説明

インクジェット記録方法およびそれに用いるインクジェット記録媒体

【課題】本発明は、インク定着性に優れたインクジェット記録方法およびこれに用いる印刷用紙の風合いを有するインクジェット記録媒体を提供することである。
【解決手段】インクを吐出する前に、インクを定着させる塩基性化合物をインクジェット記録媒体に吐出させた、インク定着性に優れたインクジェット記録方法およびこれに用いるインクジェット記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方法および、かかる記録方法に用いるインクジェット記録媒体に関し、更に詳しくは、インクを吐出する前に、インクを定着させる塩基性化合物を記録媒体に吐出させた、インク定着性に優れたインクジェット記録方法およびこれに用いる印刷用紙の風合いを有するインクジェット記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
【0003】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンターやプロッターはコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途において近年急速に普及している。特に多色インクジェット方式により形成されるカラー画像は製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較しても遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途に於いては、印刷技術や写真技術よりも安価で済むことから広く応用されている。
【0004】
一方、インクジェット方式で高品質な画像を得るためには、多量の多孔質粒子からなる厚いインク受容層を支持体の上に塗設する必要があり、支持体本来の持つ質感が失われてしまう問題がある。
【0005】
かかる問題を解決し、オフィスでコピー用紙と使用されている普通紙や、オフセット印刷に用いられる一般のコート紙などの種々の用紙にインクジェット記録方式で出力する方法として、インクと反応する液体組成物を記録媒体上でインクと混合する方法が提案されている。例えば、塩基性化合物を含有する液体組成物を記録媒体に付与させた後、アニオン染料またはアニオン性化合物と色材を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献1〜3参照)、コハク酸等の酸性化合物を含有する液体組成物を記録媒体に付与させた後、アニオン染料を含有したインクで記録する方法(例えば、特許文献4参照)、帯電している微粒子が分散状態で含まれる液体組成物を記録媒体に付与させた後、逆極性のインクで記録する方法(例えば、特許文献5参照)、などが提案されている。しかしながら、オフセット印刷に用いられる一般のコート紙などのように浸透性の遅い用紙では商業印刷に匹敵する高品質な画質は得られず、印刷用紙の風合いを有する記録物を得ることはできなかった。
【特許文献1】特開昭63−60783号公報
【特許文献2】特開平8−174997号公報
【特許文献3】特開平2005−297567号公報
【特許文献4】特開昭64−9279号公報
【特許文献5】特開2003−39809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、インク定着性に優れたインクジェット記録方法およびこれに用いる印刷用紙の風合いを有するインクジェット記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
【0008】
(1)インクジェット記録ヘッドからインクジェットインクを吐出して記録媒体に記録するインクジェット記録方法において、該記録媒体が支持体上の少なくとも一方の面にインク受理層が設けられているインクジェット記録媒体であり、該インク受理層が主としてシリカまたはアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種のサブミクロン顔料とポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成され、且つ該インク受理層がカレンダーによって光沢処理が施されており、該インクジェット記録媒体のインク受理層が設けられている面に、該インクジェットインクを吐出する前に少なくとも1種の塩基性化合物を含む水性溶液を吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0009】
(2)該塩基性化合物がグアニジン誘導体、ビグアニジン誘導体、グアニジンの重縮合物から選ばれる少なくとも1種である(1)に記載のインクジェット記録方法。
【0010】
(3)(1)に記載の記録方法に用いるインクジェット記録媒体において、インク受理層に含有されるサブミクロン顔料の一次粒子径が6nm以上18nm未満であるインクジェット記録媒体。
【0011】
(4)該インク受理層にポリエチレングリコールが含有されている(3)に記載のインクジェット記録媒体。
【0012】
(5)該サブミクロン顔料が気相法シリカである(3)記載のインクジェット記録媒体。
【0013】
(6)該サブミクロン顔料が擬ベーマイトである(3)記載のインクジェット記録媒体。
【0014】
(7)該インク受理層の塗工量が、3g/m以上15g/m以下である(3)記載のインクジェット記録媒体。
【0015】
(8)該インク受理層にホウ酸またはその塩が含有されている(3)記載のインクジェット記録媒体。
【0016】
(9)該インク受理層が支持体の両面に設けられている(3)記載のインクジェット記録媒体。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、インク定着性に優れたインクジェット記録方法、およびこれに用いる印刷用紙の風合いを有するインクジェット記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録ヘッドからインクジェットインクを吐出して記録媒体に記録するインクジェット記録方法において、該記録媒体が支持体上の少なくとも一方の面にインク受理層が設けられているインクジェット記録媒体であり、該インク受理層が主としてシリカまたはアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種のサブミクロン顔料とポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成され、且つ該インク受理層がカレンダーによって光沢処理が施されており、該インクジェット記録媒体のインク受理層が設けられている面に、少なくとも1種の塩基性化合物を含む水性溶液を、該インクジェットインクを吐出する前に吐出することを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0019】
記録媒体にインクジェットインクおよび/または塩基性化合物を吐出するインクジェット記録ヘッドとしては、圧電素子を用いたピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーを作用させて発泡し記録を行う熱インクジェット方式のような周知の方法が用いられる。また、コンティニュアス型またはオンデマンド型のいずれの方法を用いても良い。
【0020】
本発明に用いる塩基性化合物としては、例えば第一級、第二級、第三級および第四級の窒素を有する低分子量および高分子量のカチオン性化合物およびこれらの塩が挙げられる。高分子量のカチオン性化合物の例としては、例えば、エチレンイミン、N−アルキルビニルピリジン、アミノアセタール化ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、アルキルアミノエチルアクリレート、アルキルアミノエチルメタクリレート、グアニド、ヘキサメチレンビグアニドを構造単位に含む高分子化合物およびその塩等、低分子量のカチオン性化合物の例としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチルテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルトリアミン、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、ビス(3−アミノエチル)アミン、1,3−ビス(2′−アミノエチルアミノ)プロパン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
また、これらの塩基性物質の中で、グアニジン誘導体、ビグアニジン誘導体、グアニジンの重縮合物が、本発明で用いるインクジェット記録媒体のインク受理層への接着性が良く、且つインクジェットインクを記録媒体に吐出した際の印字濃度が高いことから特に好ましい。
【0022】
次に、本発明のインクジェット記録方法に用いられる、記録媒体について説明する。本発明で用いる記録媒体は、支持体の上にインク受理層が設けられているインクジェット記録媒体であり、該インク受理層は主としてシリカまたはアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種のサブミクロン顔料とポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成され、且つ該インク受理層はカレンダーによって光沢処理が施されている。
【0023】
本発明において、サブミクロン顔料とは、その分散液を基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を指し、特に該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占める無機顔料を用いると、塗工組成物を塗工後高速に乾燥してもインク受理層の裂けなどの欠陥が生じにくいことからより好ましい。
【0024】
また、本発明の塗工組成物に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印字濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがある。具体的には、BET法による比表面積が60〜600m/gのものを用いることが好ましく、150〜400m/gのものを用いることがより好ましい。
【0025】
このような比表面積を有する顔料は通常、直径数nmから数十nmの一次粒子が結合しその内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。サブミクロン顔料の一次粒子が小さいとインク受理層の透明性が高くなり、支持体本来の持つ質感を維持しやすいが、インク吸収性が悪くなることがある。一方、一次粒子が大きいとインク吸収性は悪くならないものの、インク受理層の透明性が悪くなり支持体本来の持つ質感が損なわれたり、表面の光沢を得難いことがある。それ故、インク受理層に含有されるサブミクロン顔料は、平均一次粒子径は6nm以上18nm未満であることが好ましい。
【0026】
本発明で用いるサブミクロン顔料は、シリカまたはアルミナ水和物からなるサブミクロン顔料であるが、その種類としては、例えば、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等からなるサブミクロン顔料を例示することができ、本発明はこれらに限定されるものではないが、インク受理層の透明性が得やすく、且つインク吸収性も良いことから、気相法シリカおよび擬ベーマイトが特に好ましい。
【0027】
気相法シリカとは、湿式法シリカに対して乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。
【0028】
前述の平均一次粒子径を有する気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明で言う平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0029】
擬ベーマイトとはアルミナ水和物の一形態である。アルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミナ水和物は、一般にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
【0030】
本発明に用いられる上記のアルミナ水和物は、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸、アミド硫酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
【0031】
上記したサブミクロン顔料の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、特に限定しない。
【0032】
本発明のインク受理層にはバインダーとしてポリビニルアルコールが含まれる。本発明に用いるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できるが、けん化度が高いと塗工液の安定性が悪くなり易く、けん化度が低いとインク受理層の強度が弱くなりやすいことから、けん化度が70mol%以上95mol%以下、特に85mol%以上94mol%以下が好ましい。
【0033】
またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも必要に応じて使用することができる。
【0034】
本発明のインク受理層に含まれるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時にインク受理層に亀裂が生じたり、形成されるインク受理層の強度が不足することがある。一方でポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインクの吸収を阻害することがある。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量はサブミクロン顔料の2〜40質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
【0035】
なお、本発明に用いるポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いもののほうが、添加量が比較的少量であってもインク受理層に亀裂が生じにくいので、その添加量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高すぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z 8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15〜400mPa・秒であることが好ましく、30〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性などが異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0036】
本発明において、ポリビニルアルコールと他のバインダーおよび/またはラテックスを必要に応じて併用して用いても良い。併用するバインダーは透明性が高い親水性バインダーが好ましく、例えば、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらのバインダーは2種以上を組み合わせて用いても良い。ラテックスとは、実質的に非水溶性の熱可塑性高分子化合物が水中に分散した液状物を指し、一旦乾燥した後は熱水にも実質的に溶解しない点で水溶性高分子化合物の水溶液と区別されるものであるが、その例としては、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、およびこれらの重合体を構成する単量体の2種以上をランダム的、グラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらのラテックスを2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0037】
本発明の光沢処理とは、カレンダーによる光沢処理のことを言う。また、光沢処理を行う装置としては、一般に印刷用紙で圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗層表面を平滑化する、スーパーカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー等が、一般の印刷用紙に似た風合いを得やすいことから特に好ましい。
【0038】
本発明で言う、印刷用紙に似た風合いとは、支持体の少なくとも一方の面に光沢のある塗工層を有していることを言うが、一般の印刷用紙の塗工層は主として炭酸カルシウムやカオリンなどの比較的大きな顔料からなっており、主としてサブミクロン顔料からなる本発明のインクジェット記録媒体の塗工層とは光沢感に若干の差がある。その為、本発明のインクジェット記録媒体は、一般の印刷用紙よりも若干低い光沢値で、印刷用紙に似た風合いとなる。具体的には、一般の印刷用紙に似た風合いを有する本発明のインクジェット記録媒体の光沢値は、JIS Z 8741による75度鏡面光沢度が15%以上70%以下、好ましくは40%以上60%以下に制御することが好ましい。
【0039】
本発明のインクジェット記録媒体のインク受理層にポリエチレングリコールを含有させると、印字後のカールが少なくなるために好ましい。印字後のカールが少ない理由は定かではないが、ポリエチレングリコールがインク受理層中に含有されていると、塩基性化合物を含む水性溶液を記録媒体に吐出した際に、水性溶液が支持体に浸み込み難くなり、インクジェットインクを記録媒体上に吐出した際に、記録媒体の表面で反応し易くなるためであると推測している。
【0040】
本発明において、インク受理層の塗工組成物を塗工する方法には特に制限はなく、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターおよびダイコーターが、得られる塗工層の均一性が高いので特に好ましく使用される。本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する量に特に制限はないが、印刷用紙の風合いと光沢が得られ、支持体の風合いも損なわず、且つ記録媒体に吐出される塩基性化合物をインク受理層で保持し、塩基性化合物をインクジェットインクと記録媒体上で反応させ易くするには、3g/m以上15g/m以下が特に好ましい。塗工量が3g/m未満だと塩基性化合物が記録媒体上に保持されずインクとの反応が不十分になることがある。また、塗工量が15g/mを超えると支持体の持つ風合いが損なわれることがある。
【0041】
本発明のインクジェット記録媒体のインク受理層にポリビニルアルコールの架橋剤であるホウ酸またはその塩を含有させると、インク受理層に亀裂が入り難く、欠陥の少ないインク受理層が得られるため好ましい。ホウ酸またはその塩の添加量は、塗工組成物のpHにも依存するが、多すぎると塗層強度が低下することがあることから、サブミクロン顔料に対して、ホウ素原子を基準にHBOに換算して0.2〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜5質量%とすることがより好ましい。
【0042】
また、一般に、印刷用紙は両面に塗層が設けられており、印刷用紙の風合いを得るためには、本発明のインクジェット記録媒体のインク受理層は、支持体の両面に設けられていることが好ましい。
【0043】
本発明において、インクジェット記録媒体の支持体としては、通常は紙が用いられるが、インク受理層を設けることができる支持体であれば特に限定されるものではなく、必要に応じて、コート紙、合成紙、樹脂被覆紙等を用いることができる。
【0044】
また、本発明のインク受理層には、必要に応じて、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【実施例】
【0045】
以下本発明の実施例を示す。また、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
【0046】
(塩基性化合物を含む水性溶液の調製)
下記の処方によって、4種の塩基性化合物を含む水性溶液を調製した。
【0047】
<水性溶液Aの調製>
イオン交換水300部に、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル5部、エチルアルキルジオール25部、界面活性剤1.5部、ポリオキシエチレンエーテル2部、2−ピロリドン50部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.5部、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩20部を順次撹拌しながら加え、硝酸を添加してpHを4.0に調整し、全量で500部となるようにイオン交換水を追加して塩基性化合物を含む水性溶液Aを調製した。
【0048】
<水性溶液Bの調製>
イオン交換水300部に、トリメチロールプロパン50部、イソプロピルアルコール1.5部、メタンスルホン酸60部、グアニジン−ホルムアルデヒド重縮合物15部、ジメチルアミン−エピクロロヒドリン重縮合物10部、N−メチルモルホリン N−オキシド50部を順次撹拌しながら加え、全量で500部となるようにイオン交換水を追加して塩基性化合物を含む水性溶液Bを調製した。
【0049】
<水性溶液Cの調製>
イオン交換水300部に、界面活性剤1.5部、ジエチレングリコール80部、グリセリン40部、N,N′−1,3−ジフェニルグアニジン塩酸塩25部、ジエチルグリコールモノブチルエーテル30部を順次撹拌しながら加え、全量で500部となるようにイオン交換水を追加して塩基性化合物を含む水性溶液Cを調製した。
【0050】
<水性溶液Dの調製>
イオン交換水200部に、界面活性剤1.5部、ポリアリルアミン20部、グリセリン50部、エチレングリコール50部、ジエチルグリコール150部を順次撹拌しながら加え、水酸化ナトリウムを添加してpHを8.0に調整し、全量で500部となるようにイオン交換水を追加して塩基性化合物を含む水性溶液Dを調製した。
【0051】
(インクジェット記録媒体の作製)
<インクジェット記録媒体Aの作製>
水300部に、アミド硫酸1.5部、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP7、平均一次粒子径7nm)100部を添加し、そのまま2時間撹拌して解膠し、アルミナ水和物ゾルを得た。得られたアルミナ水和物ゾルに、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液80部と界面活性剤2.5部を加えて、塗工組成物を調製した。
【0052】
坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、塗工組成物を乾燥後の塗工量が10g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用い、印刷用紙の風合いを持たせるためにJIS Z 8741による75度鏡面光沢度が45%以上55%以下の範囲に入るように調整してカレンダー処理を行い、インクジェット記録媒体Aを作製した。
【0053】
<インクジェット記録媒体Bの作製>
前述のインクジェット記録媒体Aの、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP7、平均一次粒子径7nm)に代えて、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14、平均一次粒子径14nm)を用いた以外は、インクジェット記録媒体Aと同様にしてインクジェット記録媒体Bを作製した。
【0054】
<インクジェット記録媒体Cの作製>
前述のインクジェット記録媒体Aの、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP7、平均一次粒子径7nm)に代えて、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP18、平均一次粒子径17nm)を用いた以外は、インクジェット記録媒体Aと同様にしてインクジェット記録媒体Cを作製した。
【0055】
<インクジェット記録媒体Dの作製>
前述のインクジェット記録媒体Aの、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP7、平均一次粒子径7nm)に代えて、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP22、平均一次粒子径23nm)を用いた以外は、インクジェット記録媒体Aと同様にしてインクジェット記録媒体Dを作製した。
【0056】
<インクジェット記録媒体Eの作製>
水400部に、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部、気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理してシリカ分散液を調製した。
【0057】
得られたシリカ分散液に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液230部と界面活性剤2.5部を加えて塗工組成物を調製した。
得られた塗工組成物を、前述のインクジェット記録媒体Aと同様にして、坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、塗工、乾燥後、ソフトカレンダーを用い、印刷用紙の風合いを持たせるためにJIS Z 8741による75度鏡面光沢度が45%以上55%以下の範囲に入るように調整してカレンダー処理を行ってインクジェット記録媒体Eを作製した。
【0058】
<インクジェット記録媒体Fの作製>
前述のインクジェット記録媒体Eの、気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)に代えて、気相法シリカ(平均一次粒子径12nm、比表面積200m/g)を用いた以外は、インクジェット記録媒体Eと同様にしてインクジェット記録媒体Fを作製した。
【0059】
<インクジェット記録媒体Gの作製>
インクジェット記録媒体Bの塗工組成物を調製の際に、ポリエチレングリコール(重合度400)を3部添加した以外は、インクジェット記録媒体Cと同様にしてインクジェット記録媒体Gを作製した。
【0060】
<インクジェット記録媒体Hの作製>
インクジェット記録媒体Eの塗工組成物を調製の際に、ポリエチレングリコール(重合度400)を3部添加した以外は、インクジェット記録媒体Eと同様にしてインクジェット記録媒体Hを作製した。
【0061】
<インクジェット記録媒体I〜Mの作製>
インクジェット記録媒体Bの塗工組成物を乾燥後の塗工量10g/mを、それぞれ2g/m、3g/m、5g/m、15g/m、20g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Cと同様にしてインクジェット記録媒体I〜Mを作製した。
【0062】
<インクジェット記録媒体Nの作製>
インクジェット記録媒体Gの塗工組成物を乾燥後の塗工量10g/mを、5g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Gと同様にしてインクジェット記録媒体Nを作製した。
【0063】
<インクジェット記録媒体Oの作製>
インクジェット記録媒体Eの塗工組成物を乾燥後の塗工量10g/mを、5g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Eと同様にしてインクジェット記録媒体Oを作製した。
【0064】
<インクジェット記録媒体Pの作製>
インクジェット記録媒体Hの塗工組成物を乾燥後の塗工量10g/mを、5g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Hと同様にしてインクジェット記録媒体Pを作製した。
【0065】
<インクジェット記録媒体QおよびRの作製>
インクジェット記録媒体Bの塗工組成物を調製の際に、アルミナ水和物100部に対し、4%ホウ酸水溶液を固形分比で0.2部になるように添加して塗工組成物を調製し、乾燥後の塗工量を10g/mおよび20g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Cと同様にしてインクジェット記録媒体QおよびRを作製した。
【0066】
<インクジェット記録媒体SおよびTの作製>
インクジェット記録媒体Gの塗工組成物を調製の際に、アルミナ水和物100部に対し、4%ホウ酸水溶液を固形分比で0.2部になるように添加して塗工組成物を調製し、乾燥後の塗工量を10g/mおよび20g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Gと同様にしてインクジェット記録媒体SおよびTを作製した。
【0067】
<インクジェット記録媒体UおよびVの作製>
インクジェット記録媒体Eの塗工組成物を調製の際に、気相法シリカ100部に対し、2%ホウ砂水溶液を固形分比で0.5部になるように添加して塗工組成物を調製し、乾燥後の塗工量を10g/mおよび20g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Eと同様にしてインクジェット記録媒体UおよびVを作製した。
【0068】
<インクジェット記録媒体WおよびXの作製>
インクジェット記録媒体Hの塗工組成物を調製の際に、気相法シリカ100部に対し、2%ホウ砂水溶液を固形分比で0.5部になるように添加して塗工組成物を調製し、乾燥後の塗工量を10g/mおよび20g/mとした以外は、インクジェット記録媒体Hと同様にしてインクジェット記録媒体WおよびXを作製した。
【0069】
<実施例1〜36>
表1に印字物を作製したインクジェット記録方法およびインクジェット記録媒体を示した。ここで、塩基性化合物を含む水性溶液はインクジェット記録媒体上にストライプ状に吐出し、インクジェット記録インクはストライプ状に吐出した箇所にヒューレットパッカード製Photosmart Pro B9180を用いて吐出した。なお、表1中でAlおよびSiはサブミクロン顔料の種類であり、それぞれアルミナ水和物および気相法シリカを表す。
【0070】
【表1】

【0071】
<比較例1>
実施例2における塩基性化合物を含む水性溶液を、インクジェット記録媒体上に吐出しなかった以外は、実施例2と同様にして比較例1の印字物を作製した。
【0072】
<比較例2〜5>
インクジェット記録媒体として、市販のPPC用紙(三菱製紙社製PPC用紙RE FSC認証−MIX 64.0g/m)を用いた以外は、実施例2〜5と同様にして比較例2〜5の印字物を作製した。
【0073】
<比較例6〜9>
インクジェット記録媒体として、市販のコート紙(三菱製紙社製パールコートN 81.4g/m)を用いた以外は、実施例2〜5と同様にして比較例6〜9の印字物を作製した。
【0074】
<比較例10〜13>
インクジェット記録媒体として、多孔質顔料(トクヤマ製合成非晶質シリカ:ファインシールX37B、粒子径3.8μm)をインク受理層に含有するインクジェット記録媒体Yを用いた以外は、実施例2〜5と同様にして比較例10〜13の印字物を作製した。なお、本実施例に記載のサブミクロン顔料に変えて該多孔質顔料を用いたところ、塗層強度が弱くインク受理層を支持体上に設けることができなかったため、下記の内容にて該多孔質顔料を含有する塗工組成物を調製しインクジェット記録媒体Yを作製した。
【0075】
水438部に合成非晶質シリカ(トクヤマ製:ファインシールX37B、粒子径3.8μm)100部を分散し、10%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ製:PVA117)200部、30%アクリルアミド・ジアリルアンモニウムクロライド共重合体溶液50部、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス(クラレ製:OM3300)10部と界面活性剤2.5部を加えて塗工組成物を調製した。
【0076】
得られた塗工組成物を、前述のインクジェット記録媒体Aと同様にして、坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、塗工、乾燥、カレンダー処理を行い、インクジェット記録媒体Yを作製した。なお、カレンダー処理では印刷用紙の風合いを持った光沢を付与することができず、インクジェット記録媒体Aと同様の条件でカレンダー処理したときのJIS Z 8741による75度鏡面光沢度は8%であった。
【0077】
(評価)
実施例1〜36および比較例1〜13で作製した印字物を下記の方法にて評価した。結果を表2および表3に示す。
【0078】
<発色性>
得られた印字物のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)のベタ部の印字濃度を濃度計(GretagMacbeth社製SpectorEYE)で測定した。一般には濃度が高いほど色再現域が広く発色性が優れていることを示す。
【0079】
<インク定着性1>
印字物を作製した際の、プリンターの送りロールによるインクの転写跡を目視で確認した。
A:転写跡が認められない。
B:非常に薄いインクの転写跡が僅かに確認される。
C:印字箇所から10mm以上に渡って、インクの転写跡が確認される。
ここで、Aが良好であり、Bが実用限度、Cが使用不可能なレベルである。
【0080】
<インク定着性2>
印字後1分後にシアンインクのベタ印字部に水0.1mlを垂らし、綿棒で5回擦り、インクの綿棒への付着を確認した。
A:綿棒へのインクの付着が認められない。
B:非常に薄いインクの付着が僅かに確認される。
C:インクの綿棒への付着が明らかに確認される。
ここで、Aが良好であり、Bが実用限度、Cが使用不可能なレベルである。
【0081】
<インク受理層の欠陥>
インク受理層の表面にひび割れ状の亀裂があると、インクがひび割れに浸透してヒゲ状に着色して見えることがある。塗工面を目視で観察し、ひび割れ状態を下記の基準で評価した。
A:全くひび割れは見られず。
B:僅かに極小さいひび割れが見られる。
ここで、A、Bともに使用可能なレベルであるがAのほうが好ましい。
【0082】
<カール>
A4サイズのインクジェット記録媒体の中央に16cmx24cmの黒ベタ印字を行い、23℃、50%RHの環境下にて記録媒体の印字面を上にして平らな卓上に置き、印字後5分後の四隅の卓上からの平均の高さを測定した。数字が0に近いほど良好であることを示す。
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
<実施例37〜50>
表4に示したインクジェット記録媒体上に、ヒューレットパッカード製CM8060 Color MFPを用いて、塩基性化合物を含む水性溶液を記録媒体上に吐出し、続いてインクジェットインクを吐出して印字物を作製した。
【0086】
<比較例14>
インクジェット記録媒体として、市販のPPC用紙(三菱製紙社製PPC用紙RE FSC認証−MIX 64.0g/m)を用いた以外は、実施例37と同様にして比較例14の印字物を作製した。
【0087】
<比較例15>
インクジェット記録媒体として、市販のコート紙(三菱製紙社製パールコートN 81.4g/m)を用いた以外は、実施例37と同様にして比較例15の印字物を作製した。
【0088】
<比較例16>
インクジェット記録媒体として、多孔質顔料(トクヤマ製合成非晶質シリカ:ファインシールX37B、粒子径3.8μm)をインク受理層に含有するインクジェット記録媒体Yを用いた以外は、実施例37と同様にして比較例16の印字物を作製した。
【0089】
(評価)
実施例37〜50および比較例14〜16で作製した印字物を実施例1〜36および比較例1〜13と同様の方法にて、発色性およびインク定着性を評価した。結果を表4および表5に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
<支持体の両面にインク受理層を有するインクジェット記録媒体の作製>
インクジェット記録媒体B、E、G、H、Q、S、U、Wの各インクジェット塗工組成物を支持体の両面に塗工し、インク受理層を支持体の両面に設けた以外は、インクジェット記録媒体B、E、G、H、Q、S、U、Wと同様にして8種類のインクジェット記録媒体を作製した。
【0093】
<実施例51〜58>
インク受理層を支持体の両面に設けた8種類のインクジェット記録媒体の片面上に、ヒューレットパッカード製CM8060 Color MFPを用いて、塩基性化合物を含む水性溶液を記録媒体上に吐出し、続いてインクジェットインクを吐出し、続いてもう片方の面上に同様の方法にて塩基性化合物およびインクジェットインクを吐出して印字物を作製した。
【0094】
得られた8種類の印字物のインク定着性および発色性を評価した結果、片面のみにインク受理層を設けた印字物と全く同じ結果であった。なお、印字物を作製する過程において、連続して両面に印字しているにもかかわらず、搬送不良などの問題は全く発生せず、搬送性も良好であった。
【0095】
実施例から明らかなように、本発明の記載のインクジェット記録方法およびインクジェット記録媒体により、インク定着性に優れたインクジェット記録方法およびこれに用いる印刷用紙の風合いを有するインクジェット記録媒体を提供することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録ヘッドからインクジェットインクを吐出して記録媒体に記録するインクジェット記録方法において、該記録媒体が支持体上の少なくとも一方の面にインク受理層が設けられているインクジェット記録媒体であり、該インク受理層が主としてシリカまたはアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種のサブミクロン顔料とポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成され、且つ該インク受理層がカレンダーによって光沢処理が施されており、該インクジェット記録媒体のインク受理層が設けられている面に、該インクジェットインクを吐出する前に少なくとも1種の塩基性化合物を含む水性溶液を吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
該塩基性化合物がグアニジン誘導体、ビグアニジン誘導体、グアニジンの重縮合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
請求項1に記載の記録方法に用いるインクジェット記録媒体において、インク受理層に含有されるサブミクロン顔料の平均一次粒子径が6nm以上18nm未満であるインクジェット記録媒体。
【請求項4】
該インク受理層にポリエチレングリコールが含有されている請求項3に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項5】
該サブミクロン顔料が気相法シリカである請求項3記載のインクジェット記録媒体。
【請求項6】
該サブミクロン顔料が擬ベーマイトである請求項3記載のインクジェット記録媒体。
【請求項7】
該インク受理層の塗工量が、3g/m以上15g/m以下である請求項3に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項8】
該インク受理層にホウ酸またはその塩が含有されている請求項3に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項9】
該インク受理層が支持体の両面に設けられている請求項3に記載のインクジェット記録媒体。

【公開番号】特開2010−142994(P2010−142994A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320737(P2008−320737)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】