説明

イオン性液体中のセルロース溶液

本発明は、セルロースおよび溶媒として陰イオンと陽イオンを含有するイオン性液体を含有する溶液であって、該陽イオンはプロトン化された形で供給される窒素、酸素、硫黄およびリンを含む群の中から選択される少なくとも1つの原子を備えている溶液に関する。また、その製造方法および物理的・化学的処理のためのその使用が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースおよび溶媒としてのイオン性液体を含む溶液、その製造方法、およびその使用に関する。
【0002】
セルロースは、非常に用途の広い原料である。繊維工業において、セルロースは、例えば、繊維原料、特に綿の最も重要な構成要素である。
【0003】
セルロースは、そのままで、あるいは物理的または化学的処理の後に使用することができる。後者の2つの場合、セルロースが溶媒に好ましくは完全に溶解形態にあることが好都合である。しかしながら、セルロースはほとんどの溶媒に不溶性である。
【0004】
セルロースは、銅キレート錯体として一部の銅溶液中に溶解可能である。再生セルロースは、セルロースの沈殿によって得ることができる。しかしながら、セルロースの物理的または化学的処理の場合、そのような銅溶液はセルロースの溶媒としてあまり適していない。
【0005】
このため、文献には、イオン性液体として特に公知のシステムがセルロースの溶媒として非常に早い時期に提案されていた。
【0006】
したがって、米国特許出願公開第1,943,176号には、ベンジルピリジニウムクロライド中のセルロースの溶解が記載されている。
【0007】
イオン性液体の一例として、ベンジルピリジニウムクロライドは、溶融形態で、したがって比較的低温の液体として存在する塩である。
【0008】
イオン性液体は、例えば、化学反応を行なう溶媒としてますます重要になっている。例えば、Angew. Chem. 2000年、112, p.3926−3945著Peter Wasserscheidtは、遷移金属触媒におけるイオン性液体の使用の概要を述べている。
【0009】
室温でも液状で存在するイオン性液体は、例えば、Fluid Phase Equilibria、第219巻 (2004年), p.93−98 著K.N.Marshら、およびGreen Chemistry、2001年、第3巻、p.156−164著J.G.Huddlestonらによって記載されている。
【0010】
独国特許出願公開第102 02 838号には、化学混合物から酸を分離するイオン性液体の使用が記載されている。
【0011】
イオン性液体の良好な溶媒力のため、セルロースの溶解のためのその使用も、さらに最近の国際特許出願公開第03/029329号で提案されている。しかしながら、イオン性液体はアルキル基、特にメチルによって4級化されるべき4級アンモニウムイオンを含む陽イオンを含むべきであることを強調している。
【0012】
WO03/029329号に記載のセルロース含有溶液およびその製造の特徴は、良好な結果を有するが、改善された溶液を提供する必要がある。
【0013】
したがって、本発明の目的は、改善された特性を示す溶解したセルロース溶液を提供することである。
【0014】
該目的は、セルロースおよび溶媒として陰イオンと陽イオンを含むイオン性液体を含む溶液であって、該陽イオンはプロトン化された形で存在する窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される少なくとも1つの原子を含む溶液によって達成される。
【0015】
水素による(プロトン化)、特に窒素の4級化による陽イオンの製造により、結果として、改善された特性が得られることがわかった。特に、イオン性液体を含む溶液は、製造が容易であることがわかった。したがって、イオン性液体は、塩基の添加によって蒸留可能な形態に変換することができ、イオン性液体の分離を容易にする。
【0016】
プロトン化は、1つ以上の同一または異なるヘテロ原子(N、O、S、P)で引き起こすことができる。プロトン化による正電荷の発生以外に、例えば、窒素のアルキル化の結果として、さらに陽イオン中に正電荷も存在できる。
【0017】
しかしながら、陽イオンは、アンモニウム陽イオンとしてプロトン化された形で存在する少なくとも1つの窒素原子を有することが好ましい。
【0018】
溶解するセルロースは、例えば、再生セルロース、繊維状セルロース、木質繊維、糸屑、綿または紙を起源とすることができる。
【0019】
本発明の溶液中に、溶液の全質量に対して1質量%以上のセルロースが完全に溶解することが好ましい。溶液の全質量に対して、3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上、特に少なくとも7質量%のセルロースが完全に溶解することが好ましい。
【0020】
溶液の全質量に対して、35質量%以下のセルロースが完全に溶解できることが好都合である。さらに、溶液の全質量に対して、25質量%以下のセルロースが完全に溶解できる。15質量%以下のセルロースが完全に溶解する溶液が特定の用途に特に適している。
【0021】
本発明の目的で、イオン性液体は、
(A)一般式(I):
[A]n+[Y]n-(I)
(式中、nは1、2、3または4で、[A]+は4級アンモニウム陽イオン、オキソニウム陽イオン、スルホニウム陽イオンまたはホスホニウム陽イオンで、[Y]n-は1価、2価、3価または4価の陰イオンである)の塩、
(B)一般式(II):
[A1+[A2+[Y]n- (IIa)(式中、n=2)
[A1+[A2+[A3+[Y]n- (IIb)(式中、n=3)または
[A1+[A2+[A3+[A4+[Y]n- (IIc)(式中、n=4)、
(式中、[A1+、[A2+、[A3+および[A4+は、[A]+として挙げた群の中から独立して選択され、[Y]n-は(A)で定義したものと同じである)の混合塩、または
(C)一般式(III):
[A1+[A2+[A3+[M1+[Y]n- (IIIa)(式中、n=4)、
[A1+[A2+[M1+[M2+[Y]n- (IIIb)(式中、n=4)、
[A1+[M1+[M2+[M3+[Y]n- (IIIc)(式中、n=4)、
[A1+[A2+[M1+[Y]n- (IIId)(式中、n=3)、
[A1+[M1+[M2+[Y]n- (IIIe)(式中、n=3)、
[A1+[M1+[Y]n- (IIIf)(式中、n=2)、
[A1+[A2+[M42+[Y]n- (IIIg)(式中、n=4)、
[A1+[M1+[M42+[Y]n- (IIIh)(式中、n=4)、
[A1+[M53+[Y]n- (IIIi)(式中、n=4)、または
[A1+[M42+[Y]n- (IIIj)(式中、n=3)、
(式中、 [A1+、[A2+および[A3+は、[A]+として挙げた群の中から独立して選択され、[Y]n-は(A)で定義したものと同じで、[M1+、[M2+、[M3+は1価の金属の陽イオンで、[M42+は2価の金属の陽イオンで、[M53+は3価の金属の陽イオンである)の混合塩
の塩であることが好ましい。
【0022】
イオン性液体は、好ましくは180(C未満の融点を有する。融点は、より好ましくは−50(C〜150(Cの範囲、さらに好ましくは−20(C〜120(Cの範囲にあり、最も好ましくは100(C未満である。
【0023】
イオン性液体の陽イオン[A]+の形成に適する化合物は、例えば、DE102 02 838 号から公知のものである。したがって、このような化合物は、酸素、リン、硫黄原子または特に窒素原子、例えば、少なくとも1個の窒素原子、好ましくは1〜10個の窒素原子、特に好ましくは1〜5個の窒素原子、きわめて特に好ましくは1〜3個の窒素原子、特に1〜2個の窒素原子を含むことができる。適切ならば、酸素原子、硫黄原子またはリン原子などのヘテロ原子もさらに含むことができる。窒素原子は、イオン性液体の陽イオン中の正電荷の適した担体で、その担体から陽子またはアルキル基を陰イオンと平衡に移動して電気的に中性な分子を生成する。
【0024】
窒素原子がイオン性液体の陽イオン中の正電荷の担体であるなら、陽イオンは、初めに、例えば、イオン性液体の合成においてアミンまたは窒素の複素環の窒素原子の4級化によって生成することができる。4級化は窒素原子のプロトン化によってもたらすことができる。使用したプロトン化試薬によって、異なる陰イオンを有する塩が得られる。4級化において直接、所望の陰イオンを形成することができない場合、これはさらなら合成工程でもたらすことができる。例えば、ハロゲン化アンモニウムから始めると、ハロゲン化物がルイス酸と反応して、ハロゲン化物とルイス酸から錯体の陰イオンを形成することができる。代わりの方法として、ハロゲン化物イオンを所望の陰イオンに置き換えることができる。これは、イオン交換体によって、またはハロゲン化物イオンを強酸に置換することによって(ハロゲン化水素が遊離して)生じるハロゲン化金属の沈殿とともに金属塩を加えることによって達成することができる。適した方法は、例えば、Angew. Chem. 2000年、112、p. 3926〜3945およびそれに引用された文献に記載されている。
【0025】
少なくとも1つの5−または6−員複素環、特に、少なくとも1つの窒素原子および、適切なら、特に酸素または硫黄原子を有する5員複素環を含む化合物が好ましい。1、2または3個の窒素原子と硫黄原子または酸素原子を有する、きわめて特に好ましくは2個の窒素原子を有する、少なくとも1つの5−または6−員複素環を含む化合物が特に好ましい。芳香族複素環も好ましい。
【0026】
特に好ましい化合物は、1000g/mol未満、きわめて特に好ましくは500 g/mol未満、特に250 g/mol未満の分子量を有するものである。
【0027】
また、好ましい陽イオンとして、式(IVa)〜(IVw)
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
の化合物およびこれらの構造を含むオリゴマーの中から選択されるものが挙げられる。
【0031】
さらに、適した陽イオンは、一般式(IVx)と(IVy)
【化4】

の化合物およびこれらの構造を含むオリゴマーである。
【0032】
上記式(IVa)〜(IVy)中、
基Rは水素で、
基R1〜R9は、それぞれ互いに独立して水素、スルホ基、または1〜20個の炭素原子を有し、1〜5個のヘテロ原子または官能基で置換されないまたは遮られた、または上記式(IV)中、炭素原子(ヘテロ原子にではなく)に結合し、ハロゲンまたは官能基でもありうる基R1〜R9で置換される炭素を含む有機、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基であり、あるいは
1〜R9からなる群からの2つの隣接する基もともに、1〜30個の炭素原子を有し、1〜5個のヘテロ原子または官能基で置換されないまたは遮られた、または置換される2価の炭素を含む有機、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基であってもよい。
【0033】
基R1〜R9の定義において、ヘテロ原子は、原則的にCH2−、−CH=、−C(または=C=基に置き換えることができる原則的にすべてのヘテロ原子である。炭素を含む基がヘテロ原子を含むなら、好ましいヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、リンおよびケイ素が挙げられる。特に基R1が炭素を含む基の残部である−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR1−、−N=、−PR1−、−PR12および−SiR12−が好ましい基である。基R1〜R9は、それらが上記式(IV)中、炭素原子(ヘテロ原子にではなく)に結合する場合、ヘテロ原子を介して直接結合することもできる。
【0034】
可能な官能基は、原則的に、炭素原子またはヘテロ原子に結合できるすべての官能基である。適した官能基の例として−OH(ヒドロキシ)、=O(特に、カルボニル基として)、−NH2(アミノ)、=NH(イミノ)、−COOH(カルボキシ)、−CONH2(カルボキサミド)、−SO3H(スルホ)および−CN(シアノ)が挙げられる。また、官能基およびヘテロ原子が直接隣接して、例えば、−O−(エーテル)、−S−(チオエーテル)、−COO−(エステル)、−CONH−(2級アミド)または−CONR’1−(3級アミド)の複数の隣接原子の組み合わせ、例えば、ジ−(C1−C4−アルキル)アミノまたはC1−C4−アルキルオキシカルボニルまたはC1−C4−アルキルオキシを含むことができる。
【0035】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0036】
基R1〜R9は、好ましくは、互いに独立して、
水素、
ハロゲン、
官能基、
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよい、および/または1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよいC1−C18−アルキル、
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよい、および/または1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよいC2−C18−アルケニル、
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC6−C12−アリール、
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC5−C12−シクロアルキル、
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC5−C12−シクロアルケニ、
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよい、酸素−、窒素−および/または硫黄含有5または6員複素環であるか、または
2つの隣接する基がともに
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよい、および/または1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよい、不飽和環、飽和環または芳香環
を形成する。
【0037】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC1−C18−アルキルは、好ましくはメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−イソブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−トリデシル、1−テトラデシル、1−ペンタデシル、1−ヘキサデシル、1−ヘプタデシル、1−オクタデシル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、ベンジル、(フェニルメチル)、ジフェニルメチル、(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、(,(−ジメチルベンジル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ(メトキシカルボニル)エチル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキプロピル、3−ヒドロキプロピル、4−ヒドロキブチル、6−ヒドロキヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、アセチル、Cn2(n-a)+(1-b)2a+b(式中、nは1〜30、0(a(nおよびb=0または1(例えば、CF3、C25、CH2CH2−C(n-2)2(n-2)+1,C613, C817, C1021, C1225))、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、メトキシメチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、2−メトキシイソプロピル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル、または14−エトキシ−5,10−ジオキサテトラデシルである。
【0038】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよい、および/または1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよいC2−C18−アルケニルは、好ましくは、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル、またはCn2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n(30、0(a(nおよびb=0または1)である。
【0039】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC6−C12−アリールは、好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、(−ナフチル、(−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−ニトロフェニル、4 −ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、エトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニルまたはtert−ブチルチオフェニル、またはC6(5-a)(式中、0(a(5)である。
【0040】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC5−C12−シクロアルキルは、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、Cn2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n(30、0(a(nおよびb=0または1)、またはノルボルニルまたはノルボルネニルなどの飽和または不飽和二環式系である。
【0041】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC5−C12−シクロアルケニルは、好ましくは、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、またはCn2(n-a)-3(1-b)2a-3b(式中、n(30、0(a(nおよびb=0または1)である。
【0042】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよい、酸素−、窒素−および/または硫黄含有の5または6員複素環は、好ましくは、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、またはジフルオロピリジルである。
【0043】
2つの隣接する基がともに、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよく、1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよい、不飽和環、飽和環または芳香環を形成するなら、2つの基は、ともに、好ましくは、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロペニレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、または2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンである。
【0044】
上記基が酸素原子および/または硫黄原子および/または置換または非置換のイミノ基を含むなら、酸素原子および/または硫黄原子および/またはイミノ基の数はいかなる制限も受けない。一般に、この数は基中に5以下、好ましくは4以下、きわめて特に好ましくは3以下になるだろう。
【0045】
上記基がヘテロ原子を含むなら、2つのヘテロ原子間に、一般に少なくとも1つの炭素原子、好ましくは少なくとも2つの炭素原子がある。
【0046】
基R1〜R9は、特に好ましくは、互いに独立して、
水素、
1つ以上のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、C1−C6−アルコキシカルボニルおよび/またはスルホン酸の置換基で置換または非置換の、合計1〜20個の炭素原子を有する分枝または非分枝C1−C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−イソブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、およびプロピルスルホン酸、
1〜100単位と、末端基として水素原子またはC1−C8−アルキル基を有するグリコール、ブチレングリコールおよびそのオリゴマー、例えば、RO−(CHR−CH2−O)−CHR−CH2−またはRO−(CH2CH2CH2CH2−O)−CH2CH2CH2CH2O−(式中、RおよびRは、好ましくは、水素、メチルまたはエチルで、nは、好ましくは0〜3である)、特に、3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル、および3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル、
ビニル、および
N,N−ジ−C1−C6−アルキルアミノ、例えば、N,N−ジメチルアミノおよび N,N−ジエチルアミノである。
【0047】
基R1〜R9は、きわめて特に好ましくは、互いに独立して、水素またはC1−C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、フェニル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、塩素、またはCHO−(CH2CH2O)−CH2CH2−およびCHCH2O−(CH2CH2O)−CH2CH2−(式中、nは0〜3である)である。
【0048】
きわめて特に好ましいピリジニウムイオン(IVa)は、
基R1〜R5の1つが、メチル、エチルまたは塩素で、残りの基R1〜R5が水素であるもの、
3がジメチルアミノで、残りの基R1、R2、R4およびR5が水素であるもの、
すべての基R1〜R5が水素であるもの、
2がカルボキシまたはカルボキサミドで、残りの基R1、R2、R4およびR5が水素であるもの、または
1およびR2、またはR2およびR3がともに、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンで、残りの基R1、R2、R4およびR5が水素であるもので、
特に
1〜R5が水素であるもの、または
基R1〜R5の1つが、メチルまたはエチルで、残りの基R1〜R5が水素であるものである。
【0049】
きわめて特に好ましいピリジニウムイオン(IVa)は、ピリジニウム、2−メチルピリジニウム、2−エチルピリジニウム、5−エチル−2−メチルピリジニウム、および2−メチル−3−エチルピリジニウムである。
【0050】
きわめて特に好ましいピリダジニウムイオン(IVb)は、
1〜R4が水素であるもの、または
基R1〜R4の1つが、メチルまたはエチルで、残りの基R1〜R4が水素であるものである。
【0051】
きわめて特に好ましいピリミジニウムイオン(IVc)は、
1が水素、メチルまたはエチルで、R2〜R4が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるもの、または
1が水素、メチルまたはエチルで、R2およびR4がメチルで、R3が水素であるものである。
【0052】
きわめて特に好ましいピラジニウムイオン(IVd)は、
1が水素、メチルまたはエチルで、R2〜R4が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるもの、
1が水素、メチルまたはエチルで、R2およびR4がメチルで、R3が水素であるもの、
1〜R4がメチルであるもの、または
1〜R4がメチルまたは水素であるものである。
【0053】
きわめて特に好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)は、
1が水素、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、2−ヒドロキシエチルまたは2−シアノエチルで、R2〜R4が、それぞれ互いに独立して水素、メチルまたはエチルであるものである。
【0054】
きわめて特に好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)は、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−n−ブチルイミダゾリウム、1−n−オクチルイミダゾリウム、1−n−ドデシルイミダゾリウム、1−n−テトラデシルイミダゾリウム、1−n−ヘキサデシルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、2−メチルイミダゾリウム、3−メチルイミダゾリウム、3−エチルイミダゾリウム、3−n−ブチルイミダゾリウム、3−オクチルイミダゾリウム、4−メチルイミダゾリウム、2−エチルイミダゾリウム、1−ビニルイミダゾリウム、1−n−オクチル−4−メチルイミダゾリウム、および1,4,5−トリメチルイミダゾリウムである。
【0055】
きわめて特に好ましいピラゾリウムイオン(IVf)、(IVg)または(IVg’)は、
1が水素、メチルまたはエチルで、R2〜R4が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
【0056】
きわめて特に好ましいピラゾリウムイオン(IVh)は、
1〜R4が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
きわめて特に好ましいピラゾリウムイオンとして、ピラゾリウムおよび1,4−ジメチルピラゾリウムが挙げられる。
本発明の方法で、きわめて特に好ましい1−ピラゾリニウムイオン(IVi)は、
1〜R6が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
きわめて特に好ましい2−ピラゾリニウムイオン(IVj)または(VIj’)は、
1が水素、メチル、エチルまたはフェニルで、R2〜R6が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
きわめて特に好ましい3−ピラゾリニウムイオン(IVk)または(IVk’)は、
1およびR2が、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチルまたはフェニルで、R3〜R6が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
【0057】
きわめて特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IVl)は、
1およびR2が、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチル、1−ブチルまたはフェニルで、R3およびR4が、それぞれ互いに独立して水素、メチルまたはエチルで、R5およびR6が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
【0058】
きわめて特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IVm)または(IVm’)は、
1およびR2が、それぞれ互いに独立して水素、メチルまたはエチルで、R3〜R6が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
きわめて特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IVn)または(IVn’)は、
1〜R3が、それぞれ互いに独立して水素、メチルまたはエチルで、R4〜R6が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
【0059】
きわめて特に好ましいチアゾリウムイオン(IVo)または(IVo’)およびオキサゾリウムイオン(IVp)は、
1が水素、メチル、エチルまたはフェニルで、R2およびR3が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
【0060】
きわめて特に好ましい1,2,4−トリアゾリウムイオン(IVq)、(IVq’)または(IVq’’)は、
1およびR2が、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチルまたはフェニルで、R3が水素、メチルまたはフェニルであるものである。
【0061】
きわめて特に好ましい1,2,3−トリアゾリウムイオン(IVr)、(IVr’)または(IVr’’)は、
1が水素、メチルまたはエチルで、R2およびR3が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるか、R2およびR3が、ともに1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであるものである。
【0062】
きわめて特に好ましいピロリジニウムイオン(IVs)は、
1が水素、メチル、エチルまたはフェニルで、R2〜R9が、それぞれ互いに独立して水素またはメチルあるものである。
【0063】
きわめて特に好ましいイミダゾリジニウムイオン(IVt)は、
1およびR4が、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチルまたはフェニルで、R2およびR3、さらにR5〜R8も、それぞれ互いに独立して水素またはメチルであるものである。
【0064】
きわめて特に好ましいアンモニウムイオン(IVu)は、
1〜R3が、それぞれ互いに独立してC1−C18−アルキルで、R1およびR2が、ともに1,5−ペンチレンまたは3−オキサ−1,5−ペンチレンで、R3がC1−C18−アルキル、2−ヒドロキシエチルまたは2−シアノエチルであるものである。
【0065】
一般式(IVu)の4級アンモニウムイオンが、上記基Rによる4級化から生じる3級アミンの例として、ジエチル−n−ブチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジエチル−n−ペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−プロピルブチルアミン、ジ−n−プロピル−n−ペンチルアミン、ジ−n−プロピルヘキシルアミン、ジ−n−プロピルオクチルアミン、ジ−n−プロピル(2−エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピル−n−プロピルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、ジイソプロピルヘキシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピル(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−ブチルエチルアミン、ジ−n−ブチル−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、ジ−n−ブチルヘキシルアミン、ジ−n−ブチルオクチルアミン、ジ−n−ブチル(2−エチルヘキシル)アミン、N−n−ブチルピロリジン、N−sec−ブチルピロリジン、N−tert−ブチルピロリジン、N−n−ペンチルピロリジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、N−n−プロピルピペリジン、N−イソプロピルピペリジン、N−n−ブチルピペリジン、N−sec−ブチルピペリジン、N−tert−ブチルピペリジン、N−n−ペンチルピペリジン、N−n−ブチルモルホリン、N−sec−ブチルモルホリン、N−tert−ブチルモルホリン、N−n−ペンチルモルホリン、N−ベンジル−N−エチルアニリン、N−ベンジル−N−n−プロピルアニリン、N−ベンジル−N−イソプロピルアニリン、N−ベンジル−N−n−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイデン、N,N−ジエチル−p−トルイデン、N,N−ジ−n−ブチル−p−トルイデン、ジエチルベンジルアミン、ジ−n−プロピルベンジルアミン、ジ−n−ブチルベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ−n−プロピルフェニルアミン、およびジ−n−ブチルフェニルアミンが挙げられる。
【0066】
好ましい3級アミン(IVu)は、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、およびペンチル異性体由来の3級アミンである。
【0067】
特に好ましい3級アミンは、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、およびペンチル異性体由来の3級アミンである。3つの同じ基を有するさらに好ましい3級アミンは、トリアリルアミンである。
【0068】
きわめて特に好ましいグアニジニウムイオン(IVv)は、
1〜R5がメチルであるものである。
【0069】
きわめて特に好ましいコリニウムイオン(IVw)は、
1およびR2が、それぞれ互いに独立してメチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルで、R3が水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるもの、
1がメチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルで、R2が−CH2−CH2−OR4基で、R3およびR4が、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるもの、または
1が−CH2−CH2−OR4基で、R2が−CH2−CH2−OR5基で、R3〜R5が、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるものである。
【0070】
特に好ましいコリニウムイオン(IVw)は、R3が、水素、メチル、エチル、アセチル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル、または14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルの中から選択される。
【0071】
きわめて特に好ましいホスホニウムイオン(IVx)は、
1〜R3が、それぞれ互いに独立してC1−C18−アルキル、特にブチル、イソブチル、1−ヘキシルまたは1−オクチルであるものである。
【0072】
上記複素環の陽イオンの中で、ピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、さらにイミダゾリウムイオンが好ましい。同様に、アンモニウムイオンも好ましい。
【0073】
式(IIIa)〜(IIIj)で挙げた金属陽イオン[M1+、[M2+、[M3+、[M42+、および[M53+は、一般に、周期表の1、2、6、7、8、9、10、11、12および13族の金属陽イオンである。適した陽イオンは、例えば、Li+、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cr3+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Ag+、Zn2+およびAl3+である。
【0074】
陰イオンとして、すべての陰イオンを原則的に用いることができる。
【0075】
イオン性液体の陰イオン[Y]n-は、例えば、
式:F、Cl、Br、I、BF4、PF6、AlCl4、AlCl7、Al3Cl10、AlBr4、FeCl4、BCl4、SbF6、AsF6ZnCl3、SnCl3、CuCl2、CF3SO3、(CF3SO32、CF3CO2、CCl3CO2、CN、SCN、OCN
のハロゲン化物およびハロゲン化合物の群、
一般式:SO42−、HSO4、SO32−、HSO3、RaOSO3、RaSO3
の硫酸塩、亜硫酸塩およびスルホン酸塩の群、
一般式:PO43−、HPO42−、H2PO4、RaPO42−、HRaPO4、RabPO4
のリン酸塩の群、
一般式:RaHPO3、RabPO2、RabPO3
のホスホン酸塩およびホスフィン酸塩の群、
一般式:PO3、HPO3−、H2PO3−、RaPO32−、RaHPO3、RabPO3
の亜リン酸塩の群、
一般式:RabPO2、RaHPO2、RabPO、RaHPO
の亜ホスホン酸塩および亜ホスフィン酸塩の群、
一般式:RaCOO
のカルボン酸の群、
一般式:BO33−、HBO32−、H2BO3、RabBO3、RaHBO3、RaBO32−、B(ORa)(ORb)(OR)(OR、B(HSO4、B(RaSO4
のホウ酸塩の群、
一般式:RaBO22−、RabBO
のボロン酸塩の群、
一般式:HCO3、CO32−、RaCO3
のカルボン酸塩および炭酸エステルの群、
一般式:SiO44−、HSiO43−、H2SiO42−、HSiO4、RaSiO43−、RabSiO42−、RabSiO4、HRaSiO42−、H2aSiO4、HRabSiO4
のケイ酸塩およびケイ酸エステルの群、
一般式:RaSiO33−、RabSiO22−、RabSiO、RabSiO3、RabSiO2、RabSiO32−
のアルキルシラン塩およびアリールシラン塩の群、
一般式:
【化5】

のカルボキシイミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミドの群、
一般式:
【化6】

のメチドの群、
一般式:Ra
のアルコキシドおよびアリールオキシドの群、
一般式:[MHals−
(式中、Mは金属で、Halはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素で、qおよびrは正の整数で、錯体の化学量を示し、sは正の整数で、錯体上の電荷を示す)のハロメタレートの群、
一般式:S2−、HS、[Sv]2−、[HSv]、[RaS]
(式中、vは2〜10の正の整数である)の亜硫酸塩、亜硫酸水素、ポリスルフィド、ポリ亜硫酸水素およびチオレートの群、および
Fe(CN)63−、Fe(CN)64−、MnO4、Fe(CO)4などの錯体金属イオンの群
の中から選択される。
【0076】
ここで、Ra、Rb、R、およびRは、それぞれ互いに独立して水素、C1−C30−アルキル、1つ以上の隣接していない酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよいC2−C18−アルキル、C6−C14−アリール、C5−C12−シクロアルキル、または酸素−、窒素−および/または硫黄含有の5−または6−員複素環、ここで、これらのうち2つがともに、1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよい置換、非置換または芳香環を形成してもよい。ここで、挙げた基は、それぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環でさらに置換されてもよい。
【0077】
ここで、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC1−C18−アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、(,(−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ(メトキシカルボニル)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキプロピル、3−ヒドロキプロピル、4−ヒドロキブチル、6−ヒドロキヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、または6−エトキシヘキシルである。
【0078】
1つ以上の隣接していない酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で置換されてもよいC2−C18−アルキルは、例えば、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル、または14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0079】
2つの基が環を形成するなら、これらの基は、ともに、例えば、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロペニレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、または2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを構成単上に縮合されるように形成できる。
【0080】
隣接していない酸素原子および/または硫黄原子および/またはイミノ基の数は、原則的に、いかなる制限も受けない、あるいは基または環状構成単位の大きさによって自動的に制限される。一般に、この数は、各基において、5以下、好ましくは4以下、きわめて特に好ましくは3以下になるだろう。さらに、2つのヘテロ原子間に、一般的には少なくとも1つの炭素原子、好ましくは少なくとも2つの炭素原子がある。
【0081】
置換または非置換のイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノまたはtert−ブチルイミノでありうる。
【0082】
本発明の目的で、「官能基」という用語は、例えば、以下:カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ−(C1−C4−アルキル)アミノ、C1−C4−アルキルオキシカルボニル、シアノまたはC1−C4−アルコキシを指す。ここで、C1−C4−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。
【0083】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC6−C14−アリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、(−ナフチル、(−ナフチル、4−ジフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−または4 −ニトロフェニル、2,4−または2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、またはエトキシメチルフェニルである。
【0084】
官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換されてもよいC5−C12−シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、またはノルボルニルまたはノルボルネニルなどの飽和または不飽和二環式系である。
【0085】
酸素−、窒素−および/または硫黄含有の5または6員複素環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオチオフェニル、またはtert−ブチルチオフェニルである。
【0086】
好ましい陰イオンは、ハロゲン化物およびハロゲン含有の化合物の群、カルボン酸の群、硫酸塩、亜硫酸塩およびスルホン酸塩の群、およびリン酸塩の群から選択される。
【0087】
好ましい陰イオンは、塩素、臭素、ヨウ素、SCN、OCNCN、酢酸塩、C1−C4−硫酸アルキル、 Ra−COO、RaSO3、RabPO4、メタンホスホン酸塩、トシレート、C1−C4−ジアルキルリン酸塩、硫酸水素、またはテトラクロロアルミン酸塩である。
【0088】
特に好ましい陰イオンは、Cl、CHCOOまたはCHSO3である。
【0089】
陽イオンおよび陰イオンはどちらもイオン性液体中に存在する。イオン性液体内で、陽子またはアルキル基が陽イオンから陰イオンに移動する。これにより2つの非電荷分子を形成する。したがって、陰イオン、陽イオン、およびそれらから形成した2つの非電荷分子が存在する平衡状態となる。
【0090】
溶液は、好ましくは180(C以下の温度である。本発明の溶液は、より好ましくは160(C以下、さらにより好ましくは120(C以下、特に好ましくは100(C以下の温度である。
【0091】
本発明は、さらに本発明による溶液の製造方法であって、
a) 溶媒として陰イオンおよび陽イオンを含むイオン性液体を含む溶液にセルロースを加える工程であって、該陽イオンがプロトン化された形でアンモニウム陽イオンとして存在する少なくとも1つの窒素原子を含む、工程、および
b) セルロースが完全に溶解するまで溶液を混合する工程
を含む製造方法を提供する。
【0092】
混合は、好ましくは攪拌、振とうおよび/またはマイクロ波を用いて行なわれる。
【0093】
溶解は、好ましくは3日以内、より好ましくは1日以内で、特に好ましくは12時間以内で起こる。
【0094】
本発明は、さらにセルロースの物理的または化学的処理に対する本発明による溶液の使用を提供する。
【0095】
化学的処理は、酸化、還元、熱分解、加水分解、異性化、滅菌、アルコキシル化または共重合を含むことができる。
【0096】
本発明を以下の実施例によって説明する。
【0097】
実施例
実施例1
新聞用紙0.78gを約1cmの大きさの断片に切断し、1−メチルイミダゾール塩酸塩(1−メチルイミダゾリウムクロライド)10.0gと混合し、120(Cで攪拌する。23時間後、新聞紙が完全に溶けた。
【0098】
実施例2
ろ紙(青色帯域フィルタ)7.8gを約1cmの大きさの断片に切断し、1−メチルイミダゾール塩酸塩100gと混合し、95(Cで攪拌する。72時間後、新聞紙が完全に溶けた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースおよび溶媒として陰イオンと陽イオンを含むイオン性液体を含む溶液であって、陽イオンがプロトン化された形で存在する窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される少なくとも1つの原子を含む溶液。
【請求項2】
陽イオンがアンモニウム陽イオンとしてプロトン化された形で存在する少なくとも1つの窒素原子を含む、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
溶液の全質量に対して1質量%より多いセルロースが含まれる、請求項1または2に記載の溶液。
【請求項4】
陰イオンおよび陽イオンが一般式(I):
[A]n+[Y]n-(I)
(式中、nは1、2、3または4で、[A]+は4級アンモニウム陽イオン、オキソニウム陽イオン、スルホニウム陽イオンまたはホスホニウム陽イオンで、[Y]n-は1価、2価、3価または4価の陰イオンである)の塩、
一般式(II):
[A1+[A2+[Y]n- (IIa)(式中、n=2)
[A1+[A2+[A3+[Y]n- (IIb)(式中、n=3)または
[A1+[A2+[A3+[A4+[Y]n- (IIc)(式中、n=4)、
(式中、[A1+、[A2+、[A3+および[A4+は、[A]+として挙げた群の中から独立して選択され、[Y]n-は(A)で定義したものと同じである)の混合塩、または
一般式(III):
[A1+[A2+[A3+[M1+[Y]n- (IIIa)(式中、n=4)、
[A1+[A2+[M1+[M2+[Y]n- (IIIb)(式中、n=4)、
[A1+[M1+[M2+[M3+[Y]n- (IIIc)(式中、n=4)、
[A1+[A2+[M1+[Y]n- (IIId)(式中、n=3)、
[A1+[M1+[M2+[Y]n- (IIIe)(式中、n=3)、
[A1+[M1+[Y]n- (IIIf)(式中、n=2)、
[A1+[A2+[M42+[Y]n- (IIIg)(式中、n=4)、
[A1+[M1+[M42+[Y]n- (IIIh)(式中、n=4)、
[A1+[M53+[Y]n- (IIIi)(式中、n=4)、または
[A1+[M42+[Y]n- (IIIj)(式中、n=3)、
(式中、 [A1+、[A2+および[A3+は、[A]+として挙げた群の中から独立して選択され、[Y]n-は(A)で定義したものと同じで、[M1+、[M2+、[M3+は1価の金属の陽イオンで、[M42+は2価の金属の陽イオンで、[M53+は3価の金属の陽イオンである)の混合塩を形成する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の溶液。
【請求項5】
イオン性液体が、式(IVa)〜(IVy):
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

(式中、基Rは水素で、
基R1〜R9は、それぞれ互いに独立して水素、スルホ基、または飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族の、置換されないまたは1〜5個のヘテロ原子または官能基で遮られたもしくは置換された、1〜20個の炭素原子を有する炭素を含む有機基であり、その際、上記式(IV)中で炭素原子(ヘテロ原子にではなく)に結合している基R1〜R9は、付加的に、ハロゲンまたは官能基でもありうる、あるいは
1〜R9からなる群からの2つの隣接する基もともに、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族の、置換されないまたは1〜5個のヘテロ原子または官能基で遮られたもしくは置換された、1〜30個の炭素原子を有する炭素を含む有機基であってよい)の陽イオンからなる群から選択される少なくとも1つの陽イオン、およびこれらの構造を含むオリゴマーを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の溶液。
【請求項6】
イオン性液体が、
式:F、Cl、Br、I、BF4、PF6、AlCl4、AlCl7、Al3Cl10、AlBr4、FeCl4、BCl4、SbF6、AsF6、ZnCl3、SnCl3、CuCl2、CF3SO3、(CF3SO32、CF3CO2、CCl3CO2、CN、SCN、OCN
のハロゲン化物およびハロゲン化合物の群、
一般式:SO42−、HSO4、SO32−、HSO3、RaOSO3、RaSO3
の硫酸塩、亜硫酸塩およびスルホン酸塩の群、
一般式:PO43−、HPO42−、H2PO4、RaPO42−、HRaPO4、RabPO4
のリン酸塩の群、
一般式:RaHPO3、RabPO2、RabPO3
のホスホン酸塩およびホスフィン酸塩の群、
一般式:PO3、HPO3−、H2PO3−、RaPO32−、RaHPO3、RabPO3
の亜リン酸塩の群、
一般式:RabPO2、RaHPO2、RabPO、RaHPO
の亜ホスホン酸塩および亜ホスフィン酸塩の群、
一般式:RaCOO
のカルボン酸の群、
一般式:BO33−、HBO32−、H2BO3、RabBO3、RaHBO3、RaBO32−、B(ORa)(ORb)(OR)(OR、B(HSO4、B(RaSO4
のホウ酸塩の群、
一般式:RaBO22−、RabBO
のボロン酸塩の群、
一般式:HCO3、CO32−、RaCO3
のカルボン酸塩および炭酸エステルの群、
一般式:SiO44−、H2SiO43−、H2SiO42−、HSiO4、RaSiO43−、RabSiO42−、RabSiO4、HRaSiO42−、H2aSiO4、HRabSiO4
のケイ酸塩およびケイ酸エステルの群、
一般式:RaSiO33−、RabSiO22−、RabSiO、RabSiO3、RabSiO2、RabSiO32−
のアルキルシラン塩およびアリールシラン塩の群、
一般式:
【化5】

のカルボキシイミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミドの群、
一般式:
【化6】

のメチドの群、
一般式:Ra
のアルコキシドおよびアリールオキシドの群、
一般式:[MHals−
(式中、Mは金属で、Halはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素で、qおよびrは正の整数で、錯体の化学量を示し、sは正の整数で、錯体上の電荷を示す)のハロメタレートの群、
一般式:S2−、HS、[Sv]2−、[HSv]、[RaS]
(式中、vは2〜10の正の整数である)の亜硫酸塩、亜硫酸水素、ポリスルフィド、ポリ亜硫酸水素およびチオレートの群、および
Fe(CN)63−、Fe(CN)64−、MnO4、Fe(CO)4などの錯体金属イオンの群
(ここで、Ra、Rb、R、およびRが、それぞれ互いに独立して水素、C1−C18−アルキル、1つ以上の隣接していない酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよいC2−C18アルキル、C6−C14−アリール、C5−C12−シクロアルキル、または酸素−、窒素−および/または硫黄含有の5−または6−員複素環、ここで、これらのうち2つがともに、1つ以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1つ以上の置換または非置換のイミノ基で遮られてもよい置換、非置換または芳香環を形成してもよく、ここで、挙げた基は、それぞれ官能基、アリール基、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環でさらに置換されてもよい)からなる群から選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の溶液。
【請求項7】
180(C以下の温度である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の溶液。
【請求項8】
a) 溶媒として陰イオンおよび陽イオンを含むイオン性液体を含む溶液にセルロースを加える工程、
その際、該陽イオンがプロトン化された形でアンモニウム陽イオンとして存在する少なくとも1つの窒素を含む、および
b) セルロースが完全に溶解するまで溶液を混合する工程
を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の溶液の製造方法。
【請求項9】
セルロースの物理的または化学的処理のための、請求項1から8までのいずれか1項に記載の溶液の使用。

【公表番号】特表2008−536972(P2008−536972A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505869(P2008−505869)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061422
【国際公開番号】WO2007/057235
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】