インクジェットプリンタ
【課題】作業者の健康を害することがなく、かつ、塵埃が付着することなく印刷を行うことのできるインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェット方式によりインクヘッドにより被印刷物上に吐出した光硬化インクに対して光を照射することにより光硬化インクを硬化するインクジェットプリンタにおいて、被印刷物を支持し、被印刷物を第1の方向に移動する支持手段と、支持手段に支持された被印刷物に対して光硬化インクを吐出するインクヘッドと、インクヘッドが固定的に配設されるとともに第1の方向と直交する第2の方向に延設されたガイドレール上を移動する移動手段と、移動手段に固定的に配設されるとともにインクヘッドから吐出した光硬化インクに対して光を照射する光照射手段とを備えた印刷手段と、印刷手段を内部に収容するとともに、内部空間と外部空間とを隔絶可能な筐体とを有するようにした。
【解決手段】インクジェット方式によりインクヘッドにより被印刷物上に吐出した光硬化インクに対して光を照射することにより光硬化インクを硬化するインクジェットプリンタにおいて、被印刷物を支持し、被印刷物を第1の方向に移動する支持手段と、支持手段に支持された被印刷物に対して光硬化インクを吐出するインクヘッドと、インクヘッドが固定的に配設されるとともに第1の方向と直交する第2の方向に延設されたガイドレール上を移動する移動手段と、移動手段に固定的に配設されるとともにインクヘッドから吐出した光硬化インクに対して光を照射する光照射手段とを備えた印刷手段と、印刷手段を内部に収容するとともに、内部空間と外部空間とを隔絶可能な筐体とを有するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、さらに詳細には、被印刷物たる記録紙などの媒体上に、紫外線を照射すると硬化するインク(本明細書においては、「紫外線を照射すると硬化するインク」を、単に「紫外線硬化インク」と適宜に称する。)をインクジェット方式により吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに関する。
【0002】
なお、本明細書において「媒体」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料やアルミ、鉄、木材のような材料などの各種の材料が含まれるものとする。
【0003】
また、本明細書においてインクジェット方式とは、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術による印刷方式を意味するものとする。
【背景技術】
【0004】
従来より、マイクロコンピューターによって全体の動作を制御され、媒体として給紙装置によって記録紙上に記録紙の幅方向(なお、本明細書においては、当該記録紙の幅方向を、「主走査方向」と適宜称することとする。)で移動するインクヘッドを用いて、インクジェット方式により所定の印刷を行うようにしたインクジェットプリンタが知られている。
【0005】
また、こうしたインクジェットプリンタの中で、記録紙に印刷を行うためのインクとして、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化インクを使用するものも知られている。
【0006】
ここで、上記したようなインクジェットプリンタとしては、例えば、特許文献1に開示されたようなインクジェットプリンタが知られている。
【0007】
この特許文献1に開示されたインクジェットプリンタは、光沢のある印刷と光沢のない印刷とを行うことができるものである。
【0008】
例えば、単方向印刷で光沢感のない印刷を行う場合には、行き方向で移動しながらインクヘッドから記録紙に対して紫外線硬化インクを吐出し、吐出された紫外線硬化インクを、行き方向において当該インクヘッドの後段に位置する紫外線照射ランプにより直ちに紫外線を照射するものである。これにより、記録紙に吐出された紫外線硬化インクは、表面状態が平滑になる前に紫外線が照射されて硬化することとなる。このため、記録紙に吐出された紫外線硬化インクの表面は凹凸が大きい状態で硬化されることとなり、粒子感があって光沢感のない印刷結果となる。
【0009】
一方、単方向印刷で光沢感のある印刷を行う場合には、行き方向で移動しながらインクヘッドから記録紙に対して紫外線硬化インクを吐出し、吐出された紫外線硬化インクを、行き方向において当該インクヘッドの後段に位置する紫外線照射ランプにより紫外線を照射せず、当該インクヘッドが帰り方向で移動する際に、帰り方向において当該インクヘッドの後段に位置する紫外線照射ランプにより紫外線を照射するものである。つまり、記録紙に吐出された紫外線硬化インクは、記録紙に吐出された後、所定の時間が経過してから紫外線が照射されることとなる。これにより、記録紙に吐出された紫外線硬化インクは、表面状態が平滑になった状態で紫外線が照射されて硬化することとなり、粒子感のない光沢感のある印刷結果となる。
【0010】
こうして、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタにおいては、光沢感のある印刷と光沢感のない印刷とを選択して実行することができるようになり、質感の異なる印刷結果が得られるものである。
【0011】
こうした特許文献1に開示されたインクジェットプリンタにおいては、給紙装置(図示せず。)により記録紙を給紙するための給紙口や記録紙を排紙するための排紙口などが設けられており、インクヘッドが走査方向の行き方向および帰り方向に移動する領域が外部空間と通じた状態となっている。
【0012】
このため、紫外線照射ランプから照射される紫外線や紫外線硬化インクの臭気が外部に漏れてしまい、インクジェットプリンタの近傍で作業する作業者の健康を害することが問題点として指摘されていた。
【0013】
こうした作業者の健康を関する問題点の対策としては、紫外線に対しては、紫外光から作業者の目を保護するための眼鏡を作業者にかけるようにすることが提案されているが、こうした眼鏡を作業者がかけ忘れることもあるため、十分な対策とは言い難いものであった。
【0014】
また、臭気に対しては、強力な脱臭装置を設けるようにすることが提案されているが、脱臭装置を使用することにより電力過多になりコスト高を招来することや、脱臭装置からの騒音が新たな問題点として生じてしまい、こちらも十分な対策とは言い難いものであった。
【0015】
また、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタにおいては、インクヘッドが走査方向の行き方向および帰り方向に移動する領域が外部空間と通じた状態となっていることにより、印刷を行う際にインクに塵埃が付着してしまうことがある。特に、光沢感のある印刷を行う場合には、記録紙にインクを吐出した後に、所定の時間が経過してから紫外線を照射するようにしているため、硬化する前のインクに塵埃が付着し、その結果、印刷結果の品質が低下してしまうということが問題点として指摘されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−199457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業者の健康を害することがなく、かつ、塵埃が付着することなく印刷を行うことのできるインクジェットプリンタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、インクジェット方式によりインクヘッドにより被印刷物上に吐出した光硬化インクに対して光を照射することにより上記光硬化インクを硬化するインクジェットプリンタにおいて、上記被印刷物を支持し、上記被印刷物を第1の方向に移動する支持手段と、上記支持手段に支持された上記被印刷物に対して光硬化インクを吐出するインクヘッドと、上記インクヘッドが固定的に配設されるとともに上記第1の方向と直交する第2の方向に延設されたガイドレール上を移動する移動手段と、上記移動手段に固定的に配設されるとともに上記インクヘッドから吐出した光硬化インクに対して光を照射する光照射手段とを備えた印刷手段と、上記印刷手段を内部に収容するとともに、内部空間と外部空間とを隔絶可能な筐体とを有するようにしたものである。
【0019】
ここで、本明細書において「隔絶」とは、筐体内の紫外線、塵埃、空気がほぼ筐体外部に漏れないようになっていることを意味し、必ずしも、筐体内の紫外線、塵埃、空気が筐体外部に漏れることを完全に防止できる状態になっている必要はないものとし、換気装置などにより、筐体内の空気を筐体外部の空気と入れ換えることもできる状態である。
【0020】
また、本発明は、上記した発明において、上記筐体は、開口部が形成され、上記開口部において開閉可能なカバー部材が設けられ、上記カバー部材を開けることにより上記筐体の内部空間と外部空間とを連通し、上記カバー部材を閉めることにより上記筐体の内部空間と外部空間とを隔絶するようにしたものである。
【0021】
また、本発明は、上記した発明において、上記カバー部材は透明な材料で構成された窓部が設けられており、上記窓部には上記光照射手段から照射される光を吸収する加工が施されているようにしたものである。
【0022】
また、本発明は、上記した発明において、上記筐体の上記開口部の周りにおいては、折返し部が設けられており、上記カバー部材を閉めた状態のときには、上記折返し部と上記カバー部材とが当接した状態となるようにしたものである。
【0023】
また、本発明は、上記した発明において、上記筐体の上面は、前方側が傾斜した前方傾斜面と後方側が傾斜した後方傾斜面とにより構成され、上記前方傾斜面と上記後方傾斜面とが接合した接合部の下方側近傍において上記ガイドレールを配置するようにしたものである。
【0024】
また、本発明は、上記した発明において、上記支持手段は、テーブル上に上記被印刷物が載置され、上記テーブルを上記ガイドレールの前方側および後方側に移動させることができるようにしたものである。
【0025】
また、本発明は、上記した発明において、上記支持手段は、一対の保持部材により左右から上記被印刷物を保持し、上記一対の保持部材を前方側あるいは後方側に回転させるようにしたものである。
【0026】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記インクヘッドにインクチューブを介して光硬化インクを供給するインクカートリッジを収容する収容部を備え、上記収容部はインクカートリッジの交換を行うための開口部には蓋部が設けられるようにしたものである。
【0027】
また、本発明は、上記した発明において、上記収容部は上記ガイドレールより後方側に配設され、上記収容部の前方側には所定の空間が形成されるようにしたものである。
【0028】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記インクヘッドのインクジェットノズルが設けられた領域をクリーニングするとともにキャッピングするクリーニングユニットを備え、上記支持部材の一方の側に上記収容部が配設され、他方の側にクリーニングユニットが配設されるようにしたものである。
【0029】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記クリーニングユニットから排出される廃インクを貯留する貯留手段を備えるようにしたものである。
【0030】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記第2の方向に延設され、前方側に上記ガイドレールが設けられた壁部を備え、上記壁部は、上記筐体の右側面および左側面と接続されているようにしたものである。
【0031】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記第2の方向に延設され、上記インクカートリッジから上記インクヘッドへ光硬化インクを供給するインクチューブ内の光硬化インクを循環するためのインクチューブモーターが配設された断面略U字形状のガイド部材を備え、上記ガイド部材は、上記筐体の右側面および左側面と接続されているようにしたものである。
【0032】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記筐体の背面に設けられた開口部の近傍に配設された排気手段を備えるようにしたものである。
【0033】
また、本発明は、上記した発明において、上記支持手段は、上記被印刷物を上記第1の方向および上記第1の方向と上記第2の方向とそれぞれ直交する第3の方向に移動するようにしたものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以上説明したように構成されているので、作業者の健康を害することなく、かつ、塵埃が付着することなく印刷を行うことのできるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図である。
【図2】図2は、図1のインクジェットプリンタの開閉カバーを開いた状態を示す概略構成斜視説明図である。
【図3】図3は、図2のA矢視図である。
【図4】図4は、図1のB矢視図である。
【図5】図5は、図1のインクジェットプリンタの要部を示す概略構成斜視説明図である。
【図6】図6は、ホルダーに設けられたインクヘッドおよび紫外線照射ランプを示す模式的に示す模式図である。
【図7】図7は、開閉蓋を開いた状態を示す概略構成斜視説明図である。
【図8】図8は、開閉蓋および開閉カバーを開いた状態を示す概略構成斜視説明図である。
【図9】図9は、移動機構を示す概略構成説明図である。
【図10】図10は、図9のI−I線断面図である。
【図11】図11は、印刷処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図12は、回転ユニットを示す概略構成斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェットプリンタの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0037】
ここで、図1には、本発明によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図が示されている。また、図2には、図1のインクジェットプリンタの開閉カバーを開いた状態を表す概略構成斜視説明図が示されている。また、図3には、図2のA矢視図が示されている。また、図4には、図1のB矢視図が示されている。また、図5には、図1のインクジェットプリンタの要部を表す概略構成斜視説明図が示されている。
【0038】
この図1に示すインクジェットプリンタ10は、印刷装置12を筐体14内に収容した構成となっており、筐体14に設けられた開閉カバー16を開けることにより筐体14内の空間を外部空間と通じさせ、開閉カバー16を閉めることにより、筐体14内の空間を外部空間と隔絶するようにしたものである。
【0039】
なお、本明細書において、筐体14の内部空間と外部空間とを隔絶するということは、筐体14の内部空間を完全に密閉状態とするものではなく、筐体14の内部空間に外部空間から塵埃が入り込み難い程度に筐体14により筐体14の内部空間と外部空間とが隔てられていることである。
【0040】
即ち、筐体14内に設けられた印刷装置12において紫外線照射ランプ44、46(後述する。)から照射された紫外線が外部にほぼ漏れなくなるとともに、筐体14の外部から筐体14の内部に塵埃が入り込み難く、筐体14内に設けられた印刷装置において排気ファン50(後述する。)により、筐体14内部の空気と筐体14外部の空気を入れ換えることが可能である。
【0041】
筐体14は、略矩形形状のベース部材18上に形成された印刷装置12を囲うように右側面14a、背面14b、左側面14c、前面14dおよび上面14eを形成している。
【0042】
筐体14の背面14bには、開口部14baが設けられており、当該開口部14baにダクトホースを接続可能な構成となっている(図4を参照する。)。なお、この開口部14baの近傍には印刷装置12に設けられた排気ファン50(後述する。)が位置することになり、排気手段50により筐体14内部の空気をダクトホースを介して筐体14外部に排出するようになされている。
【0043】
上面14eは、前方側に傾斜した前方傾斜面14eaと後方側に傾斜した後方傾斜面14ebとにより形成されており、前方傾斜面14eaと後方傾斜面14ebとが接合部14ecにおいて接合している。
【0044】
また、上面14eから前面14dにかけて開口部14fが設けられており、この開口部14fには、上面14eから前面14dにかけた形状に合わせて成形された開閉カバー16が設けられている。
【0045】
この開閉カバー16は、当該開閉カバー16を閉じた状態であっても筐体14内部が視認可能なように透明のアクリル板により形成された窓部16aが形成されている。
【0046】
また、窓部16aは、筐体14内部に収容される印刷装置12に設けられた紫外線照射ランプ44、46(後述する。)から照射される紫外線を吸収する加工が施されている。
【0047】
さらに、筐体14の開口部14fにおいては、筐体14内において開口部14fの周囲に折返し部14faが設けられており、開閉カバー16を閉じた状態のときに、当該折返し部14faと開閉カバー16とが当接し、当該折返し部14fa上に開閉カバー16が位置するようになる。
【0048】
これにより、筐体14内に収容される印刷装置12に設けられた紫外線照射ランプ44、46(後述する。)から照射される紫外線の、開閉カバー16の窓部16aおよび開閉カバー16と筐体14とが当接した部分からの漏れが極めて少量なものになる。このため、筐体14の外部に漏れる紫外線は、特許文献1に開示されたような従来の技術によるインクジェットプリンタの外部に漏れる紫外線と比較して著しく減少するものである。
【0049】
即ち、筐体14は、ベース部材18、右側面14a、背面14b、左側面14c、前面4d、上面14eおよび開閉カバー16により、印刷装置12を囲んで、筐体14内部に収容するようにしたものである。
【0050】
また、印刷装置12は、ベース部材18上に形成されており、ベース部材18の左方側には、インクカートリッジを収容するカートリッジ収容部32が配設され、ベース部材18の右方側にはマイクロコンピューターなどの制御部(図示せず。)やインクヘッド30(後述する。)のクリーニングを行うクリーニングユニット(図示せず。)が配設されている。
【0051】
また、ベース部材18の略中央部は被印刷物が載置されるとともに、前方側、後方側、上方側および下方側に移動可能な移動機構52(後述する。)を備えたテーブル22が配設されている。
【0052】
さらに、テーブル22の上方側においては、左右方向に延設された中央壁24の壁面24aにガイドレール26が配設され、このガイドレール26にはホルダー28が摺動自在に装着されている。そして、このホルダー28には、被印刷物上に紫外線硬化インクを吐出するとともに、テーブル22上に載置される被印刷物と対向するようにしてインクヘッド30が固定的に配設されている。
【0053】
また、ガイドレール26は、筐体14の上面14eにおける前方傾斜面14eaと下方傾斜面14ebとが接合する接合部14ecの下方側近傍に位置するようになされている。つまり、ガイドレール26が筐体14の上面14eの接合部14ecの下方側近傍に位置するように、ガイドレール26の配置位置および筐体14の上面14eの寸法が設計されている。
【0054】
なお、印刷装置12の全体の動作は、ベース部材18の右方側に設けられた制御部(図示せず。)により制御されており、必要に応じて、作業者により操作子群20(後述する。)が操作され、当該操作の内容に基づいて当該制御部により印刷装置12の動作が制御されるものである。
【0055】
また、印刷装置12は、筐体14内に収容されるものであるが、カートリッジ収容部32やテーブル22が配設された領域は、開閉カバー16を開けることにより開放される(図2、3を参照する。)。
【0056】
ここで、ホルダー28は、図示しない駆動装置によってガイドレール26に沿って左右方向に移動するものであり、以下、ホルダー28が移動する方向を走査方向と適宜に称することとする。
【0057】
ホルダー28には、走査方向と一致する方向に一列に並んで6つのインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6が配設されている(図6を参照する。)。これら6つのインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6は、それぞれインクジェット方式により紫外線硬化インクを吐出するものであって、ベース部材18の左方側に設けられたカートリッジ収容部32内に配設され、それぞれ異なる色彩のインクを収容するインクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6とインクチューブ36を介して接続されている。
【0058】
なお、中央壁22の後方側には、走査方向(つまり、左右方向である。)に延設された断面略U字形状のガイド部材38が配設されており、当該ガイド部材38内にインクチューブ内のインクを循環するためのインクチューブモーター40が配設される。
【0059】
また、中央壁22およびガイド部材38はそれぞれ、左方側の端部において筐体14の左側面14cと接続されるとともに、左方側の端部において筐体14の右側面14aと接続される。これにより、筐体14においては、左側面14cおよび右側面14aを固定するための支柱などを設ける必要がなくなり、筐体14を構成する構成部品が少なくて済む。
【0060】
また、ホルダー28においては、左右両端部において被印刷物と対向するようにして紫外線照射ランプ44、46が配設されている(図6を参照する。)。
【0061】
そして、ホルダー28に配設された6つのインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6には、6つのインクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6のそれぞれに収容された紫外線硬化インクがインクチューブ36を介して供給されるものである。
【0062】
また、インクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6の下面にはそれぞれ、供給された紫外線硬化インクを被印刷物に対して吐出する吐出口としてインクジェットノズル(図示せず。)が複数個配設されている。
【0063】
さらに、紫外線照射ランプ44、46は、インクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6のインクジェットノズル(図示せず。)から吐出される紫外線硬化インクの飛滴が落下する被印刷物上に紫外線を照射して、被印刷物上において紫外線硬化インクを硬化させるものである。
【0064】
また、ホルダー28は、駆動装置(図示せず。)によってガイドレール26上を走査方向に移動するものである。これによりホルダー28に固定的に配設されたインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6および紫外線照射ランプ44、46もホルダー28の移動に伴って被印刷物上を走査方向に移動する。
【0065】
このとき、走査方向において行き方向から帰り方向に折り返す折返位置Pおよび帰り方向から行き方向に折り返す折返位置Qが予め設定されており、この各折返位置において走査方向が変更される。
【0066】
即ち、インクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6および紫外線照射ランプ44、46はホルダー28と一体的に、右側面14a側から左側面14c側へと走査方向における行き方向で移動し、折返位置Pに到達すると移動方向が変更され、左側面14c側から右側面14a側へと走査方向における帰り方向で移動することとなる(図5を参照する。)。
【0067】
また、カートリッジ収容部32は、ベース部材18の左方側における後方側に配設され、それぞれ異なる色彩のインクが収容されたインクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6を着脱可能に収容することができる。
【0068】
また、カートリッジ収容部32は、前面に開閉蓋32aが設けられており、インクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6を交換する場合には、この開閉蓋32aを開けて交換すべきインクカートリッジの交換を行い(図7を参照する。)、インクカートリッジの交換が終了したら開閉蓋32aを閉めた状態とする(図2を参照する。)。なお、こうした開閉蓋32aは、ガイドレール26の前面よりも後方側に位置するように設計されている。
【0069】
このようにしてカートリッジ収容部32をベース部材18の左方側における後方側に配設することにより、カートリッジ収容部32の前方側には何も配設されていない空間が形成されることとなる。
【0070】
また、テーブル22は、移動機構52の上方側に設けられており、この移動機構52により前方側、後方側、上方側および下方側に移動することが可能となっている(図8を参照する。)。
【0071】
移動機構52は、前方側および後方側に移動する移動機構54と上方側および後方側に移動する移動機構62とから構成されるものである。
【0072】
移動機構54は、ベース部材18上に形成された凹部18a内に前後方向に延設されたレール56と、レール56と摺動自在に配設される台座58と、制御部(図示せず。)により台座58をレール56上で前後方向に移動するモーター60とを有して構成されている。
【0073】
レール56は、前後方向、つまり、ガイドレール26と直交する方向に延設されており、レール56に摺動自在に配設された台座58は、モーター60の駆動によりレール56を前方側および後方側に移動することができる。これにより、台座58はガイドレール26より前方側に位置することが可能となるとともに、ガイドレール26より後方側に位置することが可能となる。従って、移動機構52の上方側に設けられるテーブル22もガイドレール26より前方側に位置することが可能となるとともに、ガイドレール26より後方側に位置することが可能となる。
【0074】
また、移動機構62は、台座58において昇降可能に設けられた昇降部材64と、制御部(図示せず。)により昇降部材64を上下方向で移動するモーター66とを有して構成されている(図9、10を参照する。)。
【0075】
台座58内には4つのネジ68a、68b、68c、68dが立設されており、この4つのネジと昇降部材64に設けられた4つの孔64a、64b、64c、64dとがネジ結合により接続されている。
【0076】
また、4つのネジ68a、68b、68c、68dと、モーター66の回転軸66aとの間には、無端状にベルト70が張設されている。
【0077】
そして、モーター66が駆動して回転軸66aが矢印C方向に回転すると、ベルト70が矢印D方向に回転し、4つのネジ68a、68b、68c、68dはそれぞれ、矢印E方向に回転することとなり、これにより昇降部材64は上方側に移動することとなる。
【0078】
また、モーター66が駆動して回転軸66aが矢印F方向に回転すると、ベルト70が矢印G方向に回転し、4つのネジ68a、68b、68c、68dはそれぞれ、矢印H方向に回転することとなり、これにより昇降部材64は下方側に移動することとなる。
【0079】
また、印刷装置12の後方側における上方側には排気ファン50が設けられており、当該排気ファン50は、筐体14の背面14bに設けられた開口部14baを介して筐体14内の排気を行うものである。
【0080】
印刷装置12の右方側には、印刷装置12の動作や制御の処理の指示を行うために操作子群20が設けられており、この操作子群20には、操作状態や印刷終了など作業者に所定の情報を通知することが可能な表示部20a、印刷装置12を起動するためのキー、インクヘッド30の位置を指定するキー、画像データなどの信号に基づいて画像の作成を開始するためのキーや、光沢感のある印刷あるいは光沢感のない印刷のいずれかを選択するためのキーや印刷する被印刷物の厚さを入力するためのキー、印刷装置12を停止するためのキーなどが配設されているものである。
【0081】
また、印刷装置12の右方側には、インクヘッド30が待機位置に位置するときに、当該インクヘッド30のインクジェットノズル(図示せず。)などに付着した付着物を除去するワイパー(図示せず。)や当該インクジェットノズルが配置された領域を封止するキャップなどを備えたクリーニングユニット(図示せず。)が配設されている。さらに、印刷装置12の右方側には、クリーニングユニット(図示せず。)などから排出される廃インクを貯留する廃液ボトル72も備えられている。
【0082】
以上の構成において、インクジェットプリンタ10において被印刷物に対して印刷を行う場合には、まず、作業者は操作子群20を操作して電源を入れると、制御部(図示せず。)の制御によりガイドレール26の後方側に位置しているテーブル22が移動機構52により前方側に移動し、テーブル22をガイドレール26の前方側に位置させる。さらに、制御部(図示せず。)によりクリーニングユニット(図示せず。)を制御してインクジェットノズル(図示せず。)が配置された領域からキャップを外した状態とする。
【0083】
その後、作業者は開閉カバー16を開けて、テーブル22上に被印刷物を印刷面を上方側に向けて載置する。この際、作業者はカートリッジ収容部32の前方側に形成された空間内に、次に印刷する被印刷物を置くなどするようにしてもよい。
【0084】
そして、テーブル22上に被印刷物を載置した後に、作業者は開閉カバー16を閉め、外部コンピューターから印刷データを入力するとともに、操作子群20により被印刷物の厚さや、「光沢感あり」あるいは「光沢感なし」といった印刷結果の質感の選択の選択や、「単方向印刷」あるいは「双方向印刷」といった印刷の種類の選択など、印刷に必要となる情報を入力し、操作子群20を操作して印刷を開始すると、印刷処理が開始される。
【0085】
ここで、図11のフローチャートには、印刷処理の詳細な内容が示されており、この印刷処理においては、まず、予め作業者が操作子群20により入力した被印刷物の厚さに基づいて、移動機構52を制御してテーブル22を高さ方向で移動させて、インクヘッド30と当該被印刷物の印刷面との距離を印刷に最適な距離に調整する(ステップS1102)。
【0086】
即ち、このステップS1102の処理においては、制御部(図示せず。)の制御により、入力された被印刷物の厚さに基づいて、移動機構52を制御して被印刷物の印刷面とインクヘッド30の下面との距離が印刷に適した距離となるようにテーブル22を高さ方向で移動させるものである。
【0087】
次に、テーブル22上に載置された被印刷物の印刷領域を入力する(ステップS1102)。
【0088】
このステップS1104の処理においては、作業者は、操作子群20を操作して、ホルダー28を走査方向の行き方向および帰り方向で移動させるとともに、テーブル22を移動機構52により前方側から後方側に移動させ、このときに被印刷物における印刷領域を入力する。なお、入力したデータは制御部(図示せず。)に設けられた記憶部(図示せず。)に記憶される。
【0089】
その後、作業者が予め入力した情報(例えば、印刷データ、印刷結果の質感の選択および印刷の種類の選択などである。)に基づいて、テーブル22を移動機構52により前方側から後方側に移動させ、かつ、ホルダー28を走査方向の行き方向および帰り方向で移動させながら、被印刷物の印刷面に紫外線硬化インクによる印刷を行う(ステップS1106)。
【0090】
具体的には、ステップS1106の処理においては、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感あり」が選択され、印刷の種類において「単方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は印刷中は常時点灯し、紫外線照射ランプ46は印刷中は常時消灯するように制御される。
【0091】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0092】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯している。
【0093】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、紫外線は照射されず、当該飛滴は、印刷面上の所定の位置に落下したままで、印刷面上において硬化することはない。
【0094】
そして、走査方向における行き方向で移動するホルダー28が折返位置Pに到達すると、その移動方向が走査方向の帰り方向に変更される。なお、折返位置は、予め設定している位置であってもよいし、ステップS1102の処理において入力した入力結果に基づいて算出した位置であってもよい。
【0095】
こうして走査方向の帰り方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときには、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクは吐出されない。
【0096】
こうして走査方向の帰り方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されないときには、帰り方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線硬化ランプ46は消灯しており、インクヘッド30の後段に位置する紫外線硬化ランプ44は点灯している。
【0097】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、紫外線硬化ランプ44から紫外線が照射されて当該飛滴が印刷面上で硬化する。
【0098】
こうして、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、紫外線が照射されるまでに所定の時間が経過している。
【0099】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、その表面状態が平滑な状態で硬化されることとなり、粒子感のない光沢感のある印刷結果となる。
【0100】
また、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感あり」が選択され、印刷の種類において「双方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は行き方向において点灯し、帰り方向において消灯するように制御され、紫外線照射ランプ46は行き方向において消灯し、帰り方向において点灯するように制御される。
【0101】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0102】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯している。
【0103】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、紫外線は照射されず、当該飛滴は、印刷面上の所定の位置に落下したままで、印刷面上において硬化することはない。
【0104】
そして、走査方向における行き方向で移動するホルダー28が折返位置Pに到達すると、その移動方向が走査方向の帰り方向に変更される。この際、行き方向で移動する際に点灯していた紫外線照射ランプ44を消灯させ、行き方向で移動する際に消灯していた紫外線照射ランプ46を点灯させる。
【0105】
その後、走査方向の帰り方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0106】
こうして走査方向の帰り方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときには、帰り方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ46は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯している。
【0107】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、帰り方向で移動する紫外線照射ランプ46から紫外線が照射されて、当該飛滴は印刷面上において硬化する。
【0108】
一方、走査方向の帰り方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、帰り方向で移動するインクヘッド30の後段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯しているので、紫外線が照射されず、当該飛滴は印刷面上において硬化することはない。
【0109】
そして、走査方向の帰り方向で移動するホルダー28が折返位置Qに到達すると、その移動方向を行き方向に変更する。この際、帰り方向で移動する際に点灯していた紫外線照射ランプ46を消灯させ、帰り方向で移動する際に消灯していた紫外線照射ランプ44を点灯させる。
【0110】
その後、走査方向の行き方向の移動で、ホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0111】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯している。
【0112】
その結果、走査方向の帰り方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、行き方向で移動する紫外線照射ランプ44から紫外線が照射されて、当該飛滴は印刷面上において硬化する。
【0113】
一方、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、行き方向で移動するインクヘッド30の後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯しているので紫外線が照射されず、当該飛滴は印刷面上において硬化することはない。
【0114】
こうして、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、紫外線が照射されるまでに所定の時間が経過している。
【0115】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、その表面状態が平滑な状態で硬化されることとなり、粒子感のない光沢感のある印刷結果となる。
【0116】
また、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感なし」が選択され、印刷の種類において「単方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は常時消灯するように制御され、紫外線照射ランプ46は、常時点灯するように制御される。
【0117】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0118】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は点灯している。
【0119】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、行き方向で移動する紫外線照射ランプ46から紫外線は照射され、当該飛滴は印刷面上において硬化する。
【0120】
ここで、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、その後直ちに行き方向で移動するインクヘッド30の後段に位置する紫外線照射ランプ46から紫外線が照射されることになる。
【0121】
即ち、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、非常に短い時間しか経過していない状態で紫外線が照射されることになる。
【0122】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは表面状態が平滑になる前に硬化されることとなり、粒子感あって光沢感のない印刷結果となる。
【0123】
また、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感なし」が選択され、印刷の種類において「双方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は行き方向で移動する際には消灯し、帰り方向で移動する際には点灯するように制御され、紫外線照射ランプ46は行き方向で移動する際に点灯し、帰り方向で移動する際に消灯するよう制御される。
【0124】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出されるときには、行き方向で移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は点灯している。
【0125】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線効硬化インクの飛滴が落下した被印刷物の印刷面上には、その後直ちに紫外線照射ランプ46から紫外線が照射されることになる。
【0126】
一方、走査方向の帰り方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出されるときには、帰り方向で移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯している。
【0127】
その結果、走査方向の帰り方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した被印刷物の印刷面上には、その後直ちに紫外線照射ランプ44から紫外線が照射されることになる。
【0128】
即ち、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、非常に短い時間しか経過していない状態で紫外線が照射されることになる。
【0129】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは表面状態が平滑になる前に硬化されることとなり、粒子感あって光沢感のない印刷結果となる。
【0130】
ステップS1106の処理が終わると、制御部(図示せず。)により移動機構52を制御してテーブル22をガイドレール26より前方側の位置まで移動させる(ステップS1108)。
【0131】
そして、制御部(図示せず。)による制御により、印刷終了した旨を操作子群20の表示部20aに表示し(ステップS1110)、ホルダー28を待機位置まで移動させ、クリーニングユニット(図示せず。)によりインクジェットノズル(図示せず。)および当該インクジェットノズルの近傍をクリーニングし、クリーニングが終了するとキャップによりインクジェットノズルが配設された領域をキャップにより封止し(ステップS1112)、印刷処理を終了する。
【0132】
そして、上記した印刷処理が終了すると、作業者は開閉カバー16を開けて、印刷処理された被印刷物を取り出す。その後、再度別の被印刷物に印刷を行う場合には、印刷処理を行う被印刷物をテーブル22上に載置し、操作子群20を操作して印刷を開始する。このとき、先の印刷と同じ印刷を行う場合には、印刷データの入力や操作子群20を操作して印刷に必要な情報を入力することなく操作子群20を操作して印刷を開始する。一方、先の印刷の異なる印刷(例えば、異なる質感の印刷結果を取得したい場合などである。)を行う場合には、先の印刷と異なる情報の再入力を行った後に、操作子群20を操作して印刷を開始することとなる。
【0133】
その後、被印刷物への印刷が終了すると、作業者により操作子群20を操作されて電源が切られると、制御部(図示せず。)により移動機構52が制御されて、テーブル22をガイドレール26の前方側からガイドレール26の後方側に移動させて電源が切られる。
【0134】
以上において説明したように、本発明によるインクジェットプリンタ10は、内部が外部空間と隔絶された筐体14内に印刷装置12が収容されるように構成されている。そして、筐体14には、紫外線を吸収する可能の施されたアクリル板により窓部16aが形成された開閉カバー16を設けるようにし、当該開閉カバー16を開閉することにより、筐体14内部の空間を外部空間と連通あるいは隔絶するようにしたものである。
【0135】
即ち、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、被印刷物を載置するテーブル22、テーブル22を動作させる移動機構、紫外線硬化インクを吐出するインクヘッド30、インクヘッド30を動作させる移動機構、インクカートリッジ34−1〜34−6を収容するカートリッジ収容部32、インクヘッド30をクリーニングするクリーニングユニット(図示せず。)、インクジェットプリンタ10の全体の動作を制御する制御部(図示せず。)、筐体14内部の空気を筐体14外部に排気する排気ファン50、クリーニングユニット(図示せず。)などから排出される廃インクを貯留する廃液ボトル72といった全ての構成を筐体14内に設けるようにした。
【0136】
また、筐体14に形成された開口部14fに折返し部14faを設けるようにし、開閉カバー16を閉めたときに、当該開閉カバー16が折返し部14faに当接するようにした。
【0137】
さらに、筐体14の背面14bに開口部14baが設けられ、この開口部14baの近傍には、印刷装置12に設けられた排気ファン50が位置するようにし、開口部14baにダクトホースなどを設けて筐体14内の空気を筐体14外に排気するようにした。
【0138】
そして、作業者は開閉カバー16を開けて被印刷物をテーブル22に載置した後に、開閉カバー16を閉め、筐体14の上面14eの前方傾斜面14eaに設けられた開口部14eaaに位置する操作子群20を操作して印刷を開始するようにした。
【0139】
これにより、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、印刷中に筐体14内部に塵埃が入り込むことがなくなり、印刷面への異物の混入が著しく少なくなり、安定した印刷品質を得ることができるようになる。
【0140】
また、本発明によるインクジェットプリンタ10においは、紫外線が筐体14の外部に漏れる紫外線量が極めて少なく、紫外線硬化インクの臭気も排気ファン50により筐体14外に排気されることとなるため、作業者の健康を害することがなくなる。
【0141】
さらに、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、筐体14の外部に漏れる印刷装置12における動作音や排気ファン50の動作音が抑制される。
【0142】
さらにまた、開閉カバー16の窓部16aから被印刷物への印刷状況が視認できるため、不具合が生じた場合などには、直ちに操作子群20を操作して印刷を中止することができる。
【0143】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(9)に示すように変形することができるものである。
【0144】
(1)上記した実施の形態においては、紫外線硬化インクと当該紫外線硬化インクに対して紫外線を照射する紫外線照射ランプ44、46を用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、紫外線とは異なる放射線の可視光や電子線あるいは、その他の光を照射する光照射手段を用い、当該光照射手段により照射された光によって固化あるいは増粘する性質を有する各種インクを用いるようにしてもよい。
【0145】
(2)上記した実施の形態においては、上面14eを前方傾斜面14eaと後方傾斜面14ebとにより構成されるようにして筐体14を形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、上面を平板状とし、筐体14の外形を略直方体形状とするようにしてもよく、要は、印刷装置12を収容することができるとともに、内部空間と外部空間とを隔絶することが可能な構成であれば、筐体14はどのような形状であってもよい。
【0146】
(3)上記した実施の形態においては、特に記載しなかったが、印刷装置12による被印刷物への印刷中に開閉カバー16が作業者により開けられた場合には、制御部(図示せず。)によって印刷装置12による被印刷物への印刷を中止するように制御するようにしてもよい。
【0147】
この際には、開閉カバー16の開閉を検知するセンサーなどを設け、当該センサーによる検知結果に基づいて、制御部(図示せず。)により印刷を中止するように制御する。
【0148】
(4)上記した実施の形態においては、印刷装置12において、テーブル22上に被印刷物を載置し、テーブル22を前方側から後方側に移動させながら被印刷物に対して印刷を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0149】
例えば、印刷装置12のテーブル22に換えて、回転ユニット104を設けるようにしてもよい(図12を参照する。)。
【0150】
こうした回転ユニット104を用いることによって、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物に対して印刷を行うことができるようになる。
【0151】
以下、図12を参照しながら、回転ユニットについて詳細に説明する。
【0152】
この回転ユニット104は、ベース部材18上に配設される上下方向駆動ユニット106と、上下方向駆動ユニット106の上面106aの左方側に固定的に配設される回転軸駆動ユニット108と、上下方向駆動ユニット106の上面106aにおいて回転軸駆動ユニット108の右方側に配設される支持ユニット110と、回転軸駆動ユニット108の右側面108aに設けられた保持部材112と、保持部材112と対をなして支持ユニット110の左側面110aに設けられた保持部材114とを有して構成されている。
【0153】
支持ユニット110は、上下方向駆動ユニット106の上面106a上に走査方向に平行に設けられた溝106b上を摺動自在に設けられており、支持ユニット110を走査方向に移動させて、左側面110aに設けられた保持部材114と回転軸駆動ユニット108の右側面108aに設けられた保持部材112とによって、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物を保持するようにしている。
【0154】
また、支持ユニット110には、支持ユニット固定部110−1が設けられており、この支持ユニット固定部110−1により上下方向駆動ユニット106に設けられた溝106b上の任意の位置で支持ユニット110を固定することができる。
【0155】
支持ユニット110の左側面110aに設けられた保持部材114は、略円柱形状に形成され、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物と当接する側面114aが凹んだ形状となっている。
【0156】
また、保持部材114は、側面114aと対向する側面114bの中心部において支持ユニット110の左側面110aに設けられた支持部材110aaに回転可能に支持されている。
【0157】
なお、この支持部材110aaは、後述する回転軸駆動ユニット108に設けられた回転軸108aaと同軸上に設けられている。
【0158】
また、回転軸駆動ユニット108の右側面108aに設けられた保持部材112は、保持部材114と同様の形状であって、略円筒形状に形成され、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物が当接する側面112aが凹んだ状態となっている。
【0159】
そして、保持部材112は、側面112aと対向する側面112bの中心部において回転軸駆動ユニット108の右側面108aから突出して設けられた回転軸(図示せず。)と接続されている。
【0160】
このため、保持部材112は、回転軸駆動ユニット108内に設けられた駆動モーター(図示せず。)により回転軸(図示せず。)が回転するものである。
【0161】
つまり、保持部材112と保持部材114とは同一の回転軸で回転するものであり、保持部材112および保持部材114により保持された円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物は、回転軸駆動ユニット108内に設けられた駆動モーター(図示せず。)の駆動して当該回転軸周りに回転する。
【0162】
また、上下方向駆動ユニット106は、上記した移動機構52と同様の構成により前方側、後方側、上方側および下方側に移動するようにしてもよいし、ホルダー28が走査する下方側においてベース部材18に固定的に配設され、図示しない駆動モーターの駆動により上下方向に移動するようにしてもよい。
【0163】
そして、ステップS1104の処理において、予め作業者が入力した円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物の厚さに基づいて、上下方向駆動ユニット106を高さ方向で移動させて、インクヘッド30と当該被印刷物の印刷面との距離を印刷に最適な距離に調整する。
【0164】
また、ステップS1106の処理では、作業者が入力した情報に基づいて、回転軸駆動ユニット108を駆動させて保持部材112、114に保持された被印刷物を回転させた状態で、ホルダー28を走査方向の行き方向および帰り方向で移動させながら被印刷物の印刷面に紫外線硬化インクによる印刷を行うようにする。
【0165】
(5)上記した実施の形態においは、ベース部材18の略中央部においてテーブル22を設けるようにし、右方側に制御部(図示せず。)、クリーニングユニット(図示せず。)、廃液ボトル72などを設けるようにし、左方側にカートリッジ収容部32を設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。つまり、左方側に制御部(図示せず。)、クリーニングユニット(図示せず。)、廃液ボトル72などを設けるようにし、右方側にカートリッジ収容部32を設けるようにしてもよい。
【0166】
(6)上記した実施の形態においては、操作子群20において、操作状態や印刷終了など作業者に所定の情報を通知することが可能な表示部20a、印刷装置12を起動するためのキー、インクヘッド30の位置を指定するキー、画像データなどの信号に基づいて画像の作成を開始するためのキーや、光沢感のある印刷あるいは光沢感のない印刷のいずれかを選択するキーや印刷する被印刷物の厚さを入力するためのキー、印刷装置12を停止するためのキーなどが配設されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0167】
つまり、操作子群20に、設定可能な各種条件を表示したり、操作状態や印刷の終了など作業者に所定の情報を通知することが可能な表示部20aと、印刷装置12を起動および停止するためのキー、印刷を開始するためのキー、表示部20aに表示された各種条件を選択するカーソルキーや、選択した条件を決定するためのキーなどを設けるようにしてもよい。
【0168】
このとき、表示部20aに表示された各種条件のうちの選択可能な項目をカーソルキーなどにより選択し、選択した条件を決定するためのキーにより決定するようにする。
【0169】
このようにすることにより、操作子群20に設けるキーの数を少なくすることができる。
【0170】
(7)上記した実施の形態においては、前方側から後方側にテーブル22を移動させながら印刷を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、テーブル22を後方側から前方側に移動させながら印刷するようにしてもよい。
【0171】
(8)上記した実施の形態においては、操作子群20を操作して光沢感のある印刷または光沢感のない印刷とを選択可能として、質感の異なる印刷を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0172】
即ち、操作子群20に光沢感のある印刷あるいは光沢感のない印刷のいずれかを選択するキーを設けずに、印刷が行われる際には必ず光沢感のある印刷を行うようにしてもよい。あるいは、印刷が行われる際には必ず光沢感のない印刷を行うようにしてもよい。
【0173】
(9)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(8)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明は、紫外線硬化インクなどの被印刷物上に照射される光によって固化あるいは増年する特性を有する光硬化型インクを用いたインクジェットプリンタに利用することができる。
【符号の説明】
【0175】
10 インクジェットプリンタ、14 筐体、14fa 折返し部、16 開閉カバー、16a 窓部、22 テーブル、26 ガイドレール、30 インクヘッド、32 カートリッジ収容部、38 ガイド部材、44、46 紫外線照射ランプ、50 排気ファン、52、54、56 昇降機構、72 廃液ボトル、104 回転ユニット、112 保持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、さらに詳細には、被印刷物たる記録紙などの媒体上に、紫外線を照射すると硬化するインク(本明細書においては、「紫外線を照射すると硬化するインク」を、単に「紫外線硬化インク」と適宜に称する。)をインクジェット方式により吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに関する。
【0002】
なお、本明細書において「媒体」とは、普通紙などの紙類よりなる各種の記録媒体は勿論のこと、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料やアルミ、鉄、木材のような材料などの各種の材料が含まれるものとする。
【0003】
また、本明細書においてインクジェット方式とは、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの各種の連続方式や、サーマル方式あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む、従来より公知の各種の手法によるインクジェット技術による印刷方式を意味するものとする。
【背景技術】
【0004】
従来より、マイクロコンピューターによって全体の動作を制御され、媒体として給紙装置によって記録紙上に記録紙の幅方向(なお、本明細書においては、当該記録紙の幅方向を、「主走査方向」と適宜称することとする。)で移動するインクヘッドを用いて、インクジェット方式により所定の印刷を行うようにしたインクジェットプリンタが知られている。
【0005】
また、こうしたインクジェットプリンタの中で、記録紙に印刷を行うためのインクとして、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化インクを使用するものも知られている。
【0006】
ここで、上記したようなインクジェットプリンタとしては、例えば、特許文献1に開示されたようなインクジェットプリンタが知られている。
【0007】
この特許文献1に開示されたインクジェットプリンタは、光沢のある印刷と光沢のない印刷とを行うことができるものである。
【0008】
例えば、単方向印刷で光沢感のない印刷を行う場合には、行き方向で移動しながらインクヘッドから記録紙に対して紫外線硬化インクを吐出し、吐出された紫外線硬化インクを、行き方向において当該インクヘッドの後段に位置する紫外線照射ランプにより直ちに紫外線を照射するものである。これにより、記録紙に吐出された紫外線硬化インクは、表面状態が平滑になる前に紫外線が照射されて硬化することとなる。このため、記録紙に吐出された紫外線硬化インクの表面は凹凸が大きい状態で硬化されることとなり、粒子感があって光沢感のない印刷結果となる。
【0009】
一方、単方向印刷で光沢感のある印刷を行う場合には、行き方向で移動しながらインクヘッドから記録紙に対して紫外線硬化インクを吐出し、吐出された紫外線硬化インクを、行き方向において当該インクヘッドの後段に位置する紫外線照射ランプにより紫外線を照射せず、当該インクヘッドが帰り方向で移動する際に、帰り方向において当該インクヘッドの後段に位置する紫外線照射ランプにより紫外線を照射するものである。つまり、記録紙に吐出された紫外線硬化インクは、記録紙に吐出された後、所定の時間が経過してから紫外線が照射されることとなる。これにより、記録紙に吐出された紫外線硬化インクは、表面状態が平滑になった状態で紫外線が照射されて硬化することとなり、粒子感のない光沢感のある印刷結果となる。
【0010】
こうして、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタにおいては、光沢感のある印刷と光沢感のない印刷とを選択して実行することができるようになり、質感の異なる印刷結果が得られるものである。
【0011】
こうした特許文献1に開示されたインクジェットプリンタにおいては、給紙装置(図示せず。)により記録紙を給紙するための給紙口や記録紙を排紙するための排紙口などが設けられており、インクヘッドが走査方向の行き方向および帰り方向に移動する領域が外部空間と通じた状態となっている。
【0012】
このため、紫外線照射ランプから照射される紫外線や紫外線硬化インクの臭気が外部に漏れてしまい、インクジェットプリンタの近傍で作業する作業者の健康を害することが問題点として指摘されていた。
【0013】
こうした作業者の健康を関する問題点の対策としては、紫外線に対しては、紫外光から作業者の目を保護するための眼鏡を作業者にかけるようにすることが提案されているが、こうした眼鏡を作業者がかけ忘れることもあるため、十分な対策とは言い難いものであった。
【0014】
また、臭気に対しては、強力な脱臭装置を設けるようにすることが提案されているが、脱臭装置を使用することにより電力過多になりコスト高を招来することや、脱臭装置からの騒音が新たな問題点として生じてしまい、こちらも十分な対策とは言い難いものであった。
【0015】
また、特許文献1に開示されたインクジェットプリンタにおいては、インクヘッドが走査方向の行き方向および帰り方向に移動する領域が外部空間と通じた状態となっていることにより、印刷を行う際にインクに塵埃が付着してしまうことがある。特に、光沢感のある印刷を行う場合には、記録紙にインクを吐出した後に、所定の時間が経過してから紫外線を照射するようにしているため、硬化する前のインクに塵埃が付着し、その結果、印刷結果の品質が低下してしまうということが問題点として指摘されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−199457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業者の健康を害することがなく、かつ、塵埃が付着することなく印刷を行うことのできるインクジェットプリンタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、インクジェット方式によりインクヘッドにより被印刷物上に吐出した光硬化インクに対して光を照射することにより上記光硬化インクを硬化するインクジェットプリンタにおいて、上記被印刷物を支持し、上記被印刷物を第1の方向に移動する支持手段と、上記支持手段に支持された上記被印刷物に対して光硬化インクを吐出するインクヘッドと、上記インクヘッドが固定的に配設されるとともに上記第1の方向と直交する第2の方向に延設されたガイドレール上を移動する移動手段と、上記移動手段に固定的に配設されるとともに上記インクヘッドから吐出した光硬化インクに対して光を照射する光照射手段とを備えた印刷手段と、上記印刷手段を内部に収容するとともに、内部空間と外部空間とを隔絶可能な筐体とを有するようにしたものである。
【0019】
ここで、本明細書において「隔絶」とは、筐体内の紫外線、塵埃、空気がほぼ筐体外部に漏れないようになっていることを意味し、必ずしも、筐体内の紫外線、塵埃、空気が筐体外部に漏れることを完全に防止できる状態になっている必要はないものとし、換気装置などにより、筐体内の空気を筐体外部の空気と入れ換えることもできる状態である。
【0020】
また、本発明は、上記した発明において、上記筐体は、開口部が形成され、上記開口部において開閉可能なカバー部材が設けられ、上記カバー部材を開けることにより上記筐体の内部空間と外部空間とを連通し、上記カバー部材を閉めることにより上記筐体の内部空間と外部空間とを隔絶するようにしたものである。
【0021】
また、本発明は、上記した発明において、上記カバー部材は透明な材料で構成された窓部が設けられており、上記窓部には上記光照射手段から照射される光を吸収する加工が施されているようにしたものである。
【0022】
また、本発明は、上記した発明において、上記筐体の上記開口部の周りにおいては、折返し部が設けられており、上記カバー部材を閉めた状態のときには、上記折返し部と上記カバー部材とが当接した状態となるようにしたものである。
【0023】
また、本発明は、上記した発明において、上記筐体の上面は、前方側が傾斜した前方傾斜面と後方側が傾斜した後方傾斜面とにより構成され、上記前方傾斜面と上記後方傾斜面とが接合した接合部の下方側近傍において上記ガイドレールを配置するようにしたものである。
【0024】
また、本発明は、上記した発明において、上記支持手段は、テーブル上に上記被印刷物が載置され、上記テーブルを上記ガイドレールの前方側および後方側に移動させることができるようにしたものである。
【0025】
また、本発明は、上記した発明において、上記支持手段は、一対の保持部材により左右から上記被印刷物を保持し、上記一対の保持部材を前方側あるいは後方側に回転させるようにしたものである。
【0026】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記インクヘッドにインクチューブを介して光硬化インクを供給するインクカートリッジを収容する収容部を備え、上記収容部はインクカートリッジの交換を行うための開口部には蓋部が設けられるようにしたものである。
【0027】
また、本発明は、上記した発明において、上記収容部は上記ガイドレールより後方側に配設され、上記収容部の前方側には所定の空間が形成されるようにしたものである。
【0028】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記インクヘッドのインクジェットノズルが設けられた領域をクリーニングするとともにキャッピングするクリーニングユニットを備え、上記支持部材の一方の側に上記収容部が配設され、他方の側にクリーニングユニットが配設されるようにしたものである。
【0029】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記クリーニングユニットから排出される廃インクを貯留する貯留手段を備えるようにしたものである。
【0030】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記第2の方向に延設され、前方側に上記ガイドレールが設けられた壁部を備え、上記壁部は、上記筐体の右側面および左側面と接続されているようにしたものである。
【0031】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記第2の方向に延設され、上記インクカートリッジから上記インクヘッドへ光硬化インクを供給するインクチューブ内の光硬化インクを循環するためのインクチューブモーターが配設された断面略U字形状のガイド部材を備え、上記ガイド部材は、上記筐体の右側面および左側面と接続されているようにしたものである。
【0032】
また、本発明は、上記した発明において、上記印刷手段は、さらに、上記筐体の背面に設けられた開口部の近傍に配設された排気手段を備えるようにしたものである。
【0033】
また、本発明は、上記した発明において、上記支持手段は、上記被印刷物を上記第1の方向および上記第1の方向と上記第2の方向とそれぞれ直交する第3の方向に移動するようにしたものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以上説明したように構成されているので、作業者の健康を害することなく、かつ、塵埃が付着することなく印刷を行うことのできるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図である。
【図2】図2は、図1のインクジェットプリンタの開閉カバーを開いた状態を示す概略構成斜視説明図である。
【図3】図3は、図2のA矢視図である。
【図4】図4は、図1のB矢視図である。
【図5】図5は、図1のインクジェットプリンタの要部を示す概略構成斜視説明図である。
【図6】図6は、ホルダーに設けられたインクヘッドおよび紫外線照射ランプを示す模式的に示す模式図である。
【図7】図7は、開閉蓋を開いた状態を示す概略構成斜視説明図である。
【図8】図8は、開閉蓋および開閉カバーを開いた状態を示す概略構成斜視説明図である。
【図9】図9は、移動機構を示す概略構成説明図である。
【図10】図10は、図9のI−I線断面図である。
【図11】図11は、印刷処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図12は、回転ユニットを示す概略構成斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるインクジェットプリンタの実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0037】
ここで、図1には、本発明によるインクジェットプリンタの概略構成斜視説明図が示されている。また、図2には、図1のインクジェットプリンタの開閉カバーを開いた状態を表す概略構成斜視説明図が示されている。また、図3には、図2のA矢視図が示されている。また、図4には、図1のB矢視図が示されている。また、図5には、図1のインクジェットプリンタの要部を表す概略構成斜視説明図が示されている。
【0038】
この図1に示すインクジェットプリンタ10は、印刷装置12を筐体14内に収容した構成となっており、筐体14に設けられた開閉カバー16を開けることにより筐体14内の空間を外部空間と通じさせ、開閉カバー16を閉めることにより、筐体14内の空間を外部空間と隔絶するようにしたものである。
【0039】
なお、本明細書において、筐体14の内部空間と外部空間とを隔絶するということは、筐体14の内部空間を完全に密閉状態とするものではなく、筐体14の内部空間に外部空間から塵埃が入り込み難い程度に筐体14により筐体14の内部空間と外部空間とが隔てられていることである。
【0040】
即ち、筐体14内に設けられた印刷装置12において紫外線照射ランプ44、46(後述する。)から照射された紫外線が外部にほぼ漏れなくなるとともに、筐体14の外部から筐体14の内部に塵埃が入り込み難く、筐体14内に設けられた印刷装置において排気ファン50(後述する。)により、筐体14内部の空気と筐体14外部の空気を入れ換えることが可能である。
【0041】
筐体14は、略矩形形状のベース部材18上に形成された印刷装置12を囲うように右側面14a、背面14b、左側面14c、前面14dおよび上面14eを形成している。
【0042】
筐体14の背面14bには、開口部14baが設けられており、当該開口部14baにダクトホースを接続可能な構成となっている(図4を参照する。)。なお、この開口部14baの近傍には印刷装置12に設けられた排気ファン50(後述する。)が位置することになり、排気手段50により筐体14内部の空気をダクトホースを介して筐体14外部に排出するようになされている。
【0043】
上面14eは、前方側に傾斜した前方傾斜面14eaと後方側に傾斜した後方傾斜面14ebとにより形成されており、前方傾斜面14eaと後方傾斜面14ebとが接合部14ecにおいて接合している。
【0044】
また、上面14eから前面14dにかけて開口部14fが設けられており、この開口部14fには、上面14eから前面14dにかけた形状に合わせて成形された開閉カバー16が設けられている。
【0045】
この開閉カバー16は、当該開閉カバー16を閉じた状態であっても筐体14内部が視認可能なように透明のアクリル板により形成された窓部16aが形成されている。
【0046】
また、窓部16aは、筐体14内部に収容される印刷装置12に設けられた紫外線照射ランプ44、46(後述する。)から照射される紫外線を吸収する加工が施されている。
【0047】
さらに、筐体14の開口部14fにおいては、筐体14内において開口部14fの周囲に折返し部14faが設けられており、開閉カバー16を閉じた状態のときに、当該折返し部14faと開閉カバー16とが当接し、当該折返し部14fa上に開閉カバー16が位置するようになる。
【0048】
これにより、筐体14内に収容される印刷装置12に設けられた紫外線照射ランプ44、46(後述する。)から照射される紫外線の、開閉カバー16の窓部16aおよび開閉カバー16と筐体14とが当接した部分からの漏れが極めて少量なものになる。このため、筐体14の外部に漏れる紫外線は、特許文献1に開示されたような従来の技術によるインクジェットプリンタの外部に漏れる紫外線と比較して著しく減少するものである。
【0049】
即ち、筐体14は、ベース部材18、右側面14a、背面14b、左側面14c、前面4d、上面14eおよび開閉カバー16により、印刷装置12を囲んで、筐体14内部に収容するようにしたものである。
【0050】
また、印刷装置12は、ベース部材18上に形成されており、ベース部材18の左方側には、インクカートリッジを収容するカートリッジ収容部32が配設され、ベース部材18の右方側にはマイクロコンピューターなどの制御部(図示せず。)やインクヘッド30(後述する。)のクリーニングを行うクリーニングユニット(図示せず。)が配設されている。
【0051】
また、ベース部材18の略中央部は被印刷物が載置されるとともに、前方側、後方側、上方側および下方側に移動可能な移動機構52(後述する。)を備えたテーブル22が配設されている。
【0052】
さらに、テーブル22の上方側においては、左右方向に延設された中央壁24の壁面24aにガイドレール26が配設され、このガイドレール26にはホルダー28が摺動自在に装着されている。そして、このホルダー28には、被印刷物上に紫外線硬化インクを吐出するとともに、テーブル22上に載置される被印刷物と対向するようにしてインクヘッド30が固定的に配設されている。
【0053】
また、ガイドレール26は、筐体14の上面14eにおける前方傾斜面14eaと下方傾斜面14ebとが接合する接合部14ecの下方側近傍に位置するようになされている。つまり、ガイドレール26が筐体14の上面14eの接合部14ecの下方側近傍に位置するように、ガイドレール26の配置位置および筐体14の上面14eの寸法が設計されている。
【0054】
なお、印刷装置12の全体の動作は、ベース部材18の右方側に設けられた制御部(図示せず。)により制御されており、必要に応じて、作業者により操作子群20(後述する。)が操作され、当該操作の内容に基づいて当該制御部により印刷装置12の動作が制御されるものである。
【0055】
また、印刷装置12は、筐体14内に収容されるものであるが、カートリッジ収容部32やテーブル22が配設された領域は、開閉カバー16を開けることにより開放される(図2、3を参照する。)。
【0056】
ここで、ホルダー28は、図示しない駆動装置によってガイドレール26に沿って左右方向に移動するものであり、以下、ホルダー28が移動する方向を走査方向と適宜に称することとする。
【0057】
ホルダー28には、走査方向と一致する方向に一列に並んで6つのインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6が配設されている(図6を参照する。)。これら6つのインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6は、それぞれインクジェット方式により紫外線硬化インクを吐出するものであって、ベース部材18の左方側に設けられたカートリッジ収容部32内に配設され、それぞれ異なる色彩のインクを収容するインクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6とインクチューブ36を介して接続されている。
【0058】
なお、中央壁22の後方側には、走査方向(つまり、左右方向である。)に延設された断面略U字形状のガイド部材38が配設されており、当該ガイド部材38内にインクチューブ内のインクを循環するためのインクチューブモーター40が配設される。
【0059】
また、中央壁22およびガイド部材38はそれぞれ、左方側の端部において筐体14の左側面14cと接続されるとともに、左方側の端部において筐体14の右側面14aと接続される。これにより、筐体14においては、左側面14cおよび右側面14aを固定するための支柱などを設ける必要がなくなり、筐体14を構成する構成部品が少なくて済む。
【0060】
また、ホルダー28においては、左右両端部において被印刷物と対向するようにして紫外線照射ランプ44、46が配設されている(図6を参照する。)。
【0061】
そして、ホルダー28に配設された6つのインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6には、6つのインクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6のそれぞれに収容された紫外線硬化インクがインクチューブ36を介して供給されるものである。
【0062】
また、インクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6の下面にはそれぞれ、供給された紫外線硬化インクを被印刷物に対して吐出する吐出口としてインクジェットノズル(図示せず。)が複数個配設されている。
【0063】
さらに、紫外線照射ランプ44、46は、インクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6のインクジェットノズル(図示せず。)から吐出される紫外線硬化インクの飛滴が落下する被印刷物上に紫外線を照射して、被印刷物上において紫外線硬化インクを硬化させるものである。
【0064】
また、ホルダー28は、駆動装置(図示せず。)によってガイドレール26上を走査方向に移動するものである。これによりホルダー28に固定的に配設されたインクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6および紫外線照射ランプ44、46もホルダー28の移動に伴って被印刷物上を走査方向に移動する。
【0065】
このとき、走査方向において行き方向から帰り方向に折り返す折返位置Pおよび帰り方向から行き方向に折り返す折返位置Qが予め設定されており、この各折返位置において走査方向が変更される。
【0066】
即ち、インクヘッド30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6および紫外線照射ランプ44、46はホルダー28と一体的に、右側面14a側から左側面14c側へと走査方向における行き方向で移動し、折返位置Pに到達すると移動方向が変更され、左側面14c側から右側面14a側へと走査方向における帰り方向で移動することとなる(図5を参照する。)。
【0067】
また、カートリッジ収容部32は、ベース部材18の左方側における後方側に配設され、それぞれ異なる色彩のインクが収容されたインクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6を着脱可能に収容することができる。
【0068】
また、カートリッジ収容部32は、前面に開閉蓋32aが設けられており、インクカートリッジ34−1、34−2、34−3、34−4、34−5、34−6を交換する場合には、この開閉蓋32aを開けて交換すべきインクカートリッジの交換を行い(図7を参照する。)、インクカートリッジの交換が終了したら開閉蓋32aを閉めた状態とする(図2を参照する。)。なお、こうした開閉蓋32aは、ガイドレール26の前面よりも後方側に位置するように設計されている。
【0069】
このようにしてカートリッジ収容部32をベース部材18の左方側における後方側に配設することにより、カートリッジ収容部32の前方側には何も配設されていない空間が形成されることとなる。
【0070】
また、テーブル22は、移動機構52の上方側に設けられており、この移動機構52により前方側、後方側、上方側および下方側に移動することが可能となっている(図8を参照する。)。
【0071】
移動機構52は、前方側および後方側に移動する移動機構54と上方側および後方側に移動する移動機構62とから構成されるものである。
【0072】
移動機構54は、ベース部材18上に形成された凹部18a内に前後方向に延設されたレール56と、レール56と摺動自在に配設される台座58と、制御部(図示せず。)により台座58をレール56上で前後方向に移動するモーター60とを有して構成されている。
【0073】
レール56は、前後方向、つまり、ガイドレール26と直交する方向に延設されており、レール56に摺動自在に配設された台座58は、モーター60の駆動によりレール56を前方側および後方側に移動することができる。これにより、台座58はガイドレール26より前方側に位置することが可能となるとともに、ガイドレール26より後方側に位置することが可能となる。従って、移動機構52の上方側に設けられるテーブル22もガイドレール26より前方側に位置することが可能となるとともに、ガイドレール26より後方側に位置することが可能となる。
【0074】
また、移動機構62は、台座58において昇降可能に設けられた昇降部材64と、制御部(図示せず。)により昇降部材64を上下方向で移動するモーター66とを有して構成されている(図9、10を参照する。)。
【0075】
台座58内には4つのネジ68a、68b、68c、68dが立設されており、この4つのネジと昇降部材64に設けられた4つの孔64a、64b、64c、64dとがネジ結合により接続されている。
【0076】
また、4つのネジ68a、68b、68c、68dと、モーター66の回転軸66aとの間には、無端状にベルト70が張設されている。
【0077】
そして、モーター66が駆動して回転軸66aが矢印C方向に回転すると、ベルト70が矢印D方向に回転し、4つのネジ68a、68b、68c、68dはそれぞれ、矢印E方向に回転することとなり、これにより昇降部材64は上方側に移動することとなる。
【0078】
また、モーター66が駆動して回転軸66aが矢印F方向に回転すると、ベルト70が矢印G方向に回転し、4つのネジ68a、68b、68c、68dはそれぞれ、矢印H方向に回転することとなり、これにより昇降部材64は下方側に移動することとなる。
【0079】
また、印刷装置12の後方側における上方側には排気ファン50が設けられており、当該排気ファン50は、筐体14の背面14bに設けられた開口部14baを介して筐体14内の排気を行うものである。
【0080】
印刷装置12の右方側には、印刷装置12の動作や制御の処理の指示を行うために操作子群20が設けられており、この操作子群20には、操作状態や印刷終了など作業者に所定の情報を通知することが可能な表示部20a、印刷装置12を起動するためのキー、インクヘッド30の位置を指定するキー、画像データなどの信号に基づいて画像の作成を開始するためのキーや、光沢感のある印刷あるいは光沢感のない印刷のいずれかを選択するためのキーや印刷する被印刷物の厚さを入力するためのキー、印刷装置12を停止するためのキーなどが配設されているものである。
【0081】
また、印刷装置12の右方側には、インクヘッド30が待機位置に位置するときに、当該インクヘッド30のインクジェットノズル(図示せず。)などに付着した付着物を除去するワイパー(図示せず。)や当該インクジェットノズルが配置された領域を封止するキャップなどを備えたクリーニングユニット(図示せず。)が配設されている。さらに、印刷装置12の右方側には、クリーニングユニット(図示せず。)などから排出される廃インクを貯留する廃液ボトル72も備えられている。
【0082】
以上の構成において、インクジェットプリンタ10において被印刷物に対して印刷を行う場合には、まず、作業者は操作子群20を操作して電源を入れると、制御部(図示せず。)の制御によりガイドレール26の後方側に位置しているテーブル22が移動機構52により前方側に移動し、テーブル22をガイドレール26の前方側に位置させる。さらに、制御部(図示せず。)によりクリーニングユニット(図示せず。)を制御してインクジェットノズル(図示せず。)が配置された領域からキャップを外した状態とする。
【0083】
その後、作業者は開閉カバー16を開けて、テーブル22上に被印刷物を印刷面を上方側に向けて載置する。この際、作業者はカートリッジ収容部32の前方側に形成された空間内に、次に印刷する被印刷物を置くなどするようにしてもよい。
【0084】
そして、テーブル22上に被印刷物を載置した後に、作業者は開閉カバー16を閉め、外部コンピューターから印刷データを入力するとともに、操作子群20により被印刷物の厚さや、「光沢感あり」あるいは「光沢感なし」といった印刷結果の質感の選択の選択や、「単方向印刷」あるいは「双方向印刷」といった印刷の種類の選択など、印刷に必要となる情報を入力し、操作子群20を操作して印刷を開始すると、印刷処理が開始される。
【0085】
ここで、図11のフローチャートには、印刷処理の詳細な内容が示されており、この印刷処理においては、まず、予め作業者が操作子群20により入力した被印刷物の厚さに基づいて、移動機構52を制御してテーブル22を高さ方向で移動させて、インクヘッド30と当該被印刷物の印刷面との距離を印刷に最適な距離に調整する(ステップS1102)。
【0086】
即ち、このステップS1102の処理においては、制御部(図示せず。)の制御により、入力された被印刷物の厚さに基づいて、移動機構52を制御して被印刷物の印刷面とインクヘッド30の下面との距離が印刷に適した距離となるようにテーブル22を高さ方向で移動させるものである。
【0087】
次に、テーブル22上に載置された被印刷物の印刷領域を入力する(ステップS1102)。
【0088】
このステップS1104の処理においては、作業者は、操作子群20を操作して、ホルダー28を走査方向の行き方向および帰り方向で移動させるとともに、テーブル22を移動機構52により前方側から後方側に移動させ、このときに被印刷物における印刷領域を入力する。なお、入力したデータは制御部(図示せず。)に設けられた記憶部(図示せず。)に記憶される。
【0089】
その後、作業者が予め入力した情報(例えば、印刷データ、印刷結果の質感の選択および印刷の種類の選択などである。)に基づいて、テーブル22を移動機構52により前方側から後方側に移動させ、かつ、ホルダー28を走査方向の行き方向および帰り方向で移動させながら、被印刷物の印刷面に紫外線硬化インクによる印刷を行う(ステップS1106)。
【0090】
具体的には、ステップS1106の処理においては、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感あり」が選択され、印刷の種類において「単方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は印刷中は常時点灯し、紫外線照射ランプ46は印刷中は常時消灯するように制御される。
【0091】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0092】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯している。
【0093】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、紫外線は照射されず、当該飛滴は、印刷面上の所定の位置に落下したままで、印刷面上において硬化することはない。
【0094】
そして、走査方向における行き方向で移動するホルダー28が折返位置Pに到達すると、その移動方向が走査方向の帰り方向に変更される。なお、折返位置は、予め設定している位置であってもよいし、ステップS1102の処理において入力した入力結果に基づいて算出した位置であってもよい。
【0095】
こうして走査方向の帰り方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときには、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクは吐出されない。
【0096】
こうして走査方向の帰り方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されないときには、帰り方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線硬化ランプ46は消灯しており、インクヘッド30の後段に位置する紫外線硬化ランプ44は点灯している。
【0097】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、紫外線硬化ランプ44から紫外線が照射されて当該飛滴が印刷面上で硬化する。
【0098】
こうして、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、紫外線が照射されるまでに所定の時間が経過している。
【0099】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、その表面状態が平滑な状態で硬化されることとなり、粒子感のない光沢感のある印刷結果となる。
【0100】
また、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感あり」が選択され、印刷の種類において「双方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は行き方向において点灯し、帰り方向において消灯するように制御され、紫外線照射ランプ46は行き方向において消灯し、帰り方向において点灯するように制御される。
【0101】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0102】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯している。
【0103】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、紫外線は照射されず、当該飛滴は、印刷面上の所定の位置に落下したままで、印刷面上において硬化することはない。
【0104】
そして、走査方向における行き方向で移動するホルダー28が折返位置Pに到達すると、その移動方向が走査方向の帰り方向に変更される。この際、行き方向で移動する際に点灯していた紫外線照射ランプ44を消灯させ、行き方向で移動する際に消灯していた紫外線照射ランプ46を点灯させる。
【0105】
その後、走査方向の帰り方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0106】
こうして走査方向の帰り方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときには、帰り方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ46は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯している。
【0107】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、帰り方向で移動する紫外線照射ランプ46から紫外線が照射されて、当該飛滴は印刷面上において硬化する。
【0108】
一方、走査方向の帰り方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、帰り方向で移動するインクヘッド30の後段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯しているので、紫外線が照射されず、当該飛滴は印刷面上において硬化することはない。
【0109】
そして、走査方向の帰り方向で移動するホルダー28が折返位置Qに到達すると、その移動方向を行き方向に変更する。この際、帰り方向で移動する際に点灯していた紫外線照射ランプ46を消灯させ、帰り方向で移動する際に消灯していた紫外線照射ランプ44を点灯させる。
【0110】
その後、走査方向の行き方向の移動で、ホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0111】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯している。
【0112】
その結果、走査方向の帰り方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、行き方向で移動する紫外線照射ランプ44から紫外線が照射されて、当該飛滴は印刷面上において硬化する。
【0113】
一方、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、行き方向で移動するインクヘッド30の後段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯しているので紫外線が照射されず、当該飛滴は印刷面上において硬化することはない。
【0114】
こうして、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、紫外線が照射されるまでに所定の時間が経過している。
【0115】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、その表面状態が平滑な状態で硬化されることとなり、粒子感のない光沢感のある印刷結果となる。
【0116】
また、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感なし」が選択され、印刷の種類において「単方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は常時消灯するように制御され、紫外線照射ランプ46は、常時点灯するように制御される。
【0117】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出され、紫外線効硬化インクの飛滴が被印刷物の印刷面の所定の位置に落下する。
【0118】
こうして走査方向の行き方向の移動で紫外線硬化インクが吐出されるときは、行き方向において移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は点灯している。
【0119】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上に、行き方向で移動する紫外線照射ランプ46から紫外線は照射され、当該飛滴は印刷面上において硬化する。
【0120】
ここで、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した印刷面上には、その後直ちに行き方向で移動するインクヘッド30の後段に位置する紫外線照射ランプ46から紫外線が照射されることになる。
【0121】
即ち、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、非常に短い時間しか経過していない状態で紫外線が照射されることになる。
【0122】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは表面状態が平滑になる前に硬化されることとなり、粒子感あって光沢感のない印刷結果となる。
【0123】
また、作業者により予めなされた設定が、印刷の質感の選択において「光沢感なし」が選択され、印刷の種類において「双方向印刷」を選択された場合、制御部(図示せず。)により紫外線照射ランプ44は行き方向で移動する際には消灯し、帰り方向で移動する際には点灯するように制御され、紫外線照射ランプ46は行き方向で移動する際に点灯し、帰り方向で移動する際に消灯するよう制御される。
【0124】
そして、待機位置から走査方向の行き方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出されるときには、行き方向で移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ44は消灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ46は点灯している。
【0125】
その結果、走査方向の行き方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線効硬化インクの飛滴が落下した被印刷物の印刷面上には、その後直ちに紫外線照射ランプ46から紫外線が照射されることになる。
【0126】
一方、走査方向の帰り方向でホルダー28とともにインクヘッド30および紫外線照射ランプ44、46が一体的に移動するときに、インクジェットノズル(図示せず。)から紫外線硬化インクが吐出されるときには、帰り方向で移動するインクヘッド30の前段に位置する紫外線照射ランプ46は消灯しており、後段に位置する紫外線照射ランプ44は点灯している。
【0127】
その結果、走査方向の帰り方向において移動するインクヘッド30から吐出された紫外線硬化インクの飛滴が落下した被印刷物の印刷面上には、その後直ちに紫外線照射ランプ44から紫外線が照射されることになる。
【0128】
即ち、印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは、非常に短い時間しか経過していない状態で紫外線が照射されることになる。
【0129】
このため、被印刷物の印刷面上に吐出された紫外線硬化インクは表面状態が平滑になる前に硬化されることとなり、粒子感あって光沢感のない印刷結果となる。
【0130】
ステップS1106の処理が終わると、制御部(図示せず。)により移動機構52を制御してテーブル22をガイドレール26より前方側の位置まで移動させる(ステップS1108)。
【0131】
そして、制御部(図示せず。)による制御により、印刷終了した旨を操作子群20の表示部20aに表示し(ステップS1110)、ホルダー28を待機位置まで移動させ、クリーニングユニット(図示せず。)によりインクジェットノズル(図示せず。)および当該インクジェットノズルの近傍をクリーニングし、クリーニングが終了するとキャップによりインクジェットノズルが配設された領域をキャップにより封止し(ステップS1112)、印刷処理を終了する。
【0132】
そして、上記した印刷処理が終了すると、作業者は開閉カバー16を開けて、印刷処理された被印刷物を取り出す。その後、再度別の被印刷物に印刷を行う場合には、印刷処理を行う被印刷物をテーブル22上に載置し、操作子群20を操作して印刷を開始する。このとき、先の印刷と同じ印刷を行う場合には、印刷データの入力や操作子群20を操作して印刷に必要な情報を入力することなく操作子群20を操作して印刷を開始する。一方、先の印刷の異なる印刷(例えば、異なる質感の印刷結果を取得したい場合などである。)を行う場合には、先の印刷と異なる情報の再入力を行った後に、操作子群20を操作して印刷を開始することとなる。
【0133】
その後、被印刷物への印刷が終了すると、作業者により操作子群20を操作されて電源が切られると、制御部(図示せず。)により移動機構52が制御されて、テーブル22をガイドレール26の前方側からガイドレール26の後方側に移動させて電源が切られる。
【0134】
以上において説明したように、本発明によるインクジェットプリンタ10は、内部が外部空間と隔絶された筐体14内に印刷装置12が収容されるように構成されている。そして、筐体14には、紫外線を吸収する可能の施されたアクリル板により窓部16aが形成された開閉カバー16を設けるようにし、当該開閉カバー16を開閉することにより、筐体14内部の空間を外部空間と連通あるいは隔絶するようにしたものである。
【0135】
即ち、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、被印刷物を載置するテーブル22、テーブル22を動作させる移動機構、紫外線硬化インクを吐出するインクヘッド30、インクヘッド30を動作させる移動機構、インクカートリッジ34−1〜34−6を収容するカートリッジ収容部32、インクヘッド30をクリーニングするクリーニングユニット(図示せず。)、インクジェットプリンタ10の全体の動作を制御する制御部(図示せず。)、筐体14内部の空気を筐体14外部に排気する排気ファン50、クリーニングユニット(図示せず。)などから排出される廃インクを貯留する廃液ボトル72といった全ての構成を筐体14内に設けるようにした。
【0136】
また、筐体14に形成された開口部14fに折返し部14faを設けるようにし、開閉カバー16を閉めたときに、当該開閉カバー16が折返し部14faに当接するようにした。
【0137】
さらに、筐体14の背面14bに開口部14baが設けられ、この開口部14baの近傍には、印刷装置12に設けられた排気ファン50が位置するようにし、開口部14baにダクトホースなどを設けて筐体14内の空気を筐体14外に排気するようにした。
【0138】
そして、作業者は開閉カバー16を開けて被印刷物をテーブル22に載置した後に、開閉カバー16を閉め、筐体14の上面14eの前方傾斜面14eaに設けられた開口部14eaaに位置する操作子群20を操作して印刷を開始するようにした。
【0139】
これにより、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、印刷中に筐体14内部に塵埃が入り込むことがなくなり、印刷面への異物の混入が著しく少なくなり、安定した印刷品質を得ることができるようになる。
【0140】
また、本発明によるインクジェットプリンタ10においは、紫外線が筐体14の外部に漏れる紫外線量が極めて少なく、紫外線硬化インクの臭気も排気ファン50により筐体14外に排気されることとなるため、作業者の健康を害することがなくなる。
【0141】
さらに、本発明によるインクジェットプリンタ10においては、筐体14の外部に漏れる印刷装置12における動作音や排気ファン50の動作音が抑制される。
【0142】
さらにまた、開閉カバー16の窓部16aから被印刷物への印刷状況が視認できるため、不具合が生じた場合などには、直ちに操作子群20を操作して印刷を中止することができる。
【0143】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(9)に示すように変形することができるものである。
【0144】
(1)上記した実施の形態においては、紫外線硬化インクと当該紫外線硬化インクに対して紫外線を照射する紫外線照射ランプ44、46を用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、紫外線とは異なる放射線の可視光や電子線あるいは、その他の光を照射する光照射手段を用い、当該光照射手段により照射された光によって固化あるいは増粘する性質を有する各種インクを用いるようにしてもよい。
【0145】
(2)上記した実施の形態においては、上面14eを前方傾斜面14eaと後方傾斜面14ebとにより構成されるようにして筐体14を形成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、上面を平板状とし、筐体14の外形を略直方体形状とするようにしてもよく、要は、印刷装置12を収容することができるとともに、内部空間と外部空間とを隔絶することが可能な構成であれば、筐体14はどのような形状であってもよい。
【0146】
(3)上記した実施の形態においては、特に記載しなかったが、印刷装置12による被印刷物への印刷中に開閉カバー16が作業者により開けられた場合には、制御部(図示せず。)によって印刷装置12による被印刷物への印刷を中止するように制御するようにしてもよい。
【0147】
この際には、開閉カバー16の開閉を検知するセンサーなどを設け、当該センサーによる検知結果に基づいて、制御部(図示せず。)により印刷を中止するように制御する。
【0148】
(4)上記した実施の形態においては、印刷装置12において、テーブル22上に被印刷物を載置し、テーブル22を前方側から後方側に移動させながら被印刷物に対して印刷を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0149】
例えば、印刷装置12のテーブル22に換えて、回転ユニット104を設けるようにしてもよい(図12を参照する。)。
【0150】
こうした回転ユニット104を用いることによって、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物に対して印刷を行うことができるようになる。
【0151】
以下、図12を参照しながら、回転ユニットについて詳細に説明する。
【0152】
この回転ユニット104は、ベース部材18上に配設される上下方向駆動ユニット106と、上下方向駆動ユニット106の上面106aの左方側に固定的に配設される回転軸駆動ユニット108と、上下方向駆動ユニット106の上面106aにおいて回転軸駆動ユニット108の右方側に配設される支持ユニット110と、回転軸駆動ユニット108の右側面108aに設けられた保持部材112と、保持部材112と対をなして支持ユニット110の左側面110aに設けられた保持部材114とを有して構成されている。
【0153】
支持ユニット110は、上下方向駆動ユニット106の上面106a上に走査方向に平行に設けられた溝106b上を摺動自在に設けられており、支持ユニット110を走査方向に移動させて、左側面110aに設けられた保持部材114と回転軸駆動ユニット108の右側面108aに設けられた保持部材112とによって、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物を保持するようにしている。
【0154】
また、支持ユニット110には、支持ユニット固定部110−1が設けられており、この支持ユニット固定部110−1により上下方向駆動ユニット106に設けられた溝106b上の任意の位置で支持ユニット110を固定することができる。
【0155】
支持ユニット110の左側面110aに設けられた保持部材114は、略円柱形状に形成され、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物と当接する側面114aが凹んだ形状となっている。
【0156】
また、保持部材114は、側面114aと対向する側面114bの中心部において支持ユニット110の左側面110aに設けられた支持部材110aaに回転可能に支持されている。
【0157】
なお、この支持部材110aaは、後述する回転軸駆動ユニット108に設けられた回転軸108aaと同軸上に設けられている。
【0158】
また、回転軸駆動ユニット108の右側面108aに設けられた保持部材112は、保持部材114と同様の形状であって、略円筒形状に形成され、円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物が当接する側面112aが凹んだ状態となっている。
【0159】
そして、保持部材112は、側面112aと対向する側面112bの中心部において回転軸駆動ユニット108の右側面108aから突出して設けられた回転軸(図示せず。)と接続されている。
【0160】
このため、保持部材112は、回転軸駆動ユニット108内に設けられた駆動モーター(図示せず。)により回転軸(図示せず。)が回転するものである。
【0161】
つまり、保持部材112と保持部材114とは同一の回転軸で回転するものであり、保持部材112および保持部材114により保持された円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物は、回転軸駆動ユニット108内に設けられた駆動モーター(図示せず。)の駆動して当該回転軸周りに回転する。
【0162】
また、上下方向駆動ユニット106は、上記した移動機構52と同様の構成により前方側、後方側、上方側および下方側に移動するようにしてもよいし、ホルダー28が走査する下方側においてベース部材18に固定的に配設され、図示しない駆動モーターの駆動により上下方向に移動するようにしてもよい。
【0163】
そして、ステップS1104の処理において、予め作業者が入力した円筒、円柱あるいは球などの形状の被印刷物の厚さに基づいて、上下方向駆動ユニット106を高さ方向で移動させて、インクヘッド30と当該被印刷物の印刷面との距離を印刷に最適な距離に調整する。
【0164】
また、ステップS1106の処理では、作業者が入力した情報に基づいて、回転軸駆動ユニット108を駆動させて保持部材112、114に保持された被印刷物を回転させた状態で、ホルダー28を走査方向の行き方向および帰り方向で移動させながら被印刷物の印刷面に紫外線硬化インクによる印刷を行うようにする。
【0165】
(5)上記した実施の形態においは、ベース部材18の略中央部においてテーブル22を設けるようにし、右方側に制御部(図示せず。)、クリーニングユニット(図示せず。)、廃液ボトル72などを設けるようにし、左方側にカートリッジ収容部32を設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。つまり、左方側に制御部(図示せず。)、クリーニングユニット(図示せず。)、廃液ボトル72などを設けるようにし、右方側にカートリッジ収容部32を設けるようにしてもよい。
【0166】
(6)上記した実施の形態においては、操作子群20において、操作状態や印刷終了など作業者に所定の情報を通知することが可能な表示部20a、印刷装置12を起動するためのキー、インクヘッド30の位置を指定するキー、画像データなどの信号に基づいて画像の作成を開始するためのキーや、光沢感のある印刷あるいは光沢感のない印刷のいずれかを選択するキーや印刷する被印刷物の厚さを入力するためのキー、印刷装置12を停止するためのキーなどが配設されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0167】
つまり、操作子群20に、設定可能な各種条件を表示したり、操作状態や印刷の終了など作業者に所定の情報を通知することが可能な表示部20aと、印刷装置12を起動および停止するためのキー、印刷を開始するためのキー、表示部20aに表示された各種条件を選択するカーソルキーや、選択した条件を決定するためのキーなどを設けるようにしてもよい。
【0168】
このとき、表示部20aに表示された各種条件のうちの選択可能な項目をカーソルキーなどにより選択し、選択した条件を決定するためのキーにより決定するようにする。
【0169】
このようにすることにより、操作子群20に設けるキーの数を少なくすることができる。
【0170】
(7)上記した実施の形態においては、前方側から後方側にテーブル22を移動させながら印刷を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、テーブル22を後方側から前方側に移動させながら印刷するようにしてもよい。
【0171】
(8)上記した実施の形態においては、操作子群20を操作して光沢感のある印刷または光沢感のない印刷とを選択可能として、質感の異なる印刷を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0172】
即ち、操作子群20に光沢感のある印刷あるいは光沢感のない印刷のいずれかを選択するキーを設けずに、印刷が行われる際には必ず光沢感のある印刷を行うようにしてもよい。あるいは、印刷が行われる際には必ず光沢感のない印刷を行うようにしてもよい。
【0173】
(9)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(8)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明は、紫外線硬化インクなどの被印刷物上に照射される光によって固化あるいは増年する特性を有する光硬化型インクを用いたインクジェットプリンタに利用することができる。
【符号の説明】
【0175】
10 インクジェットプリンタ、14 筐体、14fa 折返し部、16 開閉カバー、16a 窓部、22 テーブル、26 ガイドレール、30 インクヘッド、32 カートリッジ収容部、38 ガイド部材、44、46 紫外線照射ランプ、50 排気ファン、52、54、56 昇降機構、72 廃液ボトル、104 回転ユニット、112 保持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式によりインクヘッドにより被印刷物上に吐出した光硬化インクに対して光を照射することにより前記光硬化インクを硬化するインクジェットプリンタにおいて、
前記被印刷物を支持し、前記被印刷物を第1の方向に移動する支持手段と、前記支持手段に支持された前記被印刷物に対して光硬化インクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドが固定的に配設されるとともに前記第1の方向と直交する第2の方向に延設されたガイドレール上を移動する移動手段と、前記移動手段に固定的に配設されるとともに前記インクヘッドから吐出した光硬化インクに対して光を照射する光照射手段とを備えた印刷手段と、
前記印刷手段を内部に収容するとともに、内部空間と外部空間とを隔絶可能な筐体と
を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記筐体は、開口部が形成され、前記開口部において開閉可能なカバー部材が設けられ、前記カバー部材を開けることにより前記筐体の内部空間と外部空間とを連通し、前記カバー部材を閉めることにより前記筐体の内部空間と外部空間とを隔絶する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記カバー部材は透明な材料で構成された窓部が設けられており、前記窓部には前記光照射手段から照射される光を吸収する加工が施されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記筐体の前記開口部の周りにおいては、折返し部が設けられており、前記カバー部材を閉めた状態のときには、前記折返し部と前記カバー部材とが当接した状態となる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記筐体の上面は、前方側が傾斜した前方傾斜面と後方側が傾斜した後方傾斜面とにより構成され、
前記前方傾斜面と前記後方傾斜面とが接合した接合部の下方側近傍において前記ガイドレールを配置する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記支持手段は、テーブル上に前記被印刷物が載置され、前記テーブルを前記ガイドレールの前方側および後方側に移動させることができる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記支持手段は、一対の保持部材により左右から前記被印刷物を保持し、前記一対の保持部材を前方側あるいは後方側に回転させる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記インクヘッドにインクチューブを介して光硬化インクを供給するインクカートリッジを収容する収容部を備え、
前記収容部はインクカートリッジの交換を行うための開口部には蓋部が設けられる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載のインクジェットプリンタは、
前記収容部は前記ガイドレールより後方側に配設され、前記収容部の前方側には所定の空間が形成される
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項10】
請求項8または9のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記インクヘッドのインクジェットノズルが設けられた領域をクリーニングするとともにキャッピングするクリーニングユニットを備え、
前記支持部材の一方の側に前記収容部が配設され、他方の側にクリーニングユニットが配設される
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項11】
請求項10に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記クリーニングユニットから排出される廃インクを貯留する貯留手段を備える
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記第2の方向に延設され、前方側に前記ガイドレールが設けられた壁部を備え、
前記壁部は、前記筐体の右側面および左側面と接続されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記第2の方向に延設され、前記インクカートリッジから前記インクヘッドへ光硬化インクを供給するインクチューブ内の光硬化インクを循環するためのインクチューブモーターが配設された断面略U字形状のガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記筐体の右側面および左側面と接続されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記筐体の背面に設けられた開口部の近傍に配設された排気手段を備える
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記支持手段は、前記被印刷物を前記第1の方向および前記第1の方向と前記第2の方向とそれぞれ直交する第3の方向に移動する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項1】
インクジェット方式によりインクヘッドにより被印刷物上に吐出した光硬化インクに対して光を照射することにより前記光硬化インクを硬化するインクジェットプリンタにおいて、
前記被印刷物を支持し、前記被印刷物を第1の方向に移動する支持手段と、前記支持手段に支持された前記被印刷物に対して光硬化インクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドが固定的に配設されるとともに前記第1の方向と直交する第2の方向に延設されたガイドレール上を移動する移動手段と、前記移動手段に固定的に配設されるとともに前記インクヘッドから吐出した光硬化インクに対して光を照射する光照射手段とを備えた印刷手段と、
前記印刷手段を内部に収容するとともに、内部空間と外部空間とを隔絶可能な筐体と
を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記筐体は、開口部が形成され、前記開口部において開閉可能なカバー部材が設けられ、前記カバー部材を開けることにより前記筐体の内部空間と外部空間とを連通し、前記カバー部材を閉めることにより前記筐体の内部空間と外部空間とを隔絶する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記カバー部材は透明な材料で構成された窓部が設けられており、前記窓部には前記光照射手段から照射される光を吸収する加工が施されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記筐体の前記開口部の周りにおいては、折返し部が設けられており、前記カバー部材を閉めた状態のときには、前記折返し部と前記カバー部材とが当接した状態となる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項5】
請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記筐体の上面は、前方側が傾斜した前方傾斜面と後方側が傾斜した後方傾斜面とにより構成され、
前記前方傾斜面と前記後方傾斜面とが接合した接合部の下方側近傍において前記ガイドレールを配置する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記支持手段は、テーブル上に前記被印刷物が載置され、前記テーブルを前記ガイドレールの前方側および後方側に移動させることができる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記支持手段は、一対の保持部材により左右から前記被印刷物を保持し、前記一対の保持部材を前方側あるいは後方側に回転させる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記インクヘッドにインクチューブを介して光硬化インクを供給するインクカートリッジを収容する収容部を備え、
前記収容部はインクカートリッジの交換を行うための開口部には蓋部が設けられる
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載のインクジェットプリンタは、
前記収容部は前記ガイドレールより後方側に配設され、前記収容部の前方側には所定の空間が形成される
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項10】
請求項8または9のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記インクヘッドのインクジェットノズルが設けられた領域をクリーニングするとともにキャッピングするクリーニングユニットを備え、
前記支持部材の一方の側に前記収容部が配設され、他方の側にクリーニングユニットが配設される
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項11】
請求項10に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記クリーニングユニットから排出される廃インクを貯留する貯留手段を備える
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記第2の方向に延設され、前方側に前記ガイドレールが設けられた壁部を備え、
前記壁部は、前記筐体の右側面および左側面と接続されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記第2の方向に延設され、前記インクカートリッジから前記インクヘッドへ光硬化インクを供給するインクチューブ内の光硬化インクを循環するためのインクチューブモーターが配設された断面略U字形状のガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記筐体の右側面および左側面と接続されている
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記印刷手段は、さらに、前記筐体の背面に設けられた開口部の近傍に配設された排気手段を備える
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記支持手段は、前記被印刷物を前記第1の方向および前記第1の方向と前記第2の方向とそれぞれ直交する第3の方向に移動する
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−991(P2013−991A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134801(P2011−134801)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り JAPAN SHOP 2011(第40回 店舗総合見本市) 株式会社日本経済新聞社 平成23年3月8日から11日
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り JAPAN SHOP 2011(第40回 店舗総合見本市) 株式会社日本経済新聞社 平成23年3月8日から11日
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】
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