説明

イソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法

【課題】 イソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法を提供する。
【解決手段】
【化1】


一般式(2)[式中、Xはハロゲン原子、C1〜C6ハロアルキル等を表し、Yはハロゲン原子、C1〜C6アルキル等を表し、R1はC1〜C6ハロアルキル等を表し、Lは塩素原子、臭素原子等を表し、mは0〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。]で表されるイソキサゾリン置換ベンゼン類を非水溶性溶媒中で、パラジウム化合物の存在下、一酸化炭素と水とを添加物の存在下で反応させること、あるいは一酸化炭素とアルコール類とを反応させることを特徴とする一般式(1)[式中、X、Y、R1、m及びnは前記と同じ意味を表し、R2は水素原子、C1〜C6アルキル等を表す。]で表されるイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農医薬中間体として、例えば国際公開第05/085216号パンフレットに記載の有害生物防除剤として有用なイソキサゾリン置換ベンズアミド化合物の製造中間体として有用なイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
パラジウム化合物存在下で一酸化炭素を用いたカルボニル化による安息香酸類又は安息香酸エステル類を製造する方法は数多く報告されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)が、ベンゼン環上4位にイソキサゾリンを有し、1位に脱離基を有するベンゼン類において、安息香酸類又は安息香酸エステル類を製造方法は、本願出願人が報告したもののみである(例えば、特許文献2ないし特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開平6−73015号公報
【特許文献2】国際公開第05/085216号パンフレット
【特許文献3】国際公開第07/026965号パンフレット
【特許文献4】国際公開第07/074789号パンフレット
【非特許文献1】[Journal of Jianxi Normal University]1998年、22巻、231頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農医薬の製造中間体として有用なイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、イソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法に関して鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものであり、有害生物防除剤として有用なイソキサゾリン置換ベンズアミド化合物の製造中間体である一般式(1)で表されるイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法を提供するものである。
【0005】
すなわち、本発明は下記〔1〕〜〔5〕に関するものである。
【0006】
〔1〕 一般式(2):
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Xは、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、-SF5、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ(C1〜C6)ハロアルキル、C1〜C6ハロアルコキシ(C1〜C6)ハロアルキル、C3〜C8ハロシクロアルキル、-OR3、-OSO2R3、-S(O)rR3、-NH2又は-N(R5)R4を表し、mが2以上を表すとき、各々のXは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよく、
Yは、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4ハロアルキルチオ、C1〜C4アルキルスルホニル、C1〜C4ハロアルキルスルホニル、-NH2又は-N(R5)R4を表し、nが2以上を表すとき、各々のYは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよく、
R1は、水素原子、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C3〜C8シクロアルキル又はC3〜C8ハロシクロアルキルを表し、
Lは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ又はパラトルエンスルホニルオキシを表し、
R3は、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキル、C1〜C6ハロアルキル又はC1〜C4ハロアルコキシ(C1〜C4)ハロアルキルを表し、
R4は、C1〜C6アルキル、-CHO、C1〜C6アルキルカルボニル、C1〜C6ハロアルキルカルボニル、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルキルスルホニル又はC1〜C6ハロアルキルスルホニルを表し、
R5は、水素原子又はC1〜C6アルキルを表し、
mは、0ないし5の整数を表し、
nは、0ないし4の整数を表し、
rは、0ないし2の整数を表す。]で表されるイソキサゾリン置換ベンゼン類に非水溶性溶媒中、パラジウム化合物存在下、一酸化炭素と水とを添加物の存在下で反応させるか、または一酸化炭素とアルコール類とを反応させることを特徴とする一般式(1):
【0009】
【化2】

【0010】
(式中X、Y、R1、m及びnは前記と同じ意味を表し、
R2は、水素原子、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキル、ベンジル又はフェニルを表す。)で表されるイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法。
【0011】
〔2〕 Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はC1〜C4ハロアルキルを表し、mが2又は3を表すとき、各々のXは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよく、
Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ、C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロアルキルを表し、
R1は、C1〜C4ハロアルキルを表し、
mは、1ないし3の整数を表し、
nは、0ないし2の整数を表す〔1〕記載のイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法。
【0012】
〔3〕 R2は、水素原子を表す〔2〕記載のイソキサゾリン置換安息香酸類の製造方法。
【0013】
〔4〕 添加物が相間移動触媒である〔1〕ないし〔3〕記載のイソキサゾリン置換安息香酸類の製造方法。
【0014】
〔5〕 添加物が極性溶媒である〔1〕ないし〔3〕記載のイソキサゾリン置換安息香酸類の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明は農薬、例えば国際公開第05/085216号パンフレット記載の農業害虫、ハダニ類、哺乳動物または鳥類の内部もしくは外部寄生虫に対して優れた殺虫・殺ダニ活性を有する化合物の製造中間体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一般式(1)で表される化合物には、1個又は2個以上の不斉炭素原子の存在に起因する光学活性体が存在するが、本発明は全ての光学活性体又はラセミ体を包含する。
【0017】
本発明に包含される化合物のうちで、常法に従って酸付加塩にすることができるものは、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸等のハロゲン化水素酸の塩、硝酸、硫酸、燐酸、塩素酸、過塩素酸等の無機酸の塩、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸の塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、酒石酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸等のカルボン酸の塩又はグルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸の塩とすることができる。
【0018】
或いは、本発明に包含される化合物のうちで、常法に従って金属塩にすることができるものは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属の塩、カルシウム、バリウム、マグネシウムといったアルカリ土類金属の塩又はアルミニウムの塩とすることができる。
【0019】
次に、本明細書において示した各置換基の具体例を以下に示す。ここで、n-はノルマル、i-はイソ、s-はセカンダリー及びt-はターシャリーを各々意味する。
【0020】
本発明化合物におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。尚、本明細書中「ハロ」の表記もこれらのハロゲン原子を表す。
【0021】
本明細書におけるCa〜Cbアルキルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0022】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、このとき、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えばフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ブロモクロロフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2-クロロ-2-フルオロエチル基、2,2-ジクロロエチル基、2-ブロモ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル基、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジフルオロエチル基、2-ブロモ-2-クロロ-2-フルオロエチル基、2-ブロモ-2,2-ジクロロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエチル基、2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエチル基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、2-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、2-ブロモプロピル基、2-クロロ-2-フルオロプロピル基、2,3-ジクロロプロピル基、2-ブロモ-3-フルオロプロピル基、3-ブロモ-2-クロロプロピル基、2,3-ジブロモプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-ブロモ-3,3-ジフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,3-ジクロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2-フルオロ-1-メチルエチル基、2-クロロ-1-メチルエチル基、2-ブロモ-1-メチルエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、2-フルオロブチル基、2-クロロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、ノナフルオロブチル基、4-クロロ-1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル基、2-フルオロ-2-メチルプロピル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、2-クロロ-1,1-ジメチルエチル基、2-ブロモ-1,1-ジメチルエチル基、5-クロロ-2,2,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロペンチル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0023】
本明細書におけるCa〜Cbシクロアルキルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環又は複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよい。例えばシクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロプロピル基、2,2-ジメチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0024】
本明細書におけるCa〜Cbハロシクロアルキルの表記は、炭素原子に結合した水素原子が、ハロゲン原子によって任意に置換された、炭素原子数がa〜b個よりなる環状の炭化水素基を表し、3員環から6員環までの単環又は複合環構造を形成することが出来る。また、各々の環は指定の炭素原子数の範囲でアルキル基によって任意に置換されていてもよく、ハロゲン原子による置換は環構造部分であっても、側鎖部分であっても、或いはそれらの両方であってもよく、さらに、2個以上のハロゲン原子によって置換されている場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも、または互いに相異なっていてもよい。例えば2,2-ジフルオロシクロプロピル基、2,2-ジクロロシクロプロピル基、2,2-ジブロモシクロプロピル基、2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジクロロ-1-メチルシクロプロピル基、2,2-ジブロモ-1-メチルシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、2-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、3-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基、4-(トリフルオロメチル)シクロヘキシル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0025】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルコキシの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-O-基を表し、例えばジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、2-フルオロエトキシ基、2-クロロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2,-テトラフルオロエトキシ基、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエトキシ基、2-ブロモ-1,1,2-トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、2,2-ジクロロ-1,1,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,2-トリクロロ-1,1-ジフルオロエトキシ基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルオキシ基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エトキシ基、ヘプタフルオロプロピルオキシ基、2-ブロモ-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルオキシ基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0026】
本明細書におけるCa〜Cbアルキルチオの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるアルキル-S-基を表し、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0027】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキルチオの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-S-基を表し、例えばジフルオロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、クロロジフルオロメチルチオ基、ブロモジフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基、1,1,2,2-テトラフルオロエチルチオ基、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエチルチオ基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルチオ基、ヘプタフルオロプロピルチオ基、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルチオ基、ノナフルオロブチルチオ基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0028】
本明細書におけるCa〜Cbアルキルスルホニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるアルキル-SO2-基を表し、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、i-プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、i-ブチルスルホニル基、s-ブチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0029】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキルスルホニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-SO2-基を表し、例えばジフルオロメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、クロロジフルオロメチルスルホニル基、ブロモジフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチルスルホニル基、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチルスルホニル基、2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエチルスルホニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0030】
本明細書におけるCa〜Cbアルキルカルボニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるアルキル-C(O)-基を表し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、2-メチルブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0031】
本明細書におけるCa〜Cbハロアルキルカルボニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるハロアルキル-C(O)-基を表し、例えばフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ジフルオロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロジフルオロアセチル基、ブロモジフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、ヘプタフルオロブタノイル基、3-クロロ-2,2-ジメチルプロパノイル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0032】
本明細書におけるCa〜Cbアルコキシカルボニルの表記は、炭素原子数がa〜b個よりなる前記の意味であるアルキル-O-C(O)-基を表し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、 n-プロピルオキシカルボニル基、i-プロピルオキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、i-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0033】
本明細書におけるCa〜Cbアルコキシ(Cd〜Ce)アルキル等の表記は、それぞれ前記の意味である任意のCa〜Cbアルコキシ基によって、炭素原子に結合した水素原子が任意に置換された炭素原子数がd〜e個よりなる直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表し、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0034】
本明細書におけるヒドロキシ(Cd〜Ce)ハロアルキル、Ca〜Cbアルコキシ(Cd〜Ce)ハロアルキル又はCa〜Cbハロアルコキシ(Cd〜Ce)ハロアルキルの表記は、それぞれ前記の意味である任意のCa〜Cbアルコキシ基、Ca〜Cbハロアルコキシ基又は水酸基によって炭素原子に結合した水素原子又はハロゲン原子が任意に置換された炭素原子数がd〜e個よりなる前記の意味であるハロアルキル基を表し、例えば2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ジフルオロ(メトキシ)メチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-メトキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ジフルオロ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1-(トリフルオロメチル)エチル基、3-(1,2-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロピル基等が具体例として挙げられ、各々の指定の炭素原子数の範囲で選択される。
【0035】
本発明に包含される化合物において、Xで表される置換基としては、好ましくはハロゲン原子及びC1〜C4ハロアルキルが挙げられ、より好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びトリフルオロメチルが挙げられ、特に好ましくは塩素原子、臭素原子及びトリフルオロメチルが挙げられる。このときXで表される置換基の数を表すmが2以上の整数を表すとき、各々のXは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよい。
【0036】
本発明に包含される化合物において、Xで表される置換基の数を表すmとしては、好ましくは1ないし3が挙げられる。
【0037】
本発明に包含される化合物において、Yで表される置換基としては、好ましくはハロゲン原子、ニトロ、C1〜C4アルキル及びC1〜C4ハロアルキルが挙げられ、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ、メチル、エチル及びトリフルオロメチルが挙げられる。このとき、nが2の整数を表すとき、各々のYは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよい。
【0038】
本発明に包含される化合物において、Yで表される置換基の数を表すnとしては、より好ましくは0ないし2が挙げられる。
【0039】
本発明に包含される化合物において、R1で表される置換基としては、好ましくはC1〜C4ハロアルキルが挙げられ、より好ましくはジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル及びトリフルオロメチルが挙げられ、極めて好ましくはクロロジフルオロメチル及びトリフルオロメチルが挙げられる。
【0040】
本発明に包含される化合物において、Lで表される置換基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ又はパラトルエンスルホニルオキシが挙げられるが、より好ましくは塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
【0041】
本発明に包含される化合物において、R3で表される置換基としては、好ましくはC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル及びC1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキルが挙げられ、より好ましくは、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、メトキシメチル、エトキシメチル及びメトキシエチルが挙げられる。
【0042】
本発明に包含される化合物において、R4で表される置換基としては、好ましくは-CHO、C1〜C4アルキルカルボニル及びC1〜C4アルコキシカルボニルが挙げられ、より好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが挙げられる。
【0043】
本発明に包含される化合物において、R5で表される置換基としては、好ましくは水素原子、メチル及びエチルが挙げられる。
【0044】
本発明に包含される化合物において、R2で表される置換基としては、好ましくは水素原子、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、2−メトキシエチル、ベンジル及びフェニルが挙げられる。
【0045】
本発明の反応に使用する非極性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類が挙げられるが、好ましくはトルエン及びクロロベンゼンが挙げられる。
【0046】
本発明の反応に使用する非水溶性溶媒の使用量は、原料である一般式(2)で表される化合物1重量部に対して、0.5〜50重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
【0047】
本発明の反応に使用するパラジウム化合物としては、金属パラジウム、担持パラジウム、パラジウム塩又はパラジウム錯体等が挙げられ、これらパラジウム化合物は、配位子と組み合わせて使用すれば良いが、パラジウム錯体においては配位子を使用しなくても良い。担持パラジウムとしては、例えば、活性炭担持パラジウム、アルミナ担持パラジウム、ゼオライト担持パラジウム、ペロブスカイト酸化物担持パラジウム等が挙げられ、パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム等が挙げられ、パラジウム錯体としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム、酢酸〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム、塩化〔1,4−ビス(ジフェニルホスフィンノ)プロパン〕パラジウム、塩化〔1,4−ビス(ジフェニルホスフィンノ)ブタン〕パラジウム、塩化〔1,4−ビス(アセトニトリル)〕パラジウム、塩化〔1,4−ビス(ベンゾニトリルル)〕パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、〔1,3−ビス(2,4,6−トリフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)〕パラジウム(0)ダイマー、〔1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)〕パラジウム(0)ダイマー、アリルクロロ〔1,3−ビス(2,4,6−トリフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)〕パラジウム(II)ダイマー等が挙げられ、好ましくは活性炭胆持パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが挙げられる。
【0048】
本発明の反応に使用するパラジウム化合物の使用量は、原料である一般式(2)で表される化合物1モルに対して0.00001〜0.5倍モルであり、好ましくは0.0001〜0.05倍モルである。
【0049】
本発明の反応にパラジウム化合物と共に使用することができる配位子としては、ホスフィン化合物又は窒素化合物が挙げられ、ホスフィン化合物としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−i−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリオルソメチルフェニルホスフィン、1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等があげられ、窒素化合物としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン等が挙げられるが、好ましくはトリ−t−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンが挙げられる。
配位子を使用する場合の使用量としては、使用するパラジウム化合物のパラジウム1モルに対して、0.5〜100倍モルであり、好ましくは1〜10倍モルである。
【0050】
一酸化炭素は、大気圧〜5MPaの任意の圧力範囲で設定すればよく、好ましくは大気圧〜1MPaの範囲である。
【0051】
本発明の反応に使用することができる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、リン酸カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等の有機塩基、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属有機酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等のアルカリ金属アルコキシド類等が挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが挙げられる。
【0052】
これらの塩基は単独で用いても、これらのうちの2種類以上を混合して用いてもよい。
【0053】
本発明の反応に使用する塩基の使用量は、原料である一般式(2)で表される化合物1モルに対して、0.1〜20倍モルであり、好ましくは0.3〜5倍モルである。
【0054】
本発明の反応において、使用する添加物のうち、相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩、ピリジニウム化合物又はクラウンエーテル化合物が挙げられ、4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヨージド、水酸化テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、水酸化テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムブロミド、トリメチルベンジルアンモニウムヨージド、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムブロミド、トリエチルベンジルアンモニウムヨージド、水酸化トリエチルベンジルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウムクロリド、トリエチルメチルアンモニウムブロミド、トリエチルメチルアンモニウムヨージド、水酸化トリエチルメチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウムクロリド、トリメチルエチルアンモニウムブロミド、トリメチルエチルアンモニウムヨージド、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムブロミド、メチルトリブチルアンモニウムヨージド、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムヨージド、水酸化メチルトリオクチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、ピリジニウム化合物としては、例えば、ブチルピリジニウムクロリド、ブチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムブロミド等が挙げられ、クラウンエーテル化合物としては、例えば、15−クラウン 5−エーテル、18−クラウン 6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン 6−エーテル等が挙げられるが、好ましくはテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられる。
【0055】
相間移動触媒を使用する場合の使用量は、原料である一般式(2)で表される化合物1モルに対して、0.001〜0.8倍モルであり、好ましくは0.01〜0.5倍モルである。
【0056】
本発明の反応において、場合によっては使用する添加物のうち、極性溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、t−ブチルアルコール等の3級アルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、アセトニトリル及びジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0057】
極性溶媒を使用する場合の使用量は、原料である一般式(2)で表される化合物1重量部に対して、0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0058】
本発明のイソキサゾリン置換安息香酸エステル類の製造において、一酸化炭素とともに反応させるアルコール類としては、C1〜C6アルキルアルコール、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール等が挙げられるが、C1〜C6アルキルアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられ、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキルアルコールとしては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等が挙げられるが、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノールが挙げられる。
【0059】
本発明のイソキサゾリン置換安息香酸エステル類の製造において、一酸化炭素とともに反応させる水あるいはアルコール類の使用量は、原料である一般式(2)で表される化合物1モルに対して、0.8〜100倍モルの範囲で使用すればよく、好ましくは1.0〜20倍モルである。
【0060】
反応温度は、0〜200℃の任意の温度範囲で設定すればよく、好ましくは50〜200℃の範囲である。
【0061】
反応時間は、反応基質の濃度、反応温度、反応規模等により変化するが30分ないし100時間の範囲で任意に設定できる。
【0062】
本発明に使用される一般式(2)で表される原料化合物は、例えば国際公開第05/085216号パンフレット記載の方法に準じて、下記反応式1のようにして合成することができる。
【0063】
反応式1:
【0064】
【化3】

【0065】
すなわち、一般式(3)[式中、Y, L及びnは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物とヒドロキシルアミン又はその塩とを反応させることにより一般式(4)[式中、Y, L及びnは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物とした後、ハロゲン化剤により一般式(5)[式中、Y, L及びnは前記と同じ意味を表し、Jは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。]で表される化合物とし、さらに塩基存在下で一般式(6)[式中、X, R1及びmは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物と反応させることにより、一般式(2)[式中、X, Y, R1, L, m及びnは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物を得ることができる。
【実施例】
【0066】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらのみによって限定されるものではない。
【0067】
[実施例1]
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸(1−1)の製造
【0068】
【化4】

【0069】
反応条件1−01
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン27.3mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、塩化パラジウム3.9mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよび水1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸(1−1):原料(2−1)=78.1%:17.5%であった。
【0070】
反応条件1−02
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン27.3mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、酢酸パラジウム5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0071】
反応条件1−03
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン36.7mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、酢酸パラジウム5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0072】
反応条件1−04
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン27.3mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、塩化〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム15.5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0073】
反応条件1−05
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム25.5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0074】
反応条件1−06
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン27.3mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)ダイマー14.5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0075】
反応条件1−07
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン36.7mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0076】
反応条件1−08
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、トルエン4.5ml、水酸化カリウム(85%)0.63g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0077】
反応条件1−09
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、トルエン4.5ml、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.62g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0078】
反応条件1−10
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、テトラブチルアンモニウムブロミド142mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0079】
反応条件1−11
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、テトラブチルアンモニウムクロリド123mg、トルエン4ml、炭酸カリウム0.73g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0080】
反応条件1−12
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)0.5g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン6.8mg、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(Aliquat 336(商品名))40.6mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.34g、水0.5ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)23.5mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0081】
反応条件1−13
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)0.5g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン6.8mg、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド35.3mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.34g、水0.5ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)23.5mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0082】
反応条件1−14
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、トルエン2ml、t−ブタノール2ml、炭酸カリウム1.28g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0083】
反応条件1−15
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、トルエン2ml、1,2−ジメトキシエタン2ml、炭酸カリウム1.28g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0084】
反応条件1−16
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、トルエン2ml、ジエチレングリコールジメチルエーテル2ml、炭酸カリウム1.28g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0085】
反応条件1−17
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)0.5g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン6.8mg、トルエン4ml、1,4−ジオキサン0.5ml、炭酸カリウム0.34g、水0.5ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)23.5mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0086】
反応条件1−18
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、トルエン2ml、N−メチル−2−ピロリドン2ml、炭酸カリウム1.28g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.6MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0087】
反応条件1−19
3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(2−1)2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67g、水1ml、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、一酸化炭素0.7MPa(仕込み時圧力)の原料および試剤を用い、反応温度:105℃、反応時間:4.5時間の条件下で、反応条件1−01と同様に反応を行った。反応後のHPLC分析結果(溶媒ピークを除いた面積百分率)を第1表に示す。
【0088】
第1表
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HPLC面積百分率(%)注)
―――――――――――――――――――
反応条件 安息香酸(1−1) 原料(2−1)
―――――――――――――――――――――――――――――――
1−01 78.1 17.5
1−02 92.3 0.3
1−03 85.7 10.5
1−04 91.2 −
1−05 85.2 10.5
1−06 90.9 0.1
1−07 94.3 −
1−08 86.4 5.6
1−09 65.9 28.8
1−10 84.5 5.6
1−11 85.5 11.6
1−12 96.0 −
1−13 95.8 −
1−14 86.5 8.5
1−15 94.0 0.4
1−16 73.0 18.8
1−17 69.5 27.7
1−18 83.6 11.8
1−19 0.1 99.0
――――――――――――――――――――――――――――――
注)溶媒ピークを除いたHPLC面積百分率
反応条件1−20
200mlオートクレーブに3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール20.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン164mg、テトラブチルアンモニウムクロリド1.23g、トルエン46ml、炭酸カリウム7.32g、水10mlおよび5%パラジウム−カーボン(50%含水品)0.56gを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.6MPaに充填し、105℃にて容器内圧力が0.5〜0.8MPaの範囲内で反応を行った。8時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液をビーカーに移した後に、濃塩酸を加えて酸性にし、セライト濾過した。得られた濾液の有機層をHPLCを用いて分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸(1−1):原料(2−1)=92.7%:3.0%であった。得られた濾液は分液し、有機層を水洗した後に、減圧濾過することにより不溶物を除去し、減圧下で水分を共沸脱水した。そこにトルエンを加え、目的物を含むトルエン溶液140.24gを黄色均一溶液として得た。得られた溶液の一部を取り出し、HPLCを用いた定量分析法で分析したところ、安息香酸(1−1)の含有量は16.77g(定量収率91%)であった。
【0089】
反応条件1−21
200mlオートクレーブに3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール20.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン164mg、トルエン23ml、t−ブタノール23ml、炭酸カリウム12.2g、水10mlおよび5%パラジウム−カーボン(50%含水品)0.56gを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.6MPaに充填し、105℃にて容器内圧力が0.5〜0.8MPaの範囲内で反応を行った。8時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液に5%水酸化カリウム水溶液50mlを加えて攪拌した後に、セライト濾過し、セライトを5%水酸化カリウム水溶液50mlおよび水50mlにて洗浄した。得られた濾液を少量取り、アセトニトリルにて希釈、濃塩酸にて酸性にした後、HPLCを用いて分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸(1−1):原料(2−1)=89.4%:0.4%であった。一方、得られた濾液にトルエン138mlを加え、濃塩酸40mlを加えて酸性にした後に分液した。有機層を水洗(50ml×3)した後に、有機層を減圧濾過することにより不溶物を除去し、溶媒を減圧下で留去した。そこにトルエンを加え、さらに溶媒を減圧下で留去することを繰り返し、目的物を含むトルエン溶液138.3gを黄色均一溶液として得た。得られた溶液の一部を取り出し、HPLCを用いた定量分析法で分析したところ、安息香酸(1−1)の含有量は16.45g(定量収率89%)であった。
【0090】
[実施例2]
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸ブチル(1−2)の製造
【0091】
【化5】

【0092】
反応条件2−01
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン37mg、塩化〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム15.5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよび1−ブタノール1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸エステル(1−2):安息香酸(1−1):原料(2−1)=81.6%:10.7%:1.7%であった。
その後、分液により得られた有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、固体を減圧濾過により取り除き、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をヘキサン:酢酸エチル=9:1にて溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより安息香酸エステル(1−2)1.76gを無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, Me4Si, 300MHz) δ7.95 (d, J=9.0Hz, 1H), 7.50-7.57 (m, 4H), 7.43 (t, J=1.8Hz, 1H), 4.32 (t, J=6.6Hz, 2H), 4.10 (d, J=17.4Hz, 1H), 3.71 (d, J=17.4Hz, 1H), 2.62 (s, 3H), 1.70-1.82 (m, 2H), 1.40-1.55 (m, 2H), 0.98 (t, J=7.5Hz, 3H)。
【0093】
反応条件2−02
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン37mg、酢酸パラジウム5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよび1−ブタノール1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸エステル(1−2):安息香酸(1−1):原料(2−1)=79.6%:10.8%:5.5%であった。
【0094】
反応条件2−03
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン37mg、塩化パラジウム3.9mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよび1−ブタノール1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸エステル(1−2):安息香酸(1−1):原料(2−1)=43.2%:2.1%:49.1%であった。
【0095】
反応条件2−04
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール2.0g、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン13.7mg、5%パラジウム−カーボン(50%含水品)47mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよび1−ブタノール1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸エステル(1−2):安息香酸(1−1):原料(2−1)=52.6%:12.2%:29.5%であった。
【0096】
[実施例3]
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸メチル(1−3)の製造
【0097】
【化6】

【0098】
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン37mg、塩化〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム15.5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよびメタノール1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸エステル(1−3):安息香酸(1−1):原料(2−1)=83.4%:8.6%:0.9%であった。
【0099】
[実施例4]
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸エチル(1−4)の製造
【0100】
【化7】

【0101】
内容積42mlの加圧反応容器に3−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール2.0g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン37mg、塩化〔ビス(トリフェニルホスフィン)〕パラジウム15.5mg、トルエン4.5ml、炭酸カリウム0.67gおよびエタノール1mlを入れ、室温にて窒素、次いで一酸化炭素の順で置換した後、一酸化炭素0.7MPaに充填した後、105℃にて攪拌下で反応を行った。5時間後に反応容器を冷却し、反応容器内を窒素にて置換した。反応溶液を酢酸エチル及び水にて希釈、濃塩酸により酸性にした後に有機層を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところ、溶媒ピークを除いた面積百分率は、安息香酸エステル(1−4):安息香酸(1−1):原料(2−1)=75.2%:10.5%:9.4%であった。
【0102】
[参考例]
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル−N−(2−ピリミジニル)安息香酸アミド。
【0103】
工程1;4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチルベンゾイルクロリドの製造
[実施例1]の反応条件1−21で得られた4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸(1−1)16.3gを含有するトルエン溶液(10.4wt%、156.3g)を調製し、そこにジメチルホルムアミド2.8mg加え、85℃まで加熱した。ここにトルエン23gに溶解した塩化チオニル5.6gを滴下し、85℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をトルエン50gに溶解し、再び溶媒を減圧留去した。得られた残留物に、トルエン116gを加えて溶解し、目的物のトルエン溶液136.3gを得た。得られた溶液の一部を取り出し、メタノール中で加温することにより、4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸メチル(1−3)とした後に、HPLCを用いた定量分析法で分析したところ、目的物である4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチルベンゾイルクロリドの含有量は17.1g(定量収率100%)であった。
【0104】
工程2;4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチル−N−(2−ピリジルメチル)安息香酸アミドの製造
2−(アミノメチル)ピリジン0.13g、トリエチルアミン0.12gをトルエン1gに溶解し、この溶液に[参考例]の工程1で合成した4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−メチルベンゾイルクロリド0.5gを含有するトルエン溶液4gを室温で滴下した。室温で30分攪拌した後、水10mlを加え、酢酸エチル10mlで抽出した。1N塩酸10ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mlで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:1〜4:1)にて精製し、目的物0.52g(収率90%)を白色固体として得た。
融点141.0〜142.5℃
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係るイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法は、優れた有害生物防除効果を有するイソキサゾリン置換ベンズアミド化合物の中間体を製造する際に有用な製造方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2):
【化1】

[式中、Xは、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、-SF5、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、ヒドロキシ(C1〜C6)ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ(C1〜C6)ハロアルキル、C1〜C6ハロアルコキシ(C1〜C6)ハロアルキル、C3〜C8ハロシクロアルキル、-OR3、-OSO2R3、-S(O)rR3、-NH2又は-N(R5)R4を表し、mが2以上を表すとき、各々のXは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよく、
Yは、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4ハロアルキルチオ、C1〜C4アルキルスルホニル、C1〜C4ハロアルキルスルホニル、-NH2又は-N(R5)R4を表し、nが2以上を表すとき、各々のYは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよく、
R1は、水素原子、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C3〜C8シクロアルキル又はC3〜C8ハロシクロアルキルを表し、
Lは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ又はパラトルエンスルホニルオキシを表し、
R3は、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキル、C1〜C6ハロアルキル又はC1〜C4ハロアルコキシ(C1〜C4)ハロアルキルを表し、
R4は、C1〜C6アルキル、-CHO、C1〜C6アルキルカルボニル、C1〜C6ハロアルキルカルボニル、C1〜C6アルコキシカルボニル、C1〜C6アルキルスルホニル又はC1〜C6ハロアルキルスルホニルを表し、
R5は、水素原子又はC1〜C6アルキルを表し、
mは、0ないし5の整数を表し、
nは、0ないし4の整数を表し、
rは、0ないし2の整数を表す。]で表されるイソキサゾリン置換ベンゼン類に非水溶性溶媒中、パラジウム化合物存在下、一酸化炭素と水とを添加物の存在下で反応させるか、または一酸化炭素とアルコール類とを反応させることを特徴とする一般式(1):
【化2】

(式中X、Y、R1、m及びnは前記と同じ意味を表し、
R2は、水素原子、C1〜C6アルキル、C1〜C4アルコキシ(C1〜C4)アルキル、ベンジル又はフェニルを表す。)で表されるイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法。
【請求項2】
Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はC1〜C4ハロアルキルを表し、mが2又は3を表すとき、各々のXは互いに同一であっても又は互いに相異なっていてもよく、
Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ、C1〜C4アルキル又はC1〜C4ハロアルキルを表し、
R1は、C1〜C4ハロアルキルを表し、
mは、1ないし3の整数を表し、
nは、0ないし2の整数を表す請求項1記載のイソキサゾリン置換安息香酸類又はそのエステル類の製造方法。
【請求項3】
R2は、水素原子を表す請求項2記載のイソキサゾリン置換安息香酸類の製造方法。
【請求項4】
添加物が相間移動触媒である請求項1ないし請求項3記載のイソキサゾリン置換安息香酸類の製造方法。
【請求項5】
添加物が極性溶媒である請求項1ないし請求項3記載のイソキサゾリン置換安息香酸類の製造方法。

【公開番号】特開2009−40700(P2009−40700A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205198(P2007−205198)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】