説明

イオン送出装置及びそれを備えた空気調節装置、理美容機器

【課題】帯電微粒子水による殺菌効果及び保湿効果を向上できるイオン送出装置を提供する。
【解決手段】プラスイオンを発生して空気中に放出するイオン発生装置15と、マイナス電荷に帯電した霧状の水から成る帯電微粒子水を発生して空気中に放出する静電霧化装置10と、プラスイオン及び帯電微粒子水を送出する送風機5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化装置を備えたイオン送出装置及びそれを用いた空気調節装置、理美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には静電霧化装置を備えた従来の空気清浄機が開示されている。この空気清浄機は筐体に吸込口及び吹出口を開口し、筐体内に吸込口と吹出口とを連通させる送風ダクトが設けられる。送風ダクト内にはシロッコファンから成る送風機が配される。送風機の上流側には塵埃を捕集するフィルタが配され、送風機の下流側には静電霧化装置が配される。
【0003】
静電霧化装置は放電電極、対向電極及びペルチェ素子を備えている。放電電極は平板状の平板部と平板部に立設される円柱部とを有している。対向電極は円柱部の先端に対向した円筒状に形成される。ペルチェ素子は放電電極の平板部に接して配される。
【0004】
ペルチェ素子に通電すると放電電極が冷却されるため、放電電極の表面に結露による水が生成される。次に、放電電極を負極として対向電極を正極とし、放電電極と対向電極との間に高電圧が印加される。これにより、放電電極にマイナスの電荷が集中し、水と対向電極との間にクーロン力が働いて表面張力を超えて水の分裂及び飛散が繰り返される。その結果、マイナス電荷に帯電した霧状の帯電微粒子水が生成される。
【0005】
上記構成の空気清浄機において、送風機の駆動によって吸込口から送風ダクト内には室内の空気が取り込まれ、空気に含まれる塵埃がフィルタにより捕集される。塵埃を除去された空気には静電霧化装置により発生した帯電微粒子水が含まれ、吹出口から送出される。帯電微粒子水を含む空気によって室内の殺菌等を行うことができる。
【0006】
また、特許文献2には静電霧化装置を備えた従来のヘアドライヤが開示される。このヘアドライヤは筐体に吸込口、第1吹出口及び第2吹出口を開口する。筐体内には吸込口に連通する送風ダクトが設けられ、送風ダクトは二方向に分岐する第1、第2通路の先端にそれぞれ第1、第2吹出口が設けられる。送風ダクト内には分岐前にプロペラファンから成る送風機が配される。第1通路にはヒータが配され、第2通路には静電霧化装置が配される。
【0007】
上記構成のヘアドライヤにおいて、送風機の駆動によって吸込口から送風ダクト内には室内の空気が取り込まれ、第1、第2通路に分岐する。第1通路を流通する空気はヒータにより加熱され、第1吹出口から送出される。これにより、使用者の髪を乾燥させる。また第2通路には静電霧化装置により発生した帯電微粒子水が含まれ、第2吹出口から送出される。これにより、使用者近傍の殺菌及び髪の保湿を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−33293号公報(第4頁−第8頁、第6図)
【特許文献2】特開2008−126139号公報(第5頁−第8頁、第1図)
【特許文献3】特開2010−274126号公報(第5頁−第8頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の空気清浄機によると、帯電微粒子水は約数十nmの粒子径を有するため、空気分子に比して十分大きい。このため、吹出口から空気中に送出される帯電微粒子水の到達距離が短くなり、室内の全体に行き届かない場合がある。また、帯電微粒子水がマイナス電荷に帯電するため、室内のマイナス電荷に帯電した箇所に帯電微粒子水が反発して行き届かない。これにより、室内の殺菌効果を十分得ることができない問題があった。
【0010】
また、上記従来のヘアドライヤによると、使用者の髪がマイナス電荷に帯電していると帯電微粒子水が反発して使用者から遠ざけられる。特に、帯電微粒子水がマイナス電荷に帯電するため、ヘアドライヤの使用によって使用者の髪にマイナス電荷が蓄積して新たに供給される帯電微粒子水が遠ざけられる。これにより、殺菌効果や保湿効果を十分得ることができない問題があった。
【0011】
本発明は、帯電微粒子水による殺菌効果及び保湿効果を向上できるイオン送出装置及びそれを用いた空気調節装置、理美容機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明のイオン送出装置は、プラスイオンを発生して空気中に放出するイオン発生装置と、マイナス電荷に帯電した霧状の帯電微粒子水を発生して空気中に放出する静電霧化装置と、前記プラスイオン及び前記帯電微粒子水を送出する送風機とを備えたことを特徴としている。
【0013】
この構成によると、イオン発生装置により発生したプラスイオンと静電霧化装置により発生した帯電微粒子水とが送風機により室内や使用者等に向けて送出される。マイナス電荷に帯電する帯電微粒子水は拡散するプラスイオンに引き寄せられて拡散する。また、マイナス電荷に帯電した領域はプラスイオンにより除電され、帯電微粒子水が導かれる。帯電微粒子水によって室内や使用者近傍の殺菌や保湿が行われる。
【0014】
また本発明は、上記構成のイオン送出装置において、前記プラスイオン及び前記帯電微粒子水を同時に送出したことを特徴としている。この構成によると、粒子径の小さいプラスイオンが例えば、室内に拡散する。この時、室内のマイナス電荷に帯電した箇所がプラスイオンにより除電される。粒子径の大きい帯電微粒子水はプラスイオンに引き寄せられて拡散するとともに、プラスイオンにより除電された箇所に行き届く。
【0015】
また本発明は、上記構成のイオン送出装置において、前記プラスイオン及び前記帯電微粒子水を同時に送出する第1送出期間と、第1送出期間の経過後に前記イオン発生装置を停止して前記帯電微粒子水を送出する第2送出期間とを設けたことを特徴としている。
【0016】
この構成によると、第1送出期間でプラスイオンが例えば、室内に拡散するとともにマイナス電荷に帯電した箇所を除電する。第1送出期間及び第2送出期間で帯電微粒子水はプラスイオンに引き寄せられるとともに除電された箇所に行き届く。また、第1送出期間でプラスイオンが例えば、使用者に向けて送出されて使用者近傍のマイナス電荷を除電し、第1送出期間及び第2送出期間で帯電微粒子水が使用者近傍に導かれる。
【0017】
また本発明は、上記構成のイオン送出装置において、前記静電霧化装置を停止して前記プラスイオンを所定期間送出する第1送出期間と、第1送出期間の経過後に前記イオン発生装置を停止して前記帯電微粒子水を送出する第2送出期間とを設けたことを特徴としている。
【0018】
この構成によると、第1送出期間でプラスイオンが例えば、室内に拡散するとともにマイナス電荷に帯電した箇所を除電する。第2送出期間で帯電微粒子水はプラスイオンに引き寄せられて拡散するとともに除電された箇所に行き届く。また、第1送出期間でプラスイオンが例えば、使用者に向けて送出されて使用者近傍のマイナス電荷を除電し、第2送出期間で帯電微粒子水が使用者近傍に導かれる。
【0019】
また本発明は、上記構成のイオン送出装置において、前記静電霧化装置が放電電極と前記放電電極を冷却するペルチェ素子と前記ペルチェ素子に接する放熱フィンとを有し、前記送風機の駆動によって気流が流通する送風ダクトに前記放電電極が臨んで配されるとともに、前記送風ダクトに対して前記放電電極の上流で分岐して下流で合流する分岐路に前記放熱フィンが臨んで配されることを特徴としている。
【0020】
この構成によると、送風ダクトを流通する気流は放電電極の方向と分岐路とに分岐する。ペルチェ素子が駆動されると放電電極から放熱フィンに伝熱して分岐路を流通する気流に放熱される。これにより、冷却された放電電極の放電によって帯電微粒子水が送風ダクトに放出され、分岐路を流通する気流と合流して室内等に送出される。
【0021】
また本発明の空気調節装置は、上記各構成のイオン送出装置を備えたことを特徴としている。この構成によると、イオン発生装置により発生したプラスイオンと静電霧化装置により発生した帯電微粒子水とが送風機により室内に向けて送出される。粒子径の小さいプラスイオンは室内に拡散し、マイナス電荷に帯電する帯電微粒子水はプラスイオンに引き寄せられて拡散する。
【0022】
また本発明の理美容機器は、上記各構成のイオン送出装置を備えたことを特徴としている。この構成によると、使用者に向けてプラスイオンが送出されると、使用者近傍がマイナス電荷に帯電している場合に除電される。また、帯電微粒子の送出により使用者の近傍がマイナス電荷に帯電すると、プラスイオンによって除電される。その後、帯電微粒子水が送出され、使用者に帯電微粒子水が導かれる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、イオン発生装置により空気中に放出されたプラスイオンと静電霧化装置により発生した帯電微粒子水とを送風機により送出するので、空間中に拡散したプラスイオンや被照射体表面のプラスイオンに帯電微粒子水が引き寄せられる。また、マイナス電荷に帯電した領域がプラスイオンにより除電され、帯電微粒子水が行き届く。これにより、空間中や被照射体表面に帯電微粒子水が十分供給され、殺菌効果や保湿効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の空気清浄機を示す側面断面図
【図2】本発明の第1実施形態の空気清浄機のイオン送出装置を示す正面断面図
【図3】本発明の第2実施形態の空気清浄機のイオン送出装置を示す正面断面図
【図4】本発明の第3実施形態の空気清浄機のイオン送出装置を示す正面断面図
【図5】図4のB−B断面図
【図6】本発明の第4実施形態のヘアドライヤを示す斜視図
【図7】本発明の第4実施形態のヘアドライヤを示す正面図
【図8】本発明の第4実施形態のヘアドライヤの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の空気清浄機の側面断面図を示している。空気清浄機20は筐体21内にイオン送出装置1が配される。図2はイオン送出装置1の正面断面図を示し、図1は図2のA−A断面図になっている。
【0026】
筐体21は背面に吸込口2が開口し、上面に吹出口3が開口する。筐体21内に配されるイオン送出装置1は送風ダクト4、送風機5、静電霧化装置10及びイオン発生装置15を備えている。送風ダクト4は樹脂成形品により形成され、吸込口2と吹出口3とを連通させる。
【0027】
送風機5はモータ5aにより駆動されるシロッコファンにより形成され、吸気側を吸込口2に面して配置される。送風ダクト4は送風機5の上流側に吸気路4aが形成され、下流側に排気路4bが形成される。
【0028】
静電霧化装置10は放電電極11、対向電極12、ペルチェ素子13及び放熱フィン14を備えている。放電電極11は先端を排気路4bに臨む針状に形成され、底部が平板状に形成される。対向電極12は環状に形成され、放電電極11の先端の周囲に配される。放電電極11と対向電極12との間に高電圧を印加すると、放電電極11がコロナ放電する。ペルチェ素子13は放電電極11の底部に一面を接して配され、放電電極11を冷却する。放熱フィン14はペルチェ素子13の他面に接し、吸気路4aに臨んで配される。
【0029】
イオン発生装置15は排気路4bに臨む針状の放電電極16を有している。放電電極16に高電圧を印加するとコロナ放電によりイオンを発生して空気中に放出する。
【0030】
また、送風ダクト4内には吸込口2に面して塵埃を捕集するフィルタ22が配されている。
【0031】
上記構成の空気清浄機20において、空気清浄機20の運転が開始されると送風機5、が駆動されるとともに、イオン発生装置15及び静電霧化装置10が同時に駆動される。送風機5の駆動によって室内の空気が矢印D1に示すように吸込口2から送風ダクト4に流入する。送風ダクト4に流入した空気はフィルタ22により塵埃が捕集され、排気路4bを流通する。
【0032】
イオン発生装置15の放電電極16は交流波形またはインパルス波形から成る高圧の正電圧が印加され、コロナ放電する。これにより、空気中の水分が電離して水素イオン(H)が生じ、空気中の水分との結合によりクラスタ化して主としてH(HO)mから成るプラスイオンが発生する。ここで、mは0または自然数である。プラスイオンは排気路4bに向けて放出される。
【0033】
このプラスイオンの粒子径は水分子の数に応じて数オングストローム〜数nm程度である。また、放電電極16の印加電圧はコロナ放電によって発生するオゾンが許容範囲(例えば、0.1ppm)以下になるように設定される。
【0034】
静電霧化装置10が駆動されるとペルチェ素子13が通電され、放電電極11から放熱フィン14に伝熱して吸気路4aを流通する気流との熱交換により放熱される。これにより、放電電極11が冷却され、放電電極11の表面に結露による水が生成される。
【0035】
次に、放電電極11を負極として対向電極12を正極とし、放電電極11と対向電極12との間に高電圧が印加される。これにより、放電電極11にマイナスの電荷が集中し、水と対向電極12との間にクーロン力が働いて表面張力を超えて水の分裂及び飛散が繰り返される。その結果、マイナス電荷に帯電した霧状の帯電微粒子水が生成され、排気路4bに放出される。帯電微粒子水は粒子径を数nm程度に形成すると容易に消滅するため、数十nm程度の粒子径に形成される。
【0036】
これにより、排気路4bを流通する空気にプラスイオン及び帯電微粒子水が含まれ、吹出口3から矢印D2に示すように室内に向けて送出される。
【0037】
プラスイオンは空気分子に比して同程度の粒子径を有するため、容易に拡散して室内の隅々に行き渡る。これにより、マイナス電荷に帯電する帯電微粒子水がプラスイオンに引き寄せられて室内の隅々に行き渡る。また、室内のマイナス電荷に帯電した箇所がプラスイオンにより除電され、帯電微粒子水が行き届く。そして、帯電微粒子水によって室内の殺菌が行われる。
【0038】
本実施形態によると、イオン発生装置15により空気中に放出されたプラスイオンと静電霧化装置10により発生した帯電微粒子水とを送風機5により送出するので、室内に拡散したプラスイオンに帯電微粒子水が引き寄せられる。また、マイナス電荷に帯電した領域がプラスイオンにより除電され、帯電微粒子水が行き届く。これにより、室内に帯電微粒子水が十分供給され、殺菌効果を向上することができる。
【0039】
次に、図3は第2実施形態の空気清浄機20のイオン送出装置1を示す正面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態は静電霧化装置10の配置が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0040】
イオン送出装置1の送風ダクト4の排気路4bには連通路7が導出されている。静電霧化装置10は連通路7の一端を塞ぎ、放電電極11が連通路7に臨んで配される。また、放熱フィン14は排気路4bの壁面を貫通して排気路4bに臨んで配される。
【0041】
これにより、放熱フィン14が排気路4bを流通する気流と熱交換して放電電極11が冷却される。また、放電電極11から発生する帯電微粒子水は連通路7を介して排気路4bに放出される。従って、第1実施形態と同様に室内の殺菌効果を向上させることができる。
【0042】
次に、図4は第3実施形態の空気清浄機20のイオン送出装置1を示す正面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同一の部分は同一の符号を付している。本実施形態は静電霧化装置10の配置及び排気路4bの構成が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0043】
イオン送出装置1の送風ダクト4の排気路4bは仕切板6によって第1通路4c及び第2通路4dに仕切られる。イオン発生装置15の放電電極16は第1通路4cに臨んで配置される。静電霧化装置10の放電電極11は第2通路4dに臨んで配される。これにより、吹出口3はプラスイオンを含む空気を送出する第1吹出部3aと、帯電微粒子水を含む空気を送出する第2吹出部3bとに仕切られる。
【0044】
図5は図4のB−B断面図を示している。第2通路4dの背後には分岐路8が設けられる。分岐路8は第2通路4dに対して放電電極11の上流で開口部8aを介して分岐し、下流で開口部8bを介して合流する。静電霧化装置10の放熱フィン14は分岐路8に臨んで配置される。このため、矢印D3に示すように第2通路4dを流通する気流の一部が矢印D4に示すように開口部8aから分岐路8に流入する。
【0045】
これにより、放熱フィン14が分岐路8を流通する気流と熱交換して放電電極11が冷却される。放電電極11から発生する帯電微粒子水は第2通路4dに放出され、分岐路8を流通して開口部8bから第2通路4dに流入する気流と合流する。そして、帯電微粒子水を含む空気が第2吹出部3bから室内に送出される。
【0046】
また、第2通路4dを流通する気流の一部が分岐路8を流通するため、放電電極11上を流通する空気の風速が低下する。放電電極11上を流通する空気の風速が大きいと放電電極11上に結露による水が付きにくく、放電電極11から発生する帯電微粒子水が減少する。このため、放電電極11上を流通する空気の風速を低下させることにより、帯電微粒子水を増加させることができる。
【0047】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に室内の殺菌効果を向上させることができる。また、第2通路4dに対して放電電極11の上流で分岐して下流で合流する分岐路8に放熱フィン14が臨んで配されるので、放電電極11上を流通する空気の風速が低下して帯電微粒子水を増加させることができる。従って、室内の殺菌効果をより向上させることができる。
【0048】
また、仕切板6により第1、第2通路4c、4dに仕切られるため、プラスイオンと帯電微粒子水との衝突による帯電微粒子水の減少を抑制することができる。
【0049】
第1〜第3実施形態において、イオン発生装置15及び静電霧化装置10を継続的に同時に駆動しているが、所定の時期に一方を停止してもよい。例えば、静電霧化装置10を停止してプラスイオンを所定期間送出する第1送出期間と、第1送出期間の経過後にイオン発生装置15を停止して帯電微粒子水を所定期間送出する第2送出期間とを設けてもよい。尚、第1送出期間と第2送出期間とを繰り返し行ってもよい。
【0050】
これにより、プラスイオンが室内に拡散した後に送出される帯電微粒子水がプラスイオンに引き寄せられて拡散する。従って、上記と同様の効果を得ることができる。また、吹出口3近傍でプラスイオンと帯電微粒子水との衝突による帯電微粒子水の減少を抑制することができる。
【0051】
この時、第1送出期間を長くすると、第1送出期間で室内に拡散したプラスイオンに対し、第2送出期間で送出された帯電微粒子水が離れてプラスイオンに引き寄せられない場合が生じる。このため、第1送出期間でイオン発生装置15及び静電霧化装置10の駆動によりプラスイオン及び帯電微粒子水を同時に送出してもよい。これにより、第1送出期間で帯電微粒子水がプラスイオンから大きく離れないため室内に帯電微粒子水を拡散させることができる。また、第2送出期間では吹出口3近傍のプラスイオンと帯電微粒子水との衝突による帯電微粒子水の減少を抑制することができる。
【0052】
また、第1〜第3実施形態において、イオン送出装置1を搭載した空気清浄機20について説明しているが、これに限られない。例えば、冷暖房機、加湿器、除湿機等であってもよく、イオン送出装置1を搭載した空気調節装置であればよい。
【0053】
次に、図6、図7は第4実施形態のヘアドライヤ30を示す斜視図及び正面図を示している。本実施形態は前述の図4、図5に示す第3実施形態と同様のイオン送出装置1を筐体31内に備えている。
【0054】
筐体31内には送風ダクト4(図4参照)が形成され、筐体31の正面上部に第1吹出部3a及び第2吹出部3bを有する吹出口3が開口する。筐体31の下方には使用者が把持する把持部32が設けられ、把持部32にはヘアドライヤ30の操作を行う操作部33が設けられる。
【0055】
図8はヘアドライヤ30の構成を示すブロック図である。ヘアドライヤ30は各部を制御する制御部34を備え、制御部34には送風機5、静電霧化装置10、イオン発生装置15、ヒータ35及び操作部33が接続される。送風機5、静電霧化装置10、イオン発生装置15及び送風ダクト4(図4参照)によってイオン送出装置1が構成される。尚、送風機5をプロペラファンにより形成してもよい。
【0056】
ヒータ35は第2通路4d(図4参照)内に配され、第2通路4d内を流通する空気を昇温する。
【0057】
上記構成のヘアドライヤ30において、ヘアドライヤ30の運転が開始されると送風機5及びヒータ35が駆動される。これにより、吹出口3の第2吹出部3bから使用者の髪に温風が吹き付けられる。また、所定の操作によってヒータ35を停止して使用者の髪に冷風が吹き付けられる。
【0058】
また、静電霧化装置10を停止してイオン発生装置15を駆動した第1送出期間と、イオン発生装置15を停止して静電霧化装置10を駆動した第2送出期間とが繰り返し行われる。第1送出期間ではイオン発生装置15の駆動によってプラスイオンが第1吹出部3aから所定期間送出される。これにより、使用者の髪がマイナス電荷に帯電している場合にプラスイオンによって除電される。
【0059】
第2送出期間では静電霧化装置10の駆動によって帯電微粒子水が第2吹出部3bから所定期間送出される。これにより、帯電微粒子水が除電された使用者の髪に行き届き、使用者近傍の殺菌及び使用者の髪の保湿が行われる。
【0060】
また、帯電微粒子水の照射によって使用者の髪がマイナス電荷に帯電すると、第1送出期間に移行してプラスイオンにより使用者の髪が除電される。
【0061】
本実施形態によると、イオン発生装置15により空気中に放出されたプラスイオンと静電霧化装置10により発生した帯電微粒子水とを送風機5により送出するので、プラスイオンにより除電された使用者の髪(被照射体)の表面に帯電微粒子水を導くことができる。これにより、使用者近傍や使用者の髪に帯電微粒子水が十分供給され、殺菌効果及び保湿効果を向上することができる。
【0062】
また、第1送出期間で静電霧化装置10を停止してプラスイオンを送出した後、第2送出期間でイオン発生装置15を停止して帯電微粒子水を送出するので、マイナス電荷に帯電した使用者の髪を確実に除電した後に帯電微粒子水を供給することができる。従って、殺菌効果及び保湿効果をより確実に向上することができる。また、プラスイオンと帯電微粒子水との衝突による帯電微粒子水の減少を抑制することができる。
【0063】
尚、第1送出期間を長くすると、使用者の近傍がプラス電荷に帯電して使用者が不快と感じる場合が生じる。このため、第1送出期間でイオン発生装置15及び静電霧化装置10の駆動によりプラスイオン及び帯電微粒子水を同時に送出してもよい。これにより、第1送出期間でマイナス電荷を除電する際に使用者の近傍がプラス電荷に帯電されることを抑制することができる。また、第2送出期間では吹出口3近傍のプラスイオンと帯電微粒子水との衝突による帯電微粒子水の減少を抑制することができる。
【0064】
本実施形態において、イオン送出装置1を搭載して使用者に向けて空気を送出するヘアドライヤ30について説明しているが、これに限られない。例えば、美顔器等であってもよく、イオン送出装置1を搭載した理美容機器であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によると、イオン発生装置及び静電霧化装置を有するイオン送出装置を搭載した空気清浄機、冷暖房機、加湿器、除湿機等の空気調節装置や、ヘアドライヤ、美顔器等の理美容機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 イオン送出装置
2 吸込口
3 吹出口
4 送風ダクト
4a 吸気路
4b 排気路
4c 第1通路
4d 第2通路
5 送風機
6 仕切板
7 連通路
8 分岐路
10 静電霧化装置
11 放電電極
12 対向電極
13 ペルチェ素子
14 放熱フィン
15 イオン発生装置
16 放電電極
20 空気清浄機
21、31 筐体
22 フィルタ
32 把持部
33 操作部
34 制御部
35 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスイオンを発生して空気中に放出するイオン発生装置と、マイナス電荷に帯電した霧状の帯電微粒子水を発生して空気中に放出する静電霧化装置と、前記プラスイオン及び前記帯電微粒子水を送出する送風機とを備えたことを特徴とするイオン送出装置。
【請求項2】
前記プラスイオン及び前記帯電微粒子水を同時に送出したことを特徴とする請求項1に記載のイオン送出装置。
【請求項3】
前記プラスイオン及び前記帯電微粒子水を同時に送出する第1送出期間と、第1送出期間の経過後に前記イオン発生装置を停止して前記帯電微粒子水を送出する第2送出期間とを設けたことを特徴とする請求項2に記載のイオン送出装置。
【請求項4】
前記静電霧化装置を停止して前記プラスイオンを所定期間送出する第1送出期間と、第1送出期間の経過後に前記イオン発生装置を停止して前記帯電微粒子水を送出する第2送出期間とを設けたことを特徴とする請求項1に記載のイオン送出装置。
【請求項5】
第1送出期間と第2送出期間とを繰り返すことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のイオン送出装置。
【請求項6】
前記静電霧化装置が放電電極と前記放電電極を冷却するペルチェ素子と前記ペルチェ素子に接する放熱フィンとを有し、前記送風機の駆動によって気流が流通する送風ダクトに前記放電電極が臨んで配されるとともに、前記送風ダクトに対して前記放電電極の上流で分岐して下流で合流する分岐路に前記放熱フィンが臨んで配されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のイオン送出装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のイオン送出装置を備えたことを特徴とする空気調節装置。
【請求項8】
請求項3〜請求項5のいずれかに記載のイオン送出装置を備えたことを特徴とする理美容機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−48700(P2013−48700A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187976(P2011−187976)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】