説明

イヤーピース及びそれを備えたヘッドホン

【課題】ヘッドホン本体の筒部から外れにくいイヤーピースを提供する。
【解決手段】両端部に開口する貫通孔(18a)を有する筒状部(18e)と、筒状部(18e)の一方の端部側に連結し、一方の端部側から他方の端部側に向け筒状部(18e)を覆うように傘状に延在する傘状部(18b)と、を有する弾性部材(18dn)と、一方の端部側に埋設されたリング状の基部(18f1)と、筒状部(18e)に埋設され基部(18f1)から延出し他方の端部側に向けて延出する腕部(18f2)と、を有するフレーム(18f)と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤーピース及びそれを備えたヘッドホンに係り、特に、ヘッドホン本体に設けられた放音部となる筒部に装着されて筒部と共に外耳道内に挿入されるイヤーピース及びそれを備えたヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドホンの本体に設けられた放音部となる筒部にイヤーピースを装着し、筒部と共にイヤーピースを外耳道内に挿入して使用する、いわゆるカナル型などと称されるヘッドホンが普及している。
このヘッドホンの一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1では、イヤーピースはイヤーパッドと称して記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−191663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているようなイヤーピースは、ヘッドホンの本体に設けられた筒部に嵌合する筒状部と、筒状部の一端側に連結し筒状部の外側にそれを覆うように傘状に延在する傘状部とを有している。
イヤーピースは、外耳道内に挿入されるため、柔軟性を有するシリコンゴムなどのゴム材で形成される。
特に、傘状部は、外耳道の内壁に良好に密着するために、薄肉に形成されより柔軟性が高められている。
【0005】
一方、筒状部は、筒部から容易に外れないように厚肉に形成され、傘状部より剛性が高められている。
しかしながら、イヤーピースは、基本的に素材がゴムであり、また、外耳道内に挿入できる外径で形成しなければならないため、筒状部の肉厚を際限なく厚くすることはできない。
【0006】
従って、筒状部の剛性を高めるのには限界があり、筒状部にある程度以上の力が加わると、ヘッドホン本体の筒部から外れてしまう場合があった。
具体的には、ヘッドホンを鞄の中に入れて満員電車などに乗り、降車後取り出したらイヤーピースが外れていた、という場合である。この場合、イヤーピースを紛失する可能性もある。
従って、ヘッドホン本体の筒部から外れ難いイヤーピースやそれを備えたヘッドホンが望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、これらの課題を解決するために創出されたものであって、その目的は、ヘッドホン本体の筒部から外れにくいイヤーピース及びそれを備えたヘッドホンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願発明は次の1)〜6)の構成を有する。
1) 両端部に開口する貫通孔(18a)を有する筒状部(18e)と、前記筒状部(18e)の一方の端部側に連結し、前記一方の端部側から他方の端部側に向け前記筒状部(18e)を覆うように傘状に延在する傘状部(18b)と、を有する弾性部材(18dn)と、前記一方の端部側に埋設されたリング状の基部(18f1)と、前記筒状部(18e)に埋設され前記基部(18f1)から延出し前記他方の端部側に向けて延出する腕部(18f2)と、を有するフレーム(18f)と、を備えたイヤーピース(50)である。
2) 両端部に開口する貫通孔(18a)を有する筒状部(18e)と、前記筒状部(18e)の一方の端部側に連結し、前記一方の端部側から他方の端部側に向け前記筒状部(18e)を覆うように傘状に延在する傘状部(18b)と、を有する弾性部材(18dn)と、前記一方の端部側に埋設され前記筒状部(18e)内で外部に露出するフィルター部(18fft)を有する基部(18f11)と、前記筒状部(18e)に埋設され前記基部(18f11)から延出し前記他方の端部側に向けて延出する腕部(18f21)と、を有するフレーム(18f)と、を備えたイヤーピース(18)である。
3) 前記筒状部(18e)は、前記他方の端部側に内方に突出する突出部(18c)を有し、前記腕部(18f2)の先端(18f2t)が前記突出部(18c)に対応する範囲に位置することを特徴とする1)または2)に記載のイヤーピース(18)である。
4) 前記腕部(18f2)は、前記基部(18f2)から離れるに従って幅が変化する幅変化部を有することを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載のイヤーピース(18)である。
5) 本体部(16)と、前記本体部(16)から突出する放音筒部(16a)と、前記本体部(16)または前記放音筒部(16a)に取り付けられたドライバユニット(30)と、前記放音筒部(16a)に装着された1)または2)記載のイヤーピース(18)と、を備えたヘッドホン(10)である。
6) 前記放音筒部(16a)は環状の凹部(16i)を備え、前記凹部(16i)に前記突出部(18c)が係合して前記イヤーピース(18)が前記放音筒部(16a)に装着されるよう構成されていることを特徴とする5)に記載のヘッドホン(10)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、イヤーピースがヘッドホン本体の筒部から外れ難い、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のヘッドホンの実施例を説明するための三面図である。
【図2】本発明のヘッドホンの実施例を説明するための断面図及び側面図である。
【図3】本発明のヘッドホンの実施例における使用態様を説明するための図である。
【図4】本発明のヘッドホンの実施例を説明するための平面図である。
【図5】本発明のイヤーピースの実施例における要部を説明するための二面図である。
【図6】本発明のヘッドホンの実施例を説明するための部分断面図である。
【図7】本発明のヘッドホンの実施例において要部が異なる材料で形成された場合を説明するための部分断面図である。
【図8】本発明のイヤーピースの実施例における要部を説明するための部分的平面図である。
【図9】本発明のイヤーピースの実施例を製造する際のインサート成形について説明するための部分断面図である。
【図10】本発明のイヤーピースの実施例における変形例を説明するための部分的平面図である。
【図11】本発明のイヤーピースの実施例における変形例を説明するための二面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図9を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態に係るヘッドホン10の正面図であり、図1(b)は、実施形態に係るヘッドホン10の左側面図であり、図1(c)は、実施形態に係るヘッドホン10の上面図である。図1(a)〜図1(c)は、左耳用のヘッドホン10を示す。
【0012】
ヘッドホン10は、ステレオ音声出力用のヘッドホンユニット(図示せず)に含まれる。ヘッドホンユニットは、右耳用のヘッドホン、接続プラグ、およびケーブルをさらに備える。右耳用のヘッドホン(図示せず)は、ヘッドホン10と面対称に形成されている。
ケーブルは途中から二股に分かれるように設けられている。二股に分かれていない端部に接続プラグが結合され、二股に分かれた端部の各々に左耳用のヘッドホン10および右耳用のヘッドホンがそれぞれ結合されている。
接続プラグは、ポータブルミュージックプレーヤなどの音声出力機器のヘッドホン端子(図示せず)に挿入される。このとき接続プラグに音声出力に利用される電気信号が入力されると、ケーブルを介して、左側音声出力に利用される電気信号は左耳用のヘッドホン10に伝達され、右側音声出力に利用される電気信号は右耳用のヘッドホンに伝達される。
なお、ヘッドホンユニットがモノラル音声出力用として設けられてもよい。また、ヘッドホンユニットが、2つのヘッドホンを有しておらず片耳用の単一のヘッドホンを有していてもよい。
【0013】
以下、図1(a)〜図1(c)に関連してヘッドホン10の構成について説明する。なお、左耳用のヘッドホン10を説明することで、右耳用のヘッドホンの説明は省略する。
【0014】
ヘッドホン10は、本体16、イヤーピース18、クッション22、オーナメント24、およびブッシング26を有する。
本体16は樹脂によって形成され、筒部16aと筒部16aから径外向きに突出する傾斜部16bとによって構成される。筒部16aの軸方向がヘッドホン10の外耳道への挿入方向D1となる。筒部16aの先端にはイヤーピース18が取り付けられる。
また、傾斜部16bにおける筒部16aが延在する方の側面にクッション22が取り付けられる。本体16の前面にはオーナメント24が取り付けられ、本体16の下面にはブッシング26が下方に延在するよう取り付けられている。
【0015】
以下、筒部16aおよびイヤーピース18など、ヘッドホン10の外耳道への挿入方向D1に延在するヘッドホン10の構成要素を挿入部12という。
また、傾斜部16bやクッション22など、挿入部12から径外向きに突出するヘッドホン10の構成要素を挿入規制部14という。挿入部12は、使用時にユーザの外耳道に先端の一部が挿入される。
挿入規制部14は、挿入部12が想定挿入位置まで挿入されたときに、耳介の一部に当接して想定挿入位置より奧への挿入部12の挿入を規制する。
【0016】
図2(a)は、実施形態に係るヘッドホン10の下方向から見た断面図であり、図2(b)は、オーナメント24を取り外したときのヘッドホン10を、図2(a)の視点Pから見た図である。以下、図2(a)および図2(b)の双方に関連してヘッドホン10の構造について詳細に説明する。
【0017】
ヘッドホン10は、ドライバユニット30、ユニットホルダ32、および制振ジェル34をさらに有する。
ドライバユニット30は、筒部16aと同一の外径を有する、高さの低い円柱状に形成されている。
ドライバユニット30は、ボイスコイル(図示せず)に電気信号が供給されることにより駆動される振動板(図示せず)の振動音を外耳道内に出力する。
したがって、ドライバユニット30はいわゆる電気音響変換器であって音声出力部として機能する。ドライバユニット30は、端面の一方が、振動板から発せられる音声が出力される音声出力面30aとなる。
また、裏面30b側には、外部から供給される電気信号を伝達するリード線が接続される一対の端子30tが設けられている。
【0018】
図4は、図1(c)における矢視YS図であり、ヘッドホン10からイヤーピース18を取り外した状態を示している。以下、図1〜図3に加え図4も参照して説明する。
【0019】
ユニットホルダ32は、底部32tを有する有底の円筒状を呈し内径がドライバユニット30の外径と同一になるよう形成されている。その内径は例えば5.95mmとされている。
ユニットホルダ32は、金属のプレス加工により形成されている。用いる素材としては厚さ0.15mmの鉄板がある。素材が鉄板の場合は亜鉛メッキなどの表面処理を施すとよい。
【0020】
また、ユニットホルダ32の底部32tには、音声が良好に通過するよう、微小な貫通孔32bが複数設けられている。実施例においては貫通孔32bは円形であり、その直径は、例えば0.4mmとされている。
【0021】
図2(a)において、ユニットホルダ32の開口部近傍には、径内向きに突出する係止突部32aが組み立て工程におけるかしめ作業により設けらる。
【0022】
一方、筒部16aの先端近傍には、径内向きに凹む第1係止溝16hが設けられている。ユニットホルダ32は、音声出力面30aが底部に突き当たるようドライバユニット30を内部に収容し、筒部16aの開口端部16a1がドライバユニット30の裏面30bに当接した状態で、係止突部32aが第1係止溝16hに係止されることにより、ドライバユニット30を本体16に固定する。
この係止はカシメ加工で係止突部32aを形成することでなされる。
【0023】
ユニットホルダ32は、上述のように金属によって有底の薄肉円筒状に形成されている。
このようにユニットホルダ32を金属で形成することにより、ユニットホルダ32を薄く形成することができ、挿入部12の太さを抑制することができる。
【0024】
実施形態では、ユニットホルダ32は黄銅材によって形成される。なお、ユニットホルダ32を形成する材料は黄銅材料に限られないことは勿論であり、例えばアルミニウムや鉄系材料、ステンレス材料など他の金属材料が用いられてもよい。また、ユニットホルダ32の表面に、例えば亜鉛メッキなどの表面処理が施されても良い。
【0025】
ここで、後述するように、ドライバユニット30は外耳道の想定挿入位置まで挿入部12が挿入されたときに、外耳道にその全体が包含される。このようにドライバユニット30を外耳道に包含可能とするためには、ドライバユニット30の径を小さくする必要がある。
【0026】
一方、ドライバユニット30の径を小さくすると、内蔵されたボイスコイルや永久磁石などのサイズも小さくする必要が生じる。
したがって、ドライバユニット30を小型化していくと、出力される音声の音質低下を抑制するのは次第に困難となる。
【0027】
このため、本体16の筒部16aには、先端部に開口部を有する空隙部であるバックキャビティBCを形成するための筒状の内面を有するバックキャビティ部16cが設けられている。
【0028】
この実施例では、バックキャビティ部16cは円筒状とされている。バックキャビティBCは、筒部16aにおける開口部を有する開口端部16a1がドライバユニット30の裏面30bに当接することにより画定される。このようなバックキャビティBCを設けることにより、ドライバユニット30を小型化することによる音質の低下を抑制できる。
【0029】
なお、バックキャビティBCを設けることにより、ドライバユニット30を小型化することによる低音域の出力低下を特に補完する効果があることが発明者の研究開発の結果明らかになっている。
【0030】
さらに、バックキャビティBCとバックキャビティ部16cは、外耳道の想定挿入位置まで挿入部12が挿入されたときに、その一部が外耳道に包含されるよう形成される。
これにより、バックキャビティ部16cを設けることに起因して耳介の外部に突出する部分の大きさを抑制することができる。
【0031】
イヤーピース18は、ゴムなどの弾性材料によって形成されている。
図2(a)に示すように、イヤーピース18は底部18tを有する筒状部18eを含んで形成され、その筒状部18eにおける底部18tには円形の貫通孔である音声出力孔18aが設けられている。
換言するならば、イヤーピース18の筒状部18eは、両端部が開口する貫通孔を有して形成されている。
また、イヤーピース18には、筒状部18eの底部18t側に一体的に結合する傘状部18bが設けられている。
傘状部18bは、結合した一方の端部側から他方の端部側に向け、筒状部18eを覆うように傘状に延在している。
イヤーピース18の筒状部18eの開口部(底部18tの反対側)近傍には、径内向きに突出する係止突部18cが設けられている。
一方、第1係止溝16hよりも開口部から微小に離間した筒部16aの表面には、径内向きに凹む第2係止溝16iが設けられている。
この第2係止溝16iに係止突部18cが係止されることにより、筒状部によってユニットホルダ32の全体を包み込むようにイヤーピース18が本体16に取り付けられる。
【0032】
以上により、ドライバユニット30の音声出力面30aからの音声は、ユニットホルダ32の多数の貫通孔32bおよびイヤーピース18の音声出力孔18aを通過して外部に出力される。
【0033】
また、イヤーピース18は、フレーム18fを備えている。フレーム18fは、イヤーピース18に埋設されて一体化されている。このフレーム18fを含むイヤーピース18の詳細については、図5〜図11を用いて後述する。
【0034】
図2(a)において、本体16には、バックキャビティ部16cと底部16lを挟んで同軸に延在し、本体16の前面において開口するジェル挿入孔16fが設けられている。
バックキャビティ部16cとジェル挿入孔16fとに介在する底部16lには、貫通孔であるワイヤ挿通孔16dおよび同じく貫通孔である複数の通気孔16eが設けられている。
ワイヤ挿通孔16dには、ドライバユニット30に接続されて電気信号を供給するワイヤ(リード線)が挿通されている。
通気孔16eは、ドライバユニット30に内蔵された振動板が円滑に振動できるよう、バックキャビティBCと外気とを連通させている。
【0035】
ジェル挿入孔16fには、ジェル挿入孔16fの内径と略同一の外径を有する円盤状の制振ジェル34が配置されている。
制振ジェル34は、例えばケーブルと衣服とがこすれて生じた音の鼓膜への伝達を抑制する。
このため制振ジェル34は、制振性能の高い材料によって形成されている。制振ジェル34は、それぞれワイヤ挿通孔16dおよび通気孔16eと同じ形状および同じ位置に形成されるワイヤ挿通孔34aおよび通気孔34bが設けられている。制振ジェル34は、底部に突き当たるまでジェル挿入孔16fに挿入されている。
また、ジェル挿入孔16fの側壁には、ブッシング26を取り付けるためのブッシング挿入孔16gが設けられている。
【0036】
本体16の前面には、オーナメント24を取り付けるためのオーナメント取付部16kが設けられている。オーナメント取付部16kは、本体16の前面から一定の深さでくり抜かれたように形成されている。
このオーナメント取付部16kにオーナメント24が嵌め込まれて固定されている。オーナメント24はアルミニウム材料によって形成されている。なお、オーナメント24が他の材料によって形成されてもよいことは勿論である。
【0037】
また、本体16の傾斜部16bには、オーナメント取付部16kとその裏面とに貫通するクッション取付孔16jが設けられている。
クッション22は、耳介当接部22aおよび取付突部22bによって構成される。耳介当接部22aは、ヘッドホン10がユーザの耳に装着されたときに耳介に当接する。取付突部22bは、クッション22を本体16に取り付けるべく、耳介当接部22aから外部に突出するよう形成されている。
この取付突部22bがクッション取付孔16jに嵌め込まれることによりクッション22が本体16に固定されている。
【0038】
なお、実施形態では、挿入規制部14は、挿入部12が外耳道に挿入されるときの挿入方向D1と垂直な面(以下、「垂直面PL1」という)に対して角度θをもって延在している。
具体的には、開口部近傍における耳介と外耳道の延在方向とが成す角度を考慮し、挿入規制部14は、垂直面PL1に対してθ=23.5度を成す方向に延在している。
このような角度に設定することで、ヘッドホン10がユーザの耳に装着されたときに、オーナメント24が前後方向に延在するよう配置することができ、装着時におけるヘッドホン10の快適な装着感とヘッドホン10の高いデザイン性の双方を実現することができる。
なお、挿入規制部14は、垂直面PL1に対して例えば20度以上30度以下の角度を成す方向に延在してもよい。このような角度の範囲で挿入規制部14が延在しても、装着時におけるヘッドホン10の装着感およびデザイン性を維持することができる。
【0039】
図3は、ユーザの右耳に右耳用のヘッドホン10が装着されたときの状態を示す外観図である。
なお、図3に示すヘッドホン10は、図1(a)〜(c)および図2(a),(b)に示す左耳用のヘッドホン10に対して線対称に形成されたものである。
耳介94は、外耳道の開口部周辺において椀状部94aを有する。
傾斜部16bは、ヘッドホン10がユーザの耳に装着されたときに、この椀状部94aの内壁に先端部16mが当接する長さに形成されている。
上述のように挿入規制部14は、垂直面PL1に対して角度θをもって延在している。
したがって、傾斜部16bが椀状部94aの内壁に当接することで、挿入部12を外耳道の内部に挿入させる方向に反力が与えられる。
このため、取れにくく良好な装着感をユーザに与えることができる。
【0040】
図2(a)に戻る。クッション22は、先端部16mの位置まで延在していてもよい。
また、クッション22とは別の弾性部材が先端部16mの位置に設けられてもよい。このとき当該別の弾性部材はクッション22よりも柔らかい部材で形成されてもよい。
これにより、ヘッドホン10の装着感をより向上させることができる。
【0041】
さらに、挿入規制部14は、自身の延在方向および挿入部12が外耳道に挿入されるときの挿入方向D1の双方に直交する方向の幅、すなわち図2(b)における左右方向の第2幅W2が、挿入部12のうちユニットホルダ32の当該方向の第1幅W1と略同一に形成されている。
実施形態では、ドライバユニット30を挿入部12に収容している。
したがって、挿入規制部14にドライバユニット30を収容する必要がないため、挿入規制部14の幅を挿入部12の幅と容易に略同一にすることができる。
【0042】
挿入規制部14の幅が大きくなると、挿入規制部14が椀状部94aに配置されたときに、挿入規制部14を着脱するための指のスペースが不足する可能性がある。
このように挿入規制部14の幅を挿入部12の幅と略同一とすることにより、ユーザの耳にヘッドホン10が装着されたときに、挿入規制部14の周辺に指のスペースを確保することができ、ヘッドホン10の耳への着脱を容易なものとすることができる。
【0043】
次に、イヤーピース18の詳細について図5〜図11を用いて説明する。
【0044】
図5(a)〜(c)はフレーム18fを示す二面図である。
フレーム18fは、孔のあいていない金属の板材(以下、単に金属板とも称する)または複数の小さい孔を有する金属の板材をプレス加工して形成される。後者の材料としていわゆるパンチングメタルを用いることができる。
金属は限定されない。例えば、鉄材がある。プレス加工後にメッキなどの2次加工を施してもよい
また、金属に限らず、ある程度の剛性を有する樹脂材で形成してもよい。後述するがフレーム18fはインサート成型されるので、樹脂材を用いる場合は耐熱性の高い材料が好適である。例として、ポリアミドなどがある。
【0045】
図5(a)は、フレーム18fの材料に金属板を用いた場合の平面図であり、図5(c)はその側面図である。
図5(b)は、フレーム18fにパンチングメタルを用いた場合の平面図であり、図5(c)が側面図である。側面図は、両材料において外形は共通である。
素材として用いる金属板及びパンチングメタルの厚さは、例えば0.1mmである。パンチングメタルの開口部は小さいので、図5(b),図5(c)では便宜的に開口部を省略して記載している。
【0046】
まず、図5(a)において、フレーム18fは、開口部18fkを有してリング状を呈する基部18f1と、基部18f1の外周部に互いに約90°の角度間隔で設けられ、基部18f1の外周部から径方向外側に延出し、その先端部が、それぞれ円弧状の外面を有して同じ方向に折り曲げられた腕部18f2と、を有して形成されている。
開口部18fkは、形状は限定されないが例えば円形であり、その内径をφfkとし、詳細は後述する。
【0047】
図5(b)において、フレーム18fは、円板状の基部18f11と、基部18f11の外周部に互いに約90°の角度間隔で設けられ、基部18f11の外周部から径方向外側に延出し、その先端部が、それぞれ円弧状の外面を有して同じ方向に折り曲げられた腕部18f21と、を有して形成されている。
【0048】
図5(c)において、腕部18f2(18f21)は、その先端から基部18f1(18f11)の外側面までの距離をLf2とし、幅をWf2として形成されている。
【0049】
フレーム18fは、いわゆるインサート成形により弾性部材であるゴム材のイヤーピース18の内部に概ね埋め込まれて一体的に成形される。すなわち、イヤーピース18は、フレーム18fとそれが埋め込まれる弾性部材18dnとを有して形成されている。
フレーム18fは、必ずしも弾性部材18dnに全体が埋め込まれていなくてもよく、部分的に外部に露出するように成形されていてもよい。
フレーム18fをパンチングメタルとした場合には、イヤーピース18の音声出力孔18aにおいて外部に露出する。
【0050】
図6は、金属板を用いて形成されたフレーム18f(図5(a),(c)に示される)を有するイヤーピース18をヘッドホン10の筒部16aに取り付けた状態の断面図として示している。図6では、便宜的にイヤーピース18のみ断面で示している。この図6は、フレーム18fについて図5(a)におけるSC1−SC1線で断面した状態を示している。
【0051】
図6を用いて、イヤーピース18に一体的に設けられたフレーム18fの位置について説明する。
【0052】
イヤーピース18の底部18tの肉厚T1及び筒状部18eの肉厚T2はそれぞれ、1.0mmと設定されている。
フレーム18fは、その基部18f1の中心軸CL1と筒部16aの中心軸CL2とを一致させ、底部18tにおいて、例えばその外側面から0.6mmの位置にフレーム18fの外側面が位置するようにインサート成形されている。
従って、フレーム18は、底部18tにおいて、フレーム18fに対して外側の肉厚が0.6mm、内側の肉厚が0.3mmとなるよう形成されている。
また、フレーム18fは、その腕部18f2が筒部16aにおいて厚さ方向のほぼ中央に位置するようにインサート成形されている。
【0053】
フレーム18fは、基部18f1から延出して折り曲げられた腕部18f2が形成され筒部16aに埋設されているので、ゴムで形成された部分と強固に一体化する。
また、フレーム18fは上述のように開口部18fk有している。その内径φfkは、イヤーピース18の音声出力孔18aの内径よりも大きく形成されている。例えば、音声出力孔18aの内径φaが3.4mm、開口部18fkの内径φfkが4.4mmである。
【0054】
また、距離Lf2は、腕部18f2の先端18f2aが筒状部18eの先端よりも基部18f1側に位置するように設定されている。
例えば、腕部18f2と筒状部18eの先端との距離Lfeが0.6mmとされる。
【0055】
腕部18f2の先端18f2aの位置は、筒部16aの形状に対応して設定するとよい。
具体的には、イヤーピース18を筒部16aに装着した際に、筒部16aの第2係止溝16iに対応する中心軸CL1方向範囲に位置するようにするとよい。
さらに換言するならば、第2係止溝16iに係止する係止突部18cに対応する中心軸CL1方向範囲αに位置するようにするとよい。
【0056】
このように、イヤーピース18にフレーム18fが埋設され、腕部18f2が基部18f1から係止突部18cに対応する位置まで延びているので、第2係止溝16iに係止する係止突部18cの変形が良好に抑制され、イヤーピース18が筒部16aから容易に外れることがなくなっている。
【0057】
また、腕部18f2が、互いに離隔するように複数設けられているので、フレーム18fは周囲のゴムと強固に一体化してイヤーピース18として形成される。
従って、外部から引きちぎるような外力が加わっても、フレーム18fがイヤーピース18から容易に外れることはない。
【0058】
また、腕部18f2が、互いに等角度間隔で離隔するように複数設けられているので、イヤーピース18が筒部16aから外れる際の外れ易さに周方向で差が生じない。従って、イヤーピース18に対してそれを外すようないかなる方向の力が加わっても、は、筒部16aに装着された状態を確実に維持できる。
【0059】
図7は、パンチングメタルを用いて形成されたフレーム18f(図5(b),(c)に示される)を有するイヤーピース18をヘッドホン10の筒部に取り付けた状態の断面図として示している。図7では、便宜的にイヤーピース18のみ断面で示している。
【0060】
まず、フレーム18fに設けられた複数の小さい孔について詳述する。
【0061】
フレーム18fは、図8に示されるマトリクス状に整列して設けられた小さい開口部18f3を複数有する金属の薄板をプレス加工して形成されている。従って、フレーム18fは、基部18f11及び腕部18f21に渡り、全体的に開口部18f3を有して形成されている。図5(a),図5(c),図7では便宜的に開口部18f3を省略してある。
フィルター18fは、複数の開口部18f3を有している。各開口部18f3は微小な開口なので、所定の大きさ以上の物体の通過を規制し、フィルター18fはいわゆる防塵用のフィルターとして機能する。音声出力孔18a内で露出した部分がフィルター部18fftとなる(図7参照)。
【0062】
開口部18f3は、実施例において矩形形状とされており、2辺の長さx1,y1がそれぞれ0.16mm,0.16mmとされている。また、開口部18f3の配列ピッチPx,Pyは、それぞれ0.26mm,0.26mmとされている。
【0063】
フレーム18fの素材としてパンチングメタルを使用することができる。例えば、厚さ0.1mmの鉄系のパンチングメタルとし、基部18f11及び腕部18f21などの形成後に亜鉛メッキなどの表面処理を施すとよい。
【0064】
次に、図7を用いて、イヤーピース18に一体的に設けられたパンチングメタルにより形成されたフレーム18fの位置について説明する。
【0065】
イヤーピース18の底部18tの肉厚T1及び筒状部18eの肉厚T2はそれぞれ、1.0mmと設定されている。
フレーム18fは、その基部18f11の中心軸CL1と筒部16aの中心軸CL2とを一致させ、底部18tにおいてその外側面から0.6mmの位置にフレーム18fの外側面が位置するようにインサート成形されている。
従って、イヤーピース18は、底部18tにおいて、フレーム18fに対して外側の肉厚が0.6mm、内側の肉厚が0.3mmとなるよう形成されている。
フレーム18fは、基部18f11から延出して折り曲げられた腕部18f21が形成されているので、ゴムで形成された部分と強固に一体化している。
また、フレーム18fは上述のように全面に開口部18f3を有しており、ゴムによるインサート成形時に、音声出力孔18aに露出する部分以外は開口部18f3内にゴムが流れ込んで一体成形される。
従って、フレーム18fは、ゴムで形成された部分とより強固に一体化されている。
【0066】
音声出力孔18aは、フレーム18fの外側と内側とが異なる径で形成されている。
具体的には、フレーム18fに対して外側の径φcが内側の径φdよりも小さくなっている。
【0067】
例えば、外側の径φcは3.4mmとされ、内側の径φdは4.0mmとされる。
【0068】
フレーム18fに対する外側の音声出力孔18aを内側よりも小さくした場合の詳細形態について図9を用いて説明する。
【0069】
図9(a),(b)は、図7のイヤーピース18におけるE部について、インサート成形時の金型配置を示す部分断面図である。
図9(a)は、図7で示したように、音声出力孔18aの内径についてフレーム18fに対して外側を内側よりも小さくした場合を示し、図9(b)は、音声出力後18aの内径についてフレーム18fに対して外側を内側よりも大きくした場合を示している。
【0070】
まず、図9(a)において、インサート成形時に、フレーム18fの内側と外側とにおける音声出力孔18aとなる空間にはそれぞれ金型K1と金型K2とが入り込んでいる。
金型K1の外形Cuの位置及び金型K2の外形Csの位置が、成形後に音声出力孔18aの内面の位置となり、外形Cuが外形Csよりも中心軸CL1よりも離れた位置にある。
インサート成形により金型K1,K2が存在しない部分にゴム(図9における点描範囲)が充填されている。
【0071】
図9(a)は、音声出力孔18aにおいて外観から視認される側を形成する金型K2が開口部18f3の内の一つの開口部18f3aを跨いで一部を塞いでいる場合を示している。
この場合、開口部18f3aにはゴムが入り込むものの、それよりも内側に隣接する開口部18f3bは金型K1と金型K2とで完全に塞がれているので、その内部にゴムが入り込むことはない。
従って、図9(a1)に模式的に示すように、成形後に外部から視認される開口部18f3は、その音声出力孔18aの内壁に連なる開口部18f3aのみにゴムが充填されているのが認識されるのみであり、内壁から離隔した開口部18f3bは、ゴムが充填されてない貫通孔として認識される。
【0072】
一方、図9(b)においても、インサート成形時に、フレーム18fの内側と外側とにおける音声出力孔18aとなる空間にはそれぞれ金型K1と金型K2とが入り込んでいる。
金型K1の外形Cuの位置及び金型K2の外形Csの位置が、成形後に音声出力孔18aの内面の位置となり、外形Cuが外形Csよりも中心軸CL1に近い位置にある。
インサート成形により金型K1,K2が存在しない部分にゴム(図9における点描範囲)が充填されている。
【0073】
図9(b)は、音声出力孔18aにおいて外観から視認される側を形成する金型K2が、複数の開口部18f3の内の一つの開口部18f3aを跨いでその一部を塞ぎ、金型K1が開口部18f3aに中心軸CL1側に隣接する開口部18f3bの一部を跨いでその一部を塞いでいる状態を示している。
この場合、この場合、開口部18f3aと開口部18f3bとの両方にゴムが入り込む。
従って、図9(b1)に模式的に示すように、成形後に外部から視認される開口部18f3aは、その音声出力孔18aの内壁に連なる開口部18f3aにゴムが充填されているのが認識されるが、内壁から離隔した開口部18f3bにもゴムが充填され、開口部18f3bは塞がれた貫通孔として認識される。
【0074】
つまり、外観品位としては、図9(a1)で示されるように、音声出力孔18aの内壁から離隔した開口部18f3はできるだけ塞がれていない方が好ましい。
また、開口部18f3の内径を、フレーム18fの外側と内側とで同じにした場合、金型K1と金型K2との位置ずれがわずかに生じると、ゴムが充填されてしまう開口部18f3bが発生する可能性がある。
従って、実施例のように、フレーム18fに対する外側の音声出力孔18aを内側よりも小さくすることが望まれる。
【0075】
実施例によれば、ユニットホルダ32の貫通孔32bよりも外側(ドライバユニット30の反対側)に、フレーム18fを備えている。
従って、ドライバユニット30からの出力音は、フレーム18fを通過して外部に放出される。
また、ユニットホルダ32の底部32tの外側面32t1とフレーム18fの内側面18f4との間には、空間Sが形成されている。
【0076】
これにより、外部からの埃はその大部分がフレーム18fの開口部18f3を通過できず、フレーム18fの内側に侵入することはない。
また、仮に、開口部18f3を通過して内側に侵入する微小な埃があっても、空間Sが設けられているので、ユニットホルダ32の貫通孔32bに到達する埃はほとんどない。
従って、外部からの埃がユニットホルダ32の貫通孔32bを塞ぐ可能性はほとんどなく、外部からの埃によってヘッドホン10の出力音質の低下や音量の低下が生じることを防止することができる。
【0077】
また、イヤーピース18は、そのまま水洗いなどの洗浄が可能な材質と構造で形成されているので、イヤーピース18の開口部18f3に埃が付着あるいは堆積しても、イヤーピース18をヘッドホン10から取り外してユーザが洗浄することができる。
従って、ユーザは、イヤーピース18を常に清潔な状態で保つことができ、また、ヘッドホン10を長期間にわたり良好な音質と音量で使用することができる。
【0078】
腕部18f21については、金属板で形成された腕部18f2に対して小さな開口部18f3が設けられているものであり、開口部18f3に周囲のゴムが入り込んで成形されるので、より強固に一体化され、腕部18f2と同様にその形状や先端位置などを設定して上述した腕部18f2から得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0079】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0080】
上述した実施例は、ドライバユニット30が筒部16aの先端に設けられている構造について説明したが、これに限るものではない。
【0081】
ドライバユニット30が筒部16aを有する本体内部に配設されている形態(例えば特許文献1に記載されている形態)にも適用することができる。
【0082】
フレーム18fの開口部18f3の形状は、実施例で説明したものに限らない。
開口部18f3は、互いに同じ形状でなくてもよい。また、互いに同じ大きさでなくてもよい。
開口部18f3の形状は矩形以外の形状であってもよい。例えば、円形、楕円、長丸、星型、不定形形状であってもよい。
開口部18f3の配列はマトリクス状に限らない。千鳥状、放射状、渦巻き状、ランダム配列、など種々の配列とすることができる。各形状、各配列は自由に組み合わせることができる。
図10(a)に、開口部18f3を円形開口とし、マトリクス状に設けた開口パターン例を示す。
図10(b)に、開口部18f3を楕円形開口とし、マトリクス状に設けた開口パターン例を示す。
図10(c)に、開口部18f3を不定形開口とし、マトリクス状に設けた開口パターン例を示す。
図10(d)に、開口部18f3を長方形開口とし、千鳥状に配列した開口パターン例を示す。
図10(e)に、開口部18f3を長丸開口とし、放射状に配列した開口パターン例を示す。
図10(f)に、開口部18f3を円形開口とし、渦巻き状に配列した開口パターン例を示す。
図10(g)に、開口部18f3を星型開口とし、ランダムに配列した開口パターン例を示す。
【0083】
フレーム18fの素材は、平板状でなくても、線材を編んだ網状の物でも良い。
網状物の場合、開口部18f3は網目の隙間となる。この網が所定の大きさ以上の物体の通過を規制する。
また、フレーム18fは、上述のように金属材料に限らず、樹脂材料で形成されていてもよい。樹脂を用いてインサート成形する場合は、耐熱性を有する素材を選択することが望ましい。
【0084】
フレーム18fの腕部18f2の数は、実施例で説明した4つに限るものではない。1つでもよいが、周方向に互いに離隔して複数個設けられることが望ましい。
腕部18f2の基部18f1からの突出高さも、各腕部18f2で異なっていてもよい。腕部18f2の形状も限定されるものではない。
フレーム18fは、開口部18f3が、イヤーピース18の音声出力孔18aに露出する部分のみに形成されていてもよい。
【0085】
イヤーピース18の材料もシリコンゴムに限るものではない。また、ゴムに限るものではない。
イヤーピース18の音声出力孔18aは、円形でなくてもよい。矩形や楕円形等、形状は限定されない。
その場合でも、フレーム18fに対する外側と内側とで異なる大きさにし、具体的には、外側が内側よりも小さい開口となるようにすることが望ましい。
【0086】
また、音声出力孔18aは、フレーム18fに対する内側と外側とで相似形状であることが望ましいが、相似でない形状であってもよい。
実施例において、イヤーピース18の筒状部18eが底部18tを有する有底のものを説明したが、底部18tがない無底の筒状部18eであってもよい。
【0087】
腕部18f2の先端18f2tの位置は、係止突部18cに対応する中心軸CL1方向範囲に含まれていなくてもよく、基部18f1側に位置していてもよい。
この場合、係止突部18cが撓み易くなるが、ゴム材料として必要な剛性が得られものを選択することができれば、イヤーピース18が筒部16aから外れにくいという効果を発揮しつつフレーム18fを小さくすることができる。
【0088】
図11(a)〜(c)を用いてフレーム18fの変形例について説明する。
図11(a)〜(c)は図5(a)〜(c)に対応する図であり、図11(a)はフレーム18fの材料に金属板を用いた場合の平面図であり、図11(c)はその側面図である。
図11(b)は、フレーム18fにパンチングメタルを用いた場合の平面図であり、図11(c)が側面図である。側面図は、両材料において共通である。
【0089】
図11(a)〜(c)に示す変形例は、腕部18f2(18f21)の形状が異なり他は同じであるので、腕部18f2(18f21)について腕部18f2を代表して説明する。
【0090】
この変形例において、腕部18f2は、その幅が先端に向かうに従って変化するように形成されている。
具体的には、幅が先端に向かうに従って広がるように形成されている。すなわち、根本側の幅Wf2が先端側の幅Wf2aまで広がっている。
このように腕部18f2の先端側の幅を広くすることで、第1係止溝16iに係止する係止突部18cの係止力を高めることができる。
腕部18f2の数や形状は、イヤーピース18のゴム材の物性や、第1係止溝16iとの係合深さなどに応じて、装着力及び抜去力が最適になるように適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 ヘッドホン
12 挿入部
14 挿入規制部
16 本体
16a 筒部
16a1 開口端部
16b 傾斜部
16h 第1係止溝
16b 傾斜部
16c バックキャビティ部
16d ワイヤ挿入孔
16e 通気孔
16f ジェル挿入孔
16g ブッシング挿入孔
16h 第1係止溝
16i 第2係止溝
16j クッション取付孔
16k オーナメント取付部
16l 底部
16m 先端部
18 イヤーピース
18a 音声出力孔
18b 傘状部
18c 係合突部
18dn 弾性部材
18e 筒状部
18f フレーム
18fk 開口部
18f1,18f11 基部
18f2,18f21 腕部
18f3 開口部
18f4 内面
18fft フィルター部
18t 底部
22 クッション
22a 耳介当接部
22b 取付突部
24 オーナメント
26 ブッシング
30 ドライバユニット
30a 音声出力面
30b 裏面
30t 端子
32 ユニットホルダ
32a 係止突部
32b 貫通孔
32t 底部
32t1 外面
34 制振ジェル
34b 通気孔
94 耳介
94a 椀状部
BC バックキャビティ
CL1 フレームの中心軸
CL2 筒部の中心軸
D1 挿入方向
S 空間
φfk 内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に開口する貫通孔を有する筒状部と、前記筒状部の一方の端部側に連結し、前記一方の端部側から他方の端部側に向け前記筒状部を覆うように傘状に延在する傘状部と、を有する弾性部材と、
前記一方の端部側に埋設されたリング状の基部と、前記筒状部に埋設され前記基部から延出し前記他方の端部側に向けて延出する腕部と、を有するフレームと、
を備えたイヤーピース。
【請求項2】
両端部に開口する貫通孔を有する筒状部と、前記筒状部の一方の端部側に連結し、前記一方の端部側から他方の端部側に向け前記筒状部を覆うように傘状に延在する傘状部と、を有する弾性部材と、
前記一方の端部側に埋設され前記筒状部内で外部に露出するフィルター部を有する基部と、前記筒状部に埋設され前記基部から延出し前記他方の端部側に向けて延出する腕部と、を有するフレームと、
を備えたイヤーピース。
【請求項3】
前記筒状部は、前記他方の端部側に内方に突出する突出部を有し、
前記腕部の先端が前記突出部に対応する範囲に位置することを特徴とする請求項1または請求項2記載のイヤーピース。
【請求項4】
前記腕部は、前記基部から離れるに従って幅が変化する幅変化部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイヤーピース。
【請求項5】
本体部と、
前記本体部から突出する放音筒部と、
前記本体部または前記放音筒部に取り付けられたドライバユニットと、
前記放音筒部に装着された請求項1または請求項2記載のイヤーピースと、
を備えたヘッドホン。
【請求項6】
前記放音筒部は環状の凹部を備え、
前記凹部に前記突出部が係合して前記イヤーピースが前記放音筒部に装着されるよう構成されていることを特徴とする請求項5記載のヘッドホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−232982(P2010−232982A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78535(P2009−78535)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】