説明

インクジェット印刷装置およびその制御方法

【課題】インクジェット印刷装置において、印刷された二次元コードが拍車跡によって汚れる可能性がなくなり、二次元コードリーダによる読み取り不良がなくなるインクジェット印刷装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】文字や記号を入力する入力手段と、この入力手段から入力された文字や記号のデータを符号化し、縦横に展開して二次元コードを生成する手段と、上記二次元コードを記録媒体に印刷する印刷手段と、上記記録媒体を排出する拍車とを有する印刷装置において、上記記録媒体上の位置であって、上記拍車が通過しない位置に、上記二次元コードを印刷させる印刷制御手段を有することを特徴とするインクジェット印刷装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置から文字データを受信し、上記二次元コードを印刷する印刷装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置から文字データを受信し、上記文字情報を符号化し、縦横に展開した二次元コードに変換し、上記変換した二次元コードを記録媒体上に配置し、印刷する印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−154774号公報
【特許文献2】特開2003−15477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インクジェット印刷装置には、記録媒体の排出機構に拍車が設けられ、記録媒体にインクを吐出して記録するので、吐出した記録面を拍車が通過すると、外気等の条件によっては、記録媒体に拍車跡がつく場合がある。
【0004】
特に、二次元コードの印刷部に汚れが付着すると、二次元コードを読み取る場合、上記汚れが原因で解読できないことがあるという問題がある。
【0005】
二次元コードが所望通りに印刷できなかった場合の対応方法として、特開平10−181106号公報に記載されている発明のように、バーコードを印刷する紙面の背景の影響を受けない別な場所に印刷する方法が取られている。しかし、特開平10−181106号公報に記載されている発明では、記録媒体の排出機構に拍車の位置を考慮したものではないので、二次元コードの印刷部に汚れが付着することがあり得る。
【0006】
本発明は、インクジェット印刷装置において、印刷された二次元コードが拍車跡によって汚れる可能性がなくなり、二次元コードリーダによる読み取り不良がなくなるインクジェット印刷装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、文字や記号を入力する入力手段と、この入力手段から入力された文字や記号のデータを符号化し、縦横に展開して二次元コードを生成する手段と、上記二次元コードを記録媒体に印刷する印刷手段と、上記記録媒体を排出する拍車とを有する印刷装置において、上記記録媒体上の位置であって、上記拍車が通過しない位置に、上記二次元コードを印刷させる印刷制御手段を有することを特徴とするインクジェット印刷装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、拍車通過位置にかからないように、二次元コードを配置するので、二次元コードが拍車跡によって汚れる可能性がなくなり、二次元コードリーダによる読み取り不良がなくなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置100を示す斜視図である。
【0011】
インクジェット印刷装置100は、キャリッジ5と、電気的接続部7と、ガイド軸9と、軸受け11と、タイミングベルト13と、プーリ15A、15Bを有する。さらに、キャリッジモータ17と、搬送ローラ19と、紙送りモータ20と、LFギア21と、ピンチローラ23と、拍車25と、拍車ホルダ27と、ガイドレール29とを有する。
【0012】
キャリッジ5は、不図示の記録ヘッドを搭載して主走査方向へ移動する。電気的接続部7は、上記記録ヘッドと装置本体側の制御部とを接続するためのフレキシブルケーブルに電気的に接続されて、上記記録ヘッドと上記制御部との電気的接続を行う。
【0013】
ガイド軸9は、キャリッジ5を走査案内するガイド軸であり、キャリッジ5の軸受け11に挿通されている。タイミングベルト13は、キャリッジ5を走査させるタイミングベルトであり、装置両側部に配置されたプーリ15A、15Bに張架されている。
【0014】
ここで、一方のプーリ15Bには、キャリッジモータ17からの動力が伝達され、必要に応じて、駆動力が伝達される。
【0015】
搬送ローラ19は、記録紙4の記録面側を規制するとともに、記録等に際してこれを搬送する搬送ローラであり、ステッピングモータである紙送りモータ20からの駆動力を不図示のギア列を介して、上記搬送ローラの一端に圧入したLFギア21に伝達する。
【0016】
ピンチローラ23は、記録紙4の送給経路途中に配設されて、不図示のピンチローラバネにより記録紙4を上記搬送ローラに向けて押圧し、これを搬送する。拍車25は、拍車ホルダ27に回動可能に軸支されるとともにガイドレール29に組み付けられた金属製の拍車であり、所定の間隔で配置されている。
【0017】
記録紙4の記録面側に記録される二次元コードの記録位置を規制し、上記記録ヘッドに構成されたインク吐出口と記録紙4の記録面との距離を、拍車25が精度良く所定の距離に保っている。
【0018】
インクジェット方式の記録において、記録紙4上に吐出された乾燥前の液体インクと上記搬送手段とが当接し、上記インクが搬送手段に付着すると、この搬送手段に付着したインクが、搬送と共に、記録紙4に転写されるという不具合が生じる。この不具合を最小限に抑えるために、記録紙4の排出側に搬送手段として、拍車25を設けている。
【0019】
なお、記録紙4は、記録媒体の例である。
【0020】
図2は、実施例1において、記録紙4上を通過する拍車25の位置を示す図である。
【0021】
図2において、記録紙4における拍車25の通過位置2を破線で示してある。拍車25の跡が発生する可能性がある位置は、通過位置2であり、二次元コード3を、拍車25の通過位置2から外れた領域に配置すれば、上記二次元コード3が拍車25の跡によって汚れる可能性がなくなる。また、記録紙4のサイズが変わっても、拍車25の通過位置2は、記録紙基準位置1から一定である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1であるインクジェット印刷装置100を示す斜視図である。
【図2】実施例1において記録紙4上を通過する拍車25の位置を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
100…インクジェット印刷装置、
1…記録紙基準位置、
2…拍車通過位置、
3…二次元コード、
4…記録紙、
5…キャリッジ、
25…拍車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字や記号を入力する入力手段と、この入力手段から入力された文字や記号のデータを符号化し、縦横に展開して二次元コードを生成する手段と、上記二次元コードを記録媒体に印刷する印刷手段と、上記記録媒体を排出する拍車とを有する印刷装置において、
上記記録媒体上の位置であって、上記拍車が通過しない位置に、上記二次元コードを印刷させる印刷制御手段を有することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記二次元コードの幅を、上記拍車が通過する間隔よりも小さくすることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項3】
文字や記号を入力する入力手段と、この入力手段から入力された文字や記号のデータを符号化し、縦横に展開して二次元コードを生成する手段と、上記二次元コードを記録媒体に印刷する印刷手段と、上記記録媒体を排出する拍車とを有する印刷装置の制御方法において、
上記記録媒体上の位置であって、上記拍車が通過しない位置に、上記二次元コードを印刷させる印刷制御工程を有することを特徴とするインクジェット印刷装置の制御方法。
【請求項4】
文字や記号を入力する入力手段と、この入力手段から入力された文字や記号のデータを符号化し、縦横に展開して二次元コードを生成する手段と、上記二次元コードを記録媒体に印刷する印刷手段と、上記記録媒体を排出する拍車とを有する印刷装置の制御方法において、
上記記録媒体上の位置であって、上記拍車が通過しない位置に、上記二次元コードを印刷させる印刷制御工程を有することを特徴とするインクジェット印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−144636(P2007−144636A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338409(P2005−338409)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】