン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールカルボン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールリン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールボロン酸、イソシアナトアリールアルキルスルホン酸、イソシアナトアリールアルキルカルボン酸、イソシアナトアリールアルキルリン酸、イソシアナトアリールアルキルボロン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールアルキルスルホン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールアルキルカルボン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールアルキルリン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アリールアルキルボロン酸、イソシアナトアルキルアリールアルキルスルホン酸、イソシアナトアルキルアリールアルキルカルボン酸、イソシアナトアルキルアリールアルキルリン酸、イソシアナトアルキルアリールアルキルボロン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルアリールアルキルスルホン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルアリールアルキルカルボン酸、[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルアリールアルキルリン酸および[(イミダゾール−1−カルボニル)アミノ]アルキルアリールアルキルボロン酸の酸保護体と酸非保護体が挙げられる。
【0237】
[実施例28]
疎水性基の前にイオン性基を反応させる以外は、実施例27に詳述したようにこれらのプロパノールハイブリッドで包囲したコア材料の表面を修飾する。
【0238】
[実施例29]
実施例24に詳述したイオン性基を有するプロパノールハイブリッドで包囲したコア材料を製造するための一般手順を各種コア材料に適用する。実施例15に詳述したコア材料も使用する。実施例1、3もしくは5に詳述したシランアプローチを使用するか、または実施例18に詳述したイソシアネートアプローチを使用し、これらのプロパノールハイブリッドで包囲したコア材料の表面を疎水性基で修飾する。
【0239】
[実施例30]
実施例2、4、6および20に詳述したアプローチを使用し、実施例27〜29で製造した材料の表面を更に修飾するか、または表面プロパノール基を実施例18に詳述したように更にアルキルイソシアネートもしくはアリールイソシアネートと反応させる。
【0240】
[実施例31]
ハイブリッドで包囲したハイブリッド粒子を製造するための一般手順を使用し、実施例17および24に詳述した一般アプローチに従い、実施例15に詳述したコア材料を使用し、シラノール基とプロパノール基以外の反応性表面基を有するハイブリッドで包囲した新規材料を製造する。ビニル、ハロアルキル、アミノアルキル、エポキシまたはフェニル基を有するハイブリッド表面を作製する場合には、別の反応を実施して疎水性またはイオン性修飾剤を結合させる。ラジカル付加、メタセシス、エポキシド化およびヒドロシリル化を使用してビニル基を修飾する。ハロアルキル基を求核置換およびグリニャール反応により修飾する。アミノアルキル基を酸、イソシアネートまたは求核置換反応させる。表面アルコール基を示すようにエポキシ基を加水分解するか、またはアミンと反応させる。フェニル基をクロロメチル基、スルホン基またはニトロ基で置換する。Zが(限定されないが)シラン、シラノール、エーテル、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、1−カルバモイルイミダゾール、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−I等の化学反応基を表す式I、IIまたはIII型のイオン性修飾試薬が得られる。
【0241】
実施例27〜30に詳述したようにこれらの材料を更に修飾する。
【0242】
[実施例32]
一般手順で、イオン性修飾剤を含有しており、プロパノールで包囲した粒子を多段階法で製造する。イミダゾールを使用し、実施例3からの生成物3af〜3ahを脱水トルエン中、アセトキシプロピルトリクロロシランと反応させる。反応混合物を20時間加熱還流後、冷却し、濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトンで洗浄する。材料をアセトン/0.1M重炭酸アンモニウム(pH10)水溶液中で50℃にて20時間還流する。反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトンで順次洗浄する。次に生成物を1N HCl中で高温にて20時間加水分解する。反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水とアセトンで洗浄する。生成物を80℃で16時間減圧乾燥する。このアプローチにより製造した生成物は表面ピリジルエチル基とプロパノール基を有する。
【0243】
[実施例33]
イオン性修飾剤で初期修飾し、アセトキシプロピルトリクロロシランまたはポリオルガノアルコキシシロキサンを使用してプロパノールハイブリッドで包囲したコア材料を製造するための一般手順を各種コア材料に適用する。実施例15に詳述したコア材料も使用する。イオン性修飾剤によるこれらのコア材料の修飾は実施例1、3もしくは5に詳述したシランアプローチを使用して実施するか、または実施例15に詳述した式I、IIもしくはIIIのイオン性修飾試薬を使用して実施する。コア材料をアセトキシプロピルトリクロロシランで修飾するための一般アプローチは実施例33に詳述した。コア材料をアセトキシプロピルトリクロロシランで修飾するための一般アプローチは実施例17に詳述した。
【0244】
[実施例34]
アセトキシプロピルトリメトキシシラン(323g,Gelest Inc.,Morrisville,PA)をフラスコで2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(13.04g,Gelest Inc.,Morrisville,PA)、エタノール(218g,無水,J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)および2.2M酢酸水溶液(26g,J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)と混合した。得られた溶液をアルゴンまたは窒素雰囲気下で16時間撹拌・還流した。大気圧でアルコールをフラスコから留去した。アルゴンまたは窒素スイープ流下で110℃に5時間加熱することにより残留アルコールと揮発種を除去した。得られたポリオルガノアルコキシシロキサンである生成物34aは粘度27cPの透明な粘性液体であった。
【0245】
[実施例35]
一般手順で、実施例17のポリオルガノアルコキシシロキサンの代わりに実施例34からの生成物34aを使用し、イオン性修飾剤を含有しており、プロパノールハイブリッドで包囲したコア材料を多段階法により製造する。
【0246】
あるいは、プロパノールハイブリッドで包囲したコア材料の製造前にイオン性修飾剤を添加するこの一般製造手順を各種コア材料に適用する。実施例15に詳述したコア材料も使用する。
【0247】
[実施例36]
実施例1、3もしくは5に詳述したシランアプローチまたは実施例18に詳述したイソシアネートアプローチを使用し、実施例31〜33および35で製造した材料の表面を疎水性基で修飾する。
【0248】
[実施例37]
実施例2、4、6および20に詳述したアプローチまたは実施例18に詳述したイソシアネートアプローチを使用し、実施例36で製造した材料の二次表面修飾を行う。
【0249】
[実施例38]
実施例15、16、19〜22、24〜25、27〜33および35〜37で製造した生成物を実施例9〜14に詳述したようにクロマトグラフィーで評価する。実施例23に詳述したようにイオン性修飾剤の濃度を測定する。
【0250】
[実施例39]
生成物4aaからの多孔質粒子の試料と3μm市販C18カラムを異なるpHの移動相に暴露した場合のイオン化被験物の保持率の変化について評価した。スラリー充填技術を使用して2.1×50mmクロマトグラフィーカラムに充填した。クロマトグラフィーシステムはACQUITY UPLC(登録商標)SystemとACQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower Chromatography Data Software(Build 1154)を使用し、注入量2μL;流速:0.8mL/min;温度:30℃;検出:260nm;被験物:メトプロロールおよびアミトリプチリンとした。7サイクルの前(最初)と後(最後)にデータを比較し、各サイクルでは交互に0.1%ギ酸/アセトニトリル勾配を溶媒として7回注入後、10mM重炭酸アンモニウム(pH10)/アセトニトリル勾配を溶媒として17回注入した。酸性とpH10のどちらの勾配も2.5分で5→95%アセトニトリルに変化させた。
【0251】
図1に示すように、異なるpHの移動相に暴露した場合のイオン化被験物の保持率の変化は当分野で公知の問題である。市販C18カラムはアミトリプチリンの保持率が7%変化したが、生成物4aaはこれらの条件下でアミトリプチリンの保持率は0.4%しか変化しなかった。理論に限定するものではないが、表面平衡状態に達するのに時間がかかるのはよくないとされている。従来の高純度逆相カラムはpHが低いと表面電荷が著しく低下するため、表面電荷が僅かでも変化すると、イオン化被験物の保持率が著しく変化すると思われる。この作用は低イオン強度移動相の使用により悪化する。選択性の変化は可逆的であるため、結合相の減少によるものではなく、中性被験物に保持率の低下は認められない。(拡散を生じるのに十分な時間にわたって)低pH移動相でカラムを保存および/または平衡させると、最終的にその元の選択性に戻る。高pHでは脱プロトン化シラノールの濃度が比較的高いため、このゆっくりとした平衡は生じない。
【0252】
これらのデータによると、市販C18カラムとは異なり、生成物4aaは高低pH勾配条件の方法開発スクリーニングで使用することができ、方法を未使用カラムで確実に実施できる。
【0253】
[実施例40]
実施例13と同様に、中性化合物と塩基性化合物の混合物を分離するために実施例4jからの多孔質粒子の試料と市販C18カラムを使用した。塩基性試験混合物はウラシル、酒石酸メトプロロール、ラベタロール、アミトリプチリンから調製し、中性試験混合物はウラシル、プレドニゾン、カフェインから調製した。比較用C18カラムは市販品とし、ODTCSで表面修飾後にエンドキャッピングした式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOの3.5μm多孔質ハイブリッド粒子を充填した。
【0254】
図2に示すように、生成物4jの結果はイオン性修飾剤を添加しなかった比較用C18カラムに比較してこれらの条件下で塩基性被験物のピーク形状が大幅に改善された。この大幅な改善は実施例13に詳述したようにピークキャパシティの改善でも立証することができる。
【0255】
[実施例41]
実施例2からの多孔質粒子の試料をアミトリプチリンのアイソクラチック負荷挙動について評価した。スラリー充填技術を使用して4.6×150mmクロマトグラフィーカラムに充填した。クロマトグラフィーシステムはAlliance HPLC(登録商標)SystemとWaters 996 PDA検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower 2 Chromatography Data Software(Build 2154)を使用し、注入量20μL;流速:1.0mL/min;温度:30℃;検出:230nm;被験物:アミトリプチリン(移動相中60μg/mLに調製);カラム負荷量範囲:被験物0.3μg〜1.2μg;移動相:40%アセトニトリル中0.05% TFAとした。
【0256】
低pHでHPCMにより分離する場合に塩基性被験物のピーク形状が負荷濃度の増加と共に悪化することは周知の問題である。生成物2b、2dおよび2eの被験物濃度の増加に伴うピークプロファイルの変化を比較することにより、図3に示すように、ピークプロファイルに及ぼす表面電荷の影響を検討することができる。生成物2eはイオン性修飾剤レベルが高く、凹状ラングミュア等温線を示唆するフロンティング/非ラングミュアピーク形状を示し;(b)生成物2dはイオン性修飾剤レベルが最適であり、線形ラングミュア等温線を示唆するほぼ対称のガウス型/線形ピーク形状を示し;(c)生成物2bはイオン性修飾剤レベルが非常に低く、凸状ラングミュア等温線を示唆するテーリング/バイラングミュアピーク形状を示す。被験物負荷量が増加しても良好なピーク形状を維持することの重要性は当分野で周知である。生成物2dは通常の逆相カラムで達成可能な負荷量を遥かに上回る負荷量で高い効率を得るために最適な表面電荷を有する。
【0257】
[実施例42]
生成物4aaからの多孔質粒子の試料と3μm市販C18カラムをアミトリプチリンのアイソクラチック負荷挙動について評価した。スラリー充填技術を使用して2.1×50mmクロマトグラフィーカラムに充填した。クロマトグラフィーシステムはACQUITY UPLC(登録商標)SystemとACQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から構成した。データ収集および解析にはEmpower Chromatography Data Software(Build 1154)を使用し、注入量1.5μL;流速:0.2mL/min;温度:30℃;検出:260nm;被験物:アミトリプチリン;カラム負荷量範囲:被験物0.05μg〜6.0μg;移動相:39%(市販3μm C18カラム)または37%(生成物4aa)アセトニトリル中0.05% TFAとした。図4に示すように、生成物4aaは精製用途で使用される負荷量に匹敵する質量負荷量でアミトリプチリンにほぼ線形の等温線挙動を維持する。
【0258】
[実施例43]
3−(トリヒドロキシシリル)プロピル硫酸(6g,50%溶液)を添加するために、(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(20g,Waters Corporation,Milford,MA;4.0μm,6.78%C;SSA=183m/g;SPV=0.70cm/g;APD=139Å)を水(60mL)でスラリー化した。溶液を90℃に20時間加熱した。反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水とアセトンで洗浄した。次に生成物を70℃で16時間減圧乾燥した。未結合BEH粒子のシラノール寄与分を差し引いた後の滴定によると、生成物は7.29%Cおよびイオン交換容量0.160meq/gであった。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差により表面被覆率を求めた処、1.01μmol/mであった。
【0259】
[実施例44]
実施例3に詳述したと同様に表面多孔質シリカ粒子(20g,1.3μm,SSA=90〜205m/g;SPV=0.1〜0.3cm/g;APD=80〜130Å)を反応させ、4PEまたはAPTES等のイオン性修飾剤を最適濃度で含有するC18結合型材料を得る。この材料(生成物43a)を実施例4に詳述したようにエンドキャッピングし、実施例9〜14、41および42に詳述したように評価する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価し、成分Aイオン性修飾剤を添加した同様の材料と比較する。
【0260】
[実施例45]
粒度0.3〜2.0μmの表面多孔質シリカ粒子を使用して実施例44の方法を実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0261】
[実施例46]
粒度2〜3μmの表面多孔質シリカ粒子を使用して実施例44の方法を実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0262】
[実施例47]
粒度が3μmを上回る表面多孔質シリカ粒子を使用して実施例44の方法を実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0263】
[実施例48]
18結合の代わりにC〜C12、C30、内包型極性基、キラル、フェニルアルキルまたはペンタフルオロフェニル結合およびコーティングを使用して実施例44〜47の方法を実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0264】
[実施例49]
性状決定前にエンドキャッピング工程を行わずに実施例44〜48の方法を実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0265】
[実施例50]
ディーン・スタークトラップを使用して(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(2.9μm,Waters Corporation,Milford,MA;6.38%C;SSA=86m/g;SPV=0.68cm/g;APD=297Å)をトルエン(9mL/g,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で2時間還流した。冷却後、成分Aシラン助剤として2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシランを添加し、反応混合物を1時間加熱還流した。冷却後、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)と、成分Bシランとしてtert−ブチルジメチルクロロシラン(TBDMCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)またはオクタデシルトリクロロシラン(ODTCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を加えた。次に反応混合物を20時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄後、実施例3,加水分解型Cに詳述したように加水分解した。生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトンで順次洗浄した。生成物を70℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表20にまとめる。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差によりこれらの生成物の表面被覆率を求めた。生成物50bを実施例4に詳述したように更にエンドキャッピングし、10.52%Cの最終炭素含有率とした。
【0266】
【表20】

【0267】
[実施例51]
ディーン・スタークトラップを使用して表面多孔質シリカ粒子(1.35um,SSA=55m/g;SPV=0.15cm/g;APD=107Å,1.2μm非多孔質コア,0.1μm厚多孔質シェル)をトルエン(9mL/g,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で2時間還流した。冷却後、生成物51aには成分Aイオン性修飾剤として2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(4PE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を添加し、反応混合物を1時間加熱還流後、冷却した。生成物51bには成分Aイオン性修飾剤を添加しなかった。イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)とオクタデシルトリクロロシラン(ODTCS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を加えた。次に反応混合物を20時間加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、水、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトン(全溶媒はJ.T.Bakerから入手)で順次洗浄後、実施例3,加水分解型Cに詳述したように加水分解した。生成物を濾過し、トルエン、1:1v/vアセトン/水およびアセトンで順次洗浄した。生成物を70℃で16時間減圧乾燥した。反応データを表21にまとめる。元素分析により測定した表面修飾前後の粒子%Cの差によりこれらの生成物の表面被覆率を求めた。これらの生成物を実施例4に詳述したように更にエンドキャッピングした。
【0268】
【表21】

【0269】
[実施例52]
実施例13に詳述したプロトコルに従い、表22に詳述するように生成物51aおよび51bについてピークキャパシティ比較を行った。ピークキャパシティの決定と、低pH勾配分離における塩基性被験物のピーク形状不良およびそれに伴うピークキャパシティ不良に起因する問題はHPLCおよびUPLC分野で周知である。これらの試験条件下でピークキャパシティ比の増加は塩基性被験物の性能改善と相関する。生成物51aに成分Aイオン性修飾剤を添加した以外は生成物51aおよび51bは同一原料とし、どちらも同様に結合させた。生成物51aでは成分Aイオン性修飾剤を添加したため、51bに比較してピークキャパシティ比の改善が得られた。
【0270】
【表22】

【0271】
[実施例53]
米国特許第7,563,367B号に詳述されている方法と同様の方法で多孔質シリカ粒子をハイブリッドコーティングし、C18結合し、エンドキャッピングし、生成物53aを得る。あるいは、この方法の種々の時点でイオン性修飾剤試薬として(実施例15に詳述したような)成分Aを添加する。生成物53bにはハイブリッドコーティング前に成分A助剤を添加した。生成物53cにはC18結合前に成分A助剤を添加する。生成物53dにはエンドキャッピング前に成分A助剤を添加する。生成物53eにはエンドキャッピング後に成分A助剤を添加する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0272】
[実施例54]
米国特許第7,563,367B号に詳述されている方法と同様の方法で表面多孔質シリカ粒子をハイブリッドコーティングし、C18結合し、エンドキャッピングし、生成物54aを得る。あるいは、この方法の種々の時点でイオン性修飾剤として(実施例15に詳述したような)成分Aを添加する。生成物54bにはハイブリッドコーティング前に成分A助剤を添加した。生成物54cにはC18結合前に成分A助剤を添加する。生成物54dにはエンドキャッピング前に成分A助剤を添加する。生成物54eにはエンドキャッピング後に成分A助剤を添加する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0273】
[実施例55]
ディーン・スタークトラップを使用して(米国特許第6,686,035号に記載の方法に従って製造された)式(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiOのBEH多孔質ハイブリッド粒子(4.0μm,25g,Waters Corporation,Milford,MA;6.78%C;SSA=183m/g;SPV=0.70cm/g;APD=139Å)をトルエン(375mL,Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)中で還流した。冷却後、ジルコニウムn−プロポキシド(70% n−プロパノール溶液,4.28g,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を加え、反応混合物を周囲温度で1時間撹拌後、一晩加熱還流した。次に反応混合物を冷却し、生成物を濾過し、トルエンと1%ギ酸で順次洗浄後、1%ギ酸中で周囲温度にて1.5時間加水分解した。生成物55aを濾過し、大量の水とアセトンで洗浄した。生成物を80℃で16時間減圧乾燥した。
【0274】
[実施例56]
実施例1〜8および15に詳述したように生成物55aを更に修飾する。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0275】
[実施例57]
(限定されないが)ジルコニウム、アルミニウム、セリウム、鉄、チタンおよび他のイオン性基または他の両性基のアルコキシド、ハロゲン化物、塩および錯体から選択される1種以上のイオン性修飾剤を使用することにより、実施例1、3、5、7、8、15、19、21、24、27〜29、31〜33、35、43〜51、53〜55の方法を実施する。これらの生成物を実施例4に詳述したようにエンドキャッピングする。実施例9〜14、41および42に詳述したように材料を評価する。
【0276】
[実施例58]
18結合型1〜5μmクロマトグラフィー材料の充填ベッドを充填したクロマトグラフィーカラムを実施例9〜14、41および42に詳述したように評価する。次にクロマトグラフィーベッドへのイオン性修飾剤の取り込みを可能にするような長時間にわたり、イオン性修飾剤である成分Aを適切な溶媒に溶解した希溶液でこのカラムをフラッシュする。イオン性修飾剤の例は実施例15および57に挙げた通りである。カラムを更に適切な溶媒で洗浄し、実施例9〜14、41および42に詳述したように評価する。
【0277】
[実施例59]
エンドキャッピングしたC18結合型1〜5μmクロマトグラフィー材料をイオン性修飾剤である成分Aで修飾する。クロマトグラフィー材料の例は実施例15に挙げた通りである。イオン性修飾剤の例は実施例15および57に挙げた通りである。材料を実施例9〜14、41および42に詳述したように評価し、イオン性修飾剤を添加せずにエンドキャッピングしたC18結合型材料と比較する。
【0278】
[実施例60]
実施例58および59の方法を表面多孔質材料で実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように評価を行う。
【0279】
[実施例61]
18結合の代わりにC〜C12、C30、内包型極性基、キラル、フェニルアルキルまたはペンタフルオロフェニル結合およびコーティングを使用したクロマトグラフィー材料で実施例58〜60の方法を実施する。実施例9〜14、41および42に詳述したように評価を行う。
【0280】
文献援用
本願に引用する全特許、公開特許出願および他の文献はその内容全体を特に本願に援用する。
【0281】
等価物
当業者は日常的範囲内の実験を使用して本願に記載する特定手順の多数の等価物を認識するであろうし、あるいはこのような等価物を確認することができよう。このような等価物も本発明に範囲に含むものとみなし、以下の特許請求の範囲に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィー表面を含む高純度クロマトグラフィー材料であって、前記クロマトグラフィー表面が疎水性表面基と1種以上のイオン性修飾剤を含有しており、但し、イオン性修飾剤が両性イオンを含有しないとき、イオン性修飾剤は第四級アンモニウムイオン部分を含有しない前記高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項2】
更にクロマトグラフィーコア材料を含む請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項3】
イオン性修飾剤がカルボン酸基、スルホン酸基、アリールスルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、アミノ基、イミド基、アミド基、ピリジル基、イミダゾリル基、ウレイド基、チオニル−ウレイド基またはアミノシラン基を含む請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項4】
イオン性修飾剤が式(I):
【化1】

式(II):
【化2】

式(III):
【化3】

またはこれらの組合せを有する基から選択されるイオン性修飾試薬から得られ、上記式中、
mは1〜8の整数であり;
vは0または1であり;
vが0であるとき、m’は0であり;
vが1であるとき、m’は1〜8の整数であり;
Zは化学反応基を表し、(限定されないが)
【化4】

−OH、−OR、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iを含み;
Yは内包型極性官能基であり;
は各々独立してケイ素上の化学反応基を表し、(限定されないが)−H、−OH、−OR、ジアルキルアミン、トリフラート、Br、Cl、I、ビニル、アルケンまたは−(CHm”Qを含み;
Qは各々−OH、−OR、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、イソシアネート、アシルクロリド、トリフラート、イソシアネート、チオシアネート、イミダゾールカーボネート、NHSエステル、カルボン酸、エステル、エポキシド、アルキン、アルケン、アジド、−Br、−Clまたは−Iであり;
m”は1〜8の整数であり;
pは1〜3の整数であり;
1’は各々独立してF、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、またはC−C18ヘテロアリール、フルオロアルキルもしくはフルオロアリールを表し;
、R2’、RおよびR3’は各々独立して水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、C−C18ヘテロアリール、−Z、または式−Si(R’)R”もしくは−C(R’)R”を有する基を表し;
aおよびbは各々0〜3の整数を表し、但し、a+b=3であり;
R’はC−C直鎖、環状または分岐アルキル基を表し;
R”はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンまたはアニオン交換基、内包型極性官能基を含むアルキルまたはアリール基およびキラル部分から構成される群から選択される機能付与基であり;
は水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
は水素、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
は各々独立してC−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシまたはC−C18ヘテロアリールを表し;
Hetは少なくとも1個の窒素原子を含む複素環またはヘテロアリール環系を表し;および
Aは酸性イオン性修飾剤部分または両性電荷イオン性修飾剤部分を表す請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項5】
イオン性修飾試薬が式Iを有する請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項6】
イオン性修飾試薬が式IIを有する請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項7】
イオン性修飾試薬が式IIIを有する請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項8】
mが2または3である請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項9】
がClを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項10】
が−OHを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項11】
がジアルキルアミノ、メトキシまたはエトキシを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項12】
1’がメチルを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項13】
1’がエチルを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項14】
1’がイソブチルを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項15】
1’がイソプロピルを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項16】
1’がtert−ブチルを表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項17】
およびRが各々水素を表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項18】
およびRが各々水素を表す請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項19】
Hetがピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニルまたはトリアジニルである請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項20】
イオン性修飾試薬がアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(2−(トリクロロシリル)エチル)ピリジン、2−(2−(トリメトキシ)エチル)ピリジン、2−(2−(トリエトキシ)エチル)ピリジン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリクロロシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリクロロシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリエトキシシラン、イミダゾリルプロピルトリクロロシラン、スルホプロピルトリシラノール、カルボキシエチルシラントリオール、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、n−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン三酢酸、(2−ジエチルホスファトエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、2,2−ジメトキシ−1−チア−2−シラシクロペンタン、ビス(トリクロロシリルエチル)フェニルスルホニルクロリド、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、2−(クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(エトキシスルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン、スルホン酸フェネチルトリシラノール、(トリエトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリメトキシシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、(トリクロロシリルエチル)フェニルホスホン酸ジエチルエステル、ホスホン酸フェネチルトリシラノール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンまたはN,N−ジメチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項21】
疎水性表面基:イオン性修飾剤の比が約2.5:1〜約350:1である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項22】
疎水性表面基:イオン性修飾剤の比が約3:1〜約200:1である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項23】
疎水性表面基:イオン性修飾剤の比が約4:1〜約35:1である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項24】
イオン性修飾剤の濃度が約0.5μmol/m未満である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項25】
イオン性修飾剤の濃度が約0.4μmol/m未満である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項26】
イオン性修飾剤の濃度が約0.3μmol/m未満である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項27】
イオン性修飾剤の濃度が約0.01μmol/m〜約0.5μmol/mである請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項28】
イオン性修飾剤の濃度が約0.01μmol/m〜約0.4μmol/mである請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項29】
イオン性修飾剤の濃度が約0.03μmol/m〜約0.3μmol/mである請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項30】
疎水性表面基がC4〜C30結合相、芳香族、フェニルアルキル、フルオロ芳香族、フェニルヘキシル、ペンタフルオロフェニルアルキルまたはキラル結合相である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項31】
疎水性表面基がC18結合相である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項32】
疎水性表面基が内包型極性基結合相である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項33】
クロマトグラフィーコアがシリカ材料である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項34】
クロマトグラフィーコアがハイブリッド無機/有機材料である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項35】
クロマトグラフィーコアが表面多孔質材料である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項36】
クロマトグラフィーコアがハイブリッド表面層を付加した無機材料、無機表面層を付加したハイブリッド材料、または別のハイブリッド表面層を付加したハイブリッド材料である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項37】
材料が粒子の形態である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項38】
材料がモノリスの形態である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項39】
材料が表面多孔質材料の形態である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項40】
材料がクロマトグラフィー強化性細孔形状を有しない請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項41】
材料がクロマトグラフィー強化性細孔形状を有する請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項42】
前記クロマトグラフィー材料が約25〜1100m/gの表面積を有する請求項40または41の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項43】
前記クロマトグラフィー材料が約80〜500m/gの表面積を有する請求項42の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項44】
前記クロマトグラフィー材料が約120〜330m/gの表面積を有する請求項43の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項45】
前記クロマトグラフィー材料が約0.15〜1.7cm/gの細孔容積を有する請求項40または41の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項46】
前記クロマトグラフィー材料が約0.5〜1.3cm/gの細孔容積を有する請求項45の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項47】
前記クロマトグラフィー材料が約110m/g未満のマイクロポア表面積を有する請求項40または41の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項48】
前記クロマトグラフィー材料が約105m/g未満のマイクロポア表面積を有する請求項47の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項49】
前記クロマトグラフィー材料が約80m/g未満のマイクロポア表面積を有する請求項47の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項50】
前記クロマトグラフィー材料が約50m/g未満のマイクロポア表面積を有する請求項47の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項51】
前記クロマトグラフィー材料が約20〜1500Åの平均細孔径を有する請求項40または41の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項52】
前記クロマトグラフィー材料が約50〜1000Åの平均細孔径を有する請求項51の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項53】
前記クロマトグラフィー材料が約100〜750Åの平均細孔径を有する請求項52の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項54】
前記クロマトグラフィー材料が約110〜500Åの平均細孔径を有する請求項53の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項55】
前記クロマトグラフィー材料がpH約1〜約14で加水分解安定性である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項56】
前記クロマトグラフィー材料がpH約10〜約14で加水分解安定性である請求項55の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項57】
前記クロマトグラフィー材料がpH約1〜約5で加水分解安定性である請求項55の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項58】
材料が表面修飾された請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項59】
材料がポリマーコーティングにより表面修飾された請求項58の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項60】
材料が有機基修飾とシラノール基修飾の併用によるポリマーコーティングにより表面修飾された請求項58の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項61】
材料が有機基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾された請求項58の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項62】
材料がシラノール基修飾とポリマーコーティングの併用により表面修飾された請求項58の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項63】
材料が材料の有機基と修飾試薬の間の有機共有結合の形成により表面修飾された請求項58の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項64】
材料が有機基修飾、シラノール基修飾およびポリマーコーティングの併用により表面修飾された請求項58の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項65】
更に材料の内部に分散されたナノ粒子を含む請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項66】
ナノ粒子が2種以上のナノ粒子の混合物である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項67】
ナノ粒子がナノ複合体の<20重量%の割合で存在する請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項68】
ナノ粒子がナノ複合体の<5重量%の割合で存在する請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項69】
ナノ粒子が結晶質または非晶質である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項70】
ナノ粒子が炭化ケイ素、アルミニウム、ダイアモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物およびこれらの窒化物から構成される群から選択される1種以上の部分を含む物質である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項71】
ナノ粒子がナノダイアモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン、立方晶窒化ホウ素から構成される群から選択される1種以上の部分を含む物質である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項72】
ナノ粒子が直径200nm以下である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項73】
ナノ粒子が直径100nm以下である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項74】
ナノ粒子が直径50nm以下である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項75】
ナノ粒子が直径20nm以下である請求項65の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項76】
a.クロマトグラフィーコアをイオン性修飾試薬と反応させ、イオン性修飾材料を得る段階と;
b.得られたイオン性材料を疎水性表面修飾基と反応させる段階
を含む請求項2に記載の高純度クロマトグラフィー材料の製造方法。
【請求項77】
a.クロマトグラフィーコアを疎水性表面修飾基と反応させ、結合材料を得る段階と;
b.得られた結合材料をイオン性修飾試薬と反応させる段階
を含む請求項2に記載の高純度クロマトグラフィー材料の製造方法。
【請求項78】
残留するいずれのシラノール基もエンドキャッピングする段階を更に含む請求項76または77の方法。
【請求項79】
前記段階を同時に実施する請求項76または77の方法。
【請求項80】
得られた材料を表面修飾する段階を更に含む請求項76または77の方法。
【請求項81】
得られたクロマトグラフィー材料を水熱処理に供する段階を更に含む請求項76または77の方法。
【請求項82】
請求項1から75のいずれか一項または90もしくは91の高純度クロマトグラフィー材料を含む固定相を有する分離装置。
【請求項83】
前記装置がクロマトグラフィーカラム、薄層プレート、濾過膜、マイクロフルイディクス分離装置、試料清浄化装置、固相支持体、マイクロチップ分離装置およびマイクロタイタープレートから構成される群から選択される請求項82の分離装置。
【請求項84】
分離装置が固相抽出、高圧液体クロマトグラフィー、コンビナトリアルケミストリー、合成、バイオアッセイ、超高性能液体クロマトグラフィー、超高速液体クロマトグラフィー、超高圧液体クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィーおよび質量分析法から構成される群から選択される用途に有用である請求項82の分離装置。
【請求項85】
a)充填材を収容するための円筒形内部を有するカラムと、
b)請求項1から75のいずれか一項の高純度クロマトグラフィー材料を含有する充填クロマトグラフィーベッド
を含むクロマトグラフィーカラム。
【請求項86】
請求項1から75のいずれか一項の高純度クロマトグラフィー材料と使用説明書を含むキット。
【請求項87】
説明書が分離装置用である請求項86のキット。
【請求項88】
分離装置がクロマトグラフィーカラム、薄層プレート、マイクロフルイディクス分離装置、濾過膜、試料清浄化装置およびマイクロタイタープレートから構成される群から選択される請求項87のキット。
【請求項89】
a)充填材を収容するための内部チャネルと、
b)請求項1から75のいずれか一項の高純度クロマトグラフィー材料を含有する充填クロマトグラフィーベッド
を含むクロマトグラフィー装置。
【請求項90】
材料が非多孔質である請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項91】
イオン性修飾剤がジルコニウム、アルミニウム、セリウム、鉄、チタン、これらの塩、これらの酸化物およびこれらの組合せから構成される群から選択される請求項1の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項92】
Vが1であり、m’が3であり、R、R2’、RおよびR3’が各々水素である請求項4の高純度クロマトグラフィー材料。
【請求項93】
Yがカルバメート、カーボネート、アミド、尿素、エーテル、チオエーテル、スルフィニル、スルホキシド、スルホニル、チオ尿素、チオカーボネート、チオカルバメートまたはトリアゾールである請求項92の高純度クロマトグラフィー材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−501243(P2013−501243A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523729(P2012−523729)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/044390
【国際公開番号】WO2011/017418
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)
【Fターム(参考)】