説明

イソフラバノン誘導体の製造方法

【課題】 イソフラバノン誘導体を製造する方法において、化学合成法の利点として、望んだ構造を有する化合物を危険性の高い反応剤を用いずにかつ選択性よく製造する方法の提供。
【解決手段】一般式


(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基等、を表し、R、R1011およびR12は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等を表す。)で示されるイソフラバノン誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソフラバノン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明により製造されるイソフラバノン誘導体としては、例えば、オリエンタノールF(XIII)があり、
【0003】
【化1】

【0004】
β−ラクタム系をはじめとした多剤耐性を有することが大きな問題になっているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対する抗菌作用を有することが知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
また、一方で、イソフラバノン誘導体におけるケトン部位がメチレンに還元された化合物(イソフラバン誘導体)としては、グラブリジン(XIV)、4’−O−メチルグラブリジン(XV)、ヒスパグラブリジン(XVI)あるいは3’−ヒドロキシ−4’−O−メチルグラブリジン(XVII)などが知られており、
【0006】
【化2】

【0007】
例えば、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンドとしての作用をはじめとして種々の薬理活性を示すことが知られている(特許文献1参照)。
【0008】
従来イソフラバンおよびイソフラバノン誘導体の製造方法としては、天然物抽出法および化学合成法が知られている。
【0009】
天然物抽出法としては、かかるイソフラバン誘導体はマメ科の植物である甘草(Glycyrrihiza属)に含有される天然物であり、その根、根茎あるいはストロンから抽出して製造できることが知られている。(特許文献1参照)。
【0010】
しかしながら、上記方法で得られる抽出物においては、目的とするイソフラバンの含量が低く、かつ種々の化合物の混合物として得られるため、それぞれの化合物について高純度なものを得るためには極めて煩雑な精製操作が別途必要である(特許文献2参照)。加えて、上記方法で得られる抽出物の供給は農産物である甘草に依存する。その生産量および目的化合物の含有率は、作物の生育環境、天候、産地、収穫の時期などに大きく左右されると考えられ、安定的な品質および量を供給することが困難であり、工業的に好適な製造方法とは言いがたい。
また、天然産物に全く含有されないか、ほとんど含有されない化合物については、供給できないことが天然物抽出法の大きな欠点である。
一方で、化学合成法にてかかるイソフラバンおよびイソフラバン誘導体を製造する方法としては、以下のような方法論に従った方法が知られている。
【0011】
方法論(1)(Scheme1に母骨格のみを示す。)
1−(5−ヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン誘導体を3価の硝酸タリウム存在下でイソフラボン誘導体に導いた後、イソフラバノン誘導体に還元し、さらにイソフラバン誘導体に還元する方法(非特許文献1参照)。
【0012】
【化3】

【0013】
方法論(2)(Scheme2に母骨格のみを示す。)
2’,4’−ジヒドロキシカルコン誘導体を3価の硝酸タリウム存在下でイソフラボン誘導体に導き、対応するイソフラバン誘導体に還元した後、クロメン環を構築し、イソフラバン誘導体を得る方法(非特許文献2参照)。
【0014】
【化4】

【0015】
また一方で、イソフラバノン誘導体の製造方法として、同一の発明者らによる、以下のような方法論の組み合わせに従った方法が知られている。
【0016】
方法論(3)(Scheme3、4に母骨格のみを示す。)
デオキシベンゾイン誘導体にハロゲノアルキル−アルキルエーテルと反応させた後、環化、脱アルキル化を経て7−ヒドロキシイソフラバノン誘導体を得る方法(Scheme3、非特許文献3参照)、および7−ヒドロキシイソフラバノン誘導体をプロパルギルエーテル化した後に環化させる方法、あるいはアリルエーテル化した後に、脱水素化剤存在下に環化させる方法(Scheme4、非特許文献4参照)。
【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
【特許文献1】国際公開第03/37316号パンフレット
【特許文献2】日本特許公開第06/256150号パンフレット
【非特許文献1】「リービッヒ アナーレン デア ヘミー(Liebigs Annalen der Chemie)」,1983年、第11号、p.2034
【非特許文献2】「ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサエティ、パーキン トランジション I(Journal of the Chemical Society,Perkin Transition I)」,1980年、p.2463
【非特許文献3】「ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサエティ、パーキン トランジション I(Journal of the Chemical Society,Perkin Transition I)」,1986年、p.215
【非特許文献4】「インディアン ジャーナル オブ ケミストリー、セクションB:オーガニック ケミストリー インクルーディング メディシナル ケミストリー(Indian Journal of Chemistry,SectionB:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry)」,1986年、第25B号、p.481
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、方法論(1)、方法論(2)ともに、高価かつ高い毒性を有するタリウム化合物を使用しなければならず、また方法論(2)では、クロメン環を構築する最後の工程においての位置選択性が低く、目的物であるクロマン環の8位で環化した生成物とほぼ同量のクロマン環の6位で環化した副生成物を生じることが大きな問題点であった。
一方、方法論(3)では、Scheme4にあたる工程においては収率の記載がなく、どの程度の製造効率で目的物を製造できるかが不明である。また、これらの組み合わせによってイソフラバノン誘導体を製造するには、非常に工程数が長く煩雑である。
以上より、天然物抽出法によるイソフラバノン誘導体の製造方法については、高純度化合物を得るための精製方法が煩雑であり、かつ供給可能な化合物の種類に問題があり、また一方で化学合成法においては、安全性および選択性の観点で極めて問題点が多く、いずれも工業的に好適な製造方法とはいえなかった。
【0021】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、イソフラバノン誘導体を製造する方法において、化学合成法の利点として、望んだ構造を有する化合物を危険性の高い反応剤を用いずにかつ選択性よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者が鋭意検討したところ、以下の方法論(Scheme5に母骨格のみを示す。)、すなわち、フェニルアセトニトリル誘導体あるいはフェニル酢酸誘導体とレゾルシノール誘導体をアシル化反応に付して、対応する2,4−ジヒドロキシデオキシベンゾイン誘導体(XVIII)を得、かかる2,4−ジヒドロキシデオキシベンゾイン誘導体をクロメン環構築反応に付すことにより、驚くべきことに、2,4−ジヒドロキシデオキシベンゾイン誘導体(XVIII)における4位の水酸基と5位での環形成、および2位の水酸基と3位での環形成は起こらずに、4位の水酸基および3位において選択的に環が形成されたクロメン誘導体(XIX)を高選択的に得、さらにクロマノン環構築反応に付すことにより、驚くべきことに、クロメン誘導体(XIX)のクロメン骨格炭素における反応が抑制(例えば、ホルムアルデヒドを用いた場合に8位がヒドロキシメチル化されるなど)されて目的物であるクロマノン誘導体(XX)を高選択的に得、任意の脱保護反応に付すことにより、目的とするイソフラバノン誘導体を容易に製造できることを見出し、かかる課題を解決するに至った。
また加えて、フェニルアセトニトリル誘導体あるいはフェニル酢酸誘導体のベンゼン環に水酸基が置換している場合には、これらの誘導体は、アシル化工程、クロメン化工程あるいはクロマノン化工程、なかでも特にアシル化工程においは、該フェニルアセトニトリル誘導体あるいは該フェニル酢酸誘導体同士の反応がそれらのベンゼン環上で進行する、いわゆる自己反応性分子である可能性があり、目的とする反応と競争して選択性を低下させる恐れがあった。それに対して、電子求引性の保護基、特に好適には、より強力な電子求引効果を有するスルホニル基にて該水酸基を保護することにより、該ベンゼン環における反応性が低下し、顕著に該フェニルアセトニトリル誘導体あるいは該フェニル酢酸誘導体同士による副反応を抑止できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0023】
【化7】

【0024】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0025】
[1]一般式(I)
【0026】
【化8】

【0027】
(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいスルホニル基を表し、RおよびR10は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10およびR11とR12はそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体(以下、本明細書においてイソフラバノン誘導体(I)と呼ぶことがある。)の製造方法であって、
工程(a)
一般式(II)
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、Wはシアノ基、カルボキシル基またはハロゲン化カルボニル基を表し、R1a、R2a、R3a、R4a、R5aおよびR6aは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいスルホニル基を表し、R1aからR6aのうち2つはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(II)と呼ぶことがある。)、および
一般式(III)
【0030】
【化10】

【0031】
(式中、R7aおよびR8aは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいスルホニル基を表し、R7aとR8aは結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(III)と呼ぶことがある。)から、一般式(IV)
【0032】
【化11】

【0033】
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7aおよびR8aは前記と同意義を表す。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(IV)と呼ぶことがある。)を製造する工程;および
工程(b)
前記工程(a)で得られる前記一般式(IV)で示される化合物から、一般式(V)
【0034】
【化12】

【0035】
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7aおよびR8aは前記と同意義を表し、R9aおよびR10aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、また結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(V)と呼ぶことがある。)を製造する工程;および
工程(c)
前記工程(b)で得られる一般式(V)で示される化合物から、一般式(VI)
【0036】
【化13】

【0037】
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9aおよびR10aは前記と同意義を表し、R11aおよびR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し、また結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(VI)と呼ぶことがある。)を製造する工程;および、必要に応じて、
工程(d)
前記工程(c)で得られる前記一般式(VI)で示される化合物において、保護された水酸基を任意に脱保護する工程;
を包含することを特徴とする、イソフラバノン誘導体の製造方法。
【0038】
[2]RからRおよびR1aからR8aは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基を表し、RからR12およびR9aからR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10、R11とR12、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8a、R9aとR10aおよびR11aとR12aは、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい、上記[1]記載の製造方法。
【0039】
[3]RからR、R1aからR5a、R、R7a、RおよびR8aは、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R、R6a、RからR12およびR9aからR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10、R11とR12、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8a、R9aとR10aおよびR11aとR12aは、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい、上記[2]記載の製造方法。
【0040】
[4]R、R、R、R、R、R、R、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aの少なくとも1つが、保護基によって保護されていてもよい水酸基を表す、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法。
【0041】
[5]R、R、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つが水酸基を表し、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aの少なくとも1つが、一般式(VII)
【0042】
【化14】

【0043】
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基(以下、本明細書において保護基(VII)と呼ぶことがある。)によって保護された水酸基である、上記[4]記載の製造方法。
【0044】
[6]水酸基の保護基が、一般式(VIII)
【0045】
【化15】

【0046】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基(以下、本明細書においてスルホニル基(VIII)と呼ぶことがある。)である上記[5]記載の製造方法。
【0047】
[7]R、R、R、R、R、RおよびRが表す水酸基のすべてが保護されている、上記[5]または[6]に記載の製造方法。
【0048】
[8]該水酸基の保護基が、工程(d)において脱保護される、上記[4]〜[7]のいずれか1項に記載の製造方法。
【0049】
[9]R11、R12、R11aおよびR12aが水素原子である上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。
【0050】
[10]R、R、R、R6a、R7aおよびR8aが水素原子である上記[9]記載の製造方法。
【0051】
[11]R、R10、R9aおよびR10aがメチル基である上記[10]記載の製造方法。
【0052】
[12]一般式(IX)
【0053】
【化16】

【0054】
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aは、少なくとも1つが、一般式(VIII)
【0055】
【化17】

【0056】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基で保護された水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R6a、R9aおよびR10aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8aおよびR9aとR10aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体(以下、本明細書においてイソフラバノン誘導体(IX)と呼ぶことがある。)。
【0057】
[13]R6a、R7aおよびR8aが水素原子である上記[12]記載のイソフラバノン誘導体。
【0058】
[14]R9aおよびR10aがメチル基である上記[13]記載のイソフラバノン誘導体。
【0059】
[15]一般式(X)
【0060】
【化18】

【0061】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるイソフラバノン誘導体(以下、本明細書においてイソフラバノン誘導体(X)と呼ぶことがある。)。
【0062】
[16]工程(b)において、一般式(XI)
【0063】
【化19】

【0064】
(式中、R9aおよびR10aは前記と同意義を表す。)で示される不飽和アルデヒド(以下、本明細書において不飽和アルデヒド(XI)と呼ぶことがある。)を用いることを特徴とする、上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の製造方法。
【0065】
[17]工程(b)において、一般式(XII)
【0066】
【化20】

【0067】
(式中、R9aおよびR10aは前記と同意義を表し、Zは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を表す。)で示される不飽和アルデヒドのアセタール(以下、本明細書において不飽和アセタール(XII)と呼ぶことがある。)を用いることを特徴とする上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の製造方法。
【0068】
[18]一般式(V’)
【0069】
【化21】

【0070】
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aは、少なくとも1つが、一般式(VII)
【0071】
【化22】

【0072】
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基によって保護された水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R6a、R9aおよびR10aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8aおよびR9aとR10aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(V’)と呼ぶことがある。)を用いる、一般式(VI’)
【0073】
【化23】

【0074】
(式中、R1aからR10aは前記と同意義を表し、R11aおよびR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R11aとR12aは結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体(以下、本明細書においてイソフラバノン誘導体(VI’)と呼ぶことがある。)の製造方法。
【0075】
[19]R11a−CO−R12a(式中、R11aおよびR12aは前記と同意義を表す。)で示される化合物と反応させることを特徴とする上記[18]記載の製造方法。
【0076】
[20]水酸基の保護基が、一般式(VIII)
【0077】
【化24】

【0078】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基である上記[18]または[19]記載の製造方法。
【0079】
[21]R11aおよびR12aが水素原子である上記[20]記載の製造方法。
【0080】
[22]R6a、R7aおよびR8aが水素原子である上記[21]記載の製造方法。
【0081】
[23]R9aおよびR10aがメチル基である上記[22]記載の製造方法。
【0082】
[24]一般式(VI’)
【0083】
【化25】

【0084】
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aは、少なくとも1つが、一般式(VII)
【0085】
【化26】

【0086】
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基によって保護された水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R6aおよびR9aからR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8a、R9aとR10aおよびR11aとR12aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体を、脱保護反応に付すことを特徴とする、一般式(I’)
【0087】
【化27】

【0088】
(式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、少なくとも1つが、水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RおよびRからR12は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10およびR11とR12はそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体(以下、本明細書においてイソフラバノン誘導体(I’)と呼ぶことがある。)の製造方法。
【0089】
[25]水酸基の保護基が、一般式(VIII)
【0090】
【化28】

【0091】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基である上記[24]記載の製造方法。
【0092】
[26]R11、R12およびR11aおよびR12aが水素原子である上記[25]記載の製造方法。
【0093】
[27]R、R、R、R6a、R7aおよびR8aが水素原子である上記[26]記載の製造方法。
【0094】
[28]R、R10、R9aおよびR10aがメチル基である上記[27]記載の製造方法。
【0095】
[29]一般式(V’’)
【0096】
【化29】

【0097】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示される化合物(以下、本明細書において化合物(V’’)と呼ぶことがある。)と、ホルムアルデヒドまたはその反応性誘導体とを反応させる工程を包含する、一般式(X)
【0098】
【化30】

【0099】
(式中、Yaは前記と同意義を表す。)で示されるイソフラバノン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0100】
本発明の方法は、有機合成化学的にイソフラバノン誘導体を製造する方法において、危険性の高い反応剤を用いずにかつ選択性よく製造する方法を見出した結果、薬理活性化合物として有用なイソフラバノン誘導体を安全かつ高効率に製造することを可能とした。また、本発明方法によれば、化学合成法の利点として、望んだ構造を有する化合物を容易に製造することができるため、天然物抽出法におけるような、天然産物に全く含有されないか、またはほとんど含有されない化合物については供給できないという大きな欠点を克服でき、より有用な化合物を探索する上での効果も大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
1.記号の説明
上記一般式中、R〜RおよびR1a〜R8aが表す保護基によって保護されていてもよい水酸基における保護基としては、水酸基の保護基として作用する限りどのような保護基でもよいが、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基;置換基を有していてもよいアルケニル基;置換基を有していてもよいアラルキル基;アシル基(例えば、ホルミル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルカルボニル基等);置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいアルケニルオキシカルボニル基;置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基;置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基(例えば、窒素原子が、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基);ホスホニル基(例えば、置換基を有していてもよいアルキルホスホニル基、置換基を有していてもよいアルケニルホスホニル基、置換基を有していてもよいアラルキルホスホニル基、置換基を有していてもよいアリールホスホニル基等);およびスルホニル基(例えば、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアルケニルスルホニル基、置換基を有していてもよいアラルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基等)などが挙げられ、保護基によって保護されていてもよい水酸基の保護基としては、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスホニル基またはスルホニル基が好ましく、一般式(VII)
【0102】
【化31】

【0103】
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基がより好ましい。
【0104】
保護基によって保護されていてもよい水酸基の保護基としては、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基としては、一般式(VIII)
【0105】
【化32】

【0106】
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基が好ましい。中でも特に、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基が好ましい。
【0107】
〜RおよびR1a 〜R8aが表すハロゲン原子およびWが表すハロゲン化カルボニル基のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、Wが表すハロゲン化カルボニル基のハロゲン原子としては塩素原子および臭素原子が好ましい。
【0108】
Yが表す置換基を有していてもよいアミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基などの、炭素数1〜10のアルキル基または(および)炭素数6〜10のアリール基によって窒素上の水素原子が1つ以上置換されたアミノ基が挙げられる。
【0109】
〜RおよびR1a 〜R8aが表す置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基は、上記Yが表す置換基を有していてもよいアミノ基と同意義であり、保護基としては、通常のアミノ基の保護基であれば特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基、メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基、ベンジル基、アリル基などが挙げれられる。
【0110】
〜R、R1a 〜R8a、R11、R11a、R12およびR12aが表す置換基を有していてもよいアシル基は、上記水酸基の保護基で定義したアシル基と同意義を表す。
【0111】
〜R、R1a 〜R8a、R11、R11a、R12およびR12aが表す置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基は、上記水酸基の保護基で定義した置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基と同意義を表す。
【0112】
〜R、R1a 〜R8a、R11、R11a、R12およびR12aが表す置換基を有していてもよいカルバモイル基は、上記水酸基の保護基で定義したカルバモイル基と同意義を表す。
【0113】
〜RおよびR1a 〜R8aが表す置換基を有していてもよいスルホニル基は、上記水酸基の保護基で定義したスルホニル基と同意義を表す。
【0114】
〜RおよびR1a 〜R8aが表す保護基によって保護されていてもよい水酸基の保護基としてのアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスホニル基およびスルホニル基のアルキル基;R〜R12、R1a 〜R12a、Y、YaおよびZが表すアルキル基;Yが表すアルコキシ基のアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は1〜30であるのが好ましい。かかるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、オクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0115】
〜RおよびR1a 〜R8aが表す保護基によって保護されていてもよい水酸基の保護基としてのアルケニル基、アシル基、アルケニルオキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスホニル基およびスルホニル基のアルケニル基;R〜R12、R1a 〜R12a、Y、YaおよびZが表すアルケニル基;Yが表すアルケニルオキシ基のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は2〜30であるのが好ましい。かかるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ホモアリル基、プレニル基、ゲラニル基、ファルネシル基、ゲラニルゲラニル基、スチリル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
【0116】
〜RおよびR1a 〜R8aが表す保護基によって保護されていてもよい水酸基の保護基としてのアラルキル基、アシル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスホニル基およびスルホニル基のアラルキル基;R〜R12、R1a 〜R12a、Y、YaおよびZが表すアラルキル基;Yが表すアラルキルオキシ基のアラルキル基としては、アリール部分が炭素数6〜20のアリール(例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基など)であり、アルキル部分が炭素数1〜30のアルキル(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、オクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)である、炭素数は7〜50、好ましくは7〜30のアラルキル基が好ましい。かかるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェネチル基、1−フェネチル基、フルオレニル基、トリチル基などが挙げられる。
【0117】
上記のアルキル基、アルケニル基およびアラルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。置換基の数は特に限定は無く、2個以上の場合は、同一または異なっていてもよい。当該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜20であるアルコキシ基;アリルオキシ基、プレニルオキシ基、ゲラニルオキシ基、ファルネシルオキシ基、シンナミルオキシ基などの炭素数が2〜20であるアルケニルオキシ基;ベンジルオキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基などの炭素数が7〜20であるアラルキルオキシ基;アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキシ基、シクロペンタンカルボニルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基、ニトロベンゾイルオキシ基などの炭素数が1〜20であり、置換基を有していてもよいアシルオキシ基;アセチル基、プロパノイル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、ニトロベンゾイル基などの炭素数が1〜20であり、置換基を有していてもよいアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜20であるアルコキシカルボニル基;アリルオキシカルボニル基、プレニルオキシカルボニル基、ゲラニルオキシカルボニル基、ファルネシルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカルボニル基などの炭素数が2〜20であるアルケニルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基、2−フェネチルオキシカルボニル基、1−フェネチルオキシカルボニル基などの炭素数が7〜20であるアラルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0118】
〜RおよびR1a 〜R8aが表す保護基によって保護されていてもよい水酸基の保護基としてのアシル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスホニル基およびスルホニル基のアリール基;R〜R12、R1a 〜R12a、YおよびYaが表すアリール基;R〜R、R1a 〜R8aおよびYが表すアリールオキシ基のアリール基;上記アラルキル基のアリール基としては、炭素数6〜20であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基などが挙げられる。
【0119】
上記のアリール基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。置換基の数は特に限定は無いが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一または異なっていてもよい。当該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜20であるアルキル基;水酸基;アリル基、ホモアリル基、プレニル基、ゲラニル基、ファルネシル基、スチリル基などの炭素数が2〜20であるアルケニル基;ベンジル基、2−フェネチル基、1−フェネチル基などの炭素数が7〜20であるアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜20であるアルコキシ基;アリルオキシ基、プレニルオキシ基、ゲラニルオキシ基、ファルネシルオキシ基、シンナミルオキシ基などの炭素数が2〜20であるアルケニルオキシ基;ベンジルオキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基などの炭素数が7〜20であるアラルキルオキシ基;アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキシ基、シクロペンタンカルボニルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基、ニトロベンゾイルオキシ基などの炭素数が1〜20であり、置換基を有していてもよいアシルオキシ基;アセチル基、プロパノイル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、ニトロベンゾイル基などの炭素数が1〜20であり、置換基を有していてもよいアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜20であるアルコキシカルボニル基;アリルオキシカルボニル基、プレニルオキシカルボニル基、ゲラニルオキシカルボニル基、ファルネシルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカルボニル基などの炭素数が2〜20であるアルケニルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基、2−フェネチルオキシカルボニル基、1−フェネチルオキシカルボニル基などの炭素数が7〜20であるアラルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0120】
からRのうち2つ(例えば、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRなど)、RとR、R1aからR6aのうち2つ(例えば、R1aとR2a、R2aとR3a、R3aとR4a、R4aとR5a、R5aとR6aおよびR6aとR1aなど)、R7aとR8aは、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。かかる環構造としては、環員数が5〜8である炭素環あるいは酸素原子を含有する環構造を表し、例えば、それらが置換するベンゼン環と一緒になって、インダン骨格、テトラリン骨格、ベンゾシクロオクタン骨格、2,3−ジヒドロベンゾフラン骨格、1,3−ベンゾジオキソラン骨格、1,3−ベンゾジオキサン骨格、1,4−ベンゾジオキサン骨格、クロマン骨格、イソクロマン骨格、クロメン骨格(例えば、ベンゾピラン環、2,2−ジメチルベンゾピラン環)、クマリン骨格を形成しているものなどが挙げられる。
【0121】
また、RとR10、R11とR12、R9aとR10aおよびR11aとR12aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよく、かかる環構造としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環などの環員数が5〜8である炭素環を表す。
【0122】
本願発明で用いる化合物に不斉炭素原子が存在する場合、その立体(絶対配置)は特に限定されない。
【0123】
また、不斉炭素原子が存在する場合、その不斉炭素原子に起因する鏡像異性体および/またはジアステレオマーが存在し得るが、本発明はこれらすべての異性体およびその混合物を包含する。
【0124】
2.各工程の説明
工程(a) アシル化工程
本発明における化合物(II)および化合物(III)から化合物(IV)を製造する工程に用いられる反応条件は特に限定されるものではないが、例えば、ルイス酸あるいはプロトン酸の存在下で反応させるFriedel−Crafts反応、ルイス酸存在下および塩化水素気流下でニトリルを反応させるHoesch反応、あるいは一旦フェノールのエステルに誘導した後にルイス酸存在下で転移させるFries転移などを用いることができるが、Friedel−Crafts反応およびHoesch反応が好ましい。
以下、当該態様について説明するが、アシル化工程がこれに限定されるものではない。
【0125】
ルイス酸あるいはプロトン酸の種類としては特に限定はなく、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化スズ、塩化鉄、塩化チタン、塩化亜鉛、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
ルイス酸あるいはプロトン酸の使用量は、化合物(III)に対して0.5〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
【0126】
反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒の種類としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;二硫化炭素、ニトロベンゼンなどを単一あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(II)および化合物(III)の総和に対して1〜100重量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50重量倍である。
【0127】
反応に使用する化合物(II)に対する化合物(III)の使用量は特に限定されないが、化合物(II)に対して0.1〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは0.5〜2モル倍の範囲である。
【0128】
反応温度は、好ましくは−20℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
【0129】
反応時間は、工業的に実施するうえで現実的な範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.5時間〜30時間、より好ましくは1時間〜20時間の範囲である。
【0130】
また、Hoesch反応の場合、塩化水素の使用量は特に限定されないが、化合物(II)に対して1〜1000モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜100モル倍の範囲である。
【0131】
化合物(II)において保護基で保護されていてもよい水酸基が置換している場合は、保護基が、アシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスホリル基またはスルホニル基であることが好ましく、スルホニル基が特に好ましい。化合物(II)において保護基で保護されていてもよい水酸基が置換している場合は、化合物(II)は、本工程において化合物(II)同士の反応が進行する、いわゆる自己反応性分子である可能性があり、反応の選択性を低下させるおそれがある。すなわち該保護基の効果としては、強力な電子求引効果により、化合物(II)のベンゼン環における反応性を低下させ、化合物(II)同士によるアシル化反応の進行を抑制できることである。
【0132】
アシル化反応の処理として、特に制限されるものではないが、中和、抽出操作、濃縮などを行った後、シリカゲルクロマトグラフィーあるいは再結晶等、通常の有機合成に使用される精製方法を用いることができる。
【0133】
工程(b) クロメン化工程
化合物(IV)から化合物(V)を製造する工程に用いられる反応条件は、特に限定されるものではないが、例えば、α,β−不飽和アルデヒドあるいはそのアセタールを反応させる方法、プロパルギルアルコールあるいはプロパルギルハライドを反応させてプロパルギルアリールエーテルに誘導した後にクライゼン転位および環化する方法、あるいは芳香環上をアリル化した後に脱水素剤存在下で環化させる方法などが挙げられ、α,β−不飽和アルデヒドあるいはそのアセタール(例えば、不飽和アルデヒド(XI)、不飽和アセタール(XII)など)を反応させる方法が好ましく、α,β−不飽和アルデヒドのアセタールが特に好ましい。
以下、当該態様について説明するが、クロメン化工程がこれに限定されるものではない。
【0134】
α,β−不飽和アルデヒドの種類としては、特に限定はなく、例えば、2−ブテナール、3−メチル−2−ブテナール、2−ヘキセナール、シトラール、ファルネサール、ゲラニルシトラール、桂皮アルデヒド、シクロヘキシリデンアセトアルデヒドなどが挙げられる。
【0135】
α,β−不飽和アルデヒドのアセタールの種類としては、特に限定はなく、例えば、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジイソプロピルアセタール、ジブチルアセタールなどが挙げられる。
α,β−不飽和アルデヒドあるいはそのアセタールの使用量は、化合物(IV)に対して1〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
【0136】
反応は塩基触媒あるいは酸触媒の存在下で行うことが好ましい。塩基触媒の種類としては、例えば、ピリジン、ピコリン(例えば、3−ピコリンなど)、ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンまたは1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの三級アミン類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの無機塩基類などが挙げられ、酸触媒の種類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ホウ酸、フェニルホウ酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸などが挙げられるが、三級アミン類の使用が好ましく、ピリジン、ピコリン、ルチジンが特に好ましい。
触媒の使用量は、化合物(IV)に対して0.001〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは0.01〜5モル倍の範囲である。
【0137】
反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒の種類としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル類などを単一あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0138】
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(IV)に対して1〜100重量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50重量倍である。
【0139】
反応温度は、好ましくは50℃〜160℃の範囲であり、より好ましくは70℃〜140℃の範囲である。
【0140】
反応時間は、工業的に実施するうえで現実的な範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.5時間〜30時間、より好ましくは1時間〜20時間の範囲である。
【0141】
反応は、反応の進行に伴って生成する水あるいはアルコールを除去しながら行うことが好ましい。水あるいはアルコールを除去する方法は特に限定されないが、例えば、ソックスレー抽出器などを用いて脱水剤によって除去する方法、溶媒との共沸により除去する方法などが挙げられ、共沸により除去する方法が好ましい。
【0142】
クロメン化反応の処理として、特に制限されるものではないが、中和、抽出操作、濃縮などを行った後、シリカゲルクロマトグラフィーあるいは再結晶等、通常の有機合成に使用される精製方法を用いることができる。
【0143】
工程(c) クロマノン化工程
化合物(V)から化合物(VI)を製造する工程に用いられる反応条件は、特に限定されるものではないが、例えば、アルドール縮合、マンニッヒ反応、ルイス酸存在下でアセタール類を反応させる方法、あるいはハロゲノアルキルエーテルを塩基存在下で反応させる方法などが挙げられ、アルドール縮合またはマンニッヒ反応が好ましい。
以下、当該態様について説明するが、クロマノン化工程がこれに限定されるものではない。
【0144】
本工程に用いられるアルデヒドまたはケトン[例えば、R11a−CO−R12a(式中、R11aおよびR12aは前記と同意義を表す。)など]の使用量は、化合物(V)に対して1〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。また、アルデヒドがホルムアルデヒドである場合は、単量体であっても、その反応性誘導体、例えば、ホルムアルデヒドの重合物、亜硫酸イオン付加物(例えば、亜硫酸水素ナトリウムなど)などであってもよい。
【0145】
反応は塩基触媒あるいは酸触媒の存在下で行うことが好ましい。塩基触媒の種類としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルアニリンなどの2級アミン類;4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンまたは1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの3級アミン類;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの無機塩基類などが挙げられ、酸触媒の種類としては、例えば、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸などが挙げられる。マンニッヒ反応を用いる場合は、2級アミン類の使用が好ましく、アルドール反応を用いる場合は無機塩基類の使用が好ましい。
触媒の使用量は、化合物(V)に対して0.001〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは0.01〜5モル倍の範囲である。
【0146】
反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒の種類としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール類などを単一あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(V)に対して1〜100重量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50重量倍である。
【0147】
反応温度は、好ましくは0℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは20℃〜100℃の範囲である。
【0148】
反応時間は、工業的に実施するうえで現実的な範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.5時間〜30時間、より好ましくは1時間〜20時間の範囲である。
【0149】
クロマノン化反応の処理として、特に制限されるものではないが、中和、抽出操作、濃縮などを行った後、シリカゲルクロマトグラフィーあるいは再結晶等、通常の有機合成に使用される精製方法を用いることができる。
【0150】
工程(d) 脱保護工程
必要に応じて、工程(c)で得られる化合物(VI)は、保護された水酸基を任意に脱保護することができる。ここで言う任意とは、目的に応じて水酸基の保護基を脱保護するか、またはしないかを選択できること、あるいは複数種の水酸基の保護基で保護された複数の水酸基が同一分子内にある場合において、目的に応じてどの種類の保護基を脱保護するかを選択できることを示す。例えば、同一分子内にメタンスルホニル基で保護された水酸基およびメチル基で保護された水酸基が存在する場合において、メタンスルホニル基のみを脱保護することなどを指す。
【0151】
水酸基の保護基の脱保護に用いられる反応条件は、特に限定されるものではないが、保護基の種類に応じて通常用いられる反応条件を選択して使用することができる。
例えば、水酸基の保護基が好ましい態様であるスルホニル基である場合は、化合物(VI)を塩基と反応させること(すなわち、加水分解反応)により、脱保護することができる。以下、当該態様について説明するが、脱保護反応がこれに限定されるものではない。
【0152】
塩基の種類としては特に限定はなく、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(VI)に対して0.5〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
【0153】
脱保護反応は水の存在下で行うことが好ましい。水の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(VI)に対して1〜100重量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50重量倍である。
【0154】
また、脱保護反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒の種類としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類などを単一あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(VI)に対して1〜100重量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50重量倍である。
【0155】
反応温度は、好ましくは−20℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
【0156】
反応時間は、工業的に実施するうえで現実的な範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.5時間〜30時間、より好ましくは1時間〜20時間の範囲である。
【0157】
脱保護反応の処理として、特に制限されるものではないが、中和、抽出操作などを行った後、濃縮することによって化合物(I)を得ることができる。
【0158】
本発明の出発原料となる化合物(II)および化合物(III)の入手方法は特に限定されず、購入した化合物を使用しても良いし、合成した化合物を使用しても良い。例えば、化合物(II)に包含される化合物を製造する方法としては、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドを塩基存在下でメタンスルホニルクロリドを用いてメタンスルホニルオキシ化し、ホルミル基を対応するアルコールに還元した後、塩化チオニルでクロロ化し、さらにシアン化ナトリウムと反応させることで対応するニトリルを得ることができる。また、該ニトリルを酸性条件で加水分解することにより対応するカルボン酸を得、さらに塩化チオニルと反応させて対応する酸クロリドを得ることができる。
【0159】
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0160】
[製造例1]
2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル酢酸クロリド
【0161】
【化33】

【0162】
窒素雰囲気下、200mlの三口フラスコに2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル酢酸(18.1g、54.4mmol)および酢酸エチル(180ml)を加え、50℃に加熱した。これに塩化チオニル(10.0ml、81.6mmol)を加え、3時間反応させた。反応液を室温に冷却した後、溶媒を留去し、2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル酢酸クロリドを結晶として得た。これを精製することなく次工程に用いた。
【実施例1】
【0163】
1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)エタノンの製造(アシル化)
【0164】
【化34】

【0165】
窒素雰囲気下、500mlの三口フラスコに、1,2−ジクロロエタン(180ml)、レゾルシノール(6.7g、59.8mmol)を加えた後、塩化アルミニウム(8.9g、65.3mmol)を加え、室温で2時間攪拌し、レゾルシノールおよび塩化アルミニウムが溶解した均一溶液とした。一方で、製造例1で得られた2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル酢酸クロリド(20.1g)を1,2−ジクロロエタン(90ml)に懸濁させ、これに調製したレゾルシノールおよび塩化アルミニウムの溶液を10℃で1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間反応させた後、室温で12時間反応させた。反応混合物に水(90g)を加えた後、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(60ml)で抽出した。得られた有機層を合わせて、水(50ml)で洗浄し、さらに炭酸水素ナトリウム水溶液で水層のpHを7に調整した後、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、下記物性を有する1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)エタノン(18.0g)を得た(収率79%)。
【0166】
H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:3.18(s,3H),3.19(s,3H),4.37(s,2H),6.39(d,1H,J=3.0Hz),7.28−7.44(m,4H),7.77(d,1H,J=8.9Hz),12.36(s,1H)。
【実施例2】
【0167】
6−[2−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)アセチル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン−5−オールの製造(クロメン化)
【0168】
【化35】

【0169】
還流装置および留出装置を装着した500mlの三口フラスコに、トルエン(180ml)に実施例1で得られた1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)エタノン(18.0g、13.0mmol)および3−ピコリン(2.5g、25.9mmol)を加え、加熱還流させた。これに3−メチル−2−ブテナール ジメチルアセタール(5.2g、38.9mmol)を1時間かけて滴下しながら、反応の進行にともなって生成するメタノールを連続的に留去した。
滴下終了後、メタノールを留出しながら3時間同温度で反応させた。反応液を室温に冷却し、1N硫酸水溶液(100ml)で洗浄した。有機層を濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、下記物性を有する6−[2−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)アセチル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン−5−オール(17.5g)を得た(収率84%)。
【0170】
H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:1.46(s,6H),3.18(s,3H),3.19(s,3H),4.36(s,2H),5.60(d,1H,J=9.9Hz),6.39(d,1H,J=8.9Hz),6.70(d,1H,J=9.9Hz),7.29−7.40(m,3H),7.66(d,1H,J=8.9Hz),12.64(s,1H)。
【実施例3】
【0171】
(±)−3−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)−8,8−ジメチル−2H,3H,4H−ピラノ[2,3−f]−8H−クロメン−4−オン(クロマノン化)
【0172】
【化36】

【0173】
エタノール(12ml)に6−[2−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)アセチル]−2,2−ジメチル−2H−クロメン−5−オール(1.2g、2.4mmol)およびモルホリン(0.2g、2.4mmol)を加え、加熱還流した。これに37%ホルムアルデヒド水溶液(0.9g、net.3.6mmol)を加え、同温度で3時間反応した。室温に冷却した後、スラリー化した反応混合物をろ過し、0℃に冷却したエタノールで洗浄し、下記物性を有する(±)−3−(2,4−ビスメタンスルホニルオキシフェニル)−8,8−ジメチル−2H,3H,4H−ピラノ[2,3−f]−8H−クロメン−4−オン(1.0g)を得た(収率83%)。
【0174】
H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:1.47(s,3H),1.49(s,3H),3.19(s,3H),3.25(s,3H),4.40(dd,1H,J=5.0Hz,10.9Hz),4.54(t,1H,J=10.9Hz),4.69(dd,1H,J=5.0Hz,10.9Hz),5.64(d,1H,J=9.9Hz),6.52(d,1H,J=8.9Hz),6.63(d,1H,J=9.9Hz),7.46(d,1H,J=2.0Hz),7.27−7.29(m,2H),7.76(d,1H,J=8.9Hz)。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明により製造されるイソフラバノン誘導体は、例えば、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンドとしての作用をはじめとした種々の薬理活性化合物の合成中間体ならびにMRSAに対する抗菌作用を有する化合物などとして利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


(I)
(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいスルホニル基を表し、RおよびR10は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R11およびR12は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10およびR11とR12はそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体の製造方法であって、
工程(a)
一般式(II)
【化2】


(II)
(式中、Wはシアノ基、カルボキシル基またはハロゲン化カルボニル基を表し、R1a、R2a、R3a、R4a、R5aおよびR6aは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいスルホニル基を表し、R1aからR6aのうち2つはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物、および
一般式(III)
【化3】


(III)
(式中、R7aおよびR8aは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよくかつ(または)保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいスルホニル基を表し、R7aとR8aは結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物から、一般式(IV)
【化4】


(IV)
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7aおよびR8aは前記と同意義を表す。)で示される化合物を製造する工程;および
工程(b)
前記工程(a)で得られる前記一般式(IV)で示される化合物から、一般式(V)
【化5】


(V)
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7aおよびR8aは前記と同意義を表し、R9aおよびR10aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、また結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物を製造する工程;および
工程(c)
前記工程(b)で得られる一般式(V)で示される化合物から、一般式(VI)
【化6】


(VI)
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R6a、R7a、R8a、R9aおよびR10aは前記と同意義を表し、R11aおよびR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し、また結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物を製造する工程;および、必要に応じて、
工程(d)
前記工程(c)で得られる前記一般式(VI)で示される化合物において、保護された水酸基を任意に脱保護する工程;
を包含することを特徴とする、イソフラバノン誘導体の製造方法。
【請求項2】
からRおよびR1aからR8aは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアリールオキシ基を表し、RからR12およびR9aからR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10、R11とR12、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8a、R9aとR10aおよびR11aとR12aは、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
からR、R1aからR5a、R、R7a、RおよびR8aは、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R、R6a、RからR12およびR9aからR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10、R11とR12、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8a、R9aとR10aおよびR11aとR12aは、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
、R、R、R、R、R、R、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aの少なくとも1つが、保護基によって保護されていてもよい水酸基を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
、R、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つが水酸基を表し、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aの少なくとも1つが、一般式(VII)
【化7】


(VII)
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基によって保護された水酸基である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
水酸基の保護基が、一般式(VIII)
【化8】


(VIII)
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基である請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
、R、R、R、R、RおよびRが表す水酸基のすべてが保護されている、請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
該水酸基の保護基が、工程(d)において脱保護される、請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
11、R12、R11aおよびR12aが水素原子である請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
、R、R、R6a、R7aおよびR8aが水素原子である請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
、R10、R9aおよびR10aがメチル基である請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
一般式(IX)
【化9】


(IX)
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aは、少なくとも1つが、一般式(VIII)
【化10】


(VIII)
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基で保護された水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R6a、R9aおよびR10aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8aおよびR9aとR10aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体。
【請求項13】
6a、R7aおよびR8aが水素原子である請求項12記載のイソフラバノン誘導体。
【請求項14】
9aおよびR10aがメチル基である請求項13記載のイソフラバノン誘導体。
【請求項15】
一般式(X)
【化11】


(X)
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるイソフラバノン誘導体。
【請求項16】
工程(b)において、一般式(XI)
【化12】


(XI)
(式中、R9aおよびR10aは前記と同意義を表す。)で示される不飽和アルデヒドを用いることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
工程(b)において、一般式(XII)
【化13】


(XII)
(式中、R9aおよびR10aは前記と同意義を表し、Zは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を表す。)で示される不飽和アルデヒドのアセタールを用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
一般式(V’)
【化14】


(V’)
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aは、少なくとも1つが、一般式(VII)
【化15】


(VII)
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基によって保護された水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R6a、R9aおよびR10aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8aおよびR9aとR10aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示される化合物を用いる、一般式(VI’)
【化16】


(VI’)
(式中、R1aからR10aは前記と同意義を表し、R11aおよびR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R11aとR12aは結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体の製造方法。
【請求項19】
11a−CO−R12a(式中、R11aおよびR12aは前記と同意義を表す。)で示される化合物と反応させることを特徴とする請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
水酸基の保護基が、一般式(VIII)
【化17】


(VIII)
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基である請求項18または19記載の製造方法。
【請求項21】
11aおよびR12aが水素原子である請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
6a、R7aおよびR8aが水素原子である請求項21記載の製造方法。
【請求項23】
9aおよびR10aがメチル基である請求項22記載の製造方法。
【請求項24】
一般式(VI’)
【化18】


(VI’)
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R7aおよびR8aは、少なくとも1つが、一般式(VII)
【化19】


(VII)
(式中、Xは炭素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、Yは置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基あるいは置換基を有していてもよいアミノ基を表し、mは1または2を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される保護基によって保護された水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R6aおよびR9aからR12aは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1aからR6aのうち2つ、R7aとR8a、R9aとR10aおよびR11aとR12aはそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体を、脱保護反応に付すことを特徴とする、一般式(I’)
【化20】


(I’)
(式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、少なくとも1つが、水酸基を表し、それ以外は、それぞれ、水素原子、保護基によって保護されていてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RおよびRからR12は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、RからRのうち2つ、RとR、RとR10およびR11とR12はそれぞれ結合して環構造を形成していてもよい。)で示されるイソフラバノン誘導体の製造方法。
【請求項25】
水酸基の保護基が、一般式(VIII)
【化21】


(VIII)
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示されるスルホニル基である請求項24記載の製造方法。
【請求項26】
11、R12およびR11aおよびR12aが水素原子である請求項25記載の製造方法。
【請求項27】
、R、R、R6a、R7aおよびR8aが水素原子である請求項26記載の製造方法。
【請求項28】
、R10、R9aおよびR10aがメチル基である請求項27記載の製造方法。
【請求項29】
一般式(V’’)
【化22】


(V’’)
(式中、Yaは置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。)で示される化合物と、ホルムアルデヒドまたはその反応性誘導体とを反応させる工程を包含する、一般式(X)
【化23】


(X)
(式中、Yaは前記と同意義を表す。)で示されるイソフラバノン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2006−8605(P2006−8605A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189031(P2004−189031)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】