インクジェット記録カートリッジの保管容器

【課題】落下時の衝撃からカートリッジを保護するために、カートリッジ全体に緩衝部材を被せてしまうとラベルをも覆ってしまうため、ラベルに印刷されたバーコードを読み取ることができなくなる。
【解決手段】緩衝部材において、カートリッジに貼られるラベルに相対する位置に開口部を設けることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はインクジェット記録カートリッジの保管容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、ディスポ系のカートリッジは、形状は共通のまま、仕向け先ごとにラベルのデザインを変更しているため、工場出荷時におけるプリンタ本体の箱に梱包する際の仕分け作業ミスを防止するために、ラベルに印刷されたバーコードを読み取って仕分け作業を行っている。この作業は、カートリッジをカートリッジ収納容器に梱包してから行うため、カートリッジ収納容器の開口部を塞ぐ蓋を介してバーコードを読み取っている。よって、蓋はできるだけ透明なフィルム状のシートでできている。
【０００３】
一方、カートリッジとカートリッジ収納容器との間には若干ガタがあり、一般的に、カートリッジが大きく重くなるほど落下衝撃等が大きくなるため、例えばカートリッジの突起がフィルム状の蓋を破る等の課題が生じる。この対策としては、カートリッジの突起のある面全体に緩衝部材のようなものを被せることで、フィルム状の蓋に直接当たらないようにして破れるのを防ぐ手段が一般的である。このような構成は、従来技術として特許文献１によって開示されている。
【特許文献１】特開２００１−０１００８２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来のように、カートリッジの突起のある面全体に緩衝部材のようなものを被せてしまうと、同じく突起のある面に貼られたラベルも覆ってしまい、ラベルに印刷されたバーコードを読み取ることができなくなるという課題が生じる。
【０００５】
また、装着性については、緩衝部材を所定外の方向に誤装着した場合でも、無理やり蓋を溶着することができてしまう、といった課題もあった。
【０００６】
さらには、緩衝部材を被せた後は、カートリッジが見えなくなるため、カートリッジに対してきちんと装着できたかどうかを確認できない、という課題もあった。
【０００７】
本発明の構成は、上記のような課題に対して改善された信頼性の高いインクジェット記録カートリッジの保管容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録カートリッジの保管容器の構成は、
インクジェット記録カートリッジを密閉保持するインクジェット記録カートリッジの保管容器において、該保管容器は底面と対向する面に開口部を有し内部に前記インクジェット記録カートリッジを保持する保持部を備えるカートリッジ収納容器と、カートリッジ収納容器の開口部を塞ぐ蓋部材と、インクジェット記録カートリッジと蓋部材との間に装着される緩衝部材とを備え、緩衝部材はインクジェット記録カートリッジに貼られたラベルに相対する位置に開口部を有することを特徴とする。
【０００９】
また、前記緩衝部材には、前記インクジェット記録カートリッジの突起に対して行う位置決め部を有することを特徴とする。
【００１０】
また、前記位置決め部が開口していることを特徴とする。
【００１１】
また、前記緩衝部材は、前記インクジェット記録カートリッジに貼られたラベルを中心にして、回転対称形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
以上説明したように、本発明のインクジェット記録カートリッジの保管容器を用いれば、
１）緩衝部材装着後も、ラベルに印刷されたバーコードを読み取ることが可能となる。
【００１３】
２）装着する際の方向性がないので、緩衝部材の誤装着を防止できる。
【００１４】
３）緩衝部材の装着状態を目視で確認することが可能となる。
等の効果が得られ、従来に対してより信頼性の高いインクジェット記録カートリッジの保管容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例１】
【００１６】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【００１７】
図１は、従来の構成を最もよく表したインクジェット記録カートリッジユニット１００の全体図である。一般的に、カートリッジ収納容器１０１に収まるインクジェット記録カートリッジ３００が大きくなると、落下衝撃等も大きくなるため、カートリッジの突起２０５が蓋１０３を破りやすい。この対策として、緩衝部材１０２を装着させている。
【００１８】
カートリッジ収納容器１０１にはインクジェット記録カートリッジ３００が収納され、その上に緩衝部材１０２が装着されて、蓋１０３を（例えば熱溶着にて）カートリッジ収納容器１０１に接合して開口部を塞ぎ、インクジェット記録カートリッジ３００を密閉保管する。この場合、緩衝部材１０２はインクジェット記録カートリッジ３００を完全に覆ってしまう。
【００１９】
これに対して、図２は、本発明の構成を最もよく表したインクジェット記録カートリッジユニット２００の全体図である。
【００２０】
本発明の構成は、上記落下対策に加え、ラベル２０４に印刷されたバーコードを読み取る必要性との両立を図ったものであり、以下のようなラベル開口部２０２ｃを有する緩衝部材２０２を提案する。
【００２１】
カートリッジ収納容器２０１にはインクジェット記録カートリッジ３００が収納され、その上に緩衝部材２０２が装着されて、蓋２０３を（例えば熱溶着にて）カートリッジ収納容器２０１に接合して開口部を塞ぎ、インクジェット記録カートリッジ３００を密閉保管する。インクジェット記録カートリッジ３００に貼られたラベル２０４には、仕分け作業をスムーズにかつ確実に行うためにバーコードが印刷されている。緩衝部材２０２にはラベル開口部２０２ｃがあり、緩衝部材２０２を装着後もラベルが隠れることはない。また、蓋２０３は透明なフィルム状のシートであるから、蓋２０３を接合した後の保管容器形態でもバーコードを読み取ることができ、仕分け作業時の作業ミスを防ぐことが可能となる。
【００２２】
また、カートリッジの突起２０５に対応する突起開口部２０２ａと突起開口部２０２ｂを設けてあり、緩衝部材２０２の装着状態を目視で確認することができる。
【００２３】
図３と図４は、本発明の緩衝部材２０２の斜視図と平面図である。緩衝部材２０２の寸法は６５．４ｍｍ×３７．８ｍｍ、高さは１０ｍｍであり、カートリッジを収納する収納容器の内側寸法に対して全周０．５ｍｍのガタをもつ。ラベル開口部２０２ｃは３５．４ｍｍ×２３．５ｍｍであり、ラベルのサイズに対して十分な余裕しろをもつ。突起開口部２０２ａと２０２ｂは、回転中心Ａで回転対称の位置に設けてあり、装着方向を不問とし、逆さに装着してもきちんと梱包できる形状となっている。このため、中途半端な装着状態で出荷されるのを防ぐ。
【００２４】
なお、図５は、インクジェット記録カートリッジの全体図を示している。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】従来のインクジェット記録カートリッジユニットの全体図。
【図２】本発明のインクジェット記録カートリッジユニットの全体図。
【図３】本発明の緩衝部材の全体図。
【図４】本発明の緩衝部材の平面図。
【図５】インクジェット記録カートリッジの全体図。
【符号の説明】
【００２６】
１００インクジェット記録カートリッジユニット
１０１カートリッジ収納容器
１０２緩衝部材
１０３蓋
２００インクジェット記録カートリッジユニット
２０１カートリッジ収納容器
２０２緩衝部材
２０２ａ突起開口部
２０２ｂ突起開口部
２０２ｃラベル開口部
２０３蓋
２０４ラベル
２０５突起
３００インクジェット記録カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項１】
インクジェット記録カートリッジを密閉保持するインクジェット記録カートリッジの保管容器において、該保管容器は、底面と対向する面に開口部を有し内部に前記インクジェット記録カートリッジを保持する保持部を備えるカートリッジ収納容器と、カートリッジ収納容器の開口部を塞ぐ蓋部材と、インクジェット記録カートリッジと蓋部材との間に装着される緩衝部材とを備え、緩衝部材はインクジェット記録カートリッジに貼られたラベルに相対する位置に開口部を有することを特徴とするインクジェット記録カートリッジの保管容器。
【請求項２】
前記緩衝部材には、前記インクジェット記録カートリッジの突起に対して行う位置決め部を有することを特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録カートリッジの保管容器。
【請求項３】
前記位置決め部が開口していることを特徴とする請求項１又は、請求項２に記載のインクジェット記録カートリッジの保管容器。
【請求項４】
前記緩衝部材は、前記インクジェット記録カートリッジに貼られたラベルを中心にして、回転対称形状であることを特徴とする請求項１又は、請求項２に記載のインクジェット記録カートリッジの保管容器。

【図１】