説明

イオン発生装置

【課題】イオンの放出量を増大することができるイオン発生装置を提供する。
【解決手段】マイナスイオンを発生するイオン発生部95を流路81を通流する空気の通流経路96から外れた位置に配置し、イオン発生部95が設けられたイオン発生室91を連通部121を介して流路81に連通する。これにより、イオン発生部95で発生したマイナスイオンによってイオン発生室91内の空気を十分にイオン化した後、連通部121を介して流路81より外部へ放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンを発生して放出するイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気の清浄や空気中の細菌等を分解する際には、イオン発生装置が用いられていた(例えば、特許文献1から特許文献4参照。)。
【0003】
これらのイオン発生装置においては、空気が通流する流路が形成されており、当該流路内に、イオンを発生するイオン発生部が設けられている。
【0004】
これにより、前記流路内において前記イオン発生部で発生させたイオンを、ファンなどの送風手段によって外部へ放出できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−019596公報
【特許文献2】特開2008−161561公報
【特許文献3】特開2008−047324公報
【特許文献4】特表2008−543561公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のイオン発生装置にあっては、放出されるイオン量が十分でないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、イオンの放出量を増大することができるイオン発生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のイオン発生装置にあっては、イオン発生部より発生したイオンを外部に放出する為の流路が設定されたイオン発生装置において、前記流路を通流する空気の通流経路から外れた位置に前記イオン発生部を配置するとともに、該イオン発生部が設けられた空間を前記流路に連通した。
【0009】
すなわち、イオンを発生するイオン発生部は、流路を通流する空気の通流経路から外れた位置に配置されており、当該イオン発生部が設けられた空間は、前記流路に連通されている。
【0010】
このため、前記イオン発生部より発生したイオンは、当該イオン発生部が設けられた空間内の空気を十分にイオン化し、そのイオン化された空気は、前記流路に連通した連通部を介して前記流路より外部へ放出される。
【0011】
また、請求項2のイオン発生装置においては、前記流路内の空気を外部に放出する為の送風手段を設け、該送風手段による風が前記流路に沿って流れるように構成した。
【0012】
すなわち、前記流路内の空気は、送風手段によって流れが形成され、外部に放出される。このとき、前記送風手段による風は、前記流路に沿って流れるように構成されている。
【0013】
このため、前記イオン発生部を有する空間内に充満したイオン化空気は、前記流路への連通部に生ずる負圧によって前記流路に吸い出され外部に放出される。
【0014】
なお、イオンを流路に放出するのは、この負圧だけではなく、イオン発生部でイオンが発生する際に生じるイオン風によっても当該イオンは前記流路に放出される。
【0015】
さらに、請求項3のイオン発生装置では、前記イオン発生部を構成する棒状の電極が、前記流路での空気の通流方向と交差する方向に延在するように配置した。
【0016】
すなわち、前記イオン発生部を構成する棒状の電極は、前記流路での空気の通流方向と交差する方向に延在するように構成されており、前記連通部より前記流路へ向けて流出される空気は、前記電極に沿って流れることとなる。
【0017】
これにより、前記空気と前記電極との接触時間を長くすることができるので、イオン化が促進される。
【0018】
加えて、請求項4のイオン発生装置にあっては、芳香剤等の液状薬剤を揮散して湿度を保持する保持部を、前記イオン発生部が設けられた空間と前記連通路とを連通する連通部より上流側に設けた。
【0019】
すなわち、前記イオン発生部に連通した連通部より上流側には、芳香剤等の液状薬剤を揮散して湿度を保持する保持部が設けられており、前記イオン発生空間での湿度は、所定値以上に保たれる。
【0020】
これにより、前記イオン発生部によるイオン発生効果は、低湿度の場合と比較して促進される。
【0021】
また、請求項5のイオン発生装置においては、前記保持部を前記イオン発生部へ連通する連通路を設けた。
【0022】
すなわち、前記保持部は、連通路を介して前記イオン発生部に連通されている。
【0023】
これにより、前記イオン発生室内の湿度は確実に所定以上に保持され、前記連通路と前記流路との間での空気の流れができるため、効率良くイオンが流路に放出される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明の請求項1のイオン発生装置にあっては、イオン発生部で発生したイオンによって、その外周部の空気を十分にイオン化した後、連通部を介して流路より外部へ放出することができる。
【0025】
したがって、空気が通流する流路内にイオン発生部が設けられた構造上、イオン発生部で発生したイオンが周囲の空気を十分にイオン化する前に放出されてしまう従来と比較して、前記イオン発生部で発生したイオンによりその外周部の空気をイオン化することができる。また、このイオン化された空気が、さらにその外周部の空気をイオン化する連鎖反応によって、発生するイオン量を増大することができる。これにより、放出されるイオン量を飛躍的に増加することができる。
【0026】
また、請求項2のイオン発生装置においては、前記イオン発生部が設けられた空間内に充満したイオン化空気を、前記流路への連通部に生ずる負圧によって前記流路に吸い出して外部に放出することができる。
【0027】
これにより、イオン化された空気の増大と、効率的な放出とを両立することができる。
【0028】
さらに、請求項3のイオン発生装置では、前記イオン発生部を構成する棒状の電極は、前記流路での空気の通流方向と交差する方向に延在するように配置されており、前記連通部より前記流路へ向けて流出される空気を、前記電極に沿って流すことができる。
【0029】
これにより、前記空気と前記電極との接触時間を長くすることができるので、前記流路へ向けて流出される空気が前記電極に対して交差方向に流れる場合と比較して、通流空気のイオン化の促進を図ることができる。
【0030】
加えて、請求項4のイオン発生装置にあっては、前記イオン発生空間に連通した連通部より上流側に、芳香剤等の液状薬剤を揮散して湿度を保持する保持部を設けることによって、前記イオン発生空間での湿度を、所定値以上に保持することができる。
【0031】
このため、乾燥した空間でイオン化を行う場合と比較して、前記イオン発生部によるイオン発生効果を高めることができる。
【0032】
このとき、前記液状薬剤として芳香剤を用いることによって、イオン化された空気に芳香成分を混合して放出することができ、利便性が向上する。
【0033】
また、請求項5のイオン発生装置においては、前記連通路を介して前記保持部を前記イオン発生部に連通することにより、前記イオン発生室内の湿度を確実に所定以上に保持することができる。
【0034】
これにより、前記連通路と前記流路との間での空気の流れを形成することができ、効率良くイオンを流路に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の縦断面図である。
【図3】同実施の形態の要部を示す断面図である。
【図4】同実施の形態の動作を他の構造と比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態にかかるイオン発生装置1を示す図であり、該イオン発生装置1は、発生させたマイナスイオンを芳香剤と共に放出する装置である。
【0038】
このイオン発生装置1は、円筒形状のケーシング11を備えており、該ケーシング11は、先端部が前方へ向けて屈曲した形状に形成されている。
【0039】
このケーシング11は、前側を構成する前ケース21と、後側を構成する後ケース22とによって筒状に形成されており、その天部は、円形の上ケース23によって閉鎖されている。該上ケース23の中央部は、円形に没入しており、この没入部24には、円形の電源ボタン25が押下可能に設けられている。
【0040】
この電源ボタン25の上側に位置する縁部には、ダクト31が開設されており、該ダクト31内には、格子32が設けられている。これにより、このダクト31を介して前記マイナスイオンを前記芳香剤と共に外部へ放出できるように構成されている。
【0041】
前記ケーシング11の底部は、図2に示すように、下ケース41が設けられており、該下ケース41の図2中右側には、電源供給用の電源ジャック42を備えたメイン基板43が設けられている。この下ケース41の中央部には、内側に大きく後退した薬剤収容部44が形成されており、該薬剤収容部44は、カートリッジタイプの芳香剤45を装着できるように形成されている。この薬剤収容部44には、前記芳香剤45の胴部46が収容される大径部47が下部側に形成されており、該大径部47の上部には、前記芳香剤45の首部48が収容される小径部49が連続形成されている。
【0042】
この下ケース41の前記小径部49には、ダクト構成部材51の外嵌部52が外嵌した状態で固定されており、前記外嵌部52の天面53aからは、装着された芳香剤45より延出した吸上芯53が挿通する円筒状の挿通部54が形成されている。
【0043】
該挿通部54の上部には、当該挿通部54より広い空間が形成されており、この空間によって前記吸上芯53より吸い上げた前記芳香剤45内の液状水性薬剤61を揮散して湿度を所定値以上に保持する保持部62が形成されている。
【0044】
この保持部62を形成する壁面63には、横長長方形状の取込穴64が形成されており、該取込穴64から当該保持部62内に外部の空気を取り込めるように構成されている。
【0045】
この保持部62の上部には、矩形状の空間が形成されており、この矩形空間71には、送風手段としてのファン72が内嵌された状態で固定されている。前記矩形空間71の天部を構成する天板73は、図2中右側の部位が山形に形成されるとともに、その頂点部に矩形穴74が開設されており、該矩形穴74は、角筒部75を介して前記ダクト31に連結されている。
【0046】
これにより、前記ファン72で形成された風が、前記角筒部75及び前記ダクト31によって形成された流路81に沿って流れるように構成されており、前記取込穴64から前記保持部62に取り込まれた空気を前記流路81を介して前記ダクト31より外部へ放出できるように構成されている。
【0047】
前記天板73の図2中左側には、その上部に矩形状のイオン発生室91が形成されており、該イオン発生室91は、その底面が前記天板73で構成されるとともに、一側面が前記角筒部75の壁面92で構成されている。また、前記イオン発生室91は、図3にも示すように、前記天板73に立設された一対の起立板93,93と両起立板93,93の上端を連設する連設板94とによって包囲されている。このイオン発生室91内には、図2にも示したように、マイナスイオンを発生するイオン発生部95が設けられており、該イオン発生部95は、前記流路81を通流する空気の通流経路96から外れた位置に配置されている。
【0048】
このイオン発生部95は、図3にも示したように、長方形板状に形成された本体基板101を備えており、該本体基板101は、前記イオン発生室91の内側面より延出した複数の支柱102,・・・によって支持されている。前記本体基板101には、U字状の切欠部103が中央部に形成されており、該切欠部103内には、前記本体基板101より延出した針状の電極104が延設されている。
【0049】
これにより、図2に示したように、前記電源ボタン25を押下して前記メイン基板43からの電源を前記ダクト構成部材51に支持された昇圧基板111に供給するとともに、該昇圧基板111で昇圧した高圧電源を前記電極104と前記本体基板101上に形成された電極間に印加することで、空気に含まれた湿気を利用してマイナスイオンを発生できるように構成されている。
【0050】
このイオン発生部95を収容した前記イオン発生室91は、前記電極104の先端側に位置する壁面、すなわち前記角筒部75の壁面92に開口部が開設されており、該開口部は、当該イオン発生室91と前記流路81とを連通する連通部121を構成している。
【0051】
これにより、前記イオン発生部95が設けられた前記イオン発生室91は、前記連通部121を介して前記流路81に連通しており、前記イオン発生部95より発生したマイナスイオンを、前記連通部121及び前記流路81を介して外部に放出できるように構成されている。
【0052】
このとき、前記イオン発生室91に連通した前記連通部121は、前記保持部62より下流側に設けられており、該保持部62によって湿度が所定値以上に保たれた空気を前記イオン発生室91内へ流入できるように構成されている。
【0053】
前記イオン発生部95を構成する針状の前記電極104は、前記流路81での空気の通流方向と交差する方向に延在するように当該イオン発生部95が配置されており、当該イオン発生室91から前記連通部121へ向けて流れる空気が前記電極104に沿って流れるように構成されている。
【0054】
そして、前記ファン72が設けられた前記矩形空間71の図2中左側部には、前記保持部62と前記イオン発生室91とを直接接続する連通路131が形成されており、湿度が所定値以上に保たれた前記保持部62内の空気が前記連通路131を介して、前記イオン発生部95が設けられた前記イオン発生室91へ直接供給されるように構成されている。
【0055】
以上の構成にかかる本実施の形態において、マイナスイオンを発生するイオン発生部95は、流路81を通流する空気の通流経路96から外れた位置に配置されており、当該イオン発生部95が設けられた空間を構成する前記イオン発生室91は、連通部121を介して前記流路81に連通されている。
【0056】
このため、前記イオン発生部95より発生したマイナスイオンは、当該イオン発生部95が設けられた前記イオン発生室91内の空気を十分にイオン化した後、そのイオン化された空気を、前記連通部121を介して前記流路81より外部へ放出することができる。
【0057】
したがって、図4中矢印Aで示すように、空気が通流する流路81内にイオン発生部95が設けられた構造上、イオン発生部95で発生したマイナスイオンが周囲の空気を十分にイオン化する前に放出されてしまう従来と比較して、図4中矢印Bで示したように、前記イオン発生部95で発生したマイナスイオンにより、当該イオン発生室91内において、その外周部の空気をイオン化することができる。また、このイオン化された空気が、さらにその外周部の空気をイオン化する連鎖反応によって、発生するイオン量を増大することができる。これにより、放出されるイオン量を飛躍的に増加することができる。
【0058】
このとき、前記流路81内の空気は、送風手段を構成するファン72によって流れが形成されており、前記ファン72による風は、前記流路81に沿って流れるように構成されている。
【0059】
このため、前記イオン発生部95を有するイオン発生室91内に充満したイオン化空気を、前記流路81に連通した前記連通部121に生ずる負圧によって前記流路81に吸い出して外部に放出することができる。
【0060】
このとき、前記保持部62は、前記連通路131を介して前記イオン発生室95に連通されており、該イオン発生室95内の湿度を確実に所定以上に保持することができる。
【0061】
これにより、前記連通路131と前記流路81との間での空気の流れを形成することができ、効率良くマイナスイオンを前記流路81に放出することができる。
【0062】
これにより、イオン化された空気の増大と、効率的な放出とを両立することができる。
【0063】
また、前記イオン発生部95を有する前記イオン発生室91に連通した前記連通部121より上流側に、芳香剤等の液状水性薬剤61を揮散して湿度を保持する保持部62を設けることによって、下流に配置された前記イオン発生室91内での湿度を、所定値以上に保持することができる。
【0064】
このため、乾燥した空間でイオン化を行う場合と比較して、前記イオン発生部95によるイオン発生効果を高めることができる。
【0065】
このとき、前記液状水性薬剤61として芳香剤45を用いることによって、イオン化された空気に芳香成分を混合して放出することができ、利便性が向上する。
【0066】
そして、前記イオン発生部95を構成する針状の電極104は、前記流路81での空気の通流方向と交差する方向に延在するように配置されており、前記連通部121より前記流路81へ向けて流出される空気を、前記電極104に沿って流すことができる。
【0067】
これにより、前記空気と前記電極104との接触時間を長くすることができるので、図4の矢印Aで示したように、前記流路81へ向けて流出される空気が前記電極104に対して交差方向に流れる場合と比較して、通流空気のイオン化の促進を図ることができる。
【0068】
このとき、前記イオン発生部95を構成する針状の電極104の先端側には、前記流路81に連通した前記連通部121が設けられている。このため、前記イオン発生部95で発生したマイナスイオンは、その発生時に生ずるイオン風によっても、前記連通部121を介して前記流路81に放出される。
【符号の説明】
【0069】
1 イオン発生装置
61 液状水性薬剤
62 保持部
72 ファン
81 流路
95 イオン発生部
96 通流経路
104 電極
131 連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン発生部より発生したイオンを外部に放出する為の流路が設定されたイオン発生装置において、
前記流路を通流する空気の通流経路から外れた位置に前記イオン発生部を配置するとともに、該イオン発生部が設けられた空間を前記流路に連通したことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記流路内の空気を外部に放出する為の送風手段を設け、該送風手段による風が前記流路に沿って流れるように構成したことを特徴とする請求項1記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記イオン発生部を構成する棒状の電極が、前記流路での空気の通流方向と交差する方向に延在するように配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のイオン発生装置。
【請求項4】
芳香剤等の液状薬剤を揮散して湿度を保持する保持部を、前記イオン発生部が設けられた空間と前記連通路とを連通する連通部より上流側に設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記保持部を前記イオン発生部が設けられた空間に連通する連通路を設けたことを特徴とする請求項4記載のイオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−115406(P2011−115406A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275975(P2009−275975)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】