説明

インクジェット記録用インクセット

【課題】印刷速度に制限されることなく、カラーブリードの抑制された画像を形成することができる紫外線硬化型のインクジェット記録用のインクセットを提供する。
【解決手段】紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも1種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットにおいて、
各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有する塩基含有単量体であり、
前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有する酸含有単量体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線により硬化するブラックインク組成物とカラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用のインクセットに係り、特に、プラスチックや金属等のようにインク吸収性のない材料やインク吸収性の低い材料(すなわち、インク非吸収性材料)上に記録するのに適したインク組成物を備えたインクジェット記録用のインクセットに関する。更に詳しくは、本発明は、色相の異なるインク液体同士が記録媒体上で混ざることによって色濁りを起こすいわゆるカラーブリードの抑制された画像を形成することができるインクジェット記録用のインクセットに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。このインクジェット記録方法は、高解像度、高品位な画像を、高速で印刷することができるという特徴を有するものである。インクジェット記録方法に使用されるインク組成物は、水性溶媒を主成分とし、これに着色成分および目詰まりを防止する目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。
一方、水性インク組成物が浸透し難い紙、布類、または浸透しない金属、プラスチック等の素材、例えばフェノール、メラミン、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、PET、PP、PEなどの樹脂から製造される板、フィルムなどの記録媒体に印字する場合、インク組成物には、色材が安定して記録媒体に固着できる成分を含有することが要求される。
【0003】
これらの要求に対しては、従来、紫外線照射により高分子化する成分を含んでなるインク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、色材、紫外線硬化剤、光重合開始剤等を含んでなる紫外線硬化型インク組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。上記のように、紫外線等の光を照射することにより高分子化する成分を含んでなるインク組成物を用いたインクジェット記録方法にあっては、インク組成物を記録媒体に付着させた後、紫外線等の光を照射する。すると、インク組成物中の光重合開始剤がラジカル等を生成し、これによって、オリゴマー、モノマーが重合を開始して硬化するため、インク組成物中の色材が記録媒体上に固着する。しかし、これらの方法では、記録媒体上でインクの硬化が間に合わず、異なる色相のインク液体同士が混ざり色濁りを起こす現象(カラーブリード)が生じるという問題があった。
【0004】
そのため、特許文献3〜5では、インクジェット記録装置の構造に改良を加え、紫外線等の光の照射条件やインクの吐出量を制御することにより各色相のインクの硬化速度を促進し、カラーブリードを抑制する方法が提案されている。また特許文献6では、光反応性ポリマー微粒子を含有することによりカラーブリードの発生が抑制されたインク組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−216379号公報
【特許文献2】米国特許第5623001号明細書
【特許文献3】特開2007−136988号公報
【特許文献4】特開2007−144637号公報
【特許文献5】特開2010−691号公報
【特許文献6】特開2001−115067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3〜5の方法では、紫外線等の光の照射条件やインクの吐出量に制限が生じるため、印刷速度や印刷後の画質に制約が生じるという欠点がある。また特許文献6のインク組成物では、印刷時のインクの吐出信頼性に対する光反応性ポリマー微粒子の影響が懸念される。
【0007】
本発明は、従来のインクジェット記録用インクセットにおける上記課題に着目してなされたものであって、その目的は、印刷速度に制限されることなく、カラーブリードの抑制された画像を形成することができる紫外線硬化型のインクジェット記録用のインクセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、インクジェット記録用のインクセットを構成するブラックインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体と、カラーインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体とが反対極性の官能基を有することで上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも1種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットであって、
各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有する塩基含有単量体であり、
前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有する酸含有単量体であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
(2)前記紫外線硬化型ブラックインク組成物が更に光酸発生剤を含有し、酸含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物が、更に光塩基発生剤を含有することを特徴とする上記(1)記載のインクジェット記録用インクセット。
(3)酸含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物に含有される顔料が、イエロー顔料であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のインクジェット記録用インクセット。
(4)紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも1種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットであって、
各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有する酸含有単量体であり、
前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有する塩基含有単量体であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
(5)前記紫外線硬化型ブラックインク組成物が更に光塩基発生剤を含有し、塩基含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物が、更に光酸発生剤を含有することを特徴とする上記(4)記載のインクジェット記録用インクセット。
(6)塩基含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物の含有する顔料が、イエロー顔料であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載のインクジェット記録用インクセット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インクセットを構成するブラックインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体と、カラーインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体とが反対極性の官能基を有するため、印刷速度に制限されることなく、カラーブリードの抑制された画像を形成することができる紫外線硬化型のインクジェット記録用のインクセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例における評価用印字物の評価パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、「インクセット」ともいう)について詳細に説明する。
(1)第一の発明
第一の発明は、紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも1種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットであって、各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有し、前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有するインクジェット記録用インクセットである。尚、本発明においては、分子中に塩基性官能基を有するラジカル重合性単量体を塩基含有単量体、分子中に酸性官能基を有するラジカル重合性単量体を酸含有単量体と称することもある。
【0013】
ここで、紫外線硬化型ブラックインク組成物(以下、「ブラックインク組成物」ともいう)とは、色相がブラック、グレイ又はライトブラック、より好ましくは基本色であるブラックであって、紫外線の照射により硬化反応が起こるインク組成物である。
一方、紫外線硬化型カラーインク組成物(以下、「カラーインク組成物」ともいう)とは、色相がイエロー、マゼンタ、シアン、ライトマゼンタ、レッド、ライトシアン又はブルー等であって、紫外線の照射により硬化反応が起こるインク組成物であり、カラーインク組成物の種類には色相に対応したイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物等がある。これらのなかでも、ブラックとの混合により色濁りを起こし易い淡色の色相を有するインク組成物、すなわちブラックとの明度の差が大きいイエローインク組成物、ライトマゼンタインク組成物及びライトシアンインク組成物、特にイエローインク組成物ではカラーブリード抑制効果が顕著である。
なお、上記色相のうち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックは基本4色であり、ライトマゼンタはマゼンタの淡色でレッドはマゼンタの濃色、ライトシアンはシアンの淡色でブルーはシアンの濃色、グレイとライトブラックはブラックの淡色である。
【0014】
本発明で使用される顔料としては、特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
【0015】
ブラックインク組成物に使用できる顔料の具体例としては、カーボンブラックとして、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRegal400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlack S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Special Black 6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
【0016】
イエローインク組成物に使用できる顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用できる顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントヴァイオレット 19等が挙げられる。
さらに、シアンインクに使用できる顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、顔料はその平均粒径が10〜200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜150nm程度のものである。
紫外線硬化型インク組成物における顔料の添加量は、0.1〜25質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%程度の範囲である。
また、カラーブリード抑制効果の観点から、カラーインク組成物の含有する顔料は、イエロー顔料であることが好ましい。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤または界面活性剤で媒体中に分散させて得られた顔料分散液として使用することができる。好ましい分散剤としては、顔料分散液の調製に慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
【0019】
本発明において、紫外線硬化型ブラックインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種と、紫外線硬化型カラーインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種は、反対極性の官能基を有する。すなわち、ブラックインク組成物のラジカル重合性単量体の少なくとも1種は分子中に塩基性官能基を有し、カラーインク組成物のラジカル重合性単量体の少なくとも1種は分子中に酸性官能基を有する。これは、インクジェット方法による印刷時にブラックインク組成物とカラーインク組成物が隣接して着弾した際、ブラックとカラーの顔料同士が接触する前に、境界領域において溶媒であるラジカル重合性単量体の官能基同士が反応して固化することによって、顔料同士が混ざりカラーブリードを起こすことを抑制するためである。
なお、本発明のインクセットが複数のカラーインク組成物を備える場合、複数のカラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が酸性官能基を有していればよい。また、本発明のインクセットが濃淡の異なる複数のブラックインク組成物(ブラック、グレイ、ライトグレイ)を備える場合、少なくとも低明度のブラックインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体が塩基性官能基を有していることが好ましい。
【0020】
また本発明においては、ブラックインク組成物が更に光酸発生剤を含有し、カラーインク組成物のうち酸性官能基を有するラジカル重合性単量体を含むものが、更に光塩基発生剤を含有することが好ましい。これにより、上述のようにブラックとカラーの境界領域において溶媒を固化させるのみならず、紫外線照射時にブラックインク組成物とカラーインク組成物の各々の印字部分領域内も酸塩基反応で固化することによって、顔料同士が混ざることを更に抑制することができる。
【0021】
本発明で使用されるラジカル重合性単量体のうち分子中に塩基性官能基を有するものとしては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等があり、具体的には、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジンの如きモノビニルピリジン類;N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレンの如きジアルキルアミノ基を有するスチレン類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリレートの如きアクリル酸又はメタクリル酸のジアルキルアミノ基を有するエステル類;2−ジメチルアミノエチルビニルエーテルの如きジアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドの如きジアルキルアミノ基を有するアクリルアミド又はメタクリルアミド類、あるいはこれらをハロゲン化アルキル(アルキル基の炭素数1〜18、ハロゲンとして塩素、臭素、ヨウ素)、ハロゲン化ベンジル、例えば塩化ベンジル又は臭化ベンジル、アルキル又はアリールスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はトルエンスルホン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、及び硫酸ジアルキル(アルキル基の炭素数1〜4)の如き公知の4級化剤で4級化したもの等が挙げられる。
【0022】
本発明で使用されるラジカル重合性単量体のうち分子中に酸性官能基を有するものとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等があり、具体的には、不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等、又はそれらの無水物があり、不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステルがあり、不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタアクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0023】
また、本発明では、上記塩基性官能基を有するラジカル単量体または酸性官能基を有するラジカル単量体とともに、他のラジカル単量体を併用してもよい。併用できるラジカル単量体としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類等が挙げられる。なお、本明細書中において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
【0024】
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシルカルビトール(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
二官能(メタ)アクリレートとしては、1,4−ブタンジオール(メタ)ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
三官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等が挙げられる。
【0027】
四官能の(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
五官能の(メタ)アクリレートとしては、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0029】
六官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
【0031】
芳香族ビニル類としては、スチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、紫外線硬化型インク組成物におけるラジカル重合性単量体の添加量は、70〜90質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは75〜85質量%程度の範囲である。
塩基性官能基や酸性官能基を含有しないラジカル重合性単量体を併用する場合には、塩基性官能基または酸性官能基を含有するラジカル重合性単量体は、紫外線硬化型インク組成物におけるラジカル重合性単量体の総量に対して10〜90質量%、より好ましくは65〜80質量%で添加されることが好ましい。
【0033】
本発明で使用される光酸発生剤としては、潜在性カチオン重合性触媒として具体的には、下記一般式(1)で示される第四級アンモニウム塩、下記一般式(2)で示されるホスホニウム塩、下記一般式(3)、(4)または(5)で示されるスルホニウム塩、下記一般式(6)で示されるジアゾニウム塩および下記一般式(7)で示されるヨードニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のオニウム塩である。
【0034】
【化1】

【0035】
(一般式(1)中、R〜R12は、それぞれ、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜12のアルケニル基、アリール基、アルカリール基、炭素原子数1〜20のアルカノール基もしくは炭素原子数5〜10のシクロアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また置換基を有しても有さなくてもよい。また、R〜R12のうち2個は互いに結合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。さらに、Xは、BF、PF、AsF、SbF、SbCl、(CB、SbF(OH)、HSO、p−CHSO、HCO、HPO、CHCOOおよびハロゲン原子からなる群より選ばれる1価の陰イオンを表わす。)
【0036】
【化2】

【0037】
(一般式(2)中、R〜R12およびXは、それぞれ、上記一般式(1)におけるR〜R12およびXと同じである。)
【0038】
【化3】

【0039】
(一般式(3)中、R〜R11およびXは、それぞれ、上記一般式(1)におけるR〜R11およびXと同じであり、R〜R11のうち2個は互いに結合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。)
【0040】
【化4】

【0041】
(一般式(4)中、R、R10およびXは、それぞれ、上記一般式(1)におけるR、R10およびXと同じであり、RおよびR10は互いに結合して、N、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。また、Arは、置換基を有しても有さなくてもよい1価のアリール基を表わし、Arは、置換基を有しても有さなくてもよい2価のアリーレン基を表わす。)
【0042】
【化5】

【0043】
(一般式(5)中、R〜R12およびXは、それぞれ、上記一般式(1)におけるR〜R12およびXと同じである。また、Arは、上記一般式(4)におけるArと同じであり、Arは、上記一般式(4)におけるArと同じである。)
【0044】
【化6】

【0045】
(一般式(6)中、ArおよびXは、それぞれ、上記一般式(4)におけるArおよび上記一般式(1)におけるXと同じである。)
【0046】
【化7】

【0047】
(一般式(7)中、Xは、上記一般式(1)におけるXと同じであり、ArおよびArは、互いに同一でも異なっていてもよく、また置換基を有しても有さなくてもよい1価のアリール基である。)
【0048】
ここで、前記一般式(1)〜(5)において、R、R10、R11またはR12としての前記炭素原子数1〜20のアルキル基としては、置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびエイコシル基などが挙げられる。また、前記R、R10、R11またはR12としての炭素原子数3〜12のアルケニル基としては、置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルケニル基が含まれ、例えば、n−プロペニル基、n−ブテニル基、sec−ブテニル基、tert−ブテニル基、n−ペンテニル基、sec−ペンテニル基、ヘキセニル基、n−ヘプテニル基、sec−ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基およびウンセニル基などが挙げられる。前記R、R10、R11またはR12としてのアリール基としては、例えば、置換または非置換の、フェニル基、ナフチル基またはアントラセン基が含まれ、特に、フェニル基が好ましい。前記R、R10、R11またはR12としてアルカリール基としては、前述の炭素原子数1〜20のアルキル基およびアリール基で構成されるものが挙げられる。また、前記R、R10、R11またはR12としての炭素原子数1〜20のアルカノール基としては、置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルカノール基が含まれ、例えば、エタノール基、n−プロパノール基、イソプロパノール基、n−ブタノール基、sec−ブタノール基、tert−ブタノール基、n−ペンタノール基、sec−ペンタノール基、1−ヘキサノール基、1−ヘプタノール基、1−オクタノール基、1−ノナノール基、1−デカノール基、1−ウンデカノール基、1−ドデカノール基、1−トリデカノール基、1−テトラデカノール基、1−ペンタデカノール基、1−ヘキサデカノール基、1−ヘプタデカノール基、1−オクタデカノール基、1−ノナデカノール基および1−エイコサノール基などが挙げられる。さらにまた、前記R、R10、R11またはR12としての炭素原子数5〜10のシクロアルキル基としては、置換基を有しても、有さなくてもよい分岐を有することのあるシクロアルキル基が含まれ、例えば、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基などが挙げられる。一方、前記一般式(4)および(6)において、Arとしての置換基を有しても有さなくてもよい1価のアリール基としては、置換または非置換の、フェニル基またはナフチル基が挙げられる。また、前記一般式(4)および(5)において、Arとしての置換基を有しても有さなくてもよい2価のアリーレン基としては、置換または非置換の、フェニレン基またはナフチレン基が挙げられる。なお、前記一般式(1)〜(6)において、前記置換基としては、例えば、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基およびn−オクチル基などの炭素原子数1〜8のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基などの炭素原子数5〜7のシクロアルキル基、またはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基およびオクチルオキシ基などの炭素原子数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。前記一般式(7)において、ArおよびArは互いに同一でも異なっていてもよく、また置換基を有しても有さなくてもよい1価のアリール基である。このような1価のアリール基としては、例えば、置換または非置換の、フェニル基、ナフチル基またはアントラセン基が挙げられ、特に、フェニル基が好ましい。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基およびn−オクチル基などの炭素原子数1〜8のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基などの炭素原子数5〜7のシクロアルキル基、またはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基およびオクチルオキシ基などの炭素原子数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
【0049】
前記一般式(1)で示される第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウム−p−トルエンスルホネート、N−ベンジル−N,N−ジメチルアニリニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル−N,N−ジメチルアニリニウム四フッ化ホウ素、N−(4−メトキシベンジル)−N,N−ジメチルアニリニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル−N,N−ジメチルトルイジニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル−4−シアノピリジニウム六フッ化アンチモン、4−シアノ−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモンなどを挙げることができる。
【0050】
前記一般式(2)で示されるホスホニウム塩の具体例としては、例えば、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモンなどを挙げることができる。
【0051】
前記一般式(3)、(4)または(5)で示されるスルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化砒素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、アデカオプトンSP−150(旭電化工業株式会社製、対イオン:PF)、アデカオプトンSP−170(旭電化工業株式会社製、対イオン:SbF)、アデカオプトンCP−66(旭電化工業株式会社製、対イオン:SbF)、アデカオプトンCP−77(旭電化工業株式会社製、対イオン:SbF)、サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF)、サンエイドSI−80L(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF)、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF)、サンエイドSI−150(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF)、CYRACURE UVI−6974(ユニオン・カーバイド社製、対イオン:SbF)、CYRACURE UVI−6990(ユニオン・カーバイド社製、対イオン:PF)、UVI−508(ゼネラル・エレクトリック社製)、UVI−509(ゼネラル・エレクトリック社製)、FC−508(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)、FC−509(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)、CD−1010(サートマー社製)、CD−1011(サートマー社製)およびCIシリーズ(日本曹達株式会社製、対イオン:PF、SbF)などを挙げることができる。
【0052】
前記一般式(6)で示されるジアゾニウム塩の具体例としては、アメリカン・キャン社製のAMERICURE(対イオン:BF)および旭電化工業株式会社製のULTRASET(対イオン:BF、PF)などを挙げることができる。また、前記一般式(7)で示されるヨードニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム六フッ化砒素、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム六フッ化砒素、ジ(4−ブロムフェニル)ヨードニウム六フッ化砒素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム六フッ化砒素、ゼネラル・エレクトリック社製のUVEシリーズ、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製のFCシリーズ、東芝シリコーン社製のUV−9310C(対イオン:SbF)およびローヌプーラン社製のPhotoinitiator2074(対イオン:(CB)などを挙げることができる。
【0053】
本発明で使用される光塩基発生剤としては、o−ニトロベンジルカルバメート、α,α−ジメチルベンジルカルバメート、α−ケトカルバメート、O−アシルオキシム、オキシルカルバメート、N−ヒドロキシイミドカルバメート、ホルムアニリド誘導体、N−アルキルトシルスルホンアミド、コバルトアミン錯体、フェニルグリオキシル酸アンモニウム塩、ジフェニルメチルトリメチルアンモニウム塩、N−ベンゾフェノンメチルトリ−N−アルキルアンモニウムボレート、α−アンモニウムアセトフェノン誘導体、α−オニウムアセトフェノン誘導体、アミンイミド誘導体、o−ニトロベンジルカルバメート、α−モルホリノアセトフェノン誘導体、ベンジル置換アミジン誘導体などを挙げることができる。
これらの光塩基発生剤の構造式及び生成するアミンの一例について、以下の表1及び表2に示す。また、第一級及び第二級アミンを生成する光塩基発生剤の一例を表3に、第三級アミン及びアニオンを生成する光塩基発生剤の一例を表4に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
本発明の好ましい態様によれば、紫外線硬化型インク組成物における光酸発生剤の添加量は、1〜10質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8質量%程度の範囲である。また紫外線硬化型インク組成物における光塩基発生剤の添加量は、1〜10質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8質量%程度の範囲である。
【0059】
本発明で使用される光ラジカル発生剤は、分子開裂型のものとしては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等を用いても良い。さらに分子開裂型と水素引き抜き型の光重合開始剤を併用することもできる。
また上記光ラジカル発生剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
【0060】
本発明の好ましい態様によれば、紫外線硬化型インク組成物における光ラジカル発生剤の添加量は、0.5〜15質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは3〜10質量%程度の範囲である。
【0061】
本発明における紫外線硬化型インク組成物は重合促進剤が含まれていても良い。
重合促進剤としては、特に限定されないが、Darocur EHA、EDB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、本発明における紫外線硬化型インク組成物は、熱ラジカル重合禁止剤を含有することが好ましい。これにより、インク組成物の保存安定性が向上する。なお、熱ラジカル重合禁止剤としては、Irgastab UV−10、UV−22(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0062】
さらに本発明における紫外線硬化型インク組成物は界面活性剤を使用することができ、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましく、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を挙げることができる。
【0063】
この他に、必要に応じてレベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。
【0064】
本発明における紫外線硬化型インク組成物は紫外線照射をすることにより硬化反応を行う。
紫外線の照射量は、10mJ/cm以上、10,000mJ/cm以下が好ましく、より好ましくは50mJ/cm以上、6,000mJ/cm以下の範囲で行う。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができる。
【0065】
紫外線照射は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。
例えばFusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
また、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子により、紫外線照射を行うことができる。
【0066】
(2)第二の発明
第二の発明は、紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも1種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットであって、各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有し、前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有するインクジェット記録用インクセットである。
【0067】
すなわち、第二の発明は上述した第一の発明に係るラジカル重合性単量体の有する官能基の極性を全て逆にすることで第一の発明と同等の効果を実現するものである。換言すると、第一の発明ではブラックインク組成物中のラジカル重合性単量体の少なくとも1種が分子中に酸性官能基を有するが、第二の発明では酸性官能基の代わりに塩基性官能基を有し、一方、第一の発明ではカラーインク組成物中のラジカル重合性単量体の少なくとも1種が分子中に塩基性官能基を有するが、第二の発明では塩基性官能基の代わりに酸性官能基を有する点以外は、第一の発明と第二の発明は共通する。これにより第一の発明と同様に、インクジェット方法による印刷時にブラックインク組成物とカラーインク組成物が隣接して着弾した際、ブラックとカラーの顔料同士が接触する前に、境界領域において溶媒であるラジカル重合性単量体の官能基同士が反応して固化することによって、顔料同士が混ざり、カラーブリードを起こすことを抑制できる。
【0068】
また、第二の発明ではブラックインク組成物が更に光塩基発生剤を含有し、カラーインク組成物のうち塩基性官能基を有するラジカル重合性単量体を含むものが、更に光酸発生剤を含有することが好ましい。これにより第一の発明と同様に、紫外線照射時にブラックインク組成物とカラーインク組成物の各々の印字部分領域内を酸塩基反応で固化することによって、顔料同士が混ざることを更に抑制することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例
に限定されるものではない。
【0070】
(紫外線硬化型インク組成物の製造)
1.ブラックインク組成物1の製造方法
1Lビーカーに、ジメチルアミノエチルアクリレート58g、ブラック顔料(Ciba(株)製MICROLITH Black C−K)12.0gを添加し、攪拌機(プライミクス社製T.K.ロボミックス)で16,000rpmで2時間攪拌し、ミルベースを作製した。当該ミルベースを、サンドグラインダー(ダイノミル(株)シンマルエンタープライゼス社製 ジルコニアビーズφ0.3mm 充填率80% 周速20m/sec)で3時間分散し、顔料分散液を作製した。当該分散液を、カートリッジフィルター(ロキテクノ(株)製 VNN−010)で加圧ろ過してろ液を得て、当該ろ液に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート25g、光重合開始剤(IRGACURE819(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 3g、IRGACURE127(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 2g)を添加し、黒色のUV硬化インク組成物とした。
【0071】
2.ブラックインク組成物2の製造方法
ブラックインク組成物1のジメチルアミノエチルアクリレートをアクリル酸に変更した他は、ブラックインク組成物1と同様にしてブラックインク組成物2を作製した。
【0072】
3.ブラックインク3の製造方法
ブラックインク1の光重合開始剤をIRGACURE819 2g、IRGACURE127 2g、下記一般式で示される光酸発生剤(A) 1gに変更し、他はブラックインク1と同様にしてブラックインク3を作製した。
【0073】
(光酸発生剤(A))
【化8】

【0074】
4.ブラックインク4の製造方法
ブラックインク2の光重合開始剤をIRGACURE819 2g、IRGACURE127 2g、下記一般式で示される光塩基発生剤(B) 1gに変更し、他はブラックインク2と同様にしてブラックインク4を作製した。
【0075】
(光塩基発生剤(B))
【化9】

【0076】
5.カラーインク組成物1の製造方法
ブラックインク組成物2のブラック顔料をCiba社製Microlith Yellow 4G−Kに変更した他は、ブラックインク組成物2と同様にしてカラーインク組成物1を作製した。
【0077】
6.カラーインク組成物2の製造方法
ブラックインク組成物1のブラック顔料をCiba社製Microlith Yellow 4G−Kに変更した他はブラックインク組成物1と同様にしてカラーインク組成物2を作製した。
【0078】
7.カラーインク組成物3の製造方法
カラーインク組成物1の光重合開始剤をIRGACURE819 2g、IRGACURE127 2gとし、上記一般式で示される光塩基発生剤(B) 1gを添加した他は、カラーインク組成物1と同様にしてカラーインク組成物3を作製した。
【0079】
8.カラーインク組成物4の製造方法
カラーインク組成物2の光重合開始剤をIRGACURE819 2g、IRGACURE127 2gとし、上記一般式で示される光酸発生剤(A) 1gを添加した他は、カラーインク組成物2と同様にしてカラーインク組成物4を作製した。
【0080】
9.カラーインク組成物5の製造方法
ブラックインク組成物2のブラック顔料をCiba社製Microlith Blue 4G−Kに変更した他は、ブラックインク組成物2と同様にしてカラーインク組成物5を作製した。
【0081】
10.カラーインク組成物6の製造方法
ブラックインク組成物1のブラック顔料をCiba社製Microlith Blue 4G−Kに変更した他はブラックインク組成物1と同様にしてカラーインク組成物2を作製した。
【0082】
(実施例1)
1.評価用印字物の作成
ブラックインク組成物1とカラーインク組成物1をそれぞれUV硬化インクジェットプリンター(ミマキエンジニアリング株式会社製:型番JF−1610)のインクカートリッジに充填し、ブラックインク組成物1を充填したインクカートリッジを当該プリンターの黒カートリッジ装着箇所に、カラーインク組成物1を充填したインクカートリッジを黄カートリッジ装着箇所にそれぞれ装着した。
印刷台に基材(PETフィルム〈東レ株式会社製:型番125−E20〉をA4サイズに裁断したもの)を吸引装着し、評価パターンの印刷データを作成して(5cm×5cm正方形duty100%)、同データを当該フィルム上に印刷した。印刷モードは、高速印刷モード(600dpi×600dpi 4パス CMYKカラーコード UV照射設定100% クリアコート無し)と、低速印刷モード(1200dpi×1200dpi 16パス CMYKカラーコード UV照射設定100% クリアコート無し)の2種類で実施した。使用した評価パターンを図1に示す(黄色地に黒色線のパターン)。
2.評価基準
印刷物の黒色線と黄色地との境界部分を目視観察し、カラーブリードが全く認められない場合を◎、カラーブリードが僅かに認められる場合を○、著しいカラーブリードが認められる場合を×とした。結果を表5に示す。
【0083】
(実施例2)
ブラックインク組成物2とカラーインク組成物2を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
(実施例3)
ブラックインク組成物3とカラーインク組成物3を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
(実施例4)
ブラックインク組成物4とカラーインク組成物4を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
(実施例5)
ブラックインク組成物1とカラーインク組成物5を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
(実施例6)
ブラックインク組成物2とカラーインク組成物6を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
【0084】
(比較例1)
ブラックインク組成物1とカラーインク組成物2を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
(比較例2)
ブラックインク組成物2とカラーインク組成物1を用いて実施例1と同様の方法で評価用印字物を作成後、実施例1と同様の評価基準で評価した。結果を表5に示す。
【0085】
【表5】

【0086】
表5より、ブラックインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体と、紫外線硬化型カラーインク組成物に含まれるラジカル重合性単量体の有する官能基が反対極性の場合、印刷速度に制限されることなく、カラーブリードの抑制された画像を形成することができることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも1種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットであって、
各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有する塩基含有単量体であり、
前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有する酸含有単量体であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
【請求項2】
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物が更に光酸発生剤を含有し、酸含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物が、更に光塩基発生剤を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インクセット。
【請求項3】
酸含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物に含有される顔料が、イエロー顔料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
【請求項4】
紫外線硬化型ブラックインク組成物と、少なくとも種以上の紫外線硬化型カラーインク組成物とを備えたインクジェット記録用インクセットであって、
各インク組成物が、顔料、ラジカル重合性単量体及び光ラジカル発生剤を含有し、
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物の含有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に酸性官能基を有しする酸含有単量体であり、
前記紫外線硬化型カラーインク組成物の少なくともいずれか1種に含まれるラジカル重合性単量体の少なくとも1種が、分子中に塩基性官能基を有する塩基含有単量体であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
【請求項5】
前記紫外線硬化型ブラックインク組成物が更に光塩基発生剤を含有し、塩基含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物が、更に光酸発生剤を含有することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録用インクセット。
【請求項6】
塩基含有単量体を含む前記紫外線硬化型カラーインク組成物の含有する顔料が、イエロー顔料であることを特徴とする請求項4又は5に記載のインクジェット記録用インクセット。

【図1】
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【公開番号】特開2011−207993(P2011−207993A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76276(P2010−76276)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】