説明

イヤーマフ及びヘッドホン

【課題】 従来のものよりも前気室の容積を大きくすることができ、遮音性を高めたイヤーマフ及びヘッドホンを提供する。
【解決手段】 ヘッドバンド(14)と、ヘッドバンド(14)に取付けられたイヤーカップ(11)と、イヤーカップ(11)に固定されたバッフル板(12)と、バッフル板(12)に係止されたイヤーパッド(13)と、を備え、バッフル板(12)とイヤーパッド(13)の間に通気性部材(15)を有するイヤーバッド及びヘッドホンによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤーマフ及びイヤーマフの構造を備えたヘッドホンに関するものであって、詳しくは、バッフル板とイヤーパッドの間に通気性部材を配することで前気室の容積を大きく確保することができるイヤーマフ及びヘッドホンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のイヤーマフの縦断面の例を図5に示す。図5においてイヤーマフ60は、イヤーカップ61の開口部を塞ぐように固定されたバッフル板62にイヤーパッド63が固定され、バッフル板62とイヤーパッド63によって囲まれた空間が装着者の外耳道と連通する前気室64となっている。
バッフル板62は、外径が異なる2つのドーナツ状の部材を軸方向に乖離させた形状を有しており、前方のドーナツ状部材の外周部にフランジ部621が形成され、このフランジ部621にイヤーパッド63の表皮材の一部であるフラップ631が覆いかぶさっている。フラップ631は伸縮性素材で形成されており、この伸縮性によってフランジ部621に装着されて係止されている。フラップ631はゴム素材を内包し、このゴム素材の伸縮によってフランジ部621に覆いかぶさって係止される構造であってもよい。
【0003】
イヤーパッド63は、フランジ部621にフラップ631が覆い被せられることでバッフル板62に固定されている。バッフル板62には、フランジ部621を有することによってこのフランジ部621とバッフル板62の本体の外周縁部との間に、全周にわたる溝部622が形成されている。
【0004】
イヤーマフ60は、図示はしていないが、イヤーカップ61の外側にはイヤーパッド63の方向に押圧力を発揮する弾性部材によって形成されたヘッドバンドが取付けられており、このヘッドバンドの他方の端部には、もう一つのイヤーマフ60が対向して取付けられて左右一対の構成を成している。
【0005】
上記の構成を有する従来のイヤーマフは、イヤーパッドがヘッドバンドの押圧力によって装着者の耳介または耳介周辺の皮膚に押し当てられて密着する。これによって外部騒音を遮音する特性を発揮することができる。また、イヤーマフと同等の構造を持ち、かつ、これにスピーカユニットが付加されたヘッドホンにおいては、再生出力されている楽音の外部への漏洩を防ぐことができる。このようなイヤーマフの遮音性を高めるにはイヤーパッドを大きくすることが効果的である。
【0006】
しかし、イヤーパッドを大きくするとイヤーマフ全体が大型になり、装着者にとって不便であるとともに、イヤーパッドの大型化にも限界がある。
イヤーパッドを大きくすることなく、後気室から隔離された前気室空間を確保することで、外部騒音の受動伝達減衰を大きくし、遮音性を向上させたイヤーパッドを備えたヘッドホンが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−17176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前気室はイヤーマフの遮音性を高めるために重要な役割を発揮し、この前気室の容積が大きければ大きいほど遮音性が高くなる。図5に示した従来のイヤーマフ60は、溝622の深さ、すなわちバッフル板62の外周面から溝622の底面までの寸法によって、前気室64の容積が消費され、その分狭くなるので、遮音性が低下する要因となっていた。
一方、特許文献1に記載されたヘッドホンは、イヤーパッドの厚みによって前気室の容積が確保されている。しかしながら、この前気室の容積は装着時のヘッドバンドの押圧によってイヤーパッドが押しつぶされて狭くなってしまう。
【0009】
また、イヤーパッドの前気室側の一部に、イヤーパッドの内部空間と前気室空間を繋ぐ孔を形成することで、前気室の容積を大きくする方法もある。しかし、イヤーパッドに孔を開けると、この孔から外部騒音が受動伝達し、特定の周波数の遮音特性が急激に変化してしまう。また、ヘッドホンの場合、イヤーパッドの内部空間を外耳道に繋がる前気室と繋ぐと、再生された楽音が外部に漏洩しやすくなり、外部への遮音性低下の要因となる。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、イヤーマフとバッフル板前面との間に通気性部材を配し、この通気性部材の厚さ、硬さ、クッション性によって、装着時であっても前気室の容積を大きく確保することができるイヤーマフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、イヤーマフに関するものであって、ヘッドバンドと、ヘッドバンドに取付けられたイヤーカップと、イヤーカップに固定されたバッフル板と、バッフル板に係止されたイヤーパッドと、を備え、バッフル板とイヤーパッドの間に通気性部材を有することを主な特徴とする。
【0012】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフにおいて、通気性部材の厚さが、イヤーパッドの厚さよりも厚いことを特徴とする。
【0013】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフにおいて、通気性部材がクッション性を有する部材からなることを特徴とする。
【0014】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフにおいて、通気性部材が上記のイヤーパッドよりも硬いクッション性を有する部材からなることを特徴とする。
【0015】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフにおいて、通気性部材が通気性を有する音響吸収材からなることを特徴とする。
【0016】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフにおいて、バッフル板が、イヤーパッド側の外周にリブ状壁を有することを特徴とする。
【0017】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフにおいて、バッフル板が、前気室と後気室を音響的に結合させる連通孔を少なくとも一つ有していることを特徴とする。
【0018】
また本発明の別の形態は、上記のイヤーマフが有する連通孔において、前気室側と後気室側の少なくともいずれか一方に音響抵抗材を有することを特徴とする。
【0019】
また本発明の別の形態は、ヘッドホンに関するものであって、ヘッドバンドと、ヘッドバンドに取付けられたイヤーカップと、イヤーカップに固定され可聴信号を出力するスピーカユニットを有するバッフル板と、バッフル板に係止されたイヤーパッドと、を備え、バッフル板とイヤーパッドの間に通気性部材を有することを特徴とする
【0020】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンにおいて、通気性部材の厚さが、イヤーパッドの厚さよりも厚いことを特徴とする。
【0021】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンにおいて、通気性部材がクッション性を有する収材からなることを特徴とする。
【0022】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンにおいて、通気性部材が上記のイヤーパッドよりも硬いクッション性を有する部材からなることを特徴とする。
【0023】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンにおいて、通気性部材が通気性を有する音響吸収材からなることを特徴とする。
【0024】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンにおいて、バッフル板が、イヤーパッド側の外周にリブ状壁を有することを特徴とする。
【0025】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンにおいて、バッフル板が、前気室と後気室を音響的に結合させる連通孔を少なくとも一つ有していることを特徴とする。
【0026】
また本発明の別の形態は、上記のヘッドホンが有する連通孔において、前気室側と後気室側の少なくともいずれか一方に音響抵抗材を有することを特徴とする。
【0027】
また本発明の別の形態は、ノイズキャンセルヘッドホンに関するものであって、周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換される騒音信号を打ち消すキャンセル信号を生成するキャンセル信号生成手段と、スピーカユニットからキャンセル信号とオーディオ信号を合成して出力させる合成手段と、をさらに備え、イヤーパッド、バッフル板、通気部材が上記いずれかのイヤーパッドとバッフル板と通気部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、バッフル板前面とイヤーパッドの間に所定の厚みを有する通気性部材を配置することで、ヘッドバンドの側圧で前気室の容積が狭められることなく、外部騒音の遮断特性を高めたイヤーマフおよびヘッドホンを得ることができる。
また、本発明によれば、バッフル板前面にリブ状壁を設けることで、ヘッドバンドの側圧によって前気室の容積が狭められることをより確実に防ぎ、前気室容積を十分に確保することができ、これによって、外部騒音の遮断特性を高めたイヤーマフおよびヘッドホンを得ることができる。
また、本発明によれば、バッフル板の前気室と後気室を連通させる孔を設けることで、前気室容積をさらに十分に確保し、外部騒音への遮音特性をさらに高めたイヤーマフおよびヘッドホンを得ることができる。
また、本発明によれば、バッフル板の設けられた連通孔に音響抵抗材を貼り付けることで、音響特性をコントロールしつつ、外部騒音への遮音特性を高めたイヤーマフおよびヘッドホンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るイヤーマフの実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るイヤーマフの別の実施例を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係るイヤーマフのさらに別の実施例を示す縦断面図である。
【図4】上記イヤーマフにおける前気室容積と遮音性の相関を示すグラフである。
【図5】従来のイヤーマフの例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0030】
本発明に係るイヤーマフの実施例について図を用いて説明する。図1は、本発明に係るイヤーマフの例を示す縦断面図である。図1においてイヤーマフ10は、イヤーカップ11の開口部にバッフル板12が固定されており、このバッフル板12の前面側にイヤーパッド13が係止されている。
バッフル板12は、外径の異なる2つのドーナツ状部材を軸方向に乖離させ、かつ、これらのドーナツ形状部材を一体に結合した形状を有している。
【0031】
イヤーカップ11の外側面のほぼ中央にはイヤーパッド13方向に押圧力を発揮する弾性部材からなるヘッドバンド14が取付けられている。このヘッドバンド14の反対側端部には、同形状のイヤーマフ10が装着されている。
【0032】
イヤーパッド13は、ドーナツ状のクッション性部材(例えばスポンジ状の部材)を主体としてなり、この弾性体が表皮材で覆われている。イヤーパッド13は、バッフル板12の前方のドーナツ状部材の外周部に、表皮材の一部を外に向けて延伸させて形成した係止部を覆いかぶせて所定の密着度をもって係止されている。このイヤーパッド13の係止部は、従来のイヤーパッドと同様の伸縮性素材からなり、この伸縮性によってバッフル板12の外周部に装着され、この係止部はゴム素材が内包される構造であってもよい。
【0033】
イヤーパッド13の形状は、バッフル板12と略同径のドーナツ形状であって、内部にクッション性の部材が充填されている。このクッション部材によって、装着時の押圧力は分散され装着者がイヤーマフを快適に装着し続けることができる。
【0034】
バッフル板12とイヤーパッド13の間には、バッフル板12と略同径でドーナツ形状であって所定の厚みを有する通気性クッション材15が備わっている。通気性クッション材15は、装着した際のヘッドバンド14の押圧力では潰れない程度の堅さを有しており、バッフル板12側に接着によって固定されてもよいし、イヤーパッド13に接着されてもよい。
このバッフル板12とイヤーパッド13によって囲まれ、通気性クッション材13の厚みによって形成された空間が前気室16の一部となっている。
【0035】
通気性クッション材13は、内部に空気層を有しているので、この空気層の容積も前気室の容積とすることができる。
【0036】
本発明に係るイヤーマフの遮音特性の例について説明する。本実施例に係るイヤーマフ10における遮音特性は、イヤーパッド13により、400Hz以上の中高音域の外部騒音が遮断される。イヤーパッド13によって遮断されない400Hzより低い音域の外部騒音については、前気室16の空間によって遮断することができる。
【0037】
図4は、前気室空間容積の違いによる外部騒音の遮断特性を示すグラフである。図3において、前気室の容積が略25ccであるイヤーマフAの遮音特性を実線で示し、前気室の容積が略15ccであるイヤーマフBの遮音特性を点線で示している。
図4は横軸が周波数であって、縦軸が外部騒音の減衰レベルを示している。なお、横軸は対数軸である。
【0038】
図4に示すように、外部騒音の周波数が高くなると、イヤーマフA及びBともにレベルは減衰するが、イヤーマフAの方がイヤーマフBに比べて、より低い周波数において、レベルが減衰し、優れた遮音特性を有している。
【0039】
図4において、減衰レベルが−3dBとなる周波数を比較すると、イヤーマフAは略250Hzであるのに対し、イヤーマフBは略350Hzである。すなわち、前気室容積が大きいイヤーマフAの方が、イヤーマフBよりも低い周波数に対して遮音特性を発揮し、外部騒音の主な周波数帯域において、より優れた遮音特性を発揮することができる。
【0040】
本実施例に係るイヤーマフ10は、装着者が装着した際に、イヤーパッド13がヘッドバンド14の押圧力によって装着者の耳介または耳介周辺の皮膚に押し当てられ、内部のクッション部材がある程度押しつぶされて生じる反発力によって密着し、これによって中高音域の外部騒音に対する遮音性を発揮する。また、通気性クッション材13によって、前気室16は所定の容積を保たれて低音域の外部騒音に対する遮音性を発揮する。
通気性クッション材13の厚みによって保たれる前気室16の容積を仮に略25CCとすると、概ね250Hz以上で−3dBの外部騒音減衰効果を得ることができる。これによって、イヤーパッド13の遮音性に加えて、さらに遮音性を高めることができる。
【0041】
また、通気性のある音響吸音材を通気性クッション材13として用いることで、さらに遮音性を高めることができる。
【0042】
以上、本発明に係るイヤーマフの実施例によれば、前気室の容積を大きく保つことができるので、イヤーパッドを通過する低音域の外部騒音に対する遮音性を高めることができ、さらに、通気性クッション材の厚さを選択することで遮音性を高めたい周波数帯を選択することもできる。また、イヤーパッドが押しつぶされても、装着者への密着度や装着感を損ねることなく、所定の前気室容積を確保することができる。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明に係るイヤーマフの別の実施例について、図2を用いて説明をする。図2に示すイヤーマフ10aは、すでに説明をした実施例1に係るバッフル板12の前方のドーナツ状部材の外周にリブ状壁17を備えている。リブ状壁17は、バッフル板12の端部を延伸して折り曲げた形に形成してもよいし、バッフル板12の外周径と略同等の外径を持ち、所定の厚さのリング状部材をバッフル板12に接着して形成してもよい。
【0044】
リブ状壁17の高さを通気性クッション材13の厚さ(バッフル板12とイヤーパッド13の隔たり)と同じか少し長くすることによって、装着時のヘッドバンド14の押圧力によってイヤーパッド13が押しつぶされても、通気性クッション材13はリブ状壁17によって保護されてつぶれることがなく、前気室16の容積を確実に確保することができるようになる。
【0045】
以上、本実施例に係るイヤーマフ10aによれば、従来のイヤーマフに比べてイヤーパッドと装着者の密着度を上げても、より確実に所定の容積の前気室を確保することができるので、遮音性を向上させることができるようになる。
【実施例3】
【0046】
次に、本発明に係るイヤーマフの別の実施例について、図3を用いて説明をする。図3に示すイヤーマフ10bは、バッフル板12aに前気室16とイヤーカップ11の内部空間である後気室18を音響的に連通させる連通孔19が設けられている。この連通孔19によって、前気室16と後気室18の空気層は結合されて、遮音特性に有効な前気室16の容積に後気室18の容積を加えることができるので、外部騒音の遮音特性をさらに向上させることができる。
【0047】
また、本実施例にかかるイヤーマフ10bは、連通孔19の後気室18側に音響抵抗材20を貼り付けることで、遮音性と音響特性をコントロールすることができる。したがって、遮音特性を向上させるとともに、イヤーマフ10bの音響特性もコントロールすることができるので、遮音特性をさらに向上させつつ、音響特性にも優れたイヤーマフを得ることができるようになる。
【0048】
この音響抵抗20によって、連通孔19の音響特性をコントロールすることにより、遮音性と音響性をコントロールできる。なお、音響抵抗20の素材は、紙や布のほかメッシュ状の部材など、音響負荷特性を有するものであればよい。また、音響抵抗材20は前気室16側に貼り付けられてもよい。
【0049】
以上、本実施例に係るイヤーマフ10bによれば、従来のイヤーマフに比べて前気室の空間容積を大きくすることができるので、さらに遮音性を向上させることができ、加えて音響抵抗材を連通孔に貼り付けることで遮音性と音響特性をコントロールすることもできるようになる。
【実施例4】
【0050】
また、本発明に係るイヤーマフのバッフル板に、可聴信号を出力するスピーカユニットを備えることで、上記の遮音特性を有するヘッドホンを得ることができる。図1から図3に示した実施例は、ヘッドホンとして構成する場合を想定していて、バッフル板12の背面側にスピーカユニット100を装着し、バッフル板12に、スピーカユニット100から放音される音声を通す孔を形成することにより、ヘッドホンを構成することができる。
【0051】
本発明に係るヘッドホンによれば、上記イヤーマフにおける遮音性と同等の高い遮音性を備える。さらに、イヤーパッド内の空気を外気や前気室内部の空間に繋ぐことなく、独立した空間にすることができるので、イヤーパッド内空間によって中高音領域の外部雑音が効果的に遮断され、かつ、再生される楽音の周波数特性が外部騒音に影響されない密閉型のヘッドホンを得ることができる。
【実施例5】
【0052】
また、本発明に係るイヤーマフの構造に、外部騒音を集音するマイクと、マイクが集音した外部騒音を打ち消すことができるキャンセル信号を生成するキャンセル信号生成回路、スピーカユニットからキャンセル信号とオーディオ信号を合成して出力させる合成手段と、を付加することで、前に述べた良好な遮音特性を有するノイズキャンセルヘッドホンを得ることができる。図1から図3に示す実施例は、ノイズキャンセルヘッドホンとして構成する場合を想定していて、バッフル板12の背面側にスピーカユニット100を装着し、バッフル板12に、スピーカユニット100から放音される音声を通す孔を形成することにより、ノイズキャンセルヘッドホンを構成することができる。
【0053】
本発明に係るノイズキャンセルヘッドホンによれば、上記イヤーマフにおける遮音性と同等の高い遮音性を備える。さらに、イヤーパッド内の空気を外気や前気室内部の空間に繋ぐことなく、独立した空間にすることができるので、イヤーパッド内空間によって中高音領域の外部雑音を効果的に遮断され、かつ、再生される楽音の周波数特性が外部騒音に影響されない密閉型のノイズキャンセルヘッドホンを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、密閉型であれば耳覆い型および耳載せ型を問わず、遮音性に優れたイヤーマフ及びヘッドホンを得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 イヤーマフ
11 イヤーカップ
12 バッフル板
13 イヤーパッド
14 ヘッドバンド
15 通気性クッション部材
16 前気室
17 リブ状壁
18 後気室
19 連通孔
20 音響抵抗材
100 スピーカユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドバンドと、ヘッドバンドに取付けられたイヤーカップと、イヤーカップに固定されたバッフル板と、バッフル板に係止されたイヤーパッドと、を備え、
上記バッフル板と上記イヤーパッドの間に通気性部材を有するイヤーマフ。
【請求項2】
上記通気性部材の厚さは、上記イヤーパッドの厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1記載のイヤーマフ。
【請求項3】
上記通気性部材は、クッション性を有する部材からなることを特徴とする請求項1または2記載のイヤーマフ。
【請求項4】
上記通気性部材は、上記イヤーパットよりも硬いクッション性を有する部材からなることを特徴とする請求項1または2記載のイヤーマフ。
【請求項5】
上記通気性部材は、通気性を有する音響吸収材からなることを特徴とする請求項1または2記載のイヤーマフ。
【請求項6】
上記バッフル板は、イヤーパッド側の外周にリブ状壁を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のイヤーマフ。
【請求項7】
上記バッフル板は、前気室と後気室を音響的に結合させる連通孔を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のイヤーマフ。
【請求項8】
上記連通孔は、前気室側と後気室側の少なくともいずれか一方に音響抵抗材を有することを特徴とする請求項7記載のイヤーマフ。
【請求項9】
ヘッドバンドと、ヘッドバンドに取付けられたイヤーカップと、イヤーカップに固定され可聴信号を出力するスピーカユニットを有するバッフル板と、バッフル板に係止されたイヤーパッドと、を備え、
上記バッフル板と上記イヤーパッドの間に通気性部材を有するヘッドホン。
【請求項10】
上記通気性部材の厚さは、上記イヤーパッドの厚さよりも厚いことを特徴とする請求項7記載のヘッドホン。
【請求項11】
上記通気性部材は、クッション性を有する部材からなることを特徴とする請求項7または8記載のヘッドホン。
【請求項12】
上記通気性部材は、上記イヤーパットよりも硬いクッション性を有する部材からなることを特徴とする請求項7または8記載のヘッドホン。
【請求項13】
上記通気性部材は、通気性を有する音響吸収材であることを特徴とする請求項7または8に記載のヘッドホン。
【請求項14】
上記バッフル板は、イヤーパッド側の外周にリブ状壁を有することを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載のヘッドホン。
【請求項15】
上記バッフル板は、前気室と後気室を音響的に結合させる連通孔を少なくとも1つ有していることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載のヘッドホン。
【請求項16】
上記連通孔は、前気室側と後気室側の少なくともいずれか一方に音響抵抗材を有していることを特徴とする請求項15記載のヘッドホン。
【請求項17】
周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホンと、マイクロホンで変換される騒音信号を打ち消すキャンセル信号を生成するキャンセル信号生成手段と、上記スピーカユニットから上記キャンセル信号とオーディオ信号を合成して出力させる合成手段と、をさらに備え、
イヤーパッド、バッフル板、通気部材が上記請求項9乃至16のいずれかに記載されているイヤーパッドとバッフル板と通気部材であることを特徴とするノイズキャンセルヘッドホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−15338(P2011−15338A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159728(P2009−159728)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000128566)株式会社オーディオテクニカ (787)
【Fターム(参考)】