説明

インキュベータ装置

【課題】培養器などの試料の設置・取出し・交換を容易に行うことの出来るインキュベータ装置を実現する。
【解決手段】顕微鏡のステージに設けられるインキュベータ装置において、前記ステージに設けられたインキュベータホルダーと、前記ステージに設けられた流体供給手段と、この流体供給手段に着脱自在に接続され前記インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたインキュベータ本体と、このインキュベータ本体内に設けられた少なくとも1個の培養器と、を具備したことを特徴とするインキュベータ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキュベータ装置に関するものである。
更に詳述すれば、主として生物用の顕微鏡装置に使用されるインキュベータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図20は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
図において、顕微鏡に載置されたステージ267に、容器収容部205gがネジで固定されている。
容器収容部205g内には、フタ223付きのディッシュ220が配置されている。
また、容器収容部205g内に水や炭酸ガスを供給するための給水管213やガス供給管214や、温度を制御する配線等が外部のコントローラから接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−141143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置においては、以下の問題点がある。
図20従来例では、顕微鏡のステージ上でディッシュなどの試料を交換する際には、いちいち蓋をあけてディッシュを交換する必要があり、環境が再び好適になるまでに時間がかかるという問題があった。
【0005】
また、試料を他の機器に移すまでに、環境が劣化するという問題もあった。
さらに、試料の搭載を顕微鏡の上の限られた場所で行う必要があり、作業性に劣る。
さらに、これらのステージ上のインキュベータには多くのチューブ類や配線が接続されており、容易に移動することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、培養器などの試料の設置・取出し・交換を容易に行うことの出来るインキュベータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1のインキュベータ装置においては、
顕微鏡のステージに設けられるインキュベータ装置において、前記ステージに設けられたインキュベータホルダーと、前記ステージに設けられた流体供給手段と、この流体供給手段に着脱自在に接続され前記インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたインキュベータ本体と、このインキュベータ本体内に設けられた少なくとも1個の培養器と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2のインキュベータ装置においては、請求項1記載のインキュベータ装置において、
前記流体供給手段は、流体コネクタが使用されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3のインキュベータ装置においては、請求項1又は請求項2記載のインキュベータ装置において、
前記流体供給手段には、炭酸ガスあるいは培養液あるいは純水が供給されることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4のインキュベータ装置においては、
顕微鏡のステージに設けられるインキュベータ装置において、前記ステージに設けられたインキュベータホルダーと、前記ステージに設けられた電源供給手段と通信信号手段と、この電源供給手段と通信信号手段とに着脱自在に接続され前記インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたインキュベータ本体と、このインキュベータ本体内に設けられた少なくとも1個の培養器と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5のインキュベータ装置においては、請求項4記載のインキュベータ装置において、
前記電源供給手段と前記通信信号手段とは、電気コネクタが使用されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6のインキュベータ装置においては、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のインキュベータ装置において、
前記インキュベータ本体に設けられ前記インキュベータ本体の個別設定環境データが記憶されたメモリーを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
インキュベータ本体が、インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたので、培養器を交換する際には、インキュベータ本体ごと交換できるため、培養器周辺の環境が変化することがないインキュベータ装置が得られる。
【0014】
インキュベータ本体には、保温性と気密性があるため、試料を他の機器に移すまでに環境の劣化を軽減できるインキュベータ装置が得られる。
【0015】
インキュベータ本体を全体装置から取り外せるので、培養器の試料の設置・取出し・交換などの作業性が向上し、作業時間の短縮・環境劣化の抑制ができるインキュベータ装置が得られる。
【0016】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
流体供給手段は、流体コネクタが使用されたので、煩雑なチューブなどを伴わない安価、簡潔なインキュベータ装置が得られる。
【0017】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。
流体供給手段には、炭酸ガスあるいは培養液あるいは純水が供給されるので、顕微鏡のステージに載せた状態のまま、良好な環境条件下で、観察試料の培養と観察を行うことができるインキュベータ装置が得られる。
【0018】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
インキュベータ本体が、インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたので、培養器を交換する際には、インキュベータ本体ごと交換できるため、培養器周辺の環境が変化することがないインキュベータ装置が得られる。
【0019】
インキュベータ本体には、保温性と気密性があるため、試料を他の機器に移すまでに環境の劣化を軽減できるインキュベータ装置が得られる。
【0020】
インキュベータ本体を全体装置から取り外せるので、培養器の試料の設置・取出し・交換などの作業性が向上し、作業時間の短縮・環境劣化の抑制ができるインキュベータ装置が得られる。
【0021】
電源供給手段と通信信号手段が設けられたので、インキュベータ本体内の環境条件を電気的に容易に整えられるインキュベータ装置が得られる。
【0022】
本発明の請求項5によれば、次のような効果がある。
電源供給手段と前記通信信号手段とは、電気コネクタが使用されたので、煩雑な配線を伴わない安価、簡潔なインキュベータ装置が得られる。
【0023】
本発明の請求項6によれば、次のような効果がある。
インキュベータ本体に設けられ、インキュベータ本体の個別設定環境データが記憶されたメモリーが設けられたので、試料の好適環境をメモリーに記憶できるので、装置に接続するだけで環境条件の設定値を反映することができるインキュベータ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の断面説明図である。
【図3】図1の要部拡大断面説明図である。
【図4】インキュベータ本体1の要部構成説明図である。
【図5】インキュベータ本体1のインキュベータ蓋12を外した構成説明図である。
【図6】インキュベータ本体1のX−X断面線である。
【図7】インキュベータ本体1のY−Y断面線である。
【図8】ストッパ3の要部構成説明図である。
【図9】ストッパ3の要部構成説明図である。
【図10】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図11】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図12】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図13】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図14】図13のインキュベータ蓋12を外した要部構成説明図である。
【図15】図14のZ−Z断面図である。
【図16】図13のa矢視図である。
【図17】図13のb矢視図である。
【図18】図13のチューブコネクタ63部分の要部構成説明図である。
【図19】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図20】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図で、インキュベータ本体1をステージ2付き顕微鏡に組込んだ状態を示す。
図2はインキュベータ本体1とステージ2の接続の様子を断面図で示す。
図3はインキュベータ本体1とステージ2の接続部の拡大図を断面図で示す。
図4はインキュベータ本体1の構成を示す。
【0026】
図5はインキュベータ本体1のインキュベータ蓋12を外した構成を示す。
図6はインキュベータ本体1のX−X断面線、図7はインキュベータ本体1のY−Y断面線を示す。
図8,図9は、インキュベータ本体1をステージ2に固定するストッパ3の要部構成説明図である。
【0027】
図1において、インキュベータ本体1は、ストッパ3によりステージ2に固定される。
ストッパ3に付いては、後に詳述する。
通電コネクタ4と通電コネクタ5が接続するように、ホルダー7に基板6aが設置されている。
この基板6aには図示しないメモリーが搭載されている。
【0028】
ホルダー7には、複数の流体コネクタ6が設けられている。
一方、ステージ2には、Oリング11が取り付けられた、複数のOリングホルダー10が設けられている。
Oリングホルダー10は、カップリング8を介しチューブ9と接続されている。
【0029】
チューブ9は任意の位置まで延長され、図示しない流体搬送装置に接続することで、インキュベータ本体1に、流体を顕微鏡装置外から双方向に搬送することが出来る。
流体としては、例えば、5%炭酸ガス、培養液、純水などが挙げられる。
カップリング8にはチューブ9の替わりに、図示しないプラグを接続し、インキュベータ本体1の気密を確保することも出来る。
【0030】
インキュベータ本体1の構成を図4に、インキュベータ蓋12を外した図を図5に示す。
図6はインキュベータ本体1のX−X断面線、図7はインキュベータ本体1のY−Y断面線を示す。
図6に示す如く、インキュベータ本体1は、ベース15に取り付けられたアタッチメント14とホルダー7とインキュベータ蓋12とよりなる。
【0031】
インキュベータ蓋12は2重サッシ構造となっている。
インキュベータ蓋12のディッシュ20の上部相当部分には光が透過する部分121が設けられている。この面積は任意である。
インキュベータ蓋12は蓋受け17に差込み、2箇所の蓋止め13を止めることで、ホルダー7に固定される。
【0032】
アタッチメント14には、ヒーター21と図示しない温度センサーが設置されている。
同様に、ホルダー7にも、ヒーター22と図示しない温度センサーが設置されている。
アタッチメント14とホルダー7とは、ベース15に取り付けられ、ステージ2とは直接触れることはない。ベース15がステージ2と接触する。
ディッシュ20はリング24を介してアタッチメント14の顕微鏡撮像領域に設置されている。
【0033】
ディッシュ20の外形に合わせて、リング24の形状、例えば、直径は決定される。
なお、ディッシュ20は生物の培養器である。
固定具16は、磁石25と磁石26の引力によりディッシュ20もしくはディッシュ蓋27を押さえつけて固定する。
温度センサー18は、ホルダー7に設けられている。
【0034】
以上の構成において、インキュベータ本体1の動作について説明する。
インキュベータ本体1は、ステージ2を所定の位置に移動することによって、図示しない顕微鏡装置外に出ることになる。
インキュベータ蓋12を外し、その内部に試料を入れたディッシュ20をセットして、再び装置内部に搬送することが可能となっている。
【0035】
また、インキュベータ本体1は、ストッパ3を図1の下方向に押して外すだけで、装置から取り外すことが可能となっている。ストッパ3に付いては、後に詳述する。
基板6aに搭載されるメモリーに、温度、炭酸ガス濃度、流量などの情報を記憶させることで、試料ごとの好適な環境を、装置が変わっても瞬時に設定することができる。
インキュベータ本体1は、相応の熱容量、密閉性があるため装置内部と同等の環境を装置外でもある程度維持することができる。
【0036】
このとき、配管や配線がインキュベータ本体1に付いて来ることはない。
この取り外したインキュベータ本体1のディッシュ20は、ユーザの好きな場所で取り外しが出来るため、作業性が向上する。
無菌状態でのディッシュ20の交換が容易に可能となる。
インキュベータ本体1は、アタッチメント14に水を入れることができ、ヒーター21と図示しない温度センサーによりアタッチメント14と水の温度制御を行う。
【0037】
さらに、ヒーター22と図示しない温度センサーで、ホルダー7の温度制御をアタッチメント14とは個別に行うことができる。
例えば、ホルダー7の制御温度をアタッチメント14より高くすることで、インキュベータ蓋12に付く結露の防止、軽減を行うことができる。インキュベータ本体の温度制御は温度センサー18により行う。
【0038】
次に、ストッパ3について詳述する。
図8,図9は、インキュベータ本体1をステージ2に固定するストッパ3の要部構成説明図である。
図8はステージ2への非固定状態を、図9はステージ2への固定状態を示す。
【0039】
インキュベータ本体1を構成しているベース15は、ステージ2取付けられているインキュベータホルダー1aの溝に載る。
ストッパ3とストッパプレート3aは、互いに固定されており、共にストッパ移動方向fで水平移動できる。
【0040】
ロックプレート移動側3bは、インキュベータホルダー1aに固定された支持シャフト3dを支点として、回転するように設置される。
ロックプレート固定側3cは、インキュベータホルダー1aに固定され、インキュベータ本体1が差し込まれた際には、ベース15と接触するように設置される。
【0041】
以上の構成において、ストッパ3の動作を説明する。
インキュベータ本体1のベース15をインキュベータホルダー1aの溝に載せ、移動方向hに移動することで、ステージ2に差し込む。
ベース15がロックプレート固定側3dに接触するまで差込み、ストッパ3を移動方向fに引く。
ストッパプレート3aがストッパ3と同期するので、ロックプレート移動側3bと接触する。
ロックプレート移動側3bは支持シャフト3dを支点とし、回転方向gに回転する。
ロックプレート移動側3bは、ロックプレート固定側3dと反対方向のベース15端と接触するので、ベース15はロックプレート3b、3cにより両端を固定される。
このことにより、インキュベータ本体1はステージ2に固定されることができる。
【0042】
この結果、
インキュベータ本体1が、インキュベータホルダー1aに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたので、培養器20を交換する際には、インキュベータ本体1ごと交換できるため、培養器20周辺の環境が変化することがないインキュベータ装置が得られる。
【0043】
インキュベータ本体1には、保温性と気密性があるため、試料を他の機器に移すまでに環境の劣化を軽減できるインキュベータ装置が得られる。
【0044】
インキュベータ本体1を全体装置から取り外せるので、培養器20の試料の設置・取出し・交換などの作業性が向上し、作業時間の短縮・環境劣化の抑制ができるインキュベータ装置が得られる。
【0045】
流体供給手段は、流体コネクタ6が使用されたので、煩雑なチューブなどを伴わない安価、簡潔なインキュベータ装置が得られる。
【0046】
流体供給手段には、炭酸ガスあるいは培養液あるいは純水が供給されるので、顕微鏡のステージに載せた状態のまま、良好な環境条件下で、観察試料の培養と観察を行うことができるインキュベータ装置が得られる。
【0047】
インキュベータ本体1が、インキュベータホルダー1aに設けられた取付け手段3に着脱自在に取付けられたので、培養器20を交換する際には、インキュベータ本体1ごと交換できるため、培養器20周辺の環境が変化することがないインキュベータ装置が得られる。
【0048】
インキュベータ本体1には、保温性と気密性があるため、試料を他の機器に移すまでに環境の劣化を軽減できるインキュベータ装置が得られる。
【0049】
インキュベータ本体1を全体装置から取り外せるので、培養器20の試料の設置・取出し・交換などの作業性が向上し、作業時間の短縮・環境劣化の抑制ができるインキュベータ装置が得られる。
【0050】
電源供給手段と通信信号手段が設けられたので、インキュベータ本体内の環境条件を電気的に容易に整えられるインキュベータ装置が得られる。
【0051】
電源供給手段と前記通信信号手段とは、電気コネクタ4,5が使用されたので、煩雑な配線を伴わない安価、簡潔なインキュベータ装置が得られる。
【0052】
インキュベータ本体1に設けられ、インキュベータ本体1の個別設定環境データが記憶されたメモリーが設けられたので、試料の好適環境をメモリーに記憶できるので、装置に接続するだけで環境条件の設定値を反映することができるインキュベータ装置が得られる。
【0053】
図10は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図10においては、インキュベータ本体1−1の如く、図5に示されるアタッチメント14の代わりに、アタッチメント31が使用されたことである。
アタッチメント31は、ディッシュ20が複数個を収納されている。
【0054】
この結果、ディッシュ20を複数同時に収納可能なため、インキュベータ蓋12を開けずとも、異なるディッシュ20を測定でき、測定時間の短縮・環境劣化の抑制ができるインキュベータ装置が得られる。
【0055】
図11は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図11においては、インキュベータ本体1−2の如く、図5に示されるアタッチメント14の代わりに、アタッチメント41が使用されたことである。
アタッチメント41は、複数穴のプレートを収納可能である。
この場合は、96穴プレート411が収納されている。
【0056】
この結果、複数穴のプレートが使用できるので、インキュベータ蓋12を開けずとも、さらに多くの試料を一度に測定でき、測定時間の短縮・環境劣化の抑制ができるインキュベータ装置が得られる。
【0057】
図12は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図12において、収納箱51は、インキュベータ本体1を複数個収納できる。収納する方向、個数、アタッチメントの種類は問わない。温調機構の有無は問わない。流体の搬送機構の有無は問わない。
なお、インキュベータ本体1の代わりに、図11実施例、図12実施例のインキュベータ本体1−1、インキュベータ本体1−2が使用されても良いことは勿論である。
【0058】
以上の構成において、収納箱51にインキュベータ本体1が収納されることで、インキュベータ本体1と収納箱51との電気及び流体の導通が確保される。
個々のインキュベータ本体1の温度、炭酸ガス濃度、流量などの設置値は、基板6aに設けられたメモリから読み出す事で個別に設定可能となる。
【0059】
この結果、個々の環境条件の異なる試料が設けられたインキュベータ本体1を収納箱51から出すだけなので、環境を劣化させずに容易かつ迅速に測定することが可能となるインキュベータ装置が得られる。
また、収納箱51での好適環境の維持が可能となるインキュベータ装置が得られる。
【0060】
図13は本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図14は図13のインキュベータ蓋12を外した要部構成説明図である。
図15は図14のZ−Z断面図である。
図16は図13のa矢視図である。
図17は図13のb矢視図である。
図18は図13のチューブコネクタ63部分の要部構成説明図である。
【0061】
図13〜図18において、インキュベータ蓋12は2重サッシ構造となっている。
ディッシュ20の上部には光が透過する部分121が設けられている。この面積は任意である。
インキュベータ蓋12は、蓋受け17に差込み、2箇所の蓋止め13を止めることで、ホルダー7に固定できる。
【0062】
流体コネクタ6には、この場合は、図14に示す如く、流体フィルタ52が取付けられている。
図15に示す如く、アタッチメント14には、ヒータ21と図示しない温度センサーが設置されている。
同様に、ホルダー7にもヒータ22と図示しない温度センサーが設置されている。
アタッチメント14とホルダー7はベース15に固定され、ステージ2とは、直接触れることはない。
【0063】
ディッシュ20は、リング24を介して、アタッチメント14の顕微鏡撮像領域に設置されている。ディッシュ20の外形に合わせてリング24の形を合わせる。
ディッシュ固定具28は磁石25と磁石26の引力によりディッシュ20を押さえつけ固定する。ディッシュ固定具28には光が透過するディッシュ蓋部分281があり、ディッシュ20の蓋の役割もはたす。
【0064】
チューブ61の一端は、ディッシュ20に入っていて、ディッシュ固定具16に空けられた穴を通る。
この穴は、ディッシュ20の側面部分の内周部周辺に設けられる。ただし、ディッシュ20の側面部分の内周部には触れないように構成されている。穴の数は任意である。
【0065】
ディッシュ固定具16の穴を通ったチューブ61は、インキュベータ蓋12とホルダー7の間の空間に出る。
このときチューブ固定具62により、チューブ61は、インキュベータ蓋12の光の透過する部分121を覆わない角度で固定される。
【0066】
チューブ固定具62は、ディッシュ固定具16の磁石25により固定される。
なお、チューブ固定具62においては、磁石はなくてもよい。
チューブ61は、図17に示す如く、チューブコネクタ63に空けられた穴64を通り、インキュベータ本体1−3の外に出る。
【0067】
チューブコネクタの穴64には、スリット65があり、チューブコネクタ63を、図16に示す如く、曲げ方向Cに曲げることで、容易にチューブ61を穴64に通すことができる。この穴64の数は任意である。
穴64は穴径に比べ十分長くすることで、チューブ61との密閉を確保する。
【0068】
チューブコネクタ63は、溝66でホルダー7を挟むように固定することで、容易に脱着できる。
インキュベータ蓋12には、チューブコネクタ63と嵌め合う、部分くぼみ122があり、インキュベータ蓋12とチューブコネクタ63との密閉を確保する。
部分くぼみ122は、図18に示す如く、図面の上方向に凸となり、窪んだ凹部分にチューブコネクタ63が接する。
【0069】
チューブ61の他端には、コネクタ68が接続されている。
ここで、設置するチューブ61の本数は、穴64の数とは無関係であり、任意に出来る。開いている穴64には、柱状の穴栓69が挿入されて、密閉を確保する。
【0070】
以上の構成において、本実施例の動作を説明する。
インキュベータ本体1−3では、密閉を確保したまま、チューブ61を介して直接にディッシュ20内部の流体とインキュベータ本体1−3外の流体を相通することができる。
流体としては、培養液や水などが想定される。チューブ61を他の機器と接続し、流体の相通を手動もしくは自動で行うことができる。
【0071】
この結果、
インキュベータ本体1−3の保温性、気密性を確保したまま、インキュベータ本体1−3に収納されたディッシュ20内の培養液や水などと、インキュベータ本体1−3外部の培養液や水などを直接に相通することができるので、インキュベータ内部の環境を変化させず、ディッシュ20内の培養液や水などを直接に交換することができる。
【0072】
培養液や水などを相通する部分は、ディッシュ20には接触しない構造で、かつ、インキュベータ本体1−3内部の環境に影響をあたえないので、ディッシュ20内の培養液や水などを交換することで、長期間、細胞に好適な環境を維持しながら、顕微鏡観察することができる。
【0073】
培養液や水などが相通する部分は、チューブ61とチューブコネクタ63のみで構成されているので、容易に交換や増減することができる。
【0074】
培養液や水などが相通する部分は、チューブ61とチューブコネクタ63のみで構成されているので、容易に取り外すことができるので、他の機器を用いて滅菌処理を行うことで、培養液や水などが相通する部分を容易に無菌状態に保つことができる。
【0075】
培養液や水などが相通する部分は、チューブ61とチューブコネクタ63のみで構成されているので、安価な構造なので、滅菌処理を行わず使い捨てにすることもできる。
【0076】
培養液や水などが相通する部分は、チューブ61とチューブコネクタ63のみで構成されているので、インキュベータ本体1−3及び顕微鏡観察装置とは独立した構造なので、顕微鏡観察装置に影響を与えることなく他の装置との接続が容易にできる。
【0077】
流体フィルタ52を流体コネクタ6に取付けることで、インキュベータ本体1−3を相通する5%炭酸ガスなどを無菌に保つことができるので、インキュベータ本体1−3内を無菌状態に保つことができる。
【0078】
培養液や水などが相通する部分をインキュベータ本体1−3のホルダー7に固定する構造なので、インキュベータ蓋12を自由に開閉でき、チューブ61のセットアップが容易にできる。
【0079】
ディッシュ20内の培養液や水などを直接に交換することができるので、長期間にわたり細胞培養に好適な環境を維持することができる。
【0080】
図19は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図19において、インキュベータ蓋12を外した状態の構成を記す。
図13実施例との相違点は、アタッチメント14の構造が、アタッチメント71になることである。
その他の構造は、図19実施例と同じである。
アタッチメント71は、ディッシュ20を複数個を収納可能に構成されている。
【0081】
この結果、図19実施例では、ディッシュ20を複数同時に収納可能なため、インキュベータ蓋12を開けずとも、異なるディッシュ20を測定でき、測定時間の短縮・環境劣化の抑制ができる。
ディシュ20ごとに、同時もしくは個別に培養液や水などを相通することができる。
【0082】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0083】
1 インキュベータ本体
1−1 インキュベータ本体
1−2 インキュベータ本体
1−3 インキュベータ本体
1a インキュベータホルダー
2 ステージ
3 ストッパ
4 通電コネクタ
5 通電コネクタ
6 流体コネクタ
6a 基板
7 ホルダー
8 カップリング
9 チューブ
10 Oリングホルダー
11 ホルダー
12 インキュベータ蓋
121 透過部分
122 部分くぼみ
13 蓋止め
14 アタッチメント
15 ベース
16 固定具
17 蓋受け
18 温度センサ
20 ディッシュ
21 ヒーター
22 ヒーター
24 リング
25 磁石
26 磁石
27 ディッシュ蓋
28 ディッシュ固定具
282 ディッシュ蓋部分
31 アタッチメント
41 アタッチメント
411 96穴プレート
51 収納箱
52 流体フィルタ
61 チューブ
62 チューブ固定具
63 チューブコネクタ
64 穴
65 スリット
66 溝
68 コネクタ
69 穴栓
71 アタッチメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡のステージに設けられるインキュベータ装置において、
前記ステージに設けられたインキュベータホルダーと、
前記ステージに設けられた流体供給手段と、
この流体供給手段に着脱自在に接続され前記インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたインキュベータ本体と、
このインキュベータ本体内に設けられた少なくとも1個の培養器と、
を具備したことを特徴とするインキュベータ装置。
【請求項2】
前記流体供給手段は、流体コネクタが使用されたこと
を特徴とする請求項1記載のインキュベータ装置。
【請求項3】
前記流体供給手段には、炭酸ガスあるいは培養液あるいは純水が供給されること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のインキュベータ装置。
【請求項4】
顕微鏡のステージに設けられるインキュベータ装置において、
前記ステージに設けられたインキュベータホルダーと、
前記ステージに設けられた電源供給手段と通信信号手段と、
この電源供給手段と通信信号手段とに着脱自在に接続され前記インキュベータホルダーに設けられた取付け手段に着脱自在に取付けられたインキュベータ本体と、
このインキュベータ本体内に設けられた少なくとも1個の培養器と、
を具備したことを特徴とするインキュベータ装置。
【請求項5】
前記電源供給手段と前記通信信号手段とは、電気コネクタが使用されたこと
を特徴とする請求項4記載のインキュベータ装置。
【請求項6】
前記インキュベータ本体に設けられ前記インキュベータ本体の個別設定環境データが記憶されたメモリー
を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のインキュベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−200223(P2011−200223A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44679(P2011−44679)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】