説明

インクジェットプリント用の電極組成物、それを用いて製造された電極及び二次電池

【課題】電極活物質及び溶媒を含むインクジェットプリント用の電極組成物、それを用いて製造された電極及び二次電池を提供する。
【解決手段】インクジェット印刷方式で精密な電極パターンを形成し、これを利用してマイクロ薄型の二次電池を製造しうる。インクジェットプリント用の電極組成物は、電極活物質及び溶媒を含み、溶媒は、1気圧下で沸点150ないし170℃であり、25℃で表面張力30dyne/cm以上である第1溶媒を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェットプリント用の電極組成物、それを用いて製造した電極及びリチウム電池が開示される。さらに詳細には、精密な電極パターンを形成しうるインクジェットプリント用の電極組成物、それを用いて製造した電極及びリチウム電池が開示される。
【背景技術】
【0002】
最近、移動電話、個人携帯用情報端末機(PDA)、携帯型マルチメディアプレーヤー(PMP)などの携帯用電子機器の電源と、高出力用ハイブリッド自動車、電気自動車などのモーター駆動用電源と、電子インク(e−ink)、電子紙(e−paper)、フレキシブル液晶表示素子(LCD)、フレキシブル有機ダイオード(OLED)などのフレキシブルディスプレー用の電源としての二次電池の使用が急増しており、今後印刷回路基板上の集積回路素子用電源としても応用される可能性が高まりつつある。
【0003】
しかしながら、携帯用電子機器の電源として使われる場合、安定性のためのパッケージングにより多様な製品デザインに制約が加えられ、モーター駆動用電源として使われる場合には、高出力化、小型及び軽量化に対する必要性が増加しており、フレキシブルディスプレー用電源として使用する場合には、薄くて軽く、折曲げ可能に製造されなければならず、集積回路素子用の電源として使用するには、一定の形で精密にパターニングされなければならない。
【0004】
このような二次電池に要求される多様な要求を満たすための電極製造方法として、既存のスラリーコーティング方式の代わりに、インクジェット印刷方式が注目を浴びている。このようなインクジェット印刷方式は、二次電池用電極を薄くて均一でありつつも、平坦に製造できて、所望の形のパターンを経済的に製造できるという特徴を有する。
【0005】
一方、二次電池電極形成用の組成物は、主にリチウム遷移金属酸化物の電極活物質、媒質として使われる溶媒、溶媒乾燥後の電極と粒子との結合のためのバインダーで構成される。この中で、溶媒は、粒子の分散性、インク組成物の吐出特性、乾燥特性などを考慮して1つまたはそれ以上の混合物形態に使われうる。通常、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を主溶媒として含むが、これはバインダーとして主に用いられるポリフッ化ビニリデン(PVdF)バインダーに対する溶解度が高いが、沸点が高くて揮発性が低いために、乾燥速度は遅い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、インクジェットプリント方式で精密なパターンを有する電極を製造できる電極組成物を提供することである。
【0007】
本発明は、前記電極組成物を用いて製造された電極及び二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面において、電極組成物は、電極活物質及び溶媒を含むインクジェットプリント用の電極組成物であって、前記溶媒は、1気圧下で沸点150ないし170℃であり、25℃で表面張力30ないし40dyne/cmである第1溶媒を含む電極組成物が提供される。
【0009】
前記電極活物質の含量は、電極組成物を基準に1ないし20重量%でありうる。
【0010】
前記第1溶媒は、アミド基含有溶媒でありうる。
【0011】
前記アミド基含有溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物でありうる。
【0012】
前記第1溶媒の含量は、全体溶媒の重量を基準に80ないし100重量%でありうる。
【0013】
前記電極組成物は、バインダー、導電剤、保湿剤、分散剤及び緩衝剤からなる群から選択される1つ以上をさらに含むことができる。
【0014】
前記電極組成物の粘度は、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度で100mPa・sec以下でありうる。
【0015】
本発明の他の側面において、前記電極組成物をインクジェット方式でプリントして製造された二次電池用電極が提供される。
【0016】
本発明のさらに他の側面において、前記電極を含む二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一具現例による電極組成物インクジェット方式でプリントして精密なパターンを有する電極を製造しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1による電極組成物を用いて得られたインクジェット吐出結果を示す写真である。
【図2】比較例1による電極組成物を用いて得られたインクジェット吐出結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一具現例によるインクジェットプリント用の電極組成物について詳細に説明する。
【0020】
本発明の一具現例によるインクジェットプリント用の電極組成物は、電極活物質及び溶媒を含み、前記溶媒は、1気圧下で沸点150ないし170℃であり、25℃で表面張力30dyne/cm以上である第1溶媒を含む。前記電極活物質の含量は、電極組成物を基準に1ないし20重量%でありうる。
【0021】
通常、二次電池の電極形成用組成物に用いられるNMPは沸点が高く、乾燥速度が低い。したがって、NMPを主溶媒として用いて、インクジェットプリント方式で電極を形成する場合、未乾燥液滴が高い表面張力により移動しつつ、ターゲット点から離れうるか、他の液滴とかたまりつつ移動する現象が発生するために、精密なパターンの形成が困難となりうる。本発明の一具現例に用いられる第1溶媒は、沸点が相対的に高くなく、未乾燥液滴による前述した現象が発生しないので、一定の表面張力を有しつつも、精密なパターンを有する電極組成物が製造されうる。
【0022】
本発明の一具現例による電極組成物に用いられる第1溶媒は、表面張力が30ないし40dyne/cmである。通常、印刷時のインクのノズル表面とノズル板との接触角及び印刷後のインクと集電体との接触角を高めうるという側面において、表面張力30dyne/cm以上の溶媒が望ましいが、沸点に与える影響を考慮して表面張力40dyne/cm以下であるものが望ましい。
【0023】
前記第1溶媒は、アミド基含有溶媒でありうる。理論に拘束されることを意図するものではないが、このようなアミド基含有溶媒は、カルボニル酸素の非共有電子対を電極組成物に含まれた電極活物質の金属部分に供与して、電極活物質の酸化物の表面エネルギーを下げて粒子を十分に分散させる効果がある。望ましくは、前記第1溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)またはそれらの混合物から選択される。
【0024】
本発明の一具現例によるインクジェットプリント用の電極組成物において、前記第1溶媒は、用途と目的によって第2溶媒と混合して使用することも可能である。具体的な第2溶媒の例は、これらに制限されるものではないが、ヘキサンなどの飽和炭化水素類と、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、プロパノール(PrOH)、ブタノール(BuOH)などのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエテールなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)またはそれらのうち、2つ以上の混合物である。第2溶媒と混合される場合、第1溶媒の含量は、全体溶媒の重量の合計を基準に80ないし100重量%でありうる。
【0025】
本発明の一具現例によるインクジェットプリント用の電極組成物において、電極活物質は、本発明の目的を阻害しない限り、特に制限されず、二次電池の電極活物質として用いられる通常の酸化物粒子のうち、任意のものを使用することができる。使用可能な正極活物質の具体例は、LiCoOなどのLi−Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物、LiMn、LiMnOなどのLi−Mn系複合酸化物、LiCr、LiCrOなどのLi−Cr系複合酸化物、LiFeOなどのLi−Fe系複合酸化物、Li−V系複合酸化物などを含む。使用可能な負極活物質の具体例は、LiTi12などのLi−Ti系複合酸化物、SnO、In、Sbなどの遷移金属酸化物、グラファイト、ハードカーボン、アセチレンブラック、カーボンブラックなどのカーボンなどを含む。
【0026】
このような電極活物質の含量は、全体電極組成物のうち、1ないし20重量%であって、さらに具体的には、3ないし7重量%でありうる。このような範囲で、電極組成物は、粘度が高くなくて、組成物の安定性と吐出性とを十分に保ちつつ、プリント効率が増加されうる。
【0027】
前記電極活物質は、D50が50−500nmでありうる。
【0028】
本発明の一具現例による電極組成物は、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度(shear rate)での粘度が100mPa・sec以下でありうる。望ましくは、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度での粘度が0.5ないし5mPa・secでありうる。
【0029】
本発明のさらに他の具現例によれば、バインダー、導電剤、保湿剤、分散剤、及び/または緩衝剤が前記電極組成物にさらに含まれうる。
【0030】
インクジェットプリントの後、電極活物質と極板との間に密着力を与えるために、バインダーが使われうる。具体的なバインダーの非制限的な例は、ポリビニルアルコール、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、カルボキシメチルセルロース、またはそれらのうち、1種または2種の混合物を含み、特に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)が望ましい。
【0031】
前記バインダーの含量は、電極組成物の重量を基準に0.01ないし10重量%であり、さらに具体的には、0.05ないし5重量%であるが、必ずしもその範囲に限定されるものではない。
【0032】
電極活物質粒子の伝導性を向上させるために、導電剤が使われうる。使われる導電剤は、本発明の目的を達成する範囲内であれば、特に制限されない。具体的な導電剤の非制限的な例は、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブなどを含む。前記導電剤の含量は、例えば、電極活物質粒子を基準に1ないし20重量%であるが、その範囲に限定されるものではない。
【0033】
ノズルで電極組成物の乾燥を抑制してノズル閉塞を防止する役割を行うように、保湿剤が使われうる。例えば、グリコール類、グリセロール、ピロリドンなどが使用されうる。使われる量は、全体組成物重量を基準に5ないし40重量%の含量であるが、第1溶媒の含量によって電極組成物の乾燥抑制効果などは十分に得られるので、使われないこともある。
【0034】
前記電極活物質と導電剤の分散のために分散剤が使われうる。使われる分散剤としては、本発明の目的を阻害しない限り、特に制限されない。具体的には、脂肪酸塩、アルキルジカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、多価硫酸エステルアルコール塩、アルキルナフタレン硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルナフタレン硫酸エステル塩、アルキルスルホンスクシン酸塩、ナフテン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルファオレフィン硫酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテル硫酸塩、2次多価アルコールエトキシスルファート、ポリオキシエチレンアルキルペルミルエーテル硫酸塩、モノグリスルファート、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアミン塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、フッ素系−またはシリコン系−アクリル酸重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンのラノリン誘導体、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、アルカノールアミド脂肪酸、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピリドン、ポリアクリルアミド、カルボキシ基含有水溶性ポリエステル、水酸基含有セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ブタジエン樹脂、アクリル酸系、スチレンアクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、アルキルベタミン、アルキルアミンオキシド、ホスファチジルコリンのような通常の分散剤のうち、任意の1種または2種以上を選択して使用することができる。
【0035】
前記分散剤の含量は、電極活物質の重量を基準に1ないし20重量%であるが、電極の特性や分散性を考慮して添加しない場合もある。
【0036】
また前記インクジェット印刷用の電極組成物は、安定性を維持して適正なpHに調節するために、緩衝剤をさらに含むことができる。このような緩衝剤としては、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミンなどのアミン類緩衝剤または水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムのうち、任意の1種または2種以上を選択して使用しうる。このような緩衝剤は、前記電極活物質含量を基準に0.1ないし5重量%の含量を使用できるが、電極組成物によっては使われないこともある。
【0037】
前記のような各構成成分を含むインクジェット印刷用の電極組成物は、インクの形で構成されてインクジェット印刷に用いられる。このために、前記の酸化物活物質、溶媒、バインダー、保湿剤、導電剤、分散剤、緩衝剤のような各構成成分の適量を混合してボールミル及びビードミルを順次に行い、1μm、0.45μm PTFEシリンジフィルターを順次に通過させて電極組成物を完成する。
【0038】
このようにして得られたインクジェット印刷用の電極組成物は、望ましくは、インクジェットプリンタを利用して集電体上に所定パターンに印刷することで電極を構成する。
【0039】
インクジェット方式とは、インクジェットプリントのノズルから電極インクが水滴として集電体上にプリントされる方式である。前記インクジェット方式には、熱駆動方式、圧電素子方式などがあるが、電池材料の熱安定性の観点から圧電素子方式を使用することが望ましい。正極活物質を含む正極組成物がインクジェット方式でプリントされれば、正極が製造され、負極活物質を含む負極組成物がインクジェット方式でプリントされれば、負極が製造される。
【0040】
前記電極組成物をインクジェット方式でプリントする方法は、特に限定されない。例えば、インクジェットヘッドを利用したインクジェットプリンタを商用のコンピュータに連結させて適当なソフトウェアにより所定のパターンを集電体上に作成することができる。集電体上にプリントされた電極組成物を乾燥させる手段は、例えば、20ないし200℃の真空雰囲気で1分ないし8時間の間実施されるものであるが、必ずしもその範囲に限定されるものではない。前記集電体は、公知の材料が使われうる。例えば、アルミニウム薄膜、ステンレス薄膜、銅薄膜、ニッケル薄膜などである。
【0041】
前述したような第1溶媒を含有する電極組成物は、インクジェット方式による印刷時、ノズル表面とノズル板との接触角及び印刷後の集電体との接触角が高くて、乾燥速度が速いので、精密なパターン及び高い解像度を有する電極を提供しうる。また、このような高解像度及び高精度のパターンを有する電極を利用して、集積回路素子用電源として使用可能な薄型マイクロ二次電池が製造され、3次元電極パターンを有する二次電池が製造されうる。
【0042】
本発明の一具現例による二次電池には、前記電極組成物がインクジェット方式でプリントされて製造された電極が採用される。電池の形態は、特に制限されないが、積層型が望ましく、リチウム1次電池、リチウム2次電池はもちろん、燃料電池も可能である。
【0043】
本発明の一具現例による二次電池を製造する方法は、電極組成物がインクジェット方式でプリントされて製造される電極を採用した以外には、特に限定されない。例えば、所定の集電体に本発明の一具現例による正極組成物がインクジェット方式でプリントされ、乾燥されて正極が形成される。前記集電体の正極が形成された面と反対面に本発明の一具現例による負極組成物がインクジェット方式でプリントされ、乾燥されて負極が形成される。したがって、バイポーラ(bipolar)電極が製造される。
【0044】
前記バイポーラ電極の正極及び/または負極の層上に所定厚さの電解質層が形成されて乾燥される。不活性雰囲気で前記電解質層が形成されたバイポーラ電極が積層されて電池積層体が製造される。前記電池積層体に絶縁密封層が形成され、パッキングされて二次電池が完成される。
【0045】
以下、望ましい実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0046】
<実施例>
(実施例1)
ジメチルアセトアミド(DMAC)70重量部及びエタノール(EtOH)20重量部の混合溶媒にジエチレングリコール(DEG)5重量部を添加した後、ここにLiCoO 4.65重量部、アセチレンブラック(AB)0.15重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)0.2重量部をさらに添加し、0.3mm粒径のジルコニアビードを使用したペイントシェーカで2時間分散させた後、1μm及び0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを順次に通過させて電極組成物を完成した。
【0047】
前記電極組成物をインクジェットプリンタ(Fuji Dimatix DMP−2800)を利用して特定のパターンをアルミニウムホイールに出力した。インクジェット吐出結果を図1に表し、吐出結果のパターン精度を肉眼で観察して表3に表した。また電極組成物のアルミニウムホイールとの接触角を接触角測定機(DSA−100)を用いて測定して結果を表3に共に表した。
【0048】
(実施例2)
ジメチルアセトアミド(DMAc)90重量部、ジエチレングリコール(DEG)5重量部の混合溶媒にLiCoO 4.65重量部、アセチレンブラック(AB)0.15重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)0.2重量部を混合して0.3mm粒径のジルコニアビードを使用したペイントシェーカで2時間分散した後、1μm及び0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを順次に通過させて電極組成物を完成した。
【0049】
前記電極組成物をインクジェットプリンタ(Fuji Dimatix DMP−2800)を利用して特定のパターンをアルミニウムホイールに出力した。肉眼で評価した吐出結果のパターン精度及び電極組成物のアルミニウムホイールとの接触角のような物性を評価し、その結果を表3に示した。
【0050】
(実施例3)
ジメチルアセトアミド(DMAC)95重量部にLiCoO 4.65重量部、アセチレンブラック(AB)0.15重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)0.2重量部を混合して0.3mm粒径のジルコニアビードを使用したペイントシェーカで2時間分散した後、1μm及び0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを順次に通過させて電極組成物を完成した。
【0051】
前記電極組成物をインクジェットプリンタ(Fuji Dimatix DMP−2800)を利用して特定のパターンをアルミニウムホイールに出力した。肉眼で評価した吐出結果のパターン精度及び電極組成物のアルミニウムホイールとの接触角のような物性を評価し、その結果を表3に示した。
【0052】
(実施例4ないし6)
ジメチルアセトアミドの代わりに、ジメチルホルムアミド(DMF)を表1のような組成で入れたことを除いては、各々実施例1ないし3と同じ方法で電極組成物を完成し、これを利用して電極を製造及び評価した結果を表3に示した。
【0053】
(比較例1ないし3)
ジメチルアセトアミドの代わりに、N−メチルピロリドン(NMP)を表1のような組成で入れたことを除いては、各々実施例1ないし3と同じ方法で電極組成物を完成し、これを利用して電極を製造及び評価した結果を表3に示した。比較例1のインクジェット吐出結果を図2に示した。
【0054】
一方、実施例及び比較例で製造した電極組成物の粘度を表1に示し、実施例及び比較例で使用した溶媒の沸点及び表面張力を表2に示した。粘度測定は、AR−2000(TA Instrument)を用いて25℃の温度及び1000s−1のせん断速度で測定した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
前記表3、及び図1及び2を参照すれば、本発明の具現例による電極組成物は、インクジェット方式を利用して接触角が大きく、優れたパターン精度を有する電極を提供することを確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質及び溶媒を含むインクジェットプリント用の電極組成物において、
前記溶媒は、1気圧下で沸点150ないし170℃であり、25℃で表面張力30dyne/cm以上である第1溶媒を含む電極組成物。
【請求項2】
前記第1溶媒は、アミド基を含む溶媒である請求項1に記載の電極組成物。
【請求項3】
前記アミド基を含む第1溶媒含有溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される請求項2に記載の電極組成物。
【請求項4】
前記第1溶媒の含量は、全体溶媒の重量を基準に80ないし100重量%である請求項1に記載の電極組成物。
【請求項5】
前記電極活物質含量は、電極組成物を基準に1ないし20重量%である請求項1に記載の電極組成物。
【請求項6】
前記電極組成物の粘度は、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度で100mPa・sec以下である請求項1に記載の電極組成物。
【請求項7】
前記電極組成物の粘度は、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度で0.5ないし5mPa・secである請求項6に記載の電極組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、飽和炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ジメチルスルホキシド及びその混合物からなる群から選択された第2溶媒をさらに含む請求項1に記載の電極組成物。
【請求項9】
バインダー、導電剤、保湿剤、分散剤及び緩衝剤からなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電極組成物。
【請求項10】
電極活物質と、
溶媒を含む電極組成物をインクジェット方式でプリントして製造された二次電池用電極において、
前記溶媒が1気圧下で沸点150ないし170℃であり、25℃で表面張力30dyne/cm以上である第1溶媒を含む二次電池用電極。
【請求項11】
請求項10に記載の電極を含む二次電池。
【請求項12】
前記第1溶媒は、アミド基を含む溶媒である請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項13】
前記アミド基を含む第1溶媒含有溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド及びその混合物からなる群から選択される請求項12に記載の二次電池用電極。
【請求項14】
前記第1溶媒の含量は、全体溶媒の重量を基準に80ないし100重量%である請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項15】
前記電極活物質含量は、電極組成物基準に1ないし20重量%である請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項16】
前記電極組成物の粘度は、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度で100mPa・sec以下である請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項17】
前記電極組成物の粘度は、25℃の温度及び1000s−1のせん断速度で0.5ないし5mPa・secである請求項16に記載の二次電池用電極。
【請求項18】
前記溶媒は、飽和炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ジメチルスルホキシド及びその混合物からなる群から選択された第2溶媒をさらに含む請求項10に記載の二次電池用電極。
【請求項19】
前記電極活物質は、リチウム−遷移金属酸化物を含む請求項1に記載の電極組成物。
【請求項20】
前記リチウム−遷移金属酸化物は、リチウム−コバルト酸化物、リチウム−ニッケル酸化物、リチウム−マンガン酸化物、リチウム−クロム酸化物、リチウム−鉄酸化物、リチウム−バナジウム酸化物、リチウム−チタン酸化物及びそれらの組合わせからなる群から選択される請求項19に記載の電極組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−97946(P2010−97946A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241407(P2009−241407)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(508300264)漢陽大学校 産学協力団 (4)
【Fターム(参考)】