説明

イミド部分を含有するアルコールおよびそれから製造される反応性オリゴマー

本発明は、二無水物とアミノアルコールとの反応によってイミドジオール中間体を与え、次いで、この中間体をカルボン酸でエステル化することによって製造されるオリゴマー化合物に関する。
典型的な反応スキームは、以下に記載される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、イミド部分を含有するアルコールおよびこれらのアルコールから製造される反応性オリゴマー化合物に関する。この反応性オリゴマー化合物は、接着剤、コーティング剤、およびカプセル材料として有用であり、特に、半導体実装における様々な製造ステップのために有用である。
【背景技術】
【0002】
金属、ガラス、およびプラスチック表面上で使用するための接着剤、コーティング剤、およびカプセル材料は、様々な産業において多くの用途を有する。こうした表面への接着は一般に、困難であり、迅速かつ強い接着のために新規化合物または配合物が模索されている。そのような材料は、特に、半導体実装産業において有用であると考えられる。半導体パッケージの一般的な製造ステップは、基体上に半導体デバイスを取り付けるステップまたはデバイスの一部またはすべてをカプセル化するステップもしくはコーティングするステップを含む。接着剤、コーティング剤、またはカプセル材料を使用するより重要なステップは、集積回路チップをリードフレームまたは他の基体へ結合するステップ、回路パッケージまたは組立品をプリント配線基板へ結合するステップ、電気的接続として使用される半田ボールをカプセル封入するステップ、シリコンウエハーの活性または非活性面をコーティングするステップ、およびビアホールをコーティングするステップである。これらの用途においては、組立の構成要素は、金属、ガラス、シリコン、およびプラスチックのような異なった材料から製造され、接着剤、コーティング剤、またはカプセル材料は、各々の表面に結合しなければならない。さらに、この接着剤、コーティング剤、またはカプセル材料は、これ自体、温度および湿度サイクルの間、結合させる両方の材料への結合を維持しなければならない。すなわち、1種を超える表面に接着しなくてはならない構成成分を使用する半導体実装産業および他の産業において、新規化合物および配合物に対する要求が常に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、少なくとも1つのイミド部分を有するアルコール、およびこれらのアルコールのヒドロキシル基と、ハロゲン化物、酸、アミン、またはイソシアネートのような相補的反応性官能基との反応生成物に関する。これらのアルコールは、酸無水物とアミノ−アルコールとの反応によって形成され、イミドが結合されたアルコールを生成する。このアルコールは、さらに、(1)有機ハロゲン化物、酸、アミン、またはイソシアネートのような、アルコールのヒドロキシル基と反応するための官能基、および(2)ホモ重合、または他の官能基と重合ができ、ヒドロキシル基との反応性がない第2の官能基、を有する化合物と反応することができる。この第2の官能基は、後の硬化に使用することができ、例えば、マレイミド;アクリレートまたはメタクリレート;スチレンまたはシンナミル;マレエートまたはフマレート;プロパルギルエーテルまたはプロパギルアミンのようなアルキン;ビニルエーテル;エポキシ、オキセタン、またはエピスルフィド;ベンゾキサジンまたはオキサゾリン;シアネートエステル;アジド;またはシランであってもよい。このアルコールの反応は、オリゴマー化合物を生成し、本発明の他の実施形態では、これを接着、コーティング、およびカプセル組成物中で使用して、前記第2の反応性官能基のホモ重合またはヘテロ重合によって硬化することができる。
【0004】
前記アルコール(このアルコール上の第2の官能基がマレイミドである)およびこのアルコールからのオリゴマーを形成するための典型的な反応スキームは、以下のとおりである:
【0005】
【化1】

(式中、R、R’、およびQは、独立して、脂肪族または芳香族部分であってもよく、これらの部分は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい)。この場合、およびこの方法を使用する場合、アミド酸からただ1つの閉環があり、得られる最終生成物は、イミドおよびエステル結合を有する2官能基含有(反応性)オリゴマーである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(発明の詳細な説明)
【0007】
イミド含有アルコールは、無水物とアミノアルコールとの反応で形成される。この無水物は、単官能性または多官能性であってもよく、脂肪族または芳香族であってもよい。存在しうる無水物官能基の数は限定されず、様々な実施形態では、この無水物は、分子中に1から4つの無水物官能基を有することができる。
【0008】
無水物の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、ホモフタル酸無水物、2−メチレンコハク酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、および3,1−ベンゾキサジン−2,4(1H)−ジオンが挙げられる。
【0009】
二無水物の例としては、4,4’−(ヘキサフルオロ−イソプロピリジン)ビスフタル酸無水物(6FDA)、4,4’−ビスフェノールA二無水物、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジエチレントリアミン−5酢酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクテ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0010】
多官能性無水物の例としては、Sartomerから商標名RICONで入手できる無水マレイン酸官能基化ポリブタジエン樹脂である、例えば、RICON 10MA、RICON 13MA、およびRICON 17MAが挙げられる。
【0011】
また、適した多官能性無水物は、下記の反応スキーム:
【0012】
【化2】

(式中、Rは、任意の芳香族または脂肪族構成要素であってもよい)に従って合成することができる。R部分の例としては、
【0013】
【化3】

が挙げられる。トリ−またはテトラ−アルコール、または任意の多官能アルコールで開始して、同様の合成反応を実施して多官能性無水物を得ることが可能である。
【0014】
無水物と反応させるために使用するアミノアルコールは、脂肪族または芳香族アミノアルコールであってもよい。アミノアルコールの例としては、4−アミノフェニルエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、(R)−2−アミノ−2−フェニルエタノール、1−(3−アミノフェニル)エタノール、および2−アミノ−3−メチルベンジルアルコールが挙げられる。
【0015】
イミド結合を有する典型的なアルコールは、トルエン中、トリエチルアミンの存在下、触媒としてメタンスルホン酸を使用して無水物とアミノアルコールとを反応させることによって製造される。この反応を、室温で1時間攪拌し、次いで10から15時間、還流する温度まで、または反応で生成するほぼ理論量の水が採取されるまで加熱した。この反応を、次いで室温まで冷却して徐々に停止させた。上部の無色の相を廃棄し、底相をジクロロメタンに溶解し、5%塩化水素溶液で2度洗浄した。これらの洗浄は、残留/過剰の4−アミノフェネチルアルコールをプロトン化し、
除去する働きをする。これらの洗浄の効率を、5/1(容積)アセトン/メタノール溶媒システムにおいて、TLC溶出によってモニターすることができる。この酸洗浄の後、蒸留水で洗浄し、この後、有機相を集めて硫酸マグネシウム上で乾燥する。この溶液からアルコールを得るために溶媒をストリッピングする。
【0016】
イミド結合を有するアルコールの例としては、
【0017】
【化4】

が挙げられる。
【0018】
得られたイミド結合を有するアルコールは、(1)前記アルコールのヒドロキシル官能基との反応性がある少なくとも1つの官能基、および(2)ホモ重合またはヘテロ重合して硬化することができる少なくとも1つの官能基、を有する多官能性有機化合物と反応することができる。一般に、この重合できる官能基は、ヒドロキシル官能基との反応性があってはならない。
【0019】
ヒドロキシル基との反応性がある前記の官能基は、ハロゲン化物、酸、アミン、エポキシ、およびイソシアネートからなる群より選択され、ヒドロキシル基との反応性がない重合のための前記官能基は、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、スチレン、シンナミル、マレエート、フマレート、プロパギルエーテル、プロパギルアミン、ビニルエーテル、エポキシ、オキセタン、ベンゾキサジン、オキサゾリン、シアネートエステル、アジドおよびシランからなる群より選択される。
【0020】
前記イミド結合を有するアルコールとの反応に適した多官能性化合物の例としては、限定されるものではないが、
【0021】
【化5】

が挙げられる。
【0022】
前記イミド含有アルコールと反応させるのに他の適した化合物はマレイミド酸であり、これらはマレイミドおよび酸両方の官能基を含む化合物である。マレイミド酸は、モル当量のマレイン酸無水物とモル当量のアミノ酸とを反応させてアミック酸を形成し、そしてこのアミック酸を脱水することによってマレイミド酸を形成して製造される。
【0023】
マレイミド酸を形成するための適したアミノ酸としては、脂肪族または芳香族アミノ酸であってもよく、限定されるものではないが、グリシン、アラニン、2−アミノイソ酪酸、バリン、第3級−ロイシン、ノルバリン、2−アミノ−4−ペンテン酸、イソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、β−アラニン、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、2−フェニルグリシン、2,2’−ジフェニルグリシン、フェニルアラニン、α−メチル−DL−フェニルアラニン、およびホモフェニルアラニンが挙げられる。
【0024】
前記イミドアルコールと反応させるための他の適した化合物は、マレイミドの金属塩である。このマレイミドの金属塩は、マレイン酸無水物とアミノ酸とを反応させることによって製造される。このマレイン酸無水物をアセトニトリルのような有機溶媒に溶解し、この溶液を1モル当量の所望のアミノ酸に添加する。この混合物を、典型的には室温で約3時間、白色結晶が生成するまで反応させる。この白色結晶をろ過分離し、冷たい有機溶媒(アセトニトリル)で洗浄し、乾燥してアミック酸付加物を製造する。このアミック酸付加物を塩基、典型的には、トルエンのような溶媒中、トリエチルアミンと混合する。この混合物を130℃で2時間加熱してアミック酸を脱水し、マレイミド環を形成する。この有機溶媒を蒸発させ、pH2に到達するために十分な2MHClを添加する。次いで、
この生成物をエチルアセテートで抽出し、例えば、MgSO上で乾燥し、その後、溶媒を蒸発させる。
【0025】
上記反応からの生成物は、マレイミドおよびカルボン酸の両方の官能基を含む化合物である。当業者であれば、マレイミドおよび酸官能基を分離している炭化水素(脂肪族または芳香族)部分は、前記化合物を製造するために使用される出発アミノ酸誘導体であることを理解できる。
【0026】
また、ヒドロキシル基との反応性がある官能基を含む化合物、およびアルキンまたはアジド官能基のいずれかは、適した反応体である。アルコールと反応させるためにアルキンを含む化合物を使用する場合は、生成化合物中のこのアルキン官能基と、アジド官能基を含む化合物とを後の重合において反応させることが可能である。同様に、アジド化合物を使用する場合は、生成化合物中のこのアジド官能基と、アルキン官能基を含む化合物とを後の重合において反応させることが可能であろう。これらのアジド/アルキン反応は、Scripps Research InstituteのSharplessおよび共同研究者による、米国特許第2005/0222427号および欧州特許第1507769号から周知であり、これら特許は、アスコルビン酸ナトリウムのような還元剤の存在下、Cu(II)塩を使用して溶液相での銅(I)に触媒されたアジドとアルキンの結合方法を開示している。これらの反応は、環境条件下で
トリアゾールポリマーを与える。また、H.C.Kolb、M.G.FinnおよびK.B.Sharplessの文献(Angew.Chem.Int.Ed.2001,40,2004−2021)を参照されたし。
【0027】
前記アルコールとの反応では、1種を超える2−または多−官能性化合物を前記反応混合物中で使用することができ、これによって、2つの異なった末端反応性官能基、例えば、限定する目的ではないが、マレイミドおよびアクリレート官能基、スチレンおよびアクリレート官能基、シアネートエステルおよびシラン官能基、エポキシおよびアクリレート官能基、ビニルエーテルおよびマレイミド官能基を含むオリゴマーを得ることが可能である。
【0028】
前記イミド結合を有するアルコールから、本発明のオリゴマーを製造するための前記合成方法は、本明細書の実施例において例示される。基本的に、Fischerエステル化反応において、前記アルコールと、過剰の2−または多−官能性有機化合物、例えば、ビニル官能基を有するカルボン酸とを反応させる。
【0029】
他の実施形態では、本発明は、本発明のオリゴマーを含む硬化性組成物である。本発明のオリゴマーは、この組成物において主要な硬化性成分または副次的な硬化性成分のいずれであってもよい。また、この組成物は、他の樹脂またはポリマー、硬化剤、接着促進剤、フィラー、湿潤剤、フラクシング剤、および硬化性組成物において一般的に使用される他の成分を含んでいてもよい。硬化性組成物は、例えば、接着、コーティング、およびカプセル配合物ならびに最終用途として使用される。
【0030】
本発明のオリゴマーに加えて、配合物において使用される任意の樹脂およびポリマーは、固体、液体、またはこの2つの組合せであってもよい。適した追加の樹脂およびポリマーとしては、エポキシ樹脂、アクリレートおよびメタクリレート、マレイミド、ビスマレイミド、ビニルエーテル、ポリエステル、ポリ(ブタジエン)、シリコン処理をしたオレフィン、シリコーン樹脂、シロキサン、スチレン樹脂およびシアネートエステル樹脂が挙げられる。
【0031】
本発明のオリゴマーと共に配合物において使用するための典型的な固体状芳香族ビスマレイミド(BMI)樹脂粉末は、構造:
【0032】
【化6】

(式中、Xは、芳香族基である)を有するものである。典型的な芳香族基としては:
【0033】
【化7】

が挙げられる。これらのX架橋基を有するビスマレイミド樹脂は、市販品が入手可能であり、例えば、Sartomer(USA)またはHOS−Technic GmbH(Austria)から得ることができる。
【0034】
本発明のオリゴマーと共に配合物中で使用するための追加の典型的なマレイミド樹脂としては、一般構造:
【0035】
【化8】

(式中、nは1から3であり、Xは、脂肪族または芳香族基である)を有するものが挙げられる。X構成要素の例としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(エーテル)、ポリ(エステル)、単純炭化水素、およびカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、またはエーテルのような官能基を含む単純炭化水素が挙げられる。これらのタイプの樹脂は、市販品が入手可能であり、例えば、National Starch and Chemical CompanyおよびDainippon Ink and Chemical社から得ることができる。具体的な好ましいマレイミド樹脂としては、
【0036】
【化9】

[式中、C36は、36個の炭素原子の直鎖または分岐鎖(環状部分があるもの、またはないもの)を表す]、
【0037】
【化10】

が挙げられる。
【0038】
【化11】

(式中、nは、1−6であり、Rは、−Hまたは−CHであり、Xは、芳香族または脂肪族基ある)を有するものが挙げられる。典型的なX構成要素としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(エーテル)、ポリ(エステル)、単純炭化水素、およびカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、またはエーテルのような官能基を含む単純炭化水素が挙げられる。市販の入手可能な材料としては、Kyoeisha Chemical社から入手できる、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリプロポキシレート(メタ)アクリレート、およびポリペントキシレートテトラヒドロフルフリルアクリレート;Sartomer Company社から入手できる、ポリブタジエンウレタンジメタクリレート(CN302、NTX6513)およびポリブタジエンジメタクリレート(CN301、NTX6039、PRO6270);Negami Chemical工業から入手できる、ポリカーボネートウレタンジアクリレート(ArtResin UN9200A);Radcure Specialities社から入手できる、アクリレート化脂肪族ウレタンオリゴマー(Ebecryl230、264、265、270、284、4830、4833、4834、4835、4866、4881、4883、8402、8800−20R、8803、8804);Radcure Specialities社から入手できる、ポリエステルアクリレートオリゴマー(Ebecryl657、770、810、830、1657、1810、1830);およびSartomer Company社から入手できる、エポキシアクリレート樹脂(CN104、111、112、115、116、117、118、119、120、124、136)が挙げられる。1つの実施形態では、前記アクリレート樹脂は、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)およびメタクリレート官能基を有するポリ(ブタジエン)からなる群より選択される。
【0039】
配合物中で本発明のオリゴマーと共に使用するための適したビニルエーテル樹脂としては、一般構造:
【0040】
【化12】

(式中、nは、1から6であり、Xは、芳香族または脂肪族基である)を有するものが挙げられる。X構成要素の例としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(エーテル)、ポリ(エステル)、単純炭化水素、およびカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、またはエーテルのような官能基を含む単純炭化水素が挙げられる。市販の入手可能な樹脂としては、International Speciality Products(IPS)から入手できる、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、およびブタンジオールジビニルエーテル;Sigma−Aldrich社から入手できる、Vectomer4010、4020、4030、4040、4051、4210、4220、4230、4060、5015が挙げられる。
【0041】
配合物中で本発明のオリゴマーと共に使用するための適したポリ(ブタジエン)樹脂としては、ポリ(ブタジエン)、エポキシ化ポリ(ブタジエン)、マレイン酸ポリ(ブタジエン)、アクリレート化ポリ(ブタジエン)、ブタジエン−スチレンコポリマー、およびブタジエン−アクリロニトリルコポリマーが挙げられる。市販の入手可能な材料としては、Sartomer Company社から入手できる、ホモポリマーブタジエン(Ricon130、131、134、142、150、152、153、154、156、157、P30D);Sartomer Company社から入手できる、ブタジエンとスチレンのランダムコポリマー(Ricon100、181、184);Sartomer Company社から入手できる、マレイン化ポリ(ブタジエン)(Ricon130MA8、130MA13、130MA20、131MA5、131MA10、131MA17、131MA20、156MA17);Sartomer Company社から入手できる、アクリレート化ポリ(ブタジエン)(CN302、NTX6513、CN301、NTX6039、PRO6270、Ricacryl3100、Ricacryl3500);Sartomer Company社から入手できる、エポキシ化ポリ(ブタジエン)(Polybd600、605);Daicel Chemical工業から入手できる、Epolead PB3600);およびHanse Chemicalから入手できる、アクリロニトリルとブタジエンのコポリマー(Hycar CTBNシリーズ、ATBNシリーズ、VTBNシリーズ、およびETBNシリーズ)が挙げられる。
【0042】
本発明のオリゴマーを含む配合物中で使用するための適したエポキシ樹脂としては、ビスフェノール、ナフタレン、および脂肪族タイプのエポキシ樹脂が挙げられる。市販の入手可能な材料としては、Dainippon Ink&Chemicals社から入手できる、ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂(Epiclon830LVP、830CRP、835LV、850CRP);Dainippon Ink&Chemicals社から入手できるナフタレンタイプのエポキシ(Epiclon HP4032);Chiba Specialty Chemicalsから入手できる脂肪族エポキシ樹脂(Araldite CY179、184、192、175、179);Union Carbide社から入手できる(エポキシ1234、249、206);およびDaicel Chemical工業から入手できる(EHPE−3150)が挙げられる。他の適したエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aタイプのエポキシ樹脂、ビスフェノール−Fタイプのエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ビフェニルタイプのエポキシ樹脂、ナフタレンタイプのエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノールタイプのエポキシ樹脂、反応性エポキシ希釈剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本発明のオリゴマーを含む配合物中で使用するための適したシリコーン化オレフィン樹脂は、一般構造:
【0044】
【化13】

(式中、 nは、2以上であり、nは、1以上であり、かつn>nである)を有し、シリコーンとジビニル物質の選択的ヒドロシリル化によって得られる。
【0045】
これらの材料は、市販品が入手可能であり、例えば、National Starch and Chemical Companyから得ることができる。
【0046】
配合物中で本発明のオリゴマーと共に使用するための適したシリコーン樹脂としては、一般構造:
【0047】
【化14】

(式中、nは、0または任意の整数であり、XおよびXは、水素、メチル、アミン、エポキシ、カルボキシル、ヒドロキシ、アクリレート、メタクリレート、メルカプト、フェノール、またはビニル官能基であり、RおよびRは、−H、−CH、ビニル、フェニル、または2より多い数の炭素を有する任意の炭化水素構造であってもよい)を有する反応性シリコーン樹脂が挙げられる。市販の入手可能な材料としては、Shin−Etsu Silicone International Trading社(Shanghai)から入手できる、KF8012、KF8002、KF8003、KF−1001、X−22−3710、KF6001、X−22−164C、KF2001、X−22−170DX、X−22−173DX、X−22−174DX、X−22−176DX、KF−857、KF862、KF8001、X−22−3367、およびX−22−3939Aが挙げられる。
【0048】
配合物中で本発明のオリゴマーと共に使用するための適したスチレン樹脂としては、一般構造:
【0049】
【化15】

(式中、nは、1以上であり、Rは、−Hまたは−CHであり、Xは、脂肪族基である)を有するこれらの樹脂が挙げられる。X構成要素の例としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(エーテル)、ポリ(エステル)、単純炭化水素、およびカルボニル、カルボキシル、アミド、カルバメート、尿素、またはエーテルのような官能基を含む単純炭化水素が挙げられる。これらの樹脂は、市販品が入手可能であり、例えば、National Starch and Chemical CompanyまたはSigma−Aldrich社から得ることができる。
【0050】
配合物中で本発明のオリゴマーと共に使用するための適したシアネートエステル樹脂としては、一般構造:
【0051】
【化16】

(式中、nは、1以上であり、Xは、炭化水素基である)を有するものが挙げられる。X構成要素の例としては、ビスフェノール、フェノールまたはクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル、またはポリエステルが挙げられる。市販品の入手可能な材料としては、Huntsuman LLCから入手できる、AroCy L−10、AroCy XU366、AroCy XU371、AroCy XU378、XU71787.02L、およびXU71787.07L;Lonza Group社から入手できる、Primaset PT30、Primaset PT30 S75、Primaset PT60、Primaset PT60S、Primaset BADCY、Primaset DA230S、Primaset MethylCy、およびPrimaset LECY;Oakwood Products社から入手できる、2−アリルフェノールシアネートエステル、4−メトキシフェノールシアネートエステル、2,2−ビス(4−シアナトフェノール)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4−フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、4−クミルフェノールシアネートエステル、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタンジオールジシアネートエステル、および4,4’−ビスフェノールシアネートエステルが挙げられる。
【0052】
配合物中で本発明のオリゴマーと共に使用するための適した追加のポリマーとしては、ポリアミド、フェノキシ、ポリベンゾオキサジン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ベンゾキサジン、ビニルエーテル、ポリオレフィン、ポリベンゾキシゾール、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(2−ビニルピリジン)、シス−1,4−ポリイソプレン、3,4−ポリクロロプレン、ビニルコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリホルムアルデヒド、ポリアセトアルデヒド、ポリ(b−プロピオラクトン)、ポリ(10−デカノエート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカプロラクタム、ポリ(11−ウンデカノアミド)、ポリ(m−フェニレン−テレフタルアミド)、ポリ(テトラメチレン−m−ベンゼンスルホンアミド)、ポリエステルポリアリーレート、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、フッ素化ポリイミド、ポリイミドシロキサン、ポリ−イソインドロ−キナゾリンジオン、ポリチオエーテルイミド、ポリ−フェニル−キノキサリン、ポリキニキサロン、イミド−アリールエーテルフェニルキノキサリンコポリマー、ポリキノキサリン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾキサゾール、ポリノルボルネン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリシラン、パリレン、ベンゾシクロブテン、ヒドロキシ(ベンズオキサゾール)コポリマー、ポリ(シルアリーレンシロキサン)、およびポリベンズイミダゾールが挙げられる。
【0053】
本発明のオリゴマーを含む、接着、コーティング、およびカプセル材料組成物に含有させるのに適した他の材料としては、モノビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、およびスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)のブロックコポリマーのようなゴムポリマーが挙げられる。
【0054】
本発明のオリゴマーを含む組成物に含有させるための適した他の材料としては、エチレン−ビニルアセテートポリマー、他のエチレンエステルコポリマー、例えば、エチレンメタクリレート、エチレンn−ブチルアクリレートおよびエチレンアクリル酸;ポリエチレンおよびポリプロピレンのようなポリオレフィン;ポリビニルアセテートおよびこれらのランダムコポリマー;ポリアクリレート;ポリアミド;ポリエステル;ならびにポリビニルアルコールおよびこれらのコポリマーが挙げられる。
【0055】
本発明のオリゴマーを含む配合物に使用するための適した熱可塑性ラバーとしては、カルボキシ末端ブタジエン−ニトリル(CTBN)/エポキシ付加物、アクリレートラバー、ビニル−末端ブタジエンラバー、およびニトリル・ブタジエンラバー(NBR)が挙げられる。1つの実施形態では、CTBNエポキシ付加物は、約20−80重量%のCTBNおよび約20−80重量%のジグリシジルエーテルビスフェノールA:ビスフェノールAエポキシ(DGEBA)からなる。様々なCTBN材料が、Noveon社から入手可能であり、様々なビスフェノールAエポキシ材料が、Dainippon Ink and Chemicals社およびShell Chemicalsから入手可能である。NBRラバーは、Zeon社から市販品が入手可能である。
【0056】
本発明のオリゴマーを含む配合物に使用するための適したシロキサンとしては、主鎖およびこの主鎖からの側鎖、浸透性を与える少なくとも1つのシロキサン部分、および新しい共有結合を形成するために反応させることができる少なくとも1つの反応性部分を含む、弾性ポリマーが挙げられる。適したシロキサンの例としては、3−(トリス(トリメチル−シリルオキシ)シリル)−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、およびシアノエチルアクリレートから製造される弾性ポリマー;3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびアクリロニトリルから製造される弾性ポリマー;ならびに3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびシアノエチルアクリレートから製造される弾性ポリマーが挙げられる。
【0057】
硬化剤を必要とする場合は、その選択は、利用するポリマー化学および採用された方法の条件によって決まる。硬化剤として、前記組成物は 芳香族アミン、脂環式アミン、脂肪族アミン、第3級ホスフィン、トリアジン、金属塩、芳香族ヒドロキシル化合物、またはこれらの組合せを使用することができる。特定の組成物に対して、使用する触媒のタイプと量の妥当性については、公開文献に開示され、当業者の専門的知識の範囲内で判断が可能である。
【0058】
そのような触媒の例としては、イミダゾール、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−グアナミノエチル−2−メチルイミダゾール、ならびにイミダゾールおよびトリメリット酸の付加生成物;第3級アミン、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチル−p−アニシジン、p−ハロゲノ−N,N−ジメチルアニリン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジン;フェノール、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシンおよびフロログルシン;有機金属塩、例えば、ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛(zinc octolate)、オレイン酸錫、ジブチルマレイン酸錫、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、およびアセチルアセトン鉄;ならびに無機金属塩、例えば、塩化第二スズ、塩化亜鉛および塩化アルミニウム;ペルオキシド、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、パラ−クロロベンゾイルペルオキシドおよびジ−3級ブチルジパーフタレート;酸無水物、例えば、カルボン酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、ラウリン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物;ヘキサヒドロピロメリット酸無水物およびヘキサヒドロトリメリット酸無水物、アゾ化合物、例えば、アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、m,m’−アゾキシスチレン、ヒドロゾン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
適した硬化促進剤は、トリフェニルホスフィン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、オニウム塩、第4ホスホニウム化合物、オニウムボレート、金属キレート、1,8−ジアザシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンまたはこれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0060】
前記硬化剤は、ラジカル開始剤またはカチオン開始剤のいずれかであってもよく、ラジカルまたはイオン性硬化樹脂が選択されるかどうかによって決まる。フリーラジカル開始剤を使用する場合は、有効な量で存在できる。有効な量は、典型的には、前記有機化合物(あらゆるフィラーを除外して)の0.1から10重量%である。適当なフリーラジカル開始剤としては、ブチルパーオクトエートおよびジクミルペルオキシドのようなペルオキシド、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパンニトリル)および2,2’−アゾビス(2−メチル−ブタンニトリル)のようなアゾ化合物が挙げられる。好ましいカチオン硬化剤としては、ジシアンジアミド、フェノールノボラック、アジピン酸ジヒドラジド、ジアリルメラミン、ジアミノマルコニトリル(diaminomalconitrile)、BF−アミン錯体、アミン塩および変性イミダゾール化合物が挙げられる。
【0061】
また、シアネートエステル系に対する硬化促進剤として、金属化合物を採用することができ、限定されるものではないが、金属ナフテネート、金属アセチルアセトネート(キレート)、金属オクトエート、金属アセテート、金属ハライド、金属イミダゾール錯体、および金属アミン錯体が挙げられる。コーティング配合物に含まれてもよい他の硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、およびオニウムボレートが挙げられる。
【0062】
ある場合には、2以上のタイプの硬化剤を採用することが好ましい。例えば、カチオンおよびラジカル両方の開始が好ましいが、この場合、フリーラジカルおよびイオン両方の硬化樹脂を前記組成物において使用することができる。これらの組成物は、各々のタイプの樹脂に対して有効な量の開始剤を含有すると考えられる。例えば、そのような組成物は、UV照射によるカチオン開始によって硬化加工を開始させ、後の加工ステップで、加熱によるフリーラジカル開始によって完結させると考えられる。
【0063】
前記コーティング材料が溶媒を含む場合は、典型的には、乾燥および/またはB−ステージ処理ステップを必要することができる。本明細書で用いる場合、「B−ステージ処理」(およびその変形)を使って、加熱または照射によって材料を加工することを意味する。つまり、この材料が溶媒に溶解または分散された場合、材料の部分硬化を伴い、または伴わずに溶媒は蒸発除去され、もしくは、溶媒がまったくない純材料の場合、この材料は、粘着性またはより硬化状態へと部分的に硬化される。例えば、この材料が流動性接着剤である場合、B−ステージ処理は、完全には硬化させず、極端に低い流動性を与え、その結果、1つの部材を他の部材に接続するために前記接着剤を使用した後、追加の硬化を実施してもよい。この流動性の減少は、溶媒の蒸発、樹脂またはポリマー、もしくは両方の部分的な促進または硬化によって達成してもよい。これを達成するのに必要な時間および温度は、採用する溶媒および組成物に従って変化し、困難な実験をすることなく、熟練者によって決定することができる。乾燥および/またはB−ステージ処理を、最終用途組成物の硬化とは別のステップとして実施、または別の加工ステップとして実施してもよい。
【0064】
前記組成物が溶媒を含んでいない場合は、なおも、材料にB−ステージ処理すること、または部分的に材料の硬化を促進させることは好ましい。これを硬化する前に実施し、コーティングの硬化で非粘着性状態を生じさせてもよい。つまり、コーティングを完全に硬化させる前に、追加の加工を実施してもよい。
【0065】
前記コーティングは、硬化を必要としても、または必要としなくてもよく、コーティングの目的および組成物によって決まる。このコーティングが硬化を必要としない場合、個々の加工ステップ、または他の加工操作との関連のいずれかで硬化を達成してもよい。他の加工操作の1つの例は、半田リフローであり、これは特定の半導体デバイスの製造における1つのステップである。
【0066】
半導体の製造ステップ内で、半導体またはマイクロプロセッサとして使用されるシリコンダイスにコーティング剤を塗布する。このコーティング剤を、個々のダイスに個片化される前にシリコンウエハーの上、または個々のダイスそれ自体の上のいずれかに塗布することができる。従って、例えば、ウエハー段階またはダイ段階で硬化を実施してもよく、コーティングの目的、コーティングの組成物、および採用する製造方法によって決まる。
【0067】
硬化ステップを利用する場合は、硬化温度は、通常、80−250℃の範囲にあり、硬化は数秒または最高、120分に及ぶ時間範囲内で達成され、特定の樹脂化学および選択する硬化剤によって決まりうる。各々の組成物に対する、時間および温度の硬化プロファイルは変化すると考えられ、特定の工業製造方法に適すると考えられる硬化プロファイルを提供するために、異なった組成物を考案することができる。
【0068】
最終用途によっては、組成物に1種以上のフィラーを含ませてもよく、通常、レオロジー特性の改良および応力低減のために添加する。適した非伝導性フィラーの例としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、バーミキュライト、雲母、珪灰石、炭酸カルシウム、チタニア、砂、ガラス、硫酸バリウム、ジルコニウム、カーボンブラック、有機フィラー、およびハロゲン化エチレンポリマー、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、および塩化ビニルが挙げられる。電気的にまたは熱的に伝導性のあるフィラーの例としては、カーボンブラック、グラファイト、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、シリコンカーバイド、窒化ホウ素、ダイヤモンド、およびアルミナが挙げられる。
【0069】
前記フィラー粒子は、ナノサイズから数mmに及ぶ任意の適当なサイズであってもよい。特定の最終用途に対して、そのようなサイズの選択は、当業者の専門技術により可能である。配合物で使用する場合、フィラーは、典型的には、全組成物の0から95重量%、好ましくは20から85重量%の量で存在する。
【0070】
ある組成物に対しては、金属酸化物を除去し、電気半田接合または金属基体の再酸化を防ぐためにフラクシング剤を添加することは好ましい。フラクシング剤の選択は、提示された樹脂化学および冶金学によって決まると考えられる。フラクシング剤に対する主要な要求のいくつかは、フラクシング剤およびフラクシング加工によって発生したフラクシング剤の残留物が、組成物中に存在するオリゴマーまたは樹脂の硬化に影響を与えてはならないこと、あまりにも腐食性であってはならないこと、および加熱サイクルの間に有害なレベルでガスを放出してはならないことである。
【0071】
適したフラクシング剤の例としては、有機カルボン酸、無水物、およびアルコールにおいて提示されたような、1つ以上のヒドロキシル基(−OH)、またはカルボン酸基(−COOH)もしくはこれらの両方を含む化合物が挙げられる。典型的なフラクシング剤は、例えば、ロジンゴム、ドデカン二酸(AldrichからCorfree M2として市販品が入手可能)、セバシン酸、ポリセバシン酸ポリ無水物、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、エチレングリコール、グリセリン、酒石酸、アジピン酸、クエン酸、リンゴ酸、グルタル酸、グリセロール、3−[ビス(グリシジルオキシメチル)メトキシ]−1,2−プロパンジオール、D−リボース、D−セロビオース、セルロース、3−シクロ−ヘキセン−1,1−ジメタノール;1から10個の炭素原子を有する脂肪族アミンのようなアミンフラクシング剤、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、第2級ブチルアミン、第3級ブチルアミン、n−アミルアミン、第2級アミルアミン、2−エチルブチルアミン、n−ヘプチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−オクチルアミン、および第3級オクチルアミン;フラクシング特性を有する架橋剤を採用するエポキシ樹脂である。また、フラクシング剤は、金属基体とキレートする化合物であってもよい。フラクシング剤は、有効な量で存在することができ、典型的には、有効な量は、1から30重量%に及ぶ。
【0072】
ある組成物では、カップリング剤を前記組成物に添加することが好ましい。適したカップリング剤は、エポキシシラン、アミンシラン剤、またはメルカプトシランである。カップリング剤を用いる場合、有効な量で使用することができ、典型的な有効な量は、最高、5重量%の量である。
【0073】
また、ある用途に対しては、前記組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。適した界面活性剤としては、有機アクリルポリマー、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレンジアミンをベースとするポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオールをベースとするポリオキシアルキレン、脂肪族アルコールをベースとするポリオキシアルキレン、脂肪族アルコールポリオキシアルキレンアルキルエーテル、およびこれらの混合物が挙げられる。界面活性剤を用いる場合、有効な量で使用することができ、典型的な有効な量は、最高、5重量%の量である。
【0074】
また、湿潤剤が前記組成物に含まれていてもよい。湿潤剤の選択は、用途での要求および利用された樹脂化学によって決まると考えられる。湿潤剤を用いる場合、有効な量で使用することができ、典型的な有効な量は、最高、5重量%の量である。適した湿潤剤の例としては、3Mから入手できる、Fluorad FC−4430フッ素化界面活性剤、Rhom and Haasから入手できる、Clariant Fluowet OTN、BYK W−990、Surfynol 104界面活性剤、Crompton Silwet L−7780、Triton X100、分子量(Mw)が240より大きいプロピレングリコール、γ−ブチロラクトン、ひまし油、グリセリンまたは他の脂肪酸、およびシランが挙げられる。
【0075】
また、フロー制御剤が前記組成物に含まれてもよい。フロー制御剤の選択は、用途での要求および採用された樹脂化学によって決まると考えられる。フロー制御剤を用いる場合、有効な量で存在することができ、有効な量は最高、5重量%の量である。適したフロー制御剤の例としては、Cabotから入手できる、Cab−O−Sil TS720、Degussaから入手できる、Aerosil R202またはR972、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、またはヒュームド金属酸化物が挙げられる。
【0076】
ある組成物は、接着促進剤を含んでいてもよく、適当な接着促進剤の選択は、用途での要求および採用された樹脂化学によって決まると考えられる。接着促進剤を用いる場合、有効な量で使用することができ、有効な量は、最高、5重量%の量である。適した接着促進剤の例としては、シランカップリング剤、例えば、Dow Corningから入手できる、Z6040エポキシシランまたはZ6020アミンシラン;OSI Silquestから入手できる、A186シラン、A187シラン、A174シラン、またはA1289;Degussaから入手できる、有機シラン SI264;Johoku Chemicalから入手できる、Johoku Chemical CBT−1カルボベンゾトリアゾール;官能性ベンゾトリアゾール;チアゾール;チタネート;およびジルコネートが挙げられる。
【0077】
脱泡剤(消泡剤)は、組成物への他の任意の成分である。脱泡剤の選択は、用途での要求および採用された樹脂化学によって決まると考えられる。脱泡剤を用いる場合、有効な量で使用することができ、有効な量は、最高、5重量%の量である。適した脱泡剤の例としては、Dow Corningから入手できる、Antifoam 1400、DuPont Modoflow、およびBYK A−510が挙げられる。
【0078】
ある実施形態では、これらの組成物は、接着力の改良および粘着性の付与のために、粘着付与樹脂と共に形成される。粘着付与樹脂の例としては、天然に存在する樹脂および天然に存在する樹脂の変性物;ポリテルペン樹脂;フェノール性変性テルペン樹脂;クマロン−インデン樹脂;脂肪族および芳香族石油炭化水素樹脂;フタル酸エステル;水素化炭化水素;水素化ロジンおよび水素化ロジンエステルが挙げられる。
【0079】
ある実施形態では、他の成分、例えば、液状ポリブテンまたはポリプロピレンのような希釈剤;パラフィンおよび微結晶ワックスのような石油ワックス;ポリエチレングリース、水素化動物性油、魚油および植物性油、鉱油ならびに合成ワックス、ナフテン油またはパラフィン鉱油が含まれてもよい。
【0080】
他の実施形態では、硬化コーティングの物理的特性に悪い影響を与えることなく、粘度の増加を徐々に遅らせるために、単官能反応性希釈剤を含ませることができる。適した希釈剤としては、p−3級ブチル−フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、アルキルフェノールのグリシジルエーテル(Cardolite Corporationから、Cardolite NC513として市販品が入手可能)、およびブタンジオールジグリシジルエーテル(Aldrichから、BDGEとして市販品が入手可能)が挙げられる。好ましい希釈剤は、本明細書の前方で開示された反応性希釈剤である。
【0081】
また、安定剤、酸化防止剤、衝撃改質剤、および着色剤のような他の添加物は、当該技術分野において公知のタイプのものを、公知の量で前記配合物に添加することができる。
【0082】
硬化は、熱に曝すこと、紫外線(UV)またはマイクロ波を照射すること、もしくはこれらの組合せによって起こりうる。当業者は、硬化条件を具体的な配合物に対して調節し、容易に決定することができる。さらに、前記組成物は、B−ステージ処理可能であっても、またはそうでなくてもよく、用途での要求によって決まる。
【実施例】
【0083】
実施例1
4,4’(ヘキサフルオロ−イソプロピリジン)ビスフタル酸無水物(6FDA)および4−アミノフェネチルアルコールからのイミドアルコールの製造
【0084】
【化17】

【0085】
トリエチルアミン(47.0グラム、0.4641モル)およびトルエン(260ml)を、温度計および機械的混合器を取り付けた1リッター(1L)4口丸底反応フラスコ内で混合した。穏やかに混合しながら、メタンスルホン酸(45.8グラム、0.4772モル)を徐々に添加した。発熱が起きたが、添加速度を制御して45℃未満の温度を維持した。添加を1時間以内で完結した。添加の後、この反応は無色の濁った溶液になり、10分間混合した。4−アミノフェネチル・アルコール(20.0グラム、0.1458モル)を添加した(このスケールでは、発熱は認められなかった)。すべての固体は溶解し、暗褐色の溶液を形成した。6FDA(29.4グラム、0.0663モル)を5分以上で添加し、添加によって僅かな温度の上昇(<10℃)が認められた。暗琥珀色の反応を室温で1時間、混合した。反応フラスコにディーン・スターク(Dean−Stark)トラップおよびコンデンサを取り付け、高温の油浴(145℃に事前加熱)に浸け、11時間、還流加熱した。反応の間に、理論反応生成水のほぼすべてをトラップに採取した。加熱した後、反応を室温に冷却し、分離漏斗に移し、相分離させた。暗褐色の底相から上部の無色の相を分離して廃棄した。この暗褐色の相を500mlのジクロロメタンに溶解し、分離漏斗中で500mlの5%塩化水素溶液で2度洗浄した。この洗浄は、残留/過剰4−アミノフェネチルアルコールをプロトン化して除去するのに役立つ。この洗浄効率を、5/1(容積)アセトン/メタノール溶媒系でのTLC溶出によってモニターすることができる。この酸洗浄の後、500mlの蒸留水によって洗浄した。洗浄に続いて、濁った金色溶液の底部有機相を採取し、40グラムの硫酸マグネシウム上で乾燥した。ろ過によって透明な金色の反応溶液になった。溶液から溶媒を40℃、回転エバポレーターによってストリッピングして、34グラムの黄色結晶性固体を79%の収率で得た。1H−NMRを使用して生成物の同定を行なった。上記構造式を参照。
【0086】
実施例2
4,4’−ビスフェノール−A二無水物および4−アミノフェネチルアルコールからのイミドアルコールの製造
【0087】
【化18】

【0088】
トリエチルアミン(58.6グラム、0.5796モル)およびトルエン(300ml)を、温度計および機械的混合器を取り付けた1Lの4口丸底反応フラスコ内で混合した。穏やかに混合しながら、メタンスルホン酸(57.3グラム、0.5962モル)を徐々に添加した。発熱が起きたが、添加速度を制御して45℃未満の温度を維持した。添加を1時間以内で完結した。添加の後、この反応は無色の濁った溶液になり、10分間混合した。4−アミノフェネチルアルコール(25.0グラム、0.1822モル)を添加した(このスケールでは、発熱は認められなかった)。20分以内にすべての固体は溶解し、暗褐色の溶液を形成した。4,4’−ビスフェノールA二無水物(43.1グラム、0.0828モル)を5分以上で添加した。暗琥珀色の反応混合物を、室温で1時間混合した(発熱は認められなかった)。反応フラスコにディーン・スターク・トラップおよびコンデンサを取り付け、高温の油浴(145℃に事前加熱)に浸け、12時間、混合、還流加熱した。加熱の最初の30分以内に、すべての固体が溶解したことに注目されたし。反応の間に、理論反応生成水のほぼすべてをトラップに採取した。加熱した後、反応を室温に冷却し、分離漏斗に移し、相分離させた。暗褐色の底相から上部の無色の相を分離して廃棄した。この暗褐色の相を250mlのジクロロメタンに溶解し、分離漏斗中で500mlの5%塩化水素溶液で2度洗浄した。この洗浄は、残留/過剰4−アミノフェネチルアルコールをプロトン化して除去するのに役立つ。この洗浄効率を、5/1(容積)アセトン/メタノール溶媒系でのTLC溶出によってモニターすることができる。この酸洗浄の後、500mlの蒸留水によって洗浄した。洗浄に続いて、濁った琥珀色溶液の底部有機相を採取し、40グラムの硫酸マグネシウム上で乾燥した。ろ過によって透明な琥珀色の反応溶液が生じた。溶液から溶媒を40℃、回転エバポレーターによってストリッピングして、45グラムの黄褐色結晶性固体を71%の収率で得た。1H−NMRを使用して生成物の同定を行なった。上記構造式を参照。
【0089】
実施例3
実施例1からの中間体およびマレイミドカプロン酸(MCA)からのオリゴマーの製造
【0090】
【化19】

【0091】
MCA(14.2グラム、0.0673モル)、実施例1からの中間体(20.0グラム、0.0306モル)、およびトルエン(100ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびディーン・スターク・トラップを取り付けた250mlの4口丸底反応フラスコに充填した。140℃で事前加熱した高温の油浴中で、 300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80−90℃に達したときには、すべての固体は溶解し、硫酸(0.30グラム)を注意深く添加した。その後すぐに、112℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流温度で10時間混合しながら維持した。理論水容積(1.1ml)に対する、ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積を測定することで、反応をモニターした。反応の間にフラスコ側面にいくらかゲルが生成し、反応溶液の色が透明の橙黄色から透明の琥珀色に変化し、ディーン・スターク・トラップで0.8mlの水を採取した。反応をろ過して透明な暗赤銅色溶液になった。交換樹脂(20グラム)を添加し、混合物を1時間機械的に攪拌した。交換樹脂をろ過した後、20グラムのシリカゲルを添加し、この混合物を1時間機械的に攪拌した。シリカゲルをろ過で分け、回転エバポレーターで金色の反応溶液の溶媒をストリッピングし、得られた軽い結晶性固体を粉砕し、真空
オーブン中、60℃で乾燥した。構造を1H−NMRによって確認した。上記構造式を参照。ほとんどのMCA誘導体に特有であるが、マイケル付加物は、この物質の大半の不純物である。オリゴマー状生成物の融点を、45℃でFisher融点装置によって測定した。
【0092】
実施例4
実施例2からの中間体およびMCAからのオリゴマーの製造
【0093】
【化20】

【0094】
MCA(24.45グラム、0.1159モル)、実施例2からの中間体(40.0グラム、0.0527モル)およびトルエン(200ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびディーン・スターク・トラップを取り付けた500mlの4口丸底反応フラスコに充填した。140℃で事前加熱した高温の油浴中で、 300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80−90℃に達したときには、すべての固体は溶解し、硫酸(0.49グラム)を添加した。その後すぐに、112℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流温度で10時間混合しながら維持した。理論水容積(1.9ml)に対する、ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積を測定することで、反応をモニターした。反応の間にフラスコ側面にゲルが生成し、反応溶液の色が濁った金色から透明の赤銅色に変化し、ディーン・スターク・トラップで1.9mlの水を採取した。この反応をろ過して透明な暗赤銅色溶液になった。交換樹脂(40グラム)を添加し、混合物を1時間機械的に攪拌した。交換樹脂をろ過分離する間に、溶液中に凝集剤が現れた。この溶液にトルエンを添加して、溶液の容積を800mlに増やし、この溶液をろ過した結果、濁った金色の溶液となった。シリカゲル(40グラム)を添加し、この混合物を1時間機械的に攪拌した。シリカゲルをろ過で分けると、透明で黄色溶液が残り、この溶液の溶媒を回転エバポレーターでストリッピングした。得られた軽い結晶性固体を粉砕し、真空オーブン中、60℃で乾燥した。構造を1H−NMRによって確認した。上記構造式を参照。ほとんどのMCA誘導体に特有であるが、マイケル付加物は、この物質の大半の不純物である。オリゴマー生成物の融点を、41℃でFisher融点装置によって測定した。
【0095】
実施例5
実施例2からの中間体、MCA、およびメタクリル酸からのオリゴマーの製造
【0096】
【化21】

【0097】
MCA(12.24グラム、0.0580モル)、メタクリル酸(5.00グラム、0.0580モル)、実施例2からの中間体(40.0グラム、0.0527モル)およびトルエン(200ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびディーン・スターク・トラップを取り付けた500mlの4口丸底反応フラスコに充填した。140℃で事前加熱した高温の油浴中で、 300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80−90℃に達したときには、すべての固体は溶解し、硫酸(0.49グラム)を注意深く添加した。その後すぐに、112℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流状態で10時間混合しながら維持した。理論水容積(1.9ml)に対する、ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積を測定することで、反応をモニターした。反応の間にフラスコ側面にいくらかゲルが生成し、反応溶液の色が濁った琥珀色から曇った暗赤銅色に変化し、ディーン・スターク・トラップで水を採取した。終了次第、反応を熱ろ過し、透明の暗赤銅色溶液になった。交換樹脂(34グラム)を添加し、混合物を1時間機械的に攪拌した。反応混合物をろ過して濁った深黄色溶液になった。淡金色コーティングがフラスコ側面上に残留するのが認められ、ろ過すると交換樹脂が粘着性の塊を形成した。次いで、シリカゲル(34グラム)を反応溶液に添加し、この混合物を1時間機械的に攪拌した。シリカゲルをろ過で分け、0.03グラムのメチルヒドロキノンを重合禁止剤として添加した。得られた透明で黄色の反応溶液から、40℃、回転エバポレーターで溶媒をストリッピングし、冷却して無定形の黄色個体を得た。生成物の構造を1H−NMRによって確認した。上記構造式を参照。
【0098】
実施例6
実施例2からの 中間体、ダイマー酸およびMCAからのオリゴマーの製造
【0099】
【化22】

【0100】
ダイマー酸(St.Lawrence Chemicalsから入手できる、EMPOL 1088)(15.4グラム、0.0274モル)、実施例2からの中間体(50.0グラム、0.0658モル)、およびトルエン(150ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびディーン・スターク・トラップを取り付けた500mlの4口丸底反応フラスコに充填した。145℃で事前加熱した油浴中で、 300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80−90℃に達したとき、メタンスルホン酸(1.9グラム)を添加した。その後すぐに、112℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流温度で2時間混合しながら維持した。ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積によって反応進展をモニターした。2時間の還流後に、反応を室温に冷却させ、この時点で反応溶液はほほ黒色であった。冷却後、MCA(17.3グラム、0.0822モル)、メチルヒドロキノン(0.017グラム)、およびトルエン(50ml)を添加した。反応液を混合しながら加熱し、さらに4時間、還流した。前と同様、ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積によって反応進展をモニターした。4時間後には、反応溶液は暗褐色混合物であった。反応溶液は満足にろ過できなかった。従って、不必要な固体から液体をデカンテーションで取り出し、250mlのトルエンを添加した。その結果は、濁った琥珀色の分散体となった。交換樹脂(22グラム)を添加し、混合物を1時間機械的に攪拌した。この反応混合物をろ過して濁った暗赤銅色の溶液となった。溶液にシリカゲル(22グラム)を添加し、この混合物を1時間機械的に攪拌し、シリカゲルをろ過で分けた。得られた濁った暗赤銅色の反応溶液から、40℃、回転エバポレーターで溶媒をストリッピングし、黄褐色粉末を得た。生成物の構造を1H−NMRによって確認した。上記構造式を参照。この物質の融点は、DSCの分析で53℃であった。
【0101】
実施例7
実施例2からの中間体およびメタクリル酸からのオリゴマーの製造
【0102】
【化23】

【0103】
メタクリル酸(10.00グラム、0.1159モル)、実施例2からの中間体(40.0グラム、0.0527モル)、およびトルエン(150ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびディーン・スターク・トラップを取り付けた500mlの4口丸底反応フラスコに充填した。140℃で事前加熱した高温の油浴中で、 300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80−90℃に達したときには、すべての固体は溶解し、硫酸(0.49グラム)を注意深く添加した。その後すぐに、112℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流状態で10時間混合しながら維持した。理論水容積(1.9ml)に対する、ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積を測定することで、反応進展をモニターした。反応の間にフラスコ側面にいくらかゲルが生成し、反応溶液の色が暗オリーブグリーンから曇った金色に変化し、ディーン・スターク・トラップで1.9mlの水を採取した。終了次第、反応を冷却し、ろ過して灰色のケーキと暗金色のろ液を得た。このろ液に交換樹脂(60グラム)を添加し、混合物を1時間機械的に攪拌した。反応混合物をろ過して黄色の溶液になった。さらにトルエンを添加して、溶液の容積を600mlに調節した。この反応溶液にシリカゲル(60グラム)を添加し、この混合物を1時間機械的に攪拌した。シリカゲルをろ過で分け、0.03グラムのメチルヒドロキノンを重合禁止剤として添加した。得られた透明で黄色の反応溶液から、40℃、回転エバポレーターで溶媒をストリッピングし、冷却して無定形の黄色個体を得た。生成物の構造を1H−NMRによって確認した。上記構造式を参照。
【0104】
実施例8
実施例1からの中間体、MCAおよびMPAからのオリゴマーの製造
【0105】
【化24】

【0106】
MCA(4.62グラム、0.0219モル)、MPA(3.70グラム、0.0219モル)、実施例1からの中間体(13.0グラム、0.0199モル)、およびトルエン(63ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびトルエンで満たされたディーン・スターク・トラップを取り付けた250mlの4口丸底反応フラスコに充填した。140℃で事前加熱した高温の油浴中で、 300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80−90℃に達したときには、すべての固体は溶解し、硫酸(0.19グラム)を添加した。その後すぐに、112℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流状態で10時間混合しながら維持した。理論水容積(0.7ml)に対する、ディーン・スターク・トラップで採取した生成水容積を測定することで、反応をモニターした。反応の間にフラスコ側面にいくらかゲルが生成し、反応溶液の色が透明な金色から透明な橙色に変化し、ディーン・スターク・トラップで0.7mlの水を採取した。終了次第、反応液をろ過し、このろ液に交換樹脂(15グラム)を添加し、混合物を1時間機械的に攪拌した。反応混合物をろ過して不透明な黄色のろ液にを得た。この反応溶液にシリカゲル(15グラム)を添加し、この混合物を1時間機械的に攪拌した。シリカゲルをろ過で分け、得られた透明で黄色の反応溶液から、60℃、回転エバポレーターで溶媒をストリッピングした。生成物は、容易に粉末に粉砕される泡沫状の金色個体であった。構造を1H−NMRによって確認した。上記構造式を参照。この物質の融点は、DSCの分析で52℃であった。
【0107】
実施例9
ビス−フェノールAイミドジオール、アジピン酸およびマレイミドカプロン酸の付加物の製造
【0108】
【化25】

【0109】
アジピン酸(4.82グラム、0.0330モル)、ビス−フェノールAイミドジオール(60.0グラム、0.0791モル)およびトルエン(200ml)を、温度計、機械的混合器、コンデンサ、およびトルエンで満たされたディーン・スターク・トラップを取り付けた1Lの4口丸底反応フラスコに充填した。145℃で事前加熱した油浴中で、300rpmで混合しながら反応フラスコを窒素パージした。反応温度が80℃に達したとき、メタンスルホン酸(2.32グラム)を注意深く添加した。その後すぐに、〜106℃で還流しながら反応を開始した。窒素パージを止め、反応を還流温度で2時間混合しながら維持した。反応の間に、反応溶液の色が不透明な橙色から暗色の2相分散体に変化し、ディーン・スターク・トラップで1.2mlの水を採取した。
【0110】
反応溶液を室温まで冷却した。上相は灰色で下相は黒色であった。次いで、145℃で事前加熱した油浴中で、300rpmで混合しながら、この反応液にMCA(20.9グラム、0.0990モル)を添加した。反応を、還流温度でさらに10時間混合しながら維持した。この時間の間に、理論量の水全容積をディーン・スターク・トラップで採取した(2.6ml)。この反応混合物は、フラスコの側面上に蓄積されたいくらかの褐色ゲルを有する暗褐色溶液になり、泡立ちが認められた。褐色および橙色ゲルを反応液から室温でろ過分離し、濁った琥珀色の溶液を得た。メチレンクロライドを追加して、200mlから400mlへ容積を増加した。このことは、前記濁った2相分散体を透明および均一にする効果がある。樹脂、Amberlyst A−21(44グラム)を添加し、混合物を機械的に1時間攪拌した。樹脂A−21のろ過分離は、非常にゆっくりであった。次に、44グラムのシリカゲルを添加し、混合物を機械的に1時間攪拌した。シリカゲルをろ過分離して、濁った金色の溶液になった。この溶液から溶媒を回転エバポレーターでストリッピングし、泡沫状の黄褐色固体生成物を得た。生成物の付加物を粉砕し、60℃、真空オーブン中で乾燥して、構造を1H−NMRで確認した。ほとんどのMCA誘導体に特有であるが、マイケル付加物は、この物質の不純物の大半を占める。この付加物の融点は、95℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水物とアミノアルコールとの反応によって形成される、少なくとも1つのイミド部分を有するアルコール。
【請求項2】
(a)前記無水物が、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物、ホモフタル酸無水物、2−メチレンコハク酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、3,1−ベンゾキサジン−2,4(1H)−ジオン、4,4’−(ヘキサフルオロ−イソプロピリジン)ビスフタル酸無水物(6FDA)、4,4’−ビスフェノールA二無水物、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジエチレントリアミン−5酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、およびマレイン酸無水物官能基化ポリブタジエンからなる群より選択され;および
(b)前記アミノアルコールが、4−アミノフェニル−エタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−フェニル−エタノール、(R)−2−アミノ−2−フェニル−エタノール、1−(3−アミノフェニル)エタノール、および2−アミノ−3−メチルベンジルアルコールからなる群より選択される、請求項1に記載のアルコール。
【請求項3】
構造:
【化1】

を有する、請求項1に記載のアルコール。
【請求項4】
少なくとも1つのイミド部分および少なくとも1つのエステル部分を有する反応性オリゴマーであって、(i)イミド結合ジオール中間体を与えるための二無水物とアミノアルコールとの反応、および(ii)前記ジオール中間体と追加の反応性官能基を有するカルボン酸とのエステル化、の生成物である、反応性オリゴマー。
【請求項5】
前記二無水物が、4,4’−(ヘキサフルオロ−イソプロピリジン)ビスフタル酸無水物または4,4’−ビスフェノールA二無水物である、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項6】
前記アミノアルコールが、4−アミノフェネチルアルコールである、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項7】
前記カルボン酸が、アクリレート、メタクリレート、スチレン、シンナミル、マレエート、フマレート、プロパギルエーテル、ビニルエーテル、エポキシ、オキセタン、ベンゾキサジン、オキサゾリン、シアネートエステル、およびシランからなる群より選択される追加の反応性官能基を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項8】
構造:
【化2】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項9】
構造:
【化3】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項10】
構造:
【化4】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項11】
構造:
【化5】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項12】
構造:
【化6】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項13】
構造:
【化7】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項14】
構造:
【化8】

を有する、請求項4に記載の反応性オリゴマー。
【請求項15】
請求項4に記載の反応性オリゴマーを含む、硬化性組成物。

【公表番号】特表2010−534651(P2010−534651A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518162(P2010−518162)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/074463
【国際公開番号】WO2009/014541
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】