インクジェットヘッドの洗浄装置及びインクジェット記録装置
【課題】ノズルプレート表面の全ノズルを含む広い面積に対して超音波による洗浄液の振動パワーを効率良く伝達でき、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうこともないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避けてヘッド内部への液流入を防止できるインクジェットヘッドの洗浄装置を提供する。
【解決手段】内部に洗浄液が貯留された洗浄槽12と超音波振動子17とを備え、洗浄槽12はノズルプレートに密着して該ノズルプレートの全てのノズルを囲むことができる開口部16を有し、超音波振動子17は、開口部16に密着したノズルプレート表面との間に間隔をおいて平行に対面するように配置された振動板17aが洗浄槽12内に配置されていると共に、洗浄槽12内において振動板17aの上面側及び下面側に洗浄液Wが満たされ、振動板17aの上面側の洗浄液と下面側の洗浄液が互いに流通可能とした。
【解決手段】内部に洗浄液が貯留された洗浄槽12と超音波振動子17とを備え、洗浄槽12はノズルプレートに密着して該ノズルプレートの全てのノズルを囲むことができる開口部16を有し、超音波振動子17は、開口部16に密着したノズルプレート表面との間に間隔をおいて平行に対面するように配置された振動板17aが洗浄槽12内に配置されていると共に、洗浄槽12内において振動板17aの上面側及び下面側に洗浄液Wが満たされ、振動板17aの上面側の洗浄液と下面側の洗浄液が互いに流通可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドの洗浄装置及びインクジェット記録装置に関し、詳しくは、超音波によって励振された洗浄液によってノズルプレート表面を効果的に洗浄することのできるインクジェットヘッドの洗浄装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置には、ヘッドメンテナンスの一つとしてノズルプレート表面に付着したインク汚れを除去するためのクリーニング装置が設けられている。このようなクリーニング装置には、ノズルプレート表面をブレード等を用いてワイピングするもの、ノズルプレートに吸引キャップを密着させ、ノズルから強制的にインクを吸引するもの等が一般に知られている。しかし、これら一般的なクリーニング装置では、ノズルプレート表面に強く付着しているインクを十分にクリーニングできない問題がある。また、近年、より微細で高精細な記録を行う要請から、ノズル径は一層小径化され、いまでは数μmφのノズル径を有するまでになってきている。
【0003】
このため、従来、ノズルに対するダメージが少なく、ノズルプレート表面に強く付着しているインクでもクリーニングできる方法として、超音波を用いて励振させた洗浄液を用いてノズルプレート表面を洗浄する方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、超音波によって励振された洗浄液を洗浄装置のノズル先端からノズルプレート表面に向けて噴流させることによって洗浄を行う方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、製造段階のヘッド内部の異物を除去するために、洗浄槽内にヘッドを浸漬し、超音波をかけながら洗浄液をヘッド内部に通過させる方法が開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、ノズルプレートのノズル面を密着するキャップの外底面に超音波振動子を取り付け、この超音波振動子の駆動によりキャップ内の洗浄液を励振させてノズルプレート及びノズルを洗浄する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−28758号公報
【特許文献2】特開平9−254397号公報
【特許文献3】特開2006−347000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の方法では、洗浄装置のノズル先端から超音波によって励振された洗浄液をノズルプレート表面に向けて噴流させるので、ノズルプレート表面に対して局所的にしか洗浄液を作用させることができない。噴流の断面積を小さくして効率的に振動パワーを与えるため、その結果洗浄面積が小さくなってしまうからである。従って、ノズルプレート表面の広い面積に亘って洗浄することができない問題がある。しかも、励振された洗浄液がノズルプレート表面に衝突した後、周囲に大きく飛散してしまい、ヘッド周辺を汚染する問題もある。
【0008】
また、特許文献2記載の方法では、ヘッドを洗浄液中に浸漬するため、内部がインクで満たされた使用状態のヘッドのノズルプレート表面を洗浄することはできない。この方法では洗浄液に触れさせたくない部分にも洗浄液が接触するため、不用意に洗浄液が内部に浸入してしまうおそれがある。
【0009】
特許文献3記載の方法は、ノズル面に密着させてキャップ内の洗浄液を超音波振動子によって励振させて洗浄を行うので、キャップで密着されたノズル面全面を洗浄することができ、また、洗浄液が周囲に飛散する問題もなく、ノズルプレートの洗浄方法として好ましいと考えられる。
【0010】
しかし、超音波振動子はキャップの外底面に取り付けられるため、洗浄対象であるノズルプレートと超音波振動子とは、キャップの深さ+キャップの底面厚さの距離だけ離隔せざるを得ず、超音波振動子の振動パワーを洗浄液を介して効率良くノズル面に作用させることができず、ノズル面に強く付着した汚れを効果的に除去することができない問題がある。
【0011】
ノズルプレートと超音波振動子との離隔距離を小さくするにはキャップを浅く、底面を薄く形成しなくてはならず、この場合、キャップの容積が小さくなって、キャップ内に貯留可能な洗浄液量が少なくなってしまう問題がある。キャップ内の洗浄液量が少なくなると、洗浄時にノズルプレートから除去された洗浄液中の汚れの濃度が高くなり、汚れがキャップ内に堆積して超音波振動子の振動パワーの効率低下を招いたり、洗浄液中の汚れがノズル面に再付着してしまったりといった問題を発生させる。
【0012】
そこで、本発明は、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート表面の全ノズルを含む広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させることができ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできるインクジェットヘッドの洗浄装置を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明の他の課題は、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート表面の全ノズルを含む広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできる洗浄装置を有するインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【0014】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0016】
請求項1記載の発明は、内部に洗浄液が貯留された洗浄槽と、超音波振動子とを備えてなり、前記洗浄槽は、インクジェットヘッドのノズルプレートに密着することにより該ノズルプレートに形成された全てのノズルを囲むことができる開口部を有し、前記超音波振動子は、前記開口部に密着した前記ノズルプレート表面との間に間隔をおいて平行に対面するように配置された振動板が前記洗浄槽内に配置されていると共に、前記洗浄槽内において前記振動板の上面側及び下面側に前記洗浄液が満たされ、前記振動板の上面側の前記洗浄液と下面側の前記洗浄液が互いに流通可能であることを特徴とするインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記振動板は、前記洗浄槽の前記開口部の開口面積と同等の面積を有していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記洗浄槽は、上面が前記開口部よりも大きい箱形状を呈しており、前記振動板は、該洗浄槽内における前記開口部の下端よりも下方に配置され、該開口部の下端と前記振動板の上面との間に洗浄液が流通可能な間隙を形成していることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記開口部の上端周縁に、前記ノズルプレート表面に密着させる密着部が立設され、該密着部の一部に前記洗浄槽内の洗浄液を流出させるための導出溝が形成されていると共に、洗浄時に前記洗浄槽内の洗浄液が前記導出溝から外部に流出するように前記洗浄槽内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記超音波振動子は、ランジュバン型振動子の先端に前記振動板を取り付けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0021】
請求項6記載の発明は、多数のノズルが形成されたノズルプレートを有し、前記ノズルからインクを吐出することにより記録を行うインクジェットヘッドと、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置と、前記インクジェットヘッドと前記インクジェットヘッドの洗浄装置の洗浄槽とを相対的に移動させ、前記洗浄槽の前記開口部に前記ノズルプレートを密着させる移動手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズルプレート表面の広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させることができ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできるインクジェットヘッドの洗浄装置を提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、インクジェットヘッドのノズルプレート表面の広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできる洗浄装置を有するインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の一例を示す斜視図、図2はその縦断面図である。
【0026】
洗浄装置10は、箱型の基台11の上部に、同じく箱型で、基台11よりも底面積が小さい洗浄槽12を備えている。洗浄槽12内には、洗浄液タンク13内の洗浄液Wが、洗浄液供給ポンプ14の作動によって洗浄液供給管15aを介して洗浄液供給穴12aから供給され、貯留されるようになっている。また、洗浄槽12内の洗浄液Wは、洗浄槽12の底面に設けられた洗浄液排出穴12bから洗浄液排出管15bを介して洗浄装置10の外部に排出されるようになっている。洗浄液排出管15bには不図示の開閉弁が設けられ、洗浄液Wの排出時に開放されるようになっている。
【0027】
この洗浄液Wは、ノズルプレートに付着するインク汚れとの相溶性が良く、インク汚れを効果的に除去できるようにする点で、使用されるインク中の溶媒と同一材料であることが好ましい。また、Ag粒子を含むインクを使用するインクジェットヘッドにおいて、ノズルプレート表面へのインク中のAg粒子の付着が問題となる場合には、Ag溶解溶液として機能するチオ硫酸ナトリウム液を用いることも好ましい。
【0028】
洗浄槽12の上面には中央部に開口部16が開設されている。この開口部16は、後述するようにインクジェットヘッドの洗浄時に、ノズルプレート表面に対して接触して密着させるためのものであり、この密着時に、図3に示すように、インクジェットヘッド20のノズルプレート21の表面よりも小さく且つ該ノズルプレート21に配列形成された多数のノズル21aの全てをその内部に囲むことができる程度の開口面積を有する矩形状に形成されている。洗浄槽12の上面は開口部16よりも大きな面積を備えている。このため、箱型を呈する洗浄槽12の内部空間も、開口部16の大きさよりも横方向に大きく広がっている。
【0029】
開口部16の上端周縁は、洗浄槽12の上面よりも突出しており、ノズルプレート表面を液密状に密着させるための壁状の密着部16aとされている。その洗浄槽12上面からの突出高さは、例えば2〜3mmとすることができる。密着部16aの材質は、ノズルプレートの表面を液密状に密着できるものであれば特に問わないが、ノズルプレートに与えるダメージが少なく、容易に液密状とすることができる点で弾性材であることが好ましく、例えばゴムを用いることができる。
【0030】
洗浄槽12の内部には、通電によって作動して超音波を発生させる超音波振動子17が配置されている。超音波振動子17は、洗浄槽12の底面(基台11の上面)を上下に貫通するように取り付けられ、その先端側が開口部16に近接するように延びていると共に、その先端には平板状の振動板17aが、洗浄槽12内における開口部16の下端16’よりも若干の距離をおいた下方に配置されている。従って、洗浄槽12内に洗浄液Wを満たすと、振動板17aは洗浄液W内に完全に水没し、密着部16aの上端に密着されるノズルプレートの表面に対して距離をおいて平行に対面する。
【0031】
この超音波振動子17には、ランジュバン型振動子を好ましく用いることができる。ランジュバン型振動子は、自身に設けられた圧電素子に通電がなされることによって先端のホーン17bを振動させ、その先端に固着されている平板状の振動板17aを一体に振動させて超音波を発生させる。振動板17aは洗浄槽12の底面から開口部16に近接するように延びているこのホーン17bの先端に固着されるため、洗浄槽12内において開口部16に近接させて配置させることが可能であり、振動板17aの振動によって発生する超音波の振動パワーを効率良くノズルプレートに作用させることができる。
【0032】
振動板17aの表面は、開口部16の開口面積と同等の面積を有しており、その表面形状は、ノズルプレートの全面に対して超音波により励振された洗浄液Wを効率良く作用させることができるように、開口部16の開口形状と同じく矩形状に形成されている。
【0033】
図4に示すように、振動板17aの表面と、ノズルプレートとの接触面である密着部16aの上端との間の離間距離L1は、大きくなるにつれて、振動板17aによって発生する振動パワーの減衰が大きくなるため、その間の洗浄液Wに振動板17aの振動パワーを効率良く作用させ、励振された洗浄液Wをノズルプレートの表面に効果的に接触させることができるようにする観点から、1〜5mmであることが好ましく、より好ましくは1〜3mmとすることである。
【0034】
また、振動板17aの表面を開口部16と同等の大きさとしても、洗浄槽12内において、ノズルプレートの表面と振動板17aの上面との間に存在する洗浄液W1と、振動板17aの下面に存在する洗浄液W2との間で液の流通が可能となるように、振動板17aの上面と洗浄槽12内における開口部16の下端16’との間の離間距離L2を0.5〜3mmとすることにより洗浄液流路間隙19を設けておくことが好ましい。
【0035】
基台11の表面は洗浄槽12の設置面積よりも大きく、その上面には洗浄槽12の周囲を取り囲むように壁部11aが立設されている。この壁部11aは、開口部16から溢れ出た洗浄液Wを基台11の外部に流出させないようにするための堰として機能し、その内側の任意の1又は複数箇所に洗浄液排水口11bが開設され、洗浄液排出管18によって洗浄装置10の外部に排水されるようになっている。この壁部11aは、基台11の表面に立設させて形成するものに限らず、段部によって形成してもよい。
【0036】
かかる洗浄装置10は、インクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの移動可能領域内であって記録作業領域外に設置される。図5は、洗浄装置10を有するインクジェット記録装置の概略構成図を示しており、ここでは、インクジェットヘッド20は制御部30によって駆動制御されるX軸移動モータ31、Y軸移動モータ32及びZ軸移動モータ33の駆動によって、X軸、Y軸及びZ軸方向にそれぞれ移動可能に設けられている。制御部30は、洗浄液供給ポンプ14を駆動制御することによって、洗浄装置10の洗浄槽12内への洗浄液の供給を制御すると共に、超音波振動子17を作動させるための超音波駆動部34を駆動させる。
【0037】
次に、かかる洗浄装置10によるインクジェットヘッドの洗浄方法について、図6のフロー図を用いて説明する。
【0038】
まず、制御部30は、X軸移動モータ31、Y軸移動モータ32及びZ軸移動モータ33を適宜駆動させて、インクジェットヘッド20を洗浄装置10における洗浄槽12の開口部16上方まで移動させる(S1)。
【0039】
次いで、制御部30は、洗浄液供給ポンプ14を駆動させ、洗浄液タンク13から洗浄槽12内に洗浄液Wを供給する(S2)。
【0040】
このとき供給する洗浄液量は、図7に示すように、洗浄液Wの液面位置Aが、開口部16の上端、すなわち密着部16aの上端位置Bよりも、洗浄液Wの表面張力によって高くなるように供給する。
【0041】
この表面張力によって高くなるように維持される洗浄液Wの液面位置Aの密着部16aの上端位置Bに対する突出高さは、0.1〜3mmが好ましく、より好ましくは0.5〜1mmとなるようにすることである。
【0042】
洗浄液Wの液面位置Aをこのように表面張力によって高くするには、洗浄液Wは表面エネルギーが小さいので、接触する固体の側、つまり密着部16aに表面エネルギーの大きい材料を選択して洗浄液Wの接触角を大きくすることで、液面位置を高く稼ぐことが好ましい。具体的には、密着部16aに例えばフッ素ゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム等の撥液性が高くて弾性の高い材料を用いることが好ましい。
【0043】
また、洗浄槽12内に洗浄液Wを満たした場合に、図7に示すように、表面張力によって密着部16aの上端内縁部16a1で、洗浄液Wが形成する液面の盛り上がりの角度θが1°〜30°となることが好ましい。
【0044】
このように表面張力によって液面位置Aが密着部16aの上端位置Bよりも高くなるように洗浄液Wを供給するには、図示しないが、例えば密着部16aの上端よりも高い液面位置Aを検出可能な位置に、該密着部16aを間に挟むように配置された発光素子と受光素子とを有する液面検出手段を設け、制御部30が洗浄液Wの液面位置Aが所定の位置に来たことを光学的に検出して洗浄液供給ポンプ14の作動停止を制御する方法や、洗浄液Wの供給経路に流量センサ等の流量検出手段を設け、洗浄液Wの液面位置Aが表面張力によって密着部16aの上端位置Bよりも高くなるように予め決められた量だけ供給されるように、制御部30が洗浄液供給ポンプ14の作動停止を制御する方法等が挙げられる。
【0045】
このようにして洗浄槽12内に洗浄液Wを供給して洗浄液供給ポンプ14を停止させた後、制御部30は、図8に示すように、インクジェットヘッド20を下降させ、ノズルプレート21を開口部16の密着部16aに接触させて密着させ、開口部16をノズルプレート21の表面によって封止する(S3)。ここで、洗浄液Wの液面は表面張力によって密着部16aの上端よりも高くなっているため、ノズルプレート21は最初に洗浄液Wに接触し、次いで密着部16aの上端に密着する。従って、ノズルプレート21との表面に空気(気泡)が介在することがなく、開口部16内に空気(気泡)溜まりを形成することはない。
【0046】
この後、制御部30は超音波駆動部34を制御して超音波振動子17を作動させる。これにより振動板17aが振動して超音波を発生させ、その表面の洗浄液Wを励振させる。この超音波振動子17の駆動周波数は20〜50kHzが好ましい。これにより、開口部16で囲まれたノズルプレート21の表面が励振された洗浄液Wによって洗浄される(S4)。
【0047】
この洗浄時にノズルプレート21の表面から除去された汚れは、振動板17aの上面側の洗浄液W1に混入するが、洗浄液流路間隙19を介して振動板17aの下面側の清浄な洗浄液W2との液流通が可能であるため、除去された汚れはこの洗浄液流路間隙19を通って洗浄槽12内における振動板17aの下面側に逃がすことができ、汚れた洗浄液Wによって洗浄し続けることによって汚れがノズルプレート21の表面に再付着するおそれはない。
【0048】
予め定められた洗浄時間が経過したら、制御部30は、超音波振動子17の作動を停止させ、インクジェットヘッド20を上昇させて密着部16aから離隔させ、洗浄作業を終了する(S5)。
【0049】
本発明によれば、開口部16と同等の表面積を有する振動板17aが洗浄液W中に浸漬され、ノズルプレート21の表面に近接して配置されるため、洗浄液Wに作用させるべき振動板17aの振動パワーのロスが極めて小さい。このため、ノズルプレート21の表面と振動板17aの表面との間の狭小スペースに介在される洗浄液Wに直接的に振動のパワーを伝達させて効率良く励振させることができ、励振された洗浄液Wの洗浄効果をノズルプレート21の表面に対して効果的に作用させることができる。従って、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート21の表面の全ノズル21aを含む広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液Wの振動のパワーを効率良く伝達させることができ、ノズルプレート21の表面に強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができる。
【0050】
また、インクジェットヘッドと洗浄液Wとは、ノズルプレート21の全てのノズル21aを含む表面だけに接触させればよいため、ヘッド内部に不用意に洗浄液Wが流入してしまうことはない。
【0051】
更に、除去された汚れは洗浄液流路間隙19を通って洗浄槽12内における振動板17aの下面側に逃がすことができるので、汚れがノズルプレート21の表面に再付着するおそれもない。
【0052】
図9は、本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の他の態様を示す斜視図である。図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示しているので、それらの詳細な説明は省略する。
【0053】
この洗浄装置100は、開口部16に形成されている密着部16aの上端が部分的に切欠されており、該密着部16aに開口部16から溢れ出る洗浄液の流路となる導出溝16bが適宜数形成されている。また、洗浄槽12の表面には、上面から側面にかけて、この導出溝16bと連続するように、開口部16から溢れ出た洗浄液を導出溝16bから基台11の上面の壁部11a内側に誘導するための誘導溝12cが形成されている。
【0054】
次に、かかる洗浄装置100によるインクジェットヘッドの洗浄方法について、図10のフロー図を用いて説明する。
【0055】
まず、制御部30は、X軸移動モータ31、Y軸移動モータ32及びZ軸移動モータ33を適宜駆動させて、インクジェットヘッド20を洗浄装置100における洗浄槽12の開口部16上方まで移動させる(S11)。
【0056】
次いで、制御部30は、図11に示すように、インクジェットヘッド20を下降させ、ノズルプレート21を開口部16の密着部16aに接触させて密着させる(S12)。この密着部16aには導出溝16bが形成されているため、ノズルプレート21を密着すると、洗浄槽12の内部と洗浄装置100の外部とは、この導出溝16bのみを介して連通する。なお、このとき、洗浄槽12内は空であるか又は開口部16から溢れ出る程度には洗浄液は満たされていない。
【0057】
この後、制御部30は、洗浄液供給ポンプ14を駆動させ、洗浄液タンク13から洗浄槽12内に洗浄液Wを供給すると共に、超音波駆動部34を制御し、上記同様に超音波振動子17を作動させる。これにより超音波振動子17aが振動して超音波を発生させ、その周囲の洗浄液Wを励振させると同時に、開口部16で囲まれたノズルプレート21の表面が励振された洗浄液Wによって洗浄される(S13)。
【0058】
この洗浄時、制御部30は、図12に示すように、洗浄液Wを密着部16aの導出溝16bから連続して溢れ出るように供給し続ける。洗浄液Wは、洗浄液流路間隙19を通って振動板17aの上面側に供給される。この洗浄液Wの供給量は、導出溝16bから流出する程度であればよい。このようにすることによって、ノズルプレート21の密着時にノズルプレート21の表面と洗浄液Wとの間に介在した空気(気泡)溜まりは、洗浄液Wの供給と共にノズルプレート21側に押しやられ、導出溝16bから外部に排出される。従って、超音波によって励振された洗浄液Wは、ノズルプレート21の表面に対して、空気(気泡)による損失なく効率良く振動のパワーを伝達させ、効果的に洗浄作用を及ぼすことができる。
【0059】
また、開口部16は密着部16aによってノズルプレート21の表面と密着しているため、超音波により励振された開口部16内の洗浄液Wは、該開口部16内のノズルプレート21の表面に集中して洗浄作用を及ぼすことができる。このため、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート21の全ノズルに対して超音波による振動のパワーを、開口部16内のノズルプレート21の表面の全ノズルの広い面積に亘って効率良く与えることができる。
【0060】
もちろん、この態様でも、開口部16と同等の表面積を有する振動板17aが洗浄液W中に浸漬され、ノズルプレート21の表面に近接して配置されるため、洗浄液Wに作用させるべき振動板17aの振動パワーのロスは極めて小さく、ノズルプレート21の表面に強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができる。
【0061】
また、インクジェットヘッドと洗浄液Wとは、ノズルプレート21の全てのノズル21aを含む表面だけに接触させればよいため、ヘッド内部に不用意に洗浄液Wが浸入してしまうことはない。
【0062】
更に、洗浄液流路間隙19を通して新たな洗浄液Wが振動板17aの上面側に供給され続け、除去された汚れを含む洗浄液Wは密着部16aの導出溝16bから外部へ排出されるため、汚れがノズルプレート21の表面に再付着するおそれもない。
【0063】
予め定められた洗浄時間が経過したら、制御部30は、洗浄液供給ポンプ14及び超音波振動子17の作動を停止させ(S14)、次いで、インクジェットヘッド20を上昇させて密着部16aから離隔させ、洗浄作業を終了する(S15)。
【0064】
以上の説明では、インクジェットヘッド20を下降させ、位置不動の洗浄装置10、100の洗浄槽12上面の開口部16と密着させるようにしたが、インクジェットヘッド20と洗浄装置10、100の洗浄槽12との移動は相対的であればよい。従って、停止した状態のインクジェットヘッド20に対して洗浄装置10、100全体又は洗浄槽12のみを上昇させてもよいし、インクジェットヘッド20と洗浄装置10、100全体又は洗浄槽12との双方を互いに移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の一例を示す斜視図
【図2】図1に示す洗浄装置の縦断面図
【図3】開口部の大きさを示すインクジェットヘッドの平面図
【図4】開口部と超音波振動子との配置を示す図
【図5】本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置を有するインクジェット記録装置の概略構成図
【図6】インクジェットヘッドの洗浄方法を説明するフロー図
【図7】洗浄液の液面位置を表面張力によって開口部の上端よりも高く維持した状態を示す図
【図8】開口部の上端にノズルプレートを密着させた状態を示す図
【図9】本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の他の態様を示す斜視図
【図10】他の態様に係るインクジェットヘッドの洗浄方法を説明するフロー図
【図11】導出溝を有する開口部の上端にノズルプレートを密着させた状態を示す図
【図12】洗浄液を供給し続けて洗浄する様子を示す図
【符号の説明】
【0066】
10、100:洗浄装置
11:基台
11a:壁部
11b:洗浄液排水口
12:洗浄槽
12a:洗浄液供給穴
12b:洗浄液排出穴
12c:流路溝
13:洗浄液タンク
14:洗浄液供給ポンプ
15a:洗浄液供給管
15b:洗浄液排出管
16:開口部
16’:開口部の下端
16a:密着部
16a1:上端内縁部
16b:導出溝
17:超音波振動子
17a:超音波振動子
18:洗浄液排出管
19:洗浄液流路間隙
20:インクジェットヘッド
21:ノズルプレート
21a:ノズル
30:制御部
31:X軸移動モータ
32:Y軸移動モータ
33:Z軸移動モータ
34:超音波駆動部
W:洗浄液
W1:振動板の上面側の洗浄液
W2:振動板の下面側の洗浄液
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドの洗浄装置及びインクジェット記録装置に関し、詳しくは、超音波によって励振された洗浄液によってノズルプレート表面を効果的に洗浄することのできるインクジェットヘッドの洗浄装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置には、ヘッドメンテナンスの一つとしてノズルプレート表面に付着したインク汚れを除去するためのクリーニング装置が設けられている。このようなクリーニング装置には、ノズルプレート表面をブレード等を用いてワイピングするもの、ノズルプレートに吸引キャップを密着させ、ノズルから強制的にインクを吸引するもの等が一般に知られている。しかし、これら一般的なクリーニング装置では、ノズルプレート表面に強く付着しているインクを十分にクリーニングできない問題がある。また、近年、より微細で高精細な記録を行う要請から、ノズル径は一層小径化され、いまでは数μmφのノズル径を有するまでになってきている。
【0003】
このため、従来、ノズルに対するダメージが少なく、ノズルプレート表面に強く付着しているインクでもクリーニングできる方法として、超音波を用いて励振させた洗浄液を用いてノズルプレート表面を洗浄する方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、超音波によって励振された洗浄液を洗浄装置のノズル先端からノズルプレート表面に向けて噴流させることによって洗浄を行う方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、製造段階のヘッド内部の異物を除去するために、洗浄槽内にヘッドを浸漬し、超音波をかけながら洗浄液をヘッド内部に通過させる方法が開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、ノズルプレートのノズル面を密着するキャップの外底面に超音波振動子を取り付け、この超音波振動子の駆動によりキャップ内の洗浄液を励振させてノズルプレート及びノズルを洗浄する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−28758号公報
【特許文献2】特開平9−254397号公報
【特許文献3】特開2006−347000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の方法では、洗浄装置のノズル先端から超音波によって励振された洗浄液をノズルプレート表面に向けて噴流させるので、ノズルプレート表面に対して局所的にしか洗浄液を作用させることができない。噴流の断面積を小さくして効率的に振動パワーを与えるため、その結果洗浄面積が小さくなってしまうからである。従って、ノズルプレート表面の広い面積に亘って洗浄することができない問題がある。しかも、励振された洗浄液がノズルプレート表面に衝突した後、周囲に大きく飛散してしまい、ヘッド周辺を汚染する問題もある。
【0008】
また、特許文献2記載の方法では、ヘッドを洗浄液中に浸漬するため、内部がインクで満たされた使用状態のヘッドのノズルプレート表面を洗浄することはできない。この方法では洗浄液に触れさせたくない部分にも洗浄液が接触するため、不用意に洗浄液が内部に浸入してしまうおそれがある。
【0009】
特許文献3記載の方法は、ノズル面に密着させてキャップ内の洗浄液を超音波振動子によって励振させて洗浄を行うので、キャップで密着されたノズル面全面を洗浄することができ、また、洗浄液が周囲に飛散する問題もなく、ノズルプレートの洗浄方法として好ましいと考えられる。
【0010】
しかし、超音波振動子はキャップの外底面に取り付けられるため、洗浄対象であるノズルプレートと超音波振動子とは、キャップの深さ+キャップの底面厚さの距離だけ離隔せざるを得ず、超音波振動子の振動パワーを洗浄液を介して効率良くノズル面に作用させることができず、ノズル面に強く付着した汚れを効果的に除去することができない問題がある。
【0011】
ノズルプレートと超音波振動子との離隔距離を小さくするにはキャップを浅く、底面を薄く形成しなくてはならず、この場合、キャップの容積が小さくなって、キャップ内に貯留可能な洗浄液量が少なくなってしまう問題がある。キャップ内の洗浄液量が少なくなると、洗浄時にノズルプレートから除去された洗浄液中の汚れの濃度が高くなり、汚れがキャップ内に堆積して超音波振動子の振動パワーの効率低下を招いたり、洗浄液中の汚れがノズル面に再付着してしまったりといった問題を発生させる。
【0012】
そこで、本発明は、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート表面の全ノズルを含む広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させることができ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできるインクジェットヘッドの洗浄装置を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明の他の課題は、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート表面の全ノズルを含む広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできる洗浄装置を有するインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【0014】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0016】
請求項1記載の発明は、内部に洗浄液が貯留された洗浄槽と、超音波振動子とを備えてなり、前記洗浄槽は、インクジェットヘッドのノズルプレートに密着することにより該ノズルプレートに形成された全てのノズルを囲むことができる開口部を有し、前記超音波振動子は、前記開口部に密着した前記ノズルプレート表面との間に間隔をおいて平行に対面するように配置された振動板が前記洗浄槽内に配置されていると共に、前記洗浄槽内において前記振動板の上面側及び下面側に前記洗浄液が満たされ、前記振動板の上面側の前記洗浄液と下面側の前記洗浄液が互いに流通可能であることを特徴とするインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記振動板は、前記洗浄槽の前記開口部の開口面積と同等の面積を有していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記洗浄槽は、上面が前記開口部よりも大きい箱形状を呈しており、前記振動板は、該洗浄槽内における前記開口部の下端よりも下方に配置され、該開口部の下端と前記振動板の上面との間に洗浄液が流通可能な間隙を形成していることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記開口部の上端周縁に、前記ノズルプレート表面に密着させる密着部が立設され、該密着部の一部に前記洗浄槽内の洗浄液を流出させるための導出溝が形成されていると共に、洗浄時に前記洗浄槽内の洗浄液が前記導出溝から外部に流出するように前記洗浄槽内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記超音波振動子は、ランジュバン型振動子の先端に前記振動板を取り付けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置である。
【0021】
請求項6記載の発明は、多数のノズルが形成されたノズルプレートを有し、前記ノズルからインクを吐出することにより記録を行うインクジェットヘッドと、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置と、前記インクジェットヘッドと前記インクジェットヘッドの洗浄装置の洗浄槽とを相対的に移動させ、前記洗浄槽の前記開口部に前記ノズルプレートを密着させる移動手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズルプレート表面の広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させることができ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできるインクジェットヘッドの洗浄装置を提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、インクジェットヘッドのノズルプレート表面の広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液の振動のパワーを効率良く伝達させ、強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができ、除去された汚れが再付着してしまうことがないと共に、ヘッドと洗浄液との不要な接触を避け、ノズルプレートの表面だけに接液させることで、ヘッド内部への洗浄液の浸入を防止することのできる洗浄装置を有するインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の一例を示す斜視図、図2はその縦断面図である。
【0026】
洗浄装置10は、箱型の基台11の上部に、同じく箱型で、基台11よりも底面積が小さい洗浄槽12を備えている。洗浄槽12内には、洗浄液タンク13内の洗浄液Wが、洗浄液供給ポンプ14の作動によって洗浄液供給管15aを介して洗浄液供給穴12aから供給され、貯留されるようになっている。また、洗浄槽12内の洗浄液Wは、洗浄槽12の底面に設けられた洗浄液排出穴12bから洗浄液排出管15bを介して洗浄装置10の外部に排出されるようになっている。洗浄液排出管15bには不図示の開閉弁が設けられ、洗浄液Wの排出時に開放されるようになっている。
【0027】
この洗浄液Wは、ノズルプレートに付着するインク汚れとの相溶性が良く、インク汚れを効果的に除去できるようにする点で、使用されるインク中の溶媒と同一材料であることが好ましい。また、Ag粒子を含むインクを使用するインクジェットヘッドにおいて、ノズルプレート表面へのインク中のAg粒子の付着が問題となる場合には、Ag溶解溶液として機能するチオ硫酸ナトリウム液を用いることも好ましい。
【0028】
洗浄槽12の上面には中央部に開口部16が開設されている。この開口部16は、後述するようにインクジェットヘッドの洗浄時に、ノズルプレート表面に対して接触して密着させるためのものであり、この密着時に、図3に示すように、インクジェットヘッド20のノズルプレート21の表面よりも小さく且つ該ノズルプレート21に配列形成された多数のノズル21aの全てをその内部に囲むことができる程度の開口面積を有する矩形状に形成されている。洗浄槽12の上面は開口部16よりも大きな面積を備えている。このため、箱型を呈する洗浄槽12の内部空間も、開口部16の大きさよりも横方向に大きく広がっている。
【0029】
開口部16の上端周縁は、洗浄槽12の上面よりも突出しており、ノズルプレート表面を液密状に密着させるための壁状の密着部16aとされている。その洗浄槽12上面からの突出高さは、例えば2〜3mmとすることができる。密着部16aの材質は、ノズルプレートの表面を液密状に密着できるものであれば特に問わないが、ノズルプレートに与えるダメージが少なく、容易に液密状とすることができる点で弾性材であることが好ましく、例えばゴムを用いることができる。
【0030】
洗浄槽12の内部には、通電によって作動して超音波を発生させる超音波振動子17が配置されている。超音波振動子17は、洗浄槽12の底面(基台11の上面)を上下に貫通するように取り付けられ、その先端側が開口部16に近接するように延びていると共に、その先端には平板状の振動板17aが、洗浄槽12内における開口部16の下端16’よりも若干の距離をおいた下方に配置されている。従って、洗浄槽12内に洗浄液Wを満たすと、振動板17aは洗浄液W内に完全に水没し、密着部16aの上端に密着されるノズルプレートの表面に対して距離をおいて平行に対面する。
【0031】
この超音波振動子17には、ランジュバン型振動子を好ましく用いることができる。ランジュバン型振動子は、自身に設けられた圧電素子に通電がなされることによって先端のホーン17bを振動させ、その先端に固着されている平板状の振動板17aを一体に振動させて超音波を発生させる。振動板17aは洗浄槽12の底面から開口部16に近接するように延びているこのホーン17bの先端に固着されるため、洗浄槽12内において開口部16に近接させて配置させることが可能であり、振動板17aの振動によって発生する超音波の振動パワーを効率良くノズルプレートに作用させることができる。
【0032】
振動板17aの表面は、開口部16の開口面積と同等の面積を有しており、その表面形状は、ノズルプレートの全面に対して超音波により励振された洗浄液Wを効率良く作用させることができるように、開口部16の開口形状と同じく矩形状に形成されている。
【0033】
図4に示すように、振動板17aの表面と、ノズルプレートとの接触面である密着部16aの上端との間の離間距離L1は、大きくなるにつれて、振動板17aによって発生する振動パワーの減衰が大きくなるため、その間の洗浄液Wに振動板17aの振動パワーを効率良く作用させ、励振された洗浄液Wをノズルプレートの表面に効果的に接触させることができるようにする観点から、1〜5mmであることが好ましく、より好ましくは1〜3mmとすることである。
【0034】
また、振動板17aの表面を開口部16と同等の大きさとしても、洗浄槽12内において、ノズルプレートの表面と振動板17aの上面との間に存在する洗浄液W1と、振動板17aの下面に存在する洗浄液W2との間で液の流通が可能となるように、振動板17aの上面と洗浄槽12内における開口部16の下端16’との間の離間距離L2を0.5〜3mmとすることにより洗浄液流路間隙19を設けておくことが好ましい。
【0035】
基台11の表面は洗浄槽12の設置面積よりも大きく、その上面には洗浄槽12の周囲を取り囲むように壁部11aが立設されている。この壁部11aは、開口部16から溢れ出た洗浄液Wを基台11の外部に流出させないようにするための堰として機能し、その内側の任意の1又は複数箇所に洗浄液排水口11bが開設され、洗浄液排出管18によって洗浄装置10の外部に排水されるようになっている。この壁部11aは、基台11の表面に立設させて形成するものに限らず、段部によって形成してもよい。
【0036】
かかる洗浄装置10は、インクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの移動可能領域内であって記録作業領域外に設置される。図5は、洗浄装置10を有するインクジェット記録装置の概略構成図を示しており、ここでは、インクジェットヘッド20は制御部30によって駆動制御されるX軸移動モータ31、Y軸移動モータ32及びZ軸移動モータ33の駆動によって、X軸、Y軸及びZ軸方向にそれぞれ移動可能に設けられている。制御部30は、洗浄液供給ポンプ14を駆動制御することによって、洗浄装置10の洗浄槽12内への洗浄液の供給を制御すると共に、超音波振動子17を作動させるための超音波駆動部34を駆動させる。
【0037】
次に、かかる洗浄装置10によるインクジェットヘッドの洗浄方法について、図6のフロー図を用いて説明する。
【0038】
まず、制御部30は、X軸移動モータ31、Y軸移動モータ32及びZ軸移動モータ33を適宜駆動させて、インクジェットヘッド20を洗浄装置10における洗浄槽12の開口部16上方まで移動させる(S1)。
【0039】
次いで、制御部30は、洗浄液供給ポンプ14を駆動させ、洗浄液タンク13から洗浄槽12内に洗浄液Wを供給する(S2)。
【0040】
このとき供給する洗浄液量は、図7に示すように、洗浄液Wの液面位置Aが、開口部16の上端、すなわち密着部16aの上端位置Bよりも、洗浄液Wの表面張力によって高くなるように供給する。
【0041】
この表面張力によって高くなるように維持される洗浄液Wの液面位置Aの密着部16aの上端位置Bに対する突出高さは、0.1〜3mmが好ましく、より好ましくは0.5〜1mmとなるようにすることである。
【0042】
洗浄液Wの液面位置Aをこのように表面張力によって高くするには、洗浄液Wは表面エネルギーが小さいので、接触する固体の側、つまり密着部16aに表面エネルギーの大きい材料を選択して洗浄液Wの接触角を大きくすることで、液面位置を高く稼ぐことが好ましい。具体的には、密着部16aに例えばフッ素ゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム等の撥液性が高くて弾性の高い材料を用いることが好ましい。
【0043】
また、洗浄槽12内に洗浄液Wを満たした場合に、図7に示すように、表面張力によって密着部16aの上端内縁部16a1で、洗浄液Wが形成する液面の盛り上がりの角度θが1°〜30°となることが好ましい。
【0044】
このように表面張力によって液面位置Aが密着部16aの上端位置Bよりも高くなるように洗浄液Wを供給するには、図示しないが、例えば密着部16aの上端よりも高い液面位置Aを検出可能な位置に、該密着部16aを間に挟むように配置された発光素子と受光素子とを有する液面検出手段を設け、制御部30が洗浄液Wの液面位置Aが所定の位置に来たことを光学的に検出して洗浄液供給ポンプ14の作動停止を制御する方法や、洗浄液Wの供給経路に流量センサ等の流量検出手段を設け、洗浄液Wの液面位置Aが表面張力によって密着部16aの上端位置Bよりも高くなるように予め決められた量だけ供給されるように、制御部30が洗浄液供給ポンプ14の作動停止を制御する方法等が挙げられる。
【0045】
このようにして洗浄槽12内に洗浄液Wを供給して洗浄液供給ポンプ14を停止させた後、制御部30は、図8に示すように、インクジェットヘッド20を下降させ、ノズルプレート21を開口部16の密着部16aに接触させて密着させ、開口部16をノズルプレート21の表面によって封止する(S3)。ここで、洗浄液Wの液面は表面張力によって密着部16aの上端よりも高くなっているため、ノズルプレート21は最初に洗浄液Wに接触し、次いで密着部16aの上端に密着する。従って、ノズルプレート21との表面に空気(気泡)が介在することがなく、開口部16内に空気(気泡)溜まりを形成することはない。
【0046】
この後、制御部30は超音波駆動部34を制御して超音波振動子17を作動させる。これにより振動板17aが振動して超音波を発生させ、その表面の洗浄液Wを励振させる。この超音波振動子17の駆動周波数は20〜50kHzが好ましい。これにより、開口部16で囲まれたノズルプレート21の表面が励振された洗浄液Wによって洗浄される(S4)。
【0047】
この洗浄時にノズルプレート21の表面から除去された汚れは、振動板17aの上面側の洗浄液W1に混入するが、洗浄液流路間隙19を介して振動板17aの下面側の清浄な洗浄液W2との液流通が可能であるため、除去された汚れはこの洗浄液流路間隙19を通って洗浄槽12内における振動板17aの下面側に逃がすことができ、汚れた洗浄液Wによって洗浄し続けることによって汚れがノズルプレート21の表面に再付着するおそれはない。
【0048】
予め定められた洗浄時間が経過したら、制御部30は、超音波振動子17の作動を停止させ、インクジェットヘッド20を上昇させて密着部16aから離隔させ、洗浄作業を終了する(S5)。
【0049】
本発明によれば、開口部16と同等の表面積を有する振動板17aが洗浄液W中に浸漬され、ノズルプレート21の表面に近接して配置されるため、洗浄液Wに作用させるべき振動板17aの振動パワーのロスが極めて小さい。このため、ノズルプレート21の表面と振動板17aの表面との間の狭小スペースに介在される洗浄液Wに直接的に振動のパワーを伝達させて効率良く励振させることができ、励振された洗浄液Wの洗浄効果をノズルプレート21の表面に対して効果的に作用させることができる。従って、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート21の表面の全ノズル21aを含む広い面積に対して、超音波により励振された洗浄液Wの振動のパワーを効率良く伝達させることができ、ノズルプレート21の表面に強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができる。
【0050】
また、インクジェットヘッドと洗浄液Wとは、ノズルプレート21の全てのノズル21aを含む表面だけに接触させればよいため、ヘッド内部に不用意に洗浄液Wが流入してしまうことはない。
【0051】
更に、除去された汚れは洗浄液流路間隙19を通って洗浄槽12内における振動板17aの下面側に逃がすことができるので、汚れがノズルプレート21の表面に再付着するおそれもない。
【0052】
図9は、本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の他の態様を示す斜視図である。図1と同一符号の部位は同一構成の部位を示しているので、それらの詳細な説明は省略する。
【0053】
この洗浄装置100は、開口部16に形成されている密着部16aの上端が部分的に切欠されており、該密着部16aに開口部16から溢れ出る洗浄液の流路となる導出溝16bが適宜数形成されている。また、洗浄槽12の表面には、上面から側面にかけて、この導出溝16bと連続するように、開口部16から溢れ出た洗浄液を導出溝16bから基台11の上面の壁部11a内側に誘導するための誘導溝12cが形成されている。
【0054】
次に、かかる洗浄装置100によるインクジェットヘッドの洗浄方法について、図10のフロー図を用いて説明する。
【0055】
まず、制御部30は、X軸移動モータ31、Y軸移動モータ32及びZ軸移動モータ33を適宜駆動させて、インクジェットヘッド20を洗浄装置100における洗浄槽12の開口部16上方まで移動させる(S11)。
【0056】
次いで、制御部30は、図11に示すように、インクジェットヘッド20を下降させ、ノズルプレート21を開口部16の密着部16aに接触させて密着させる(S12)。この密着部16aには導出溝16bが形成されているため、ノズルプレート21を密着すると、洗浄槽12の内部と洗浄装置100の外部とは、この導出溝16bのみを介して連通する。なお、このとき、洗浄槽12内は空であるか又は開口部16から溢れ出る程度には洗浄液は満たされていない。
【0057】
この後、制御部30は、洗浄液供給ポンプ14を駆動させ、洗浄液タンク13から洗浄槽12内に洗浄液Wを供給すると共に、超音波駆動部34を制御し、上記同様に超音波振動子17を作動させる。これにより超音波振動子17aが振動して超音波を発生させ、その周囲の洗浄液Wを励振させると同時に、開口部16で囲まれたノズルプレート21の表面が励振された洗浄液Wによって洗浄される(S13)。
【0058】
この洗浄時、制御部30は、図12に示すように、洗浄液Wを密着部16aの導出溝16bから連続して溢れ出るように供給し続ける。洗浄液Wは、洗浄液流路間隙19を通って振動板17aの上面側に供給される。この洗浄液Wの供給量は、導出溝16bから流出する程度であればよい。このようにすることによって、ノズルプレート21の密着時にノズルプレート21の表面と洗浄液Wとの間に介在した空気(気泡)溜まりは、洗浄液Wの供給と共にノズルプレート21側に押しやられ、導出溝16bから外部に排出される。従って、超音波によって励振された洗浄液Wは、ノズルプレート21の表面に対して、空気(気泡)による損失なく効率良く振動のパワーを伝達させ、効果的に洗浄作用を及ぼすことができる。
【0059】
また、開口部16は密着部16aによってノズルプレート21の表面と密着しているため、超音波により励振された開口部16内の洗浄液Wは、該開口部16内のノズルプレート21の表面に集中して洗浄作用を及ぼすことができる。このため、内部がインクで満たされた使用状態のインクジェットヘッドのノズルプレート21の全ノズルに対して超音波による振動のパワーを、開口部16内のノズルプレート21の表面の全ノズルの広い面積に亘って効率良く与えることができる。
【0060】
もちろん、この態様でも、開口部16と同等の表面積を有する振動板17aが洗浄液W中に浸漬され、ノズルプレート21の表面に近接して配置されるため、洗浄液Wに作用させるべき振動板17aの振動パワーのロスは極めて小さく、ノズルプレート21の表面に強く付着したインク汚れでも効果的に除去することができる。
【0061】
また、インクジェットヘッドと洗浄液Wとは、ノズルプレート21の全てのノズル21aを含む表面だけに接触させればよいため、ヘッド内部に不用意に洗浄液Wが浸入してしまうことはない。
【0062】
更に、洗浄液流路間隙19を通して新たな洗浄液Wが振動板17aの上面側に供給され続け、除去された汚れを含む洗浄液Wは密着部16aの導出溝16bから外部へ排出されるため、汚れがノズルプレート21の表面に再付着するおそれもない。
【0063】
予め定められた洗浄時間が経過したら、制御部30は、洗浄液供給ポンプ14及び超音波振動子17の作動を停止させ(S14)、次いで、インクジェットヘッド20を上昇させて密着部16aから離隔させ、洗浄作業を終了する(S15)。
【0064】
以上の説明では、インクジェットヘッド20を下降させ、位置不動の洗浄装置10、100の洗浄槽12上面の開口部16と密着させるようにしたが、インクジェットヘッド20と洗浄装置10、100の洗浄槽12との移動は相対的であればよい。従って、停止した状態のインクジェットヘッド20に対して洗浄装置10、100全体又は洗浄槽12のみを上昇させてもよいし、インクジェットヘッド20と洗浄装置10、100全体又は洗浄槽12との双方を互いに移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の一例を示す斜視図
【図2】図1に示す洗浄装置の縦断面図
【図3】開口部の大きさを示すインクジェットヘッドの平面図
【図4】開口部と超音波振動子との配置を示す図
【図5】本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置を有するインクジェット記録装置の概略構成図
【図6】インクジェットヘッドの洗浄方法を説明するフロー図
【図7】洗浄液の液面位置を表面張力によって開口部の上端よりも高く維持した状態を示す図
【図8】開口部の上端にノズルプレートを密着させた状態を示す図
【図9】本発明に係るインクジェットヘッドの洗浄装置の他の態様を示す斜視図
【図10】他の態様に係るインクジェットヘッドの洗浄方法を説明するフロー図
【図11】導出溝を有する開口部の上端にノズルプレートを密着させた状態を示す図
【図12】洗浄液を供給し続けて洗浄する様子を示す図
【符号の説明】
【0066】
10、100:洗浄装置
11:基台
11a:壁部
11b:洗浄液排水口
12:洗浄槽
12a:洗浄液供給穴
12b:洗浄液排出穴
12c:流路溝
13:洗浄液タンク
14:洗浄液供給ポンプ
15a:洗浄液供給管
15b:洗浄液排出管
16:開口部
16’:開口部の下端
16a:密着部
16a1:上端内縁部
16b:導出溝
17:超音波振動子
17a:超音波振動子
18:洗浄液排出管
19:洗浄液流路間隙
20:インクジェットヘッド
21:ノズルプレート
21a:ノズル
30:制御部
31:X軸移動モータ
32:Y軸移動モータ
33:Z軸移動モータ
34:超音波駆動部
W:洗浄液
W1:振動板の上面側の洗浄液
W2:振動板の下面側の洗浄液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に洗浄液が貯留された洗浄槽と、超音波振動子とを備えてなり、
前記洗浄槽は、インクジェットヘッドのノズルプレートに密着することにより該ノズルプレートに形成された全てのノズルを囲むことができる開口部を有し、
前記超音波振動子は、前記開口部に密着した前記ノズルプレート表面との間に間隔をおいて平行に対面するように配置された振動板が前記洗浄槽内に配置されていると共に、前記洗浄槽内において前記振動板の上面側及び下面側に前記洗浄液が満たされ、前記振動板の上面側の前記洗浄液と下面側の前記洗浄液が互いに流通可能であることを特徴とするインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項2】
前記振動板は、前記洗浄槽の前記開口部の開口面積と同等の面積を有していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、上面が前記開口部よりも大きい箱形状を呈しており、前記振動板は、該洗浄槽内における前記開口部の下端よりも下方に配置され、該開口部の下端と前記振動板の上面との間に洗浄液が流通可能な間隙を形成していることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項4】
前記開口部の上端周縁に、前記ノズルプレート表面に密着させる密着部が立設され、該密着部の一部に前記洗浄槽内の洗浄液を流出させるための導出溝が形成されていると共に、
洗浄時に前記洗浄槽内の洗浄液が前記導出溝から外部に流出するように前記洗浄槽内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項5】
前記超音波振動子は、ランジュバン型振動子の先端に前記振動板を取り付けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項6】
多数のノズルが形成されたノズルプレートを有し、前記ノズルからインクを吐出することにより記録を行うインクジェットヘッドと、
請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置と、
前記インクジェットヘッドと前記インクジェットヘッドの洗浄装置の洗浄槽とを相対的に移動させ、前記洗浄槽の前記開口部に前記ノズルプレートを密着させる移動手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項1】
内部に洗浄液が貯留された洗浄槽と、超音波振動子とを備えてなり、
前記洗浄槽は、インクジェットヘッドのノズルプレートに密着することにより該ノズルプレートに形成された全てのノズルを囲むことができる開口部を有し、
前記超音波振動子は、前記開口部に密着した前記ノズルプレート表面との間に間隔をおいて平行に対面するように配置された振動板が前記洗浄槽内に配置されていると共に、前記洗浄槽内において前記振動板の上面側及び下面側に前記洗浄液が満たされ、前記振動板の上面側の前記洗浄液と下面側の前記洗浄液が互いに流通可能であることを特徴とするインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項2】
前記振動板は、前記洗浄槽の前記開口部の開口面積と同等の面積を有していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、上面が前記開口部よりも大きい箱形状を呈しており、前記振動板は、該洗浄槽内における前記開口部の下端よりも下方に配置され、該開口部の下端と前記振動板の上面との間に洗浄液が流通可能な間隙を形成していることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項4】
前記開口部の上端周縁に、前記ノズルプレート表面に密着させる密着部が立設され、該密着部の一部に前記洗浄槽内の洗浄液を流出させるための導出溝が形成されていると共に、
洗浄時に前記洗浄槽内の洗浄液が前記導出溝から外部に流出するように前記洗浄槽内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項5】
前記超音波振動子は、ランジュバン型振動子の先端に前記振動板を取り付けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置。
【請求項6】
多数のノズルが形成されたノズルプレートを有し、前記ノズルからインクを吐出することにより記録を行うインクジェットヘッドと、
請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの洗浄装置と、
前記インクジェットヘッドと前記インクジェットヘッドの洗浄装置の洗浄槽とを相対的に移動させ、前記洗浄槽の前記開口部に前記ノズルプレートを密着させる移動手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−149041(P2009−149041A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331182(P2007−331182)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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