インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
【課題】さらなる高精細印字の実現が求められている。
【解決手段】インクジェットヘッド1は、その長手方向に沿って複数配列された圧力室36を有する圧電部材23と、圧電部材23が接着される基板20と、基板20及びノズルプレート22に接着され、圧電部材23包囲する枠部材21と、複数のノズル33を有するノズルプレート22と、インク供給路41と、インク排出路42と、圧電部材23の両端部に隣接して基板に設けられた供給穴29と、圧電部材23の両端部に隣接して基板に設けられた排出穴30と、共通液室24内にインクを循環させるインク供給装置2と、を備え、インク供給路41及びインク排出路42は、その圧力損失抵抗が同等に形成され、ノズル33からのインクの吐出時又は非吐出時において、複数のノズル33の圧力が一定に形成される。
【解決手段】インクジェットヘッド1は、その長手方向に沿って複数配列された圧力室36を有する圧電部材23と、圧電部材23が接着される基板20と、基板20及びノズルプレート22に接着され、圧電部材23包囲する枠部材21と、複数のノズル33を有するノズルプレート22と、インク供給路41と、インク排出路42と、圧電部材23の両端部に隣接して基板に設けられた供給穴29と、圧電部材23の両端部に隣接して基板に設けられた排出穴30と、共通液室24内にインクを循環させるインク供給装置2と、を備え、インク供給路41及びインク排出路42は、その圧力損失抵抗が同等に形成され、ノズル33からのインクの吐出時又は非吐出時において、複数のノズル33の圧力が一定に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記号や画像等のデータを出力する装置として、インクジェット方式のプリンタであるインクジェット記録装置が知られている。このようなプリンタには、微小インク滴を紙葉類等のシート状記録媒体に吐出するインクジェットヘッドが用いられる。
【0003】
このようなインクジェットヘッドは、ノズル数と同数の圧力室を有する圧電部材が基板上に設けられ、この圧力室とプリンタの制御部等の外部回路とが、配線回路を介して電気的に接続されている。インクジェットヘッドは、外部回路からの指示、即ちシート状記録媒体にインクを吐出するノズルに該当する圧力室に、配線回路を介して電気信号が供給されると、圧力室の体積が変化し、この体積の変化によりノズルからインクを吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−196122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置は、さらなる高精細印字の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のインクジェットヘッドは、インクを吐出する複数のノズルと、中央で前記ノズルに各々連通するとともに一端からインクが供給され他端からインクが排出され一方向に配列された複数の圧力室と、前記圧力室の各々にインクを強制的に供給するインク供給路と、前記圧力室の各々からインクを回収するインク排出路と、前記インク供給路にインクを供給する供給穴と、前記インク排出路のインクを排出する排出穴と、を有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク供給路内のインク及び前記インク排出路内のインクに、前記圧力室の配列方向に平行、且つ、互いに反対方向の流れをそれぞれ発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を示す斜視図。
【図2】同インクジェットヘッドの構成を模式的に示す説明図。
【図3】同インクジェットヘッドの要部構成を一部切欠で示す平面図。
【図4】同インクジェットヘッドの要部構成を示す断面図。
【図5】同インクジェットヘッドの要部構成を示す断面図。
【図6】同インクジェットヘッドの要部構成を模式的に示す説明図。
【図7】同インクジェットヘッドの使用の一例を模式的に示す説明図。
【図8】第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの使用の一例を模式的に示す説明図。
【図9】第3の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を模式的に示す平面図。
【図10】第4の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を模式的に示す平面図。
【図11】同インクジェットヘッドの要部構成を示す断面図。
【図12】第5の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッド1を、図1乃至図7を用いて説明する。図1は実施形態に係るインクジェットヘッド1の構成を模式的に示す斜視図、図2はインクジェットヘッド1の要部構成、特に、インク供給装置2の構成を模式的に示す平面図、図3はインクジェットヘッド1の構成を一部断面にて示す平面図、図4は図3のIV−IV断面におけるインクジェットヘッド1の構成を示す断面図、図5は図4のV−V断面におけるインクジェットヘッド1の構成を一部省略して示す断面図、図6はインクジェットヘッド1の共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図、図7はインクジェットヘッド1の使用の一例、具体的にはインクの各圧力の設定の一例を示すグラフである。なお、図2中Tはチューブを、図2,4,6,9〜12中Fはインクの流れをそれぞれ示す。
【0009】
本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、紙葉類等のシート状記録媒体に対して液滴を吐出して、記録媒体上に記号や画像を印刷するインクジェット記録装置に用いられる。
【0010】
図1〜図3に示すように、インクジェットヘッド1は、マニホールド17と、ヘッド基板3と、ドライバ回路基板4と、を備えていえる。また、インクジェットヘッド1は、インク供給装置2に接続されている。
【0011】
図2に示すように、インク供給装置2は、供給側インクタンク10と、排出側インクタンク11と、供給側圧力調整ポンプ12と、輸送ポンプ13と、排出側圧力調整ポンプ14と、供給管15と、排出管16と、を備え、チューブTにより流体的に接続されている。また、インク供給装置2は、ヘッド基板3に、供給管15及び排出管16を収納したマニホールド17を介して流体的に接続される。
【0012】
供給側インクタンク10は、供給管15に接続され、供給管15を介してヘッド基板3にインクを供給する。排出側インクタンク11は、排出管16に接続され、排出管16を介してヘッド基板3から排出されたインクを一時的に貯蔵する。
【0013】
供給側圧力調整ポンプ12及び排出側圧力調整ポンプ14は、各々供給側インクタンク10の圧力及び排出側インクタンク11の圧力を調整する。
【0014】
供給側圧力調整ポンプ12は、供給側インクタンク10と排出側インクタンク11の圧力を調整し、ヘッド基板3へ供給したインクの静水圧、具体的には、後述するノズル33でのインクの圧力Pnが概ね0〜―2000Paになるように、インクの圧力を増減させる。
【0015】
輸送ポンプ13は排出側インクタンク11に貯蔵されたインクを供給側インクタンク10に還流させる。排出側圧力調整ポンプ14は、供給側インクタンク10と排出側インクタンク11の圧力を調整し、ヘッド基板3へ供給したインクの静水圧、具体的には、後述するノズル33でのインクの圧力Pnが概ね0〜―2000Paになるように、インクの圧力を増減させる。即ち、供給側圧力調整ポンプ12及び排出側圧力調整ポンプ14は、ノズル33の圧力Pnを調整する。
【0016】
このようなインク供給装置2は、インクジェットヘッド1、供給側インクタンク10、排出側インクタンク11、及び、輸送ポンプ13の経路(流路)で定常的にインクを循環させる。
【0017】
ヘッド基板3は、ベース基板(基板)20と、枠部材21と、ノズルプレート22と、一対の圧電部材23と、共通液室24と、配線回路25と、を備えている。
【0018】
基板20は、誘電率が小さく、かつ圧電部材23との熱膨張率の差が小さい材料、例えば、セラミックス材料により方形板状に形成されている。基板20は、例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等により形成されている。本実施形態の基板20は、低誘電率のPZTが用いられる。
【0019】
基板20は、その主面間において貫通する複数の孔部28が設けられている。なお、これら複数の孔部28は、図6に示すように、圧電部材23の両端部であって、且つ、圧電部材23のその長手方向に直交する方向の両方側(一方側及び他方側)にそれぞれ隣接して設けられた2行3列の行列で配置される。換言すると、孔部28は、基板20の、一対の圧電部材23の両端部の両側に位置して6つ配置される。なお、一対の圧電部材23間には、一列の孔部28が設けられる
3列の孔部28のうち両端の2列の孔部28は、それぞれ2つの供給穴29を、中央の一列の孔部28が2つの排出穴30を形成する。供給穴29及び排出穴30は、マニホールド17を介してそれぞれ供給管15及び排出管16に接続される。
【0020】
枠部材21は、基板20の一方の主面に接着される。枠部材21は、基板20に設けられた複数の孔部28を少なくとも包囲する形状に形成されている。
【0021】
ノズルプレート22は、枠部材21及び圧電部材23の上面に接着され、枠部材21の開口する上面を覆う。ノズルプレート22は、方形のポリイミド製のフィルムで形成されている。ノズルプレート22は、一対(2列)のノズル列32を有している。各ノズル列32は、複数のノズル33を有している。
【0022】
複数のノズル33は、隣り合うノズル33と所定の間隔を開けて3周期毎にオフセットされて配置される。ノズル33は、エキシマレーザ等により孔加工を施すことにより形成される。ノズル33は、図5に示すように、基板20側から吐出側に向けて先細りの形状、換言すると、円錐台形状に形成されている。
【0023】
なお、ノズルプレート22は、ステンレスなどの金属材料や、単結晶シリコンなどの無機材料を用いて形成してもよい。例えば、ステンレスを用いたノズルプレート22の場合には、ノズル33は例えばプレス加工で形成される。また、単結晶シリコンを用いたノズルプレート22の場合には、ノズル33はフォトリソグラフィーによるドライエッチングやウエットエッチングにより形成される。
【0024】
図3乃至図5に示すように、圧電部材23は、枠部材21の内側であって、且つ、基板20の主面に接着される。詳しく説明すると、圧電部材23は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O3)により形成されている。なお、圧電部材23は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等により形成してもよい。圧電部材23は、その側面に傾斜面35を有し、その断面形状が台形状に形成された板状に形成されている。
【0025】
圧電部材23は、図3及び図5に示すように、その表面が溝状に切削形成された複数の圧力室36と、圧力室36の両側部に設けられる複数の側壁37と、圧力室36内、換言すると側壁37の表側面及び圧力室36内の底面に形成される複数の電極38と、を備えている。
【0026】
圧電部材23は、一対(二列)設けられ、基板20上であって、且つ、供給穴29及び排出穴30間に、ノズルプレート22のノズル列32に沿って延設される。圧電部材23は、圧力室36とノズル33とが対向して配置される。圧電部材23は、図5に示すように、断面が四角形の棒状の圧電板23a、23bを、互いの分極方向が逆向きとなるように対向させ、接着剤等の接着剤層23cを介して張り合わせて形成されている。また、圧電部材23は、このように張り合わされた圧電板23a、23bが、切削加工等により複数の溝が加工されることで、圧力室36及び側壁37が形成される。
【0027】
図3及び図4に示すように、これら圧力室36は、圧電部材23の長手方向に沿って複数配列される。また、圧力室36は、共通液室24中に位置する。圧力室36は、その中央でノズル33に連通する。圧力室36は、その一端からインクが供給され他端からインクが排出される。
【0028】
圧力室36は、この共通液室24内の液(インク)の圧力を増圧させることで、ノズル33からインクを吐出可能に形成されている。なお、圧力室36は、例えば深さ300μmであって、幅80μmの形状に形成されており、隣り合う圧力室36と169μmのピッチとなるように平行に配列されている。
【0029】
側壁37は、電極38を介して電界が印加されると、接着剤層23cを介して「く」の字状にせん断変形可能に形成される。このように、側壁37は、電界により駆動するアクチュエータである。
【0030】
電極38は、隣り合う電極38と絶縁し、それぞれが配線回路25に接続される。電極38は、配線回路25を介してドライバ回路基板4に接続される。電極38は、ニッケル(Ni)と金(Au)の2層の金属層により形成されている。このような電極38は、メッキ法によって、圧力室36内に均一に成膜される。なお、電極38は、その形成方法はメッキ法に限定されず、例えばスパッタ法又は蒸着法を用いてもよい。
【0031】
このような圧力室36は、ドライバ回路基板4から送信された駆動信号により電極38にて電界が発生し、この電界により側壁37が図5に実線で示すように側方に移動して変形(シェアモード変形)することで、その体積を拡張可能に形成されている。
【0032】
また、圧力室36は、その体積を拡張後、図5に二点鎖線で示すように側壁37を初期位置(直立状態)とすることで、体積を縮小可能に形成されている。圧力室36は、その体積を拡張後、縮小させることで、圧力室36に位置する液を増圧し、ノズル33からインクを液滴として吐出する。
【0033】
共通液室24は、基板20、枠部材21、ノズルプレート22及び圧電部材23により形成されたインクの流路を形成する室である。具体的には、共通液室24は、2つのインク供給路41と、1つのインク排出路42とを備えている。
【0034】
インク供給路41は、基板20、枠部材21、ノズルプレート22及び圧電部材23で囲まれた空間であり、その両端部に供給穴29が配置される。また、インク供給路41は、圧電部材23の長手方向(圧力室36の配列方向)に沿って、圧電部材の一方側に形成される。このインク供給路41は、圧力室36の各々に、インクを強制的に供給する。
【0035】
ここで、基板20は、圧電部材23が一対設けられ、これら圧電部材23にそれぞれ隣接する2つの供給穴29を有する構成であるため、インク供給路41は、2つ形成される。
【0036】
インク排出路42は、基板20、ノズルプレート22及び一対の圧電部材23で囲まれた空間であり、その両端部に排出穴30が配置される。また、インク排出路42は、圧電部材23の長手方向(圧力室36の配列方向)に沿って、圧電部材の他方側に前記圧電部材に形成される。インク排出路42は、各圧力室36からインクを回収する。
【0037】
このようなインク供給路41及びインク排出路42は、複数の圧力室36により連続する。また、インク供給路41及びインク排出路42には、圧力室36の配列方向に平行、且つ、互いに反対方向の流れにより、インクが流れる。
【0038】
インク供給路41は、その圧力損失抵抗Riが、インク排出路42の圧力損失抵抗Roに対して2倍と略同等、具体的には、2倍よりやや小さい値に形成されている。即ち、インク排出路42のインク流量はインク供給路41のインク流量の2倍となるため、インク供給路41の圧力損失抵抗をインク排出路42の圧力損失抵抗の2倍とすることで、インク供給路41とインク排出路42の圧力勾配が略同等になるように形成されている。
【0039】
ここで、インク供給路41及びインク排出路42の圧力損失抵抗Ri,Roは、圧電部材23の長手方向、換言すると、圧電部材23の圧力室36の配列方向に直交する断面でみた圧力損失抵抗であり、それら断面を単位流量のインクが流れる時に発生する断面に直交方向の圧力勾配のことを示す。
【0040】
配線回路25は、圧電部材23の電極38及びドライバ回路基板4を接続可能に形成されている。即ち、配線回路25は、ドライバ回路基板4から各電極38へと、それぞれ接続される複数の配線(パターン)の集合である。
【0041】
例えば、配線回路25は、レーザーパターニング法により、基板20上に無電解めっき法により成膜したNi膜及び電解めっき法により成膜したAu膜の金属膜をパターニングすることで形成されている。
【0042】
ドライバ回路基板4は、圧電部材23を駆動するためのプリント回路板であり、プリンタの制御部等の外部機器に接続される外部回路基板である。例えば、ドライバ回路基板4は、テープ・キャリア・パッケージ(Tape Carrier package:TCP)であり、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)等により、基板20に実装され、配線回路25と電気的に接続される。
【0043】
このようなドライバ回路基板4は、テープ状の樹脂フィルム44に、圧電部材23のドライブICであるICチップ45を備える構成である。また、ドライバ回路基板4は、ICチップ45と配線回路25とを接続する配線回路(不図示)を備えている。また、ドライバ回路基板4は、さらに、図示しないプリンタの制御部等の外部機器に設けられたプリント基板等に接続される。
【0044】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、プリンタに搭載され、インク供給装置2と共通液室24との間で液が循環されるとともに、循環されるインクの一部を用いて印刷処理がなされる。なお、図2及び図3中、矢印Fにより液の流れを示す。
【0045】
具体的には、図2、3のインクの流れFに示すように、インク供給装置2から供給管15及び供給穴29を介して、共通液室24のインク供給路41にインクが供給される。インク供給路41に供給されたインクは、各圧力室36を介してインク排出路42に移動し、インク排出路42から排出穴30及び排出管16を介してインク供給装置2に排出される。このように、インクは、インクジェットヘッド1内を循環する。
【0046】
インクジェットヘッド1内にインクを循環させている状態で、ユーザがプリンタに対して記号や画像の印刷の指示を行うと、この印刷情報に基づいて、プリンタの制御部は、該当するノズル33から液滴を吐出するための印刷信号をICチップ45に送信する。
【0047】
この印刷信号を受信したICチップ45は、駆動信号(駆動パルス電圧)を、配線回路25を介して、該当する圧力室36の電極38に送信する。当該電極38に駆動パルス電圧が印加されると、電界が発生し、この電界により当該圧力室36の左右一対の側壁37は、シェアモード変形を行って、図3に実線で示すように湾曲して離反する。この側壁37の離反により、圧力室36の体積が拡張する。
【0048】
その後、側壁37は初期位置に復帰することで圧力室36の体積が縮小し、結果、圧力室36の液の圧力が増大し、ノズル33から液が吐出される。
【0049】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、インクの循環及び吐出において、一対の圧電部材23(2列の圧力室36の配列)に対して、2つのインク供給路41と1つのインク排出路42を設ける構成である。
【0050】
また、インク供給路41及びインク排出路42は、それぞれの圧力損失抵抗Ri、RoがRi≒Roに形成されている。
【0051】
また、インクジェットヘッド1は、図2及び図7に示すように、インク供給装置2によるインクの循環時であって、ノズル33からインクを吐出していないとき(非吐出時)において、ノズル33の圧力Pnが一定となるように、循環するインクの圧力が制御される。具体的には、供給側圧力調整ポンプ12と排出側圧力調整ポンプ14により、供給側インクタンク10及び排出側インクタンク11の圧力を調整、即ち、インク供給路41及びインク排出路42の圧力を調整する。
【0052】
この調整された圧力が、圧力損失抵抗Ri,Roで形成されたインク供給路41及びインク排出路42を通過するため、図7に示すように、インク供給路41及びインク排出路42の圧力Pi,Poは、各位置において同様の圧力分布となる。
【0053】
換言すると、インク供給路41の圧力Piは、その両端側で圧力が高く、中央側に向って漸次圧力が低くなる。同様に、インク排出路42の圧力Poは、その両端側で圧力が低く、中央側に向って漸次圧力が高くなる。この結果、ノズル33の圧力Pnは、各位置において略一定の圧力となる。
【0054】
なお、図7中、横軸に記載の「位置」とは、供給穴29間又は排出穴30間であって圧電部材23の長手方向(圧力室36の配列方向)の各位置を示しており、縦軸に記載の「圧力」とは、当該長手方向の各位置における圧力Pi,Po,Pnを示す。
【0055】
このように、2つのインク供給路41の両端部にそれぞれ設けられた2つの供給穴29及び1つのインク排出路42の両端部に設けられた2つの排出穴30によりインクを共通液室24内で循環させても、各圧力室36の中間に位置するノズル33の圧力Pnを一定にすることが可能となる。
【0056】
このノズル33の圧力Pnは、大気圧より大きくなるとノズル33からインクが漏れ、圧力が低すぎるとノズル33のインクのメニスカスが保持できず、ノズル33から気泡が圧力室36内に侵入する。
【0057】
本実施形態のインクジェットヘッド1は、2つのインク供給路41の圧力損失抵抗Riとインク排出路42の圧力損失抵抗Roとを2Ri≒Roの関係とし、且つ、供給側インクタンク10と排出側インクタンク11の圧力を、供給側圧力調整ポンプ12と排出側圧力調整ポンプ14により調整する構成とする。
【0058】
このような構成により、インク供給圧力Piとインク排出圧力Poの圧力を適切に調整することで、インクの供給及び排出を行う供給穴29及び排出穴30の数が少なくても、ノズル33の圧力Pnを一定とすることが可能となる。このため、基板20に設ける孔部28(供給穴29及び排出穴30)は、2つのインク供給路41及びインク排出路42の両端部にそれぞれ2つ設ける構成でよい。
【0059】
このように構成されたインクジェットヘッド1によれば、図7に示すように、インク供給路41及びインク排出路42には、それら両端に供給穴29及び排出穴30を設けるため、各孔部28から離れた位置、具体的にはインク供給路41の長手方向の中央にて圧力が低くなる。また、インク排出路42の長手方向の中央にて圧力が高くなる。しかし、インク供給路41及びインク排出路42の圧力分布が同様の圧力分布となるように圧力損失抵抗Ri,Ro及び孔部28の配置を行ったため、ノズル33での圧力Pnは当該長手方向に沿って一定となる。
【0060】
このように、インクジェットヘッド1は、各ノズル33での圧力Pnを一定とすることが可能となり、基板20に設ける孔部28の加工工程を低減することができる。また、孔部28の数を低減することが可能となり、結果、基板20の材質の制約を低減することが可能となる。このため、基板20の製造コストを低減することが可能となる。
【0061】
また、配線回路25は、圧電部材23の電極38に接続されるため、その一部は、インク供給路41に設けられることとなる。しかし、インク供給路41に設けられる孔部28(供給穴29)は、インク供給路41の両端部に設けられるため、配線回路25が設けられる範囲に位置することを回避できる。
【0062】
即ち、孔部28が基板20の配線回路25の形成範囲上にあると、配線回路25のパターンは、孔部28を避けて形成されるため、隣接するパターンとの間隔が狭くなる。このため、パターン間を非導通とするためには、所定の間隔を有する必要があり、結果、配線回路25のパターン及び圧電部材23の圧力室36の配列の間隔をさらに狭くすることができず、配線回路25及び圧力室36の配列が制限される。
【0063】
しかし、配線回路25が設けられる範囲に孔部28を設けることを極力回避する(孔部28の数を低減する)ことで、孔部28による配線回路25のパターン間が狭くなることが防止できる。このため、配線回路25のパターン間は広く取ることができる、即ち、配線回路25のパターン間をさらに狭くしても、非導通とすることが可能となり、結果、パターンの微細化が可能となる。
【0064】
また、圧力室36間をさらに狭くしても、隣り合う圧力室36の電極38と接続する配線回路25のパターン間を非導通とすることができるため、圧力室36の配列の高密度化が可能となる。結果、ノズル33の間隔を狭小することができる。これにより、インクジェットヘッド1による印字の高精細とすることが可能となる。
【0065】
上述したように、インクジェットヘッド1によれば、基板20に設けられるインク供給装置2と接続される孔部28を極力少なくし、且つ、インク供給装置2によりインク循環時のノズル33(圧力室36)の圧力を一定とすることで、配線回路25のパターンの間隔を狭くすることができる。また、インクジェットヘッド1は、孔部28の数を低減することが可能となり、孔部28の形成の製造コストを低減することが可能となる。さらに、インクジェットヘッド1は、配線回路25のパターンの微細化及び圧力室36の配列の高密度化を可能とし、インクジェットヘッド1の印字の高精細とすることが可能となる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1について、図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1の使用の一例、具体的にはインクの各圧力の設定の一例を示すグラフである。
【0067】
第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1は、上述した第1の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様の構成であり、インク供給路41の圧力損失抵抗Riとインク排出路の圧力損失抵抗42との関係が異なるだけである。このため、第2の実施の形態に係るインクジェットヘッド1は、上述した第1の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図8に示すように、インクジェットヘッド1は、2つのインク供給路41の圧力損失抵抗2Riを第1の実施形態のインク供給路41の圧力損失抵抗2Riよりもやや小さく、又は、インク排出路42の圧力損失抵抗Roを第1の実施形態のインク排出路42の圧力損失抵抗Roよりもやや大きく形成している。
【0069】
換言すると、本実施形態のインクジェットヘッド1は、インク供給路41の圧力損失抵抗2Riをインク排出路42の圧力損失抵抗Roよりもやや小さくし、2Ri<Roの関係とする。このような関係とすることで、インク供給装置2によりインクを循環し、ノズル33からインクを吐出していないとき(非吐出時)には、図8に実線で示すように、各圧力Pi,Po,Pnの関係となる。
【0070】
具体的には、インク供給路41の各位置でのインク供給圧力Piは、長手方向の中央で小さくなる。インク排出路42の各位置でのインク排出圧力Poは、長手方向の中央で大となる。また、インク供給路41の圧力損失抵抗Riはインク排出路42の圧力損失抵抗Roよりもやや小さく形成されているため、インク供給路41の長手方向の各位置での圧力の最大と最小の差は、インク排出路42の長手方向の各位置での圧力の最大と最小の差よりも小さい圧力差となる。
【0071】
このため、ノズル33からインクを吐出していないとき(非吐出時)には、ノズル33の各位置での圧力Pnは、長手方向の中央側で最も高くなり、長手方向の端部側で低くなる圧力分布となる。なお、ノズル33の各位置での圧力Pnは、ノズル33からのインクの吐出時において、低下したときの圧力が、長手方向で一定となるように、設定されている。
【0072】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、循環されるインクの一部を用いて印刷処理がなされる、即ち、ノズル33からインクを吐出すると、図8の破線で示すように、インク供給圧力Piは低下し、インク排出圧力Poは上昇し、吐出時のノズル33の圧力Pnが長手方向の各位置で一定になる。
【0073】
即ち、ノズル33からインクが吐出されることで、ノズル33より上流側(インク供給路41)のインクの流量は増加し、ノズル33より下流側(インク排出路42)のインクの流量は減少する。このため、インクの吐出時において、インク供給路41の圧力Piとインク排出路42の圧力Poがそれぞれ変化する。
【0074】
このような圧力変動により、インクの循環により圧力室36の各々にインクを強制的に供給することに伴うノズル33の各位置での圧力Pnの分布と、ノズル33からのインクの吐出に伴うインクの自然の補給によるノズル33の各位置での圧力Pnの分布とが互いに打ち消される。
【0075】
このように、インク吐出時のインク供給路41やインク排出路42のインクの流量の変化量に適合させてインク供給路41の圧力損失抵抗Riを小さく、及び/又は、インク排出路42の圧力損失抵抗Roを大きくすることでインク吐出時のノズル圧力Pnを均一とすることができる。また、インクジェットヘッド1のノズル33からのインクの吐出量のばらつきを小さくすることができる。
【0076】
なお、このようにインクの吐出時にノズル33の圧力Pnが一定になるようにした場合、インクが吐出していない時のノズル33の圧力Pnは図8の実線で示すように、長手方向の中央側で大となるので、ノズル33の圧力Pnが0、すなわち大気圧より大きくならないようにインク供給圧力Piとインク排出圧力Poを調整することが望ましい。
【0077】
上述したように、インクジェットヘッド1は、各ノズル33での圧力Pnを一定とすることが可能となり、基板20に設ける孔部28を低減することができる。このため、上述した第1の実施形態のインクジェットヘッド1と同等の効果を得ることが可能となる。
【0078】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1Aについて、図9を用いて説明する。図9は、第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1Aの構成、及び、共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図である。
【0079】
なお、第3の実施の形態に係るインクジェットヘッド1Aの、上述した第1及び第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0080】
インクジェットヘッド1Aは、基板20Aを備えている。基板20Aは、その主面間において貫通する複数の孔部28Aが設けられている。これら複数の孔部28Aは、図9に示すように、圧電部材23の両端部及び中央部にそれぞれ隣接して設けられた3行3列の行列で配置される。具体的には、孔部28Aは、9つ設けられ、基板20Aの、一対の圧電部材23の両端部の両側及び中央部の両側に、圧電部材23の長手方向に等間隔となるようにそれぞれ配置される。
【0081】
なお、3列の孔部28Aのうち両端の2列の孔部28Aは、2つのインク供給路41にそれぞれ設けられ、各インク供給路41に配置されることで3つの供給穴29を形成する。また、中央の一列の孔部28Aは、インク排出路42に配置されることで3つの排出穴30を形成する。供給穴29及び排出穴30は、マニホールド17を介してそれぞれ供給管15及び排出管16に接続される。
【0082】
なお、インク供給路41及びインク排出路42は、上述したインクジェットヘッド1のインク供給路41及びインク排出路42と同様の圧力損失抵抗Ri、Roに形成されている。
【0083】
このように構成されたインクジェットヘッド1Aは、上述した第1又は第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様に、ノズル33の圧力Pnを一定とすることが可能となる。
【0084】
なお、基板20Aには、3行3列の孔部28A、換言すると、インク供給路41に3つの供給穴29が、インク排出路42に3つの排出穴30がそれぞれ設けられている。このため、インクジェットヘッド1Aのインク供給路41の圧力Pi及びインク排出路42の圧力Poの長手方向の各位置での圧力の差は、上述したインクジェットヘッド1の圧力Pi,Poの長手方向の各位置での圧力の差よりも小さくなる。
【0085】
具体的には、インク供給路41の圧力Piは、インク供給路41の長手方向であって、孔部28A(供給穴29)間の中央において圧力が低くなる。また、インク排出路42の圧力Poは、インク排出路42の長手方向であって、孔部28A(排出穴30)間の中央において圧力が高くなる。
【0086】
このように、インクジェットヘッド1Aにおいては、孔部28Aを3行3列とすることで、上述した第1及び第2の実施形態のインクジェットヘッド1よりも、孔部28A間が狭くなるため、圧力の差が小さくなる。このため、より高い精度でノズル33の圧力Pnを一定とすることができる。
【0087】
なお、インクジェットヘッド1Aは、インクジェットヘッド1に対して孔部28Aを列ごとに一つ増やすため、インクジェットヘッド1よりも印字の高精細の効果が低減するが、従来のインクジェットヘッドに比べ、孔部28Aは少ないため、インクジェットヘッド1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0088】
なお、インクジェットヘッド1Aは、非吐出時及び吐出時のどちらか一方でノズル33の圧力Pnが一定とすることができる。
【0089】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1Bについて、図10及び図11を用いて説明する。図10は、第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1Bの構成、及び、共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図、図11はインクジェットヘッド1Bの図10中のXI−XI断面による構成を示す断面図である。
【0090】
なお、第4の実施の形態に係るインクジェットヘッド1Bの、上述した第1乃至第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1Aと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
インクジェットヘッド1Bは、基板20Bと、一つの圧電部材23と、を備えている。基板20Bは、その主面間において貫通する複数の孔部28Bが設けられている。なお、これら複数の孔部28Bは、図10に示すように、圧電部材23の両端部にそれぞれ隣接して設けられる。換言すると、孔部28Bは、2行2列の行列で配置される。
【0092】
また、インク供給路41及びインク排出路42は、それぞれの圧力損失抵抗Ri、RoがRo≒Riに形成されている。なお、インクジェットヘッド1Bは、圧電部材23が一つのみ設けられる構成であるため、ノズル列32も一列のみ設けられる。また、インク供給路41も一つのみ形成される。
【0093】
このように構成されたインクジェットヘッド1Bは、圧力損失抵抗Ri及びRoを、Ro≒Riとすることで、上述した第1及び第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様に、図7又は図8の圧力分布とすることが可能となる。
【0094】
このような構成とすることで、インクジェットヘッド1Bは、上述した第1及び第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0095】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係るインクジェットヘッド1Cについて、図12を用いて説明する。図12は、第5の実施形態に係るインクジェットヘッド1Cの構成、及び、共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図である。
【0096】
なお、第5の実施の形態に係るインクジェットヘッド1Cの、上述した第1乃至第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1A,1Bと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0097】
インクジェットヘッド1Cは、基板20Cと、一つの圧電部材23と、を備えている。基板20Cは、その主面間において貫通する複数の孔部28Cが設けられている。なお、これら複数の孔部28Cは、図12に示すように、圧電部材23の両端部及び中央部にそれぞれ隣接して設けられる。換言すると、孔部28Cは、3行2列の行列で配置される。
【0098】
具体的には、孔部28Cは、6つ設けられ、基板20Cの、一つの圧電部材23の両端部の両側及び中央部の両側に、圧電部材23の長手方向に等間隔にそれぞれ配置される。なお、2列の孔部28Cのうち、一方がインク供給路41に設けられ、他方がインク排出路42に設けられ、それぞれ3つの供給穴29及び排出穴30を形成する。
【0099】
また、インク供給路41及びインク排出路42は、インクジェットヘッド1Bと同様に、それぞれの圧力損失抵抗Ri、RoがRo≒Riに形成されている。なお、インクジェットヘッド1Cは、圧電部材23が一つのみ設けられる構成であるため、ノズル列32は一列のみ設けられる。
【0100】
このように構成されたインクジェットヘッド1Cは、圧力損失抵抗Ri及びRoを、Ro≒Riとすることで、上述した第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1Aと同様の圧力分布となる。これにより、インクジェットヘッド1Cは、上述した第1乃至第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1A,1Bと同様に、ノズル33の圧力Pnが、インクの吐出時又はインクの非吐出時の一方で、圧電部材23の長手方向で一定とすることが可能となる。
【0101】
このように、インクジェットヘッド1Cは、第1乃至第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1A,1Bと同様の効果を得ることが可能となる。
【0102】
なお、本実施の形態は、上述した構成に限定されない。例えば、上述した実施形態では、インクジェットヘッド1、1Aの構成において、インク供給路41を2つ、インク排出路42を1つ設ける構成を説明したが、これに限定されない。例えば、インク供給路41を一つ、インク排出路42を2つ設ける構成であってもよい。なお、この場合、インク供給路41とインク排出路42の圧力勾配が同等となるように、インク供給路41の圧力損失抵抗Riに対してインク排出路42の圧力損失抵抗Roを2倍と同等とすればよい。即ち、ノズル33からのインクの吐出時又は非吐出時において、ノズル33の圧力Pnが、各ノズル33において一定となるように、圧力損失抵抗Ri,Roが設定されていれば良い。この他適宜設定可能である。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1〜1C…インクジェットヘッド、2…インク供給装置、3…ヘッド基板、4…ドライバ回路基板、8…インク供給装置、9…供給側インクタンク、10…供給側インクタンク、11…排出側インクタンク、12…供給側圧力調整ポンプ、13…輸送ポンプ、14…排出側圧力調整ポンプ、15…供給管、16…排出管、17…マニホールド、20〜20C…基板、21…枠部材、22…ノズルプレート、23…圧電部材、23a.23b…圧電板、23c…接着剤層、24…共通液室、25…配線回路、28〜28C…孔部、29…供給穴、30…排出穴、32…ノズル列、33…ノズル、35…傾斜面、36…圧力室、37…側壁、38…電極、41…インク供給路、42…インク排出路、44…樹脂フィルム、45…ICチップ、F…インクの流れ、T…チューブ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記号や画像等のデータを出力する装置として、インクジェット方式のプリンタであるインクジェット記録装置が知られている。このようなプリンタには、微小インク滴を紙葉類等のシート状記録媒体に吐出するインクジェットヘッドが用いられる。
【0003】
このようなインクジェットヘッドは、ノズル数と同数の圧力室を有する圧電部材が基板上に設けられ、この圧力室とプリンタの制御部等の外部回路とが、配線回路を介して電気的に接続されている。インクジェットヘッドは、外部回路からの指示、即ちシート状記録媒体にインクを吐出するノズルに該当する圧力室に、配線回路を介して電気信号が供給されると、圧力室の体積が変化し、この体積の変化によりノズルからインクを吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−196122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置は、さらなる高精細印字の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のインクジェットヘッドは、インクを吐出する複数のノズルと、中央で前記ノズルに各々連通するとともに一端からインクが供給され他端からインクが排出され一方向に配列された複数の圧力室と、前記圧力室の各々にインクを強制的に供給するインク供給路と、前記圧力室の各々からインクを回収するインク排出路と、前記インク供給路にインクを供給する供給穴と、前記インク排出路のインクを排出する排出穴と、を有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク供給路内のインク及び前記インク排出路内のインクに、前記圧力室の配列方向に平行、且つ、互いに反対方向の流れをそれぞれ発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を示す斜視図。
【図2】同インクジェットヘッドの構成を模式的に示す説明図。
【図3】同インクジェットヘッドの要部構成を一部切欠で示す平面図。
【図4】同インクジェットヘッドの要部構成を示す断面図。
【図5】同インクジェットヘッドの要部構成を示す断面図。
【図6】同インクジェットヘッドの要部構成を模式的に示す説明図。
【図7】同インクジェットヘッドの使用の一例を模式的に示す説明図。
【図8】第2の実施形態に係るインクジェットヘッドの使用の一例を模式的に示す説明図。
【図9】第3の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を模式的に示す平面図。
【図10】第4の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を模式的に示す平面図。
【図11】同インクジェットヘッドの要部構成を示す断面図。
【図12】第5の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッド1を、図1乃至図7を用いて説明する。図1は実施形態に係るインクジェットヘッド1の構成を模式的に示す斜視図、図2はインクジェットヘッド1の要部構成、特に、インク供給装置2の構成を模式的に示す平面図、図3はインクジェットヘッド1の構成を一部断面にて示す平面図、図4は図3のIV−IV断面におけるインクジェットヘッド1の構成を示す断面図、図5は図4のV−V断面におけるインクジェットヘッド1の構成を一部省略して示す断面図、図6はインクジェットヘッド1の共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図、図7はインクジェットヘッド1の使用の一例、具体的にはインクの各圧力の設定の一例を示すグラフである。なお、図2中Tはチューブを、図2,4,6,9〜12中Fはインクの流れをそれぞれ示す。
【0009】
本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、紙葉類等のシート状記録媒体に対して液滴を吐出して、記録媒体上に記号や画像を印刷するインクジェット記録装置に用いられる。
【0010】
図1〜図3に示すように、インクジェットヘッド1は、マニホールド17と、ヘッド基板3と、ドライバ回路基板4と、を備えていえる。また、インクジェットヘッド1は、インク供給装置2に接続されている。
【0011】
図2に示すように、インク供給装置2は、供給側インクタンク10と、排出側インクタンク11と、供給側圧力調整ポンプ12と、輸送ポンプ13と、排出側圧力調整ポンプ14と、供給管15と、排出管16と、を備え、チューブTにより流体的に接続されている。また、インク供給装置2は、ヘッド基板3に、供給管15及び排出管16を収納したマニホールド17を介して流体的に接続される。
【0012】
供給側インクタンク10は、供給管15に接続され、供給管15を介してヘッド基板3にインクを供給する。排出側インクタンク11は、排出管16に接続され、排出管16を介してヘッド基板3から排出されたインクを一時的に貯蔵する。
【0013】
供給側圧力調整ポンプ12及び排出側圧力調整ポンプ14は、各々供給側インクタンク10の圧力及び排出側インクタンク11の圧力を調整する。
【0014】
供給側圧力調整ポンプ12は、供給側インクタンク10と排出側インクタンク11の圧力を調整し、ヘッド基板3へ供給したインクの静水圧、具体的には、後述するノズル33でのインクの圧力Pnが概ね0〜―2000Paになるように、インクの圧力を増減させる。
【0015】
輸送ポンプ13は排出側インクタンク11に貯蔵されたインクを供給側インクタンク10に還流させる。排出側圧力調整ポンプ14は、供給側インクタンク10と排出側インクタンク11の圧力を調整し、ヘッド基板3へ供給したインクの静水圧、具体的には、後述するノズル33でのインクの圧力Pnが概ね0〜―2000Paになるように、インクの圧力を増減させる。即ち、供給側圧力調整ポンプ12及び排出側圧力調整ポンプ14は、ノズル33の圧力Pnを調整する。
【0016】
このようなインク供給装置2は、インクジェットヘッド1、供給側インクタンク10、排出側インクタンク11、及び、輸送ポンプ13の経路(流路)で定常的にインクを循環させる。
【0017】
ヘッド基板3は、ベース基板(基板)20と、枠部材21と、ノズルプレート22と、一対の圧電部材23と、共通液室24と、配線回路25と、を備えている。
【0018】
基板20は、誘電率が小さく、かつ圧電部材23との熱膨張率の差が小さい材料、例えば、セラミックス材料により方形板状に形成されている。基板20は、例えば、アルミナ(Al2O3)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等により形成されている。本実施形態の基板20は、低誘電率のPZTが用いられる。
【0019】
基板20は、その主面間において貫通する複数の孔部28が設けられている。なお、これら複数の孔部28は、図6に示すように、圧電部材23の両端部であって、且つ、圧電部材23のその長手方向に直交する方向の両方側(一方側及び他方側)にそれぞれ隣接して設けられた2行3列の行列で配置される。換言すると、孔部28は、基板20の、一対の圧電部材23の両端部の両側に位置して6つ配置される。なお、一対の圧電部材23間には、一列の孔部28が設けられる
3列の孔部28のうち両端の2列の孔部28は、それぞれ2つの供給穴29を、中央の一列の孔部28が2つの排出穴30を形成する。供給穴29及び排出穴30は、マニホールド17を介してそれぞれ供給管15及び排出管16に接続される。
【0020】
枠部材21は、基板20の一方の主面に接着される。枠部材21は、基板20に設けられた複数の孔部28を少なくとも包囲する形状に形成されている。
【0021】
ノズルプレート22は、枠部材21及び圧電部材23の上面に接着され、枠部材21の開口する上面を覆う。ノズルプレート22は、方形のポリイミド製のフィルムで形成されている。ノズルプレート22は、一対(2列)のノズル列32を有している。各ノズル列32は、複数のノズル33を有している。
【0022】
複数のノズル33は、隣り合うノズル33と所定の間隔を開けて3周期毎にオフセットされて配置される。ノズル33は、エキシマレーザ等により孔加工を施すことにより形成される。ノズル33は、図5に示すように、基板20側から吐出側に向けて先細りの形状、換言すると、円錐台形状に形成されている。
【0023】
なお、ノズルプレート22は、ステンレスなどの金属材料や、単結晶シリコンなどの無機材料を用いて形成してもよい。例えば、ステンレスを用いたノズルプレート22の場合には、ノズル33は例えばプレス加工で形成される。また、単結晶シリコンを用いたノズルプレート22の場合には、ノズル33はフォトリソグラフィーによるドライエッチングやウエットエッチングにより形成される。
【0024】
図3乃至図5に示すように、圧電部材23は、枠部材21の内側であって、且つ、基板20の主面に接着される。詳しく説明すると、圧電部材23は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O3)により形成されている。なお、圧電部材23は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等により形成してもよい。圧電部材23は、その側面に傾斜面35を有し、その断面形状が台形状に形成された板状に形成されている。
【0025】
圧電部材23は、図3及び図5に示すように、その表面が溝状に切削形成された複数の圧力室36と、圧力室36の両側部に設けられる複数の側壁37と、圧力室36内、換言すると側壁37の表側面及び圧力室36内の底面に形成される複数の電極38と、を備えている。
【0026】
圧電部材23は、一対(二列)設けられ、基板20上であって、且つ、供給穴29及び排出穴30間に、ノズルプレート22のノズル列32に沿って延設される。圧電部材23は、圧力室36とノズル33とが対向して配置される。圧電部材23は、図5に示すように、断面が四角形の棒状の圧電板23a、23bを、互いの分極方向が逆向きとなるように対向させ、接着剤等の接着剤層23cを介して張り合わせて形成されている。また、圧電部材23は、このように張り合わされた圧電板23a、23bが、切削加工等により複数の溝が加工されることで、圧力室36及び側壁37が形成される。
【0027】
図3及び図4に示すように、これら圧力室36は、圧電部材23の長手方向に沿って複数配列される。また、圧力室36は、共通液室24中に位置する。圧力室36は、その中央でノズル33に連通する。圧力室36は、その一端からインクが供給され他端からインクが排出される。
【0028】
圧力室36は、この共通液室24内の液(インク)の圧力を増圧させることで、ノズル33からインクを吐出可能に形成されている。なお、圧力室36は、例えば深さ300μmであって、幅80μmの形状に形成されており、隣り合う圧力室36と169μmのピッチとなるように平行に配列されている。
【0029】
側壁37は、電極38を介して電界が印加されると、接着剤層23cを介して「く」の字状にせん断変形可能に形成される。このように、側壁37は、電界により駆動するアクチュエータである。
【0030】
電極38は、隣り合う電極38と絶縁し、それぞれが配線回路25に接続される。電極38は、配線回路25を介してドライバ回路基板4に接続される。電極38は、ニッケル(Ni)と金(Au)の2層の金属層により形成されている。このような電極38は、メッキ法によって、圧力室36内に均一に成膜される。なお、電極38は、その形成方法はメッキ法に限定されず、例えばスパッタ法又は蒸着法を用いてもよい。
【0031】
このような圧力室36は、ドライバ回路基板4から送信された駆動信号により電極38にて電界が発生し、この電界により側壁37が図5に実線で示すように側方に移動して変形(シェアモード変形)することで、その体積を拡張可能に形成されている。
【0032】
また、圧力室36は、その体積を拡張後、図5に二点鎖線で示すように側壁37を初期位置(直立状態)とすることで、体積を縮小可能に形成されている。圧力室36は、その体積を拡張後、縮小させることで、圧力室36に位置する液を増圧し、ノズル33からインクを液滴として吐出する。
【0033】
共通液室24は、基板20、枠部材21、ノズルプレート22及び圧電部材23により形成されたインクの流路を形成する室である。具体的には、共通液室24は、2つのインク供給路41と、1つのインク排出路42とを備えている。
【0034】
インク供給路41は、基板20、枠部材21、ノズルプレート22及び圧電部材23で囲まれた空間であり、その両端部に供給穴29が配置される。また、インク供給路41は、圧電部材23の長手方向(圧力室36の配列方向)に沿って、圧電部材の一方側に形成される。このインク供給路41は、圧力室36の各々に、インクを強制的に供給する。
【0035】
ここで、基板20は、圧電部材23が一対設けられ、これら圧電部材23にそれぞれ隣接する2つの供給穴29を有する構成であるため、インク供給路41は、2つ形成される。
【0036】
インク排出路42は、基板20、ノズルプレート22及び一対の圧電部材23で囲まれた空間であり、その両端部に排出穴30が配置される。また、インク排出路42は、圧電部材23の長手方向(圧力室36の配列方向)に沿って、圧電部材の他方側に前記圧電部材に形成される。インク排出路42は、各圧力室36からインクを回収する。
【0037】
このようなインク供給路41及びインク排出路42は、複数の圧力室36により連続する。また、インク供給路41及びインク排出路42には、圧力室36の配列方向に平行、且つ、互いに反対方向の流れにより、インクが流れる。
【0038】
インク供給路41は、その圧力損失抵抗Riが、インク排出路42の圧力損失抵抗Roに対して2倍と略同等、具体的には、2倍よりやや小さい値に形成されている。即ち、インク排出路42のインク流量はインク供給路41のインク流量の2倍となるため、インク供給路41の圧力損失抵抗をインク排出路42の圧力損失抵抗の2倍とすることで、インク供給路41とインク排出路42の圧力勾配が略同等になるように形成されている。
【0039】
ここで、インク供給路41及びインク排出路42の圧力損失抵抗Ri,Roは、圧電部材23の長手方向、換言すると、圧電部材23の圧力室36の配列方向に直交する断面でみた圧力損失抵抗であり、それら断面を単位流量のインクが流れる時に発生する断面に直交方向の圧力勾配のことを示す。
【0040】
配線回路25は、圧電部材23の電極38及びドライバ回路基板4を接続可能に形成されている。即ち、配線回路25は、ドライバ回路基板4から各電極38へと、それぞれ接続される複数の配線(パターン)の集合である。
【0041】
例えば、配線回路25は、レーザーパターニング法により、基板20上に無電解めっき法により成膜したNi膜及び電解めっき法により成膜したAu膜の金属膜をパターニングすることで形成されている。
【0042】
ドライバ回路基板4は、圧電部材23を駆動するためのプリント回路板であり、プリンタの制御部等の外部機器に接続される外部回路基板である。例えば、ドライバ回路基板4は、テープ・キャリア・パッケージ(Tape Carrier package:TCP)であり、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)等により、基板20に実装され、配線回路25と電気的に接続される。
【0043】
このようなドライバ回路基板4は、テープ状の樹脂フィルム44に、圧電部材23のドライブICであるICチップ45を備える構成である。また、ドライバ回路基板4は、ICチップ45と配線回路25とを接続する配線回路(不図示)を備えている。また、ドライバ回路基板4は、さらに、図示しないプリンタの制御部等の外部機器に設けられたプリント基板等に接続される。
【0044】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、プリンタに搭載され、インク供給装置2と共通液室24との間で液が循環されるとともに、循環されるインクの一部を用いて印刷処理がなされる。なお、図2及び図3中、矢印Fにより液の流れを示す。
【0045】
具体的には、図2、3のインクの流れFに示すように、インク供給装置2から供給管15及び供給穴29を介して、共通液室24のインク供給路41にインクが供給される。インク供給路41に供給されたインクは、各圧力室36を介してインク排出路42に移動し、インク排出路42から排出穴30及び排出管16を介してインク供給装置2に排出される。このように、インクは、インクジェットヘッド1内を循環する。
【0046】
インクジェットヘッド1内にインクを循環させている状態で、ユーザがプリンタに対して記号や画像の印刷の指示を行うと、この印刷情報に基づいて、プリンタの制御部は、該当するノズル33から液滴を吐出するための印刷信号をICチップ45に送信する。
【0047】
この印刷信号を受信したICチップ45は、駆動信号(駆動パルス電圧)を、配線回路25を介して、該当する圧力室36の電極38に送信する。当該電極38に駆動パルス電圧が印加されると、電界が発生し、この電界により当該圧力室36の左右一対の側壁37は、シェアモード変形を行って、図3に実線で示すように湾曲して離反する。この側壁37の離反により、圧力室36の体積が拡張する。
【0048】
その後、側壁37は初期位置に復帰することで圧力室36の体積が縮小し、結果、圧力室36の液の圧力が増大し、ノズル33から液が吐出される。
【0049】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、インクの循環及び吐出において、一対の圧電部材23(2列の圧力室36の配列)に対して、2つのインク供給路41と1つのインク排出路42を設ける構成である。
【0050】
また、インク供給路41及びインク排出路42は、それぞれの圧力損失抵抗Ri、RoがRi≒Roに形成されている。
【0051】
また、インクジェットヘッド1は、図2及び図7に示すように、インク供給装置2によるインクの循環時であって、ノズル33からインクを吐出していないとき(非吐出時)において、ノズル33の圧力Pnが一定となるように、循環するインクの圧力が制御される。具体的には、供給側圧力調整ポンプ12と排出側圧力調整ポンプ14により、供給側インクタンク10及び排出側インクタンク11の圧力を調整、即ち、インク供給路41及びインク排出路42の圧力を調整する。
【0052】
この調整された圧力が、圧力損失抵抗Ri,Roで形成されたインク供給路41及びインク排出路42を通過するため、図7に示すように、インク供給路41及びインク排出路42の圧力Pi,Poは、各位置において同様の圧力分布となる。
【0053】
換言すると、インク供給路41の圧力Piは、その両端側で圧力が高く、中央側に向って漸次圧力が低くなる。同様に、インク排出路42の圧力Poは、その両端側で圧力が低く、中央側に向って漸次圧力が高くなる。この結果、ノズル33の圧力Pnは、各位置において略一定の圧力となる。
【0054】
なお、図7中、横軸に記載の「位置」とは、供給穴29間又は排出穴30間であって圧電部材23の長手方向(圧力室36の配列方向)の各位置を示しており、縦軸に記載の「圧力」とは、当該長手方向の各位置における圧力Pi,Po,Pnを示す。
【0055】
このように、2つのインク供給路41の両端部にそれぞれ設けられた2つの供給穴29及び1つのインク排出路42の両端部に設けられた2つの排出穴30によりインクを共通液室24内で循環させても、各圧力室36の中間に位置するノズル33の圧力Pnを一定にすることが可能となる。
【0056】
このノズル33の圧力Pnは、大気圧より大きくなるとノズル33からインクが漏れ、圧力が低すぎるとノズル33のインクのメニスカスが保持できず、ノズル33から気泡が圧力室36内に侵入する。
【0057】
本実施形態のインクジェットヘッド1は、2つのインク供給路41の圧力損失抵抗Riとインク排出路42の圧力損失抵抗Roとを2Ri≒Roの関係とし、且つ、供給側インクタンク10と排出側インクタンク11の圧力を、供給側圧力調整ポンプ12と排出側圧力調整ポンプ14により調整する構成とする。
【0058】
このような構成により、インク供給圧力Piとインク排出圧力Poの圧力を適切に調整することで、インクの供給及び排出を行う供給穴29及び排出穴30の数が少なくても、ノズル33の圧力Pnを一定とすることが可能となる。このため、基板20に設ける孔部28(供給穴29及び排出穴30)は、2つのインク供給路41及びインク排出路42の両端部にそれぞれ2つ設ける構成でよい。
【0059】
このように構成されたインクジェットヘッド1によれば、図7に示すように、インク供給路41及びインク排出路42には、それら両端に供給穴29及び排出穴30を設けるため、各孔部28から離れた位置、具体的にはインク供給路41の長手方向の中央にて圧力が低くなる。また、インク排出路42の長手方向の中央にて圧力が高くなる。しかし、インク供給路41及びインク排出路42の圧力分布が同様の圧力分布となるように圧力損失抵抗Ri,Ro及び孔部28の配置を行ったため、ノズル33での圧力Pnは当該長手方向に沿って一定となる。
【0060】
このように、インクジェットヘッド1は、各ノズル33での圧力Pnを一定とすることが可能となり、基板20に設ける孔部28の加工工程を低減することができる。また、孔部28の数を低減することが可能となり、結果、基板20の材質の制約を低減することが可能となる。このため、基板20の製造コストを低減することが可能となる。
【0061】
また、配線回路25は、圧電部材23の電極38に接続されるため、その一部は、インク供給路41に設けられることとなる。しかし、インク供給路41に設けられる孔部28(供給穴29)は、インク供給路41の両端部に設けられるため、配線回路25が設けられる範囲に位置することを回避できる。
【0062】
即ち、孔部28が基板20の配線回路25の形成範囲上にあると、配線回路25のパターンは、孔部28を避けて形成されるため、隣接するパターンとの間隔が狭くなる。このため、パターン間を非導通とするためには、所定の間隔を有する必要があり、結果、配線回路25のパターン及び圧電部材23の圧力室36の配列の間隔をさらに狭くすることができず、配線回路25及び圧力室36の配列が制限される。
【0063】
しかし、配線回路25が設けられる範囲に孔部28を設けることを極力回避する(孔部28の数を低減する)ことで、孔部28による配線回路25のパターン間が狭くなることが防止できる。このため、配線回路25のパターン間は広く取ることができる、即ち、配線回路25のパターン間をさらに狭くしても、非導通とすることが可能となり、結果、パターンの微細化が可能となる。
【0064】
また、圧力室36間をさらに狭くしても、隣り合う圧力室36の電極38と接続する配線回路25のパターン間を非導通とすることができるため、圧力室36の配列の高密度化が可能となる。結果、ノズル33の間隔を狭小することができる。これにより、インクジェットヘッド1による印字の高精細とすることが可能となる。
【0065】
上述したように、インクジェットヘッド1によれば、基板20に設けられるインク供給装置2と接続される孔部28を極力少なくし、且つ、インク供給装置2によりインク循環時のノズル33(圧力室36)の圧力を一定とすることで、配線回路25のパターンの間隔を狭くすることができる。また、インクジェットヘッド1は、孔部28の数を低減することが可能となり、孔部28の形成の製造コストを低減することが可能となる。さらに、インクジェットヘッド1は、配線回路25のパターンの微細化及び圧力室36の配列の高密度化を可能とし、インクジェットヘッド1の印字の高精細とすることが可能となる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1について、図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1の使用の一例、具体的にはインクの各圧力の設定の一例を示すグラフである。
【0067】
第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1は、上述した第1の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様の構成であり、インク供給路41の圧力損失抵抗Riとインク排出路の圧力損失抵抗42との関係が異なるだけである。このため、第2の実施の形態に係るインクジェットヘッド1は、上述した第1の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図8に示すように、インクジェットヘッド1は、2つのインク供給路41の圧力損失抵抗2Riを第1の実施形態のインク供給路41の圧力損失抵抗2Riよりもやや小さく、又は、インク排出路42の圧力損失抵抗Roを第1の実施形態のインク排出路42の圧力損失抵抗Roよりもやや大きく形成している。
【0069】
換言すると、本実施形態のインクジェットヘッド1は、インク供給路41の圧力損失抵抗2Riをインク排出路42の圧力損失抵抗Roよりもやや小さくし、2Ri<Roの関係とする。このような関係とすることで、インク供給装置2によりインクを循環し、ノズル33からインクを吐出していないとき(非吐出時)には、図8に実線で示すように、各圧力Pi,Po,Pnの関係となる。
【0070】
具体的には、インク供給路41の各位置でのインク供給圧力Piは、長手方向の中央で小さくなる。インク排出路42の各位置でのインク排出圧力Poは、長手方向の中央で大となる。また、インク供給路41の圧力損失抵抗Riはインク排出路42の圧力損失抵抗Roよりもやや小さく形成されているため、インク供給路41の長手方向の各位置での圧力の最大と最小の差は、インク排出路42の長手方向の各位置での圧力の最大と最小の差よりも小さい圧力差となる。
【0071】
このため、ノズル33からインクを吐出していないとき(非吐出時)には、ノズル33の各位置での圧力Pnは、長手方向の中央側で最も高くなり、長手方向の端部側で低くなる圧力分布となる。なお、ノズル33の各位置での圧力Pnは、ノズル33からのインクの吐出時において、低下したときの圧力が、長手方向で一定となるように、設定されている。
【0072】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、循環されるインクの一部を用いて印刷処理がなされる、即ち、ノズル33からインクを吐出すると、図8の破線で示すように、インク供給圧力Piは低下し、インク排出圧力Poは上昇し、吐出時のノズル33の圧力Pnが長手方向の各位置で一定になる。
【0073】
即ち、ノズル33からインクが吐出されることで、ノズル33より上流側(インク供給路41)のインクの流量は増加し、ノズル33より下流側(インク排出路42)のインクの流量は減少する。このため、インクの吐出時において、インク供給路41の圧力Piとインク排出路42の圧力Poがそれぞれ変化する。
【0074】
このような圧力変動により、インクの循環により圧力室36の各々にインクを強制的に供給することに伴うノズル33の各位置での圧力Pnの分布と、ノズル33からのインクの吐出に伴うインクの自然の補給によるノズル33の各位置での圧力Pnの分布とが互いに打ち消される。
【0075】
このように、インク吐出時のインク供給路41やインク排出路42のインクの流量の変化量に適合させてインク供給路41の圧力損失抵抗Riを小さく、及び/又は、インク排出路42の圧力損失抵抗Roを大きくすることでインク吐出時のノズル圧力Pnを均一とすることができる。また、インクジェットヘッド1のノズル33からのインクの吐出量のばらつきを小さくすることができる。
【0076】
なお、このようにインクの吐出時にノズル33の圧力Pnが一定になるようにした場合、インクが吐出していない時のノズル33の圧力Pnは図8の実線で示すように、長手方向の中央側で大となるので、ノズル33の圧力Pnが0、すなわち大気圧より大きくならないようにインク供給圧力Piとインク排出圧力Poを調整することが望ましい。
【0077】
上述したように、インクジェットヘッド1は、各ノズル33での圧力Pnを一定とすることが可能となり、基板20に設ける孔部28を低減することができる。このため、上述した第1の実施形態のインクジェットヘッド1と同等の効果を得ることが可能となる。
【0078】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1Aについて、図9を用いて説明する。図9は、第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1Aの構成、及び、共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図である。
【0079】
なお、第3の実施の形態に係るインクジェットヘッド1Aの、上述した第1及び第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0080】
インクジェットヘッド1Aは、基板20Aを備えている。基板20Aは、その主面間において貫通する複数の孔部28Aが設けられている。これら複数の孔部28Aは、図9に示すように、圧電部材23の両端部及び中央部にそれぞれ隣接して設けられた3行3列の行列で配置される。具体的には、孔部28Aは、9つ設けられ、基板20Aの、一対の圧電部材23の両端部の両側及び中央部の両側に、圧電部材23の長手方向に等間隔となるようにそれぞれ配置される。
【0081】
なお、3列の孔部28Aのうち両端の2列の孔部28Aは、2つのインク供給路41にそれぞれ設けられ、各インク供給路41に配置されることで3つの供給穴29を形成する。また、中央の一列の孔部28Aは、インク排出路42に配置されることで3つの排出穴30を形成する。供給穴29及び排出穴30は、マニホールド17を介してそれぞれ供給管15及び排出管16に接続される。
【0082】
なお、インク供給路41及びインク排出路42は、上述したインクジェットヘッド1のインク供給路41及びインク排出路42と同様の圧力損失抵抗Ri、Roに形成されている。
【0083】
このように構成されたインクジェットヘッド1Aは、上述した第1又は第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様に、ノズル33の圧力Pnを一定とすることが可能となる。
【0084】
なお、基板20Aには、3行3列の孔部28A、換言すると、インク供給路41に3つの供給穴29が、インク排出路42に3つの排出穴30がそれぞれ設けられている。このため、インクジェットヘッド1Aのインク供給路41の圧力Pi及びインク排出路42の圧力Poの長手方向の各位置での圧力の差は、上述したインクジェットヘッド1の圧力Pi,Poの長手方向の各位置での圧力の差よりも小さくなる。
【0085】
具体的には、インク供給路41の圧力Piは、インク供給路41の長手方向であって、孔部28A(供給穴29)間の中央において圧力が低くなる。また、インク排出路42の圧力Poは、インク排出路42の長手方向であって、孔部28A(排出穴30)間の中央において圧力が高くなる。
【0086】
このように、インクジェットヘッド1Aにおいては、孔部28Aを3行3列とすることで、上述した第1及び第2の実施形態のインクジェットヘッド1よりも、孔部28A間が狭くなるため、圧力の差が小さくなる。このため、より高い精度でノズル33の圧力Pnを一定とすることができる。
【0087】
なお、インクジェットヘッド1Aは、インクジェットヘッド1に対して孔部28Aを列ごとに一つ増やすため、インクジェットヘッド1よりも印字の高精細の効果が低減するが、従来のインクジェットヘッドに比べ、孔部28Aは少ないため、インクジェットヘッド1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0088】
なお、インクジェットヘッド1Aは、非吐出時及び吐出時のどちらか一方でノズル33の圧力Pnが一定とすることができる。
【0089】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1Bについて、図10及び図11を用いて説明する。図10は、第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1Bの構成、及び、共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図、図11はインクジェットヘッド1Bの図10中のXI−XI断面による構成を示す断面図である。
【0090】
なお、第4の実施の形態に係るインクジェットヘッド1Bの、上述した第1乃至第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1Aと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
インクジェットヘッド1Bは、基板20Bと、一つの圧電部材23と、を備えている。基板20Bは、その主面間において貫通する複数の孔部28Bが設けられている。なお、これら複数の孔部28Bは、図10に示すように、圧電部材23の両端部にそれぞれ隣接して設けられる。換言すると、孔部28Bは、2行2列の行列で配置される。
【0092】
また、インク供給路41及びインク排出路42は、それぞれの圧力損失抵抗Ri、RoがRo≒Riに形成されている。なお、インクジェットヘッド1Bは、圧電部材23が一つのみ設けられる構成であるため、ノズル列32も一列のみ設けられる。また、インク供給路41も一つのみ形成される。
【0093】
このように構成されたインクジェットヘッド1Bは、圧力損失抵抗Ri及びRoを、Ro≒Riとすることで、上述した第1及び第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様に、図7又は図8の圧力分布とすることが可能となる。
【0094】
このような構成とすることで、インクジェットヘッド1Bは、上述した第1及び第2の実施形態に係るインクジェットヘッド1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0095】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係るインクジェットヘッド1Cについて、図12を用いて説明する。図12は、第5の実施形態に係るインクジェットヘッド1Cの構成、及び、共通液室24における液の流れを模式的に示す平面図である。
【0096】
なお、第5の実施の形態に係るインクジェットヘッド1Cの、上述した第1乃至第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1A,1Bと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0097】
インクジェットヘッド1Cは、基板20Cと、一つの圧電部材23と、を備えている。基板20Cは、その主面間において貫通する複数の孔部28Cが設けられている。なお、これら複数の孔部28Cは、図12に示すように、圧電部材23の両端部及び中央部にそれぞれ隣接して設けられる。換言すると、孔部28Cは、3行2列の行列で配置される。
【0098】
具体的には、孔部28Cは、6つ設けられ、基板20Cの、一つの圧電部材23の両端部の両側及び中央部の両側に、圧電部材23の長手方向に等間隔にそれぞれ配置される。なお、2列の孔部28Cのうち、一方がインク供給路41に設けられ、他方がインク排出路42に設けられ、それぞれ3つの供給穴29及び排出穴30を形成する。
【0099】
また、インク供給路41及びインク排出路42は、インクジェットヘッド1Bと同様に、それぞれの圧力損失抵抗Ri、RoがRo≒Riに形成されている。なお、インクジェットヘッド1Cは、圧電部材23が一つのみ設けられる構成であるため、ノズル列32は一列のみ設けられる。
【0100】
このように構成されたインクジェットヘッド1Cは、圧力損失抵抗Ri及びRoを、Ro≒Riとすることで、上述した第3の実施形態に係るインクジェットヘッド1Aと同様の圧力分布となる。これにより、インクジェットヘッド1Cは、上述した第1乃至第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1A,1Bと同様に、ノズル33の圧力Pnが、インクの吐出時又はインクの非吐出時の一方で、圧電部材23の長手方向で一定とすることが可能となる。
【0101】
このように、インクジェットヘッド1Cは、第1乃至第4の実施形態に係るインクジェットヘッド1,1A,1Bと同様の効果を得ることが可能となる。
【0102】
なお、本実施の形態は、上述した構成に限定されない。例えば、上述した実施形態では、インクジェットヘッド1、1Aの構成において、インク供給路41を2つ、インク排出路42を1つ設ける構成を説明したが、これに限定されない。例えば、インク供給路41を一つ、インク排出路42を2つ設ける構成であってもよい。なお、この場合、インク供給路41とインク排出路42の圧力勾配が同等となるように、インク供給路41の圧力損失抵抗Riに対してインク排出路42の圧力損失抵抗Roを2倍と同等とすればよい。即ち、ノズル33からのインクの吐出時又は非吐出時において、ノズル33の圧力Pnが、各ノズル33において一定となるように、圧力損失抵抗Ri,Roが設定されていれば良い。この他適宜設定可能である。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1〜1C…インクジェットヘッド、2…インク供給装置、3…ヘッド基板、4…ドライバ回路基板、8…インク供給装置、9…供給側インクタンク、10…供給側インクタンク、11…排出側インクタンク、12…供給側圧力調整ポンプ、13…輸送ポンプ、14…排出側圧力調整ポンプ、15…供給管、16…排出管、17…マニホールド、20〜20C…基板、21…枠部材、22…ノズルプレート、23…圧電部材、23a.23b…圧電板、23c…接着剤層、24…共通液室、25…配線回路、28〜28C…孔部、29…供給穴、30…排出穴、32…ノズル列、33…ノズル、35…傾斜面、36…圧力室、37…側壁、38…電極、41…インク供給路、42…インク排出路、44…樹脂フィルム、45…ICチップ、F…インクの流れ、T…チューブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルと、中央で前記ノズルに各々連通するとともに一端からインクが供給され他端からインクが排出され一方向に配列された複数の圧力室と、前記圧力室の各々にインクを強制的に供給するインク供給路と、前記圧力室の各々からインクを回収するインク排出路と、前記インク供給路にインクを供給する供給穴と、前記インク排出路のインクを排出する排出穴と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記インク供給路内のインク及び前記インク排出路内のインクに、前記圧力室の配列方向に平行、且つ、互いに反対方向の流れをそれぞれ発生させることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
1つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク供給路と前記インク排出路の圧力損失抵抗を略同一としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
2つの前記圧力室の配列に対して2つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗に対して略1/2としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
2つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と2つの前記インク排出路を具備し、前記インク供給路の圧力損失抵抗を前記インク排出路の圧力損失抵抗に対して略1/2としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
1つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗より大きくし、前記圧力室の各々に前記インクを供給することに伴う前記ノズルのノズル間圧力分布と、前記ノズルからの前記インクの吐出に伴う前記インクの補給によるノズル間圧力分布とが互いに打ち消すことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドを搭載するインクジェット記録装置。
【請求項6】
2つの前記圧力室の配列に対して2つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗の1/2より大きくすることにより、前記圧力室の各々に前記インクを供給することに伴う前記ノズルのノズル間圧力分布と、前記ノズルからのインクの吐出に伴う前記インクの補給によるノズル間圧力分布とが互いに打ち消すようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドを搭載するインクジェット記録装置。
【請求項7】
2つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と2つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗の2倍より大きくすることにより、前記圧力室の各々に前記インクを供給することに伴う前記ノズルのノズル間圧力分布と、前記ノズルからの前記インクの吐出に伴う前記インクの補給によるノズル間圧力分布とが互いに打ち消すようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドを搭載するインクジェット記録装置。
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルと、中央で前記ノズルに各々連通するとともに一端からインクが供給され他端からインクが排出され一方向に配列された複数の圧力室と、前記圧力室の各々にインクを強制的に供給するインク供給路と、前記圧力室の各々からインクを回収するインク排出路と、前記インク供給路にインクを供給する供給穴と、前記インク排出路のインクを排出する排出穴と、を有するインクジェットヘッドにおいて、
前記インク供給路内のインク及び前記インク排出路内のインクに、前記圧力室の配列方向に平行、且つ、互いに反対方向の流れをそれぞれ発生させることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
1つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク供給路と前記インク排出路の圧力損失抵抗を略同一としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
2つの前記圧力室の配列に対して2つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗に対して略1/2としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
2つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と2つの前記インク排出路を具備し、前記インク供給路の圧力損失抵抗を前記インク排出路の圧力損失抵抗に対して略1/2としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
1つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗より大きくし、前記圧力室の各々に前記インクを供給することに伴う前記ノズルのノズル間圧力分布と、前記ノズルからの前記インクの吐出に伴う前記インクの補給によるノズル間圧力分布とが互いに打ち消すことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドを搭載するインクジェット記録装置。
【請求項6】
2つの前記圧力室の配列に対して2つの前記インク供給路と1つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗の1/2より大きくすることにより、前記圧力室の各々に前記インクを供給することに伴う前記ノズルのノズル間圧力分布と、前記ノズルからのインクの吐出に伴う前記インクの補給によるノズル間圧力分布とが互いに打ち消すようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドを搭載するインクジェット記録装置。
【請求項7】
2つの前記圧力室の配列に対して1つの前記インク供給路と2つの前記インク排出路を具備し、前記インク排出路の圧力損失抵抗を前記インク供給路の圧力損失抵抗の2倍より大きくすることにより、前記圧力室の各々に前記インクを供給することに伴う前記ノズルのノズル間圧力分布と、前記ノズルからの前記インクの吐出に伴う前記インクの補給によるノズル間圧力分布とが互いに打ち消すようにしたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドを搭載するインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−67178(P2013−67178A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8406(P2013−8406)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2010−208588(P2010−208588)の分割
【原出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2010−208588(P2010−208588)の分割
【原出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]