説明

インクジェット記録シート

【課題】広範囲な湿度条件においてカールの発生が少なく、常に平坦な状態を維持できるインクジェット記録シートを提供すること。
【解決手段】木材パルプを主成分とする支持体上に、少なくとも1層以上の無機超微粒子を主成分とするインク受理層を有し、その反対面に少なくとも1層以上のバックコート層を有するインクジェット記録シートにおいて、該バックコート層が加水ハロイサイトとアルギン酸塩を含有し、アルギン酸塩を加水ハロイサイト100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下含有することを特徴とするインクジェット記録シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものであり、特に広範囲の湿度条件下でカールを発生しにくいインクジェット記録シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであり、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要などの特徴があり、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装置として種々の用途に急速に普及している。
【0003】
このインクジェット記録方式で使用される記録シートとして、通常の印刷や筆記に使われている上質紙やコーテッド紙を使うことができるように、装置やインク組成の面から種々の努力がなされてきた。しかし、装置の高速化、高精細化あるいはフルカラー化などのインクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対しても次のような高度な特性を併せ持つことが要求されるようになった。
(1)通常記録装置で記録する際に広範囲の温湿度条件下での搬送性に優れていること。
(2)表面に記録した画像の裏抜け、コックリングが防止され、広範囲の温湿度条件下で高品位記録画像が得られること。
(3)印字画したものが、広範囲の温湿度条件下でカールを発生しにくいこと。
【0004】
従来、これらのうち特定の性能の改善に着目して、数多くの提案がなされている。例えば、インク受理層が紙基材の表裏面に分かれて形成されているインクジェット記録用紙(例えば、特許文献1参照)、基材上にインク保持層とインク輸送層とを有し、更にインク保持層と同一または類似した物性を有するカール抑制層を備えた例(例えば、特許文献2参照)、平板状の顔料と特定範囲のガラス転移点を有するバインダーを含有するバックコート層を設けることにより、印字中の記録用紙のぼこつき現象を解消し、プリンターの通紙適性を向上した例(例えば、特許文献3参照)などが開示されている。また、含水ハロサイトとシリル変性ポリビニルアルコールを含有するバックコート層を持つインクジェット記録シートが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
また、最近ではより耐候性の優れた顔料インクを用いるインクジェットプリンターが使用されるようになってきている。顔料インクは、従来から用いられている染料インクに比べ着色効率が低いため、鮮明な発色を得るには、顔料インクを用紙の極表面に定着できるインクジェット記録シートが必要である。
【0006】
そのため、顔料インクの粒子径より小さな細孔径を有する無機超微粒子を主成分とするインク受理層を持つインクジェット記録シートが提案されている。(例えば、特許文献5、6参照)この様な無機超微粒子を主成分とするインク受理層を、木材パルプを主成分とする紙支持体上に設けたインクジェット記録シートは、湿度変化に伴うインク受理層と紙支持体の寸法変化の違いが大きいため、湿度変化に伴うカールの発生が非常に大きい。高湿条件では、インク受理層に比べて支持体の伸びが大きく、印字面側に反る現象が発現しやすい。また、低湿条件では、インク受理層に比べて支持体の収縮が大きく、印字面側とは反対側に反る現象が発現しやすい。この様なカールは非常にきつく現れ、筒状にカールする場合もある。そのため、上述のような従来から提案されているバックコート層を設けたのでは、広範囲の湿度条件下でカールの発生を抑制することはできず、常に平坦な状態を維持できない問題がある。
【特許文献1】特開平2−270588号公報(第2頁)
【特許文献2】特開昭62−282967号公報(第2−7頁)
【特許文献3】特開平4−298380号公報(第2−4頁)
【特許文献4】特開平7−101141号公報(第2−4頁)
【特許文献5】特開2000−343810号公報(第3−7頁)
【特許文献6】特開2005−1373号公報(第4−10頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、広範囲な湿度条件においてカールの発生が少なく、常に平坦な状態を維持できるインクジェット記録シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、木材パルプを主成分とする支持体上に、少なくとも1層以上の無機超微粒子を主成分とするインク受理層を有し、その反対面に少なくとも1層以上のバックコート層を有するインクジェット記録シートにおいて、該バックコート層が加水ハロイサイトとアルギン酸塩を含有し、アルギン酸塩を加水ハロイサイト100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下含有することを特徴とするインクジェット記録シートにより解決した。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインクジェット記録シートは、顔料インクにより高い発色性を得ることが出来、且つ広範囲な湿度条件においてカールの発生が少なく、常に平坦な状態を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のインクジェット記録シートを詳細に説明する。
【0011】
本発明のインクジェット記録シートは、支持体として透気性紙支持体を用いる。本発明における透気性紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙であり、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設けた紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙も含まれる。この様な紙および塗工紙に、そのまま本発明における塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を使用しても良い。
【0012】
本発明のインクジェット記録シートは、支持体上に少なくとも1層以上の無機超微粒子を主成分とするインク受理層が設けられる。本発明に係わる無機超微粒子を主成分とするインク受理層は、顔料インクにより高い発色性を得る為、該インク受理層の細孔径を顔料インクの粒子径より小さくし、顔料インクを該インク受理層の表面付近に定着させる為に無機超微粒子を主成分として含有する。また、該インク受理層に亀裂があると、顔料インクが亀裂の中に落ち込み発色性が低下するので、亀裂は少ない方が好ましい。
【0013】
本発明に係わる無機超微粒子とは、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を言う、例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されている擬ベーマイトゾルなどのアルミナ水和物、特開平8−72387公報などに記載されている気相法アルミナ、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、平均二次粒径500nm未満に粉砕した湿式シリカ、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0014】
本発明に係わる無機超微粒子に用いられる気相法シリカを分散したシリカゾルとしては、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは50〜400nm、更に好ましくは100〜300nmに分散したものが使用できる。尚、ここでいう気相法シリカの平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
【0015】
気相法シリカは乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやエチルトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからレオロシールとして市販されている。
【0016】
分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカとカチオン性化合物及び分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
【0017】
本発明に係わる無機超微粒子に用いられる平均二次粒径500nm未満に粉砕した湿式シリカとは、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子を、カチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは50〜400nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を示す。ここでいう粉砕された湿式法シリカの平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
【0018】
湿式法シリカは、製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後、濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば日本シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、日本シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。
【0019】
上記の無機超微粒子の中でも特にアルミナ水和物がより好ましい。アルミナ水和物を用いると、インク受理層表面にひび割れがより起こり難くなると共に、顔料インクの色剤顔料と溶媒分の分離性能が向上することができる。
【0020】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、一般式Al23・nH2Oにより表すことができる。アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
【0021】
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
【0023】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
【0024】
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
【0025】
本発明で使用するアルミナ水和物において平均一次粒子径が3nm〜25nmのアルミナ水和物が好ましい。特に好ましい平均一次粒子径は5nm〜20nmのものである。またこれらが連結した平均二次粒子径としては、50nm〜200nmにするのが好ましい。
【0026】
本発明に係わる無機超微粒子を主成分とするインク受理層は、支持体に直接設けられても良いし、支持体に設けられた他のインク受理層の上に設けることも出来、特に限定されない。また、無機超微粒子を主成分とするインク受理層および他のインク受理層は、インク受理層の塗液を支持体上に塗工、乾燥して設ける。
【0027】
インク受理層の塗液を塗工する方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により塗工することができる。
【0028】
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができる。熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。また、冷却により高粘度化するインク受理層の塗液を用いる場合には、低温の乾燥空気を吹き付ける方法により、インク受理層のひび割れを容易に防止することが出来て好ましい。
【0029】
次に本発明に係わるバックコート層について説明する。バックコート層は加水ハロイサイトとアルギン酸塩を含有し、アルギン酸塩を加水ハロイサイト100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下含有する。
【0030】
本発明に係わるバックコート層は、アルギン酸塩水溶液を加水ハロサイトの分散液に添加してバックコート層の塗液を作製し、これを支持体のインク受理層が設けられたのとは反対の面に塗布し、引き続いて乾燥して形成される。アルギン酸塩水溶液は、アルギン酸アンモニウム、またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の一価の金属塩が好ましい。
【0031】
アルギン酸塩の加水ハロイサイト対する含有量は、加水ハロイサイト100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下である。アルギン酸塩の含有量が5質量部未満では、カール抑制効果が十分ではなく、インク受理層側にカールを生じやすい。また、20質量部を超えるとバックコート層側へのカールが大きくなりすぎ、特に、低湿条件下で大きなカールを生じる。
【0032】
本発明のバックコート層のカール防止機構は定かではないが、アルギン酸塩と加水ハロサイトを併用することにより、湿度変化に伴うバックコート層の伸びや収縮が抑えられる為と推定される。また、加水ハロサイトの代わりに他の顔料を用いたのでは、高湿時のインク受理層側へのカールが十分抑制できなかったり、低湿時にバックコート層側への大きくカールするなどの問題が生じる。また、アルギン酸塩の代わりにポリビニルアルコールやデンプンなどの他の水溶性高分子を用いると、湿度の変化によりカールの度合いが大きく変化し、湿度の変化に左右されず、常に平坦な状態に保つことは出来ない。
【0033】
また、バックコート層にアルギン酸塩以外のバインダーを含有させることも出来る。アルギン酸塩以外のバインダーは、特に限定されないが、バックコート層塗液への添加のしやすさ、および湿度変化に伴うバックコート層の伸びや収縮を抑制する目的から、非水溶性樹脂の水性エマルジョンが好ましい。これらの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン樹脂ラテックス、アルキッド樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス等のラテックス系バインダーなどが挙げられるが、これらに限定させるものではない。
【0034】
本発明に係わるバックコート層に含有させるアルギン酸塩以外のバインダーの含有量は、加水ハロイサイト100質量部に対して、50質量部以下が好ましい。50質量部を超えて含有させると、インクク受理層側へカールを十分抑制できない場合がある。
【0035】
本発明に係わるバックコート層の乾燥塗工量の範囲は、インク受理層の総乾燥塗工量のの20質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上60質量%以下である。バックコート層の乾燥塗工量をこの範囲にすることで、十分なカール抑制効果が得られると共に、バックコート層塗布によりインクジェット記録シートが剛直になるのを避けることができ、しなやかな状態を保つ事ができる。
【0036】
本発明に係わるバックコート層には、更に添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
【0037】
本発明に係わるバックコート層の塗液を塗工する方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により塗工することができる。
【0038】
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
【0039】
本発明において、バックコート層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。
【0040】
実施例
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」および「%」は特に明示しない限り質量部および質量%を示す。
【0041】
<支持体1>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調成後、長網抄紙機を用いて坪量105g/m2で抄造し支持体1を得た。
【0042】
<バックコート層塗液1>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液50部を混合し、固形分濃度30%のバックコート層塗液1を調製した。
【0043】
<バックコート層塗液2>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液100部を混合し、固形分濃度27.5%のバックコート層塗液2を調製した。
【0044】
<バックコート層塗液3>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液200部を混合し、固形分濃度24%のバックコート層塗液3を調製した。
【0045】
<バックコート層塗液4>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸アンモニウム水溶液100部を混合し、固形分濃度27.5%のバックコート層塗液4を調製した。
【0046】
<バックコート層塗液5>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水220部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液50部および固形分濃度50%スチレンブタジエン系ラテックス(LX407F、日本ゼオン(株)製)30部を混合し、固形分濃度30%のバックコート層塗液5を調製した。
【0047】
<バックコート層塗液6>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液100部および固形分濃度50%スチレンブタジエン系ラテックス(LX407F、日本ゼオン(株)製)20部を混合し、固形分濃度28.6%のバックコート層塗液6を調製した。
【0048】
<バックコート層塗液7>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸アンモニウム水溶液100部および固形分濃度50%スチレンブタジエン系ラテックス(LX407F、日本ゼオン(株)製)20部を混合し、固形分濃度28.6%のバックコート層塗液7を調製した。
【0049】
<バックコート層塗液8>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液50部および固形分濃度10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA117、クラレ(株)製)150部を混合し、固形分濃度24%のバックコート層塗液8を調製した。
【0050】
<バックコート層塗液9>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液100部および固形分濃度10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA117、クラレ(株)製)100部を混合し、固形分濃度24%のバックコート層塗液9を調製した。
【0051】
<バックコート層塗液10>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸アンモニウム水溶液100部および固形分濃度10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA117、クラレ(株)製)100部を混合し、固形分濃度24%のバックコート層塗液10を調製した。
【0052】
<バックコート層塗液11>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度50%スチレンブタジエン系ラテックス(LX407F、日本ゼオン(株)製)10部を混合し、固形分濃度33.9%のバックコート層塗液11を調製した。
【0053】
<バックコート層塗液12>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度50%スチレンブタジエン系ラテックス(LX407F、日本ゼオン(株)製)40部を混合し、固形分濃度35.3%のバックコート層塗液12を調製した。
【0054】
<バックコート層塗液13>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA117、クラレ(株)製)50部を混合し、固形分濃度30%のバックコート層塗液13を調製した。
【0055】
<バックコート層塗液14>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%ポリビニルアルコール水溶液(PVA117、クラレ(株)製)200部を混合し、固形分濃度24%のバックコート層塗液14を調製した。
【0056】
<バックコート層塗液15>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%シリル基変性ポリビニルアルコール水溶液(R−1130、クラレ(株)製)50部を混合し、固形分濃度30%のバックコート層塗液15を調製した。
【0057】
<バックコート層塗液16>
加水ハロイサイト(カオリンKA、大春化学工業所(株)製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%シリル基変性ポリビニルアルコール水溶液(R−1130、クラレ(株)製)200部を混合し、固形分濃度24%のバックコート層塗液16を調製した。
【0058】
<バックコート層塗液17>
カオリナイト(NUCLAY、米国ENGELHARD社製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液100部を混合し、固形分濃度27.5%のバックコート層塗液17を調製した。
【0059】
<バックコート層塗液18>
カオリナイト(KAOGLOSS90、米国Thiele Kaolin社製)100部をホモジナイザーを用いて水200部に分散し、これに固形分濃度10%アルギン酸ナトリウム水溶液100部を混合し、固形分濃度27.5%のバックコート層塗液18を調製した。
【0060】
<インク受理層塗液1>
水472部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部、気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、BET法による比表面積200m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理した後、水を加えて濃度調整し、シリカ濃度17.2%の気相法シリカ分散液を得た。この分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた気相法シリカ微粒子の平均二次粒子径は200nmであった。こうして得た分散液500部に固形分濃度10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液210部、固形分濃度4%ホウ酸水溶液100部、および水190部を混合し、固形分濃度11.1%の無機超微粒子を主成分とするインク受理層塗液1を調整した。
【0061】
<インク受理層塗液2>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、95℃で4時間加水分解を行った。その後、酢酸24gを加え、95℃にて40時間撹拌した後、固形分濃度が16%になるように濃縮し、白色のアルミナ水和物の分散液を得た。この分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られたアルミナ水和物の平均二次粒子径は180nmであった。
【0062】
このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、約20nmであり、アスペクト比6の平板状擬ベーマイト構造のアルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によってBET比表面積、平均細孔半径、細孔半径1nm〜30nmの細孔容積、細孔半径2nm〜10nmの細孔容積を測定したところ、それぞれ136m2/g、5.8nm、0.54ml/g、0.50ml/gであった。
【0063】
上記の固形分濃度16%の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を用いて、アルミナ水和物分散液625部、これに固形分濃度10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液60部、固形分濃度4%ホウ酸水溶液5部を混合し、固形分濃度15.4%の無機超微粒子を主成分とするインク受理層塗液2を調整した。
【0064】
<インク受理層塗液3>
水472部に、固形分濃度50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部、沈降法シリカ(BET法による比表面積130m2/g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径6μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液をビーズミルで処理した後、水を加えて濃度調整し、シリカ濃度17.2%の湿式シリカ分散液を得た。この分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた湿式シリカ微粒子の平均二次粒子径は250nmであった。こうして得たシリカ分散液580部に固形分濃度10%ポリビニルアルコール(鹸化度88%、重合度2400)水溶液200部、固形分濃度4%ホウ酸水溶液20部を混合し、固形分濃度15.1%の無機超微粒子を主成分とするインク受理層塗液3を調整した。
【0065】
<インク受理層塗液4>
合成非晶質シリカ(平均粒子径2.5μm、吸油量280ml/100g)100部をホモジナイザーを用いて水400部に分散し、これに固形分濃度10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液250部を混合し、固形分濃度16.7%のインク受理層塗液4を調製した。
【実施例1】
【0066】
上記で作製した温度20℃の支持体1の上に40℃に加温したインク受理層塗液1を乾燥固形分25g/m2になるようにスライドビードコーターを用いて塗布し、15℃、露点−5℃の乾燥風により乾燥し、無機超微粒子を主成分とする亀裂のないインク受理層を形成した。次に、支持体のインク受理層を設けたのとは反対の面に、バックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるようにエアーナイフコーターを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥してバックコート層を形成し、実施例1のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例2】
【0067】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液2を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例2のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例3】
【0068】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液3を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例3のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例4】
【0069】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液4を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例4のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例5】
【0070】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液5を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例5のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例6】
【0071】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液6を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例6のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例7】
【0072】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液7を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例7のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例8】
【0073】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液8を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例8のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例9】
【0074】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液9を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例9のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例10】
【0075】
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液10を用いた以外は実施例1と同一条件で実施例10のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例11】
【0076】
上記で作製した温度20℃の支持体1の上に20℃のインク受理層塗液4を乾燥固形分13g/m2になるようにエアーナイフコーターを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥し、1層目のインク受理層を形成した。更に、20℃に調温した1層目のインク受理層上に、20℃のインク受理層塗液2を乾燥固形分12g/m2になるようにエアーナイフコーターを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥し、無機超微粒子を主成分とする亀裂のない2層目のインク受理層を形成した。次に、支持体のインク受理層を設けたのとは反対の面に、バックコート層塗液2を乾燥固形分11g/m2になるようにエアーナイフコーターを用いて塗布し、150℃の熱風により乾燥してバックコート層を形成し、実施例11のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例12】
【0077】
実施例11でインク受理層塗液2を用いる代わりにインク受理層塗液3を用いた以外は実施例11と同一条件で実施例12のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例13】
【0078】
実施例11でバックコート層塗液2を用いる代わりにバックコート層塗液6を用いた以外は実施例11と同一条件で実施例13のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例14】
【0079】
実施例11でインク受理層塗液2を用いる代わりにインク受理層塗液3を用い、バックコート層塗液2を用いる代わりにバックコート層塗液6を用いた以外は実施例11と同一条件で実施例14のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例15】
【0080】
実施例11でバックコート層塗液2を用いる代わりにバックコート層塗液9を用いた以外は実施例11と同一条件で実施例15のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例16】
【0081】
実施例11でインク受理層塗液2を用いる代わりにインク受理層塗液3を用い、バックコート層塗液2を用いる代わりにバックコート層塗液9を用いた以外は実施例11と同一条件で実施例16のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例17】
【0082】
実施例1でバックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるように塗布する代わりに、乾燥固形分5g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同一条件で実施例17のインクジェット記録シートを作製した。
【実施例18】
【0083】
実施例1でバックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるように塗布する代わりに、乾燥固形分17.5g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同一条件で実施例18のインクジェット記録シートを作製した。
【0084】
(比較例1)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液11を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例1のインクジェット記録シートを作製した。
【0085】
(比較例2)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液12を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例2のインクジェット記録シートを作製した。
【0086】
(比較例3)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液13を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例3のインクジェット記録シートを作製した。
【0087】
(比較例4)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液14を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例4のインクジェット記録シートを作製した。
【0088】
(比較例5)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液15を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例5のインクジェット記録シートを作製した。
【0089】
(比較例6)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液16を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例6のインクジェット記録シートを作製した。
【0090】
(比較例7)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液17を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例7のインクジェット記録シートを作製した。
【0091】
(比較例8)
実施例1でバックコート層塗液1を用いる代わりにバックコート層塗液18を用いた以外は実施例1と同一条件で比較例8のインクジェット記録シートを作製した。
【0092】
(比較例9)
実施例1でバックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるように塗布する代わりに、バックコート層塗液12を乾燥固形分5g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同一条件で比較例9のインクジェット記録シートを作製した。
【0093】
(比較例10)
実施例1でバックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるように塗布する代わりに、バックコート層塗液12を乾燥固形分17.5g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同一条件で比較例10のインクジェット記録シートを作製した。
【0094】
(比較例11)
実施例1でバックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるように塗布する代わりに、バックコート層塗液16を乾燥固形分5g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同一条件で比較例11のインクジェット記録シートを作製した。
【0095】
(比較例12)
実施例1でバックコート層塗液1を乾燥固形分11g/m2になるように塗布する代わりに、バックコート層塗液16を乾燥固形分17.5g/m2になるように塗布した以外は実施例1と同一条件で比較例12のインクジェット記録シートを作製した。
【0096】
評価
実施例1〜18、比較例1〜12で作製したインクジェット記録シートを、長辺が支持体抄造時の流れ方向と平行になるように切断してA4サイズのシートを得た。このシートを30℃、相対湿度80%、30℃、相対湿度15%、20℃、相対湿度50%、10℃、相対湿度80%および10℃、相対湿度15%の各環境下に、シートの短片の中央をクリップで挟んで吊り下げ、24時間放置した。24時間後、シートの頂点が台から浮き上がる方向で、水平かつ平らな台の上に置き、各頂点と台平面との距離を測定し、4頂点と台との平均距離を求めカール値とした。また、カール方向は、シートの頂点が台から浮き上がる方向に置いたときに、インク受理層面が上側であれば+、バックコート層面が上側であれば−と定義し、結果を表1に示した。表1中、数値の単位は全てミリメートルである。
【0097】
【表1】

【0098】
表1中、実施例1〜18に示す様に、加水ハロイサイトとアルギン酸塩を含有し、アルギン酸塩を加水ハロイサイト100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下含有するバックコート層を設けたインクジェット記録シートは、温度および湿度の変化に伴う、カールの発生が少なく、平坦性が良好であった。
【0099】
一方、バックコート層中に加水ハロイサイトを含有するが、アルギン酸塩を含有しない比較例1〜6および9〜12、加水ハロイサイトの代わりにカオリナイトを含有する比較例7および8は、高湿時と低湿時のカール値の差が大きく、平坦性が悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材パルプを主成分とする支持体上に、少なくとも1層以上の無機超微粒子を主成分とするインク受理層を有し、その反対面に少なくとも1層以上のバックコート層を有するインクジェット記録シートにおいて、該バックコート層が加水ハロイサイトとアルギン酸塩を含有し、アルギン酸塩を加水ハロイサイト100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下含有することを特徴とするインクジェット記録シート。

【公開番号】特開2007−118470(P2007−118470A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315740(P2005−315740)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】