説明

インクジェット記録媒体

画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)は基板(110)を有し、熱間溶融押出しインク受容層(120、320、520)が基板(110)の第一面上に形成されている。そのインク受容層(120、320、520)は、少なくとも50wt%のヒドロゲルを含む。そのヒドロゲルはその乾燥重量の少なくとも50%の水を吸収することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの印刷用途において、一般的な媒体よりさらに改善された画像の明快さ、カラー及び耐久度を実現するのに特殊な媒体が用いられる。しばしば、これらの媒体は、これらの改善を達成するために未加工の素地紙に塗布された特殊な層を含む。
【0002】
例えば、在来のハロゲン化銀の写真品質に属する写真インクジェット媒体は、一般的に、樹脂被覆された未加工の素地紙の写真ベースを含む。当該樹脂は、熱溶融押出し法によって未加工の素地紙に塗布される。熱溶融押出し法においては、1つ以上の高分子材料がそれらの融点以上に加熱されそして未加工の素地紙上に均一なコーティングで塗布される。
【0003】
インク受容層は、その他の機能層と共に湿式コーティング工程によって写真ベースの最上面に堆積される。湿式コーティング工程においては、均一且つ連続した湿性膜が写真ベースに塗布されなければならない。その後で、水分又は溶媒が乾燥工程によってコーティングから除去されなければならない。
【0004】
エネルギーと時間要件は、技術的複雑さに加えて、しばしば、当該湿式コーティング工程を極めてコスト高にすることがある。さらに、湿式コーティング工程は媒体製造工程の他の様相より多くの製品欠陥を持ち込み得る。
【発明の概要】
【0005】
画像記録媒体は、熱溶融押出しされたインク受容層が基板の第一面上に形成されている基板を有する。インク受容層は、少なくとも50wt%のヒドロゲルを含む。ヒドロゲルは、水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができる。
【0006】
印刷システムは、インク分配装置と画像記録媒体を具備する。画像記録媒体は、熱溶融押出しされたインク受容層が基板の第一面上に形成されている。インク受容層は、水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができるヒドロゲルを少なくとも50wt%含む。インク分配装置は、液体インクを画像記録媒体のインク受容層の上に分配できるよう構成される。
【0007】
画像記録媒体を製造する方法は、基板を準備し、その基板の第一面のインク受容層を押出すことを包含する。インク受容層は、水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができるヒドロゲルを少なくとも50wt%含む。
【0008】
添付図面は、ここに記述された原理の種々の実施形態を図解するものであって本明細書の一部である。図解された実施形態は単に実施例にすぎず且つクレームの範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図2】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図3】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図4】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図5】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図6】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図7】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的実施形態の側断面図である。
【図8】ここに記述された原理による、印刷システムの例示的実施形態の斜視図である。
【図9】ここに記述された原理による、画像記録媒体の例示的製造方法を説明するフローチャートである。
【0010】
これらの図面を通して、同一の参照番号は、類似の、但し必ずしも同一ではない、要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、熱溶融押出しされたインク受容層を有する新規の画像記録媒体に関連する例示的装置、システム、及び方法並びにそれらの製造及び使用方法を記述する。
【0012】
濃度、量、及びその他の数値データは、本書では範囲形式で提示され得る。理解されるべきは、このような範囲形式は単に簡便及び簡潔さのため用いられ且つその範囲の限界として明確に列挙された数値を含むのみならず、あたかも各数値及び下位範囲が明確に列挙されるかのように個別の数値又は下位範囲を全てその範囲内に包含するものと柔軟に解釈されるべきであるということである。例えば、約1wt%〜約20wt%という重量パーセント範囲は、1wt%〜約20wt%という明確に列挙されたパーセント限界を含むだけでなく、2wt%、3wt%、4wt%といった個別パーセント及び5wt%〜15wt%、10wt%〜20wt%、等といった下位範囲を含むものと解釈されるべきである。
【0013】
本明細書並びに添付クレームに使用されるとき、用語「ヒドロゲル」は、水溶性高分子鎖のネットワーク、吸収性の塩、又はその他の物質のような水分吸収性物質を指す。用語ヒドロゲルは、また、前述の吸収性物質が主成分である物質の混合物を指すこともある。
【0014】
本明細書並びに添付クレームに使用されるとき、用語「押出し」、「熱溶融押出し」、及びそれらの派生語は、物質がその融点以上の温度に加熱され且つ実質的に均一なコーティング厚で移動基板上に堆積されるコーティングプロセスを指す。このプロセスによって押出し可能な物質の例は、プラスチック、接着剤、ヒドロゲル、及びその他の高分子材料を含むが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書並びに添付クレームに使用されるとき、堆積された物資の用語「全水分捕捉容量」は、堆積された物質の被覆重量が乗じられた物質の特性水分吸収パーセントと定義される。
【0016】
下記の記述において、説明目的で、本願システム及び方法の完全な理解をもたらすために多数の具体的詳細が提示される。しかしながら、本願のシステム及び方法は、これらの具体的詳細がなくても実施され得るということは当業者に明らかになるであろう。明細書における「1実施形態」、「1実施例」又は類似の言い方は、その実施形態又は実施例に関連して記述される特定の特徴、構造、又は特性が少なくともその1つの実施形態に含まれるが、必ずしも他の実施形態に含まれるとは限らないことを意味する。本明細書における様々な場所での言いまわし「1つの実施形態において」又は類似の言いまわしの様々な例は、必ずしも全て同一の実施形態を表すものではない。
【0017】
本記述は、液体インク画像を記録するべく構成された画像記録媒体を提供し且つ使用され得るものである。画像記録媒体は、液体インクを、例えばインクジェットプリンタから、受けるためのインク受容層を含む。しかしながら、多くの従来技術の媒体とは異なり、ここに記述の媒体は、インク受容層を塗布するのにウェットコーティング工程を必要としない。むしろ、当該画像記録媒体は、インク受容層を作り出すのに熱間溶融押出し熱可塑性ヒドロゲル材料を利用する。
【0018】
押出し可能なヒドロゲルインク受容層は、インク受容層に関してウェットコーティング方法で作り出されたものに優る幾つかの利点をもたらす。比較的コスト安の押出しプロセスは、媒体製造にとってそれ程高価でないアプローチを実現することができる。加えて、樹脂層のような他の層が媒体上へ押出しされる場合の適用において、インク受容層はそれらの層と共押出しされることが可能であり、製造工程における時間及び設備効率を増大させる。
【0019】
熱溶融押出し法は、本来、品質コーティングを提供することにおいては湿式コーティング方法より信頼でき、そしてヒドロゲルの熱溶融押出しによって画像記録媒体上に作られたインク受容層は、湿式コーティングプロセスによって作られたものよりも切れ目なく連続した且つ均一な膜を形成する傾向がある。
【0020】
ここに提示されたようなインク受容層の主成分として高吸収性の、押出し可能なヒドロゲルを使用することで多くの利点がもたらされる。押出し可能なヒドロゲルは、比較的安価であり且つ市販の装置を用いて比較的容易に紙のような基板上へ押出しされ得る。さらに、熱可塑性ヒドロゲルによって製造されたインク受容層は、湿式コーティングプロセスによって製造されたインク受容層と同程度の良好な又はより優れた画像及びカラー性能を実現し得る。さらに、熱可塑性ヒドロゲルを含んでいるインク受容層は、より優れた乾燥時間性能を有し得る。
【0021】
これらの原理による画像記録媒体、印刷システム、及び方法の例示的な実施形態をこれより議論する。
【0022】
[例示的実施形態]
これより図1について説明すると、画像記録媒体(100)の例示的実施形態は、未加工の素地紙の基板(110)を含む写真用インクジェット媒体である。その他の実施形態において可能な基板(110)は、未コート普通紙、コート紙、樹脂押出し紙、フィルム、布地、厚紙、半導体、及びそれらの組合せを包含し得る。
【0023】
画像記録媒体(100)は、さらに、基板(110)の第一面上に形成された熱溶融押出しインク受容層(120)を含む。当該インク受容層は、ヒドロゲルを少なくとも50wt%含む。当該ヒドロゲルは、水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができる。そのように、ここに示されたインク受容層(120)は、水性インクをヒドロゲル中へ吸収するように構成される。インク受容層(120)は、層の厚さの状態で実質的に透明であるところの1つ以上の材料を含み得るので、インクがインク受容層(120)中のヒドロゲルによって吸収されるとき、水性インク中の顔料又は染料は、実質的に目に見える状態のまま留まり得る。
【0024】
多くの実施形態において、当該ヒドロゲルは脂肪族の熱可塑性ポリウレタンであり得る。多くの等級の脂肪族熱可塑性ポリウレタンが市販されている。インク受容層(120)の製造に使用され得る1つの具体的な熱可塑性ポリウレタンは、Tecophilic(登録商標)熱可塑性ポリウレタン、Noveon,Inc.から入手可能なEstane(登録商標)製品群の一部、である。
【0025】
複数の変形は、製造者によってポリウレタンの骨格における官能基の間の化学的比率についてなされ、それらは、これらのヒドロゲルの硬さ/柔らかさ、水吸収容量、水吸収率、押出し適性、及び強度のような複数の特性に影響するものである。脂肪族熱可塑性ポリウレタンの等級は、これらの諸特性及び個別的な印刷用途の仕様に応じて選択され得る。熱可塑性ポリウレタンの種々の等級が発明者によってテストされており、そしてそれらの乾燥重量の約100%乃至約900%の間の水を吸収することが示されている。それらの乾燥重量の約1000%を超える水を吸収できる熱可塑性ポリウレタンの他の等級も市販されている。
【0026】
図示された実施形態のインク受容層(120)は、50〜100wt%間のヒドロゲルを含有する。インク受容層(120)の残りの0〜50%は、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリオレフィン、細胞ベースの重合体、それらの組合せ等に似た共重合体のような官能性添加物を含み得る。その他の官能性添加物は、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、光学上の光沢剤、染料固定液、リリース剤、等のような光学的性質の向上及び/又はプロセス改善のための材料を含み得る。
【0027】
当該インク受容層(120)は、少なくとも1グラム/平方メートル(gsm)の全水分容量を含み得る。例えば、インク受容層(120)が5gsmのコート重量で押出しされ、そしてその乾燥重量の50%の水分を吸収する場合、その全水分容量は1gsmより大きいであろう。多くの実施形態において、3〜15gsmの又はそれよりさらに大きい範囲の全水分容量を有することが望ましいことがある。
【0028】
当該インク受容層(120)は、1押出しサイクルで基板(110)上に堆積され得る。他の実施形態において、当該インク受容層(120)は、種々の官能性添加物を含むか又はインク受容層(120)を作り出すべく共押出しされた官能性添加物の量を有するヒドロゲル材料の少なくとも2層を含み得る。さらに別の実施形態において、当該インク受容層(120)は、そのインク受容層(120)が所望の厚さを得るまでヒドロゲルの混合物の層を順次押出すことによって形成され得る。
【0029】
この実施形態のインク受容層(120)は膨潤性であり、これは、ヒドロゲル材料がプリンタ装置からの水性インクを吸収するにつれてそのインク受容層(120)が物理的に容積を僅かに増大させることを意味する。当該インク受容層(120)は膨潤性のコーティング構造を含み得る。
【0030】
図示された画像記録媒体(100)は、また、基板(110)の第二面上に堆積された第二の熱溶融押出しヒドロゲル層(130)も含む。第二ヒドロゲル層(130)は、実質的に、インク受容層(120)と同じヒドロゲル材料を含み得る。しかしながら、第二ヒドロゲル層(130)は、主として、水分吸収及び制御目的のために基板(110) 上に堆積され得るものであって、必ずしも、インク受容層の官能性添加物を含有しない。他の実施形態において、第二ヒドロゲル層(130)は、両面印刷可能媒体のためのインク受容層として役立ち得るものである。そのような実施形態では、官能性添加物は第二ヒドロゲル層(130)に含められ得る。
【0031】
これより図2について説明すると、画像記録媒体(200)の別の例示的実施形態は、図1の実施形態に示されたものと類似の膨潤性インク受容層(120)を含む。画像記録媒体(200)は、また、カール抑制及びその他の可能な機能に供される第二の熱溶融押出しヒドロゲル層(130)も含む。
【0032】
この図面に示された画像記録媒体(200)は、さらに、基板(110)上に押出しされた第一及び第二の樹脂層(205,210)を含む。第一樹脂層(205)は、基板(110)とインク受容層(120)の中間にある。第二樹脂層(210)は基板(110)と第二ヒドロゲル層(130)の中間に堆積される。
【0033】
第一及び第二樹脂層(205,210)が含有し得る材料の非限定例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン及びその類を含む。第一及び第二樹脂層は、媒体(200)に対して水分障壁及び/又はカール抑制の機能性を与え得る。
【0034】
これより図3について説明すると、本開示による画像記録媒体(300)の別の例示的実施形態は、微細孔構造を有するインク受容層(320)を含む。インク受容層(320)は、図1の実施形態に関連して記述されたような官能性添加物と共にヒドロゲルを含有する。当該微細孔構造は、シリカ又はアルミナのような多孔質の顔料微粒子を含有し得る。この実施形態において、インクの吸収は微細孔による毛管力によって生ずる。微細孔のインク吸収過程は、重合体の膨潤性インク吸収過程よりはるかに急速であり得る。多孔性の顔料微粒子は、インク媒体を吸収し且つ艶消し又は光沢剤として機能し得る。図示された実施形態は、また、先の実施形態のものと類似の第二のヒドロゲル層(130)も含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、インク受容層(320)は、0〜50%の水又は別の溶媒又は気体を既に含んでいるヒドロゲルを含有し得る。水又は別の溶媒又は気体は、インク受容層(320)が押出された後で除去されて、当該インク受容層(320)に多孔質構造を与え得る。そのような構造は、プリンタ又はその他のインク分配メカニズムからインクを受容する時の膨潤が低減されたインク受容層を実現する際に有利であり得る。
【0036】
これより図4について説明すると、画像記録媒体(400)の別の例示的実施形態は、図3の実施形態に関連して記述されたようなインク受容層(320)を含む。当該媒体(400)は、さらに、図2の実施形態に関連して記述されたものと類似した第一及び第二の樹脂層(205,210)を含む。第一樹脂層(205)は、基板(110)の第一面上に押出しされ且つ基板(110)とインク受容層(320)の中間にある。第二樹脂層(210)は、基板(110)の第二面上に押出しされ且つ基板(110)と第二ヒドロゲル層(130)の中間にある。第一及び第二の樹脂層(205,210)は、それぞれ、インク受容層(320)及び第二ヒドロゲル層(130)と共に共押出しされ得る。
【0037】
これより図5について説明すると、ここに記述された原理による画像記録媒体(500)は、微細孔質の層(530)と非多孔質の層(540)とを有する複合熱可塑性ヒドロゲルインク受容層(520)を含み得る。微細孔質層(530)は、官能性微細孔添加物及び/又は微細孔質の層(530)が押出しされた後にヒドロゲルから水又は他の溶媒を除去することにより与えられた多孔質構造を有する、先に開示されたようなヒドロゲルを含有し得る。
【0038】
この実施形態の押出しされた非多孔質層(540)は、脂肪族熱可塑性ポリウレタンのような熱可塑性ヒドロゲルを少なくとも50wt%含有する。熱可塑性ヒドロゲルは、その乾燥重量の50%を上回る水を吸収することができる。幾つかの実施形態において、熱可塑性ヒドロゲルは、その乾燥重量の1000%を上回る水を吸収できるかもしれない。
【0039】
複合インク受容層(520)は、膨潤性及び微細孔質の両タイプのインク受容層に固有の利益をもたらし得る。複合インク受容層(520)の両方の副層(530,540)は、基板(110)上へ共押出しされ得る。図示された実施形態において、画像記録媒体(500)は、また、カール及び/又は水分防護のための第一及び第二樹脂層(205,210)と第二ヒドロゲル層(130)とを含有する。第一樹脂層(205)は、複合インク受容層(520)と共押出しされるか又は別々に押出しされ得る。第二樹脂層(210)は第二ヒドロゲル層(130)と共押出しされる。他の実施形態において、樹脂層(205,210)及び第二ヒドロゲル層(130)が当該画像記録媒体(500)に存在しないことがある。
【0040】
これより図6について説明すると、画像記録媒体(600)は、下塗り又は湿式コーティング工程によって塗布された少なくとも1つの層(610)に加えて、ここに記述された原理と一致する押出しされたヒドロゲルと、1つ以上の樹脂を有するインク受容層(120)、及び第二ヒドロゲルの層群(それぞれ、120,205,210,130)を含み得る。追加層(610)は、画像保護又は像質向上層であり得且つ当該インク受容層(120)の押出し後に塗布され得るものである。
【0041】
これより図7について説明すると、両面画像記録媒体(700)は、基板(110)の第一面上に押出しされた第一インク吸収層(120)と基板(110)の第二面上に押出しされた第二インク吸収層(720)を含み得る。両方のインク吸収層(120,720)は、先に記述されたように、官能性添加物とその重量の少なくとも50%の水を吸収できる少なくとも50%のヒドロゲルとを含有する。
【0042】
[例示的印刷システム]
これより図8について説明すると、印刷システム(800)の例示的実施形態が示されている。当該印刷システム(800)は、インク分配装置(810)と画像記録媒体(200)を具備する。
【0043】
当該画像記録媒体(200)は、基板(110)の第一面上に形成された熱間溶融押出しインク受容層(120)を含む。本明細書のどこか他のところで開示されたインク受容層と同様、図示された実施形態のインク受容層(120)は少なくとも50wt%のヒドロゲルを含有し、当該ヒドロゲルは、水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができるものである。当該ヒドロゲルは、脂肪族熱可塑性ポリウレタン又は別の押出し可能な高吸収性ヒドロゲルを含み得る。インク受容層(120)は、さらに、官能性添加物を含有し得且つ画像記録媒体の先の実施形態に記述されたような均一の、多孔質の、又は複合された構造を有し得る。
【0044】
当該画像記録媒体(200)は、さらに、基板(110)とその第一面上のインク受容層(120)との中間に第一樹脂層(205)を且つ基板(110)と媒体(200)の第二面上の第二熱可塑性ヒドロゲル層(130)との中間に第二樹脂層(210)を含み得る。
【0045】
当該インク分配装置(810)は、画像記録媒体(200)のインク受容層(120)上に液体インク(820)を分配できるよう構成される。当該インク受容層(120)は、液体インク(820)を吸収し且つ媒体(200)上にユーザーによって所望されたものを描写する画像を与えることができるよう構成される。その後、吸収されたインク(830)の水性インクビヒクルが乾燥して、媒体上に硬質の且つ連続したインク膜を残す。
【0046】
当該インク分配装置(810)は、インクジェットプリンタ又はその構成要素であり得る。他の実施形態において、当該インク分配装置(810)は、液体エレクトロリソグラフィ装置又は構成要素を具備し得る。当該インク分配装置(810)は、それが液体インクを画像記録媒体(200)上に分配するときは、矢印で示されたように、媒体に関して左右に移動し得る。他の実施形態において、印刷装置は、インクを分配するための固定ペンとプリント媒体を保持する可動プラテンを装備でき、そして画像記録媒体をその固定ペンに関して移動させる。当該インク分配装置(810)は、さらに、まったく異なった色の2つ以上の液体インクをインク受容層(120)上に分配して、原色及び/又は複合色を有する画像を与えるよう構成され得る。
【0047】
[例示的製造方法]
これより図9について説明すると、本開示及びクレームにおいて言及されたような画像記録媒体は、図示された例示的方法(900)を用いて製造され得る。当該方法(900)は、基板を準備するステップ(ステップ910)を包含する。可能な基板の非限定例は、紙、コート紙、樹脂押出し紙、フィルム、布地、厚紙、半導体、及びそれらの組合せを含む。
【0048】
基板が準備されると(ステップ910)、ヒドロゲルが与えられ(920)、当該ヒドロゲルは、水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができるものである。当該ヒドロゲルは、脂肪族の熱可塑性ポリウレタン又は所望の水捕捉特性を有することができるその他の熱可塑性ヒドロゲルであり得る。
【0049】
官能性添加物が当該ヒドロゲルと混合され得る(ステップ930)。そのような官能性添加物の非限定例は、光沢剤、リリース剤、染料固定液、充填剤、多孔性微粒子及びそれらの組合せを含む。さらに、水または別の溶媒もヒドロゲルの一部又は全てと混合されてインク受容層の一部又は全てに多孔性の性質を付与し得る。
【0050】
次いで、ヒドロゲルの混合物が基板上へ押出しされる(ステップ940)。好ましくは、当該ヒドロゲルは、熱溶融押出し機、当分野で周知の装置を用いて押出しされる。幾つかの実施形態において、インク受容層が押出しされる(ステップ940)以前に樹脂層がその基板上に存在し得る。他の実施形態において、その基板上に樹脂層が全く堆積され得ないか、又は樹脂層がインク受容層とその基板上に共押出しされ得る。
【0051】
当該インク受容層は多孔質又は非多孔質であり得る。幾つかの実施形態において、当該インク受容層は多孔質又は非多孔質の副層を含み得る。これらの副層は基板上へ一緒に共押出しされるか又は順次的に押出しされ得る。当該インク受容層は5及び50グラム/平方メートル(gsm)の間のコート重量を含み得る。当該インク受容層は1gsmを上回る全水分捕捉容量を含み得る。多くの実施形態において、当該インク受容層は、1及び25gsmの間の、又はそれよりさらに大きい水分捕捉容量を含み得る。
【0052】
幾つかの実施形態において、トップコーティングが当該インク受容層の最上面の上に堆積され得る。当該トップコーティングは、有機又は無機のコーティング成分を含み得且つ、例えば、画像保護コーティング、及び画像向上コーティング、又はその組合せであり得る。当該トップコーティングは、当分野で知られているように、下塗り又は湿式コーティング工程によって画像記録媒体に塗布され得る。当該トップコーティングは、0.1及び20gsm間のコート重量を含み得る。
【0053】
前出の記述は、記述された当該原理の実施形態並びに実施例を例証且つ記述するためにのみ提示されたものである。この記述は、網羅的であるつもりはなく又はこれらの原理を開示された正確な形状のどれかに限定するつもりもない。上記教示を考慮して多くの修正及び変更は可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間溶融押出しされたインク受容層(120、320、520)が基板(110)の第一面上に形成されていて、前記インク受容層(120、320、520)が少なくとも50wt%のヒドロゲルを含有する前記基板(110)を備え、
前記ヒドロゲルが水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができることを特徴とする画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項2】
前記ヒドロゲルが熱可塑性ポリウレタンの重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項3】
前記インク受容層(120、320、520)が少なくとも1gsmという全水分捕捉容量を有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項4】
前記インク受容層(120、320、520)が追加の共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項5】
前記インク受容層(120、320、520)が、官能性添加物をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項6】
前記基板(110)が、未コート普通紙、コート紙、樹脂押出し紙、フィルム、布地、厚紙、半導体、プラスチック、箔、及びそれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項7】
前記基板(110)の第二面上に形成された少なくとも1つの押出しされた高分子層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項8】
前記基板(110)の少なくとも一面上に形成された画像の品質向上層又は保護層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)。
【請求項9】
インク分配装置(810)と、
基板(110)の第一面上に形成された熱間溶融押出しインク受容層(120、320、520)を有する画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)とを備え、
前記インク受容層(120、320、520)が少なくとも50wt%のヒドロゲルを含有し、且つ前記ヒドロゲルが水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができるものであり、
前記インク分配装置(810)は、前記画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)の前記インク受容層(120、320、520)上に液体インク(820)を分散できるように構成されることを特徴とする印刷システム(800)。
【請求項10】
基板(110)を設け、
少なくとも50wt%のヒドロゲルを含有するインク受容層(120、320、520)を前記基板(110)の第一面上に押出しすることを包含し、
前記ヒドロゲルが水についてその乾燥重量の少なくとも50%を吸収することができることを特徴とする、画像記録媒体(100、200、300、400、500、600)を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−515596(P2010−515596A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544875(P2009−544875)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/087776
【国際公開番号】WO2008/085669
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】