インクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッド
【課題】基材に反りがある場合であっても、インク供給口部に対する接着剤塗布位置のずれを最小限にし、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減する。
【解決手段】インク供給口列が形成された基材1と、接着剤30によって基材1に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、基材1の長手方向に沿って第1の仮想基準線を規定し、第1の仮想基準線と、インク供給口列の少なくとも2つのインク供給口部との間の距離を測定する工程と、少なくとも2つのインク供給口部のうち、距離が最も短いインク供給口部と、距離が最も遠いインク供給口部とをそれぞれ通り、第1の仮想基準線に平行な2つの仮想直線の間に、第2の仮想基準線23を規定する工程と、第2の仮想基準線23に基づいて、接着剤30を基材1に塗布する工程と、インク吐出デバイスを基材1に接合する工程と、を含んでいる。
【解決手段】インク供給口列が形成された基材1と、接着剤30によって基材1に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、基材1の長手方向に沿って第1の仮想基準線を規定し、第1の仮想基準線と、インク供給口列の少なくとも2つのインク供給口部との間の距離を測定する工程と、少なくとも2つのインク供給口部のうち、距離が最も短いインク供給口部と、距離が最も遠いインク供給口部とをそれぞれ通り、第1の仮想基準線に平行な2つの仮想直線の間に、第2の仮想基準線23を規定する工程と、第2の仮想基準線23に基づいて、接着剤30を基材1に塗布する工程と、インク吐出デバイスを基材1に接合する工程と、を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置(以下、単に記録装置とも称する)は、コンピュータ関係の出力機器等に幅広く利用され、商品化されている。近年では、より高速に高画質な画像を出力するため、より印字幅の長いインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドまたはヘッドとも称する)が望まれている。
【0003】
一般的な記録装置としては、記録ヘッドを、インクの吐出を行いながら、紙などの被記録媒体に対して走査して、印字を行う方式が広く知られている。また、上記のような印字幅の長いヘッドを、被記録媒体を搬送する搬送ベルトの上方に固定し、被記録媒体を走査することで、印字を高速に行うことができる記録装置も知られている。
【0004】
このように長い印字幅をもった記録ヘッドを1つのインク吐出デバイスで構成する場合、インク吐出デバイスも長くする必要がある。しかしながら、その場合、インク吐出デバイス自体の歩留まりが低下してしまう等の問題が発生してしまう。そのため、例えば特許文献1では、適度な長さの(適度なノズル数を有する)インク吐出デバイスを印字幅と同等以上の長さの基材に複数個配列して、全体として長い印字幅の記録ヘッドを実現する構成が提案されている。
【0005】
このような構成の記録ヘッドでは、インク吐出デバイスを基材内の所定の位置に接合するために、基材に基準点を形成し、その基準点に対して接着剤の塗布やインク吐出デバイスの接合を行う方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-55071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、より長い印字幅を得るために基材を長くすると、基材が短手方向に反ってしまう場合がある。すなわち、基材に形成された基準点も短手方向にずれてしまい、このようなずれた基準点に基づいて接着剤を塗布すると、インク吐出デバイスにインクを供給するためのインク供給口部に接着剤が入り込んでしまうという問題が生じる。この対策として、基材の反り量を検出し、その反り量に応じて、接着剤の塗布位置をインク供給口部毎に個別に変更する方法が考えられるが、この方法ではヘッドの生産性を低下させてしまう。
【0008】
本発明の目的は、基材に反りがある場合であっても、インク供給口部に対する接着剤塗布位置のずれを最小限にし、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減できるインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に形成された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置され、接着剤によって基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、基材の長手方向に沿って第1の仮想基準線を規定し、その第1の仮想基準線と、インク供給口列の少なくとも2つのインク供給口部との間の距離を測定する工程と、少なくとも2つのインク供給口部のうち、距離が最も短いインク供給口部と、距離が最も遠いインク供給口部とをそれぞれ通り、第1の仮想基準線に平行な2つの仮想直線の間に、第2の仮想基準線を規定する工程と、第2の仮想基準線に基づいて、接着剤を基材に塗布する工程と、基材に塗布された接着剤によって、インク吐出デバイスを基材に接合する工程と、を含んでいる。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に配列された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置され、インク供給口部の周囲に形成された接着剤によって基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドであって、複数のインク供給口部のうち、配列方向の一端部側に形成された第1のインク供給口部の、長手方向と直交する第1の短手方向における第1の開口端と第1の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、第1の短手方向とは反対の第2の短手方向における第2の開口端と第2の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より大きく、複数のインク供給口部のうち、配列方向の中央部に形成された第2のインク供給口部の、第1の短手方向における第3の開口端と第3の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、第2の短手方向における第4の開口端と第4の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より小さい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基材に反りがある場合であっても、インク供給口部に対する接着剤塗布位置のずれを最小限にし、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減できるインクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。
【図2】図1に示す基材の分解斜視図である。
【図3】基材上の基準点の位置を測定する測定装置を示す概略斜視図である。
【図4】図1の基材に形成された基準点の位置関係を示すプロットである。
【図5】第1の実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程を説明する図である。
【図6】図1の基材に接着剤が塗布された様子を示す斜視図および平面図である。
【図7】第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略平面図である。
【図9】第4の実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。
【図10】図9の基材に形成された基準点の位置関係を示すプロットである。
【図11】第4の実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程を説明する図である。
【図12】図9の基材に接着剤が塗布された様子を示す平面図である。
【図13】第4の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略図である。
【図14】第5の実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程を説明する図である。
【図15】第5の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態の製造方法によって製造されるインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に1列形成された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置されたインク吐出デバイスとを有している。
【0015】
図1は、本実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。基材1の材料としては、絶縁性、熱伝導性、機械的強度を有するアルミナ材料が使用されている。基材1には、長手方向に一直線状に形成され、インク吐出デバイス(図1には図示せず)にインクを供給するためのインク供給口部2が設けられている。本実施形態では、インク供給口部2は、2つの開口から構成されているが、これに限定されるものではなく、任意の数の開口から構成されていてよい。さらに、基材1には、後述するように、インク供給口部2の位置を測定するための基準点3a〜3eが形成されている。
【0016】
ここで、図2を参照して、基材1の製造方法について説明する。本実施形態では、基材1は、図2に示すように、複数の層1a〜1eが積層されて一体化されたものである。第1の層1aには、インク供給口部2の開口と共に基準点3をレーザ加工で形成する。この際、レーザ加工装置(図示せず)は、レーザ加工前の第1の層1aを位置決め固定した後、インク供給口部2の開口および基準点3を一連の処理にて加工するように制御される。そのため、インク供給口部2の開口と基準点3との相対位置は極めて高い精度であり、また、基準点3a〜3eは一直線状に形成される。第2の層1bにはインク供給口部2の開口のみを形成し、第3の層1cにはインク供給口部2にインクを供給するための流路(図示せず)を形成する。その後、全層1a〜1eを積層して約1200℃で焼成すると、各層1a〜1eが焼結されて一体物の基材1が形成される。なお、各層1a〜1eへのインク供給口部2の開口や基準点3などの形成は、型による打ち抜きで行うこともできる。
【0017】
このように焼結されて一体物となった基材1には、焼結時に若干の収縮が生じるが、このとき同時に反りも生じてしまう。基材1の厚さ方向(主に長手方向)の反りは、後に研磨することによって低減させることができるが、面内方向(主に短手方向)の反りは低減させる手段がなく、焼結時の反りが残ったままとなる。
【0018】
次に、本実施形態の製造方法の工程フローについて説明する。
【0019】
まず、図3に示す測定装置を用い、基準点3の位置を測定する工程を行う。この工程では、基材1は、インク供給口部2(図3には図示せず)が開口する面を上向きにしてプレート10上に配置される。プレート10は、基材1を長手方向に駆動するステージ11と、短手方向に駆動するステージ12の上に配置されている。基材1の上方には、基準点3を撮影するためのカメラ13が設置され、さらに、カメラ13とステージ11,12とは制御装置14に接続されている。基準点3の位置は、ステージ11,12の位置とカメラ13で撮影された撮影画像とから制御装置14により測定される。図4は、こうして測定した基準点の位置関係を示しており、各基準点3a〜3eにそれぞれ対応するプロット20a〜20eが示されている。プロット20a〜20eは、上述したように、基材1の製造時に発生した反りを反映して、曲線状に配置されている。
【0020】
次に、測定した基準点の位置に基づいて接着剤塗布基準線を規定する工程を行う。図5は、この工程を説明するための図であり、図4に対応する図である。
【0021】
図5(a)に示すように、両端のプロット20a,20eを結んだ仮想直線を傾き基準線(第1の仮想基準線)21として、傾き基準線21から各プロット20a〜20eまでの距離a〜e(本実施形態ではa=c=0)を算出する。本実施形態では、プロット20cが傾き基準線21から最も離れており、その距離はcである。そして、図5(b)に示すように、傾き基準線21に平行な仮想直線であり、かつ傾き基準線21からのずらし量をAとした場合に0<A<cの範囲となる仮想直線が、接着剤塗布基準線(第2の仮想基準線)23として規定される。接着剤塗布基準線23は、傾き基準線21からのずらし量Aが、最も離れたプロット20cとの距離cの半分(A=c/2)となるように規定されることが最も好ましい。これにより、接着剤塗布基準線と各プロットとの距離のうち、最大距離を最小にすることができる。
【0022】
次に、接着剤30を塗布する工程を行う。この工程では、接着剤30が、図6(a)に示すように、塗布ニードル31を用い、図6(b)に示すように、接着剤塗布基準線23に合わせて、インク供給口部2の周囲を囲むように基材1に塗布される。これにより、接着剤塗布基準線23、すなわち接着剤塗布位置に対する各インク供給口部の位置ずれ量のうち、最大となるものを最小にすることができる。本実施形態では、接着剤30の塗布方法として、塗布ニードル31を用いる方法が示されているが、転写方式などその他の方法も可能である。
【0023】
次に、上記のように接着剤が塗布された基材1にインク吐出デバイス4を接合する工程を行う。この工程では、図7に示すように、インク吐出デバイス4が、接着剤の位置、すなわち接着剤塗布基準線23に合わせて基材1に接合される。
【0024】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口部への接着材の入り込みに対して最も効果的な位置に接着剤を塗布できることに加えて、接着材とインク吐出デバイスとの接合面積を多く得ることができる。そのため、インク吐出デバイスの高い接着強度を得ることができる。なお、この場合、インクジェット記録ヘッド毎にインク吐出デバイスの位置が異なるため、ヘッドの本体搭載時にインクの吐出タイミングを個別に制御する必要があることに留意されたい。
【0025】
上記の製造方法によって得られるインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部のうち、最も外側(配列方向の一端部側)の第1のインク供給口部において、開口端と接着剤との関係が、次のような関係を満たす形態である。つまり、基材の長手方向と直交する方向で決まる、第1の開口端と、第1の開口端の外側に塗布された接着剤の外周側の端部との間隔が、第1の開口端と反対側の第2の開口端と、第2の開口端の外側に塗布された接着剤の外周側の端部との間隔と異なっている。かつ、それらの間隔の大小関係が、基材の中央部付近の第2のインク供給口部の場合と異なっており、それらの間隔の絶対値の差が、第2のインク供給口部と等しくなっている。
【0026】
本実施形態では、インク供給口列の各インク供給口部2の位置を測定する代わりに、専用の基準点3を測定しているが、直接インク供給口部2の位置を測定することもできる。ただし、基材1が積層体で構成され、インク供給口部も複数の層にわたって形成されている場合には、インク供給口部を画像処理した際に層間ずれの影響によって、インク供給口部の位置を誤検出してしまうおそれがある。そのため、本実施形態のように、専用の基準点3を測定することが好ましい。その場合、層間ずれによる基準点位置の誤検出が起こらないようにするために、基準点は、基材の第1の層にのみ形成されていることが好ましい。なお、本実施形態では、基準点は、5つ設けられているが、少なくとも、基材の長手方向の両端と中央部付近の3つ設けられていればよい。基材両端の基準点は、複数のインク供給口部のうち最も外側に位置するインク供給口部の外側に設けられていることが好ましい。また、基準点の形状も、正確に位置を測定できるという観点で任意に形状を選定することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態において接着剤塗布基準線に合わせて基材に接合されていたインク吐出デバイスを、基材の基準点に対して接合している点で、第1の実施形態と異なっている。これに伴い、接着剤塗布基準線の最も好ましい位置も変更されている。これ以外については、第1の実施形態と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる工程についてのみ説明し、その他の工程の説明は省略する。
【0028】
図6を参照して、本実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程について説明する。インク供給口部への接着剤の入り込みを防止する観点では、接着剤塗布基準線23は、傾き基準線21に平行な仮想直線であり、かつ傾き基準線21からのずらし量をAとした場合に0<A<cの範囲ととなる仮想直線として規定される。これは、第1の実施形態と同様である。しかしながら、ずらし量Aが大きくなると、基材の両端の基準点を結ぶ仮想直線、つまり傾き基準線21上に接合されるインク吐出デバイスと、接着剤塗布基準線23に合わせて塗布される接着剤との位置のずれ量が大きくなる。インク吐出デバイスと接着剤とがずれると、インク吐出デバイスの裏面に付着する接着剤に偏りが生じ、接着剤の硬化収縮などでインク吐出デバイスの位置が変わってしまう。インク供給口部への接着剤の入り込み対策としては、接着剤塗布基準線23のずらし量Aが0<A<c/2の場合とc/2<A<cの場合とで同じ効果が得られる。そのため、ずらし量Aを小さくする観点から、接着剤塗布基準線23は、ずらし量が0<A<c/2の範囲ととなる仮想直線として規定されるのが好ましい。
【0029】
その後、本実施形態のインク吐出デバイスを基材に接合する工程では、インク吐出デバイス4が、図8に示すように、基材1の両端の基準点を結んだ傾き基準線21上に接合され、したがって接着剤塗布基準線23からはずれて接合される。
【0030】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減できることに加えて、インク吐出デバイスの位置を、全ての基材に対して、基材1の両端の基準点を結んだ仮想直線からの位置で規定することができる。これにより、本実施形態の製造方法によれば、その他のヘッド構成部品の実装やヘッドの本体搭載時の吐出制御が容易になる。
【0031】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態のインク吐出デバイスの接合方法を特定の方法で行う形態である。つまり、本実施形態では、1つ目のインク吐出デバイスを接着剤塗布位置に合わせて接合した後、そのインク吐出デバイスを用いて、2つ目のインク吐出デバイスを位置決めする。このように、1つ前に接合したインク吐出デバイスを、その後に接合されるインク吐出デバイスの位置決めに用い、順次インク吐出デバイスを接合する。本実施形態では、最初のインク吐出デバイスを、接着剤塗布位置に合わせて接合しているが、第2の実施形態のように、基材の基準点に合わせて接合することもできる。
【0032】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減することができる。これに加えて、隣接するインク吐出デバイスを高精度に位置決めできるため、インク吐出デバイス間の繋ぎ部での印刷画像の劣化に対して有効である。
【0033】
(第4の実施形態)
本実施形態の製造方法によって製造されるインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が短手方向に複数配列された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置されたインク吐出デバイスとを有している。
【0034】
図9は本実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。基材1には、千鳥状に形成され、長手方向に延びる2列のインク吐出口列を構成するインク供給口部2が設けられている。さらに、基材1には、基準点3a〜3jが形成されている。本実施形態では、基準点は、各インク供給口列に対して、インク供給口列の両端に位置するインク供給口部の外側と各インク供給口部の中間点との5つ設けられているが、これに限定されるものではない。基準点は、各インク供給口列に対して、少なくとも、インク供給口列の両端と中央部付近の3つ設けられていればよい。
【0035】
次に、本実施形態の製造方法の工程フローについて説明する。
【0036】
まず、第1の実施形態と同様に、図3に示す測定装置を用い、基準点の位置を測定する工程を行う。図10は、測定した基準点の位置関係を示しており、各基準点3a〜3jにそれぞれ対応するプロット20a〜20jを示している。
【0037】
次に、測定した基準点の位置に基づいて接着剤塗布基準線を規定する工程を行う。図11は、この工程を説明するための図であり、図10に対応する図である。
【0038】
図11(a)に示すように、下段のインク供給口列の両端のプロット20a,20eを結んだ直線を下段傾き基準線50とし、上段のインク供給口列の両端のプロット20f,20jを結んだ直線を上段傾き基準線51とする。その後、各傾き基準線50,51から各プロットまでの距離a〜j(本実施形態ではa=e=f=j=0)を算出する。下段のインク供給口列では、プロット20cが下段傾き基準線50から最も離れており、その距離はcであり、上段のインク供給口列では、プロット20hが上段傾き基準線51から最も離れており、その距離はhである。なお、本実施形態では、h>cであり、すなわち、上下のインク供給口列で反り状態が異なっている。そして、下段の接着剤塗布基準線60が、下段傾き基準線50に平行な仮想直線であり、かつ下段傾き基準線50からのずらし量をBとした場合に0<B<cの範囲ととなる仮想直線として規定される。下段の接着剤塗布基準線60は、下段傾き基準線50からのずらし量Bが、最も離れたプロット20cとの距離cの半分(B=c/2)となるように規定されることが最も好ましい。これにより、下段のインク供給口列内において、接着剤塗布基準線60と全プロット20a〜20eの距離のうち最大のものを、最小にすることができる。したがって、接着剤塗布基準線60、すなわち接着剤塗布位置とインク供給口列との位置ずれ量の最大を、最小にすることができる。そのため、本実施形態は、インク供給口部2への接着剤の入り込みを低減することに関して最も有利な形態である。上段に関しても同様に、接着剤塗布基準線61は、上段傾き基準線51からのずらし量Cが0<C<hの範囲となるように規定され、ずらし量Cが距離hの半分(C=h/2)の場合に、インク供給口部2への接着剤の入り込みに対して最も効果的となる。
【0039】
次に、接着剤30を塗布する工程を行う。この工程では、接着剤30は、図12に示すように、上下の接着剤塗布基準線60,61に合わせて、インク供給口部2の周囲を囲むように基材1に塗布される。
【0040】
次に、上記のように接着剤が塗布された基材1にインク吐出デバイス4を接合する工程を行う。この工程では、図13(a)および図13(b)に示すように、インク吐出デバイス4が、上下の接着剤塗布基準線60,61に合わせて塗布された接着剤に合わせて接合される。
【0041】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、全てのインク供給口列において、最も効果的な位置に接着剤が塗布されているため、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減することができる。さらに、接着材とインク吐出デバイスとの接合面積を多く得ることができ、それにより、インク吐出デバイスの高い接着強度を得ることができる。なお、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ヘッド毎にインク吐出デバイス位置が異なるため、ヘッドの本体搭載時にインクの吐出タイミングを個別に制御して対応する必要がある。
【0042】
(第5の実施形態)
本実施形態は、第4の実施形態に対して、接着剤塗布基準線の位置が変更された変形例である。具体的には、1つのインク供給口列に対して、第4の実施形態と同様に、接着剤塗布基準線を規定し、その規定した接着剤塗布基準線に基づいて、他のインク供給口列の接着剤塗布基準線の位置を決定する。これ以外については、第4の実施形態と同様である。以下では、第4の実施形態と異なる工程についてのみ説明し、その他の工程の説明は省略する。
【0043】
まず、図14を参照して、本実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程について説明する。図14は、この工程を説明するための図であり、基材上の各基準点に対応するプロット20a〜20jが示されている。なお、図14には、説明の都合上、上下両方のインク供給口列に対してプロットが示されている(基準点の位置が測定されている)が、基準点の位置は、複数のインク供給口列のうち、接着剤塗布基準線が規定されるインク供給口列に対して測定されていればよい。
【0044】
本実施形態では、下段のインク供給口列のプロット20a〜20eに対して、第3の実施形態に示した方法で、接着剤塗布基準線60を規定する。なお、下段の接着剤塗布基準線60の、下段傾き基準線50からのずらし量Bは、最も離れたプロット20cとの距離cの半分である。そして、この下段の接着剤塗布基準線60をインク供給口列のピッチ分だけ平行移動させた仮想直線を、上段の接着材塗布基準線62とする。
【0045】
接着剤塗布基準線を規定した後、第4の実施形態と同様に、接着剤を塗布する工程および、インク吐出デバイスを接合する工程を行い、図15に示すインクジェット記録ヘッドを完成させる。
【0046】
このようなインクジェット記録ヘッドでは、下段のインク供給口列については、インク供給口部への接着剤の入り込みの低減に最も効果的な位置に接着剤を塗布することが可能となる。また、上段のインク供給口列については、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減することができる。また、インク吐出デバイスの列間のピッチを揃えることができるため、ヘッドの本体搭載時の吐出制御が容易になる。
【0047】
(第6の実施形態)
本実施形態では、第5の実施形態に示す方法でそれぞれの接着剤塗布基準線の位置を決定した後で、第2の実施形態と同様に、インク吐出デバイスを傾き基準線に合わせて接合する。
【0048】
本実施形態で得られるインクジェット記録ヘッドは、第2の実施形態と同様に、接着剤の位置とインク吐出デバイスの位置とにずれが生じる。そのため、本実施形態において好ましい形態は、以下の通りである。すなわち、複数のインク供給口列のうち、インク供給口列の両端の基準点を結んだ仮想直線(傾き基準線)に対する各基準点の位置のずれが最も小さいインク供給口列を用いて、接着剤塗布基準線を規定する。そして、その他のインク供給口列については、上述のように規定した接着剤塗布基準線をインク供給口列のピッチ分だけ平行移動させたものを、その他のインク供給口列の接着剤塗布基準線とする。
【0049】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、全てのインク供給口列において、各インク供給口列の両端の基準点を結んだ仮想直線と接着剤との距離を、仮想直線から最も離れた基準点までの距離の半分以下にすることができる。これにより、全てのインク供給口列において、インク供給口列へのインクの入り込みを低減すると共に、接着剤とインク吐出デバイスとの位置ずれによる、インク吐出デバイスの移動への影響を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 基材
2 インク供給口部
3 基準点
4 インク吐出デバイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置(以下、単に記録装置とも称する)は、コンピュータ関係の出力機器等に幅広く利用され、商品化されている。近年では、より高速に高画質な画像を出力するため、より印字幅の長いインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドまたはヘッドとも称する)が望まれている。
【0003】
一般的な記録装置としては、記録ヘッドを、インクの吐出を行いながら、紙などの被記録媒体に対して走査して、印字を行う方式が広く知られている。また、上記のような印字幅の長いヘッドを、被記録媒体を搬送する搬送ベルトの上方に固定し、被記録媒体を走査することで、印字を高速に行うことができる記録装置も知られている。
【0004】
このように長い印字幅をもった記録ヘッドを1つのインク吐出デバイスで構成する場合、インク吐出デバイスも長くする必要がある。しかしながら、その場合、インク吐出デバイス自体の歩留まりが低下してしまう等の問題が発生してしまう。そのため、例えば特許文献1では、適度な長さの(適度なノズル数を有する)インク吐出デバイスを印字幅と同等以上の長さの基材に複数個配列して、全体として長い印字幅の記録ヘッドを実現する構成が提案されている。
【0005】
このような構成の記録ヘッドでは、インク吐出デバイスを基材内の所定の位置に接合するために、基材に基準点を形成し、その基準点に対して接着剤の塗布やインク吐出デバイスの接合を行う方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-55071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、より長い印字幅を得るために基材を長くすると、基材が短手方向に反ってしまう場合がある。すなわち、基材に形成された基準点も短手方向にずれてしまい、このようなずれた基準点に基づいて接着剤を塗布すると、インク吐出デバイスにインクを供給するためのインク供給口部に接着剤が入り込んでしまうという問題が生じる。この対策として、基材の反り量を検出し、その反り量に応じて、接着剤の塗布位置をインク供給口部毎に個別に変更する方法が考えられるが、この方法ではヘッドの生産性を低下させてしまう。
【0008】
本発明の目的は、基材に反りがある場合であっても、インク供給口部に対する接着剤塗布位置のずれを最小限にし、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減できるインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に形成された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置され、接着剤によって基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、基材の長手方向に沿って第1の仮想基準線を規定し、その第1の仮想基準線と、インク供給口列の少なくとも2つのインク供給口部との間の距離を測定する工程と、少なくとも2つのインク供給口部のうち、距離が最も短いインク供給口部と、距離が最も遠いインク供給口部とをそれぞれ通り、第1の仮想基準線に平行な2つの仮想直線の間に、第2の仮想基準線を規定する工程と、第2の仮想基準線に基づいて、接着剤を基材に塗布する工程と、基材に塗布された接着剤によって、インク吐出デバイスを基材に接合する工程と、を含んでいる。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に配列された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置され、インク供給口部の周囲に形成された接着剤によって基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドであって、複数のインク供給口部のうち、配列方向の一端部側に形成された第1のインク供給口部の、長手方向と直交する第1の短手方向における第1の開口端と第1の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、第1の短手方向とは反対の第2の短手方向における第2の開口端と第2の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より大きく、複数のインク供給口部のうち、配列方向の中央部に形成された第2のインク供給口部の、第1の短手方向における第3の開口端と第3の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、第2の短手方向における第4の開口端と第4の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より小さい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基材に反りがある場合であっても、インク供給口部に対する接着剤塗布位置のずれを最小限にし、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減できるインクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。
【図2】図1に示す基材の分解斜視図である。
【図3】基材上の基準点の位置を測定する測定装置を示す概略斜視図である。
【図4】図1の基材に形成された基準点の位置関係を示すプロットである。
【図5】第1の実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程を説明する図である。
【図6】図1の基材に接着剤が塗布された様子を示す斜視図および平面図である。
【図7】第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略平面図である。
【図9】第4の実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。
【図10】図9の基材に形成された基準点の位置関係を示すプロットである。
【図11】第4の実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程を説明する図である。
【図12】図9の基材に接着剤が塗布された様子を示す平面図である。
【図13】第4の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略図である。
【図14】第5の実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程を説明する図である。
【図15】第5の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態の製造方法によって製造されるインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に1列形成された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置されたインク吐出デバイスとを有している。
【0015】
図1は、本実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。基材1の材料としては、絶縁性、熱伝導性、機械的強度を有するアルミナ材料が使用されている。基材1には、長手方向に一直線状に形成され、インク吐出デバイス(図1には図示せず)にインクを供給するためのインク供給口部2が設けられている。本実施形態では、インク供給口部2は、2つの開口から構成されているが、これに限定されるものではなく、任意の数の開口から構成されていてよい。さらに、基材1には、後述するように、インク供給口部2の位置を測定するための基準点3a〜3eが形成されている。
【0016】
ここで、図2を参照して、基材1の製造方法について説明する。本実施形態では、基材1は、図2に示すように、複数の層1a〜1eが積層されて一体化されたものである。第1の層1aには、インク供給口部2の開口と共に基準点3をレーザ加工で形成する。この際、レーザ加工装置(図示せず)は、レーザ加工前の第1の層1aを位置決め固定した後、インク供給口部2の開口および基準点3を一連の処理にて加工するように制御される。そのため、インク供給口部2の開口と基準点3との相対位置は極めて高い精度であり、また、基準点3a〜3eは一直線状に形成される。第2の層1bにはインク供給口部2の開口のみを形成し、第3の層1cにはインク供給口部2にインクを供給するための流路(図示せず)を形成する。その後、全層1a〜1eを積層して約1200℃で焼成すると、各層1a〜1eが焼結されて一体物の基材1が形成される。なお、各層1a〜1eへのインク供給口部2の開口や基準点3などの形成は、型による打ち抜きで行うこともできる。
【0017】
このように焼結されて一体物となった基材1には、焼結時に若干の収縮が生じるが、このとき同時に反りも生じてしまう。基材1の厚さ方向(主に長手方向)の反りは、後に研磨することによって低減させることができるが、面内方向(主に短手方向)の反りは低減させる手段がなく、焼結時の反りが残ったままとなる。
【0018】
次に、本実施形態の製造方法の工程フローについて説明する。
【0019】
まず、図3に示す測定装置を用い、基準点3の位置を測定する工程を行う。この工程では、基材1は、インク供給口部2(図3には図示せず)が開口する面を上向きにしてプレート10上に配置される。プレート10は、基材1を長手方向に駆動するステージ11と、短手方向に駆動するステージ12の上に配置されている。基材1の上方には、基準点3を撮影するためのカメラ13が設置され、さらに、カメラ13とステージ11,12とは制御装置14に接続されている。基準点3の位置は、ステージ11,12の位置とカメラ13で撮影された撮影画像とから制御装置14により測定される。図4は、こうして測定した基準点の位置関係を示しており、各基準点3a〜3eにそれぞれ対応するプロット20a〜20eが示されている。プロット20a〜20eは、上述したように、基材1の製造時に発生した反りを反映して、曲線状に配置されている。
【0020】
次に、測定した基準点の位置に基づいて接着剤塗布基準線を規定する工程を行う。図5は、この工程を説明するための図であり、図4に対応する図である。
【0021】
図5(a)に示すように、両端のプロット20a,20eを結んだ仮想直線を傾き基準線(第1の仮想基準線)21として、傾き基準線21から各プロット20a〜20eまでの距離a〜e(本実施形態ではa=c=0)を算出する。本実施形態では、プロット20cが傾き基準線21から最も離れており、その距離はcである。そして、図5(b)に示すように、傾き基準線21に平行な仮想直線であり、かつ傾き基準線21からのずらし量をAとした場合に0<A<cの範囲となる仮想直線が、接着剤塗布基準線(第2の仮想基準線)23として規定される。接着剤塗布基準線23は、傾き基準線21からのずらし量Aが、最も離れたプロット20cとの距離cの半分(A=c/2)となるように規定されることが最も好ましい。これにより、接着剤塗布基準線と各プロットとの距離のうち、最大距離を最小にすることができる。
【0022】
次に、接着剤30を塗布する工程を行う。この工程では、接着剤30が、図6(a)に示すように、塗布ニードル31を用い、図6(b)に示すように、接着剤塗布基準線23に合わせて、インク供給口部2の周囲を囲むように基材1に塗布される。これにより、接着剤塗布基準線23、すなわち接着剤塗布位置に対する各インク供給口部の位置ずれ量のうち、最大となるものを最小にすることができる。本実施形態では、接着剤30の塗布方法として、塗布ニードル31を用いる方法が示されているが、転写方式などその他の方法も可能である。
【0023】
次に、上記のように接着剤が塗布された基材1にインク吐出デバイス4を接合する工程を行う。この工程では、図7に示すように、インク吐出デバイス4が、接着剤の位置、すなわち接着剤塗布基準線23に合わせて基材1に接合される。
【0024】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口部への接着材の入り込みに対して最も効果的な位置に接着剤を塗布できることに加えて、接着材とインク吐出デバイスとの接合面積を多く得ることができる。そのため、インク吐出デバイスの高い接着強度を得ることができる。なお、この場合、インクジェット記録ヘッド毎にインク吐出デバイスの位置が異なるため、ヘッドの本体搭載時にインクの吐出タイミングを個別に制御する必要があることに留意されたい。
【0025】
上記の製造方法によって得られるインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部のうち、最も外側(配列方向の一端部側)の第1のインク供給口部において、開口端と接着剤との関係が、次のような関係を満たす形態である。つまり、基材の長手方向と直交する方向で決まる、第1の開口端と、第1の開口端の外側に塗布された接着剤の外周側の端部との間隔が、第1の開口端と反対側の第2の開口端と、第2の開口端の外側に塗布された接着剤の外周側の端部との間隔と異なっている。かつ、それらの間隔の大小関係が、基材の中央部付近の第2のインク供給口部の場合と異なっており、それらの間隔の絶対値の差が、第2のインク供給口部と等しくなっている。
【0026】
本実施形態では、インク供給口列の各インク供給口部2の位置を測定する代わりに、専用の基準点3を測定しているが、直接インク供給口部2の位置を測定することもできる。ただし、基材1が積層体で構成され、インク供給口部も複数の層にわたって形成されている場合には、インク供給口部を画像処理した際に層間ずれの影響によって、インク供給口部の位置を誤検出してしまうおそれがある。そのため、本実施形態のように、専用の基準点3を測定することが好ましい。その場合、層間ずれによる基準点位置の誤検出が起こらないようにするために、基準点は、基材の第1の層にのみ形成されていることが好ましい。なお、本実施形態では、基準点は、5つ設けられているが、少なくとも、基材の長手方向の両端と中央部付近の3つ設けられていればよい。基材両端の基準点は、複数のインク供給口部のうち最も外側に位置するインク供給口部の外側に設けられていることが好ましい。また、基準点の形状も、正確に位置を測定できるという観点で任意に形状を選定することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態において接着剤塗布基準線に合わせて基材に接合されていたインク吐出デバイスを、基材の基準点に対して接合している点で、第1の実施形態と異なっている。これに伴い、接着剤塗布基準線の最も好ましい位置も変更されている。これ以外については、第1の実施形態と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる工程についてのみ説明し、その他の工程の説明は省略する。
【0028】
図6を参照して、本実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程について説明する。インク供給口部への接着剤の入り込みを防止する観点では、接着剤塗布基準線23は、傾き基準線21に平行な仮想直線であり、かつ傾き基準線21からのずらし量をAとした場合に0<A<cの範囲ととなる仮想直線として規定される。これは、第1の実施形態と同様である。しかしながら、ずらし量Aが大きくなると、基材の両端の基準点を結ぶ仮想直線、つまり傾き基準線21上に接合されるインク吐出デバイスと、接着剤塗布基準線23に合わせて塗布される接着剤との位置のずれ量が大きくなる。インク吐出デバイスと接着剤とがずれると、インク吐出デバイスの裏面に付着する接着剤に偏りが生じ、接着剤の硬化収縮などでインク吐出デバイスの位置が変わってしまう。インク供給口部への接着剤の入り込み対策としては、接着剤塗布基準線23のずらし量Aが0<A<c/2の場合とc/2<A<cの場合とで同じ効果が得られる。そのため、ずらし量Aを小さくする観点から、接着剤塗布基準線23は、ずらし量が0<A<c/2の範囲ととなる仮想直線として規定されるのが好ましい。
【0029】
その後、本実施形態のインク吐出デバイスを基材に接合する工程では、インク吐出デバイス4が、図8に示すように、基材1の両端の基準点を結んだ傾き基準線21上に接合され、したがって接着剤塗布基準線23からはずれて接合される。
【0030】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減できることに加えて、インク吐出デバイスの位置を、全ての基材に対して、基材1の両端の基準点を結んだ仮想直線からの位置で規定することができる。これにより、本実施形態の製造方法によれば、その他のヘッド構成部品の実装やヘッドの本体搭載時の吐出制御が容易になる。
【0031】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態のインク吐出デバイスの接合方法を特定の方法で行う形態である。つまり、本実施形態では、1つ目のインク吐出デバイスを接着剤塗布位置に合わせて接合した後、そのインク吐出デバイスを用いて、2つ目のインク吐出デバイスを位置決めする。このように、1つ前に接合したインク吐出デバイスを、その後に接合されるインク吐出デバイスの位置決めに用い、順次インク吐出デバイスを接合する。本実施形態では、最初のインク吐出デバイスを、接着剤塗布位置に合わせて接合しているが、第2の実施形態のように、基材の基準点に合わせて接合することもできる。
【0032】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減することができる。これに加えて、隣接するインク吐出デバイスを高精度に位置決めできるため、インク吐出デバイス間の繋ぎ部での印刷画像の劣化に対して有効である。
【0033】
(第4の実施形態)
本実施形態の製造方法によって製造されるインクジェット記録ヘッドは、複数のインク供給口部からなるインク供給口列が短手方向に複数配列された基材と、インク供給口部に対応する位置に配置されたインク吐出デバイスとを有している。
【0034】
図9は本実施形態の製造方法で使用される基材の概略斜視図である。基材1には、千鳥状に形成され、長手方向に延びる2列のインク吐出口列を構成するインク供給口部2が設けられている。さらに、基材1には、基準点3a〜3jが形成されている。本実施形態では、基準点は、各インク供給口列に対して、インク供給口列の両端に位置するインク供給口部の外側と各インク供給口部の中間点との5つ設けられているが、これに限定されるものではない。基準点は、各インク供給口列に対して、少なくとも、インク供給口列の両端と中央部付近の3つ設けられていればよい。
【0035】
次に、本実施形態の製造方法の工程フローについて説明する。
【0036】
まず、第1の実施形態と同様に、図3に示す測定装置を用い、基準点の位置を測定する工程を行う。図10は、測定した基準点の位置関係を示しており、各基準点3a〜3jにそれぞれ対応するプロット20a〜20jを示している。
【0037】
次に、測定した基準点の位置に基づいて接着剤塗布基準線を規定する工程を行う。図11は、この工程を説明するための図であり、図10に対応する図である。
【0038】
図11(a)に示すように、下段のインク供給口列の両端のプロット20a,20eを結んだ直線を下段傾き基準線50とし、上段のインク供給口列の両端のプロット20f,20jを結んだ直線を上段傾き基準線51とする。その後、各傾き基準線50,51から各プロットまでの距離a〜j(本実施形態ではa=e=f=j=0)を算出する。下段のインク供給口列では、プロット20cが下段傾き基準線50から最も離れており、その距離はcであり、上段のインク供給口列では、プロット20hが上段傾き基準線51から最も離れており、その距離はhである。なお、本実施形態では、h>cであり、すなわち、上下のインク供給口列で反り状態が異なっている。そして、下段の接着剤塗布基準線60が、下段傾き基準線50に平行な仮想直線であり、かつ下段傾き基準線50からのずらし量をBとした場合に0<B<cの範囲ととなる仮想直線として規定される。下段の接着剤塗布基準線60は、下段傾き基準線50からのずらし量Bが、最も離れたプロット20cとの距離cの半分(B=c/2)となるように規定されることが最も好ましい。これにより、下段のインク供給口列内において、接着剤塗布基準線60と全プロット20a〜20eの距離のうち最大のものを、最小にすることができる。したがって、接着剤塗布基準線60、すなわち接着剤塗布位置とインク供給口列との位置ずれ量の最大を、最小にすることができる。そのため、本実施形態は、インク供給口部2への接着剤の入り込みを低減することに関して最も有利な形態である。上段に関しても同様に、接着剤塗布基準線61は、上段傾き基準線51からのずらし量Cが0<C<hの範囲となるように規定され、ずらし量Cが距離hの半分(C=h/2)の場合に、インク供給口部2への接着剤の入り込みに対して最も効果的となる。
【0039】
次に、接着剤30を塗布する工程を行う。この工程では、接着剤30は、図12に示すように、上下の接着剤塗布基準線60,61に合わせて、インク供給口部2の周囲を囲むように基材1に塗布される。
【0040】
次に、上記のように接着剤が塗布された基材1にインク吐出デバイス4を接合する工程を行う。この工程では、図13(a)および図13(b)に示すように、インク吐出デバイス4が、上下の接着剤塗布基準線60,61に合わせて塗布された接着剤に合わせて接合される。
【0041】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、全てのインク供給口列において、最も効果的な位置に接着剤が塗布されているため、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減することができる。さらに、接着材とインク吐出デバイスとの接合面積を多く得ることができ、それにより、インク吐出デバイスの高い接着強度を得ることができる。なお、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、ヘッド毎にインク吐出デバイス位置が異なるため、ヘッドの本体搭載時にインクの吐出タイミングを個別に制御して対応する必要がある。
【0042】
(第5の実施形態)
本実施形態は、第4の実施形態に対して、接着剤塗布基準線の位置が変更された変形例である。具体的には、1つのインク供給口列に対して、第4の実施形態と同様に、接着剤塗布基準線を規定し、その規定した接着剤塗布基準線に基づいて、他のインク供給口列の接着剤塗布基準線の位置を決定する。これ以外については、第4の実施形態と同様である。以下では、第4の実施形態と異なる工程についてのみ説明し、その他の工程の説明は省略する。
【0043】
まず、図14を参照して、本実施形態の接着剤塗布基準線を規定する工程について説明する。図14は、この工程を説明するための図であり、基材上の各基準点に対応するプロット20a〜20jが示されている。なお、図14には、説明の都合上、上下両方のインク供給口列に対してプロットが示されている(基準点の位置が測定されている)が、基準点の位置は、複数のインク供給口列のうち、接着剤塗布基準線が規定されるインク供給口列に対して測定されていればよい。
【0044】
本実施形態では、下段のインク供給口列のプロット20a〜20eに対して、第3の実施形態に示した方法で、接着剤塗布基準線60を規定する。なお、下段の接着剤塗布基準線60の、下段傾き基準線50からのずらし量Bは、最も離れたプロット20cとの距離cの半分である。そして、この下段の接着剤塗布基準線60をインク供給口列のピッチ分だけ平行移動させた仮想直線を、上段の接着材塗布基準線62とする。
【0045】
接着剤塗布基準線を規定した後、第4の実施形態と同様に、接着剤を塗布する工程および、インク吐出デバイスを接合する工程を行い、図15に示すインクジェット記録ヘッドを完成させる。
【0046】
このようなインクジェット記録ヘッドでは、下段のインク供給口列については、インク供給口部への接着剤の入り込みの低減に最も効果的な位置に接着剤を塗布することが可能となる。また、上段のインク供給口列については、インク供給口部への接着剤の入り込みを低減することができる。また、インク吐出デバイスの列間のピッチを揃えることができるため、ヘッドの本体搭載時の吐出制御が容易になる。
【0047】
(第6の実施形態)
本実施形態では、第5の実施形態に示す方法でそれぞれの接着剤塗布基準線の位置を決定した後で、第2の実施形態と同様に、インク吐出デバイスを傾き基準線に合わせて接合する。
【0048】
本実施形態で得られるインクジェット記録ヘッドは、第2の実施形態と同様に、接着剤の位置とインク吐出デバイスの位置とにずれが生じる。そのため、本実施形態において好ましい形態は、以下の通りである。すなわち、複数のインク供給口列のうち、インク供給口列の両端の基準点を結んだ仮想直線(傾き基準線)に対する各基準点の位置のずれが最も小さいインク供給口列を用いて、接着剤塗布基準線を規定する。そして、その他のインク供給口列については、上述のように規定した接着剤塗布基準線をインク供給口列のピッチ分だけ平行移動させたものを、その他のインク供給口列の接着剤塗布基準線とする。
【0049】
このようにして得られたインクジェット記録ヘッドでは、全てのインク供給口列において、各インク供給口列の両端の基準点を結んだ仮想直線と接着剤との距離を、仮想直線から最も離れた基準点までの距離の半分以下にすることができる。これにより、全てのインク供給口列において、インク供給口列へのインクの入り込みを低減すると共に、接着剤とインク吐出デバイスとの位置ずれによる、インク吐出デバイスの移動への影響を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 基材
2 インク供給口部
3 基準点
4 インク吐出デバイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に形成された基材と、前記インク供給口部に対応する位置に配置され、接着剤によって前記基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記基材の前記長手方向に沿って第1の仮想基準線を規定し、該第1の仮想基準線と、前記インク供給口列の少なくとも2つのインク供給口部との間の距離を測定する工程と、
前記少なくとも2つのインク供給口部のうち、前記距離が最も短いインク供給口部と、前記距離が最も遠いインク供給口部とをそれぞれ通り、前記第1の仮想基準線に平行な2つの仮想直線の間に、第2の仮想基準線を規定する工程と、
前記第2の仮想基準線に基づいて、前記接着剤を前記基材に塗布する工程と、
前記基材に塗布された前記接着剤によって、前記インク吐出デバイスを前記基材に接合する工程と、
を含むインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのインク供給口部の前記距離が、前記基材に設けられた複数の基準点に基づいて測定される、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記複数の基準点が、前記基材の前記長手方向の両端に設けられた2つの基準点と、前記基材の中央部付近に設けられた1つの基準点とを含む、請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記2つの基準点が、前記複数のインク供給口部のうち最も外側に位置する2つのインク供給口部の外側にそれぞれ形成されている、請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記第1の仮想基準線が、前記複数のインク供給口部のうち最も外側に位置する2つのインク供給口部を結ぶように規定される、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記第2の仮想基準線が、前記第1の仮想基準線と平行である、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記第2の仮想基準線が、前記2つの仮想直線から等しい距離にある、請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記インク供給口部が、複数の開口から構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項9】
複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に配列された基材と、前記インク供給口部に対応する位置に配置され、前記インク供給口部の周囲に形成された接着剤によって前記基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドであって、
前記複数のインク供給口部のうち、前記配列方向の一端部側に形成された第1のインク供給口部の、前記長手方向と直交する第1の短手方向における第1の開口端と該第1の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、前記第1の短手方向とは反対の第2の短手方向における第2の開口端と該第2の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より大きく、
前記複数のインク供給口部のうち、前記配列方向の中央部に形成された第2のインク供給口部の、前記第1の短手方向における第3の開口端と該第3の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、前記第2の短手方向における第4の開口端と該第4の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より小さい、インクジェット記録ヘッド。
【請求項1】
複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に形成された基材と、前記インク供給口部に対応する位置に配置され、接着剤によって前記基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記基材の前記長手方向に沿って第1の仮想基準線を規定し、該第1の仮想基準線と、前記インク供給口列の少なくとも2つのインク供給口部との間の距離を測定する工程と、
前記少なくとも2つのインク供給口部のうち、前記距離が最も短いインク供給口部と、前記距離が最も遠いインク供給口部とをそれぞれ通り、前記第1の仮想基準線に平行な2つの仮想直線の間に、第2の仮想基準線を規定する工程と、
前記第2の仮想基準線に基づいて、前記接着剤を前記基材に塗布する工程と、
前記基材に塗布された前記接着剤によって、前記インク吐出デバイスを前記基材に接合する工程と、
を含むインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのインク供給口部の前記距離が、前記基材に設けられた複数の基準点に基づいて測定される、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記複数の基準点が、前記基材の前記長手方向の両端に設けられた2つの基準点と、前記基材の中央部付近に設けられた1つの基準点とを含む、請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記2つの基準点が、前記複数のインク供給口部のうち最も外側に位置する2つのインク供給口部の外側にそれぞれ形成されている、請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記第1の仮想基準線が、前記複数のインク供給口部のうち最も外側に位置する2つのインク供給口部を結ぶように規定される、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記第2の仮想基準線が、前記第1の仮想基準線と平行である、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記第2の仮想基準線が、前記2つの仮想直線から等しい距離にある、請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記インク供給口部が、複数の開口から構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項9】
複数のインク供給口部からなるインク供給口列が長手方向に配列された基材と、前記インク供給口部に対応する位置に配置され、前記インク供給口部の周囲に形成された接着剤によって前記基材に接合されたインク吐出デバイスとを有するインクジェット記録ヘッドであって、
前記複数のインク供給口部のうち、前記配列方向の一端部側に形成された第1のインク供給口部の、前記長手方向と直交する第1の短手方向における第1の開口端と該第1の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、前記第1の短手方向とは反対の第2の短手方向における第2の開口端と該第2の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より大きく、
前記複数のインク供給口部のうち、前記配列方向の中央部に形成された第2のインク供給口部の、前記第1の短手方向における第3の開口端と該第3の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔は、前記第2の短手方向における第4の開口端と該第4の開口端の外側に形成された接着剤の外周側の端部との間隔より小さい、インクジェット記録ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−86463(P2013−86463A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231749(P2011−231749)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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